磐田市市税収納対策 第3期アクションプラン

磐田市市税収納対策
第3期アクションプラン
平成28年8月
磐田市企画部収納課
(目次)
1.目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1頁
2.第1期・2期のアクションプラン目標達成状況 ・・・・・ 1頁
3.第1期・2期のアクションプランによる成果 ・・・・・・ 2頁
4.第3期アクションプランの目標
・・・・・・・・・・・・
3∼4頁
(1)目標設定の考え方 ・・・・・ 3頁
(2)第3期アクションプランの数値目標 ・・・・・
5.3年間の具体的取り組み
・・・・・・・・・・・・・・・
(1)滞納整理に関すること
・・・・・ 5頁
(2)納税しやすい環境の整備 ・・・・・ 6∼7頁
(3)職員のモチベーション
(4)他部門との協力
(5)納税啓発
4頁
・・・・・ 7頁
・・・・・
・・・・・
8頁
8頁
(6)効率的な滞納整理の推進 ・・・・・ 9頁
5∼9頁
1.目的
第1期、2期のアクションプランの8年間に実施した取り組み成果を踏まえ、
平成28年度から30年度までの3年間の目標と滞納整理の基本理念である
「合法」、「公平」、「効率」を意識した具体的な取り組みを明記し、更なる収納
率の向上と滞納繰越額の削減を推進する。
2.第1期・2期のアクションプラン目標達成状況
(1)
第 1 期アクションプラン(平成 20 年度∼平成 24 年度)
①市税現年分収納率を平成 24 年度までに 99%に向上させる。
市税現年分収納率
H19 年度
98.17%/H24 年度 98.55%
②市税滞繰越分収納率を平成 24 年度までに 20%以上に向上させる。
市税滞納繰越分収納率
H19 年度 19.80%/H24 年度 19.12%
③市税滞納繰越額を平成 24 年度までに 10 億円未満とする。
平成 19 年度から 20 年度に繰り越した額 16.3 億円
平成 24 年度から 25 年度に繰り越した額 17.6 億円
④国保現年収納率を平成 24 年度までに 93.5%に向上させる。
国保現年収納率
H19 年度
93.18%/H24 年度
92.00%
※リーマンショックの影響もあり、全ての項目について未達成
(2)
第 2 期アクションプラン(平成 24 年度∼平成 27 年度)
①現年度収納率目標
:
一般会計 98.7%、 国保会計
平成 27 年度現年収納率 : 一般会計 98.95%、国保会計
93.5%
92.81%
29 億円(一般会計 16.5 億円、国保会計 12.5 億円)
②累積滞納額目標
平成 27 年度から 28 年度に繰り越した額
23.7 億円(一般会計 11.5 億円、国保会計 12.2 億円)
③市県民税特別徴収義務者:
69.0%
平成 28 年度当初
全納税義務者を対象とした割合特別徴収義務者の割合 65.3%
※国保会計現年収納率・特別徴収割合以外の目標は達成
-1-
3.第1期、第2期アクションプランによる成果
未達成の目標はあったが、第1期、第2期アクションプランにより、下記
のような成果を上げることができた。
(1) 収納率の向上
①一般会計現年度収納率の推移
単位:%
年度
19
20
21
22
23
24
25
26
27
収納率
98.17
97.88
97.31
98.20
98.22
98.55
98.72
98.89
98.95
②一般会計滞納繰越収納率の推移
単位:%
年度
19
20
21
22
23
24
25
26
27
収納率
19.80
20.00
18.60
17.60
16.38
19.12
21.38
24.15
23.90
③国保会計現年度収納率の推移
単位:%
年度
19
20
21
22
23
24
25
26
27
収納率
93.18
91.31
90.08
91.14
91.80
92.00
92.23
92.69
92.81
④国保会計滞納繰越収納率の推移
単位:%
年度
19
20
21
22
23
24
25
26
27
収納率
12.76
14.88
13.46
14.32
14.80
15.78
15.10
16.18
18.01
(2) 滞納繰越額(年度末収入未済額)の削減
①一般会計
年度
滞納繰越額
単位:億円
19
16.3
20
21
17.9
19.6
22
19.6
23
19.5
24
25
17.6
15.3
②国保会計
年度
滞納繰越額
26
13.0
27
11.5
単位:億円
19
14.1
20
14.6
21
15.6
22
15.9
23
15.6
24
25
15.4
26
27
13.0
12.2
14.7
(3) 滞納者数の削減
滞納繰越分滞納者数の推移
年度
滞納者数
19
148
20
157
単位:百人
21
153
22
146
23
150
24
25
26
27
130
118
107
99
(4) 特別徴収義務者指定割合(給与所得納税義務者の指定割合)
年度
滞納者数
23
70.5
24
82.0
25
26
27
28
81.7
83.1
83.4
84.2
※平成 24 年から県下一斉に法を遵守した全指定を開始
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4.第3期アクションプランの目標
(1)目標設定の考え方
①現年度収納率
一般会計については、第1期アクションプランでは、大きな経済変動の
影響により、全く目標に届かなかったが、第2期アクションプランでは、
計画初年度(平成25年度)に計画最終年度(平成27年度)の目標をク
リアし、26、27年度も更に向上した。
また、国保会計については、第1期については、一般会計と同様の結果
となり、第2期でも国保の加入者の中には、失業者や派遣労働者等の雇用
が不安定な生活困窮者が多く含まれており、納税が困難な状況であること
から目標達成はできなかった。
上記のように収納率は、経済情勢や国保のように納税者の個別要因に左
右されるため、収納率を毎年、少しずつ向上させるような目標は現実的で
はなく、目指す数値のみを設定する。
②滞納繰越分収納率
第1期アクションプランでは、計画最終年度の収納率が、計画前年度の
収納率を下回る結果となり、目標が全く意味をなさなかったことから、第
2期アクションプランでは、収納率の目標設定は行わなかった。
滞納繰越の収納率低下の原因は、長期間滞納整理が進まない「大口の塩
漬け案件」であり、平成 28 年度の国保税を含めた滞納繰越調定額 23.7 億
円のうち100万円を超える滞納者は597人で、全滞納者9,876人
の6%であるが、その滞納額は約12億円であり、全滞納額の5割以上を
占めている。
また、平成27年度の一般会計滞納繰越分の収納率は、前年対比で0.
25ポイント低下したが、収入額に換算すると320万円であり、大口滞
納者の一括納付等の有無により、影響をうける範囲内である。
したがって、収納率を毎年、少しずつ向上させるような目標は、現実的
ではないため、目指す数値のみを設定する。
③滞納繰越額
第1期アクションプランでは、収納率と同様、大きな経済変動の影響で
目標設定時の滞納繰越額を上回る額となったが、第2期アクションプラン
では、滞納繰越分の徴収強化と平行して現年度分の徴収対策にも取り組ん
だことで、一般会計では、滞納繰越分の収入額が、現年度から滞納繰越と
なる額を上回るようになったことに加え、経済情勢の悪化により、膨らん
だ滞納額が不納欠損となったことで、目標額を大きく下回る結果となった。
今後は、不納欠損額が縮小するため、滞納繰越額の削減幅が小さくなると
思われる。
-3-
④市県民税特別徴収割合
市県民税納税者に占める特別徴収の割合については、個人住民税収納率向
上対策本部会議で収納率向上対策の一つに位置づけられており、平成 24 年
度から開始した特別徴収義務者全指定の推進により毎年向上している。
ただし、数値については、市町村税課税状況等の調(総務省)の算定方法
(給与所得納税義務者のうち特別徴収による割合)とする。
(2)第3期アクションプランの数値目標
①現年度収納率
一般会計は、平成27年度の収納率が98.95%となったこと、県内
23市中、9市が99%を達成していることからから、現実的な数値とし
て、99%の達成を目指す。
国保会計は、平成27年度の収納率が92.81%となったこと、県内
23市中、6市が93%以上を達成していることから、現実的な数値とし
て93%の達成を目指す。
②滞納繰越収納率
一般会計は、平成26年度の収納率が、24.15%、平成27年度の
収納率が23.9%となったことから、25%の達成を目指す。
国保会計は、平成27年度の収納率は18.01%となり、前年対比で
1.83ポイントと大きく向上した。したがって、20%の達成を目指す。
一般、国保とも大口滞納者の納付の有無等、滞納者の状況が収納率に大
きく影響することから、年度ごとの目標は設定しない。
③滞納繰越額
滞納繰越額は、不納欠損額が大きく影響するが、不納欠損額は差押等に
よる時効中断や会社の破産による即時欠損等があるため、不納欠損額の
予測は困難である。また、過去3年間の滞納繰越額は、一般会計が 6.1
億、国保会計が、3.2 億削減されたが、この実績はリーマンショック時に
膨らんだ滞納が5年の時効により欠損となった影響が大きいため、今後
は、削減幅は縮小していくと予測される。したがって、滞納繰越額の目
標数値は、一般会計を3億円削減し、8.5 億円、国保会計は 2.2 億円削減
し 10 億円とする。なお、年度ごとの目標は設定しない。
④市県民税特別徴収割合
平成 24 年度の全指定の開始以来、確実に向上しているため85%の達
成を目指す。
-4-
5.3年間の具体的取り組み
(1)滞納整理に関すること
①催告書の効果的活用
ア.一斉催告書
現年度のみの滞納者に7.9.11.1.3月の年5回発送
(11月は滞納繰越分も含め、全滞納者を対象とする。)
※平成24年度から郵便局を除く金融機関での納付可能な様式に変更
※平成27年度からQRコードにより、コンビニ納付を希望する納税
者等からの連絡手段を拡大
イ.個別催告書(給与調査予告、差押予告等)
現年度のみの滞納者で、一斉催告書に反応がない者に対し、11月
及び4月に納付書を同封し発送する。
滞納繰越分については、原則として差押執行前に発送する。
ウ.カラー刷りチラシの同封
捜索や給与の差押等をわかり易く表示したチラシを作成し、個別催
告書に同封する。特に外国人宛ての催告に活用する。
②差押の執行
個別催告に反応がない者に対しては、給与、預金を中心とした財産調
査を行い、速やかに差押を執行する。
③延滞金の完全徴収
確定延滞金(本税は完納しているが延滞金のみが残っているもの)に
ついては、催告書に納付書を同封し発送する。反応がなければ、財産調
査、差押を執行する。
④分割納付に対する履行確認の徹底
分納履行状況を確実に監視し、分納不履行者には、分納不履行通知を
発送、反応がなければ、財産調査、差押を執行する。
⑤少額分納者への増額要請
過去から少額分納を続けており、完納までに長期間を要すものや完納
の目処がたたないものには、増額要請を行う。
⑥適正な執行停止の推進
地方税法では、徴収を猶予する期間は最大2年であり、債務承認や差
押により時効を中断し、滞納額に見合わない額を長期間分納させること
は好ましくない。したがって、家族構成及び所得状況等から、生活困窮
と推察される場合は、呼出による面接、臨戸等により、生活実態を把握
し、執行停止の条件に該当するものは、速やかに停止する。
-5-
⑦現年度平行納付の徹底
「徴収を猶予(分割納付)する場合は、新たに納期限が到来するもの
を納期限内に納付することを条件とする。」という平成28年4月に施行
された地方税法の改正趣旨に合わせ、繰越分の分割納付をする場合は、
現年度分を並行して納付し、年度内に完納することを原則とする。
⑧捜索の実施
県内に捜索を財産調査の手法として日常的に行っている自治体があり、
本市においても財産の実態が掴めない場合や高額な滞納金額を執行停止
する場合等、日常的に捜索を行うことができる体制作りを図る。
捜索により押収した物品は、インターネット公売により売却し、市税
に充当する。
⑨電話催告
平成24年度から26年度までの3年間実施した現年度のみの滞納者
に対する電話催告の民間委託については、通話1件当たりのコストが千
円を超えること、3年間で現年滞納者のうち通話可能な滞納者には、一
通りの催告ができたこと及び実施していた近隣市も中止したこと等を考
慮し、本市においても平成27年度は行わなかった。
しかし、平成27年度の現年収納率は、前年度を上回る結果となった
ことから、電話催告は収納課職員が必要に応じて行うこととし、本計画
においては、電話催告の民間委託は行わないこととする。
(2)納税しやすい環境の整備
①口座振替の加入促進
当初納付書に葉書タイプの口座振替申込書を同封し発送する。
※国民健康保険税は実施済みであったが、市民税、固定資産税、軽自
動車税、についても28年度から実施
(平成28年7月末 口座振替申し込み状況)
税目
市県民税
固定資産
軽自動車
全体数
1,133
2,159
605
480
621
1,308
439
71
内 葉書
国保
②コンビニ・ゆうちょMT納付の継続
平成22年度に導入したコンビニ・ゆうちょMT納付は、平日に銀行
窓口に行く事ができない方や銀行が近くにない方等に多く利用され、平
成27年度は約15万件の利用があり、納付方法の一つとして定着した。
また、コンビニ納付のネット版として、自宅で納付可能なモバイルレ
ジを平成26年度に導入した。
-6-
③新たな納付方法の導入
納税者から要望が多いクレジット納付について、具体的な検討を行い
費用対効果等の検証を行う。
※納期限までに納付したものが、翌月又は翌々月の決済となるため、市
及び納税者にメリットがあるが、取扱い手数料の負担と利用者へのポ
イント還元との調整が課題
④時間外窓口の開設
毎週木曜日の19時まで及び毎月第2日曜日の8時30分から正午ま
で、市役所本庁舎の開庁日に合わせ、時間外窓口の開設を継続する。
⑤市県民税特別徴収の拡大
特別徴収は給料から確実な納税が行われることと、納税者にとっても
12回の分割払いとなるため、負担感が小さく納税しやすいため、法を
遵守した特別徴収義務者の指定を推進する。
具体的には、給与受給者3人以上の事業所を対象とし、特別徴収がで
きない従業員は、給与支払報告書提出時に理由書を添付させる。
(3)職員のモチベーション
①進行管理の徹底
滞納繰越分の全滞納者の状況(完納、執行停止、分納管理等)を滞納
整理システムで毎月把握し、滞納整理の進行状況を確認する。これによ
り、担当者の取り組み成果が数字として確認される。
②収納金額の把握
担当者ごとの収納額を毎月、把握することで、担当者の取り組み成果
が徴収実績として評価される。
③職員の能力向上策
滞納整理機構の専門研修や民間の研修機関を利用した職員研修を実施
し徴収業務に関する知識の修得と徴収技術の向上を図る。
新たに収納課に配属された職員に対しては、2人1組の班体制により、
OJTによる研修を行う。
④滞納整理計画の作成
滞納整理の年間計画と月間計画を作成し、職員全員が一丸となって滞
納整理に邁進する士気の向上を図る。
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(4)他部門との協力
①税3課の協力
市税課、国保年金課の課税部門とは、連絡を密にし課税が原因で滞
納とならないように努めるとともに、滞納となってしまった場合は、
協力してその解消に当る。なお、平成22年に設置した3課調整会議
は、3課全体に係る共通の問題は、ほとんど解消したことから、その
必要性が高まるまで休止する。
②滞納整理機構の有効活用
滞納整理機構では、県下市町から派遣された職員が他市町から移管
された滞納者を1年の期限を区切って、厳しい処分を行うことができ
る。したがって、本市で滞納整理が進まない案件を機構へ移管するこ
とで解決に向かう事例が数多くあるため、平成28年度は30件を移
管し、将来的には50件まで移管件数を増やす方向で検討する。
また、機構に毎年、職員を派遣しており、派遣された職員が徴収の
ノウハウを習得して持ち帰り、滞納整理のスキルの維持、向上を図る。
③県との協力
地方税法第48条による徴収委託や県民税の徴収率が全国ワースト
ワンになったことによる個人住民税徴収対策の一つとして実施されて
いる県職員の身分併任による協力を継続する。
(5)納税啓発
①納税啓発チラシの活用
課税通知書や当初納付書に納税啓発のチラシを継続して同封する。
チラシの内容は、マンネリ化しないように毎年度精査する。
②納期限のお知らせ
うっかり忘れの滞納を防止するため「納期看板」の設置や「納付カ
レンダー」の全戸配布、「磐田ホットライン」による納期のお知らせを
継続して行う。
③税を考える週間との協力
国税庁が設定する「税を考える週間」に合わせ、小中学生のポスタ
ー、書道の作品展示を行う。また、磐周税務協議会が開催するジュビ
ロスタジアムやららぽーと磐田での啓発イベントに協力する。
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(6)効率的な滞納整理の推進
①臨時職員の活用
正規職員が滞納整理に集中して取り組めるように財産調査に関する
調査書作成、発送等の軽微な作業は臨時職員を雇用し担当させる。
②滞納整理システムの活用
滞納整理システムは、滞納者との折衝記録、分納管理、差押関係書
類の作成等、事務の効率化に大きな成果を上げており、第2期アクシ
ョンプランの成果の原動力となっており、今後も継続して活用する。
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