MRI Daily Economic Points

中国:GDP(2016年7-9月期)と9月の経済指標 MRI Daily Economic Points
October 19, 2016
―政府による投資下支え策が波及―
投資
評価ポイント
生産
30 (年初来、前年比、%)
30
(前年比、%)
(前年比、%)
自動車(左軸)
石炭(左軸)
鉄鋼(左軸)
生産(右軸)
25
25
20
20
6
10
固定資産投資
インフラ投資
5
-5
2015
0
1
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9
2014
2
0
民間企業投資

中国の16年7-9月期の実質GDPは、前年同期比+6.7%となった。1-3月
期、4―6月期の同+6.7%から横ばいを続けている。季節調整済み前期
比は+1.8%と前期(同+1.9%)と前期並みの安定した伸びが続いている。

2016年1-9月累計の固定資産投資は、前年同期比+8.2%と1-8月(同
+8.1%)から伸びを高めた。民間投資も、1-8月で同+8.6%と2ヶ月連続
で伸び率が上昇しており、政府による投資下支え策の効果が民間投資
にまで波及している。

9月の小売売上高は、前年同月比+10.7%と前月(同+10.6%)からやや
伸びを高めた。政府による小型車減税を背景に、自動車の販売拡大が
続いており、全体の消費を下支えしている。

一方、9月の鉱工業生産は、前年同月比+6.1%となり、前月(同+6.3%)
からやや低下した。自動車生産が増加を続けているものの、構造改革の
進展から鉄鋼や石炭生産の伸びが低下しており、生産は横ばい圏内で
推移している。

9月の生産者物価指数は、前年同月比+0.1%と、4年7ヶ月ぶりにプラス
に転じた。過剰生産能力の調整が進展していることで、石炭や鉄鋼の価
格が急速に回復し、生産者物価全体を押し上げている。

9月のドル建て輸出は前年同月比▲10.0%と減少しており、世界の需要
が弱い中、輸出は弱い動きを続けている。
4
5
10
今回の結果
8
15
15
10
4
7
10
1
2014
2016
4
7
2015
10
1
4
7 9
2016
資料:Bloombergより三菱総合研究所作成
物価
10
5
輸出入
(前年比%)
60
生産者物価指数
生産者物価指数(鉄鋼)
生産者物価指数(石炭)
(前年比、%)
名目輸出
名目輸入
50
40
0
-5
30
基調判断と今後の流れ
20

中国経済は、過剰供給能力の調整などを背景に、減速傾向をたどってい
たが、政府による景気刺激策や、消費の高い伸びが成長を下支えしてお
り、足元では安定した伸びが続いている。

中央政府は企業の税負担軽減策のほか、地方政府に対して社会保険料
引下げを要請するなど、企業活動への支援を強めている。今後も、拡大
を続けるインフラ投資に加えて、企業に対する負担軽減策の影響波及か
ら、民間投資の減速ペースは緩やかなものにとどまるだろう。

16年の+6.5%成長の目標達成が確実視される中、今後は17年の成長率
目標に注目が移る。政府が改革の先送りを続ければ、中長期的に経済
の急減速は避けられず、来年3月の全人代において、17年の経済成長率
の減速をどこまで容認するかが注目される。
-10
10
-15
0
-20
-10
-25
-20
-30
-30
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9
2014
2015
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9
2016
資料:Bloomberg、CEICより三菱総合研究所作成
Copyright (c) Mitsubishi Research Institute, Inc.
2014
2015
2016
担当: 政策・経済研究センター 坂本貴志、劉瀟瀟
TEL 03-6705-6087