平成28年 月 中小企業等経営強化法による中小企業支援施策のポイント 村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人 中小企業等経営強化法が平成28年 http://www.money-c.com/ 月1日に施行 平成28年 月1日に、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律(中小企業等経営強化法)が施行されました。各事業所 管大臣による事業分野別指針の策定や、中小企業・小規模事業者等への固定資産税の軽減、金融支援等の特例措置を規定しています。 中小企業・小規模事業者等は、人材育成、コスト管理のマネジメントの向上や設備投資等、事業者の経営力を向上させるための取組内容などを記載 した事業計画(経営力向上計画)を作成します。計画の認定を受けた事業者は、機械及び装置の固定資産税の軽減や金融支援等(低利融資、債務保証 等)の特例措置を受けることができます。 特に、固定資産税の軽減については、生産性向上設備投資促進税制や中小企業等投資促進税制、ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金との 併用が可能となっています。また、固定資産税の軽減は、赤字企業にとってもメリットがありますので、非常に注目すべき制度となっています。 固定資産税の軽減措置 経営力向上計画の認定を受けた事業者は、平成28年 月1日から平成31年 月31日までに対象資産を購入した場合に、 年度分の当該資産に係る固 定資産税が 分の1に軽減されます。固定資産税の軽減措置を受けるためには、最初に ① 自社が対象となる中小企業者等の範囲に含まれているか 右記の 点を確認する必要があります。 ② 購入資産が対象となっているか ① 対象企業 まず、対象企業については、租税特別措置法上の中小事業者及び中小企業者が対象となります。具体的には、会社及び資本又は出資を有する法人に ついては、資本金又は出資の総額が1億円以下、資本又は出資を有しない者については、従業員数1,000人以下の場合に対象となります。ただし、下 記のいわゆるみなし大企業については、対象外となります。 同一の大規模法人(資本金1億円を超える法人)に発行済株式又は出資の総数又は総額の 分の1以上を所有されている法人 以上の大規模法人(資本金1億円を超える法人)に発行済株式又は出資の総数又は総額の 分の 以上を所有されている法人 ② 対象資産 また、対象資産については、基本的には、生産性向上設備投資促進税制のA類型(先端設備)と類似しているのですが、主に以下の 点で異なって いますので、ご注意ください。 機械及び装置のみが対象 最新モデルでなくても対象 貸付資産も対象 ■ 生産性向上設備投資促進税制A類型との対比 具体的な対象資産の例は、以下の図をご参照ください。 中小企業等経営強化法に基 づく固定資産税の軽減措置 生産性向上設備投資促進税制 (A要件) 軽減措置の内容 固定資産税 法人税額の控除・特別償却 対 象 事 業 者 中小事業者等 青色申告をしている法人・個人 (対象業種や企業規模に制限はない) 対 象 設 備 機械及び装置のみ 機械及び装置/器具及び備品/工具/ 建物附属設備/建物/ソフトウェア 設 備 の 要 件 販売開始から10年以内のもの 生産性1%向上 最低取得価額要件(160万円) 中古資産でないこと 等 販売開始から10年以内のもの 最新モデル 生産性1%向上 最低取得価額要件 中古資産・貸付資産でないこと 等 中小企業庁「経営力向上計画 策定・活用の手引き(申請の手引き)」(平成28年 (http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2016/160701tebiki.pdf) 月10日)P10 ■ 固定資産税の軽減措置の対象 生産性を高める機械装置が対象です。 製造業が取得するいわゆる製造設備は広く対象となるほか、たとえば以下の ような設備が該当すると考えられます。 ※ 固定資産税について課税の判断をするのは、各市町村です。このため、上記の「製造設備」 や以下の例は、参考として一般に対象となると考えられるものを示したもので、軽減措置の対 象となることを保証するものではありません。 卸・小売 外食中食 大型の冷蔵庫、精 穀設備、販売のた めの小分けする加 工設備、ガソリン スタンド設備など 厨房設備、食 品加工設備な ど 宿泊 運送 介護 業務用の厨房設備、 可搬式クレー 業務用のクリーニ ン、可搬式コ ング設備、浴場用 ンベア 設備など 給 食 用 設 備、 介護入浴装置 中小企業庁「固定資産税の軽減措置の対象」(平成28年 月 日) (http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2016/160708koteitaisyou.pdf) ③ 計画の認定 以上 点が確認できたら、申請準備に取り掛かります。固定資産税の軽減を受ける場合、計画申請の際に、 「工業会等による証明書」が必要になり ます。設備メーカーを通じて、対象設備を担当する工業会等による証明書発行を申請し、経営力向上設備等の証明書を取得してください。ただし、証 明書は申請してから発行されるまで数日∼ か月程度かかりますので、できるだけ早めに依頼しておいてください。 なお、機械及び装置の購入後、年末までに認定が受けられない場合、減税の期間が2年となります。通常、申請書の受理から認定までは最大30日 (事業分野が複数の省庁の所管にまたがる場合、最大45日以内)要する可能性がありますので、十分余裕を持って申請するようにしてください。いか に早く証明書を取得しておくかが、今回の申請のカギとなります。 また、経営力向上計画の提出前に機械及び装置を取得することも認められています(ただし、平成28年 月1日以降取得分に限る)が、その場合は、 取得日から60日以内に経営力向上計画が受理される必要があります。 経営力向上計画は実質 枚で、①企業の概要、②現状認識、③経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標、④経営力向上 の内容などを記載します。事業分野(業種)によっては、事業分野を所管する省庁において、「事業分野別指針」を策定している場合がありますので、 その場合は当該指針を踏まえて策定する必要があります。 実際の策定に当たっては、認定経営革新等支援機関に計画策定の支援を受けることができます。また、ローカルベンチマークなどの経営診断ツール により、計画策定ができるようになっています。 各種の金融支援措置 経営力向上計画の認定を受けた場合、右記の金融支援を受けることができま す。 右記金融支援の活用を検討している場合は、経営力向上計画を提出する前に、 関係機関にご相談ください。なお、経営力向上計画の認定が得られたことをも って、公的融資や債務保証を受けられることが保証されているわけではありま せんので、ご注意ください。 むら た ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 商工中金による低利融資 中小企業信用保険法の特例 中小企業投資育成株式会社法の特例 日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット 中小企業基盤整備機構による債務保証 食品流通構造改善促進機構による債務保証 ただし 村田 直(税理士) 著者紹介 大阪府茨木市出身。京都大学経済学部卒業後、会計事務所勤務を経てマネーコンシェルジュ税理士法人へ。平成22年 法人成り支援や相続・事業承継など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。 月税理士登録。
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