67 頭部領域におけるTwin Beam Dual Energyの基礎検討 ○小澤 友昭 横山 幸夫 津川 未来 稲葉 孝典 青森市民病院医療技術局 診療放射線部 滝代 航也 68 Dual Energy composite image の物理特性 −Single Energyとの比較− ○大沼 智哉 堀口 優美 丹野 小野寺 崇 東北大学病院診療技術部 放射線部 祐希 島田 一生 【目的】当院ではCT装置更新に伴い、Twin Beam Dual Energy(以 下TBDE)が使用可能となった。今回、頭部領域において2種類の 管電圧の画像を合成するComposite imageと従来のSpiral scan及 び、仮想単色X線画像とを比較し、その有用性の有無を検証する。 【方法】CT装置はSIEMENS社製Edge、TBDEとSpiral scanとでNPS、 MTF taskを求め、それらよりSNRを算出した。また、仮想単色X 線画像においては、2種類の異なるCT値のCNRを求め、Spiral scan 画像との比較を行った。 【結果】NPSでは0.15cycles/㎝まではTBDEが高値を示し、それ以 降は低下した。MTF taskは従来のスキャンよりTBDEの方がMTF taskが低下した。SNRは0.3cycles/㎝辺りまでほぼ同等だが、それ 以降TBDEが高値を示した。仮想単色X線画像では80KeVでCNRが 高値を示した。 【考察】 頭部単純CTにおいて、Spiral scan画像よりComposite image及び仮想単色X線画像の方が、明らかに低コントラスト領域 の描出能が劣っていた。これは、元となる低kV、高kV画像の低コ ントラストが既に劣っているためである。現状ではTBDEを使う領 域は限られてくると考える。 【目的】 近年、CT検査においてDual Energy(以下、DE)撮影が 広く用いられている。DE撮影の際、形態画像として低管電圧と 高管電圧で撮影したデータを任意の比率で混合した画像(以下、 composite㻙image)を取得できる。通常、画像診断に用いられる画 像の多くは120kV程度の管電圧で撮影した画像でありDE撮影の際、 120kV相当のcomposite㻙imageを提供することは不可欠である。そ のため、composite㻙imageとSingle Energy(以下、SE)で撮影した画 像の差異を知る必要がある。そこで本研究はcomposite㻙imageの画 質評価及びSE120kV画像との差異を把握することを目的とした。 【方法】使用したCT装置はSOMATOM Definition Flash(SIEMENS) である。比較する撮影法及び管電圧はDE80kV㻙140kV(Sn)、DE100 kV㻙140kV(Sn)、SE120kVとした。まずブロックエッジファント ムを撮影しMTFを測定した。ブロックエッジと周囲の希釈造影剤 のCT値は、500㻙20、100㻙60(HU)とし高コントラスト及び低コン トラスト条件を想定した。次に水ファントムを撮影しNPSを測定し た。なお、それぞれの撮影においてCTDIvolが同一となるようにし た。画像再構成はFBPと逐次近似応用再構成法(SAFIRE)で行った。 【結果】いずれの撮影法においても低コントラスト条件でのMTF はFBPが一番高く、SAFIREの強度があがるにつれて低下した。また、 composite㻙imageの方がSE120kVよりもMTFは高かった。それに対 し、高コントラスト条件でのMTFはFBPが一番低く、SAFIREの強度 があがるにつれて上昇した。また、composite㻙imageの方がSE120 kVよりもMTFは低下した。NPSはどの撮影法においてもSAFIREの 強度があがるにつれて低下し、composite㻙imageとSE120kVの比較 は、SE120kVでNPSが低下した。 【考察】MTFにおけるSAFIREの挙動が高コントラスト条件と低コ ントラスト条件で異なるのは逐次近似応用再構成法が非線形処理で あることによると考えられる。NPSでDE80㻙140kV(Sn)が高くなっ たのは低管電圧と高管電圧の混合割合が偏ったためと考えられる。 69 造影コントラスト向上を目的とした低kV画像と仮想単色X 線画像の比較 70 非造影Dual-energy撮影による乳腺腫瘍の悪性度評価の検討 ○保吉 和貴 佐藤 俊光 岡田 山形大学医学部附属病院 放射線部 明男 【目的】造影剤投与方法を固定した場合、造影コントラストを向上 させる方法としてはSingle energyにて低kVを用いて撮影する方法 とDual energyにて撮影し低エネルギーの仮想単色X線画像を用い る方法がある。また仮想単色X線画像は従来の再構成法(Mono) に加えて新しい再構成法(Mono+)が登場した。今回はSingle energy画像とMonoそしてMono+について造影コントラストとノ イズを比較、評価することを目的とした。 【方法】装置はSiemens社製SOMATOM Definition Flashを使用し た。Catphan504と水ファントムに希釈造影剤入りシリンジを封入 した自作ファントムを、同等のCTDIvol にてSingle energy(70∼ 140kV)とDual energy(80kV/140kV+Sn)で撮影を行った。Single energyの各画像とDual energyから得た40∼70keVの仮想単色X線 画像(Mono、Mono+)についてCT値、SD、NPS、CNRを評価し た。 【結果】希釈造影剤のCT値はSingle energyに比較して仮想単色X 線画像が高値となった。またMonoとMono+は同等であった。SD はどのエネルギー領域においてもMono、Mono+、Single energy の順に低下した。CNRは低エネルギー領域においてMonoに比較し てSingle energyが高く、さらにMono+で最も高い値を示した。 【考察】Mono+は他の方法に比べノイズを抑えながらCT値の上昇 が見込まれ、3D画像作成時にも有効であることが考えられる。 ○泉 未来 谷口 直人 秋田大学医学部附属病院 中央放射線部 【目的】乳腺画像診断におけるCT検査の目的として、転移検索や 腫瘍の拡がり診断の補助、術前化学療法の効果判定などが挙げられ る。一方で、質的診断への有用性は認められていない。今回、乳腺 腫瘍の悪性度評価を目的に、非造影Dual-energy撮影の有用性を検 討した。 【方法】乳癌術前精査としてCT検査を行った症例を対象とし、病 理診断にそって組織型の分類を行った。対象とする画像は、乳腺腫 瘤の組織性状に着目するため、単純CTを用い、造影剤(ヨード含 有量)の影響を排除した。乳癌の組織学的悪性度は組織中のリン脂 質の組成変化と相関していることから、P(リン)密度値に注目し、 Gemstone Spectral Image(GSIモード)による物質解析を行った。 正常乳腺、乳腺腫瘤、リンパ節について、①実効原子番号(Zeff) を用いたヒストグラム分析、②物質密度分布を用いたScatter Plot によるP密度値の違い、を検討した。 【結果】①ヒストグラム分析では、乳腺腫瘤は正常乳腺よりもわず かに高い値に分布し、悪性度が高いほど原子番号が高い傾向となっ た。②物質密度分布では、悪性度が高い乳腺腫瘤ほどP密度値も高 い傾向となり、正常乳腺とは異なる分布を示した。 【考察】以前スペクトラルHU解析を行った際は、関心領域のROI 内のデータが平均化されるため、その設定が問題として指摘された。 しかし、ヒストグラム分析と物質密度分布を併用することで、ROI 内にある個々のpixelを対象に分析、評価することができた。これ によって、非造影Dual-energy撮影が乳腺腫瘍の悪性度評価に有用 であることが示唆された。
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