No.0202 2016 年 10月15日 発行 http://www.nsouzai-kyoukai.or.jp ㈱トクバイ(東京都) 「買い物をより楽しく・便利に! 地域を極めた販促支援を推進」 スマートフォンを活用し特売情報を発信 ◆中食NEW WAVE 今年7月にクックパッドから分社化した、買い物情報専門サイトを運営するトクバイは、 オンライン上のチラシ・特売情報と、オフラインのリアル店舗を融合し、生活者の日々の買 い物をより便利にする取組みを行っている。ユーザーは、肉・魚・野菜の生鮮品や惣菜の情 報を、移動中や仕事の合間などの空き時間でスマートフォンアプリから閲覧が可能。 「 楽し い買い物を、増やす」をモットーに、地域に根差した新たな販促支援として事業を拡大して いる。 社会変化に対応 かっている」 と、沖本裕一郎社長は分析する。 「近年の社会変化はますます加速し、特に買い クパッドの新規事業「クックパッド特売情報」とし 物にかける時間と方法は、大きな転換期に差し掛 てスタートした。現在では登録ユーザー数は60 同社の取組みは2013年(平成25年)、クッ 0万人となり、20∼40代の女性が多く利用する。 掲 載 店 舗 数 は 全 国 2 万 4 0 0 0 店 舗 を 超 え、 スーパーマーケット (SM)掲載数は国内No・1 だ。当初はSMのみのニーズが強いと思われてい たが、ユーザーから生活に必要な小売店情報の 要望が高まり、現在は個人商店、 ドラッグストア、 沖本 裕一郎 代表取締役 ホームセンター、クリーニング店の情報も発信す 惣菜ホットニュース る。 共働き世帯の増加による仕事子育ての両立は、 日々の食卓を支える働く主婦にとって、買い物の 仕方の変革を迫っている。加えて、近年の新聞購 1 惣菜をはじめ、商品の 特売情報をタイムリーに掲載 GPS機能により、 登録地域の店舗情報が届く 店舗への要望・感想などが ユーザーから書き込まれる 読世帯の減少もあり、従来の折り込みチラシが届 い。 「このお店のここが好き」 という機能では、店側 く範囲も減少しているのが現実だ。家でじっくりと へのメッセージを送ることが可能。従来の「お客さ その日のチラシを眺め、特売の情報を仕入れて目 まカード」など手書きで店に寄せられる要望は得 的を持ってから買い物に行く という専業主婦スタ てしてネガティブな内容が多かったが、 「 惣菜がお イルそのものが少なくなってきた。そこで、沖本社 いしい」 「対 応してくれた店 員さんがとても親 切 長らは生活者が日々の移動中に効果的な情報を だった」というポジティブな内容がユーザーから 届け、簡単な方法で買い物をサポートする仕組み は多く寄せられている。同時に、従業員もそれを 作りに乗り出した。 見ることで自分たちの日々の業務への自信を持つ ことができ、 「お客さまと働く側との双方向のコミュ 商品情報を超えた情報提供 ニケーションが可能になり、両者からのストアロイ ヤルティーがアップする効果もある」と沖本社長 スマートフォンアプリ 「トクバイ」では、ユーザー は語る。 が無料アプリをダウンロードし、郵便番号やGPS 小売店を地域のハブに 機 能などから近 隣の店 舗を登 録。生 鮮 品 や 惣 菜 の商 品 情 報を得られ 、周 辺の小 売 店との価 格 比 較が可能だ。 クックパッドのレシピと連動した商品 通常、アプリなどのITサービスが登場すると、 の使い方も提案しており、 「モノ」を売るだけでは 現場の現状から離れてアプリ優先の方針が取ら なく、シーンや使い方などの「コト」をダイレクトに れがちになり、結果的に企業の能率を下げること 紹介する内容になっている。 につながってしまうケースが多い。 しかし、沖本社 通常のチラシアプリは折込チラシの画像をその 長は「アプリがどんなに進化しても、最終的にお客 まま掲載するものが多いが、同アプリではテキス さまに接し、買 い 物 体 験を提 供 するのは 店 舗ス ト掲載にこだわりがある。そうすることで、売場か タッフ」であることを強調する。例えば、 どんなに惣 らタイムリーな情報を打ち込むことができ、ユー 菜の特売情報を掲載しても、実際に原材料やアレ ザー側もリアルタイムで特売情報を把握すること ルゲン、何がポイントなのかをお客さまに伝え、コ ができる。 ミュニケーションをとる役目は、売場の従業員に 同アプリは、節約の目的に特化したものではな ある。 惣菜ホットニュース 2 店舗側の情報登録画面 そこで沖本社長が掲げるのが、 「小売店を地域 ウンドサービスなども期待できる。 のハブにする」 ということだ。 インターネットを中心としたデジタル・IT環 「毎日、全国の数千万人が店に訪れ 、買い物を 境は、近年ますます広がりを見せている。日経コン している。そうした日常の中で、ささやかでも 小躍 ピュータの調べによると、15年に世界でインター りしたくなるような 楽しさ・発見・喜びを提供した ネット環境に接続する機器の数は49億個だが、あ い」 と5年後の20年には250億個に増えると予想 同社では、小売店が地域の情報拠点になるべ されている。日本でも、14年現在インターネット利 く、実際に従業員が小売店で働く経験をつむ。そう 用者は1億人を超え、人口普及率は82・8%に上 することで、小売店がどのようなサービスを求め、 る(総務省「通信利用動向調査」より)。自宅のパソ どのようなサービスを同社が提供できるかを確実 コンとスマートフォンの比率は現在若干パソコン に知ることができるからだ。惣菜を含めた地域の の方が上回るものの、20歳代のスマートフォン普 食卓を知ることが、サービスの重要な核となって 及率は約90%に届く勢いだ。 「 食のインフラ」であ いる。 る惣菜売場でも、お客さまのニーズを店で受け取 り、オンラインで発信することが、今後のさらなる 同一スキームから広がる可能性 市場活性化につながる。ネットとリアルを融合し、 より豊かな買い物体験を提供する同社の取り組 現在、地域の情報を発信し、地域の買い物体験 みから、学ぶべき点は多い。 をさらに進化させようと取り組む同社のサービス だが、テキストでの構成とGPS機能は、同一ス キームでのビジネスの発展可能性を秘めている。 ㈱トクバイ GPSで現在位置から近くの店舗を探す機能で は、 「 土地勘の無い場所での情報を得られ、 リアル 代表者:代表取締役 沖本 裕一郎 設 立:2016年7月1日 所在地:東京都渋谷区渋谷3-3-2渋谷MKビル4F ホームページ:https://corp.tokubai.co.jp/ 事業内容:チラシ・特売情報の配信を中心としたイ ンターネット・メディア事業 店舗の買い物支援」 ( 沖本社長)ができる。例えば 旅行などで初めて訪れる場所で、近隣のSMなど 小売店を検索が可能だ。この機能とテキスト化を 組み合わせると、今後は翻訳機能を使ったインバ 惣菜ホットニュース 3
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