都市水管理事業の実務ハンドブック

Book Review
[ 書 評 ]
『都市水管理事業の実務ハンドブック
-下水道事業(Urban Water Management)
の法律・経営・管理に関する制度のすべて-』
評者
内藤 伸浩
一般社団法人不動産証券化協会 専務理事
( ARES マスター M0600067 )
PPP/PFIをめぐる政府全体の動向については、平
成 25 年に、
「日本再興戦略」
(平成 25 年 6月、閣議決
定)
において、平成 25~ 34 年度
( 10 年間)
に12兆円の
PPP/PFI 事業を重点的に推進し、下水道事業等につ
いては、コンセッション方式の積極的な導入等を推進
することとされた。さらに、今年5月20日には、PFI推
進会議において、平成 25~ 34 年度の目標を21兆円へ
と見直しが行われた。
国土交通省が今年 8月2日に経済財政諮問会議の
委員会に示した資料によると、インフラのコンセッショ
ンの進捗状況として、空港7件
(但馬、関西・大阪、仙
台、高松、神戸、静岡、福岡)、道路1件
(愛知県公
著
者 藤川 眞行
発 行 所 日本水道新聞社
発 行 日 平成 28 年 7 月 27 日
定
価 3,600 円+税
社)
に加え、下水道4件
(浜松市、大阪市、奈良市、三
浦市)
の進捗状況が具体的に明記されており、空港だ
けでなく下水道においてもコンセッションの進展がうか
がわれる。
であるが、本書では、公物管理、水質規制、公益事業
(料金規制)
等が絡み合って、一見非常に分かりづらい
下水道事業のコンセッションをはじめとしたPPP/
下水道事業について、PPP/PFI・コンセッションも含め
PFIの動向については、本誌のVol.21
(平成 26 年9・10
て、その全貌を解説している。また、昨年行われた大
月号)、Vol.29
(平成 28 年1・2月号)
において、国土交通
きな法改正
(下水道法・日本下水道事業団法・水道法改
省の前・下水道管理指導室長
(現・関東地方整備局用地
正)
の解説や、下水道法の特性に関する論考、下水道
部長)
に寄稿等をいただいたが、この度、その藤川氏
の現状が分かる学識経験者・実務家との対談・座談会
が、
『都市水管理事業の実務ハンドブック-下水道事業
も掲載されている。
(Urban Water Management )
の法律・経営・管理に関
する制度のすべて-』を出版された。
藤川氏は、課長補佐時代に、Jリートの立ち上げや、
本協会の設立にも関わった不動産証券化にも明るい方
本書は、下水道コンセッションに関心をもつ者には
必携の専門書であるとともに、初心者にとっても
(特に
第Ⅰ編Ⅰ、Ⅱは)
下水道事業の全体像が把握できる、時
宜にかなった好著である。
September-October 2016
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