参考:経済産業省標準化関連事業の概要

経済産業省標準化関連事業の概要
 経済産業省では、国際市場で競争優位に不可欠な分野や我が国企業等が保有する優れた技術・
製品、また安全・安心な社会形成等に資するテーマ等について、必要に応じて試験・データ収
集等を行った上で、国際標準原案の開発・提案、開発する国際標準の国際ルールにおける引用
や他国の規制・調達基準等への導入、試験・認証基盤構築、又はJIS原案の開発を行う事業を、
企業・民間団体等に委託をして実施しています。
国際標準(ISO/IEC)
JIS
対象テーマ
我が国が強みを持つ先端技術分野や社会・産業基
盤分野、省エネルギー・新エネルギー分野の技術・
製品等に関する国際標準化であって、民間主導で
は実施が困難なもの
我が国中堅・中小企業等が保有する先端技術や我が
国製造業が強みを持つ高機能材料・製品、安全・安
心な社会形成等に資するJIS開発であって、民間主
導では実施が困難なもの
委託先
企業、民間団体等
企業、民間団体等
対象経費
試験研究、技術調査、国内対応委員会開催、国際
会議出席、国際会議等日本開催、国内試験・認証基
盤構築等
試験研究、技術調査、原案作成委員会開催
事業期間
原則3年以内
原則3年以内
<平成29年度事業の実施に向けた準備スケジュール(予定)>
平成28年10月頃
標準化テーマ調査(日本工業標準調査会(JISC)ホームページ、省内関係課・関係団体等を通じて)
平成29年1~2月頃 JISC審議を経て実施テーマ決定
平成29年2~3月頃 実施者公募・決定
※上記スケジュールは平成28年度事業実績をもとに想定したものであり、事業実施の可否を予断するものではありません。
新市場創造型標準化制度
 標準化官民戦略に基づき、2014年7月、業界団体を通じたコンセンサスを求めない
「新市場創造型標準化制度」を創設しました。
 例えば、その企業固有の尖った(優れた)技術があるものの、
・企業1社で業界内調整が困難な場合、
・中堅・中小企業等で原案作成が困難な場合、
・複数の産業界にまたがる場合に、
従来業界団体でのコンセンサス形成を経ずに、迅速なJIS化や国際標準提案が可能となっています。
国際標準開発事業のテーマ例
第4次産業革命をリードするための
国際標準化
(スマートマニュファクチャリング)
<国研を核にした業界横断的対応>
事務局:産業技術総合研究所
特定の工業会が存在しない領域融合的な分野
であるため、国立研究開発法人産業技術総合
研究所を事務局とする「スマートマニュファクチャリ
ング標準化推進委員会」を組織。
欧米は産業全体をとらえた「ネットワーク化」を推
進。日本が強い製造設備・機器の情報を守りな
がら、製造業以外とネットワーク化出来る仕組み
を検討中。(工場内外を流通させるデータ項目
等の標準化)
電力貯蔵用蓄電システムの
国際標準化
<新市場創造型標準化制度活用>
提案企業:大成プラス(中小企業)
東ソー、東レ、三井化学(大企業)
【背景】
IECにおいて、スマートグリッド関連の標準化活動
が活発化する中、ドイツ、中国等により、系統連
系等についての標準化戦略調査が進められてい
たところ。
こうした状況下、我が国が中心となり、いち早く電
力貯蔵に関する調査報告書を取りまとめ、これを
よりどころに、我が国が幹事国となる新TCを設立
提案することとなった。
【背景】
中小企業である大成プラス社が開発した金属とプ
ラスチックのナノテク接合技術は、接着剤に比べ
非常に高い強度を持つものの、評価方法の標準
が存在しないことから、安全性を求められる自動
車用途の新市場開拓ができていなかった。
電力貯蔵用蓄電システムに関する新たな専門
委員会(TC)の設立提案
他地域工場
「樹脂-金属 異種材料複合体の特性評価
試験方法」の国際標準化提案
大手樹脂メーカーである、東ソー、東レ、三井
化学と共に、国際標準化提案することを決定。
日本が幹事国をつとめるISO/TC61(プラスチッ
ク)において事前説明を行い、各国から支持を得
た。加盟国による投票を経て、2013年9月に
国際標準化の新規提案が正式承認された。
(2015年8月、国際標準発行)
地場中小工場
<工場間>
・中小企業にも開かれた柔軟かつオープンな
受発注、物流システムを構築
・システム全体をITにより一括管理・自動化
・工場群全体の生産性・稼働効率の向上
<新市場創造型標準化制度活用>
提案企業:東芝、日立製作所
スマートマニュファクチャリング概念図
<工場内>
・「部品」、「ロボット」「工作機械」が設計情報
をITを活用して交換(「会話」)
・自律的に加工方法等を判断し、自動生産
金属-樹脂複合材料の特性評価の
国際標準化
加盟国による投票を経て、2012年10月に我
が国を幹事国とするIEC・新TC120設立が正
式承認された。現在当該TCにおいて、我が国
提案の電力貯蔵用蓄電システムに関する国際
標準案を審議中(2017年4月、国際標準発
行予定)
ソニー製のプロジェクタの
筐体に実装された。
JIS開発事業のテーマ例
液体用高機能容器に関するJIS
高機能塗料による表面処理方法に関するJIS
<新市場創造型標準化制度活用>
<新市場創造型標準化制度活用>
提案企業:悠心(中小企業)
提案企業:竹中製作所(中小企業)
耐久性、耐食性等に優れる
高機能性塗料による金属の
表面性能をJIS化
開封後も液体内容物が高い鮮
度を保つことが可能な逆止弁を
用いた液体用高機能容器の評
価方法をJIS化
子ども服のひもの安全基準に関するJIS
形態安定加工繊維製品に関するJIS
子ども用衣料に附属するひもに起因する事故の未然防止を図る
ため、年齢層別・身体部位別にひもの有無、長さの制限などの規
定をJIS化
<規定事項例: 頭、及び首まわりのひも>
シワが多い
垂れ下がっている
ひもがあってばな
らない
1級
シワが少ない
2級
3級
4級
5級
洗濯の水温、回数、乾燥等の条件を規定し、洗濯後のシワの状態
から等級分けを行う。
S×R戦略の必要性
 標準化は、強制規格化されることで大きな効力を発揮するようになります。
対象ルール
標準*
(Standards)
×
ルールが効果的に
機能するための条件
ツール/政策
例
デファクト化
ビジネスベースでの
普及
 マイクロソフトによるWindowsの
デファクト獲得
 ソニー・パナソニックによる
ブルーレイディスクのデファクト獲得
• (De-facto)
(ネットワーク経済
性による規格採用
インセンティブの向
上(規格の競争
力))
認証機関による
普及・推進
事業参入規制
事業参入機会の制限
×
強制規格化
(Regulations)
• 標準の法制度化
(Regulations)
租税措置
・・・
(国際法・地域法・
各国法)
製品製造・流通規制
輸出入制限
 BSI(英国規格協会)による、
民間標準からISO標準までの
多様な標準の普及・推進
 Wi-fi Allianceによる無線通信規格
(IEEE 802.11)の普及・推進
 認証のための試験所事業
 イランによる看護サービスの国際標準
化提案
 JR東日本におけるICカード(フェリカ)
調達の際の参入制限トラブル
 UN/ECE基準の採用による自動車の
型式指定等による製品流通規制(安全
性・環境基準)や製品試験方法の限定
 特定の成分の含有禁止(たばこ規制への
ISO測定法の採用)
 EUにおけるニューアプローチによる品
質・安全等に関するEU指令への整合規
格の採用(例:TVの待機・オフモードの
消費電力)
 タイ自動車税制はHVに有利な物品税
制を採用
 ISO規格が定める測定方法に基づく、
特定工作機械の輸入制限
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S×R戦略の成功事例
 日本に強みのある省エネ性能の評価方法について、ベトナム省エネ規制(Regulation)に対しても
性能評価基準を導入しながら、国際標準(Standard)獲得を実現しました。
ルール形成機会となるRegulation
ベトナムの省エネ関連法・制度
新たに入れ込むStandard
日本発の省エネ性能評価方法に関する規格
ラベル
対象
•
•
•
家庭用機器(蛍光灯、エアコン、
冷蔵庫、テレビ等)
オフィス機器(複写機 等)
産業機器(変圧器、モータ等)
国際規格改訂案
( Standard
)
省エネラベル規制
( Regulation)
•APEC、ASEAN
 既存ISO/IEC規格は、高い省エネ性能
背景  近年エネルギー需給が逼迫
関連会合を通じベ 背景 の評価ができず、日本企業の高い省エネ
トナム側の理解を
性能製品の優位性がアピールできない
 省エネ性能測定に関する専門的知 醸成
課題
見・スタッフの欠如による評価方法 •現地試験機関の
課題  ベトナムなどアジア諸国からの日本発ISO
の不在
基盤整備支援を
/IEC改訂規格への支持の取り付け
実施
 省エネ法制定(2010年)以降、
省エネラベリング制度などを具体化
 既存ISO/IEC規格の改訂提案を開発
• JIS規格をベースに、使用消費電力量測
定
エネルギーラベル貼付に関する
により、適正な省エネ性能評価が可能と
通達
なるISO/IEC規格改訂案を作成
 改訂ISO/IEC規格が成立