鈴木龍之介さん - 東京造形大学

大地連携ワークショップ
〜厳しい北海道の自然を生き抜いたアイヌの人たちの知恵から学ぶ〜
テキスタイル 専 攻 鈴 木 龍 之 介
【スケジュール】
1 日目:現地到着、アイスブレーク、学習会
2 日目:博物館・歴史館見学、木彫り体験、ユカラと語りべ
3 日目:アットゥシ織り体験
4 日目:ムックリ制作、アイヌ伝統料理
5 日目:発表報告会
【内容について】
事前に連絡を受け、アイヌ語やアイヌ文化について学習をしてワークショップに臨みました。もともとはアイヌの伝統的な
布作りであるアットゥシ織りを体験出来る貴重な機会ということで参加を決めたのですが、調べていくうちに織りだけでな
く当時の生活環境や価値観にも興味が湧きました。例えばアイヌ語で「ホタル」を「ニンケンポッポ」と呼びますが、これ
は「消え消えする小さなもの」という意味でもあります。生き物の呼び名一つ取っても意味やストーリーがある、詩人のよ
うなアイヌ民族の感性に惹かれました。
現地に着くと、紙の資料やネットの検索では知ることができなかった情報が次々に飛び込んできます。写真では細かく見る
ことができなかった、工芸品や当時使われていた道具のディテールも興味深いものでした。編みはどんな素材でどんな処理
をしていたのか、この道具の実際のサイズ感はどんなものか、短い滞在時間ではすべて見切れない程です。同時期、海外で
は別の目的のために使われていた技法を意外な目的で使っているなど、実物が持つ情報量はどんな資料にも勝ると改めて思
いました。また、学芸員さんや研究員さん、作家さんや語りべの方、今もアイヌの土地で暮らしている方々に直接質問がで
きたのも大きな収穫です。
アットゥシ織りの「織り」の作業は、
布作りのうち十分の一の作業と言われているそうです。神様である木から皮をいただき、
煮る、洗う、干す、裂く、よる、結ぶ……。手作業によるたくさんの工程を経て、ようやく織りに繋がります。大学ではよ
りから糸を作ることもありますが、多くの場合原料はお店で買ったものです。その土地からいただいた材料で、その土地の
人が仕上げる様子。普段ショートカットされていて、直接目には映らない工程を間近で見せていただきました。
最終日には、これまで体験してきたことからこの土地でどんなことができるか?というテーマで班ごとに発表を行いました。
造形大学内で他の学生と何か作る際には、
「撮影は写真の学生」
「デザインはグラフィックの学生」
「服はテキスタイルの学生」
など、良くも悪くもある程度専攻によって何ができるか、何が得意か役割分担がハッキリしているのが特徴的でした。今回
のワークショップでは様々な場所から様々な大学、専攻の学生が集まっていたため、普段とは違った新鮮なグループワーク
を楽しめました。
アイヌの方々は、数日間一緒にいただけの私たちに対して本当の家族のように接してくれました。まるで第二の故郷ができ
たような気分です。そんなアイヌの暖かさが、引き継がれてきた技術や知恵が、これからもっと多くの人に伝わるように、
自分にできることを考えていきたいと思います。
今回ワークショップの参加にあたり、造形大学の先生方、連携大学の先生方、平取の方々、たくさんの方にお世話になりま
した。この場を借りて、お礼申し上げます。