平成28年度厚生労働省委託事業講習会 於)仙都会館 8階会議室 ラベル表示を活用した「HOW TO 職場の安全衛生教育」 ラベル表示を活用した 職場の安全衛生教育の進め方 2016年10月19日 三菱化学株式会社 化学品管理室 植垣 前(一社)日本化学工業協会 化学品管理部 部長 隆裕 目次 1.ラベルを活用した労働者教育の必要性 2.この講演の目的 3.化学物質による災害事例 4.効果的なラベル教育の方法の例 5.現場労働者向けテキスト 6.教育担当者向け現場教育資料 7.労働者の安全ルーチン行動 8.リスクアセスメント結果の説明 2 1.ラベルを活用した労働者教育の必要性 ●化学物質による災害件数が多い。 ●発生原因の一つに労働者の理解不足がある。 ●SDS交付対象の640物質を含む製品には ラベル貼付が義務づけられている。 ●ラベルには製品の危険性・有害性を示す 絵表示、危険有害性情報、注意書き等が 記載されている。 ●ラベル表示の内容を労働者が理解して、 「自分を守り、仲間を守る」行動をとり、 災害を防止することが期待されている。 3 2.この講演の目的 化学物質による労働災害を防止するため ●職場の労働者が、 現場で取り扱っている化学物質の 危険性・有害性を知り、 災害を予防するための自分の行動を 身につけることができるように、 ●職場の教育担当者に、 ラベル表示の読み方を具体的に教育する 方法と教材を教育担当者に提供する。 4 3.化学物質による災害事例(1) 労働者への社内教育では ●災害事例を示し、同様な災害が自分の職場でも 起こりうるという危機意識を労働者に持ってもらう。 ●そのためには、 ・自社と同業企業の災害事例 ・自社と同じ化学物質による災害事例 を例示することが望ましい。 ●災害事例は、厚生労働省のホームページ 職場のあんぜんサイトの ①化学物質による災害事例 ②労働災害事例(業種、事故の型、起因物で検索) ③労働災害データベース 等で検索して探すとよい。 5 3.化学物質による災害事例(2) ●化学物質による災害としては、 ①障害がすぐに現れる急性中毒、眼や皮膚の薬傷 ②長期間化学物質に触れたり、体内に取り込んだ 結果発症する、発がん・臓器障害等 ③火災・爆発等による火傷などの死傷災害 がある。 ●化学物質による災害事例は、 「健康障害防止の取組」、 「火災爆発防止の取組」の資料で紹介している。 ●業種特有の健康障害と思われる災害があるが、 災害原因は他の業種にも当てはまるものが多数ある。 異業種の災害事例も、他山の石として類似災害防止 に役立てていただきたい。 6 4.効果的なラベル教育の方法の例(1) ●労働者に対するラベル教育では、 ・実際に職場で使っている製品のラベルを使い、 ・絵表示の意味、危険有害性の読み方、安全対策 や応急措置等の注意書きの読み方を教える。 ●この講習会で提供する教材は、ラベルの読み方の 一例を示したものである。 一通りラベルの読み方を学んだ後は、職場で、現物を 目の前に置いて、使用する製品のラベルの読み方を 教育し、いつも絵表示を見るように指導する。 ●製品によっては、文字が小さくて、読みにくいラベル もある。このような場合は、教育担当者が事前に 表示内容を調べて、読みやすい資料を用意すると よい。 7 4.効果的なラベル教育の方法の例(2) ●教材は、パワーポイントで 「ラベルの読み方」、 「ラベル表示を活用した健康障害防止の取組」 「ラベル表示を活用した火災爆発防止の取組」 の3種類を用意してある。 ●一度にたくさん教えるのでなく、 1回の教育を短時間(10分~15分程度)とし、 ラベルを変えて繰り返し教育するとよい。 1つの教材を2回に分けて教育してもよい。 ●火災危険性がない物質の場合は、 「火災爆発防止の取組」の教育を省略してよい。 ●職場教育受講者用のテキストを3種類作成した。 8 4.効果的なラベル教育の方法の例(3) ●座学で教育する場合は、パワーポイント資料を 使って、スクリーンに映して教育するとよい。 アニメーションが入っているのでスライドショー で映写するとよい。 ●説明内容や教育担当者用解説をパワー ポイントのノートに示してある。 ●現場で立ったままで教育する場合は、通常よく 使う容器のラベルを示しながら、絵表示の意味 等を説明するとよい。 9 5.現場労働者向けテキスト ●現場労働者に手渡す資料として、「ラベルの読み 方」、「健康障害を防止するために」、「火災を予防 するために」を作成した。 ●パソコンが使えない場所での教育にも使える。 ●テキストは労働者が独習もできるように読み物風 にした。 ●教育担当者によるパワーポイント資料を用いた 教育とテキスト配布を併用するとよい。 ★3種類のテキストを参照 10 6.教育担当者向け現場教育資料 ●教育担当者向け教育資料を ・ラベルの読み方(絵表示) ・ラベル表示を活用した健康障害防止の取組 ・ラベル表示を活用した火災爆発防止の取組 の順で紹介する。 ●教育結果の理解度を確認するための問題 3項目各10問を用意した。 ●ラベルの絵表示の読み方の動画を作成した。 これら資料を活用して職場教育の実施を! 11 平成28年度厚生労働省委託事業 配布資料4 p1 ラベル表示を活用した労働者の教育推進事業 ラベルの読み方(絵表示) 12 配布資料4 p2 本日の学習内容 ★容器に貼ってあるラベルの絵表示を見て内容物の 危険性・有害性を理解しましょう 1.化学物質による健康障害について 2.ラベル表示の6項目 3.絵表示 4.絵表示を読んでみましょう 5.絵表示が示す危険性・有害性と 注意事項 6.職場で使う容器のラベル絵表示 7.まとめ 13 配布資料4 p3 1.化学物質による健康障害について ★有害な物質でも体内に取り込まなければ大丈夫 ●化学物質による健康障害の発生可能性 = 化学物質の有害性 × 化学物質の量 ●有害性を小さくする⇒代替物質へ変更する ●量を少なくする⇒体内に取り込まれる量を減らす ●「漏らさない」、「触わらない」、「吸わない」 ように、きちんと管理する。 ★有害性が小さなものでも、量が増えると危険 ★有害性の大きなものでも、量を減らせば安全 ●化学物質が体内に取り込まれる量を少なくして 健康障害のリスクを小さくすることが重要 14 配布資料4 p4 2.ラベル表示の6項目 ★ラベルの6項目のうち特に絵表示の意味を知ることが大切です ラベルには安全・健康上重要なことが書かれている。 取り扱い物質の危険性・有害性を 9つの絵表示で示しています ①製品特定名(製品の名前) ②注意喚起語 危険性・有害性を具体的 に説明しています ③絵表示 危険性や有害性から身を守るための ④危険有害性情報 注意事項が書いてあります ⑤注意書き ⑥供給者の特定(事業者名、住所、電話番号) 15 配布資料4 p5 3.絵表示 ★容器に貼ってあるラベルにどんな絵表示がついているか確かめましょう 容器のラベルには内容物の危険性・有害性に該当する絵表示が示さ れています。絵表示は全部で9つあります。 <危険有害性クラスと区分(強さ)に応じた絵表⽰と注意書き> 【炎】 【腐⾷性】 可燃性/引⽕性ガス 引⽕性液体 可燃性固体 ⾃⼰反応性化学品 など ⾦属腐⾷性物質 ⽪膚腐⾷性 【円上の炎】 ⽀燃性/酸化性ガス 酸化性液体・固体 【ガスボンベ】 ⾼圧ガス 【爆弾の爆発】 爆発物 ⾃⼰反応性化学品 有機過酸化物 【どくろ】 急性毒性 (区分1〜3) 眼に対する重⼤な 損傷性 【感嘆符】 急性毒性 (区分4) ⽪膚刺激性(区分2) 眼刺激性(区分2A) ⽪膚感作性 特定標的臓器毒性 (区分3) など 【環境】 ⽔⽣環境有害性 【健康有害性】 呼吸器感作性 ⽣殖細胞変異原性 発がん性 ⽣殖毒性 特定標的臓器毒性 (区分1,2) 16 吸引性呼吸器有害性 配布資料4 p6 ラベルの例 これは塗料のラベルの例です 17 配布資料4 p7 4.絵表示を読んでみましょう ★絵表示は化学物質の危険性・有害性を絵で表示したものです 下の絵表示は、塗料のラベル例の絵表示です。この塗料 は3種類の危険有害性があることを示しています。 危険 絵表示 注意喚起語 18 配布資料4 p8 注意喚起語 ★ラベルに「危険」と書いてあったら、取扱いに特に注意しましょう 危険 警告 ●ラベルには「危険」または「警告」が表示されて います。 これを注意喚起語といいます。 ●「危険」には、「警告」より重大な危険性・有害性 があります。 19 配布資料4 p9 絵表示の意味 この塗料は引火性の高い液体であ ることを示しています。 火災になる危険性があります。 飲み込んだり、この塗料溶剤の蒸 気やミストを吸い込んだり、皮膚 についたりすると有害です。 長期間この塗料溶剤の蒸気を体内に 取り込むと発がん、遺伝子の損傷、 臓器への障害などの恐れがあります。 20 配布資料4 p10 5.絵表示が示す危険性・有害性と注意事項 ★職場にこのポスターを貼って容器 のラベル絵表示を確認しましょう 左の表は危険性、健康有害性、 環境有害性を示す9つの絵表示と 絵表示が意味する具体的な危険性・ 有害性および注意事項が書いてあり ます。 職場の見やすい場所にこの表を貼っ て、職場で使う容器に貼ってあるラ ベルの絵表示の危険性・有害性を確 かめましょう。 左のポスターは厚生労働省のHPからダウン ロードできます。 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunituite/ bunya/0000135046.html 21 配布資料4 例えば p11 の表示があれば ポスターの該当する絵表示の具体的な危険性・有害性の欄の記載事項を 読んで、取り扱い物質の健康への影響を知り、注意事項を読んで、保護 具を着用し、換気に留意します。 22 配布資料4 p12 6.職場で使う容器のラベル絵表示 ★職場で使っている容器に貼ってあるラベルの絵表示を 見て、内容物の危険性・有害性を確かめましょう ●ラベルを表示した商品を多数取り扱っている 場合は、どれか1つを取り上げてラベルを読 んでみましょう。 ●今後、職場で作業をする前に、容器に貼って あるラベルを読んで、内容物の危険性・有害 性を知り、「自分を守り、仲間を守る」ため に必要なことを確認し、実施しましょう。 23 配布資料4 p13 ラベルの表示例(6項目の配置例) ①名称 ②注意喚起語 ③絵表示 ④危険有害性情報 保護具の 例示 保護眼鏡 保護手袋 保護マスク ⑤注意書き:安全対策 ⑤注意書き:応急措置 ⑤注意書き:保管・廃棄 ⑥供給者の特定 (企業名、住所、電話番号) 24 配布資料4 p14 7.まとめ ●化学物質による健康障害を防止するため には、現場で取り扱う化学物質の危険性・ 有害性を、作業者自らが知ることが大切で す。 ●化学物質の危険有害性情報および取り扱 い上の注意事項を記載したラベルが容器、 包装に貼付してあります。 ●ラベルの絵表示を見て、現場で取り扱っ ている化学物質の危険性・有害性をよく理 解して、事業者と共に自分の健康守るよう 取り組みましょう。 25 配布資料5 p1 平成28年度厚生労働省委託事業 ラベル表示を活用した労働者の教育推進事業 ラベル表示を活用した 健康障害防止の取組 26 配布資料5 p2 本日の学習内容 ★ラベルを読んで、取扱い物質の有害性を理解し、 健康障害から自分の身を守る行動をとりましょう。 1.健康障害事例 2.健康障害の危険性があるラベル絵表示 3.有害性情報 4.注意書き 5.有害物質の体内取り込みを減らす対策 6.健康障害から守る保護具の種類 27 配布資料5 p3 1.健康障害事例 中毒、薬傷、発がんなどの健康障害事例の 中から、自社と同業種の障害例、自社が取 り扱っているものと同じ物質による障害例 を、他山の石として健康障害防止に活かし ましょう。 ① 薬傷事故例 ② 中毒事故例 ③ 混合による有害ガス発生で中毒の例 ④ 長期接触による発がんの事例 ⑤ 長期接触による臓器障害の事例 28 配布資料5 ①薬傷の事故例(1) 人的被害:休業者数 沈殿槽 3人 ・本災害は、塗装工場において廃塗料沈殿槽を 清掃中に発生した。災害の発生した工場内の塗装 を行うブースには、オーバースプレーされた塗料 を受けるための沈殿槽が設置されており、槽内に は常時深さ50cm程度に水が張られ、けん化反応に より塗料を沈殿させるために、水酸化ナトリウム と廃油が投入されていた。 槽内の水溶液がバキュームカーにより吸い上げら れた後、作業者4人がスコップで廃塗料沈殿物 (深さ30㎝)をすくってバケツに入れる作業をし ていた。スコップですくった際、飛散した水溶液 を顔、手等に浴びた。 なお、作業者の服装は、通常の作業着にビニール 手袋、ゴム長靴、人によってはナイロン製ヤッケ を着用していた。 水酸化ナトリウム含有液 廃塗料沈殿物 (水酸化ナトリウム含有) 出典:職場のあんぜんサイト p4 ・原因・教訓 労働災害事例より 現場責任者、作業者に槽内の物質の有害性につい て認識がなかった。 そのためか、適切な保護具(水酸化ナトリウム 用)を使用していなかった。 配布資料5 ①薬傷の事故例(2) 人的被害:不休業者数 硬化促進剤 p5 3人 ・事故の概要 被災者ら3名の作業者は、化学工場内にお ける廃棄物焼却炉の定期補修工事で、耐火 物へ、耐火物の硬化促進剤である急結剤の 吹付け作業を行っていた。その際、ノズル とホースの接続部から飛散した強アルカリ 性の急結剤が作業者3名の皮膚に付着した ことにより、3名とも薬傷(化学性皮膚 炎)を負った。 ・教訓 適切な作業手順を定め、安全作業に係る機 器の使用、留意事項を記載する。 作業に応じた適切な保護具を選定し、労働 者に着用させる。 使用する薬剤のSDS等を入手し、危険有害 性と対策を確認する。 出典:職場のあんぜんサイト 労働災害事例より 配布資料5 p6 この作業は安全ですか? 1斗缶に接着剤とトルエ ンと酢酸エチルを入れて、 手で撹拌しています。 どんなことに注意すれば よいでしょうか? 31 配布資料5 ②中毒の事故例(1) グラビアコーター トルエン 蒸気 人的被害:休業者数 p7 1人 ・事故の概要 ビニールシートにコーティングする接着剤(有機 溶剤含有)をグラビアコーターの接着の受皿に補 給する作業。 一斗缶に接着剤5㎏、トルエン3㎏、酢酸エチル3 ㎏、硬化剤を混ぜ、補給時に一斗缶内をひしゃく でかき混ぜ、グラビアコーターの接着剤受皿に補 給していたところ、気分が悪くなった。 ・教訓 原因の第一は有機溶剤作業主任者が実務に疎く、 作業マニュアルが整備されていなかったため、作 業者の判断で作業が行われていたこと。 一斗缶 (接着剤5㎏にトルエン3㎏、酢酸エチル3㎏、 硬化剤を作業者が予め混ぜたもの) 出典:職場のあんぜんサイト 労働災害事例より 接着剤を小分けする作業、接着剤を混合する作業 は、局所排気装置を備えたチャンバー内で行うよ う設備の改善が必要。 接着剤補給作業は作業者が有機溶剤蒸気にばく露 されないような補給装置が必要。 保護具(トルエン用)を着用して作業をすること を作業の必要条件とする。 配布資料5 p8 ②中毒の事故例(2) 鉛ヒュームによる慢性鉛中毒 • 事故の概要 人的被害:休業者数 1人 鉛を含有する水道用仕切弁の鋳物部 品製造工場で、鋳物の不必要な部分 をグラインダーで切断・研磨作業を 18年間担当。腹痛のため血液検査を 受けた結果、血中鉛濃度が高く、慢 性鉛中毒と診断された。 • 教訓 出典:職場のあんぜんサイト 労働災害事例より 局所排気装置を稼働させる。 除じん装置の排気口は屋外に設ける。 防じんマスクを着用する。 作業環境測定および健康診断を実施 する。 33 配布資料5 ③混合・中毒の事故例 次亜塩素酸ナトリウムのラベルには 「酸」と混ぜないことあるが、多くの 混触事故が発生している。何故か。 人的被害:休業者数 不休業者数 p9 4人 7人 ・事故の概要 塩素ガス 本ホテルでは、井戸水殺菌用に塩酸、温泉水殺菌 用に次亜塩素酸ナトリウムを使用。配属されてか ら間の無い作業者が先に井戸水殺菌に使用した薬 液(塩酸)と温泉水殺菌は同じ薬液と思い、温泉 水殺菌用の次亜塩素酸ナトリウムタンクに当該薬 液(塩酸)を補充したところ、ガス(塩素ガス) が発生し、ホテル地下及び1階に充満し、宿泊客、 従業員が被災した。 ・教訓 次亜塩素酸ナトリウムタンク 出典:職場のあんぜんサイト 塩酸ポリ容器 労働災害事例より 各薬液タンク及び容器に内容物質名を明示。 同じ薬液のタンク、容器は同色とする。また、形 状別に識別できるようにする。 ミスによる同様のトラブル発生の惧れはあるので、 必要な呼吸用保護具(塩素ガス用)を備え付け、 作業時には装着を義務付けること。 ③混合・中毒の事故例 殺菌水 生成装置 配布資料5 p10 塩素ガス 人的被害:休業者数 1人 ・事故の概要 野菜等の殺菌に使用する殺菌水を作る殺菌水生成 装置(同装置の右側に次亜塩素酸ナトリウムタン ク、左側に塩酸タンクが接続されている)の次亜 塩素酸ナトリウムタンクの残量が少ないこと確認 した被災者は、次亜塩素酸ナトリウムを補充しよ うとした。 その際、誤って塩酸を補充してしまった。 ・教訓 次亜塩素酸 ナトリウムタンク 塩酸ポリ容器 各薬液タンク及び容器に内容物質名を明示。 同じ薬液のタンクと容器は同色とする。また、形 状別に識別できるようにする。 ミスによる同様のトラブル発生の惧れはあるので、 必要な呼吸用保護具を備え付け、作業時には装着 を義務付けること。 塩酸タンク 出典:職場のあんぜんサイト 労働災害事例より 類似事故例 作業場の壁際の黒ずみ除去のために、床 に家庭用漂白用洗剤の原液を撒いた。 別の作業者が床の清掃のために先に撒か れそのままになっていた希釈された業務 用弱酸性の洗剤と混ざり、塩素ガス発生。 配布資料5 p11 新築工事現場の浴室の防水工事の作業中、 有機溶剤(トルエン)中毒となり入院 トルエン 蒸煮釜 蒸煮釜の洗浄作業中、釜に投入した カ性ソーダが急激に溶解沸騰し、飛散し た溶解液を浴びた作業者が熱傷 出典:職場のあんぜんサイト 労働災害事例より 化学物質の災害事例から何を学ぶか 配布資料5 p12 化学物質 取扱い上の主な注意事項 何故、災害が起きたか 災害事例 次亜塩素酸ナトリウム 酸との混合により塩素ガスが 発生する NaCl O+ 2HCl ⇒ NaCl + H2O + Cl2 ・安全な作業方法の未確立。 確立されていても、作業者の行動 がそれに基づいていない。 ・ホテルの温泉滅菌用次亜 塩素酸ナトリウムタンクに 誤って塩酸を投入 ・殺菌水生成装置の次亜塩 素酸ナトリウムタンクへ塩酸 を補充 ・作業場の壁際の黒ずみ除 去のために、床に家庭用漂 白用洗剤の原液を撒いた。 別の作業者が床の清掃のた めに先に撒きそのままになっ ていた希釈された業務用弱 酸性の洗剤と混ざり、塩素ガ ス発生 ・次亜塩素酸ナトリウム容器と塩 酸容器が同じ場所に保管。 混合すると有害な ガスが発生するこ とを理解し、間違 わないように標識 を工夫しよう ・容器の外観・形状が似通ってい る。 ・時間差はあるものの、前後して 二つの化学物質を使用。 トルエン 決められた保 護具は自分を 守るために着 用しよう 水酸化ナトリウム 取り扱い物質 の有害性に適 した保護具を 着用しよう 保護手袋、保護衣、保護眼鏡、 保護面を着用すること。 ミスト/蒸気を吸入しないこと。 ・安全な作業方法の未確立。 確立されていても、作業者の行動 がそれに基づいていない。 ・保護マスクの未着用 ・トルエンの作業環境濃度と着用 保護マスクの仕様のミスマッチ 粉じん、ヒューム、蒸気、スプ レーを吸入しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 適切な保護手袋、保護衣、保 護眼鏡、保護面を着用すること ・・安全な作業方法の未確立。 確立されていても、作業者の行動 がそれに基づいていない。 ・定常/非定常作業における保護 マスク等の未着用 出典: ・グラビアコーターの接着剤 の受皿にトルエン等に溶解し た接着剤を補給中にトルエン 蒸気を吸入し、中毒となった ・シンナーを用いて部品を脱 脂洗浄 ・塗装工場のカ性ソーダ含有 沈殿物の除去作業中に、飛 散したカ性ソーダ水溶液によ る顔等の被災 ・蒸煮釜の洗浄作業中、釜に 投入したカ性ソーダが急激に 溶解沸騰し、飛散した溶解液 を浴びた作業者が熱傷 配布資料5 ④発がんの事例(1) p13 発がん事例(膀胱がん) 人的被害:膀胱がん発症 化学工場で、吸入防止 のため防毒マスクを作 業者全員が着用してい たにもかかわらず発症 吸入だけでなく、 皮膚からの吸収にも 注意が必要 情報源:労働安全衛生総合研究所 災害調査報告書 A‐2015‐07 6人 ・従業員6人が膀胱がんを発症 ・6人とも扱っていた物質はオルト -トルイジン(液体) ・再現調査では、防毒マスク、化学 防護服を着用していたが、作業前 後の尿検査で高ばく露が確認され た。 ・ゴム手袋をしていたが、オルト- トルイジンを含有する溶剤で繰り 返し洗って使用していたと判明。 ・経気吸入も少量あったが、特に皮 膚から多く吸収されていた。 配布資料5 ④発がんの事例(2) p14 発がん事例(胆管がん) 人的被害:胆管がん発症 17人(うち7人死亡) 注:H24.12末時点 ・これまで胆管がんは、国際的にも職 業がんの知見なし。 ・特にジクロロメタンは、工業的によく 使われていたが、この高濃度で長期 間ばく露した事例で初めてヒトへの 発がん性が判明。 ・これをきっかけに因果関係が分かり、 国内で他にも労災認定。 ・有害性が不明であること(分類でき ない)は無害であることを意味しない。 情報源:労働安全衛生総合研究所 災害調査報告書 A‐2012‐02 ・平成15年までの13年間 に、インキ洗浄作業に関わっ た元従業員ら17人が胆管が んを発症 ・原因物質は1,2-ジクロロプ ロパン、ジクロロメタンの蓋 然性が高い ・換気せず高濃度ばく露 ・1,2-ジクロロプロパンは特 別規則の対象外(当時)で あったので、有害性未確認の まま使用 配布資料5 ⑤臓器障害の事例 p15 臓器障害事例(肺障害) 人的被害:休業 1名 出典:職場のあんぜんサイト 労働災害事例より ・クレーン部品の下地塗装作業 を4年間行った労働者が、特殊 健康診断で肺の異常所見を指摘 された。 ・局所排気装置の稼働、呼吸用 保護具の着用は遵守。 ・塗装ブース内で、塗装する部 品と局所排気装置のフードの間 に入って作業していたため、塗 料のミストを吸入していたのが 原因と推定される。 配布資料5 p16 2.健康への有害性があるラベル絵表示 ★この4つの絵表示は、健康への有害性が高いことを 示しています。 容器に貼ってあるラベルの絵表示をみて、現場で取り扱っ ている物質の健康への有害性を確認しましよう。 【健康有害性】 【感嘆符】 ⽣殖細胞変異原性 発がん性 ⽣殖毒性 (区分1、区分2) 呼吸器感作性 特定標的臓器毒性 (区分1、区分2) 吸引性呼吸器有害性 急性毒性 (区分4) ⽪膚刺激性(区分2) 眼刺激性(区分2A) ⽪膚感作性 特定標的臓器毒性(区分3) オゾン層への有害性 【どくろ】 急性毒性(区分1〜 区分3) 【腐⾷性】 ⾦属腐⾷性物質 ⽪膚腐⾷性 眼に対する重篤な損傷性 41 ラベル表示の例 配布資料5 p17 ラベルに「感嘆符」と「健康有害性」の絵表示があり ます。健康への有害性があることを示しています。 これは塗料のラベルの例です 42 配布資料5 p18 絵表示が示す具体的な有害性と注意事項 絵表示の意味はポスターで 調べましょう。 「腐食性」、「どくろ」、 「健康有害性」、「感嘆符」 それぞれの絵表示の右横に 「具体的な危険性・有害性」 が書いてあります。 次の欄には「注意事項」が書 いてあります。 43 配布資料5 例えば p19 の表示があれば ポスターの該当する絵表示の具体的な危険性・有害性の欄の記載事 項を読んで、取り扱い物質の有害性を知り、注意事項を読んで、吸 入を避け、適切な保護具を着用しましょう。 44 配布資料5 例えば p20 の表示があれば ポスターの該当する絵表示の具体的な危険性・有害性の欄の記載事 項を読んで、取り扱い物質の有害性を知り、注意事項を読んで、皮 膚への接触や蒸気の吸入を避けるよう適切な保護具を着用しましょ う。 45 配布資料5 p21 3.有害性の情報 職場で取り扱っている商品特有の有害性については、 ラベルの「危険有害性情報」の記載内容を見ましょう。 ポスターの標記は共通的、一般的な内容です。 現場で取り扱っている製品の容器に貼ってあ るラベルの危険有害性情報の記載内容を読ん で、取扱商品の有害性を確認しましょう。 次のスライドで、塗料のラベルの例で危険有 害性情報を読んでみましょう。 46 配布資料5 p22 ラベルの表示例(6項目の配置例) ①名称 ②注意喚起語 ③絵表示 ④危険有害性情報 保護具の 例示 保護眼鏡 保護手袋 保護マスク ⑤注意書き:安全対策 ⑤注意書き:応急措置 ⑤注意書き:保管・廃棄 ⑥供給者の特定 (企業名、住所、電話番号) 47 配布資料5 p23 危険有害性情報 危険有害性情報から、健康有害性の絵表示 に関す る有害性情報(発がん性、生殖毒性、中枢神経系、血 液系)、感嘆符の絵表示 に関する有害性情報(呼 吸器への刺激、眠気・めまい)などがわかります。 「危険有害性情報」 • 引火性の高い液体及び蒸気 ・吸入すると有害 ・皮膚刺激 ・強い眼刺激 • 発がんのおそれの疑い ・生殖能又は胎児への悪影響のおそれ・授乳中の 子に害を及ぼすおそれ • 臓器(中枢神経系)の障害 ・臓器(血液系)の障害のおそれ ・呼吸器へ の刺激のおそれ・眠気又はめまいのおそれ ・長期にわたる、又は反復 ばく露による臓器(中枢神経系、腎臓、神経系)の障害 • 長期にわたる、又は反復ばく露による臓器(血液系、精巣)の障害のおそれ • 水生生物に有害 48 配布資料5 p24 4.注意書き 「注意書き」の<安全対策>に健康障害を起こさない ための注意事項が6項目書いてあります。この6つに 注意し、実施することが健康障害を防止するために 大切なことです。 <安全対策> ・ 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること–禁煙 ・ 容器を接地すること/アースをとること。 ・ 火花を発生させない工具、防爆型の電気機器/換気装置/照明機器を使用 すること。 ・ 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 ・ 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 ・ 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 ・ 妊娠中/授乳期中は接触を避けること。 ・ 取扱い後は手及び身体をよく洗うこと。 ・ 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 ・ この製品を使用するときに飲食又は喫煙をしないこと。 49 配布資料5 p25 職場のラベルを見てみましょう 職場で取り扱っている容器のラベルを見て、 などの絵表示があるかどうか 確認しましょう。 絵表示があれば、「危険有害性情報」と 「注意書き」にどんなことが書いてあるか 確認し、注意書きに沿った行動をしましょ う。 50 配布資料5 p26 5.有害物質の体内取り込みを減らす対策 ★有害物質が作業現場に漏れ出ないように、 設備対策と作業管理をしましょう。 ●密閉化 ●換気強化 ●物質代替 ・設備の開口部の閉止 ・装置の開口面積の縮小 ・容器のふた締め励行 など ・局所排気装置の設置 ・全体換気設備の設置 ・外気の取り入れ など ・有害性の低い物質に転換 ※ただし、有害性が不明な物質への転換は要注意 51 配布資料5 p27 6.健康障害防止のための保護具 ★設備対策だけでは完全ではありません。有害性 に対応した適切な保護具を着用して有害物質の体 内への取り込みを防ぎましょう。 ●呼吸器の保護、呼吸器からの体内侵入の回避 防毒マスク、防じんマスク、空気呼吸器、 送気マスク(エアラインマスク) ●手、足、体の一部の保護 保護服、保護手袋、保護長ぐつ (耐酸、耐アルカリ、耐溶剤) ●目や顔面の保護 保護メガネ、保護面、遮光保護具 52 配布資料5 p28 保護の正しい装着方法 ★保護具は正しく装着しないと効果があり ません。 ●吸収缶の選定 有害性ガスの種類によって使用する吸収缶の種類が異なります。 職場で使用する有害性ガスに効果のある吸収缶を使いましょう ●呼吸用保護具の装着法 顔面とマスクを密着するように装着し、隙間がないことを 確認してから作業を始めましょう。 ●吸収缶の交換(防毒効果確保) 吸収缶は一定以上のガスを吸着すると、それ以上は吸着しなく なり、有害ガスが吸収缶を通り抜けてしまいます。 吸収缶の交換時期に気を付けましょう。 防塵マスクもフィルターの交換時期に気を付けましょう。 53 配布資料5 防毒マスクの装着方法 提供:スリーエムジャパン株式会社 p29 配布資料5 p30 防じんマスクの装着方法(使い捨て式) 提供:スリーエムジャパン株式会社 55 配布資料5 p31 まとめ ◆有害性のある化学物質でも、適正に取り 扱えば、健康を損なう心配はありません。 ◆取り扱う化学物質の有害性を、ラベル表 示等で正しく理解しましょう。 ◆発がん性等すぐには症状が現れないリス クもありますので、油断せず、決められ た作業手順を守り、自分と仲間の健康を 守りましょう。 56 配布資料6 p1 平成28年度厚生労働省委託事業 ラベル表示を活用した労働者の教育推進事業 ラベル表示を活用した 火災爆発防止の取組 57 配布資料6 p2 本日の学習内容 ★ラベルを読んで、取り扱い物質の火災危険性 を知り、火災予防の行動をとりましょう 1.火災爆発事故例 2.火災の3要素 3.ラベルの絵表示 4.危険性の情報 5.注意書き 6.いろいろな着火源 7.静電気による着火防止対策 8.火災爆発予防のための行動 58 配布資料6 p3 1.火災爆発事故例 火災爆発事故例を他人事とせず、 職場の安全に活かしましょう 事故例① 事故例② 事故例③ 事故例④ 火気厳禁危険物とグラインダー の火花による火災 溶剤の調合中に火災発生 洗浄剤で部品の洗浄中に爆発 タンク修理中に爆発 59 配布資料6 p4 事故例① 火気厳禁危険物とグラインダーの火花による火災 人的被害:1名 火傷 ■事故の概要: 出典:火災・事故防止に資する防災情報提供シート (消防防災博物館) グラインダー作業中にその火 花が近くにあった廃油(揮発 油)に引火し、消火をしようと した作業者が火傷を負った。 ■教訓: グラインダーや溶接溶断等の 火源となる作業と危険物取扱 作業を近接して同時に行わな い。 配布資料6 p5 火気作業と可燃物取り扱い作業の 同時並行作業禁止 着火源の飛散 可燃物の蒸発拡散 溶接等の火は5m以上飛ぶ。 可燃物の蒸気も拡散して拡 がる。 配布資料6 p6 どこに問題がありますか? 危険物溶剤を携行缶からドラ ム缶に移そうとしています。 溶剤の危険有害性を考えて、 対策を考えてください。 漏斗 携行缶 ドラム缶 塩ビシート 62 配布資料6 事故例② p7 溶剤の調合中に火災発生 ■人的被害: 作業者1名 上半身火傷 作業者2名 手指に火傷 ■事故の概要: 出典:火災・事故防止に資する防災情報提供シート(消防防 災博物館) ・作業者が、携行缶からドラム缶 へ漏斗を使って溶剤を投入後に 漏斗内で静電気火花が発生し、 ドラム缶内の溶剤に引火、作業 者の着衣に着火し上半身火傷。 ・消火にあたった作業者2名も手 指に火傷を負った。 ■教訓: 帯電防止対策(ドラム缶、漏斗に アース、静電靴、静電服の着用、 湿度の管理)が必須。 配布資料6 静電気対策の ポイント 湿度計 静電気を逃がす 湿度30%以下は 静電気着火危険 帯電防止服 帯電防止靴 アース p8 類似事故例 配布資料6 p9 同じような火災事故が起こっています。静電気には 注意が必要です。 • 合成樹脂重合反応器から 生成物をドラム缶に充てん 作業中、作業者が火傷 出典:職場のあんぜんサイト 労働災害事例より • 酢酸エチルの入った反応 釜へ粉体の原料を投入す る作業中に火災 出典:職場のあんぜんサイト 労働災害事例より 配布資料6 事故例③ p10 洗浄剤で部品の洗浄中に爆発 ■人的被害: 休業 不休業 作業者2名 作業者1名 火傷 軽度の火傷 ■事故の概要: 出典:職場のあんぜんサイト 労働災害事例より LPG ヘキサン スプレー缶入り洗浄剤で部品の洗浄 中に、横で同僚がモーター取り外し 作業中に発生したスパークがスプ レーガスに引火し爆発 ■教訓: ・換気を十分に行う。 ・モーターとバッテリーを切 り離してから作業する。 66 配布資料6 事故例④ p11 タンク修理中に爆発 ■人的被害: 休業 作業者2名 火傷 ■事故の概要: 出典:職場のあんぜんサイト 労働災害事例より 発酵タンクの修理中、アー ク溶接の火花が、タンク内 に残留していた浸透探傷試 験に用いたスプレーガスに 引火、爆発した。 ■教訓: ①火気使用前にタンク内の 換気を確実に行う。 ②有害性だけでなく危険性 にも注意する。 67 配布資料6 2.火災の3要素 3要素の1つを無くせば火災を 防ぐことができますが、実際には 着火源を無くすことが大切です。 空気中の酸素 火 災 p12 ガス・LPG ガソリン・灯油 溶剤・シンナー 塗料・インキ 化学製品 プラスチック 木材・紙 粉じん 着火源 火気、火花、静電気、高温・高熱、自然発火 68 配布資料6 p13 3.ラベルの絵表示 この4つの絵表示は、火災・爆発の危険性が高い ことを示しています。 容器に貼ってあるラベルの絵表示をみて、現場で取り 扱っている物質の火災爆発危険性を確認しましよう。 【炎】 可燃性/引火性ガス 【円上の炎】 引火性液体 可燃性固体 自己反応性化学品 など 【爆弾の爆発】 爆発物 自己反応性化学品 有機過酸化物 【ガスボンベ】 支燃性/酸化性ガス 酸化性液体・固体 高圧ガス 69 ラベル表示の例 配布資料6 p14 ラベルに「炎」の絵表示があります。 火災爆発の危険性があることを示しています。 これは塗料のラベルの例です 70 配布資料6 p15 絵表示が示す具体的な危険性と注意事項 絵表示の意味はポスターで 調べましょう 「炎」の絵表示の右横に 「具体的な危険性・有害 性」が書いてあります。 次の欄には「注意事項」 が書いてあります。 71 配布資料6 例えば p16 の表示があれば ポスターの該当する絵表示の具体的な危険性・有害性の欄の記載事 項を読んで、取り扱い物質の火災爆発等の危険性を知り、注意事項 を読んで、着火源から遠ざけること、禁煙、に注意しましょう。 72 配布資料6 p17 4.危険性の情報 職場で取り扱っている商品特有の危険性については、 ラベルの「危険有害性情報」の記載内容を見ましょう。 ポスターの標記は共通的、一般的な内容です。 現場で取り扱っている商品の容器に貼ってあ るラベルの危険性の記載内容を読んで、取扱 商品の火災危険性を確認しましょう。 次のスライドで、塗料のラベルの例で危険有 害性情報を読んでみましょう。 73 配布資料6 p18 ラベルの表示例(6項目の配置例) ①名称 ②注意喚起語 ③絵表示 ④危険有害性情報 保護具の 例示 保護眼鏡 保護手袋 保護マスク ⑤注意書き:安全対策 ⑤注意書き:応急措置 ⑤注意書き:保管・廃棄 ⑥供給者の特定 (企業名、住所、電話番号) 74 配布資料6 p19 危険有害性情報 危険有害性情報の中で、炎絵表示に関係するのは、 「引火性の高い液体及び蒸気」だけです。 「危険有害性情報」 • 引火性の高い液体及び蒸気 ・吸入すると有害 ・皮膚刺激 ・ 強い眼刺激 • 発がんのおそれの疑い ・生殖能又は胎児への悪影響のおそ れ・授乳中の子に害を及ぼすおそれ • 臓器(中枢神経系)の障害 ・臓器(血液系)の障害のおそ れ ・呼吸器への刺激のおそれ・眠気又はめまいのおそれ ・ 長期にわたる、又は反復ばく露による臓器(中枢神経系、腎臓、 神経系)の障害 • 長期にわたる、又は反復ばく露による臓器(血液系、精巣)の障 害のおそれ • 水生生物に有害 75 配布資料6 p20 5.注意書き 「注意書き」の<安全対策>に火災を起こさないため の注意事項が4項目書いてあります。この4つを実施 することが火災予防上大切です。 <安全対策> ・ 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること–禁煙 ・ 容器を接地すること/アースをとること。 ・ 火花を発生させない工具、防爆型の電気機器/換気装置/照明機器を使用 すること。 ・ 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 ・ 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 ・ 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 ・ 妊娠中/授乳期中は接触を避けること。 ・ 取扱い後は手及び身体をよく洗うこと。 ・ 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 ・ この製品を使用するときに飲食又は喫煙をしないこと。 76 配布資料6 p21 職場のラベルを見てみましょう 職場で取り扱っている容器のラベルを見て、 の絵表示があるかどうか確認しま しょう。 絵表示があれば、「危険有害性情報」と 「注意書き」にどんなことが書いてあるか 確認しましょう。 77 配布資料6 p22 6.いろいろな着火源 火災事故はいろいろな着火源で発生しています。 着火源になるものと可燃物とを離しましょう。 静電気は目に見えないので特に注意が必要です。 ■裸火 加熱炉の火、タバコの火、ストーブの火 ■火花 金属の衝撃火花、電気火花 ■静電気 人が動くと、液体を流すと、摩擦する と、ものを剥がすと静電気が発生する ■高温 高温配管、高温設備、溶接・溶断の火 ■摩擦熱 ■自然発火(蓄熱、温度上昇) 78 配布資料6 p23 7.静電気による着火防止対策 静電気による着火を防ぐために特に青字の対策が大切です。 ①静電気発生を抑制する ●摩擦を小さくする。 ●流速を上げない。 ②人体への帯電を防止する ●帯電防止用の静電服、静電靴を着用する。 ●作業現場で服の脱着をしない。 ③静電気を逃がす ●アースをとる。 ●液体の静置時間を長くとる。 ●湿度を高くする。 (望ましくは50%以上、30%以下は危険) ●床の導電性を確保する。 (塩ビ等の絶縁性のシートを敷かない) 79 配布資料6 p24 8.火災爆発予防のためにとる行動 ●火気作業確認 可燃物・引火物取り扱い現場の近くでの 火気作業禁止 (溶接・溶断工事、電気工事、はつり工事 等が行われていないこと) ●静電気対策(前ページ参照) ●防爆対策 可燃物の微細粉じん、引火性物質取り扱い 場所での防爆機器使用 堆積粉じんの定期的清掃 80 配布資料6 p25 まとめ ●可燃物を取り扱う職場は、いつ火災が起きて も不思議ではありません。 ●可燃物に火がつくのは、液体から蒸発した可 燃物の蒸気が空気と混ざって、爆発範囲に入っ たときです。可燃物の蒸発を抑えましょう。 ●着火源を可燃物に近づけないように注意しま しょう。 ●静電気は目に見えないのですが、作業現場で は大量に発生していて危険です。静電気を、 「つくらない、貯めない、すぐに逃がす」こと で火災を予防しましょう。 81 7.労働者が自分を守るために取る行動(1) ~日常の行動としてルーチン化を!~ ●厚生労働省のポスター「作業前に絵表示を確認!」 を職場に貼り、毎日読むことを習慣にする。 ●ラベルの絵表示を読んで、取り扱い物質の危険性・ 有害性を理解した後、注意書きを参考にして、 自分の職場で取るべき行動を整理するとよい。 ●その行動は、職場で日常守るべきことなので、 毎日の習慣となるようルーチン化することが 望ましい。 ●教育資料には具体的行動の事例を示したので、 これを参考に職場のルーチン行動を作成する。 82 7.労働者が自分を守るために取る行動(2) ~日常の行動としてルーチン化を!~ ●出勤時 作業服に着替えるとき 服:静電服又は除塵服着用の要否確認、着用 靴:安全靴又は静電靴着用の要否確認、着用 帽子:ヘルメット又は作業帽又は指定品の着用 ●作業開始前(★作業内容変更の都度実施) 本日の作業確認:取り扱う製品の確認 製品のラベルを読む:絵表示を見て危険性・ 有害性の確認、必要に応じて注意書きの確認 83 7.労働者が自分を守るために取る行動(3) (健康障害防止のために) ●作業開始前 ◆保護具: ・防毒マスク、防塵マスク等の着用要否確認、着用 マスクと顔面の密着度確認(フィットテスト) マスクの吸収缶、フィルターの交換要否確認 ・保護手袋、保護メガネの着用の要否確認、着用 ●作業中 ◆換気設備: ・局所排気装置、全体換気、作業ブース、 ドラフトチャンバー等の作動確認 ◆容器の密閉: ・容器(ドラム缶、一斗缶等)のフタ閉め ・廃ウェス容器等のフタ閉め励行 84 7.労働者が自分を守るために取る行動(4) (火災予防のための静電気対策) ●静電気対策 ◆人体静電気の除電: ・作業開始前に除電棒にタッチ ・静電靴の底の汚れチェック、汚れ除去、 ◆設備の静電気の除電: ・アース接続の確認、 ・絶縁シート不使用の確認 ◆作業場の湿度管理: ・湿度が低い時は、打ち水等で湿度上昇 85 7.労働者が自分を守るために取る行動(5) (火災予防のための火気管理等) ●火気作業確認 可燃物・引火物取り扱い現場の近くでの 火気作業禁止 (溶接・溶断工事、電気工事、はつり工事 等が行われていないこと) ●防爆対策 可燃物の微細粉じん、引火性物質取り扱い 場所での防爆機器使用 堆積粉じんの定期的清掃 86 8.リスクアセスメント結果の説明 ●職場で実施されたリスクアセスメントの結果を 説明する。 ●いろいろな取扱い物質のリスクアセスメントが 実施されている場合は、その職場で使用している 物質について、一つずつ説明する。 ●取扱い物質の危険性・有害性、現場でとっている 対策、対策実施後に残っているリスク、労働者が 守るべきこと、注意すべきことを説明する。 ●朝礼などで伝えるときは、当日使用する物質に 絞ってポイントを説明する。 87 まとめ ◆取り扱う化学物質の危険性・有害性を、ラベルの 絵表示等で正しく理解してもらいましょう。 ◆危険性・有害性のある化学物質でも、適正に取り 扱えば、健康を損なうことがないことを理解して もらいましょう。 ◆職場で実施している対策が、その効果をきちんと 発揮するよう労働者の取組が大切であることを 理解してもらいましょう。 ◆発がん性等すぐには症状が現れないリスクもある ので、油断せず、決められたルールを守って作業 することが重要であることを理解してもらい ましょう。 ◆自分を守り、仲間を守るための取組であることを 認識してもらいましょう。 88 ご清聴いただき ありがとうございました! 89
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