原油価格週間動向

10/11
2016/
原油価格週間動向
投資情報部
シニアコモディティアナリスト
津賀田 真紀子
OPEC減産合意の影響は限定的か
WTI 原油先物相場が急反発している。10/10 には一時 51.60 ドルと昨年 7 月以来、約 1 年 3 ヵ月ぶりの高値を
つけた。先月 28 日に開催された OPEC 臨時総会において、加盟国の合計生産量を日量 3,250 万~3,300 万
バレルに制限することで合意されたことが市場に好感されているためだ。しかし、OPEC の原油生産量が 8 月
時点で日量 3,324 万バレルであったことを考えると、減産幅はわずか日量 24 万~74 万バレルでしかない。今
回の合意は、減産というよりも据え置きに近いといえる。また、世界的な供給過剰を解消させることは OPEC の
減産だけではギリギリだ。非 OPEC の生産動向によっては、一段と困難になる可能性があると考えられる。
WTI 原 油 先 物 は 1
年3ヵ月ぶりの水準
を回復
国際指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物相場が急反発
している。10/10には一時51.60ドルと昨年7月以来、約1年3ヵ月ぶりの高値をつけた。
先月28日に開催された石油輸出国機構(OPEC)臨時総会において、加盟14ヵ国の
原油生産量を日量3,250万~3,300万バレルに制限することで合意されたことが市場
に好感されているためだ。OPECが減産するのは金融危機後の2008年以来、約8年
ぶりだ。今回、合意に至った背景には、OPEC最大の産油国であるサウジアラビアが
大幅に譲歩し、イランに限って増産を認めたことがある。イランとサウジアラビアの対立
が続いていることから、事前予想では増産凍結すら不可能とみられていた。
サウジアラビアは長引く原油安の影響により2014年11月のOPEC定時総会以降財政
赤字が拡大。外貨準備高はわずか1年8ヵ月の間に1,730億ドル(約18兆円)も減少し
ており、今年7月時点では5,534億ドルとなっている。これ以上の財政悪化を食い止め
るには、価格上昇が必要との判断に至ったものと思われる。
原油価格動向
W T I原油先物価格とドルインデックス
2016/9/26
期間
WTI
北海
ブレント
(1バレル=ドル)
~
~
2016/10/3
(週次:2014/1/3~2016/10/7)
120
前週比
76
110
WTI原油先物(左目盛)
78
ドルインデックス(右逆目盛)
80
2016/10/7
2016/9/30
始値
48.04
44.62
3.42
100
高値
50.74
48.32
2.42
90
84
86
82
安値
47.78
44.19
3.59
80
終値
49.81
48.24
1.57
70
始値
50.02
46.05
3.97
60
92
高値
52.84
49.81
3.03
50
94
安値
49.74
45.63
4.11
40
終値
51.93
49.06
2.87
30
88
90
96
98
100
20
(注)価格は 1 バレル=ドル
14/1
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
14/7
15/1
15/7
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
1
1
16/1
16/7
102
(年/月)
2016/10/11
原油価格週間動向
供給過剰を解消さ
せ る こ と は OPEC
の減産だけではギ
リギリ
しかし、OPEC の原油生産量が 8 月時点で日量 3,324 万バレルであったことを考える
と、今回合意された減産幅はわずか日量 24 万~74 万バレルでしかない。また、日量
3,250 万~3,300 万バレルという生産量は、今年 2/11 に年初来最安値(26.05 ドル)を
つけた時よりも多い。減産というよりも、むしろ据え置きに近いといえる。
市場では OPEC が今回の合意をどの程度実行に移せるかについて懐疑的な見方も
強い。正式決定は早くても 11/30 に開催予定の次回 OPEC 総会となるが、産油政策
で対立するイランとサウジアラビアがどう折り合いをつけるのか、今後も市場の関心が
集まることになる。
なお、国際エネルギー機関(IEA)が 9/13 に公表した月報によると、2016 年第 2 四半
期(4~6 月)における世界の供給過剰量は日量 30 万バレルであった。また、少なくと
も 2017 年前半までは世界的に供給過剰の状態が続き、原油安が長期化する可能性
があると予想されている。つまり、供給過剰を解消させることは OPEC の減産だけでは
ギリギリであり、非 OPEC の生産動向によっては、一段と困難になる可能性があると考
えられる。ロシアなど非 OPEC 産油国との協議も今後の課題となるだろう。
サウジ ア ラビア原油生産量
OPEC 原油生産量
(百万バレル/日)
(月次:2012/1~2016/8)
(千バレル/日)
33.5
10,800
今回合意された
生産量の範囲
33.0
10,600
32.5
10,400
32.0
31.5
31.0
2016年
10,200
2012年
過去3年最多
10,000
2013年
過去3年平均
9,800
2014年
過去3年最少
2015年
9,600
30.5
2016年
9,400
30.0
9,200
29.5
9,000
29.0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12
8,800
(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12
財政収支・経常収支が均衡する原油価格
( 2 016年予想)
(1バレル=ドル)
産油国外貨準備高
(2014/11=100)
105
100
90
(月次:2014/11~2016/7)
アルジェ リア
100
80
66.7
70
(月)
出所:OPEC 月報よりみずほ証券作成
出所:OPEC 月報よりみずほ証券作成
61.5
リビア
カタール
95
財政収支
サウジアラビア
60
50
90
経常収支
40
85
30
20
80
10
75
クウェート
カタール
イラク
イラン
サウジ
UAE
アルジェリア
0
70
14/11
15/3
15/7
15/11
16/3
16/7
(年/月)
(注)アルジェリアは 4 月まで、リビアは 6 月まで
(注)予想は国際通貨基金(IMF)
出所:IMF のデータよりみずほ証券作成
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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2016/10/11
原油価格週間動向
■ エネルギー関連統計
日付
国・地域
10 月 12 日
10 月 12 日
10 月 12 日
10 月 12 日
10 月 12 日
10 月 13 日
10 月 13 日
10 月 13 日
10 月 13 日
10 月 13 日
10 月 13 日
10 月 13 日
10 月 13 日
10 月 14 日
10 月 14 日
10 月 14 日
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
イベント
短期見通し 原油(ドル/バレル)
短期見通し 自動車用ガソリン(ドル/ガロン)
短期見通し ディーゼル(ドル/ガロン)
短期見通し ヒーティングオイル(ドル/ガロン)
短期見通し 天然ガス(ドル/千立方フィート)
米国原油在庫(前週比・千バレル)
オクラホマ州クッシング原油在庫(前週比・千バレル)
米国ガソリン在庫(前週比・千バレル)
米国中間留分在庫(前週比・千バレル)
米国製油所稼働率(前週比)
米国原油推定需要(千バレル/日)
米国ガソリン推定需要(千バレル/日)
米国留出燃料推定需要(千バレル/日)
ベーカー・ヒューズ掘削リグ稼働数
ベーカー・ヒューズ米国ガス・ロータリーリグ稼働数
ベーカー・ヒューズ米国石油ロータリーリグ稼働数
期間
前回
10 月
10 月
10 月
10 月
10 月
10 月 7 日
10 月 7 日
10 月 7 日
10 月 7 日
10 月 7 日
10 月 7 日
10 月 7 日
10 月 7 日
10 月 14 日
10 月 14 日
10 月 14 日
50.58
2.26
2.70
2.58
10.79
▲2,976
569
222
▲2,359
▲1.8%
16,602
10,117.3
5,153.0
524
94
428
■ 今週の経済指標
日付
国・地域
10 月 7-18 日
10 月 9-15 日
10 月 9-15 日
10 月 11 日
10 月 11 日
10 月 12 日
10 月 12 日
10 月 12 日
10 月 12-13 日
10 月 12-13 日
10 月 12-13 日
10 月 13 日
10 月 13 日
10 月 13 日
10 月 13 日
10 月 13 日
10 月 14 日
10 月 14 日
10 月 14 日
10 月 14 日
10 月 14 日
10 月 14 日
10 月 15-25 日
10 月 17 日
10 月 17 日
10 月 17 日
10 月 17 日
10 月 17 日
10 月 17 日
中国
中国
中国
欧州
米国
欧州
米国
米国
中国
中国
中国
米国
米国
米国
中国
中国
欧州
欧州
米国
米国
米国
米国
欧州
欧州
欧州
米国
米国
米国
米国
イベント
海外直接投資(前年比、中国元)
資金調達総額(中国元)
マネーサプライ M2(前年比)
ZEW 調査(期待)
労働市場情勢指数
鉱工業生産(季調済/前月比)
MBA 住宅ローン申請指数
FOMC 議事録
貿易収支
輸出(前年比)
輸入(前年比)
輸入物価指数(前月比)
新規失業保険申請件数
失業保険継続受給者数
消費者物価指数(前年比)
PPI 前年比
EU27 カ国新車登録台数
貿易収支(季調前)
小売売上高速報(前月比)
PPI 最終需要(前月比)
企業在庫
ミシガン大学消費者マインド
ECB 専門家予測調査
消費者物価指数(前月比)
CPI-コア(前年比)
ニューヨーク連銀製造業景気指数
鉱工業生産(前月比)
設備稼働率
製造業(SIC)生産
期間
前回
9月
9月
9月
10 月
9月
8月
10 月 7 日
9 月 21 日
9月
9月
9月
9月
10 月 8 日
10 月 1 日
9月
9月
9月
8月
9月
9月
8月
10 月 速報
5.7%
1,470,000,000,000
11.4%
5.4
▲0.7
▲1.1%
2.9%
9月
9 月 確報
10 月
9月
9月
9月
0.1%
0.8%
-1.99
▲0.4%
75.5%
▲0.4%
52,050,000,000
▲2.8%
1.5%
▲0.2%
249,000
2,058,000
1.3%
▲0.8%
10.0%
25,300,000,000
▲0.3%
0.0%
0.0%
91.2
(注)記載事項はすべて「予定」ないし「見込み」であり、予告なく変更されることがあります。海外イベントおよび経済指標は現地日程で掲載しています
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
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2016/10/11
金融商品取引法に係る重要事項
原油価格週間動向
■国内株式のリスク
リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化等により、投
資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。
■国内株式の手数料等諸費用について
○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負担いただ
きます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手
数料としてご負担いただきます。
○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。
○保護預かり口座管理料は無料です。
■外国株式のリスク
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の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込むことがあり、損失を被るこ
とがあります。
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ります。
○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が当該証券の
高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。
○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売却してお客さ
まの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市場があっても当該証券の
流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生しても本邦投資家が取り扱いできないこ
とがあります。
○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商品取引法に基
づいた発行者開示は行われていません。
■外国株式の手数料等諸費用について
○外国委託取引
国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および諸費用の額
は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。詳細は当社の担当者まで
お問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金に対して最大 1.08%+2,700 円(税込
み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対
して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。
○国内店頭(仕切り)取引
お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別途手数料お
よび諸費用はかかりません。
○国内委託取引
当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負
担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を
委託手数料としてご負担いただきます。
○外国証券取引口座
外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券取引口座管理
料は無料です。
外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決定した為替
レートによるものとします。
商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書またはお客さま向け
資料等をよくお読みください。
商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号
加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
広告審査番号 : MG5690-161011-18
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