フィンテック - Nomura Research Institute

単 行 本 紹 介
『フィンテック』
著者:柏木亮二
出版社:日本経済新聞出版社
発行年月日:2016年8月6日
「ここが読みどころ」
~筆者からのメッセージ
本書は「FinTech」の基礎的な解説書です。FinTechとは多様な要素が含まれた非常に
幅広い概念を含んだ言葉です。そのため、書籍や新聞・雑誌の記事を読んでも、FinTech
とは何かがいまひとつわかりにくくなってしまっているように思います。新しいIT技術を
指すのか、それとも斬新なビジネスモデルで新たな金融サービスを提供するベンチャー企
業を指すのか、それとも既存の金融機関のビジネス変革を指すのか、などなど。
本書ではFinTechが登場した背景や、FinTechが注目される一因となった急成長した
ベンチャー企業、そして日本の金融業界の特徴などをまずは概観した上で、FinTechを
主要目次
大きく4つのステージに分けて解説しています。
はじめに
「 以前から金融領域で活用されてきた IT」としてのFinTech、「スタートアップ企業
第Ⅰ章 フィンテックが注目される理由
が金融領域に挑戦するための IT」としてのFinTech、さらに「金融サービスを組み替え
第Ⅱ章 進化するフィンテック
第Ⅲ章 いま何が起こっているのかを
押さえておこう
る IT」としてのFinTech、そして最後に「新たな ITによって変貌する金融の姿」を実現
するFinTechです。そしてそれぞれのステージでキーとなる技術やビジネスモデル、プ
第Ⅳ章 金融ビジネス・実務への影響
レーヤーは異なります。しかし現在はそれぞれに性格の異なる「FinTech」が一緒くた
第Ⅴ章 フィンテックにどう向き合うか
に扱われているため、議論が見えにくくなっていると感じています。
第Ⅵ章 さらに進化するフィンテック
おわりに
本書を通じてFinTechを見通す視座が提供できればいいなと思っています。
『FinTechの衝撃』
著者:城田真琴
出版社:東洋経済新報社
発行年月日:2016年8月26日
「ここが読みどころ」
~筆者からのメッセージ
『クラウドの衝撃』『ビッグデータの衝撃』など、『~の衝撃』シリーズの4作目となる
本書は、NRI のお客様にとって関心の高いFinTechを取り上げました。
本書では、FinTechサービスの単なる紹介にとどまらず、豊富なデータや図表をもと
に、現状と今後の見通しを分析しています。また、欧米の金融機関がどのようにFinTech
に向き合っているかについても、「育成」
・「提携」
・「出資」
・「買収」、「競争」、「イノベー
ションラボの設置」など、とりえる戦略オプションについて、抽象的な議論にならないよ
主要目次
はじめに
う、具体的な事例とともに解説しています。
もちろん、今後のFinTechの行方を占う上で重要なキーワードとなる「ブロック
第1章 なぜ今、FinTechなのか?
チェーン」「モジュール化」「金融API」「Banking as a Service」などについても、極
第2章 フィンテックサービスの実際
力わかりやすく解説しました。
第3章 フィンテックの核心技術
「ブロックチェーン」
第4章 金融機関のフィンテック戦略
第5章 モジュール化する金融サービス
本書が、FinTechについて議論する上での出発点となり、今後の取り組みの方向性を
検討する上でのヒントになれば、嬉しく思います。
第6章 日本におけるフィンテックの
方向性
おわりに
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野村総合研究所 金融 ITナビゲーション推進部 ©2016NomuraResearchInstitute,Ltd.Allrightsreserved.
『社長が知らないITの真相』
著者:楠真
出版社:日経BP社
発行年月日:2016年6月28日
「ここが読みどころ」
~筆者からのメッセージ
昨年から日経BP社の ITproにコラムの連載を始めました。「強い ITはここが違う」とい
うタイトルは、NRI の強さを世間に少しだけ自慢したいと思ってつけたタイトルです。お
かげさまで、連載を始めて一年が過ぎてもまだ打ち切りという話にはなっていません。
ITを知らない人から見ると、プログラミングやいろいろなハードウェアのことが ITだ
主要目次
と考えてしまいがちです。私も ITビジネスに自ら携わるまでは同じ思いでした。しかし
はじめに -言葉が分かればうまくいく
ITビジネスの真ん中で私が経験したことは、プログラミングでもなければ無機質なハード
第1章 イノベーションは
「変わらぬ下心」から
第2章 「エコシステム」で再び負ける
日本
ウェアでもない、人間ドラマの連続だったといえます。強い ITは強い人間、強い組織が
産み出すものなのです。
I Tの世界でこれからも人間ドラマが繰り返されていくことは間違いありません。一
第3章 クラウドの本当のインパクト
方、ITの環境、すなわち人間ドラマを乗せているプラットフォームは大きな変化の時期
第4章 「ITは分からない」の理由
を迎えています。クラウド、モバイル、マシンラーニングにAPI。こうした新しい ITプ
第5章 みんな忘れている
最重要ミッション
第6章 「できろ」命令と「ご意向」
プロジェクト
第7章 クラウド問題に直面する
日本企業
第8章 ガンバレ日本のIT
ラットフォームは人間ドラマの中身をすっかり変化させてしまうことでしょう。
ことはITだけにとどまりません。
ビジネスと ITとが一枚岩になってこそ「強い IT」が実現するのです。このことは私が
研究員の時代から本部長、担当役員の時代を通じて自らのミッションだと考えてきたこと
です。NRIの会社としてのアイデンティティーの一番深いところにも同じものがあると考
えています。
『FinTech 2.0
-金融とITの関係がビジネスを変える』
著者:楠真 出版社:中央経済社 発行年月日:2016年3月30日
「ここが読みどころ」
~筆者からのメッセージ
ブロックチェーンがどうのとか、ロボアドバイザーがこうのといった話がメディアを
賑わせていますが、FinTechってNR I のことじゃないか。そう思いながら「FinTech
2.0」という本を書くことにしました。NRI のような古くからのFinTechに対して、新し
く生まれつつあるFinTech2.0という意味です。
本の取材を通じてたどりついたひとつの結論は「FinTechは青い鳥だ」ということで
す。メディアが宣伝するブロックチェーンもクラウドファンディングも、ひとつひとつは
たいしたことなかったり、昔からある話に過ぎなかったりします。まるで青い鳥を手に取
主要目次
第1章 FinTech って何?
第2章 アメリカのベンチャービジネス
とFinTech2.0
第3章 FinTechを支えるテクノロジー
第4章 FinTechが生まれた
アメリカ金融業界
ると普通の小鳥に変身してしまうという童話のようです。
しかし何も起きていないのではありません。むしろ金融機関も、私たちNRIのような金融
ITサービス業も本質的で構造的な変化の渦のなかに巻き込まれようとしています。競争ルー
ルが変化し、金融とITをつつみこむプレーヤーが変化しようとしているとき、チャレンジし
なければならないのはベンチャー企業ではなく、既存の金融機関、金融ITサービス業です。
第5章 ロボアドバイザー
第6章 仮想通貨とブロックチェーン
第7章 クラウドファンディング
第8章 FinTechのこれから
私たち日本の金融・金融 IT業界が自らの自己変革、デジタルトランスフォーメーショ
ンに挑んでいく決心をしたときに、FinTech 2.0は私たちの目の前に存在しています。
そこで何をするかは日本の金融ビジネスの問題なのです。
Financial Information Technology Focus 2016.10
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