資料3-1 沖縄における関税制度上の特例措置 平成28年10月20日 関税・外国為替等審議会 関 税 分 科 会 財 務 省 関 税 局 1.現行制度の概要 沖縄については、その総合的かつ計画的な振興を図ること等を目的とする 沖縄振興特別措置法(以下「沖振法」という。)を受け、関税制度上の特例措 置(①特定免税店制度及び②選択課税制度)を講じている。これらの措置は、 関税暫定措置法(以下「暫定法」という。 )上、平成 29 年3月 31 日に5年間 の適用期限が到来する。 (1) 特定免税店制度 沖縄から沖縄以外の本邦の地域へ出域する旅客が、税関長の承認を受け た小売業者から沖振法に規定する空港内の旅客ターミナル施設等において 購入した物品又は当該小売業者から同法に規定する特定販売施設において 購入し当該旅客ターミナル施設等において引渡しを受ける物品であって、 当該旅客により当該出域の際に携帯して移出されるものについて、その関 税を免除することとしている(沖振法第 26 条、暫定法第 14 条)(参考1)。 (参考1)免税範囲は 20 万円である(暫定法施行令第 40 条) 。これは本邦に入国しよ うとする者がその入国の際に携帯して輸入する物品に対する免税範囲と同様。 (2) 選択課税制度 沖振法の規定により、国際物流拠点産業集積地域(参考2)の区域内にお いて許可を受けた総合保税地域又は保税工場において、外国貨物を原料と して加工又は製造された製品を国内に引き取る際に課される関税について、 原料に対する関税(率)と製品に対する関税(率)とのいずれかを輸入者 が選択できることとしている(沖振法第 47 条、暫定法第 13 条)(参考3)。 (参考2)国際物流拠点産業集積地域とは、開港又は税関空港であって、相当量の貨 物を取り扱うものに隣接等している地域であり、国際物流拠点産業の集積を図る ことが沖縄における産業及び貿易の振興に資するため必要とされる地域として沖 縄県知事が定めるもの(現在、那覇市、浦添市、豊見城市、宜野湾市、糸満市、 うるま・沖縄地区が定められている。)。 (参考3)関税法の原則では、総合保税地域又は保税工場において製造された製品を 輸入する場合、その原料を課税物件とすることとされている(関税法第4条第1 項第2号) 。 2.改正要望の内容 現行の沖振法については、その適用期限が平成 34 年3月 31 日までとされ ている。これを踏まえ、内閣府及び経済産業省は、平成 29 年度関税改正要望 として、上記1.の関税制度上の特例措置を5年間(平成 29 年4月1日から 平成 34 年3月 31 日まで)延長することを要望している。 -1- 3.検討 (1) 特定免税店制度 ① 特定免税店制度は、関税法上、外国扱いされていた占領下の沖縄から の土産品に適用されていた携帯品免税の機能を実質的に引き継いでいる ものであること及び沖縄に歴史的・地理的等の特殊事情(参考4)がある ことを考慮し、他の地域にない極めて特別な制度として、平成 10 年度に 創設されたものである。 (参考4)沖縄の歴史的・地理的等の特殊事情 ・ 先の大戦で国内最大の地上戦を経験し、苛烈な戦禍を被り、その後 26 年余り にわたり我が国の施政権の外にあった。 ・ 我が国における米軍施設・区域の約 75%が沖縄に集中。 ・ 広大な海域に多数の離島が存在し本邦の他の地域から遠隔地にある。 ② 特定免税店制度創設以降、利用実績が伸び、現在においても沖縄の観 光振興及び雇用促進等に関し、一定の効果を果たしている。したがって、 沖縄の特殊事情に大きな変化がない状況においては、同制度を維持する ことが適当であると考えられる。 (2) 選択課税制度 ① 選択課税制度は、国際物流拠点産業集積地域に所在する保税工場等の 利活用を促進し、貿易の振興と加工型産業の集積を図ること等を目的と して、沖縄の特殊事情を踏まえ、平成 10 年度に創設されたものである。 ② 選択課税制度については、国際物流拠点産業集積地域における企業誘 致の観点から一つの魅力となっていること等に鑑み、沖縄の特殊事情に 大きな変化がない状況においては、同制度を維持することが適当である と考えられる。 4.改正の方向性 沖縄の歴史的・地理的等の特殊事情を考慮し、沖縄の振興に寄与するため、 現在講じている関税制度上の特例措置(①特定免税店制度及び②選択課税制度) について、沖振法の適用期限を踏まえ、5年間延長することが適当ではないか。 -2-
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