1 コンゴ民主共和国医療情報 以下は必ずしも最新の医療事情

コンゴ民主共和国医療情報
以下は必ずしも最新の医療事情ではありません。詳細(特に緊急時対応や予防薬の
服用方法など)については現地医療事情に詳しい医療専門家から常に最新のアドバ
イスを受けるようにしてください。
最新更新履歴: 2016 年 6 月更新
1.赴任前の準備
1)予防接種
コンゴ民主共和国に入国する生後 9 か月以上のすべての渡航者に、黄熱予防接種
証明書(イエローカード)の提示が求められている。黄熱予防接種証明書(イエローカ
ード)は生涯有効と認めている国のため、接種歴がある場合、再接種は不要であるが、
黄熱予防接種証明書(イエローカード)の携行は必須である。そのほかの予防接種は
任意であるものの、A 型肝炎、破傷風、狂犬病、B 型肝炎、腸チフス、髄膜炎ワクチン
(ACWY 型)については、可能な限り接種することを勧める。
小児については、日本で基本的な予防接種を完了してから赴任することが望ましい。
当地でも予防接種を受けることは可能であるが、接種スケジュールや接種方法(5 種
や 6 種混合)などが、日本とは若干異なっている。当地で接種を継続する場合は、こ
れまでの接種記録がわかる母子手帳(英文)を持参することを勧める。
2)その他の準備
慢性疾患等で内服治療等を継続する場合は、日本の主治医から英文の紹介状(病
名、治療内容、薬品名等が書いてあるもの)を作成してもらい持参することが望ましい。
歯科については、日本で治療を完了してくることが望ましい。また、眼鏡やコンタクトレ
ンズは、予備も含めて準備してきたほうがよい。特にコンタクトレンズ用品(ハードコン
タクトレンズは、ほとんど入手できない)については、洗浄液なども入手が困難な場合
があるため、必要であれば同様に持参するほうがよい。
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2.医療事情
1)医療機関
首都キンシャサには、基本的な検査や診察を受けることが可能な私立総合病院があ
る。通常、一般外来は予約なしで受診できるが、各科専門医を受診する場合は、予約
して診察を受ける。救急については 24 時間受け付けている。基本的にはフランス語
での対応となる。
キンシャサ
<私立総合病院>
・CENTRE MEDICAL DE KINSHASA (CMK)
所在地:168 Avenue Wagenia Gombe Kinshasa
電話:+243(0)898974359
診療時間:月~金 7:30~17:30
土 8:00~12:00
救急外来 24 時間
診療科:内科、循環器内科、消化器内科、脳神経内科、外科、消化器外科、心臓外
科、整形外科、泌尿器科、小児科、産婦人科、耳鼻科、皮膚科、眼科、歯科、
精神科、放射線科、麻酔科、歯科
入院の可否: 可 ベッド 77 床
予約の必要性: 一般外来は不要、専門医外来は要
英語対応: 医師による
備考:日本の総合病院に相当する医療機関。CT や MRI などの画像診断設備が整っ
ている病院で、外国人の利用も多い。基本的な血液検査や予防接種も可能。
CMK は市内 2 か所に分かれており、検査によっては車での移動が必要になる
場合がある。
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・CENTRE PRIVE D’URGENCE (CPU)
所在地:Coin des Avenues du Commerce et Bas-Congo
電話:+243(0)898950305
診療時間: 24 時間
診療科:救急(会員で重症の患者のみ受け入れ)
入院の可否: 可 ベッド 3 床
英語対応: 医師による
備考: CMK の中に CPU があり、日本でいう救命救急センターと集中治療室の機能
が小規模ではあるが整備されている。CPU の利用は会員に限定されている
ため、登録料を支払い会員になることが望ましい。登録料は、月額 35 ユーロ
/人となっている(2016 年 3 月現在)。キンシャサ市内であれば、医師の同乗
による救急車での出動も可能で、現場での救命処置ができるような準備が整
っている。
・CENTRE MEDICAL DIAMANT
所在地: Future Tower (3642 boul. du 30 juin), Bur #101, Kinshasa/Gombe
電話:+243(0)976000065
診療時間: 月~土 8:00~16:00、救急外来 24 時間
診療科: 内科、循環器内科、消化器内科、脳神経内科、一般外科、消化器外科、整
形外科、耳鼻科、眼科、皮膚科、小児科、産婦人科、精神科/心療内科、放
射線科、麻酔科、歯科
入院の可否: 可
予約の必要性: 一般外来は不要、専門外来は要
英語対応: 医師による
備考: 一般的な傷病での受診が可能。各種ワクチンも取り扱っているが、事前に確
認したほうがよい。
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・MEDECINS DE NUIT
所在地:Av. Province 4744 C/Gombe
電話:+243(0)818880018 救急:+243(0)818880007
診療時間: 24 時間 ただし、専門医の受診時間は確認が必要
診療科:内科、循環器、脳神経内科、一般外科、消化器外科、整形外科、泌尿器科、
耳鼻科、皮膚科、小児科、産婦人科、精神科/心療内科、放射線科、歯科
英語対応: 医師による
備考:救急車 3 台(うち 1 台は医療機器搭載)保有しており、国内や海外の移送経験
もある医療機関である。ただし、CT や MRI がないため、緊急時の対応には限
界がある。一般的な傷病での受診は可能。
<歯科>
・ Centre de Sante BUCCO-DENTAIRE
所在地:474 Av. Mondjiba Commune de Ngaliema Kinshasa
電話:+243(0)821404441/818841812
診療時間: 月~土 9:00~20:00
予約の必要性: 要
英語対応: 院長は可
備考:軽度の虫歯や詰め物が取れたなどの軽微な治療は可能。
(2)緊急時の対応と措置
公立の救急車サービスはない。医療機関情報にある CPU の会員であれば、緊急時
には救急車の利用が可能である。Medecins de Nuit の救急車も有料であるが利用
は可能である。
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3.医薬品、衛生用品
(1)携行することが望ましい医薬品
湿布薬、うがい薬、体温計(小児用、婦人用)、発熱時の冷却シート、虫刺され後のか
ゆみ止めは、当地では購入できないため、必要な場合は持参することを勧める。
総合感冒薬、胃腸薬(健胃消化剤、乳酸菌入り整腸剤)、目薬(疲れ目用など)などは、
使い慣れているものがあれば携行したほうがよい。
(2)現地で調達できる医薬品
マラリア予防薬・治療薬、マラリア迅速診断キット、抗寄生虫薬、抗生物質などは、大
きな薬局には概ね取り揃っている。購入に際しては、医師の処方箋が必要な薬剤も
ある。鎮痛解熱剤、総合感冒薬、胃腸薬、目薬、チューブ入り消炎鎮痛剤などは、処
方箋がなくても町中の薬局で購入できる。
(3)現地で調達できる衛生用品
品質にこだわらなければ、包帯、ガーゼ、綿棒、コットン、絆創膏、避妊具、生理用ナ
プキン・タンポン、デジタル体重計、デンタルフロスなどは入手可能。防蚊対策用の蚊
帳、蚊取り線香、虫除けスプレーは、薬局や大型スーパーなどで購入できる。
(4)薬局
・薬局名:PHARMABELLE (Pharmacie du Centenaire)
所在地:Galerie du Centenaire, blvd du 30 juin
電話:+243(0)998222221/(0)816904959
営業日:24 時間
備考:抗生物質、マラリア予防薬・治療薬、マラリア迅速診断キット、循環器系、消化
器系、心療内科系など多くの薬剤を取り扱っている。
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・薬局名:NEW PHARMACIE DU 30 JUIN
所在地:Croisement avenue Batetela – Blvd du 30 Juin
電話:+243(0)999933690/(0)815035969
営業時間:月~土(8:00~24:00)、日(8:00~23:00)
備考: 多くの薬剤を取り揃えている。
4.妊娠、出産、育児
(1)妊娠した場合の対応
妊婦検診等は、医療機関で受けられる。しかし、妊娠中や出産時にトラブルが発生し
た場合、当地では十分な対応が望めないため、日本での出産を強く勧める。特に輸
血の確保や安全性、新生児管理などの観点からも、現地での出産は勧められない。
(2)出産後の対応
母子検診、乳幼児予防接種は医療機関等で受けられるが、自身で管理して受診する
必要がある。
(3)育児
哺乳瓶、紙おむつ、粉ミルク、ベビーパウダー、チクビ、ベビー石鹸、離乳食品、乳児
用衣料など、品質にこだわらなければ、必要なものはひととおり入手できる。
5.手術
(1)現地で可能な手術
緊急を要する場合(急性虫垂炎、帝王切開、外傷処置など)を除き、手術が必要な傷
病については医療先進国でうけることを勧める。
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(2)手術設備の状況
私立総合病院などの手術設備はある程度整っており、緊急に必要な手術(急性虫垂
炎など)には対応が可能。
(3)その他の留意点
輸血用血液は国立の血液銀行で管理されており、必要時に取り寄せることになって
いる。輸血用血液は、通常 HIV、B 型肝炎、C 型肝炎、梅毒、マラリアなどの感染症
スクリーニングが行われている。それでも、すべての感染症を完全に否定することは
困難であり、輸血をした後は、感染症検査などを定期的に実施し経過を見ていく必要
がある。
6.現地での傷病
(1)一般の疾病
下痢症や食あたり、気候の変化による風邪などの体調不良には留意する必要がある。
(2)風土病、感染症
マラリア流行地域であり、多くは熱帯熱マラリアである。防蚊対策の徹底と、マラリア
予防薬の服用も検討する必要がある。
エボラウィルス病が初めて報告された国であり、散発的に患者が発生する年がある。
患者発生については、現地の医療情報などに留意する必要がある。基本的には、患
者との接触がなければ感染することはないため、日常的に感染するリスクは低いと考
えられる。
その他、コレラ、腸チフス、細菌性赤痢、アメーバ赤痢、ジアルジア症、破傷風、A 型
肝炎、B 型肝炎、流行性髄膜炎などがある。
(3)有害動物、病害虫
蚊、コウモリ、ハエ、ブユ、ネズミ、ゴキブリ、サソリ、ダニ、ノミ、シラミ、毒蛇、など。
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7.保健衛生
(1)飲料水
上水道設備があっても、直接飲用にすることは避けたほうがよい。水道水を飲用にす
る場合は、濾過してから煮沸するか、濾過してから塩素系消毒剤で消毒することを勧
める。またはボトル入りの水を使用する。
(2)その他の留意点
安全対策上、首都キンシャサは徒歩移動が禁止されているため(遊歩道など一部限
られた場所を除く)、日常的に運動不足になりやすい環境である。そのため、屋内で
できる運動を取り入れたり、意識して体を動かす機会をもつ必要がある。また、日常
生活における制限事項も多いことから、ストレス解消をする方法についても、個人でさ
まざまに工夫する必要がある。
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