減災復興政策研究科について

兵庫県立大学大学院
減災復興政策研究科の概要
(本文章は、設置申請の際に文部科学省提出した本大学院の「設置の趣旨及び必要性」からの要約
です)
1. 大学、研究科の特徴
(1) 兵庫県立大学の概要
兵庫県立大学は兵庫県が設立した公立大学で、6 学部、13 研究科、4 附置研究所を有する総合
大学である。県内各地に 8 つのキャンパスを有し、学部生・大学院生合わせて約 7 千人が学んで
いる。2004 年に当時の神戸商科大学・姫路工業大学・兵庫県立看護大学の 3 県立大学が統合し
て設立され、2014 年に創立 10 周年、また、神戸商科大学の前身である県立神戸高等商業学校の
開学から数えて創基 85 周年を迎えた。
本学の基本理念は、「統合による相乗効果と総合大学のもつ利点・特徴を最大限に生かし、異
分野間の融合を重視した教育と研究を行い、独創的・先駆的な研究を推進して『新しい知の創造』
に全力を尽くす。また、新しい時代の進展に対応し得る確固たる専門能力と幅広い教養を備えた
人間性豊かな人材の育成に努め、地域の発展と我が国の繁栄、ひいては世界・人類の幸せに貢献
しうる大学となることを目指す」ことである。この基本理念のもと、①教育の成果を誇り得る人
間性豊かな大学、②先導的・独創的な研究を行う個性豊かな大学、③世界に開かれ、地域ととも
に発展する夢豊かな大学、を目指す大学像にしている。
(2) 研究科の必要性
減災復興政策を推進するには、政府、自治体による「公助」のみならず、企業、NPO、コミュ
ニティ、市民等が自ら対応する「自助」や、それぞれが互いに助け合う「共助」が不可欠である。
これらの主体が様々な角度から多角的に取り組み、必要に応じて連携、協働することにより、災
害に強い安全・安心な社会が構築される。そのためには、それぞれの主体において、その取組み
をリードする中核的な人材が求められている。
地方自治体では、減災復興に関する多様な知識や経験を備えた人材、特に「住まい」
「産業・雇
用」
「医療・健康・福祉」等各分野毎の防災対策を担う人材や、人事、財政、計画といった自治体
のガバナンスに関する危機管理対応の中核となる人材も求められている。
企業については、災害時の「事業継続計画(Business Continuity Plan)」の策定や、災害時
の企業による被災地貢献など、減災復興に精通した人材の確保が求められる。
ボランティア、コミュニティ、NPO 等市民を中心にした地域防災の分野でも、災害対策基本
法の改定によって、
「自主防災組織等多様な主体による自発的な防災活動」
「行政とボランティア
の連携」
「事業者の事業継続の努力義務」
「住民による教訓伝承や生活必需物資の備蓄、防災訓練
への参加等地域住民の責務」
「自主防災組織構成者の都道府県防災会議委員への指名」
「地区防災
計画制度の創設」等が規定されることとなった。今後、それらの分野において中核となる人材が
求められる。
学校では、災害時の「学校教育応急対策と教育活動の早期再開」、
「児童生徒の心のケア」、
「学
校における避難所運営支援」や、普段の学校防災教育の推進などに取り組む人材が求められる。
災害に強い社会づくりに向けた、減災復興に関する政策の立案や実施、対策の実践等を担える
1
知見を有した人材を育成することに主眼を置いた研究科を目指していることから、研究科名を「減
災復興政策研究科」
、専攻名を「減災復興政策専攻」とする。
(3) 研究科の特徴
① 阪神・淡路大震災以降の災害教訓の蓄積を活かした教育研究
兵庫県は、1995 年、阪神・淡路大震災を経験した。大都市を直撃した未曾有の災害として、
道路、鉄道等のインフラや住宅、工場等ハード施設に甚大な被害を及ぼすとともに、コミュニ
ティの希薄さや高齢者の孤立など都市社会が潜在的に抱える課題を浮き彫りにした。兵庫県は、
災害発生後から、1 か月、1 年、5 年、10 年、20 年とそれぞれのステージにおいて、何が問題
となったか、それに対してどのような施策を講じたか、さらには、それらを踏まえて他地域で
災害が起こった時にどういう支援を行ったか等について、単に災害を防ぐという視点だけでな
く、住宅、産業、インフラ、教育、文化、医療、健康、福祉等様々な分野で教訓やノウハウを
蓄積してきた。
本研究科は、その兵庫県が設立した公立大学として、阪神・淡路大震災後に蓄積された教訓
や知見を学問的に体系化し、教育研究面で社会に貢献することを第一の目的に設置するもので
ある。
② 行政、企業、市民、ボランティア、被災者などの多様な主体を活かした教育研究
阪神・淡路大震災とその復興に関わる特色として、復興の担い手は行政や企業などの組織に
止まらず、幅広く市民、ボランティア、被災者といった個人も含まれる。ここでは、これらの
担い手を「主体」と呼ぶこととする。地域に密着した公立大学として、その教育研究に多様な
主体が有する資源を活用するところにも特色がある。こうした教育研究を通じて、災害に強い
社会づくりに貢献する人材を養成することは、本学の理念に合致するものである。
③ 「減災」と「復興」を一体とした「減災復興」の概念に基づく教育研究
阪神・淡路大震災以前は、災害は未然に防ぐものとの考え方のもと、ハード対策に重点を置
く施策が数多く講じられてきたが、この震災を契機に、特に巨大災害に備えるには、災害を防
ぐというよりも、可能な限り被害を軽減する「減災」の考え方が極めて重要と認識されるよう
になった。そして阪神・淡路大震災の教訓として、ハード面、ソフト面ともに「復興」の過程
が「減災」につながっていったことが挙げられる。
「減災」と「復興」をそれぞれ別々に取り組
むのではなく、「減災復興」として表裏一体的なものとし、災害に強い社会づくりを行うこと
が重要である。
④ 人文社会系を中心とした「減災復興政策」の教育研究
本研究科においては、
「減災復興政策」を教育研究の対象とする。
「減災復興政策」には、政
府、自治体が行う公共政策、企業が取り組む経営戦略、NPO やコミュニティによる行動計画
のほか、被災地の復興に向けた実践的な活動などが含まれる。ここでは、人文、社会科学を中
心とした分野に重点を置いた教育研究を展開する。既存の学問分野としては、行政学、経済学、
都市計画学、建築学、社会学、心理学、教育学、情報学を基礎とし、さらには、法学、看護学、
福祉学等を含め、これらを横断的に組み合わせることにより、減災復興政策にかかる教育研究
を構築する。
⑤ 専門的知識と実践的対応を修得した減災復興に貢献する人材育成
ここで学ぶ学生に対しては、基礎となる学問分野を少なくとも一つの学士課程を修めた上で、
それを土台としてさらに関連する分野を重ね、専門的知識と実践的対応を修得する教育を行う。
その結果として、減災復興に関する施策の立案や実施、危機管理の実践、地域や学校での防災
教育、多様な主体のコーディネート等減災復興に貢献する人材を育成する。このような教育研
究を受けた人材が社会に配置されることで、減災復興をより迅速かつ効果的に行うことができ
る。
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本研究科で想定する主要な柱の一つに社会人教育がある。自治体職員であれ、小中高の教員
であれ、企業関係者であれ、多くは学部教育を修得した者であり、減災復興政策を大学院で学
び、それぞれの職場に復帰した際には、即戦力として災害に強い社会づくりにより効果的に貢
献できると考えられる。
(4) 教育を展開する柱となる領域
従来、防災分野では、災害要因となるハザードの評価(例:地震メカニズムの解析、台風の進
路予測)や、災害を未然に防ぐハードの構築(例:建築物等の耐震性の向上、河川の強化)に関
する教育研究が数多く行われてきた。しかし、多様な主体が協働し災害に強い社会づくりに貢献
する専門的な知識を持った人材を育成するにあたっては、従来にも増して、人文、社会科学分野
に重点を置いた減災復興教育を行う必要がある。
本研究科では、リスクを正しく把握し、それに対処する人間や組織のあり方を考察し、多様な
主体が協働することにより、災害に強い社会づくりが実現する、という考え方のもとで以下の領
域を置く。
① 減災復興アセスメント領域
「リスク」に着目し、災害を引き起こすハード、ソフトの要因(災害誘因、災害素因)等を評
価する。また、災害後の復興への取組み等も評価の対象となる。社会のリスクや被災状況等を的
確に評価できるよう、自然災害史、生活環境、社会調査手法、防災情報、シミュレーション、災
害看護等について学修する。
② 減災復興コミュニケーション領域
同じ被災であっても、人の行動によって、被害の軽減度合いや復興の速度は異なるため、「人
間」に着目し、その心理や行動や、人と人との関係、地域や世代を超えた教訓の伝承、被災者の
心理の変化と復興の速度や教訓の継承との関係性などについて考察する。この領域では、被災者
心理、社会心理、防災教育、災害の継承、避難者支援、ボランティア等について学修する。
③ 減災復興マネジメント領域
「組織」に着目し、危機を管理し平時の備えを講じる。災害発生直後の応急対応はもちろんの
こと、その後の住まい、生活再建、まちづくり等、さらにはそうした対策を支える組織、財源、
制度、人材育成等も含めたマネジメントのあり方について考察する。この領域では、災害対応、
都市計画、コミュニティ防災、企業防災、地域産業、雇用就業等について学修する。
④ 減災復興ガバナンス領域
多様な「主体」とその「関わり」に着目し、協働して災害に強い社会を構築する。災害に対し、
政府、自治体はもとより、企業、NPO、コミュニティ、ボランティア等各主体が個別に取り組むだ
けでなく、それぞれが有するニーズや資源を共有し、相乗効果を有機的に発揮できるよう、連携、
協働する方法いついて考察する。この領域では、ガバナンス、法制度、国家戦略、自治体行政、
被災者支援、国際防災協力等について学修する。
3
2. 入試について(学生受入方針、アドミッションポリシー)
(1) 求める人材像
本学ならびに他大学・大学院において、行政学、経済学、都市計画学、建築学、社会学、心
理学、教育学、情報学などの専門分野を修め、将来減災復興の専門家として活躍を期待する者
が想定される。減災復興に関連する学問は多岐に渡るため、学部教育を受けた者が出身学部に
おいて身に着けた基礎的素養をベースに、様々な角度から減災復興を学修する意欲のある者を
入学させる。社会人については、職場での経験を踏まえ減災復興に関する理論と実践を学修し
たい者も対象とする。なお、一般学生と社会人学生の割合は約半数ずつと想定しており、多様
なバックグランドを持つ学生が混在し、互いに切磋琢磨する教育研究環境の実現を目指す。
 本研究科の理念と教育(目標・内容)を十分に理解している人
 次代を担う、社会に貢献する等の目的意識を持って自らの能力を伸長しようとする勉学意
欲にあふれた人
 論理的思考や表現力など、志望する専門分野にふさわしい適性を有する人
(2) 入学にあたって必要とされる能力(アドミッションポリシー)
① 知識・技能
学士課程卒業相当の専門性と教養を身に着け、自らの思考・判断のプロセスや結果を説明す
るに必要な知識・技能を有している。
4
② 思考力・判断力・表現力
与えられた課題に対して学士課程卒業に相当する程度の理解力があり、自身の考えを表現す
るコミュニケーション能力とプレゼンテーション能力を有している。
③ 主体性・多様性・協働性
自らの研究課題を意識し、それに主体的に取り組もうとする意欲に加え、多様な文化や価値
観にも関心を抱き、様々な人々と協働して地域に貢献する意欲を有している。
(3) 入試方法
入学者の定員は、1 学年 12 名とする。入学試験の実施方法は次のとおりとする。
① 一般入試
「減災復興に関連する既存の学問分野の学士の学位を取得、あるいは取得予定である」こと
を応募資格として
 学部卒業程度の国語の表現力を確認する小論文を課す。
 英語筆記試験を課す。
 与えられた課題に対して、主体的に取り組む姿勢や自らの考えを表現する能力を有してい
るかを確認するため、面接形式の口述試験を課す。
② 社会人特別選抜
「学士の学位かそれと同等程度の学力」かつ「政府機関、地方自治体、企業、NPO 等におい
て 2 年以上の実務経験がある」ことを応募資格として、
 実務経験の内容と減災復興分野に関する知識、意欲を問う小論文を課す。
 与えられた課題に対して、主体的に取り組む姿勢や自らの考えを表現する能力を有してい
るかを確認するため、面接形式の口述試験を課す。
3. 育成する人材像、ディプロマポリシー
(1) 育成する人材像
本研究科が目指す、多様な主体が協働する災害に強い社会づくりの中核となる人材像は次の
いずれかのとおり。
① 減災復興に関する施策を担う能力を有する人材
行政、企業、NPO、市民等それぞれの主体において、減災復興に関する専門的な知見を学修
することにより、施策の立案や実施を担う能力を有する人材。
② 被災地における減災復興対策や平常時の危機管理を実践できる能力を有する人材
減災復興に関する専門的知識を踏まえ、災害後の応急対応、復興、さらには事前の危機管理
対策に取り組む能力を有する人材。
③ 学校やコミュニティにおいて防災教育リーダーとしての役割を担う能力を有する人材
小・中学校や高等学校等の学校現場で災害の教訓を伝えたり、児童・生徒に災害時の対応を
教えたり、さらに、災害後はこころのケアや教育の復興に貢献したりする人材。また、学校以
外の場において防災意識を構築し、災害に強いコミュニティを構築する人材。
④ 多様な主体を繋ぎコーディネートする能力を有する人材
特に社会人に関しては、行政、企業、NPO、市民など、それぞれが抱える課題や有するリソー
スを把握した上で、協働に向けたコーディネートをする能力を有する人材。
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⑤ 減災復興政策に関する学術分野で専門性を有する人材
減災復興に関連した研究や実践的な知見を融合し、教育・研究を深く探求する学術面で専門
性を有する人材。
(2) ディプロマポリシー
各領域を学修することにより、以下の能力をいずれも修得したものに学位を与える。
 災害を引き起こす要因を理解するとともに、災害前の備えや災害後の対策等を講じる
ことができる能力を有している。
 人の心理や行動を理解するとともに、多様な主体が協働して減災復興政策を推進する
ことができる能力を有している。
 減災復興政策に関する教育研究に立脚し、新たな分野を切り拓く論理性や独創性を有
している。
(3) 人材の育成と修了後の進路
① 学部卒業から接続して入学する学生
第一は、減災復興に関する施策の立案や実施、危機管理の実践、地域や学校における防災教
育、多様な主体のコーディネート等を担う高度の専門的職業人の育成である。修了後は地方自
治体、企業、学校、NPO/NGO 等への就職が考えられる。
(例:地方自治体の防災・危機管理部局、
土木、まちづくり、教育、福祉、産業、総務等の関連部局、企業のリスク管理部門、防災教育
担当の教員、自主防災組織リーダー、NPO・NGO メンバー、等)第二は、研究者の養成である。
② 社会人学生
地方自治体からの派遣等により入学する社会人については、職場へ復帰した後、政策の立案
や実施、実践的な対策等で中心的な役割が担えるよう養成する。
企業からの派遣等により入学する社会人については、BCP(事業継続計画)や BCM(事業継続
マネジメント)など危機管理対策や災害支援等を展開することが期待される。
学校関係からの派遣等により入学する教員については、現場における防災教育のリーダーと
して活躍することが期待できる。
NPO や NGO 関係者においては、行政等とパートナーシップを組む際の中心的役割を担うこと
が期待できる。
退職世代の場合は、経験や専門性を生かして、コミュニティやボランティアで中心的な役割
を果たしたり、行政や企業等の組織等で側面から貢献することが考えられる。
さらに、豊富な社会経験を生かして、多様な主体が有する課題やリソースを把握した上で、
協働に向けたコーディネートをする人材となることが期待できる。
また、より高度な研究を追求したい社会人学生に対しても、博士後期課程への進学の途を拓
く。
4. 教育について
(1) 教育課程の編成とカリキュラム体系
必要な領域の知識を組み合わせて、様々な角度から多角的に考え、実践できる人材を育成し
ていくため、履修する内容が1つの領域に偏らず、
「減災復興アセスメント」
「減災復興コミュ
6
ニケーション」
「減災復興マネジメント」
「減災復興ガバナンス」の4つの領域を一通り学修し
た上で修士論文の作成に当たる教育課程を組んでいる。
科目は、基礎科目、専門科目、特別演習、特別研究に分けられる。このうち、基礎科目、特
別演習、特別研究は必修科目とする。専門科目は4領域から1科目を選択必修科目に、それ以
外を選択科目とする。
① 基礎科目(1年、前期・後期)【4 科目・6 単位(必修)】
減災復興政策を学修する上での基礎となる「減災復興政策論Ⅰ及びⅡ」
「減災復興フィール
ドワークⅠ及びⅡ」の 4 科目で構成される。
「減災復興政策論Ⅰ」では本研究科の専任教員がオムニバス形式で講義を行う一方、「減災
復興政策論Ⅱ」では、専任教員の指導の下、阪神・淡路大震災からの復興に携わってきた実務
者・研究者等をゲストスピーカーに招いた講義を提供することにより、学生が減災復興政策の
概要について理解できるよう教育を行う。フィールドワークでは、教員同行の下、学生の希望
も踏まえつつ、被災地や災害対策現場等を調査し、減災復興にかかる実践的な視点を養う。学
生の関心や調査目的が大学院での研究につながるよう、それぞれの調査内容に精通した教員が
指導する。
② 専門科目(1・2年、前期・後期)【4 科目・8 単位(選択必修)】及び【3 科目 6 単位(選
択)】
リスクに着目し、災害を引き起こす要因等を評価する「減災復興アセスメント領域」は、自
然災害史、生活環境、社会調査手法、防災情報、シミュレーション、災害看護等に関するもの
で構成される。
人間に着目し、人間の心理や行動を考察する「減災復興コミュニケーション領域」は、被災
者心理、社会心理、防災教育、災害の継承、避難者支援、ボランティア等に関するもので構成
される。
組織に着目し、危機を管理し平時の備えを講じる「減災復興マネジメント領域」は、災害対
応、都市計画、コミュニティ防災、企業防災、地域産業、雇用就業等に関するもので構成され
る。
多様な主体とその関わりに着目し、協働して災害に強い社会を構築する「減災復興ガバナン
ス領域」は、ガバナンス、法制度、国家戦略、自治体行政、被災者支援、国際防災協力等に関
するもので構成される。
③ 特別演習(1 年、前期・後期)【2 科目・4 単位】
学生が減災復興に関する調査、研究を主体的に行う上で、必要となる知識、素養、技能、等
を修得できるよう、文献、学術書の購読、最新の研究成果の理解、実地調査等により指導する。
特別演習Ⅰでは、オムニバス方式で全専任教員の指導の下、文献を選択し論文講究を行う。
これにより、他学生、教員等との分野横断的な討論を通じて複眼的な幅広い視野を養うことで、
修士論文へとつなげるための問題意識を醸成する。特別演習Ⅱでは、指導教員や副指導教員を
仮決定し、修士論文作成のための関連文献の選択、研究課題の設定、研究計画の策定等にかか
る指導を行う。
④ 特別研究(2 年、前期・後期)【2 科目・8 単位】
基礎科目、専門科目、特別演習等を通じて得られた知見をもとに、学生が減災復興に関する
独自のテーマを設け修士論文を作成するよう指導する。
特別研究Ⅰでは、修士論文の作成につながるように、指導教員や副指導教員の指導の下、減
7
災復興政策に関わる研究分野の課題を抽出した上で、課題の調査、分析、論証等に取組み、学
内で中間発表に備える。特別研究Ⅱでは、中間発表での指摘事項等を踏まえて特別研究Ⅰでの
研究を発展させ、課題解決のためのさらなる調査、分析、論証等をもとに修士論文を作成する
ことを目指す。
【カリキュラムマップ】
8
【減災復興政策研究科の必要単位数】
履修時期
1年次
区分
領域
基礎科目
必修:6単位
特別演習
必修:4単位
減災復興アセ
スメント領域
(1科目を選
択必修)
1・2 年次
減災復興コミ
ュニケーショ
ン領域
(1科目を選
専門科目
選択必修: 択必修)
8単位
選択:
6単位以上 減災復興マネ
ジメント領域
(1科目を選
択必修)
減災復興ガバ
ナンス領域
(1科目を選
択必修)
2年次
計
特別研究
必修:8単位
32単位以上
科目
減災復興政策論Ⅰ
減災復興政策論Ⅱ
減災復興フィールドワークⅠ
減災復興フィールドワークⅡ
特別演習Ⅰ
特別演習Ⅱ
自然災害史論
生活環境アセスメント論
社会調査手法論
防災情報・地理空間情報論
減災シミュレーション学論
災害看護対象論
被災者の心理と心の復興支援論
社会心理学論
防災教育と心のケア論
災害の記憶と継承論
避難生活支援論
災害ボランティア論
災害対応マネジメント論
減災復興都市計画論
コミュニティ防災計画論
企業防災と事業継続論
地域産業復興政策論
雇用就業復興政策論
減災復興ガバナンス論
災害法制度論
国家防災戦略論
自治体防災行政論
被災者支援政策論
国際防災協力論
特別研究Ⅰ
特別研究Ⅱ
開講時期
前期
後期
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
単位
数
2
2
1
1
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
4
4
(2) 教育方法、履修指導、研究指導の方法及び修了要件
① 開講形態
授業は、1時限 90 分とし、大半の科目は月~金曜日の 1~4 限に開講する。フィールドワー
クについては、原則夏季休暇等を活用して集中的に実施する。
② 研究指導スケジュール
[1年次]
1年次前期の「特別演習Ⅰ」では、全学生を対象に、オムニバス方式で全教員がそれぞれの
専門分野に応じて文献を紹介し論文講究を指導する。学生に論文を読んで報告させることによ
り、先行研究の優れた点や問題点を自ら発見していく課題解決力を修得させる。さらに、他学
生、教員等との分野横断的な討論を実施することにより、複眼的な幅広い視野を養い、修士論
文へとつなげるための問題意識を醸成することを到達目標とする。
1年次後期の「特別演習Ⅱ」では、研究課題(領域)を絞り込み、当初(10 月)指導教員及び
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副指導教員を仮決定しその指導のもとで、研究課題の設定と研究計画の策定を行うよう学生を
指導する。研究課題に関連する文献や、修士論文の研究課題と先行研究との関連性等について
指導する。最後(3月)に修士論文作成のための研究計画書を作成させる。
[2年次]
2年次前期の「特別研究Ⅰ」では、当初(4月)、修士論文の作成に向けて正式に指導教員や
副指導教員を決めた上で、学生がそれぞれの研究分野における課題を抽出し、課題の調査、分
析、論証等を進めるよう指導する。さらに、研究計画の進行状況も確認しながら、7 月の中間
発表会での発表に向け指導する。2年次後期の「特別研究Ⅱ」では、中間発表での指摘等を踏
まえ、課題解決のためのさらなる調査、分析、論証等を行うよう指導した上で、論文執筆のた
めの指導を行う。1月に修士論文を提出させた後、主査1名、副査2名以上による審査(指導
教員を主査又は副査に含める)を行い、2月の公開発表会の開催に備える。公開発表会開催後、
審査委員会による合否判定を行い、修了認定(学位の授与)を行う。
③ 研究指導体制
本研究科修士課程は複数指導体制をとっており、学位論文の作成等を行う上で、主となる指
導教員の他に、他の領域から1名を副指導教員として研究指導を受けることができる。
④ 修了要件
本研究科修士課程は、課程修了の要件として、原則 2 年以上在籍し、下記の条件を満たす科
目の単位数の合計が 32 単位以上を履修し、在学中に必要な研究指導を受け修士論文の審査に
合格することとする。
修了要件単位数
基礎科目(必修)
6 単位
演習科目(必修)
4 単位
専門科目
選択必修
8 単位
選択
6 単位以上
特別研究(必修)
8 単位
合
32 単位以上
計
10