2016/ グローバル・マクロ・ トピックス 10/20 投資情報部 シニアエコノミスト 折原 豊水 ブラジル中銀が利下げ実施 ブラジル中銀は10/19夜、政策金利を0.25%引き下げ、14.00%とした。財政改革審議の進展や直 前に石油製品や電力料金の値下げが行われたことで市場では利下げ観測が高まっていた。 中銀は先行きについて、追加利下げの程度や利下げのペースについては、今後の物価見通し の達成により強い自信をもてるか次第だとした。ただ、歳出上限法案の可決を控えていることや インフレ圧力の緩和が続くことから、次回11月会合でも利下げが行われるとみている。 ブラジルレアルは利下げを事前に織り込んでいたことから10/20の反応は限定的となろう。今後 は財政改革の進展や景気回復期待が、レアルを下支えしよう。 中銀は 10 月会合で 0.25%の利下げ実施 ブラジル中央銀行(以下、中銀)は10/19夜、政策金利を0.25%引き下げ、14.00% とすることを全会一致で決定した。前回会合までは9回連続で金利を据え置いてい た。利下げは2012年10月以来となる。市場では財政改革審議の進展や国営石油 大手ペトロブラスが10/14に石油製品値下げを発表したこと等を受け、10月会合で の利下げ観測が高まっていた。 (%) ブラジル政策金利とインフレ率、国債利回り (月次:2004/1~2016/10) 20 政策金利 18 消費者物価(IPCA) 2年国債利回り 16 14.00 14 11.53 12 10 8.48 8 6 レンジ 4 2 0 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年) (注)レンジはインフレターゲット(06年以降は+2.5%~+6.5%)、なお17年は+3.0%~+6.0%、 消費者物価は9月まで、国債利回りは2007/3~2016/10/14、政策金利は10/19まで 出所:ブラジル中銀、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 中銀は、9月に発表したインフレレポートの物価見通しを踏襲し、2017年末時点で 消費者物価が前年比+4.9%と、インフレターゲットの目標値(4.5%)に近づくとした(政 策金利や為替に市場予想を用いるマーケットシナリオベース)。そのうえで、小幅か この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 2016/10/20 グローバル・マクロ・トピックス つ緩やかなペースで利下げを行うことは物価が2017年、18年に物価目標(4.5%)を 達成することと整合的であるとした。中銀は先行きについて、追加利下げの程度や 利下げのペースについては、今後の物価見通しの達成により強い自信をもてるか 次第だとした。 財政改革の進展や、 石油製品、電力料金 の 値下げ が 物価見 通しの改善に寄与 中銀が注目していた財政改革審議については歳出上限法案が10/10に下院の 第1回投票で憲法修正に必要な賛成票を大きく上回る結果となった。今後、下院で 第2回投票を10/24ごろに行い、上院でも11月から12月にかけて2回の投票を控えて いるものの、政府と議会が良好な関係を維持していることから、成立の可能性が高 まったことを評価したとみられる。また。10/14にはペトロブラスがこれまでと比べてガ ソリンを3.2%、軽油を2.7%値下げすると発表したほか、10/18には国家電力庁がサン パウロ州等、一部の地域で電力料金の大幅値下げを認めたことも物価見通しの改 善や市場の10月利下げ観測を高めたようだ。 消費者物価は石油製品や電力料金の値下げにより、9月の前年同月比+8.5%から 2016年末には+7%台まで低下するとみられる。17年は、①足元同13%台の伸びが続 いている食料品・飲料価格が前年のベース効果がはく落することで鈍化する、②雇 用環境の悪化や政府の歳出抑制が賃金やサービス価格の伸びを抑制する、等に より、物価の伸び鈍化が続くことが見込まれる。 以上をふまえると、次回11/29~30会合でも0.25%~0.50%の追加利下げが行わ れ、17年も金融緩和が続くとみている。なお、金融市場では2年国債利回りが11%台 半ばまで低下し、利下げを一部織り込んでいるもよう。 インフレ率(IPCA、前年比)の推移 (%) 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 (月次:2013/1~2016/9) 8.5 医療 住宅・家具・衣服 教育・娯楽 運輸・通信 食料品・飲料 13 14 15 16 (年) 消費者物価 (IPCA) 出所:CEICデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 2 2016/10/20 グローバル・マクロ・トピックス レアルは財政改革の 進展や 景気回復期 待で底堅い展開 ブラジルレアルは財政改革審議の進展や景気回復期待により対ドルで底堅く推 移している。利下げは事前に織り込まれていたため、10/20の市場の反応は限定的 となろう。歳出上限法案に加えて、今後審議が予定されている年金改革法案が 2017年にかけて成立すれば、中期的な財政の改善が見込まれる。また、利下げに よる景気下支えが海外投資家による株式投資の増加につながり、レアルの下支え に寄与するとみられる。 なお、ブラジル国債利回りとレアルの相関をみると、ここ1年は政治的混乱の収束 による財政改革の進展期待がソブリンリスクの低下につながり、海外投資家等により 売り込まれた国債の買い戻し(金利低下)とレアルの上昇につながった。今後は利 下げや財政プレミアムの低下による金利低下の余地があるものの、2ケタの国債利 回りや実質金利が新興国のなかでも高いといったことがレアルを下支えしよう。 リスクとしては、第1に、政治スキャンダルの火種がくすぶっていること、第2に米利 上げ観測の再燃による新興国からの資金流出圧力が高まること、第3に、中銀のレ アル買いに相当する為替スワップ残高(10/14時点で約308億ドル)の解消ペースが 速まり、レアルの重しになる、等が挙げられる。 ブラジル・レアルと外国人投資ポジション ドルレアルとレアル円の推移 (週次:2008/1/4~2016/10/17) (日次:2014/1/1~2016/10/17) (1ドル=レアル) ドルレアル(左逆目盛) レアル円(右目盛) 2.0 外国人投資ポジション(右逆目盛) (1レアル=円) 50 2.5 40 レ ア ル 高 30 20 4.0 4.5 14/01 レ ア ル 安 15/01 15/07 16/01 16/07 ↑レアル高 ↑レアル買い(ネット) 08 10 14/07 (10億ドル) 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 3.0 3.5 ブラジル・レアル(左逆目盛) (1ドル=レアル) 09 10 11 12 13 14 15 16 (注)外国人投資ポジションは為替先物と米ドルの金利先物の合計で10/14まで 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 (年/月) 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 ▲ 30 ▲ 20 ▲ 10 0 10 20 30 40 50 (年) この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 3 2016/10/20 金融商品取引法に係る重要事項 グローバル・マクロ・トピックス ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化 等により、投資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料を ご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込 み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含 む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込 むことがあり、損失を被ることがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与 えることがあります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が 当該証券の高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売 却してお客さまの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市 場があっても当該証券の流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生し ても本邦投資家が取り扱いできないことがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商 品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および 諸費用の額は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。 詳細は当社の担当者までお問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金 に対して最大 1.08%+2,700 円(税込み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、 約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別 途手数料および諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託 手数料をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券 取引口座管理料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決 定した為替レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書または お客さま向け資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-161020-15 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 4
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