資料2-2 財政制度等審議会 財政投融資分科会 編 成 上 の 論 点 株式会社日本政策投資銀行 平 成 28 年 10 月 19 日 財 務 省 理 財 局 (機関名:株式会社日本政策投資銀行(DBJ)) [平成 29 年度要求の概要] 区 分 事業規模 [編成上の論点] 28 年 度 計画額(A) 28 年 度 改定額 29 年 度 要求額(B) 増減(△)額 (=B-A) 22,150 27,150 23,450 1,300 財政投融資① 7,000 12,000 9,150 2,150 財政融資 3,000 8,000 5,000 2,000 産業投資 500 500 650 150 政府保証 3,500 3,500 3,500 - 自己資金等② 15,150 15,150 14,300 △850 財投機関債 4,000 5,000 4,000 - 民間借入 2,600 2,600 2,600 - 22,150 27,150 23,450 1,300 再計(①+②) ― 1 ― 論点1 29 年度における事業規模が前年度を上回る中、財政融資の要 求が前年度を 2,000 億円上回っているが、自己調達(6,600 億 円、前年度同額)の引上げにより努力すべきではないか。 論点2 ・法定業務としてリスクマネーを供給する特定投資業務につい て、適切なリスク管理態勢が構築・実施されているか。 ・特定投資業務の民業補完性や収益性について、これまでの実 績を如何に評価しているか。また、今後の事業見通しは、実需 を適切に見込んだものとなっているか。 編 成 上 の 論 点 (機関名:株式会社日本政策投資銀行(DBJ)) 要求の内容 <29 年度要求の概要> 1.「日本再興戦略 2016」(平成 28 年 6 月 2 日閣議決定) で求められている成長資金供給に対する呼び水効果の 発揮や、「DBJ 国土安全安心プログラム」(平成 28 年 7 月 27 日公表)の取組み等を踏まえ、事業規模 23,450 億 円(対前年度+1,300 億円)を計上。 論 点 論点1 29 年度における事業規模が前年度を上回る中、財政融資の要求が前年度を 2,000 億円上回っているが、自己調達(6,600 億円、前年度同額)の引上げによ り努力すべきではないか。 【論点に対する考え方】 ○ 29 年度の要求は、「日本再興戦略 2016」や「DBJ 国土安全安心プログラム」 2.事業規模の増や回収金の見込み減により、財政投融資 を踏まえた資金需要の増加により、事業規模 23,450 億円を計上。事業規模の は、9,150 億円(対前年度+2,150 億円)を要求。うち 拡大及び自己資金の減少(回収金見込みの減等)により、通常業務(27 年の 特定投資業務の財源として充てる産投出資については、 DBJ 法改正で法定された危機対応業務及び特定投資業務を除く業務)の財源と 650 億円(対前年度+150 億円)を要求。 して、財政融資 5,000 億円(対前年度+2,000 億円)及び政府保証 3,500 億円 (前年度同額)を要求。 ※ 29 年度の財政融資の増要求は、回収金見込みの減など DBJ 自己資金の逼迫を理 由の一部としている。この回収金見込みの減が生じた背景には、20~21 年度にリー マンショック対応として緊要の融資を多く行った結果、他の年度に比べて 29 年度 の回収金の額が著しく落ち込む見込み。 ― 2 ― (参考 1)DBJ の事業規模の推移 (単位:億円) 区 分 計 画 実 績 20年度 14,700 24,050 21年度 35,000 37,931 22年度 25,000 21,166 23年度 18,315 29,271 24年度 20,000 26,174 25年度 22,500 29,434 26年度 21,000 25,422 27年度 22,300 30,277 28年度 29要求 22,150 23,450 N/A 注1:21年度、23年度、24年度の計画は、補正後計画。 注2:28年度の計画額は当初計画(補正後:27,150億円)。 注3:実績には危機対応業務等を含む。 (参考 2)DBJ の財政投融資の推移[当初計画] (単位:億円) 区 分 20年度 財政融資(A) 3,380 産業投資 政府保証(B) 3,600 財政投融資 6,980 (A)+(B) 6,980 21年度 3,200 3,300 6,500 22年度 3,000 3,500 6,500 23年度 3,000 3,500 6,500 24年度 5,000 3,500 8,500 25年度 3,000 3,500 6,500 26年度 3,000 3,500 6,500 27年度 3,000 650 3,500 7,150 28年度 3,000 500 3,500 7,000 29要求 5,000 650 3,500 9,150 6,500 6,500 6,500 8,500 6,500 6,500 6,500 6,500 8,500 ○ 平成 20 年の株式会社化以降、完全民営化の方向性が維持される中、DBJ に 対する財政融資・政府保証は「激変緩和措置」と位置づけられてきた。 29 年度要求においては、事業規模が 28 年度当初計画を上回り、回収金見込 みの減など自己資金の減も増要求の理由とされているが、その財源構成とし て、DBJ の政府調達と自己調達とのあり方をどのように考えるか。 ○ 特に、これまでの財投分科会での議論においても、DBJ の自己調達について は、委員より、完全民営化に向けて自己調達を増やすという方向があってしか るべき、との意見が呈されているところ、近年、 (28 年度 2 次補正後の足下の 状況を除いて)6,600 億円で横ばいに推移。事業規模を増加させている 29 年 度においても自己調達を対前年度同額としている点は、果たして妥当か。 ― 3 ― (参考 3)DBJ の自己調達の推移 (単位:億円) 区 分 20年度 5,200 21年度 5,600 22年度 5,600 23年度 6,100 24年度 6,600 25年度 6,600 26年度 6,600 27年度 6,600 28年度 6,600 29要求 6,600 うち財投機関債 3,200 2,400 3,000 3,500 4,000 4,000 4,000 4,000 4,000 4,000 民間借入 2,000 3,200 2,600 2,600 2,600 2,600 2,600 2,600 2,600 2,600 4,883 3,207 2,414 4,640 6,304 6,121 5,965 6,073 N/A 3,255 1,628 1,584 1,623 800 1,614 2,531 2,109 3,856 2,448 3,701 2,420 3,548 2,417 3,511 2,562 N/A 計画 実績 うち財投機関債 民間借入 ※ なお、完全民営化の方向性を踏まえた財政投融資の在り方を堅持しつつも、経 済対策等の観点から緊要の場合には、政府として、都度、DBJ の取組に対して機動 的な資金支援を行っており、先般の 28 年度 2 次補正では、 「DBJ 国土安全安心プロ グラム」を通じた鉄道立体交差化等の推進など DBJ の取組の積極化に対して財政 融資 5,000 億円を追加している。 ― 4 ― 論点2 法定業務としてリスクマネーを供給する特定投資業務について、適切なリス ク管理態勢が構築・実施されているか。 特定投資業務の民業補完性や収益性について、これまでの実績を如何に評価 しているか。また、今後の事業見通しは、実需を適切に見込んだものとなって いるか。 【論点に対する考え方】 ○ 27 年 5 月の DBJ 法改正において特定投資業務が法定され(附則第 2 条の 12)、 その財源として DBJ に対する政府出資が可能とされた(附則第 2 条の 14)。 ○ 29 年度要求においては、当該業務について、事業規模 1,300 億円(対前年 度+300 億円)が計上されており、これに対応する産業投資出資金 650 億円(対 前年度+150 億円)が要求されているところ。 〇 審査に当たっては、 (1)特定投資業務によるリスクマネー供給に際して、信用リスク、投資リスク 等のリスク管理態勢が DBJ の業務において適切に構築・実施されているか、 (2)特定投資業務の民業補完性(附則第 2 条の 15)や長期収益性(特定投資 指針三(2))について、これまでの実績を如何に評価しているか、今後の事 業見通しは実需を適切に見込んだものとなっているか、 を精査していく必要。 (参考 1)株式会社日本政策投資銀行法(平成十九年六月十三日法律第八十五号) (抄) (特定投資業務) 第二条の十二 会社は、その目的を達成するため、 (略)特定投資業務を行うものと する。 2 (略) 「特定投資業務」とは、特定事業活動に対する投資業務のうち、地域経済 ― 5 ― の自立的発展に資する地域の特性を生かした事業活動の活性化又は我が国の経済 社会の活力の向上及び持続的発展に資する我が国の企業の競争力の強化並びに特 定事業活動に対する金融機関その他の者による資金供給の促進に特に寄与すると 認められるもの(略)をいう。 3~4 (略) (特定投資業務に係る政府の出資等) 第二条の十四 政府は、平成三十三年三月三十一日までの間、会社による特定投資 業務の適確な実施のために必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内 において、会社に出資することができる。 2 会社は、前項の規定による出資により払い込まれた金銭を特定投資業務のため の資金以外の資金に充ててはならない。 (特定投資業務における一般の金融機関が行う金融等の補完又は奨励) 第二条の十五 会社は、特定投資業務を行うに当たっては、一般の金融機関が行う 金融及び民間の投資を補完し、又は奨励することを旨とするものとする。 (参考 2)特定投資指針(財務省告示第二百十八号)(抄) 三 特定投資業務に関する財務の適正な管理 (2)特定投資業務における長期収益性の確保 各事業年度において進捗状況を評価しつつ、特定投資業務に係る長期収益性を確 保すること。 (参考 3)「日本再興戦略」2016(平成 28 年 6 月 2 日閣議決定) 2-2.活力ある金融・資本市場の実現 (1)新たに講ずべき具体的施策 ⅰ)成長資金の供給に資するポートフォリオ・リバランスの促進と市場環境の整備等 ⑦官民ファンド等による成長資金の供給 官民ファンド、政府系金融機関に求められる、補完性の原則、外部性の原則に 留意しつつも、依然として成長資金供給に対する呼び水的効果の発揮が強く求 められている現状に鑑み、更なる機能発揮に向けた取組みを検討する。 ― 6 ―
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