2016/ グローバル・マクロ・ トピックス 10/14 投資情報部 シニアエコノミスト 吉川 健治 輸出悪化、銅地金輸入減。人民元安・外貨減が継続 ~中国・貿易統計評価(2016年9月)と人民元 2016年9月の貿易統計は輸出が前年同月比▲10.0%と6ヵ月連続の減少、輸入が同▲1.9%と 再び減少した。10-12月期の貿易動向も内外の経済環境を考慮すると厳しい情勢が続こう。 外貨準備高は2016年9月に前月比▲188億ドルと3ヵ月連続の減少、減少幅が拡大。10月の 人民元のIMFのSDR構成通貨入りを控え人民元の安定化向けた当局による為替介入、等が 理由か。最近は不動産バブル防止強化の動きが浮上、景気の先行き不安は根強い。中米両 国の経済ファンダメンタルズや金融政策の格差を反映し今後も緩やかな人民元安が続こう。 9月は輸出が悪化、 輸入も再び減少。1-9 月期では輸出が前年 同期比▲7.5%、輸入 が同▲8.2 %と厳しい 2016年9月の貿易統計をみると、輸出が前年同月比▲10.0%と6ヵ月連続の減少、 減少幅が拡大し、輸入が同▲1.9%と再び減少した。季節調整後では、輸出が同▲ 6.9%と5ヵ月連続の減少、輸入が同+2.2%と23ヵ月ぶりに若干ながらも増加した。16年 1-9月期では、輸出が前年同期比▲7.5%(15年通年:前年比▲2.8%)、輸入が同▲ 8.2%(15年通年:同▲14.1%)であり、10-12月期の貿易動向も内外の経済環境を考 慮すると、厳しい情勢が続こう。 9月の主要地域別輸出動向をみると、対米国(前年同月比▲8.1%)、対EU(同▲ 9.8%)、対日本(同▲7.0%)、等の先進国向けが悪化した。一方、新興国向けでも、 対ASEAN(同▲10.8%)、対ロシア、対ブラジル、対豪州、対南アフリカ(P3の右下グ ラフを参照)、等のすべて地域向けで厳しさが増した。 中国の主な地域向け輸出 中国の貿易動向 (%) (月次:2011/1~2016/9) 50 輸出 輸入 輸出(季節調整後) 輸入(季節調整後) 40 30 20 (月次:2011/1~2016/9) (%) 50 対米輸出 対ASEAN輸出 対EU輸出 対日輸出 40 30 20 10 10 0 0 ▲ 10 ▲ 10 ▲ 20 ▲ 20 ▲ 30 11 12 13 14 15 16 ▲ 30 (年) 11 (注)前年同月比、季節調整前の輸出と輸入 の毎年1~2月は累計の前年同期比 出所:中国海関総署資料、CEICデータよりみずほ証券作成 12 13 14 15 (注)前年同月比、毎年1~2月は累計の前年同期比 出所:中国海関総署資料、CEICデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 16 (年) 2016/10/14 グローバル・マクロ・トピックス 資源輸入量に 鈍化 の兆し。中国人民銀 行が 主要商業銀行 に不動産リスク・コン トロールを要請、資 源需要に影響しよう 主な資源エネルギー商品輸入量は2016年7-9月期に鈍化の兆しがみられる。 7-9月期の内訳をみると、石炭が前年同期比+27.8%と増勢ながらも、鉄鉱石が同 +9.2%(4-6月期:前年同期比+11.6%)、原油が同+13.8%(4-6月期:同+15.0%)、銅鉱 石が同+26.7%(4-6月期:同+34.1%)と鈍化した。また、未鍛造銅・銅材が在庫増等に より同▲8.7%(4-6月期:同+14.0%)と減少に転じた。 9月の国家統計局の製造業購買担当者指数(製造業PMI)が前月比横ばいの 50.4と50台を維持。企業規模別PMIをみると、景気対策の恩恵を先行して受ける大 型企業が改善し50台を維持も、中小型企業は50割れのなかでの悪化と2極化、景 気対策効果が全体的に広がらないため、景気の先行き不安は払しょくしがたい。 中国人民銀行は10/12に主要商業銀行17行の幹部を招集し住宅ローン管理強 化、不動産関係貸出リスク・コントロールを要請したと中国紙が報道した。今後は不 動産バブル防止の動きが強まる方向にあるため、資源需要の鈍化が想定される。 中国の製造業PMIと企業規模別PMI (月次:2010/1~2016/9) 58 国家統計局製造業PMI うち、大企業PMI うち、中型企業PMI うち、小型企業PMI 財新製造業PMI 56 54 52 50 48 [景気拡大・後退の分岐点50] 46 44 10 11 12 13 14 15 16 (年) (注) 国家統計局製造業PMIの企業規模別PMIは2012年2月から 出所:中国国家統計局資料、マークイット資料、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 9月外貨準備は3ヵ月 連続の減少、減少幅 が拡大。人民元の安 定化向け為替介入か 外貨準備高は2016年9月に前月比▲188億ドルと3ヵ月連続の減少、減少幅が拡 大した。理由として、中国企業のドル建て債務償還や国慶節連休の海外旅行等に よるドル需要増、10/1の国際通貨基金(IMF)による特別引き出し権(SDR)構成通 貨入りを控え人民元の安定化向けた当局による為替介入、等が挙げられよう。 人民元対ドルレートと外貨準備の増減 (月次:2011/1~2016/9) (億ドル) 人民元の基準値、現物レート、先物レート (1ドル=人民元) 1,500 人民元高 6.10 1,000 6.20 500 6.30 0 6.40 ▲ 500 6.50 (1ドル=人民元) 6.10 6.20 6.30 (日次:2015/8/3~2016/10/12) 人民銀行公表の営業日基準値(逆目盛) 現物レート(中国本土CNY 逆目盛) 先物レート(1年物香港NDF 逆目盛) オフショア市場の現物レート(香港CNH 逆目盛) [2015/8/11の人民元切り下げの 前営業日終値からの増減率 %] 基準値:▲9.06(人民元安) CNY :▲7.59(人民元安) CNH :▲7.59(人民元安) NDF :▲9.25(人民元安) 6.40 6.50 6.60 ▲ 1,000 人民元対ドルレート(右逆目盛) ▲ 1,500 11 12 13 6.60 ▲ 939 外貨準備の増減(左目盛) 14 16 人民元高 6.80 6.90 2015/8 人民元切り下げ 15 6.70 6.70 (年) (注)外貨準備の増減は前月比、人民元対ドルレートは月末レート 出所:中国人民銀行資料、CEICデータよりみずほ証券作成 7.00 出所:中国人民銀行資料、ブルームバーグのデータ、CEICデータよりみずほ証券作成 (年/月) この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 2 2016/10/14 グローバル・マクロ・トピックス 人民元は10月のIMF のSDR構成通貨入り も、中米の経済や金 融政策の格差を反映 し、対ドルレートで緩 やかな下落が続こう 2016年10月の国慶節明け後の人民元対ドルレートは下落の動きにある。中国は 景気下押し圧力が根強い一方で、米国は雇用や消費の底堅さ等を背景にゼロ金 利の解除から緩やかな金利の引き上げ等、金融緩和の出口を模索する動きにある ため、人民元の対ドル下落圧力は根強いと言えよう。最近の米経済指標の改善や 人民元のIMFのSDR構成通貨入りによる市場化・変動幅拡大の容認、等を受けて、 足元は、人民元の対ドル基準値が下落の動きにある。 中国人民銀行が16年5月発表の「中国通貨政策執行報告」によると、人民元の対 ドル基準値は、「前日終値」+「通貨バスケット調整(2015/12/11公表のCFETS人民 元指数[13の通貨バスケットに対する人民元指数]等を採用:みずほ証券 投資情報 部の試算によると、実際には対ドル依存度が依然高い)」の公式で決定されている。 人民元対ドルレートは中米金利差(10年物国債利回り)との関係で一定程度の連 動性がみられ、中米両国の経済ファンダメンタルズや金融政策の格差をより強く反 映した動きであると認識される。今後も緩やかな人民元安が続こう。人民元のSDR通 貨バスケット組み入れ比率は10.92%に設定されたが、海外の人民元保有意欲は消 極的となろう。なお、中国政府は人民元の安定化を優先し、金融緩和に向けた政策 調整では利下げ以外の金融手段を導入し適度な流動性を提供している。 人民元対ドルレートと中米金利差 CFETS人民元指数と人民元の対主要4通貨指数 (2014/12/31=100) (日次:2014/12/31~2016/10/12) (%) 125 120 6 115 110 105 100 95 90 85 80 75 (日次:2008/1/1~2016/10/12) 8 130 人民元対英ポンド指数 人民元対ユーロ指数 CFETS人民元指数(調整前) CFETS人民元指数(調整後) CFETS人民元指数(中国人民銀行の公表値) 人民元対ドル指数 人民元対日本円指数 (1ドル=人民元) 人民元高 中国の貸出基準金利 (1年物 左目盛) 5.50 6.00 4 6.50 2 7.00 0 7.50 中米金利差(10年物国債利回り 左目盛) (年/月) ▲2 人民元対ドルレート(右逆目盛) 8.00 (年) (注)中国外貨取引センター(CFETS)人民元指数は①当局の公表値(46営業日の値で2015/11/30から2016/9/30 まで)、②同指数の通貨バスケット構成比の当局公表の値で計算したみずほ証券試算の値、①と②とのかい離 を考慮し通貨バスケット構成比調整後のみずほ証券試算の値 出所:中国外貨取引センター(CFETS)資料、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 3 2016/10/14 グローバル・マクロ・トピックス (%) 30 25 20 15 10 5 0 ▲5 ▲ 10 ▲ 15 ▲ 20 中国の主な品目別輸出額 (%) (四半期:2011/3~2016/9) 60 50 40 30 20 10 0 ▲ 10 ▲ 20 ▲ 30 ▲ 40 機械電機(左目盛) 繊維品(左目盛) 靴類・玩具(左目盛) 鋼材(右目盛) (年) (注)前年同期比 出所:中国海関総署資料、CEICデータよりみずほ証券作成 中国の主な品目別輸入 (%) (四半期:2011/3~2016/9) 90 (%) 鉄鉱石・鋼材(左目盛) 銅鉱石・銅材・銅廃材(左目盛) 原油・製品(左目盛) プラスチック初級品(右目盛) 機械電機(右目盛) 60 30 0 ▲ 30 ▲ 60 30 25 20 15 10 5 0 ▲5 ▲ 10 ▲ 15 ▲ 20 (年) (注)前年同期比 出所:中国海関総署資料、CEICデータよりみずほ証券作成 ( この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 4 2016/10/14 グローバル・マクロ・トピックス 金融商品取引法に係る重要事項 ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化 等により、投資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料 をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税 込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含 む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込 むことがあり、損失を被ることがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与 えることがあります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が 当該証券の高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売 却してお客さまの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市 場があっても当該証券の流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生し ても本邦投資家が取り扱いできないことがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商 品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および 諸費用の額は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。 詳細は当社の担当者までお問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金 に対して最大 1.08%+2,700 円(税込み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、 約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別 途手数料および諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託 手数料をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券 取引口座管理料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決 定した為替レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書または お客さま向け資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-161014-09 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 5
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