ニッセイ基礎研究所 2016-10-20 【9 月米住宅着工、許可件数】 住宅着工許可件数は、増加予想に反して大幅減 少。7-9 月期住宅投資は 2 期連続マイナスへ。 経済研究部 主任研究員 TEL:03-3512-1824 窪谷 浩 E-mail: [email protected] 1. 結果の概要:住宅着工は予想に反して大幅減少、許可件数は予想比上振れ 10 月 19 日、米国センサス局は 9 月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整 済、年率)は 104.7 万件(前月改定値:115.0 万件)と、前月からの増加を見込んでいた市場予想 の 117.5 万件(Bloomberg 集計の中央値、以下同様)を大幅に下回り、前月から減少した(図表 1、 図表 3)。 住宅着工に先行する住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は、122.5 万件(前月改定値:115.2 万件)と、こちらは前月から増加、市場予想の 116.5 万件も上回った(図表 2、図表 5) 。 (図表 1) (図表 2) (万件) (万件) 住宅着工件数 160 140 住宅着工許可件数 180 集合住宅 一戸建て 住宅着工件数 集合住宅 160 一戸建て 140 120 住宅建築許可件数 120 100 100 80 80 60 60 40 40 20 20 0 0 2007 2008 2009 2010 2011 (資料)センサス局よりニッセイ基礎研究所作成 2012 2013 2014 2015 2016 (月次) 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 (資料)センサス局よりニッセイ基礎研究所作成 (月次) 2. 結果の評価:7-9 月期の住宅投資は 2 期連続のマイナス成長が濃厚 9 月の住宅着工件数の伸びは、前月比▲9.0%(前月:▲5.6%)と 2 ヵ月連続でマイナスとなっ たほか、マイナス幅は 15 年 10 月(▲9.8%)に次ぐ落ち込みとなった(図表 3) 。また、前年同月 比でも▲11.9%(前月:+1.6%)と 3 ヵ月ぶりにマイナスに転じた。 住宅着工件数(前月比)を、戸建てと集合住宅に分けてみると、戸建てが+8.1%(前月:▲5.9%) と前月からプラスに転じた一方、集合住宅が▲38.0%(前月:▲5.1%)と 09 年 4 月(▲40.1%) 以来の落ち込みとなったことが大きい(図表 4) 。 住宅着工件数(前月比)の地域別寄与度は、西部で横這い(前月:▲0.8%ポイント)となった ほかは、北東部▲4.3%ポイント(前月:+0.2%ポイント) 、中西部▲2.1%ポイント(前月:+1.1% ポイント) 、南部▲2.6 ポイント(前月:▲6.0 ポイント)と全ての地域でマイナスとなった。 1| |経済・金融フラッシュ 2016-10-20|Copyright ©2016 NLI Research Institute All rights reserved (図表 3) (図表 4) (前月比、%) 80 住宅着工件数(伸び率) (前年同月比、%) 60 70 40 60 20 50 0 40 季調済前月比 -20 30 前年同月比(右軸) -40 20 -60 10 -80 0 -100 -10 -120 -20 -140 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 (資料)センサス局よりニッセイ基礎研究所作成 (月次) 30 (%) 住宅着工件数前月比(寄与度) 集合住宅 一戸建て 住宅着工 20 10 0 -10 -20 2013/01 2013/07 2014/01 2014/07 2015/01 2015/07 2016/01 2016/07 (資料)センサス局よりニッセイ基礎研究所作成 (月次) 住宅着工件数の先行指標である住宅着工許可件数は、9 月の前月比が+6.3%(前月:+0.7%)と 上方修正された前月を上回って増加した。また、前年同月比でも+8.5%(前月:▲1.2%)と 16 年 1 月(+10.7%)に次ぐ伸びとなっており、住宅着工と対照的にモメンタムが強まっている。 また、戸建て、集合住宅でみると、戸建ては+0.4%(前月+3.5%) 、集合住宅が+16.8%(前月: ▲3.9%)と、こちらも住宅着工とは対照的に集合住宅の大幅な回復がみられており、住宅着工の 落ち込みは一時的とみられる(図表 6)。 (図表 5) (前月比、%) 80 (図表 6) 住宅着工許可件数(伸び率) (前年同月比、%) 60 70 40 60 20 50 0 40 -20 30 季調済前月比 -40 20 前年同月比(右軸) -60 10 -80 0 -100 -10 -120 -20 -140 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 (資料)センサス局よりニッセイ基礎研究所作成 2014 2015 2016 (月次) 一方、住宅着工件数、許可件数の 3 ヵ月移動 平均の 3 ヵ月前比をみると、住宅着工が▲7.1% (%) 住宅着工許可件数前月比(寄与度) 10 8 6 4 2 0 -2 -4 -6 -8 -10 -12 -14 -16 集合住宅 一戸建て 住宅許可件数 -18 -20 2013/01 2013/07 2014/01 2014/07 2015/01 2015/07 2016/01 2016/07 (資料)センサス局よりニッセイ基礎研究所作成 (月次) (図表 7) (年率) 住宅着工件数と実質住宅投資の伸び率 150 (年率) 30 住宅着工件数 (6 月:+2.8%)となっており、GDPにおけ 125 る 7-9 月期の住宅投資は、前期比年率▲7.7% 100 20 75 15 50 10 となった前期に続いて 2 期連続でマイナスとな る可能性が高くなった(図表 7) 。もっとも、許 住宅建築許可件数 25 住宅投資(実質伸び率、右軸) 25 5 可件数は+12.5%(6 月:▲0.9%)とこちらは 0 0 大幅な伸びとなっており、雇用不安が後退する ▲ 25 中で、低金利である状況に変化がないことから、 ▲ 50 10-12 月期以降の住宅投資は回復が見込まれ ▲5 ▲ 10 2011 2012 2013 2014 2015 2016 (注)住宅着工件数、住宅建築許可件数は3カ月移動平均後の3カ月前比年率 (資料)センサス局、BEAよりニッセイ基礎研究所作成 (着工・建築許可:月次、住宅投資:四半期) る。 (お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報 提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。 2| |経済・金融フラッシュ 2016-10-20|Copyright ©2016 NLI Research Institute All rights reserved
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