みっかびより Aria,Rain ︻注意事項︼ このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にP DF化したものです。 小説の作者、 ﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作 品を引用の範囲を超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁 じます。 ︻あらすじ︼ のんのんびよりの田舎を舞台に、四人と一匹が三日間を過ごす。 恐らくないだろう斬新クロスオーバー 登場作品 きんいろモザイク キノの旅 奇跡の出会いが││そこにはあった。 ARIA オーバーロード のんのんびより ! 目 次 みっかびより │││││││││││││││││││││ 1 みっかびより │ 始まり │ 部屋に置かれていた目覚まし時計がなる前に少女は目覚める。眠 たそうな目をこしこしと擦り、少しの間目の前にある襖をじーっと見 つめる。目が覚めてきた少女は立ち上がり、隣で寝ていた姉を揺さ ﹂ ぶって起こす。う∼ん⋮⋮と声を漏らす姉に対し少女は両手を天井 起きるのん に掲げ元気よく言った。 ﹁ねぇねぇ朝なのん けた。 ﹁オー、コレが田舎デスか ﹂ ﹁何か面白そうなことが起きそうなのん ﹂と言って一人散歩に出か たれんげ。しかし、突如頭に生えてたアホ毛がピンと立つとれんげは な事に旅行で三日間はいない。この三日間をどう過ごすか悩んでい に朝ごはんを済ませる。れんげの友達である夏海、小鞠、蛍達は残念 過ごす。遅れて起きてきた姉の一穂と、家に住み始めたももんがと共 会った骨の男ももんがと共にほのぼのとのんびり過ぎていく日常を かと言われるほどで、彼女を中心に何かが起きることが多い。最近出 日々のんびりと過ごしていた。れんげの独特な考え方はやはり天才 近気づき始めたれんげは、彼女を含め五人しか生徒のいない学校で いの小学一年生。自分の住んでいるところが実は田舎なのではと最 宮内れんげ。この家に住む三姉妹の三女である少女は元気いっぱ ! ! 元々はイギリスに居たが親友であるアリス・カータレットが日本の学 九条カレン。日本人の父と英国人の母を持つハーフの高校一年生。 た金髪ロングの少女が目をキラキラと輝かせながら言った。 田んぼや道を歩く牛を見ながらユニオンジャックのパーカーを着 ! 1 ! 校に留学したためそれを追うように彼女も日本にやってきた。日本 語は話せるが訛りが強く残っているが、それも彼女の可愛らしい部分 でもある。性格は元気娘であり、逆に言えば細かいことや物事に対し てはっきりと主張する事も。独特の雰囲気と可愛らしさからよく餌 付けされる。漫画の影響で田舎に行きたいと思ったカレンは親に頼 み、夏休みを利用してこの田舎にやってきた。想像していた通りの光 景がそこにはあり、この数日間を楽しもうと思うカレンに両親が彼女 を呼ぶ。笑顔で振り向き親の元に行くカレンの横を、一台のモトラド が通り過ぎていった。 ⋮⋮そうだねエルメス。珍しい女の子だった﹂ ﹁││今の、綺麗な女の子だったね、キノ﹂ ﹁ん モトラド︵注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す︶の運転手キ ノが呟く。 運転手は若い人間で、十代中頃。短い黒い髪の上にゴーグルと耳あ てのついた帽子をかぶっていた。白いシャツを着ており、その上に黒 いベストを羽織っている。右腿にはハンド・パースエイダーと呼ばれ る銃器のホルスターがあり、腰の後ろにももう一丁自動式の銃を提げ ていた。キノは旅人であり、モトラドのエルメスは大事な相棒であ る。キノ達はいろんなところを旅しては、様々な国の風景とそこで生 きる人間達の生き方を見てきた。この日もキノは次の国を目指すべ く相棒のエルメスを走らせていた。しかし││最初でこそいつもと 変わらない走りをしていたエルメスが急にスピードを落としてゆく。 キノは驚き、エルメスが呟いた。 ﹁ありゃりゃ、ちょっと故障したみたい﹂ ﹁困ったな⋮⋮どこかで修理できないだろうか﹂ キノはエンジンを止め、エルメスを押しながら修理できる場所がな いか探しに行った。キノは、丁度前方に一人の少女が居たのでそれっ ぽい建物を尋ねることにした。 2 ? ﹁ぷいにゅ∼﹂ 白い毛と可愛らしい帽子をかぶった生き物が道を歩く。可愛らし いその生き物は、実は今の自分の状況にとても困っていた。 アリア・ポコテン。水の惑星アクアに作られた都市、ネオ・ヴェネ ツィアにある水先案内人、通称ウンディーネと呼ばれる者達がいる場 所で、その生き物は水先案内人の会社の一つARIAカンパニーの社 長をしていた。アリア社長は火星猫であり、昔から水先案内人業界で は 青 い 目 を 持 つ 猫 を 社 長 に す る 事 が 決 ま っ て い る。鳴 き 声 は ぷ い にゅ。歩くとぽぷよんなど可愛らしい足音がする。食いしん坊であ りふくよかな体つきのアリア社長は体重10kg。お腹を触られる ことが多く、その感触はもちもちぽんぽんと呼ばれている。猫の集会 に向かう途中匂いに釣られて歩いた結果、この田舎に辿りついた。戻 ろうにも道がわからないアリア社長は、下を見ながらトボトボと歩 く。そして何かにぶつかり顔を上げると、そこには骸骨の顔をしたも もんがが立っていた。 ﹁困ったなぁ⋮⋮どこ行ったんだ、れんげちゃん﹂ 黒いローブを着て外を歩いていたももんがは一人呟く。 鈴木悟。ユグドラシルと呼ばれるゲームでももんがという名前で やっていた彼はゲームのサービス終了時刻と同時に田舎へと飛ばれ る。最初はユグドラシルのマップか何かと警戒していたが、気付けば のんのんの仲間入り。ほのぼのとした空間で過ごした結果、骨の姿を した良いお兄さんとなっていた。基本的に困っている者は見捨てら れず、声をかけては問題事に関わることも多い。狸の具と越谷卓とは 心の絆で繋がっている。呼び名はももちん。お世話になっている宮 内家の娘宮内れんげが散歩に出かけたのでやることもないももんが 3 も外に出ることにした。あてもなくブラブラと歩いていたももんが に何かがぶつかり、足元を見てみると白い猫、アリア社長が自分を見 上げていた。見たこともない猫に興味を持ち、よしよしと声をかけて 手を伸ばしたがアリア社長は餌にされると思われ逃走する。独特な ﹂ 鳴き声を出しながら逃げていくアリア社長を見て、ももんがは密かに 悲しみながられんげを探しに行くのであった。 │ 出会い 前編 │ ﹁こんにちは、お嬢さん。ちょっといいかな エルメスを押しながら少女に近づいた旅人、キノが声をかける。キ ノの目の前にいるのは紫色の髪を持ちアホ毛がうにょんと生えてる 少女、宮内れんげだった。れんげは右手に木の棒を持ちヤブ医者の歌 を歌っていたところキノに声をかけられたのである。じーっとキノ を見つめるれんげに、キノは愛想のいい表情で訪ねた。 ﹁ボ ク は キ ノ。こ っ ち は 相 棒 の エ ル メ ス。旅 を し て い た ん だ け ど、 このエルメスがちょっと故障したみたいで。修理できる建物がない か探しているんだけど、知ってたら教えて欲しいな﹂ キノは少女が聞き取れるように、ゆっくりと話した。尋ねられたれ ﹂ んげは、何も言わずじーっとキノとエルメスを見つめる。反応がない 事に困ったキノに対し、エルメスガ喋った。 ﹁ねぇキノ、この子実は耳が聞こえないとかする ないよ、エルメス﹂ ﹁うーん⋮⋮どうなんだろ。もしかしたら、言葉が違うのかもしれ ? 4 ? キノはエルメスに対してそう返す。そこでようやく、れんげが喋り ﹂ ? だした。 ﹂ ﹁誰と喋ってるのん ﹁え ? さっきまで無言だったれんげにキノは少し驚き、エルメスをコツン と叩いて言った。 ﹁ボクが話してたのはこのエルメスだけど⋮⋮﹂ ﹂ キノは不思議そうれんげを見る。れんげも、不思議そうに言った。 ﹁⋮⋮その乗り物、喋るのん ﹂ ﹁本当に喋るのん すごいのん る。 ﹂ お嬢さん、と言おうとしたキノに対しれんげはハッ ﹁ふふ。それで、えっと⋮⋮﹂ ﹁ちょ、キノさん冗談はやめてください﹂ ﹁一理ある。けど、いざとなれば他のモノに乗るさ﹂ たらキノが困っちゃうからね﹂ ! と気づき喋 でもダメだよ、僕がいなくなっ 欲しいのん キラキラと輝かせながらエルメスをペタペタと触って言う。 キノと喋っていたもう一つの声を聞き、れんげは驚く。そして目を ﹁のん ﹁失敬な。モトラドだって喋れるよ﹂ ? ﹁ふっふっふー。すごいでしょー ! キノちん﹂ ﹁れんげちゃんね。宜しく⋮⋮キノちん ﹁キノちんだからキノちんなのん﹂ ﹂ ﹁う、うーん ﹂ ! い ﹂ ﹂ ﹁ダガシヤ⋮⋮ ﹂ ! えっと、その場所がどこにあるか教えてくれるか るから修理もできるのん ﹁修理できそうな人なら知ってるのん。駄菓子屋なら何でもやって てないかな ﹁ふぅ⋮⋮それでれんげちゃん、このエルメスを修理出来る建物っ ねる。 大爆笑しているエルメスのタンクをボコンと叩き、れんげに再び尋 ! ? かーわいー ﹂ ﹁忘れてたのん⋮⋮うち宮内れんげと言いますん。よろしくなのん ! ? ! キノちんだって ﹁あっはっは ? ? ? 5 !? ! ? ﹁問題ないのん いくのんな﹂ いか﹂ ﹂ ﹁き、キノ ﹂ ﹁⋮⋮あっはっは 前が⋮⋮﹂ ﹁ちょ、ちょっと うちも丁度行こうとしてたところなのん。一緒に 。その代わり⋮⋮ぶおんぶおんの上に乗ってもい 僕にはエルメスって名 ! エ ル メ ス よかったねエルメス、良い名前を貰ったじゃな ぶおんぶおんって何さ エルメスに指をさしながら目を輝かせるれんげ。エルメスが言う。 いですか ﹁任されたのん ﹁そうだったんだ。それじゃ、お願いしようかな﹂ ! ! ! ! そうと決まれば駄菓子屋にごーなのん こうか。故障してるから、ボクが押して行くよ﹂ ﹁やったのん ﹁キ∼ノ∼⋮⋮﹂ ﹂ ﹁ごめんごめん、でも、乗せてもいいよね ﹂ ﹁わかってるよエルメス。それじゃ、行こうか﹂ ﹁いくのーん 向かっていくのだった。 ! ンの目に、一匹の猫の姿が映る。白い毛並みを持つ猫、アリア社長は くつかの家と、長い道のりが待っていた。どっちに行こうか悩むカレ きますのちゅーをして外に出る。右を見ても左を見ても、田んぼとい 予約していた宿に着いたカレンは部屋に荷物を置き、両親に行って ﹁それじゃ、行ってくるデース ﹂ キノ、エルメス、そしてエルメスに跨ったれんげは、駄菓子屋へと ﹁しゅっぱーつ﹂ ! 責任取るのはキノなん ﹁そりゃいいけど、怪我させないようにね ? だから﹂ ? ﹂ ﹁いいよれんげちゃん。その場所までこのぶおんぶおんに乗って行 !? ﹁ふふ。それじゃ、ぶおんぶおん、よろしくね﹂ ! ! 6 !? 怯えた様子でカレンの左側の道を走っていった。何に怯えているの か気になったカレンはその猫を追うことに決め、左側の道を走ってゆ と叫びながら追いかけてゆく。突然見知らぬ少女に叫 く。ぽぷよんと音を立てながら走ってゆくアリア社長を、カレンは待 つのデース びながら追いかけられている事に気付いたアリア社長は必死に速度 を上げて走るが、道端に落ちていた石につまづきバランスを崩してし まい、そのままコロコロと近くの川まで転がってしまう。カレンは驚 き、必死に止めようとするが距離とスピードが足りず届かない事を知 る。しかし、それでも諦めることもなくカレンは必死に走り、川の手 前でアリア社長にダイブして抱きしめて捕まえる。喜びと同時に地 面から足が離れた為止める術もなくカレンとアリア社長は川の中に ダイブする││かと思われたが、川の水に顔が当たる寸前で何かに掴 まれ止まる。カレンはホッと安心し、アリア社長がカレンの背後を見 てブルブルと震えている事に気付いた。そういえば、誰が自分を掴ん お嬢ちゃん﹂ でいるのだろうかと思ったカレンは振り向く。そこには、骸骨の顔を したももんがが立っていた。 ﹁ふぅ⋮⋮危なかった。大丈夫かい ﹁ぷいにゅ ﹂ ﹂ ! パパ わ、ワタシ達は食べても美味しくないデスよ ﹂ ﹂ ワタシ美味しいラーメン屋さん知ってマス ぷいぷい、ぷいにゅ ﹁そ、そうデス ぷいにゅぷいにゅ ﹂ ! ﹁だ、ダメデース に見えた。カレンとアリア社長はブルブルと震えながら必死に叫ぶ。 何かであり、カレンには自分たちを骨の仲間にしようとする骨の幽霊 浮かべていた。しかし、アリア社長にとっては餌を求めてやってきた 骸骨の為表情は変わらないが、ももんがの中ではしっかりと笑顔を ? とママに頼んで連れて行ってもらいマスよ ﹁ぷぷい ﹂ ﹁だから、食べないでほしいデス ﹁ぷいにゅーー !! ! ﹁え、ちょ、お、落ち着くのだ。私は別に食べようなんて⋮⋮﹂ !! ! ! ! ! ! 7 ! ! 急に叫び始めた二人にももんがは驚き、焦ってしまった結果誤って シノーーー アリーーーーーース ﹂ 自分の目を光らせる。紅く光るその瞳は見るものを恐怖させた。 ﹁ヒィィィィィ ﹂ !! ていた。 ﹁えー、この度は⋮⋮なんデシたっけ ? モチモチしマース ﹂ レンには懐いたようで、三人で謝罪した後はカレンの膝の上でカレン アリア社長はまだ警戒しているが、とりあえず怯える様子はない。カ よ く よ く 考 え れ ば 骨 が 喋 っ て る の は 珍 し い と 気 づ き す ぐ に 懐 い た。 誤解がももんがの誤解は解けた。カレンはももんがの話を聞いて後、 こにはあった。あの後叫ぶ一人と一匹を必死に説得した結果、何とか 女の子と猫と骨が一斉に頭を下げるという何とも奇妙な光景がそ ﹁えーと、私の方こそ、怖がらせてしまって申し訳ない﹂ ﹁ぷいにゃ。ぷぷい、ぷいにゅぷい﹂ えと、ゴメンナサイ﹂ 長は並んで正座していた。反対側にはももんがが同じように正座し 数十分後、川の手前の草が生えている地面の上でカレンとアリア社 ﹁待ってぇ⋮⋮話聞いてぇ⋮⋮﹂ ﹁ぷいにゃあああああああああ !! ﹂ ! にお腹を触られていた。 ﹁すごいデース ﹁ぷいにゅ∼﹂ ﹂ ﹁ほう。私も触っていいか ﹁ぷ⋮⋮ぷいにゅ ? なんだこれは 柔らかすぎる ﹂ ももんがもゆっくりと手を近づけ、優しく触った。 ﹁ぬぉ !? ! ワタシも乗りマース ﹂ クに心地よさを感じ、気付けばカレンの膝からももんがの膝へと乗り ズルいデース 換えていた。 ﹁あー ! ア リ ア 社 長 に 嫉 妬 し た カ レ ン が 同 じ よ う に も も ん が の 膝 に 座 る。 ! 8 !! !! ! ももんがの触っていい発言に驚いたが、恐る恐るお腹をつき出す。 ! サワサワと触るももんが。アリア社長はももんがの触りテクニッ !? ! それに対し、ももんがはふと呟く。 レンゲって誰デース ﹂ ﹁はは。まるでれんげちゃんみたいだな﹂ ﹁ン おっちゃんの膝意外と座り心地いいデスからネー ! だが、よく私の膝に座ってくるんだ﹂ ﹁オー ﹂ ﹁今私がお世話になっている家の娘さんだよ。小学生の女の子なん ? も呼ぶ﹂ ﹂ ぷぷい、ぷいにゅ∼♪﹂ ﹁ももちんデスか 申しマース ﹁ぷいにゅー ﹂ ももちん言葉わかるのデスかー !? ? ﹁えっと、アリア社長でいいのかな ﹁オォー ﹂ 変わった名前デスネー。ワタシは九条カレンと ﹁おっちゃん⋮⋮忘れてた、私はももんがと言うんだ。ももちんと ! ﹂ ? ﹂ ﹁ハイハーイ ワタシも一緒に探すデース 友達を見捨てるわけにはいかないデス ﹂ ! ﹂ ﹂ それに、 ! ? ! すぐに見つかるかもわからないぞ ﹁む、いいのか ? いざとなったらパパの力を借りマース ﹁大丈夫デース ! ! 考え事をするももんがにカレンが元気よく手を上げて言った。 やって探すか⋮⋮﹂ ﹁うむ。困っている者を見捨てるわけにはいかないさ。さて、どう ﹁ぷいにゅ ももんがはアリア社長にそう言った。 ﹁⋮⋮よし、私が帰る手段を一緒に見つけよう﹂ ﹁ぷいにゅ∼﹂ リア社長のお腹を撫でる。 アリア社長の頭を優しく撫でるももんが。カレンも同じようにア ﹁迷子になったらしい。気づいたら、ここにいたそうだ。可哀想に﹂ ﹁何て言ってるデース ﹁何と。そうだったのか⋮⋮﹂ ﹁ぷいにゅー⋮⋮ぷぷい、ぷいにゅー⋮⋮﹂ ﹁何となくだけどね。ただ、この辺じゃ見ない猫だとは思うが⋮⋮﹂ ! ? ! ! !? 9 ? ﹂ ﹁友達か。よかったなアリア社長﹂ ﹁ぷいにゅー ﹂ アリア社長の頭を撫で続けるももんがに対し、カレンは笑顔でもも ももちんもワタシの大事な友達デス んがとアリア社長を包むように抱きしめる。 ﹁何言ってるデスか ﹁ぷいにゅ∼♪﹂ ! どこから行くデスか ﹂ ? ﹁オー、さっき言っていた子供デスネ ﹂ ﹁んー、とりあえず、まずはれんげちゃんを探しに行かないとな﹂ ﹁はいデース ﹁なんだか恥ずかしいな。⋮⋮それじゃ、探しに行くとするか﹂ アリア社長も同じようにカレンとももんがに抱きつく。 ! ﹂ !! ﹂ どうしたのだ カレンちゃん﹂ ち上がったももんがをじーっと見つめた。 ﹁ん そうか ﹂ ももちん、肩車してもらってもいいデスか まぁ構わないが⋮⋮﹂ ﹁そうデス ﹁ん ﹁ほー⋮⋮ももちん背が高いデスねー﹂ ? それじゃ、失礼しマース﹂ ﹂ 正座からあぐらになっていたももんがが立ち上がる。カレンは立 ﹁なくもない。よし、まずはれんげちゃんを探しに行こう﹂ ﹁マジデスか ﹁そんなわけ⋮⋮ありえるかもしれないから怖いな﹂ ﹁エスパーデスネ くれるかもしれない﹂ の子は何か不思議なモノを持っているから、もしかしたら力になって ﹁うむ。元々れんげちゃんを探しに歩いていたからな。それに、あ ? 乗り心地抜群デース ﹂ ﹂ たももんがはしゃがんでカレンを背負う。 ﹁オー ﹁楽しそうだなカレンちゃんは⋮⋮ん !! ももんがは自分の足元を見る。アリア社長がももんがの足をグイ ? !! 10 ! ! !? ? ﹁やったデース ﹁肩車 ! のそのそをももんがの背中を登るカレン。危なかっしいなと思っ !! ? !? ? ? ﹂ グイと引っ張りながらキラキラした瞳で何かを訴える。 ﹂ ﹁⋮⋮アリア社長も乗るかい ﹁ぷいにゅ ? 二人共﹂ ももんがは再びしゃがみ、肩車しているカレンの足の間にアリア社 長を乗せた。 ﹁大丈夫か ﹂ ﹂ ﹁大丈夫デース ﹁ぷいにゅー ! ﹂ ﹂ ! │ 出会い 後編 │ ﹁駄菓子屋ーいるのーん ﹂ と聞くと、キノは美味しい物だったら食べられるよと キノを見た。そうしている内に、二人と一台は駄菓子屋に着いたので 優しく微笑んで答える。そんなキノに対しれんげは尊敬の眼差しで 食べれますか ンクをボコンと叩かれた。食べ物の話を聞いたれんげがピーマンは なかった。エルメスはキノが食いしん坊なんだぜという話をして、タ 話を聞いたキノは平和な暮らしをしていると思い、殺しなどの話はし に今まで行った国やそこで会った人、食べた物の話をした。れんげの んがという骨の話、ほのかちゃんとの話もした。キノはれんげちゃん が普段誰とどのように遊んでいるのかという話や、この前会ったもも れんげとキノ達は駄菓子屋に向かう途中お互いの話をした。れんげ 駄菓子屋に先にたどり着いたのはれんげ、キノ、エルメス達だった。 ? る可能性が高い駄菓子屋へと向かうのだった。 こうして、カレン、アリア社長、ももんがは、れんげを探すべく居 ﹁ぷいにゅ ﹁レッツゴーデース ﹁よし、それじゃ行くか﹂ ! ある。れんげが駄菓子屋を呼んでいる間、キノは店の中の商品をまじ まじと見る。 11 !! ? ! !? ﹁⋮⋮なんだろうこれ。食べ物みたいだけど⋮⋮どれも美味しそう だ﹂ 少しワクワクした様子でお菓子を見ていくキノ。エルメスは店の 見えないよー﹂ 外で待機させられ、店の中の様子が見えなかった。 ﹁ねぇねぇキノ、何があるのー ﹂ ! ﹂ ﹁骨 ﹂ ? ? ﹁さて、到着だ二人共。一回降りてくれるかな ﹂ に積まれた複数のカバンを見てももんがはそう思った。 し、客がいるのだろうか。しかし⋮⋮いろいろ乗せてるなぁ。バイク クに目をつけた。初めて見るバイクだ。駄菓子屋さんは原付だった つけ大喜びするが、ももんがはそれよりも店の前に止まっているバイ 菓子屋の元までやってくる。カレンとアリア社長は目的の場所を見 きたももんがと、ももんがに肩車されているカレン、アリア社長が駄 キノとエルメスが二人で会話していると、トンネルの奥からやって ﹁うん、了解﹂ メス﹂ ﹁⋮⋮れんげちゃんには悪いけど、万が一があったら逃げるよ、エル 思ったさ。でも⋮⋮骨かわからないけど、あれは人じゃないよキノ﹂ ﹁嘘 じ ゃ な い よ キ ノ。そ り ゃ 僕 だ っ て 最 初 聞 い た と き は 冗 談 だ と エルメス、まさか本当に骨の人がいると思っているのかい と一匹なんだけど⋮⋮あれ、れんげちゃんが言ってた骨の人じゃない ﹁さっき通ったトンネル、あそこから誰かが来るよ。見た感じ二人 キノにエルメスが言う。 スターに入れたまま店の入口からチラリと外を見る。警戒している エルメスが急に叫ぶ。キノはすぐ右腿のカノンに手を伸ばし、ホル ﹁もうキノったらー⋮⋮キノ、キノ ﹁ちょっと待ってエルメス。今どれにするか決めてるから﹂ ? 楽しかったデスネ、アリア社長♪﹂ ぷいぷい∼♪﹂ ﹁了解デース ﹁ぷいにゅ ! ももんがから降りたカレンとアリア社長は店の中へと入ってゆく。 ! 12 ? ? 入ってゆくカレン達と入れ替わるようにキノが外に出る。キノはも もんがの姿を見て、そしてももんがはキノの姿を見てお互い驚いた。 本当に骨の姿をしている事による驚きと、少女の服装を見るにこの子 が運転手なのかという驚きだった。お互いが一定の距離を持って警 戒する。数分間の沈黙が流れ、先に喋りだしたのはエルメス。 私か ﹂ ﹂ おっちゃんはやめてくれ、ちょっと傷つく﹂ ﹁そこの骨のおっちゃーん﹂ ﹁む ﹂ バイクの事か 珍しくない感じ ﹁モトラド ここで過ごすとそういうのにはもう慣れた﹂ ﹁へぇー。ところで、ももちんって人間なの ? ? ? ﹂ ? ﹁わからない どゆこと ﹂ ? ? ﹁⋮⋮失礼でなければ、理由を聞いても ﹂ 人間かどうか聞いていたが││正直わからない﹂ ﹁それは悪いことをした。すまなかったエルメス君。それで、私が と答えた。 ボコンとエルメスのタンクを叩くキノ。ももんがはあははと笑う ﹁エルメス﹂ ﹁僕の事ぶおんぶおんって名づけたけどねー﹂ ﹁大丈夫ですよ。とてもいい子でした﹂ たりしなかったか ﹁あぁ、いや気にしないでくれ。それより、れんげちゃんは迷惑かけ 聞きました。骨の人なんて冗談だと思っていましたが⋮⋮﹂ ﹁ごめんなさい。ボク達はれんげちゃんという少女から貴方の事を 罪した。 はももんがに体を向け、かぶっていた帽子を取り胸に持っていくと謝 ずっと黙っていたキノが口を挟む。エルメスの隣まで歩いたキノ ﹁エルメス﹂ ﹂ いや、初めて喋る乗り物を見たが⋮⋮ ﹁エルメスでいいよー。というか、ももちんはモトラドが喋るのは ﹁うむ。君は⋮⋮なんて呼べばいい ﹁ごめんごめん。んじゃ、ももちんだっけ。あってる ? ? ? 13 ? ? ? キノ﹂ ﹁構わないよ。まぁ話せる内容は少ないが、気づいたらこんな姿に なっていたのさ﹂ ﹁そんなことってあるの エルメス君﹂ ありがとねももちん﹂ ﹁ありがとうございます、ももさん﹂ それはまた⋮⋮すごいな﹂ ﹂ エルメス君の運転手みたいだが ﹁いやいや、ところで、私からも質問していいかい ﹁ええ、どうぞ﹂ ﹁答えれることならー﹂ ﹁で は、キ ノ さ ん ⋮⋮ だ っ た か ボク達は旅をしていますよ﹂ ⋮⋮そんなに荷物を持って何をしているんだ ﹁ボクですか ﹁旅人 ? お ﹁⋮⋮え ﹁お ﹁⋮⋮む ﹂ ﹂ ﹂ 違うのか ﹂ ? ﹂ ﹁いえ⋮⋮確かにボクは女性ですが、あまり気づく人はいないので﹂ ﹁む ﹁ももちんすごいねー。キノが女の子なんてよくわかったね﹂ に、エルメスが言った。 しかしおかしいところは見つからない。不思議に思ってたももんが ももんがは何か変な事言ったか ? と自分の言った言葉を思い出す。 ももんがの言葉を受けてキノが驚く。 を頼りに旅をするのはなかなか大変じゃないか ﹁そりゃそうだろうな。キノさんみたいな女の子がエルメス君だけ ﹁いろいろ大変だけどねー﹂ ﹂ ﹁んー、いろいろ聞きたいけど本人がわからないんじゃ仕方ないね。 かな ﹁はっはっは。逆にあったら私が驚いているよ。さて、これで十分 ﹁ボクが知る限りは無いねエルメス﹂ ? ﹁そうそうー。キノは旅人なんだよー﹂ ? ﹁そんな大したことじゃないですよ﹂ ? ? ? ? ? ?? ? 14 ? ? ? ﹁そうなのか 不思議なもんだなぁ。どこからどう見ても可愛い女 キノ照れてる ﹂ ? もちもちなのん ⋮⋮のん 時に、店の中かられんげとカレン、アリア社長が出てくる。 ﹁キノちんこの猫すごいのん んにゃんぱすー﹂ ﹂ ﹂ それよりこの猫すごいのんな ﹁にゃんぱすー。れんげちゃん、駄菓子屋さんは居たかい ! いな﹂ ﹁ぷいにゅー♪﹂ ﹁ももちん、この子がレンゲデスか 可愛い子デネ ﹂ ! ﹂ もう一人可愛い子がいるデース ゲットにされた。 ﹁ワオ てもいいデスカ とした顔でキノをナンパするカレン。キノは困った様子 !! ももんがは笑い、釣られてキノとエルメスも笑った。落ち着いたの 斉に迫られた駄菓子屋はキノと同じようにももんがに助けを求めた。 ごいのん触るのんと駄菓子屋に迫る。アリア社長もぷいぷい言い、一 ノから駄菓子屋に声をかける。更にれんげがアリア社長を抱えてす これまた美人な女性が現れた事によって、カレンはターゲットをキ ﹁なんだなんだ、えらい騒ぎだな﹂ から駄菓子屋の店主加賀山楓が現れた。 笑ったが、キノにまた叩かれた。わいのわいの騒いでいると、店の中 でももんがを見るが、ももんがはそれを笑って見ていた。エルメスも キリッ お名前、聞かせてもらっ キノはそれを見守っていたが、カレンがキノに気づき、そしてター カレンはれんげの頭を撫で、れんげはアリア社長のお腹を撫でる。 ? ﹁あまり振り回さないようになれんげちゃん。アリア社長もすまな ﹁すぐ来るって言ってたのん ? ! ? ! ! ももち キノは少し照れた様子でボコンとエルメスのタンクを叩いた。同 ﹁うるさい﹂ ﹁お ﹁えっと⋮⋮ありがとうございます﹂ の子じゃないか﹂ ? !? ! ! 15 ? は、それから数十分後だった。 ﹁んー⋮⋮まぁこれくらいなら、どうにかできると思うぜ﹂ エルメスを見ていた駄菓子屋がキノに言った。キノはホッとし、駄 と鼻息 菓子屋に修理を頼んだ。エルメスを預けるにあたってキノはどこか ﹂ ﹂ 泊まれる宿はないか尋ねる。それを聞いたれんげがフンス 宿なんですか うちの家に泊まるのがいいと思いますのん を出しながら言った。 ﹁うち ﹁れんげちゃんのお家 ! ! だった。 こえてきた。店の中に入ってきたその声の主は、れんげの姉の一穂 キノが駄菓子屋に宿の手配を頼もうとしたとき、外から別の声が聞 ﹁仕方ないです、楓さん、どこか泊まれる宿があれば﹁いいよー﹂ ﹁むぅ﹂ いだろ﹂ ﹁あのなぁ、ただでさえももんががいるのにこれ以上は泊められな で か い 子 供 ももんがは腕を組んで言ったが駄菓子屋が言った。 ﹁一穂さんに聞いてみるか﹂ ﹁むー﹂ お前が決めていい話じゃないぞ﹂ ﹁いや、れんげの家は普通の家だよ。おいれんげ、気持ちはわかるが ? いいのん ﹂ ﹁なんか困ってるみたいだしいいよー﹂ ﹁ねぇねぇ !? 先輩﹂ ? 宿とるか ﹂ ? 丈夫でしょー﹂ ﹁はぁ⋮⋮まぁそういうことで、キノさん、どうする ? ﹁おっけーおっけー。うちの親もももちん来てから喜んでたし。大 ﹁いいんですか 腕を組んでこっくりこっくりと頷く一穂。駄菓子屋は一穂に言う。 ﹁いいのんいいのん﹂ ! 16 ? ! ﹁えっと⋮⋮﹂ キノはれんげの顔を見る。キラキラした瞳が、キノを見つめてい た。キノは小さく笑って、そして言った。 ﹂ と鼻息を出すれんげ。その可愛ら ﹁⋮⋮お世話になります、れんげちゃん﹂ ﹁任せるのん 自分の胸をポンと叩きフンス しい姿に、れんげ以外の皆が笑った。 ﹁それじゃ、明後日までには直しておくからな﹂ ﹁宜しくお願いします、楓さん。それじゃエルメス、迷惑かけないよ うにね﹂ ﹂ ﹁キノこそ、れんげちゃんの家で食べ過ぎないようにね。ちゃんと 言うこと聞くんだよ いとな﹂ ﹂ 行きましょうー カレンちゃん﹂ あ、そうデスネー⋮⋮﹂ ﹁エ ﹂ どうしたのだ ﹁ん ﹁ぷいにゅ ? ﹂ ⋮⋮とりあえず、行くか﹂ ﹁ぷいにゅー ﹂ ﹁出発なのーん ! ﹂ ﹁進むのデース ! ﹂ ﹁いやいや。それじゃ、帰るとするか。先にカレンちゃんを帰さな ﹁ええ。ありがとうございます﹂ ﹁もういいのかい 乗っていた。店から出てきたキノに、ももんがが言う。 に戻っており、残ったカレンとアリア社長、れんげはももんがの肩に なっており、オレンジ色の光がキノ達を照らしてゆく。一穂は先に家 ルメスを駄菓子屋に任せて店を出てゆく。外はすっかりと夕暮れに キノはそう言うとエルメスのタンクを優しく撫でた。数秒撫で、エ ﹁はいはい、わかったよ、エルメス﹂ ? ? ﹁な、なんでもないデース ? 17 ! ! ! ! ? ﹁ん ! ? ? ﹁えっと⋮⋮おー ﹂ がももんがに言った。 ぷぷい、ぷいにゅ∼ ? ⋮⋮あぁ、そういうことか﹂ ﹁ぷいにゅ ﹂ ご両親と話しているカレンを見ていると、頭に乗っていたアリア社長 かった。ももんがはどうしたのだろうと考えるが、思い浮かばない。 無事宿に辿りついた四人と一匹だが、どうもカレンの様子がおかし 暮れを見ながらカレンの泊まる宿へと向かった。 元気な二人と一匹、そしてノリに戸惑うキノを連れてももんがは夕 ? ? 言った。 ﹁カレンちゃん。もしかして、一緒に泊まりたいんじゃないか そ、そんなことは⋮⋮﹂ に言った。 ﹂ ﹁わ、ワタシもレンゲ達と泊まりたいデス マス パパ ママ ! お願いシ ! ノが一緒に入っていった。そしてお風呂から戻ってきた三人だった ちぽんぽんとなっていた。お風呂のお湯が沸き、カレンとれんげとキ その日の夕食は量が多く、食べ尽くしたももんが達のお腹はもちも て迎え入れた。 は申し訳なさそうに一人増えたと伝えるが、一穂もご両親も大歓迎し 関で待っており、既に夕御飯の準備が出来ていると伝えた。ももんが もちぽんぽんのお腹を撫で続けるのであった。家に着くと一穂が玄 らったとももんがは答える。カレンはアリア社長に感謝し、そのもち はよくわかったデスネと言ったことに対し、アリア社長に教えても がは、力強くそれに応えるのだった。れんげの家に戻る途中、カレン に入ったことによりなんとか許可を貰えた。娘の事を任せたももん カレンの言葉に驚いた両親だったが、すかさずももんががフォロー ! ももんがの言葉にカレンが違うと言おうとするが、我慢できず両親 ﹁エ ﹂ ア リ ア 社 長 の ア ド バ イ ス に よ っ て 気 付 い た も も ん が は カ レ ン に ﹁む ! が、れんげは水鉄砲で遊んだとはしゃぎ、キノは何故か自分の胸を無 18 ? ? !! 言で触っており、カレンは急に﹁ペッタンコガールズ結成デース ﹂と 騒いだ。ももんがは聞かなかったことにして、アリア社長と一緒にお 風呂に入るのだった。ほかほかしたままももんが達が風呂から戻っ てみると、居間ではカレンとれんげがトランプのカードを手に持ちな がらすやすや寝ていた。キノは困った素振りをするが、その顔は少し 微笑んでいた。ももんがは二人を起こさないように布団が敷かれた 寝室へと運び、キノに二人を任せ自分の部屋に戻る。部屋に戻ると頭 に乗っていたアリア社長もいつの間にか寝ており、そっと優しく布団 の上に寝かせると、ももんがはアリア社長のお腹を優しく撫でながら 眠りについた。 キノ達と出会って二日目の朝が来た。目が覚めたももんがの顔に は何故か白い毛があり、触ってみるともちもちする何かだった。ゆっ くりと両手で離してみると、アリア社長がももんがの顔にひっついて 寝ていた。寝相がすごいなと思い起き上がろうとするが、お腹のあた りが重い。なんだなんだと見てみると、カレンとれんげがももんがの お腹の上に頭を乗せて寝ていた。おかしい、確か昨日ちゃんと部屋に 寝かせてきたはず⋮⋮そう考えていると、部屋の襖が開かれキノが 入ってくる。 ﹁おはようございます、ももさん﹂ ﹁あぁ、おはようキノさん。ところで、この子達なんだが⋮⋮﹂ ﹁すみません。二人共一度は目を覚ましたのですが、ももさんがい ないと言ったので部屋に戻ったよと伝えたところ⋮⋮﹂ ﹁こうなったと。朝から元気だなぁ﹂ ﹁嬉しそうですね、ももさん﹂ 19 ! ﹁ふっ、まぁな。さて、そろそろ起こすとするか。ほれほれ、起きな さい二人共。アリア社長もね﹂ ﹂ ﹁のーん⋮⋮ ? ﹂ ﹁デース⋮⋮ ? ﹁ぷいにゅー⋮⋮ ﹂ ﹁今日はアリア社長の帰る手段探しながら遊ぶ予定だろ ﹂ ﹂ ﹂ しないと遊べなくなるぞー﹂ ﹁のん ﹁デス ﹁ぷいにゅ 帰るんでしょう ﹂ 早く準備 ﹁んー、帰る手段も大事だけど、キノさんもカレンちゃんも明日には 食べながら今後どうするか話していると一穂が会話に入ってくる。 局見つからなかった。探し疲れたももんが達は家に戻った。夕食を た。途中水車のある場所で休憩したり、学校に行ってみたりしたが結 も手伝うと言ってくれた。ひとまず、感を頼りにあちこち歩いてみ 達。アリア社長の事情を話し帰る手段を探すと話すとれんげもキノ 朝食を食べ終え洗い物を手伝い、準備を終えて外に出るももんが 量に米粒がつき、それを見た皆が笑った。 るアリア社長。負けじとももんがもご飯を頬張り、ももんがの顔に大 まる感じがしないキノに専用の小さなお皿に盛られたごご飯を食べ 入れすぎて水を求めるカレン。同じようにどんどん食べるが全く止 て一緒に食べる。もぐもぐもぐにょんと食べるれんげに一気に口に へと向かった。顔を洗い、朝食の準備を手伝い、そして皆で席につい 所に向かう。残ったキノとももんがは小さく笑い、同じように洗面所 ももんがの言葉にすぐ起き上がった二人と一匹は顔を洗いに洗面 ? ? ないし、こうして皆がまた集まる事もないかもしれないからね﹂ 手段がないと大変なのはわかるけど、明日それが見つかるとはわから ﹁それなら、明日は時間になるまで皆で遊ぶといいよ。そりゃ帰る ﹁ぷいにゅー⋮⋮﹂ ﹁で、アリア社長は帰る手段がないからしばらくはここにいると﹂ ⋮⋮﹂ ﹁ワ タ シ も ア リ ス 達 と 遊 ぶ 約 束 を し て い る の で 帰 ら な い と デ ス を決めているので⋮⋮﹂ ﹁そうですね。ボクは基本三日滞在して次の場所に向かうというの ? 20 !? !? !? ﹁⋮⋮ですね。アリア社長には悪いですが、れんげちゃんもカレン ﹂ ちゃんも遊びたいだろうし、キノさんもいろいろ見せてみたいので、 ﹂ 明日は一日遊ぶとしようか。アリア社長、それでいいかな ﹁ぷぷい、ぷいにゅ を見つけてやるからな﹂ ﹁うちも手伝いますのん ﹂ ﹁うむ、すまないな。大丈夫だ、二人が帰った後は私が必ず帰る手段 ? くなっていくれんげのご両親と一穂の姿を一度だけ見て、キノはこう 葉に、カレンは笑顔で答え、キノは寂しそうな顔で小さく頷いた。遠 げ、そしてご両親にお世話になったと感謝した。またおいでという言 れないものがないか確認して家を出る。キノとカレンは一穂とれん 物を手伝う。キノとカレンは午後にはすぐに出るという話なので、忘 量の辛い調味料を入れる寸前だった。何とか無事朝食を終えて洗い メスに止めるように言われていたももんががそれを止めた。丁度、大 の準備をする。キノがお礼にと料理を振舞おうとしたが、事前にエル うに、二人と一匹を起こして一緒に洗面所に向かった。顔を洗い朝食 そう言う二人の顔はとても嬉しそうだった。そして昨日と同じよ ﹁うむ、また、だな﹂ ﹁また、ですね﹂ そして昨日と同じように襖が開かれキノが入ってくる。 リア社長が顔で、れんげとカレンがお腹の上に頭を乗せて寝ていた。 もんがは目を覚ますと、また顔をお腹に違和感を感じた。案の定、ア キノ達と出会って三日目の朝が来た。最後の日がやってきた。も けなかった。 も、カレンも、アリア社長も、そして珍しくキノもなかなか眠りにつ そして皆で明日何をするか話し合う。その日はももんがも、れんげ ⋮⋮ も も ん が は 呆 れ つ つ そ っ と 一 穂 を 抱 え て 寝 室 に 運 ん で い っ た。 鼻ちょうちんを作りながら一穂が言う。良い場面なのにこの人は ﹁うんうん。私も力になるよ∼アリア社長∼﹂ ! いうのもいいですねと呟いた。ももんがは何かを察し、そうだなと返 21 ! す。 それから、午前中は時間が許す限り遊んだ。川で水遊びをしたり、 れんげ達がよく行ったりする神社に行ったり。皆が笑って、驚いて、 歌って、そしてまた笑った。そんな何時までも続いて欲しい時間はす ぐに過ぎ去っていき、別れの時間がやってくるのだった。 キノと共にももんが達は駄菓子屋へと辿り着く。店の前にはエル メスが置かれており、最後の点検にと駄菓子屋がエルメスをじーっと 見ていた。そして問題ないとキノに伝え、キノがエルメスに跨りエン ジンをかける。いつもより調子の良さそうなエンジン音がなり、エル メスも嬉しそうにキノに話した。その様子を、ももんが達は見守る。 無事治った事にキノは駄菓子屋に感謝し、お代を払おうとするが駄菓 子屋は断った。 22 ﹁初回はサービスだ。気にするな﹂ 次 か ら は 金 を 取 る け ど な。そ う 言 っ て ニ コ ッ と 駄 菓 子 屋 は 笑 う。 キノは再び感謝し、また来ますと小さく笑顔を作って答えた。同じ 頃、カレンの両親が乗る車が駄菓子屋の前で止まった。ももんが達に 世話になったと感謝し、カレンに帰るよと言った。カレンは泣きそう になりながらもそれを我慢し、キノに、エルメスに、れんげに、駄菓 と言って、車に乗って帰って 子屋に、アリア社長に、そしてももんがにハグをした。北条カレンは 最後まで笑顔で、そしてまた来るデス んげとアリア社長の頭を優しく撫で、駄菓子屋もまた、目をつぶりれ 姿を見て、れんげもアリア社長も泣いてしまった。ももんがは泣くれ 頷いてエルメスを走らせた。走り去っていくキノとエルメスの後ろ 見つめ頷いた。キノもそれに気づき、言葉は言わず、小さくコクリと 感謝した。そしてももんがに何か言おうとしたが、ももんがはキノを かける。駄菓子屋に最後のお礼を言って、れんげにお世話になったと ノも同じように帰る。エルメスに乗って止めていたエンジンを再び 涙がこぼれているのがももんがとキノには見えた。カレンが帰り、キ いった。窓から手を振って去っていくカレンの目からは、ポロポロと ! ﹂ んげとアリア社長が泣き止むのを待った。一人と一匹が泣き止んだ のは、丁度夕暮れ時だった。 ﹁それじゃ、帰るか。ではまたな、駄菓子屋よ﹂ ﹁はいはい。あ、アンタ明日ちょっと手伝え﹂ ﹁えー⋮⋮アリア社長の帰る手段探さないといけないのだが ﹁アタシも手伝ってやるから先にこっち手伝え。物運ぶだけだから すぐ終わる﹂ ﹁仕方ないなぁ。ではまた明日来るとしよう﹂ ﹁ういうい、頼んだぞー﹂ ひらひらと手を振って店の中に帰る駄菓子屋。ももんがもれんげ とアリア社長を連れて帰ろうとする。しかし││アリア社長が急に 何かに気づき走っていった。ももんがとれんげは驚き、ももんがは追 いかけるべくれんげを背負い走る。アリア社長はどんどんスピード を上げて前を走る。道は、ももんが達が歩いてきた道から徐々に山の 中へと変わっていった。夕暮れが最も近く感じる高さまでやってき たももんがとれんげは周りを見渡してアリア社長を探した。そして そこに、アリア社長は居た。夕暮れと重なるように白い光が現れ、そ の先の向こうに何かが居た。れんげは不思議な出来事に目を輝かせ ももんがから降りようとする。 ﹁ダメだれんげちゃん。あの先には行っちゃダメだ﹂ ももんががれんげを止め、れんげを背負った状態で光の先を見る。 ﹂ ﹂ ﹂ ﹂ ? ﹁ぷいにゅ ぷいにゅ ﹁うむ。行くがいい。そして今度は、迷子になるんじゃないぞ ﹁ぷいー⋮⋮ぷいにゅ !! アリア社長は再び涙を流し、両手をブンブンと振りながら光の中に ! 23 ? 姿はよく見えないが、でかい何かが確かにそこにいる。光の先を見て ぷぷい、ぷいにゅー いたももんがとれんげに対し、アリア社長は喋る。 ﹁ぷいにゅ ! ﹁⋮⋮そうか。あれは、アリア社長を迎えに来てくれたんだな﹂ ! ! ﹂ ﹂ 入っていった。光が消えていく途中、ももんがもれんげも、それを見 た。 ﹁のん ケッ ト シー ﹁あれは⋮⋮猫か⋮⋮ 巨大な猫の王様を見たももんがとれんげは、手を振るアリア社長と 微笑み感謝するように頭を下げるその猫に、れんげは手を振り、もも んがは同じように頭を下げた。そして、アリア社長を包んだ光は消え た。夕暮れは沈み始め、夜がやってこようとしていた。ももんがもれ んげも、突然の出来事にどっと疲れがやってきたが、それ以上にこの 三日間がかけがえのない大切な日々だったと感じた。家に帰るもも んがとれんげの顔は、とても楽しそうだった。 翌日、れんげは家に集まった夏海、小鞠、蛍に三日間の出来事を話 した。とても楽しく、不思議で、二度と訪れることがないだろうあの 三日間を、れんげは楽しそうに皆に話した。ももんがは、その様子を 優しく見守った││。 24 ? !?
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