P-⑮-1 島根県吉賀町においての腹膜透析療法導入の取り組み 社会医療法人石州会 六日市病院 内科1)、 岩国市医療センター医師会病院 透析室2)、 岩国市医療センター医師会病院 腎臓内科3) ○重冨悠乃1)、重冨雄哉1)、宮本みどり2)、福田雅道3) 島根県鹿足郡吉賀町は県西部に位置し、広島県、山口県との県境に位置する中山間地 域です。この地域の住民が末期腎不全に陥り透析療法が必要となった場合、血液透析 が可能な近隣の施設(益田、広島、岩国)までは何処も車で片道1時間半を要し、と くに冬場には積雪や路面凍結などがおこり、日常の通院に患者は大きな負担を背負っ ています。地域唯一の基幹病院である当院においてこのような状況を改善できないか と考え、在宅医療という特性を持つ腹膜透析を導入することで地域完結型の腎不全医 療ができないかと考えました。このため当院では2年前から透析専門施設と協力して 病院を上げての腹膜透析療法導入に取り組んでいます。現時点で患者はまだ3人、取 り組みはまだ途についたばかりで示唆的な考察には至りませんが、これまでの経緯を 紹介したいと思います。 P-⑮-2 在宅サービス・入所施設での腹膜透析患者の受け入れに向け ての働きかけ~押しかけ勉強会を通して~ 松江赤十字病院 透析センター1)、 松江赤十字病院 膠原病腎臓内科2) ○石倉優子1)、森脇敦子1)、原 克美1)、伊藤祐子1)、花田真希2)、 花田 健2)、漆谷義徳2) 【目的】平成27年から患者受け入れを目的としたおしかけ勉強会を地域に出かけて 行っている。今回腹膜透析の患者の受け入れ経験が少ないため、受け入れスタッフの 不安軽減や患者サービスの継続を目的とし、在宅サービス関係者や入所施設スタッフ に向け、 おしかけ勉強会を実施した。質問紙調査で評価、支援について検討する。 【お しかけ勉強会の実際】 対象者:訪問看護師、ケアマネージャー、介護士、デイサー ビススタッフ、入浴サービススタッフ、施設看護師、施設社会福祉士 。内容:腎不 全、腹膜透析治療及び血液透析治療、治療に関する生活や管理の注意点、腹膜透析カ テーテルの管理。除水量、尿量、血圧など患者の状態をふまえた観察点。1時間程度 の内容。腹膜透析機械を持参し、触れてもらいながら説明。 【評価】勉強会参加後 参加者を対象に自記式質問紙調査と直接感想を聞いた。参加者計43名 【考察】高齢 社会は加速しており、基幹病院として患者・家族だけでなく、在宅サービス関係者な どにも積極的関わりが必要であると実感する。勉強会だけでなく積極的な関わりを持 つ事は患者への個別性につながり、また指導の振り返りとなり、学びは多く連携をと ることの大切さも認識できた。在宅サービス関係者は、当院へ知識や技術の提供だけ でなく、連携を求めている。連携を持ちながら患者支援について一例一例関わる関係 者間で考え、振り返り、共に学び調整していかなければならない。 ― 81 ― P-⑮-3 血液浄化センターにおける腹膜機能管理の連携 JCHO下関医療センター 血液浄化センター1)、 JCHO下関医療センター 泌尿器科2) ○新田靖之1)、品川弥生1)、廣吉俊弥2)、山口史朗2) 【目的】PD患者は至適透析量を確保できないと、PD処方の変更を余儀なくされる。PD処 方の変更は、場合によって患者の生活スタイルに影響することもあるため、患者情報を十 分に持ったスタッフが必要になる。当院の腹膜平衡試験を使用した腹膜機能管理から経過 を振り返り報告する。 【方法】半年ごとの腹膜平衡試験(以下、PET)を実施し、その結果と臨床症状から現在 のPD処方を評価する。PETの解析から新しいPD処方のシミュレーションを考え、看護の 立場と医師の立場から最終検討し患者へ提案する。PETカテゴリーと尿素Kt/Vの経過を 評価する。データ使用に関して患者に説明し同意を得る。 【結果】PETカテゴリーが上昇するパターンがあったが、PD処方の変更で尿素Kt/Vは維 持できた。PD離脱症例はPETカテゴリーの変化とPD歴で検討していた。 【考察】日本腹膜透析医学会の腹膜透析ガイドラインを参考に、半年ごとにPETを行った ことで、患者の変化を客観的に捉えることができたと考える。それにより、PD離脱に関 する検討も時期を逃さず行えたと考える。また、PD処方の変更作業は、看護師がPD処方 のシミュレーションを考えたが、患者の生活情報や日々関わる時間が多い看護師(血液浄 化センター・訪問看護)の患者情報から、患者の生活スタイルにできるだけ影響がない PD処方を医師へ提案したこともPD継続に影響しとも考えられる。 【まとめ】半年ごとのPETで腹膜機能管理が行えた。 P-⑮-4 当院における腹膜透析患者の栄養状態と栄養状態の要因 広島県厚生農業協同組合連合会尾道総合病院 栄養科1)、 広島県厚生農業協同組合連合会尾道総合病院 腎臓内科2) ○黒飛佳子1)、清石悠香1)、井上 栞1)、上野みなみ1)、金子美樹1)、 山本智恵1)、清水美奈子2)、江崎 隆2) Ⅰはじめに 当院に外来通院している腹膜透析患者の栄養状態と、栄養状態に影響を与えている要因について検討したので報告 する。 Ⅱ対象 当院に外来通院している腹膜透析患者(男性:4名、女性:7名)を対象とした。 Ⅲ方法 対象者の身長、体重測定を行い、血液検査(Hb、ChE、Alb、UN)を実施。栄養状態はGNRIを用いて判定し、92 以上を栄養状態良好、92未満を栄養状態不良とする。GNRIとそれぞれの血液検査結果の相関関係について単回帰 分析を用いて調べる。 Ⅳ結果 1.GNRIは92以上あった患者は2名、92未満の患者が9名であり、栄養状態不良の患者が8割を占めていた。 2.栄養状態を見る指標であるAlbとChEは相関関係になかった。 3.ChEとGNRI、UNとGNRIにも相関はなかったが、HbとGNRIは弱い相関関係にあった。 Ⅴ考察 当院における腹膜透析患者の栄養状態は不良の割合が多かった。また、栄養状態に影響を及ぼす要因としては、肝 臓でのたんぱく質代謝能の指標であるChEや、たんぱく質の摂取量を反映するUNとは相関関係になく、Hbと弱い 相関関係にあった。腎性貧血のコントロールは栄養状態に影響を与えている可能性があると考えられる。今後は外 来通院患者の腎性貧血のコントロールとともに、定期的な栄養指導を行い、栄養状態の改善に取り組んでいく。 ― 82 ―
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