集中治療における理学療法士との連携や期待

特別講演Ⅱ
集中治療における理学療法士との連携や期待
愛知医科大学病院
看護部
小林 美和
脳神経外科・脳卒中センター病棟 看護師長
重症疾患罹患や集中治療後、多くの患者はADLが低下し、その結果QOLが低下する
ことが知られています。その身体機能障害は、集中治療が施された数年後にも存在する
ことが報告されています。これらは、結果的に患者の生活を取り巻く、全体的なQOL
の低下だけに留まらず、社会復帰・職場復帰への大きな影響を与え、リハビリテーショ
ンの必要性をさらに強調することとなりました。
近年、重症患者の身体機能障害と全般的な筋力障害やADLの低下とされるICU―A
W(Acquired weakness)との関連性が問いただされてきていますが、現段階では、IC
U―AWに特異的な治療法は確立されておらず、①鎮静による不動化を取り除くこと、
②リハビリテーションを集中治療の早期から行うことに主眼が置かれています。
この 2 つのことを実践しようとする試みには、チームアプローチが不可欠でしょう。
チームアプローチの成功のカギとなり得るのは、それぞれの職種が、熟練した専門性を
発揮するという「役割の分散」とともに、患者・家族をもリハビリテーションメンバー
として参加していただくという、「役割の統合」をタイミング良く行っていく必要があ
るでしょう。これらは、患者・家族中心のアプローチから、課題達成に向けた、患者・
家族主体のアプローチへと変化させていくでしょう。
看護師と理学療法士の連携においては、日々感謝の毎日ですが、「期待」することと
して挙げさせていただくならば、お互いの専門性を発揮することとして、機能訓練・機
能回復の視点を、看護の視点となる患者自身の生活の中に、どのように投入していくべ
きかを、十分に検討し、患者・家族の課題達成にむけたアプローチ方法や、病態治療か
ら機能・能力の改善に立ち向かい、社会復帰にどのように繋げていくのかを共に実践し
ていただくことを、お願いしたいと思います。
各職種が熟練した専門性を交錯させ連携することで、より質の高い医療が可能となる
ことを切に願います。
The 34th Congress of JPMCPT