全ページPDF版(PDF 10 MB) - 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用

平成28年度
高年齢者雇用安定助成金のご案内
「高年齢者雇用安定助成金」は、
高年齢者が意欲と能力があるかぎり年齢にかかわりなく
いきいきと働ける社会を構築していくために、2つのコースで事業主のみなさまの活動を支援します。
制度拡充
高年齢者活用促進コース
高年齢者の活用促進のための措置の内容
(1)新たな事業分野への進出など
(2)機械設備、作業方法、作業環境の導入・改善
(3)高年齢者の就労の機会を拡大するための雇用管理制度の導
入・見直し
(4)高年齢者に対する法定の健康診断以外の健康管理制度の導入
(5)定年の引上げなど
(a)定年の引上げ
(b)定年の定めの廃止
(c)希望者全員を対象とする継続雇用制度の導入
支給額
高年齢者の活用促進のための措置に要した費用の 2/3(中小企業
以外は 1/2)を支給します(上限1,000万円)。
ただし、措置の対象となる1年以上継続している60歳以上の雇
用保険被保険者1人につき 20 万円(下記③の(a)∼(c)に該当す
る場合は 30 万円 )を上限とします。
平成 28 年度からの拡充点
①対象措置に「高年齢者に対する健康管理制度」を追加
高年齢者を対象とした人間ドックなどの法定の健康診断以外
の健康管理制度(事業主が健診費用の半額以上を負担するも
の)を就業規則等に規定し人間ドックなどを実施した場合に、
制度の導入費用として30万円を要したものとみなします。
②定年の引上げなどによる、みなし費用(100 万円)を適用する
要件の緩和
年齢要件を「70 歳以上」から「66 歳以上」へ以下のとおり緩和
(a)66 歳以上への定年の引上げ
(b)定年の定めの廃止
新設 高年齢者無期雇用転換コース
50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者
に転換させた事業主を助成します。
無期雇用転換計画書を提出する前に
①有期契約労働者を無期雇用労働者に転換する制度(雇用後 5 年
以内の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換するものにか
ぎる)を労働協約または就業規則などに規定していること。
②高年齢者雇用推進者の選任に加え、以下の高年齢者雇用管理
に関する措置を 1 つ以上実施していること。
教育訓練の実施、作業施設・方法の改善、健康管理・安全衛
生の配慮、職域の拡大、配置・処遇の改善、賃金体系の見直し、
勤務時間制度の弾力化
③高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第 8 条又は第 9 条第
1 項の規定に違反していないこと。
無期雇用転換計画書の提出
計画実施期間の6カ月前から2カ月前までの間に無期雇用転換
計画書に必要書類を添えて提出する。
無期雇用への転換の実施
無期雇用転換計画が認定された後、計画実施期間内に、転換制
度により有期契約労働者を無期雇用労働者に転換させる。
・計画実施期間内に複数人の転換を行うことができます。
・転換した労働者を 65 歳以上まで継続して雇用する見込み
があることが要件です。
支給申請書の提出
転換後6カ月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2カ月
以内に支給申請書に必要書類を添えて支給申請を行う。
支給額
対象労働者1人あたり 50万円(中小企業以外は 40万円)
1支給申請年度(4月∼3月)あたり 10人を限度とします。
(c)65 歳以上への定年の引上げおよび希望者全員を66 歳以
上まで雇用する制度の導入
③ 60歳以上の被保険者1人あたりの単価を30万円とする
要件の緩和
30万円を適用する要件に(b)と(c)を追加
(a)建設・製造・医療・保育・介護の分野にかかわる事業を営
む事業主
(b)65歳以上の高年齢者(高年齢継続被保険者)の雇用割合が
4%以上の事業所
(c)高年齢者活用促進の措置のうち「機械設備の導入等」を実
施した事業主
お問合せや申請は、本誌 65頁にある都道府県支部高齢・障害者業務課
(東京、大阪は高齢・障害者窓口サービス課)までお願いします。
ホームページもあわせてご参照ください。
http://www.jeed.or.jp/elderly/subsidy/
(当機構トップページ → 高齢者の雇用支援 → 助成金)
転換の対象となる労働者
①申請事業主に雇用される期間が転換日において通算して6カ
月以上で 50 歳以上かつ定年年齢未満であること。
②労働契約法第 18 条に基づき、労働者からの申込みにより転換
した者でないこと。
③無期雇用労働者として雇用することを約して雇入れられた者
でないこと。
④転換日の前日から過去3年以内に申請事業主において、無期
雇用労働者として雇用されたことがない者であること。
⑤支給申請日において離職していない者であること。
vol.
269
手づくりの感性で受け継ぐ
江戸のつまみ簪
かんざし
かんざし
江戸つまみ簪職人
と むら きぬ よ
戸村絹代さん
(75歳)
を支える
戸村さんの工房は、大量注文に対応するため鮮やかな色の “ つまみ片 ” など
百花繚乱の素材が山積みされている
「20歳で本格的に母に師事して55年、
区の無形文化財の指定を受けました。
母が没して17年、まだまだ日々勉強です」
は ぶた
江戸の服飾文化を受け継ぐ
のり
小 さ く カ ッ ト し た 絹 布( 羽 二
え
重)を折りたたんでつまみ、糊で
土台につけあわせて花などを表現
かんざし
はな
す る「 つ ま み 細 工 」。 こ れ を ま と
かんざし
めて簪にしたものが花簪で、江戸
いちよく
時代に京都で始められたものが江
人
戸に伝わって服飾文化の一翼とし
て花開いた。
戸村絹代さんは、現在では
成
)年に東京都荒川区の指定無
み簪職人」の1人で、2015(平
ほどになってしまった「江戸つま
10
価されたのだ。
16
かいこ
種入れ日でしてね、それで絹代と
たね い
時は養蚕が盛んで、この日は蚕の
ようさん
1日に山形県で生まれました。当
「私は1941(昭和
)年6月
工芸技術者として、改めて高く評
い日本の伝統文化を支える貴重な
婚礼などの装身具として欠かせな
いるが、現在でも七五三や成人式、
録無形文化財保持者に認定されて
た。すでに1997年に同区の登
形 文 化 財( 工 芸 技 術 )に 指 定 さ れ
27
2
2016.10
職人”になろうとは思いもしませ
絹 織 物、 羽 二 重 を 扱 う“ つ ま み 簪
名づけられました。まさか自分が
した。日々、母の仕事を見ている
その美しさに魅了されてしまいま
「母のつくる簪がとても見事で、
母の実用新案技術を
たね」
と。これはごく自然な気持ちでし
うちに私もつくってみたいなあ
歳で上京し、実
んでした」
中学卒業後、
母の妹でつまみ簪職人
区指定無形文化財保持
修得・発展
の 戸 村 ひ で 氏( 元 荒 川
者)の養子となった。
名人として知られた母、ひでさ
んは独自技術の開発にも才能を発
とは土台板につまみ片をつけあわ
ふ っ く ら 感 を も た せ た。「 葺 く 」
な花弁をつまむ技術だが、これに
花弁と異なり、とがった剣のよう
る。「 剣 つ ま み 」と は 通 常 の 丸 い
2件で実用新案登録を取得してい
金に直接つまみ片を葺く技術」の
きをしている。
徒に基本的なつまみ細工の手ほど
りカルチャー北千住」では一般生
る 日 々 だ が、 毎 月 1 回、「 よ み う
に、問屋からの大量注文に追われ
された工房の様子からわかるよう
ている。原材料や半製品が山積み
独自のつまみ細工の世界を展開し
ふ
せることをいうが、これを針金に
す。なかなかのアイデア品もあり
などを楽しそうにつくっていま
が、手づくりの髪飾りやブローチ
「子どもの成長を願うお母さん
花を構成するつまみ片を糊をひいた台に植えつけて糊を浸透さ
せる(上)
カルチャースクールの生徒たちの個性豊かな作品(下)
つける技術を開発した。
年、
歳で本格的に母親に師事する
決心をした絹代さんは、以来
こ れ ら の 技 術 を 修 得・ 発 展 さ せ、
3 エルダー
55
20
揮 し、「 変 わ り 剣 つ ま み 」と「 針
愛用の裁ち包丁、定規、裁ちバサミなど。ピンセットは用途別
にバネの強さが異なる
15
いわゆる前ざし・
右横ざし・左横ざ
しの「つまみ簪三
点セット」
。
を支える
ますよ。花だけでなく動物など題
ピンセットでつまみ、これを土台
色の取りあわせやデザインにした
に糊付けしていく。最初に考えた
羽二重の裁断からはじまり、工
が っ て バ ラ ン ス を 整 え て い く が、
材はさまざまです」
程はすべて手づくりだ。基本的に
そこで発揮されるのが職人の技術
くりではあっても、
せていただいています。母が没し
の会話から得たアイデアを勉強さ
年、まだまだ勉強の毎日です」
納期を守ることも
め ら れ て き ま す。
技術の安定性が求
熟練がものをいう
「昼はコツコツと図案を考えて
ら離れないという。
安な暮らしだが、常に仕事が頭か
長を楽しみに見守る一家6人の平
小学生と中学生の2人の孫の成
しています」
の変化。現在は、この作品に挑戦
「アジサイの微妙な赤と青の色
(撮影・福田栄夫/取材・吉田孝一)
江戸つまみ簪製造・戸村商店
TEL:03
(3801)4842
職人の大切な資質
は製作に没頭し、夜はお客さまと
あじさいの色で占ふ恋ゆくへ
ぐしながら新製品の案を練る。
ときには、趣味の俳句で頭をほ
17
ですからね」
のあたりに長年の
許されません。そ
品物のバラツキは
千本単位の問屋さ
髪を整えるコームやブローチ、ストラップなども人気が高い(上)
都内荒川区南千住の閑静な住宅地に工房を構える(下)
て
名人の母の没後 年、 日々勉強
17
んの注文に対して
「一つひとつ手づ
るわけではない。
ラツキが認められ
ん安易に個々のバ
るのだが、もちろ
ても一品ものであ
いっぴん
味では小物であっ
と感性だ。その意
約3㎝四方に裁断した羽二重片を
右が「変わり剣つまみ」の技術が駆使された藤の花を再現した作品。左の 2 点は代表的な「花簪」で、下
のように房をアレンジしたものも
4
2016.10
1
技を支える vol.269
手づくりの感性で受け継ぐ江戸のつまみ簪
江戸つまみ簪職人 戸村絹代さん
6
7
8
12
16
20
特 集
2016 October
高齢者が活躍する職場
平成28年度 高年齢者雇用開発コンテスト
厚生労働大臣表彰受賞企業事例から
審査委員長からのメッセージ
●エルダー
(elder)
は、英語の old の比較級で、
年長の人、目上の人、尊敬される人 などの意味
がある。昭和 54 年、本誌発刊に際し、(財) 高年
中央大学大学院戦略経営研究科教授 佐藤博樹
最優秀賞
齢者雇用開発協会初代会長・花村仁八郎氏に
株式会社 ハラキン(茨城県鹿嶋市)
より命名された。
優秀賞
有限会社おとうふ家族(茨城県笠間市)
株式会社テクノスチールダイシン(栃木県宇都宮市)
エバオン株式会社(大阪府大阪市)
特別賞
24
28
32
社会福祉法人紹隆会 高松保育園、高松第二保育園(香川県高松市)
株式会社 大観荘(福岡県筑紫野市)
株式会社陣内運送(佐賀県佐賀市)
36
平成28年度 高年齢者雇用開発コンテスト 入賞企業一覧
38
江戸から東京へ 第 49 回
作家 童門冬二
人形もホトケさま 蓮月尼
40
42
46
No.444
高齢者に聞く
生涯現役で働くとは
第30回
東京クリアランス工業株式会社
篠田慎一さん(78歳)
高齢者の現場 北から、南から 第 53 回
山形県 最上峡芭蕉ライン観光株式会社
働く高齢者のための健康・安全相談室[第 30 回]
公益社団法人日本産業衛生学会 エイジマネジメント研究会 編
50
希望者全員65歳雇用 ! 雇用ミックス時代のフレキシブル賃金・評価制度《第13回》
54
高齢者雇用施策を考える[第 6 回]養老保険と退職年金のはざま
独立行政法人労働政策研究・研修機構 主席統括研究員 濱口桂一郎
56
株式会社プライムコンサルタント 代表取締役
日本史にみる長寿食 vol.277 「南京そばからラーメンへ」
57
地域ワークショップのご案内
58
ニュース ファイル
60
次号予告・編集後記
61
リーダーズトーク
菊谷寛之
永山久夫
No.18
株式会社クラロン取締役会長 田中須美子さん
水彩画家 鈴木新(すずき・あらた)
● ● ●
高齢者のためのグルメレシピ[第 18 回]
きのこの豆腐グラタン
※ BOOKSは休載します。
「長峰」店主
日比谷公園の秋の松本楼
幕末まで松平家の屋敷地だった場所で明治
時代には陸軍練兵場となった後、都市公園
として造成され都民の憩いの場所になって
います。絵はカレーで有名な
「松本楼」
です。
お昼時は人気で行列になります。ほかにも
少人数の結婚式、ガーデンパーティーなど
を行う施設があります。緑豊かななかでの
結婚式が人気のようです。紅葉のシーズン
は欅や銀杏、もみじなどさまざまな木の紅
葉がとても美しく楽しめます。
「だれにでも可能性はある」と信じ
とことん社員に寄り添って
会社も社員に育てられてきた
64
◆表紙の絵:
「スケッチぶらり旅」
長島 博
1945 年 兵 庫 県神戸市生まれ。日本やヨー
ロッパ各地でスケッチ旅行をしながら、多
くの作品を発表。現在は作品制作の傍ら、
水彩スケッチ教室の講師としても活躍。日
本美術家連盟会員、水彩連盟準会員
主な受賞作:「秘湯」第 34 回フランス美術展
ラ・セーヌ賞
http://www.arata.ne.jp/
高齢者が活躍する職場
年度 高年齢者雇用開発コンテスト 厚生労働大臣表彰受賞企業事例から
28
平成 年度は、厚生労働大臣表彰 編、
創意工夫して実現した事例などを募集し、優れた取組みを表彰している。
高齢者が身につけた能力を十分に発揮できる職場環境を
生涯現役で働ける職場を実現している事例や、
コンテストでは、職場環境の改善や新職場の創設により
厚生労働省との共催で﹁高年齢者雇用開発コンテスト﹂を毎年開催している。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、
平成
特 集
7
合計 編の表彰事例を決定した。
高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰優秀賞 編をはじめとする
28
7
本誌では、 月号と 月号の 回に分けて、コンテストの表彰事例を掲載し、
29
10
11
2
月号では、厚生労働大臣表彰受賞企業事例を紹介する。
10
高齢従業員の活躍を支える多様な取組みを評価
佐藤 博樹
9編の応募を受け、厳正な審査の 結 果 、 厚 生 労
く御礼を申し上げます。今回は、 全 国 か ら 1 2
ましたすべての企業・団体の関係 者 の 方 々 に 厚
平成 年度高年齢者雇用開発コ ン テ ス ト の 審
査が終了し、審査委員を代表し、 応 募 い た だ き
格取得の力となっています。
品質向上のための技術指導を担当し、若手の資
で職場環境改善を進めています。高齢従業員が
を目ざし、ハードとソフトの両面から全員参加
導入、フルタイムで勤務する高齢従業員の活用
同じく優秀賞を受賞した株式会社テクノス
チールダイシンは、年齢制限のない雇用制度を
トとなりました。
やかな教育を実施していることも評価のポイン
導入、工夫を凝らした教育資料を使ってきめ細
員 の 有 効 活 用 を 目 ざ し て﹁ 運 送 業 ﹂か ら﹁ 物 流
同じく特別賞受賞の株式会社陣内運送は、定
年制を撤廃、生涯現役で働くために教育訓練を
サービス提供を高齢従業員が支えています。
務のシステム化に取り組み、老舗旅館の上質な
る制度も導入しました。作業内容の見直しや業
同じく特別賞受賞の株式会社大観荘は、 歳
までの継続雇用に加えて、勤務時間を選択でき
献を目ざしています。
の職務を創出、幅広い世代が一丸となり地域貢
管理を実現しました。分業を見直し高齢者向き
中央大学大学院戦略経営研究科教授 働大臣表彰は、最優秀賞 編、優 秀 賞 編 、 特
同じく優秀賞を受賞しましたエバオン株式会
社は定年を 歳に引き上げ、高齢従業員のため
28
3
ます。ユニークな人材の募集活動 や 高 齢 従 業 員
場環境の改善を進め、
﹁生涯現役で働ける職場
の重量制限や若手従業員との分業の徹底など職
設、活躍の場を拡大しました。商品運搬作業時
に身体的負荷の少ない職種への転換制度を創
の職場における創意工夫が、高齢従業員の活躍
様な業種からのエントリーが目立ち、それぞれ
今回のコンテストでは、以前から高齢従業員
が活躍するケースが多かった業種に加えて、多
業﹂に業態を転換、新規事業も立ち上げました。
実施し、能力向上をはかっています。高齢従業
の経験を生かせる新たな職場を創 出 す る な ど 多
づくり﹂に挑戦しています。
ンテストの成果が広がり、生涯現役で働ける場
優秀賞受賞の有限会社おとうふ 家 族 は ﹁ そ の
仕事、 歳までできますか﹂をスローガンに掲
80
岐にわたる取組みを行っています 。
特別賞を受賞した社会福祉法人紹隆会高松保
育園・高松第二保育園は、上限年齢なく継続雇
に結びつくことがわかりました。このようなコ
げ、高齢従業員の要望に沿った理 想 の 職 場 づ く
入し、 歳まで現役で働ける企業 を 目 ざ し て い
70
がますます増えることを期待します。
ともにライフスタイルを優先した 勤 務 形 態 を 導
キノコの製造・販売会社です。定 年 制 の 廃 止 と
最優秀賞を受賞しました株式会社ハラキン
は、
﹁健康寿命社会への貢献﹂を理念にかかげる
構理事長表彰は、 編が入賞を果 た し ま し た 。
別賞 編、また、高齢・障害・求職者雇用支援機
1
用する方針のもと、経験や適性を生かした配置
90
70
22
3
りに取り組んでいます。シニアブ ラ ザ ー 制 度 を
7 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
審査委員長からの
メッセージ
株式会社 ハラキン(茨城県鹿嶋市)
◎創業 1976(昭和51)年
企 業 プロ フィ ー ル
﹁ 歳まで現役を﹂を合言葉に
柔軟で多様な雇用形態を構築
本事例のポイント
︵茨城県鹿嶋市︶
度とシフトを構築。ワーク・ラ
イフ・バランスが保てるよう配
慮し、柔軟なシフトでの勤務を
開始した。1999(平成 )年4
して創業、ヒラタケの生産販売を
)年 に 原 菌 茸 セ ン タ ー と
今後もさらなる募集採用を計
労 意 欲 の 高 さ が 明 ら か に な り、
を作成したところ、高齢者の就
以上をターゲットとしたチラシ
(2)従業員の募集のために、 歳
業員のモチベーションが向上し
業風土が醸成されることで、従
社員同士がお互いに助け合う企
強い信念のもと、高齢者を含む
( 4)
「 会 社 は 家 族 」と い う 社 長 の
可能にした。
月 に は 現 社 名 に 変 更 し、「 き の こ
ている。
はら きん たけ
は健康寿命の維持促進に貢献す
画、高齢者の雇用の場を増やす
(昭和
る」を会社理念に、業容の拡大に
( 3) 高 齢 従 業 員 が 希 望 し た 休 み
に向けた職務の創出を実現し
を創設することで、高齢従業員
(5)新たに「キクラゲ包装ライン」
を優先しながら、無理なく活躍
た。
歳まで現役で働
ける企業を目ざして、高齢従業員
できるよう、柔軟な勤務時間制
となって取り組んできた。
本事例のポイントは次のとおり。
命の維持促進に貢献する」との
(1)生涯現役を目ざし、「健康寿
企業の沿革・事業内容
が活躍できる雇用形態を導入する
11
など、職場環境の整備に全社一丸
の探求を掲げ、
ことに注力している。
60
まい進してきた。人間主体の経営
年制を廃止した。
株式会社 ハラキン
90
51
株式会社ハラキンは1976
Ⅰ
会社理念のもと2008年に定
社長がヒラタケの生産販売を開
同社は、1976年9月に、現
市に第一工場を建設、1988年
始、1982年4月に茨城県鹿嶋
Ⅱ
90
最優秀賞
70歳以上
7人( 5.4%)
65∼69歳
33人(25.6%)
( 内 訳 ) 60∼64歳
35人(27.1%)
◎従業員数 129人
厚生労働大臣表彰
◎業種 キノコ製造販売業
年度
高年齢者雇用開発コンテスト
28
平成
定年なし。現在の最高齢者は79歳
◎定年・継続雇用制度
8
2016.10
培を通じて長寿社会への貢献を目
創業以来
を進めてきた。現在ではビンを使
の普及に向けて、独自の栽培研究
同社は国産にこだわっており、そ
ラ ゲ 」の 9 割 が 外 国 産 で あ る が、
パート従業員についても、半年ご
ど、これまでと同じ条件で働ける。
く、雇 用 形 態、賃 金、労 働 時 間 な
欲と能力があれば、年齢の上限な
切った。正社員の場合は、働く意
年にわたり、キノコ栽
ざ し て き て お り、 現 在 は、「 ブ ナ
用 し た 栽 培 技 術 で 特 許 を 取 得 し、
との契約更新により、年齢の上限
に は 同 地 に 第 2 工 場 を 建 設 し た。
シメジ」、
「エリンギ」、
「キクラゲ」
増産体制を敷いている。
歳のパート従業員であ
なく継続できる。現在、最高齢従
などの製造を行っている。
日本国内で流通している「キク
業員は
る。就業の希望などは、更新時に
社長や総務担当者が時間をかけて
を廃止したことにともない、高齢
同社では、2008年に定年制
が急務となった。このため高齢者
い、事業拡大のための人員の確保
プクラスとなったことにともな
とも面談を実施している。
また、必要に応じ、従業員の家族
ほか、改善提案も受け入れている。
面談し、健康状況などを把握する
従業員の割合が増加し続けてい
人( ・6%)、
歳
・多様で柔軟な雇用形態の導入
歳
・9歳となっている。
術によって、生産量が国内でトッ
改善の内容
(1)制度に関する改善
・定年制の廃止
働ける職場環境の整備に着手し
を実施、高齢従業員が安全で長く
設 」や「 照 明 の 増 設 」な ど の 改 善
優先し、希望した休みがとれるよ
するとともに、ライフスタイルを
し、多様で柔軟な勤務形態を導入
より働きやすい職場の構築を目ざ
うな体制を構築した。例えば、「午
た。
前中のみの勤務」、「週3日勤務」、
「 日 月 の 週 休 2 日 」、「 2 週 出 勤 後
態をきめ細かい話合いで決めてい
に1週休み」など、多様な勤務形
高齢従業員が
る。
歳を超えても働き
続けたいという意欲にあふれてい
勤務のシフトは、各工程の責任
者が決めるが、高齢従業員同士が
歳まで現役で働
く こ と が で き る 企 業 」を 目 ざ し、
日ごろから体調の変化などお互い
る こ と か ら、「
歳定年、希望者は
2008年に定年制の廃止にふみ
同社は、2007年までは「
高 齢 従 業 員 の 増 加 を 予 測 し て、
雇用の推進に取り組み、高齢従業
~
る。現在では、 ~
1%)、
35
歳 以 上 7 人( 5・4 %)、平 均 年
65
同社が開発したキクラゲ栽培技
齢
64
25
歳まで継続雇
60
90
27
60
員 の 増 加 に 備 え て「 休 憩 室 の 移
人( ・
高齢化の状況、職場改善などの背景と進め方
79
40
69
60
33
63
ハラキンの工場外観
キクラゲを手にする(株)ハラキンの原謙次代表取締役
Ⅲ
70
55
Ⅳ
用」という制度だったが、多くの
9 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
キクラゲ栽培の生育室
の事情を理解し、譲り合いの精神
・会社説明会と工場見学の実施
が、高齢従業員は少しでも問題が
れている。このため、高齢従業員
め、シフト調整はスムーズに行わ
人の応募があり、最
に工夫した。この結果、2014
募者が職場に触れてもらえるよう
会社説明会や工場見学を行い、応
ている。また、与えられた仕事以
消費者の目線に立った仕事がされ
い し く 見 え る よ う 工 夫 す る な ど、
感が強く、商品包装の際もよりお
あるものは出荷しないという責任
は、それぞれのライフスタイルを
年7月には
募 集 チ ラ シ の 一 新 に 合 わ せ て、
尊重し合いながらいきいきと働い
高齢者の
で都合をつけながら決めているた
ている。
ることになった。従業員の増員が
し、新たな包装ラインを立ち上げ
社ではキクラゲの生産増加を目ざ
この国内需要が高まっており、同
健康ブームの到来により、きの
る高齢者の受け皿となることこそ
なった。同社では、働く意欲のあ
多く存在していることが明らかに
欲にあふれた高齢者がまだまだ数
な応募によって、地域には働く意
用した。このように高齢者の旺盛
し、最高齢者
人を採
人が応募
人 を 採 用、
憩 室 を 2 階 か ら 1 階 へ 移 設 し た。
社では自動販売機などを備えた休
高齢従業員の増加に備えて、同
(3)職場の環境改善・福利厚生
員の活躍の場は広がっている。
を調達・作成するなど、高齢従業
て、自前で働きやすい装具や設備
の能力を発揮する高齢従業員もい
の修理、壁の塗装などにプロ並み
外にも、会社の庭の手入れや機械
歳を含む
同 社 の 仕 事 が、「 健 康 寿 命 社 会 に
迎 」を 前 面 に 打 ち 出 す と と も に、
ル さ れ た チ ラ シ で は、「 高 齢 者 歓
して募集を開始した。リニューア
トとする募集チラシを新たに作成
後収穫業務や栽培業務にも従事す
少ない包装業務からはじめ、その
OJTを実施する。まずは負担が
の高齢従業員が後輩を教えるなど
の従業員が指導し、その後は先輩
して1年間は職場の責任者や専属
高齢従業員の能力開発は、入社
明については、若者には十分な照
職場配置を行っている。社内の照
い」という配慮から、体力に応じた
も、「ケガなく長く働いてもらいた
新たに高齢従業員を採用する際
(4)健康管理・安全衛生
は、別の場所に喫煙所を設けた。
は全面禁煙とし、喫煙者のために
へん好評だという。また、休憩室
つでもすぐに休憩してもらうため
2015年
月には
急務となるなか、若い人材の確保
企業の使命と考え、3回目の募集
これは、階段を昇ることなく、い
歳を含む
が困難な状況が続いていた。そこ
を視野に置き、今後も一層の採用
貢献する意義ある仕事」であるこ
る場合もある。包装業務は異物の
拡大を目ざしている。
とを訴えた。加えて、ワーク・ラ
混入や、空気の充填漏れの有無な
をはかり、応募資格をあえて「
イフ・バランスを意識したシフト
じゅうて ん
などの魅力ある内容が応募者の増
大につながった。
度でも、悪天候時には高齢従業員
の措置で、高齢従業員からはたい
15
30 25
(2)能力開発に関する改善
73
歳以上」とし、高齢者をターゲッ
・高齢
者に特化した募集活動と
チラシの工夫
で、2014年に経営方針の転換
50
77
11
ど細かいチェックが求められる
60
新職場として「キクラゲ包装ライン」を創設
2016.10 10
会社の売上げ増につながった。
り、 高 齢 従 業 員 の 採 用 に よ っ て、
00トン以上の出荷が可能とな
増強が実現した。このため年間1
ライン」を創設し、包装ラインの
8月には、新たに「キクラゲ包装
の確保ができたことで2014年
高齢従業員の採用により、人員
(5)新職場・職務の創出
した。
したことで作業中の安全性も向上
廊下を塗装し直して明るさを確保
め、 照 明 設 備 を 増 設 し た。 ま た、
が暗いと感じることも多かったた
さんは語る。
本当にありがたく思います」とA
き方で就業させてもらえることは
「職場復帰はもちろん、柔軟な働
と い う 勤 務 形 態 で 就 業 している。
現 在 は「 2 週 間 働 き 1 週 間 休 む 」
後 は フ ル タ イ ム で 働 い て い た が、
部長職で復職が実現した。復職直
声をかけられ、退職時と同じ総務
していたところ、同社の社長から
断念を余儀なくされ、自宅で過ご
かし諸般の事情により、その夢の
く、いったん同社を退職した。し
外ボランティアへのあこがれが強
て、自宅までの送り迎え、さらに
などのために、専用バスを準備し
困難で通勤手段のない高齢従業員
いく。具体的には自動車の運転が
合った適材適所の配置を推進して
に、職歴の浅い高齢者の能力に見
きやすい環境整備を行うととも
ら雇用の拡大を図るため、より働
高齢従業員の長所を活かしなが
(7)今後の展望
で、趣味と仕事を両立させている。
多様な勤務形態が可能となること
曜日に希望しているが、こうした
山が趣味のため週休を日曜日と月
協調性や改善意識が強く、仕事も
ているが、とりわけ高齢従業員は、
送り出す」という意識を高めあっ
目標にして、「高品質の商品を世に
チームとして成果を上げることを
と り が 生 産 性 を 競 う の で は な く、
工場内の照度不足を指摘し、照明
さんは、職場環境改善の視点から、
若手従業員からの信頼も厚い。B
務で活躍している。仕事も正確で、
を活かした仕事で、フルタイム勤
械の修理、部品の手配など、能力
資格を有し、工場の設備管理や機
る」との会社理念が、健康寿命
は健康寿命の維持促進に貢献す
生 み 出 し て い る。 ま た、「 き の こ
互いに助け合うという企業風土を
う社長の強い信念が、従業員はお
同 社 で は、「 会 社 は 家 族 」と い
ことも視野に置いている。
で、高齢従業員のニーズに応える
はスーパーや病院に立ち寄ること
ていねいで、包装後の商品チェッ
の増設を提案した。さらにBさん
歳に向けて高齢従業員が活躍でき
歳 )は 電 気 工 事 士 の
クについても厳しい目を持って い
は、廊下の壁が暗くイメージが悪
る 雇 用 の 場 の 創 出 に つ な が っ た。
B さ ん(
る。高齢従業員のための新職場の
いことから、自ら壁を白く塗り替
また、製造ラインでは、一人ひ
創出が、生産性の向上につながる
今後とも、同社は飽くなき挑戦を
続けていく方針である。
えて明るくするなど積極的な人物
れた元自衛官のパート男性は、登
高齢従業員専用の求人で採用さ
と同時に、同社の企業価値を高め
歳)は、海
である。
70
ている。
(6)高齢従業員の声
総務部長のAさん(
11 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
高齢従業員による仕込み作業
70
90
有限会社 おとうふ家族(茨城県笠間市)
◎創業 2003(平成15)年
70歳以上
3人( 3.4%)
企 業 プロ フィ ー ル
高齢従業員の声を改善のヒントに
理想の職場づくりに挑戦
)年 に 創 業 し、 主 と し
︵茨城県笠間市︶
ジ」を払拭するため、順次機械
化を進めるとともに、工場内の
を見出して理想の職場づくりに着
やすい職場の構築を目ざした。
員の要望にもとづき、より働き
照明を明るくするなど高齢従業
手した。
有限会社 おとうふ家族
本事例のポイント
3( 平 成
ており、製造に関しては創業10
た有限会社藤岡とうふ店が手がけ
が 1 9 2 7( 昭 和 2)年 に 創 業 し
質的には運用を含めて年齢の上
まで再雇用することとした。実
へ引き上げ、希望者全員を
を改定し、定年を
歳
歳
月に就業規則
育資料を作成した。その際、高
れなかったことから、新たに教
ランのノウハウを的確に伝えら
のもので伝えていたため、ベテ
販売のポイントなどをメモ程度
ど教育体制を整備した。従来は
( 3) 教 育 用 の 資 料 を 作 成 す る な
0年を迎える。ひと昔前の豆腐製
限なく再雇用することで高齢従
齢従業員が読みやすいように文
本事例のポイントは次のとおり。
造業は「真夜中に暗い職場で腰を
業員の将来の生活不安の解消を
字を拡大し、イラストを散りば
( 1)2011 年
曲 げ て 重 労 働 を 行 う 」と い う イ
図った。あわせて従業員の意識
る。豆腐の製造は、現会長の父親
メ ー ジ が つ い て 回 っ た こ と か ら、
歳から
おとうふ家族は主力となる高齢
り組んだ。とりわけ、豆腐製造
働くための職場環境の改善に取
な教育材料を作成した。
めるなどの工夫を凝らした新た
改革教育も実施した。
歳まで
歳までできま
70 65
従業員のさまざまな要望を丁寧に
すか?」を合言葉に、
(2)
「その仕事、
12
業に対する「マイナスのイメー
た。
高齢従業員頼みの職場となってい
若 い 人 に と っ て は 魅 力 が 乏 し く、
て豆腐と惣菜の販売を手がけてい
15
有限会社おとうふ家族は200
Ⅰ
すくい上げ、そこに改善のヒント
80
21人(23.6%)
20人(22.5%)
60
80
優秀賞
◎従業員数 89人(有限会社 おとうふ家族)
( 内 訳 ) 60∼64歳
65∼69歳
厚生労働大臣表彰
◎業種 豆腐と惣菜の製造・販売
年度
高年齢者雇用開発コンテスト
28
平成
定年65歳。希望者全員を70歳まで再雇用。現在の最高齢者は79歳
◎定年・継続雇用制度
2016.10 12
月に
歳、 希
こで同社では、2011年
就 業 規 則 を 改 定、「 定 年
こだわり、地下水を使用した自慢
史を刻み続けている。国産大豆に
含めて、豆腐づくりに一世紀の歴
おとうふ家族は、前身の時代を
「地域に信頼される会社づくり
から 人の従業員で運営している。
会社を7店舗有し、1店舗を5人
族」を設立した。現在、移動販売
販 売 会 社「 有 限 会 社 お と う ふ 家
契約を更新している。役職につい
の従業員については、1年ごとに
再雇用している。なお、
能 力 が あ れ ば、 年 齢 の 上 限 な く 」
「 本 人 に 働 く 意 欲 が あ り、 健 康 で
とした。実質的には運用を含めて
企業の沿革・事業内容
歳まで再雇用する」
の豆腐は100年の伝統を受け継
を」という経営理念のもと、伝統
ては、
高齢化の状況、職場改善などの背景と進め方
ず、実質的には
歳を超えても従
歳までは基本的に変わら
65
が強く、若者から敬遠されがちな
造業の仕事はマイナスのイメージ
している。前述のとおり、豆腐製
以上の高齢従業員は
・2%に達
歳で、
機械化し、販売に関しては、問題
の製造に関しては、可能なかぎり
の職場環境改善に着手した。豆腐
ける職場」の構築を目ざして各種
めに「安全で無理なく安心して働
ば、相談のうえ、短時間化してパー
務)であるが、本人の希望があれ
は基本的にフルタイム(8時間勤
由勤務制を取り入れた。勤務形態
て、出勤日や勤務時間を決める自
時 に 出 勤、
をあてにするのではなく、健康で
制が組まれ、
夜の1時から1時間刻みで勤務体
通りの勤務時間が
あるうちは、少しでも長く働き続
整備されたことで、個々人が体力
これ以降は仕事の種類によって深
ラー担当者で夜中の
れている。一番早い出勤者はボイ
あるため、出勤時間が細かく分か
学校給食や病院向けの大量生産が
トタイマーへの変更など、柔軟に
改善の内容
(1)制度に関する改善
・就業規則の改定
23
けたいという要望が強かった。そ
10
従業員に長く働き続けてもらうた
の対策を共有化するため教育資料
本人のライフスタイルに合わせ
・柔軟な雇用形態の導入
前と同じ役職・賃金となっている。
65
ため、同社でも従業員の高齢化は
歳
歳以降
ぐ味として地域に浸透し、業容を
の味を高齢従業員が支えている。
望者全員を
12
65
拡大するなかで2003年に移動
70
対 応 し て い る。 製 造 に 関 し て は、
同社の平均年齢は
65
10
の作成などを実施した。
60
進む一方であった。そこで高齢の
56 55
歳以上の高齢従業員は、年金
13 エルダー
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
60
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
おとうふ家族、店舗外観(有限会社 藤岡とうふ店含む)
従業員は、それぞれの希望に合わせた勤務時間で働いている
合、3日勤務を2日勤務にするな
・シニアブラザー制度の新設
アブラザー制度」を導入した。こ
や家庭の事情などに合わせて勤務
形態の変更もあり得ることを伝え、
れは製造については熟練技術者
教育資料の作成とともに「シニ
移動販売に関しては、製造部門
高齢従業員にも意識の改革を求め
(主として社長または工場長)が、
ど本人との面談を実施のうえ勤務
よ り も 自 由 度 が 増 し て、「 8 時 か
た。
販売については店長がシニアブラ
時間を選択できるようになった。
ら
・教育資料の作成
(2)能力開発に関する改善
約束事を最優先にしている。
とが多いので、訪問時間帯などの
が移動販売を心待ちにしているこ
としている。なによりもお客さま
ば、異なる時間帯の出勤でも可能
望や従業員の対応が可能であれ
ル」など細かく分かれた教育資料
「 販 売 促 進 計 画 」、「 販 売 マ ニ ュ ア
であったことから、「経営の理念」、
育に関する資料が「メモ程度の物」
ラツキが発生していた。また、教
心に行っていたが、教育効果にバ
いては、従前は個人の指導力を中
販売に関する従業員の育成にお
補 正 教 育 を 実 施 し、 万 全 の フ ォ
る。入社後半年が経過した時点で
がらさらに1カ月教育を継続す
の教育を実施、本人の能力を見な
育する制度である。1カ月に数回
ルールの遵 守・エチ ケ ッ ト ま で 教
ウ は も ち ろ ん、安 全 衛 生 や 職 場
員に対し、技術・技能、販売ノウハ
ザーとして、主に新人の高齢従業
時」の間であれば、いつ出勤
してもよく、また、お客さまの要
・意識改革の推進
を新たに作成し、一定水準の技能・
定年の引上げなどの制度改革の
ローアップ体制をとっている。
有効な活用を目ざして、全従業員
特に移動販売では損益分岐点を
ローアップ教育を進めている。
との面談の機会を利用してフォ
た。その後も朝礼や月1回の店長
底するなど意識改革教育を行っ
じように精勤する必要性を周知徹
めには、高齢に達しても従前と同
し、継続雇用の延長を維持するた
時には新制度の目的と内容を紹介
に応えていくため、教育資料を活
が異なることから、顧客のニーズ
や季節によって好まれる商品など
み、責任感も増した。また、地域
仕事に対する理解がいっそう進
くり返し読むようになり、自らの
も、楽しいイラスト入りの資料を
な活字を敬遠していた高齢従業員
ストも散りばめた。それまで小さ
心がけ、活字も大きくして、イラ
高齢従業員が理解しやすいものを
ローガンを職場や休憩室に掲示し
事、
常 に 意 識 で き る よ う に、「 そ の 仕
安心して働くための職場改善」を
高齢従業員が「安全、無理なく、
・スローガンでイメージアップ
(3)職場環境の改善
教育を実施している。
担当するエリアの営業手法の基礎
間帯が異なるので、新人に同行し、
の客層ごとに販売ルートや販売時
特に販売に関しては、各従業員
明示し、それを上回る売上げを確
た。そのスローガンは「
の意識改革を実施した。制度変更
保するための教育を強化した。売
用しての教育も推進している。
歳まで
歳までできますか?」のス
上げが伸長しない状況が続いた場
教 育 資 料 の 作 成 に あ た っ て は、
技術の習得を目ざした。
14
80
80
2016.10 14
製造では、機械化や照明の変更で働きやすい職場を実現
移動販売では、
「30:30 注意」として事故防止を呼びかける
あった。高齢従業員が主役となっ
放は、同社にとって大きな課題で
に よ る 運 搬、中 腰 作 業 」か ら の 解
たらしている、
「きつい手作業、手
豆腐製造業に負のイメージをも
・明るい職場づくりを実現
ションアップに貢献している。
する体制を整備した。豆腐の販売
手洗いの励行など細かくチェック
す る ロ ー ラ が け や 作 業 衣 の 確 認、
作成し、体調はもちろん衣服に対
に関しては、作業前チェック表を
年間計画を作成した。豆腐の製造
売、それぞれに関する安全衛生の
検討して、豆腐の製造、豆腐の販
衛生委員会を設置し、同委員会で
労働安全衛生法にもとづく安全
まざまな要望に対して、前向きに
る。「 私 た ち 高 齢 従 業 員 か ら の さ
歳 のいまも元気に働 き 続 け て い
製造の経験は皆無であったが、
アパレル業からの転職のため豆腐
(6)高齢従業員の声
き続ける道が開かれた。
く場所の拡張によってより長く働
の異動も可能にした。こうした働
間に働けるので、製造から販売へ
に限定されていることや好きな時
ている職場であるからこそ、高齢
部門では高齢従業員に対し、事故
対応していただけるので、非常に
(4)安全衛生・健康管理
従業員の要望を改善のヒントにし
分と
は働くぞ」というチャレンジ精神
ていく必要があり、豆腐の製造に
発生率の高い、走り始めの
分は特に注意す
齢従業員から「気持ちまで明るく
電球に切り替えたが、いずれも高
わせて移動販売車も全車両LED
たことで検査ミスも減少した。あ
電球に切り替えて、明るさが増し
た。また、工場内の照明をLED
パッケージされる機械を導入し
出てくる機械や、スイッチ一つで
う え で 豆 乳 と「 お か ら 」に な っ て
ロ ーテーションすることが可能と
安を感じる人は、そうした業務へ
事が増加したことから、体力に不
れ、検査など高齢従業員向きの仕
推進によって器材の洗浄、型箱入
めた。製造については、機械化の
テーション先を確保することに努
体力が低下した高齢従業員のロー
事 の 範 囲 が 限 定 さ れ て い た た め、
同社では、高齢従業員向きの仕
チャレンジは今後も続いていく。
と い い、 時 代 に 先 駆 け た 同 社 の
た事業展開を視野に置いている」
今後、同社では「行政と連携し
は笑顔で語った。
働きやすい職場です。今後も健康
10
を刺激し、高齢従業員のモチベー
関しては、要望の高かった手作業・
店に到着間近の
面に気をつけて長く働かせてもら
注 意 」の 呼 び か け
78
年ほど前に入社したAさんは、
手運搬・中腰作業など身体的に負
る よ う「
えればと願っています」とAさん
:
担の大きな作業を、順次、機械化
を行い、全車両にステッカーを貼
30
な っ た 」と い う 声 が 上 が っ て い
(5)新職場・職務の創出
付した。
した。
具体的には、前日に浸した生の
30
30
した。また、移動販売は昼の勤務
大豆がすりつぶされ、加熱された
30
る。
15 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
株式会社 テクノスチールダイシン(栃木県宇都宮市)
◎創業 2001(平成13)年
定年70歳。一定の条件のもと、嘱託社員として年齢の上限なく再雇用。現在の最
◎定年・継続雇用制度
全員参加で職場環境改善活動を推進し、
生産性向上を実現
を奨励している。また、品質向
めに必要な資格を取得すること
︵栃木県宇都宮市︶
株式会社 テクノスチールダイシン
本事例のポイント
上のため溶接などの教育訓練に
月には宇都
に現社長が鉄骨施工図・現寸業と
を支払う制度に向けて整備しな
ては、能力と評価に応じて賃金
︵ 2︶ 賃 金 制 度 と 評 価 制 度 に つ い
清 潔・ 躾 ︶活 動 」の 推 進 や、 動
して、「5S︵整理・整頓・清掃・
︵ 4︶ ハ ー ド 面 の 職 場 環 境 改 善 と
力を入れており、熟練の高齢従
して創業した。同年
が ら、 ス キ ル マ ッ プ を 作 成 し、
年齢制限のない継続雇用制度を
宮市内に工場を設立、鉄鋼業を開
きやすい工場レイアウトを目ざ
業員が指導的な役割をになって
業、その後、鋼構造物工事業や建
給与体系に接続しようと試みて
し て 工 場 の 拡 張 工 事 を 行 っ た。
導入した。
築工事業の分野に業容を拡大して
いる。また、退職金制度を新設
ソフト面の改善としては、心身
︶年 9 月
きた。建設現場での就労を希望す
したことで、高齢従業員のモチ
の健康管理や安全衛生管理など
いる。
る若い世代が少ないことから、高
ベーションがアップした。
の改善も実施している。
しつけ
齢者雇用を推進し、高齢者がいき
︵ 3︶ 工 場 の グ レ ー ド を 上 げ る た
て、全社を挙げてハード面、ソフ
築 耐 震 補 強 工 事、 橋 梁 耐 震 補 強
きょう りょう
テクノスチールダイシンは創業
工事、プラント工事などの鉄構事
てつこう
以来、建築鉄骨工事を中心に、建
Ⅱ
ト面の両方から職場環境の改善に
注力している。
本事例のポイントは次のとおり。
︵ 1︶ 2 0 1 5 年 8 月 に 定 年 を
歳以降は
企業の沿革・事業内容
いきと働ける職場づくりを目ざし
ン は、 2 0 0 1︵ 平 成
株式会社テクノスチールダイシ
Ⅰ
歳に延長し、さらに
70
7人(11.9%)
企 業 プロ フィ ー ル
13
12
70
優秀賞
◎従業員数 59人(ベトナム実習生8人を含む)
( 内 訳 ) 60∼69歳
3人( 5.1%)
70歳以上
厚生労働大臣表彰
◎業種 鉄鋼業
年度
高年齢者雇用開発コンテスト
28
平成
高齢者は75歳
2016.10 16
は栃木県内のゼネコンであった
2012年前後までは受注の中心
0 0 7 年 1 月 に 株 式 会 社 に 改 組、
ど次々に事業を開拓してきた。2
鉛めっきなどの表面処理事業部な
建材事業部、重防食塗装、溶融亜
業部、外構、エクステリア工事の
る準備が整っている。
7年1月には認証取得審査を受け
てきたことが功を奏して、201
るが、従業員に資格取得を奨励し
グレード認証を取得する必要があ
るためには、国土交通省認定のH
さらに大手ゼネコンと取引きをす
都 圏 か ら の 受 注 も 増 え つ つ あ る。
の改善を課題に掲げ、全社をあげ
心して働くことができる職場環境
事制度を確立し、高齢従業員が安
ことができるようにするための人
員が、希望するかぎり働き続ける
このように同社では、高齢従業
がった。
向きになり、社内の活性化につな
高齢従業員が先頭に立って、リー
S活動」を展開するにあたっては、
て取り組んできた。とりわけ、「5
が、県外に進出を図り、現在は首
高齢化の状況、職場改善の背景と進め方
歳になった現在も
年と歴史は浅い会社
長することで従業員のモチベー
2人が配属されている。定年を延
とで、従業員の定着率が上昇して
社内の雰囲気が大きく変わったこ
動」の結果、工場内の美化が進み、
ダ ー シ ッ プ を 発 揮 し た。「 5 S 活
ではあるが、
ションがアップし、高齢従業員に
創業から
活躍しているベテランの従業員が
いるという。
改善の内容
よる若手従業員への指導が一層前
業員による技術指導は日常的に実
歳
各個人の体調などを考慮している
人面談では、本人の意思を尊重し、
が、現在のところ高齢従業員の多
・個人面談の実施
2015年8月に、定年を
くはフルタイムでの勤務を選択し
歳
に延長、その後の継続雇用には年
ている。
ごとに契約更新を行うことになっ
個人面談で高齢従業員が若手従業
割 を 積 極 的 に 引 き 受 け て い る が、
高齢従業員は若手を指導する役
たことから、今年から高齢従業員
員 の 給 料 ア ッ プ を 進 言 す る な ど、
歳以降は1年
との個人面談を実施している。個
則に明文化した。
齢の上限を設けないことを就業規
(1)制度に関する改善
Ⅳ
施 さ れ て き た。「 せ っ か く 技 術 を
身につけている高齢従業員が
で退職するのはもったいない。気
歳
持ちとしては生涯現役で働いてほ
しいが、会社の制度としては
歳
で区切らせてもらう」という経営
トップの方針を受け、定年を
歳以上の従業
に 引 き 上 げ た と い う 経 緯 が あ る。
より い
70
65
70
70
人おり、総務部1人、本社
現在、同社には、
員は
60
70
創業時から在籍しており、高齢従
15
73
工場製造部3人、埼玉県大里郡の
10
テクノスチールダイシン、工場外観
建築鉄骨工事をはじめ鉄構事業などを展開する
Ⅲ
寄居工場製造部4人、品質管理部
17 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
お互いを尊敬し、助け合う風土が
構築されつつある。
・賃金制度の改正
賃金については、いままでは明
確 な 賃 金 テ ー ブ ル が な か っ た が、
という新たな効果を生み出した。
よう
能有資格者を擁していることが求
結果として優秀な従業員の確保に
となり、優秀な溶接工育成の一助
な技術指導が若手の資格取得の力
められるため、高齢従業員の熱心
つながり、経営者の英断が会社の
となっている。
高 齢 従 業 員 を 厚 遇 す る こ と が、
活性化につながった。
また、今年度から、新たに評価
歳以降も同様に個別に
降も年齢により賃金を下げること
面談により決定している。
到達時の賃金を基準として、個人
定期昇給があり、それ以降は
歳以
歳
歳までは
資 格 取 得 の 意 欲 が 高 ま っ て い る。
社に背中を押される形で従業員の
を見極めながら判断しており、会
いては、会社が従業員の個性など
員にどの資格を取得させるかにつ
経験の年数などを考慮し、どの社
務時間内に受験させている。実務
社が負担し、業務の一環として勤
組み、資格取得に必要な経費は会
同社では資格取得に熱心に取り
く、高齢従業員のモチベーション
師は高齢従業員が務めることが多
その都度勉強会を行っており、講
例勉強会のほかに、必要に応じて
土曜日の勤務時間終了後に行う定
定期的に実施している。月の最終
工場を対象に全員参加の勉強会を
体制が確立している。
ことによりさまざまな技術を学ぶ
置された熟練従業員が応援に行く
能工を目ざしており、各現場に配
同社の従業員は若いころから多
制度を導入、6月に初めて人事評
また、資格取得奨励の一環として
(2)能力開発に関する改善
価を行った。自己評価をもとに上
今年4月から資格手当を支給する
今 年 4 月 か ら 年 齢 給 を 取 り 入 れ、
司が評価を行い、スキルマップを
向上にもつながっている。
資格手当も創設した。
使 っ て 目 標 管 理 を 実 施 し て い る。
よ う に な り、 従 業 員 に イ ン セ ン
として、検討を進める予定である。
かしいので、今後の課題のひとつ
る職種間での貢献度の比較がむず
問題集を取り寄せて、休憩時間に
外 部 の 研 修 機 関 を 利 用 し て い る。
資格取得のための講習は、主に
(3)職場環境に関する改善
部の指導を受けている。
W 検 定 ※は、 資 格 取 得 の た め に 外
ために必要になる、溶接技能のA
職金制度の導入と賃金制度の改正
額」を打ち出した。このような退
高 く、 上 場 企 業 と 遜 色 の な い 金
る が、「 地 域 の 水 準 よ り も 大 幅 に
ている。とりわけ同社には溶接技
駆使してていねいに技術指導をし
練従業員が休日や終業後の時間を
な資格試験については、高齢の熟
浸透しつつある。実地試験が必要
大されたことで、それまで密集し
屋を増築し、工場面積が2倍に拡
てきた。それにともない工場の建
自動化機器の導入を積極的に行っ
同社では生産性の向上を目ざし
なお、退職金は
自主的に学習する習慣が従業員に
決めている。
60
60
60
歳で支給され
なお、大手ゼネコンと取引する
さ ら に、 資 格 取 得 に か ぎ ら ず、
さらに、これを給与体系に接続し
ティブを与えている。
はなく、
ようと現在検討中であるが、異な
70
は、若手の新規採用従業員の増員
70
職場環境改善として、工場内の「5S活動」を推進
自動化機器の導入により、工場の拡張につながった
※ AW 検定 … 建築鉄骨溶接における高水準の溶接技術の認定資格。
2016.10 18
リート床にするなど、より働きや
行った。なお、工場は今後コンク
従業員と一緒に鉄骨の溶接などを
中 心 と な っ て 自 ら 溶 接 機 を 持 ち、
あたっては、同社の専務取締役が
の改善を推進した。工場の増設に
業を配分したりするなど職場環境
には低い位置での組立て溶接の作
置く場所を変えたり、高齢従業員
高も向上した。また、有機溶剤の
で無駄が減り、一人当たりの生産
た仕掛かり材料がなくなったこと
できたとともに、床に散乱してい
整理整頓が進み安全通路の確保が
えるよう改善された。このことで
ていた現場作業が余裕を持って行
て腰痛予防体操の実施やメンタル
在は従業員の健康をテーマに掲げ
づくりや環境整備に取り組み、現
る。具体的には、初年度は仕組み
り、積極的に改善提案を行ってい
員には、高齢従業員も加わってお
寄っている。安全衛生委員会の委
め て 検 討 し、 次 回 に 結 論 を 持 ち
定例の勉強会で出された意見も含
意があった。安全衛生委員会では、
の改善に取り組むという同社の熱
背景には、全社を挙げて職場環境
前から安全衛生委員会を設置した
になる、従業員数
労働安全衛生法により設置が必要
に「 安 全 衛 生 委 員 会 」を 設 け た。
を 進めるために、2015 年 3月
る。
員の努力を随所に見ることができ
一つにまとめようとする高齢従業
ており、多様な従業員の気持ちを
には外国人研修生の多くが参加し
も行われているが、サッカー大会
ソフトボール大会やサッカー大会
え ば、 高 齢 従 業 員 の 要 望 に よ り、
ざまな懇親会を開催している。例
うにしており、具体的には、さま
ションをはかるための場を持つよ
含 め、 従 業 員 間 の コ ミ ュ ニ ケ ー
うに、若手従業員と高齢従業員も
同社では、従業員が定着するよ
目躍如といえるだろう。
さに同社の職場環境改善活動の面
などを指摘したということで、ま
このように、高齢従業員の意見
(5)その他
すい環境の構築のために一層工夫
ヘルスなどの課題について、産業
医による指導を受けている。
人を超える以
を凝らしていく。
さ ら に、「 労 働 災 害 ゼ ロ 化 」を
スポーツドリンクを各所に置いた
い職場環境を実現している。今後
業員がいきいき働ける風通しのよ
が尊重される社風は、すべての従
づくりも推進してきた。2013
り、空気が循環するタイプの作業
夏 季 の 熱 中 症 予 防 対 策 と し て、
年 4 月 か ら は「 5 S 活 動 」の 全 社
いくものと思われる。
するために、不断の努力を続けて
もさらに同社が掲げる目標を達成
同社を月1回訪問する産業医は
服を支給したりするなどの対策も
部社員が定期的に評価することに
同社の印象について、①従業員が
展開を開始、「職場改善診断チェッ
よって、3年が経過した現在では
明 る い、 ② 担 当 者 が 熱 心 で あ る、
講じている。
評価結果も大幅に向上した。
雰 囲 気 が あ る、 ④ 工 場 が 美 し い、
③従業員が産業医に相談しやすい
クリスト」を使用して社長以下幹
目ざして、安全で安心な職場環境
50
(4)健康管理・安全衛生
ハード面に加えソフト面の改善
19 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
高齢従業員は低い位置での組立て溶接などを担当
◎創業 1937(昭和12)年
◎業種 機械器具卸売業
企 業 プロ フィ ー ル
定年70歳。希望者全員嘱託社員として年齢上限なく再雇用。
◎定年・継続雇用制度
継続雇用制度を大幅に改定し
生涯現役で働ける職場を実現
エバオン 株式会社
本事例のポイント
︵大阪府大阪市︶
が反映される制度を確立した。
( 4) 高 齢 従 業 員 が 講 師 と な っ た
は、 軸 受 製 品( ベ ア リ ン グ )を 主
となって「働けるうちは働ける
従業員に周知徹底し、全社一丸
な改定を図った。その趣旨を全
両 に「 ド ラ イ ブ レ コ ー ダ ー」を
全徹底のため、すべての営業車
( 5) 高 齢 従 業 員 の 配 送 業 務 の 安
の技能伝承に努めている。
集合研修を実施し、次の世代へ
力商品として販売網を広げ、業績
会社の実現」を目ざした。
年のエバオン株式会社
を伸ばしてきた。現在では伝動装
搭載し、安全運転意識を常に喚
エバオンは、主力商品である軸
)年
月に大阪市内で創
業した。1954年3月には法人
(昭和
扱いの安全対策を推進している。
員との分業を徹底して重量物取
作業時の重量を制限。若手従業
( 6) 高 齢 従 業 員 に よ る 商 品 運 搬
起している。
能性を広げるため、身体に負荷
( 2) 高 齢 従 業 員 の 就 労 継 続 の 可
の少ない職種への転換制度を導
( 3) 高 齢 従 業 員 向 け 賞 与 に 人 事
ている。経営理念に「限りなき挑
涯現役で働ける職場づくり」を提
考課を織り込んで、一人ひとり
入した。
唱して継続雇用制度の大幅な改定
を 対 象 に 仕 事 で の「 が ん ば り 」
企業の沿革・事業内容
に着手するとともに、制度面の改
善においても積極的な対策を推進
している。
本事例のポイントは次のとおり。
歳定年後も健康で意欲が
あれば嘱託社員として再雇用す
Ⅱ
受製品の販売会社として1937
12
( 1)
るという、継続雇用制度の大幅
12
戦 を 行 う 」を 掲 げ、 社 長 自 ら「 生
置や一般産業機器、環境・省エネ
創業
Ⅰ
機器などの分野でも業容を拡大し
80
70
優秀賞
5人( 5.0%)
65∼69歳
13人(12.9%)
70歳以上
厚生労働大臣表彰
( 内 訳 ) 60∼64歳
6人( 5.9%)
◎従業員数 101人
年度
高年齢者雇用開発コンテスト
28
平成
エバオン 株式会社(大阪府大阪市)
現在の最高齢者は76歳
2016.10 20
を設立、創業以来
年の歴史を刻
む。現在は幅広いラインナップの
軸受製品をはじめ、伝動装置や一
般産業機器、環境・省エネ機器を
取り扱い、省エネの実現に寄与す
るなど社会貢献を目ざしている。
同社は内外の大手軸受メーカー
の代理店として全国で約200
社 の 顧 客( 主 に 商 社 や 機 械 メ ー
カー)をもち、受注当日に発送し、
翌日に配達する体制を維持してい
る。また、大 阪 府 内 で は 自 社 従 業
員による当日配達を行い、その迅
速な対応によって顧客の信頼も厚
い。 取 り 扱 う 商 品 は 大 小 3 万 点
( 重 量 は 1 個 数 十 グ ラ ムか ら 5 0
段に及ぶ立体倉庫
0キロ超まで)に の ぼ り、 商 品 は
本社内の高さ
に保管されている。
「エバオンならどんなベアリン
グも必ず在庫があり、注文すれば
すぐ届く」という顧客の声こそ同
)年、社長の提
高齢化の状況、職場改善などの背景と進め方
2010(平成
で若手のよいお手本になる」と高
事一筋に一生懸命働いてくれるの
長は、従来から「高齢従業員は仕
齢化が進みつつあった。同社の社
める。平均年齢は
業員に対して、経営理念である「限
幅に改定した。そのうえで、全従
けない継続雇用」とする制度へ大
年
のみ
「定年
唱していた「生涯現役で働ける職
齢従業員の勤勉な働きぶりを高く
りなき挑戦を行う」に立脚し、
「年
人が
同社の従業員は全員が正規従業
員であるが、101人中
評価していた。しかし、その手本と
齢にとらわれずに挑戦することの
場 づくり 」の実 現の第一歩 として、
なる高齢従業員が定年を機に、「体
大切さ」を説いてきた。また、高
%を占
力の低下」を理由に次々と退職し
齢従業員の話に丁寧に耳を傾ける
歳以上で、高齢従業員が
ていくため、優秀な人材の流出に
ことで、個々人の意向や能力発揮
(1)制度に関する改善
歳とし、
・ 歳定年制と年齢上限のない
継続雇用制度の確立
同社では従来、定年を
歳、 そ の 後 は 基 準 該 当 者
危 機 を 感 じ た 同 社 で は、「 働 け る
度を会社がしっかり把握できるよ
・4歳で、高
うちは働くことができる会社の実
うになった。
改善の内容
度改善に取り組むことになった。
現」に向け、全社をあげて雇用制
60
80
社の強みであり、他社の追随を許
さない。
22
歳まで継続雇用」から、
「定
歳以降の継続
歳、定年以降は雇用上限を設
け入れるものの、
えた者や、すでに継続雇用となっ
どがあいまいな状況は、定年を迎
ていなかった。労働契約や処遇な
雇用については特別な規定を定め
65
44
その後の継続雇用は一定条件で受
21 エルダー
60
65
70
0
Ⅲ
Ⅳ
70
10
24 24
60
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
エバオン、外観
約3万点の商品を取り扱い、立体倉庫で管理する
感じさせた。このため、高齢従業
ている高齢従業員に一抹の不安を
た不調はなかったものの車両運転
から、ほかの2人は健康上目立っ
らいを感じる場面も多く、職場内
てみると、そうした呼び方にため
現役時に「次長」であった者は「サ
には「ギクシャク感」があった。そ
ポート室長」というような呼称を
の安全性に対する観点からそれぞ
職種転換制度は、現段階では明
新たに設定した。その結果、現場
員 の 就 業 意 欲は向上せず、再雇用
文化されていないが、今後は事務
で の ギ ク シ ャ ク 感 は 解 消 し、 ス
こで元役職者に対しては、例えば
多かった。そこで2010年3月
部門向けに対しても実施すること
れに打診して転換が図られた。
に定年制度を大幅に改定し、「 歳
を構想中であり、一人でも多くの
となっても短期間 で 退 職 す る 者 が
意欲があれば年齢の上限のない再
定年」と、「定年後は、健康で働く
役で働ける職場づ く り 」を 推 進 す
雇 用 」と し た。こ う して、「 生 涯 現
現を目ざしている。
高齢従業員の身体的負荷軽減の実
(2)能力開発に関する改善
ムーズな組織運営につながった。
・営業職の技能伝承
るという会社の方針は全従業員に
の果たす役割は大きく、とりわけ
同社ではこれまで、定年以降の
多様な顧客と長年接してきた高齢
商社である同社にとって営業職
継続雇用者の人事考課は実施して
従業員は、そのノウハウを一人ひと
・身体的負荷の少ない職種への
転換制度の創設
いなかった。しかし、高齢従業員の
機器や事務用品までを幅広く受注
継続雇用制度の大幅な改定にと
してきた高齢従業員の経験が同社
りが蓄積している。単に顧客に商
業員に対する人事考課の設定は喫
の 営 業 力 を 支 え て き た。 例 え ば、
なかには、「自分のがんばりを評価
緊の課題となっていた。そこで定
ある高齢従業員は遊園地の遊戯機
もない、就労継続の可能性の拡大
年後の高齢従業員の賞与の算定に、
向け機械部品の営業がおもな仕事
必要としているものを探り、周辺
種を選択する方法を検討し、その
人 事 考 課 を 織 り 込 む こ と と し た。
であるが、ベアリングにとどまらず
品を売り込むだけではなく、顧客が
結果、同じ物流部門であっても配
こ れ に よ り、 高 齢 従 業 員 の モ チ
モーターなどの電動機器や消耗品、
ベーション向上のためにも、高齢従
送から検品へ職種が転換できる
ベーション向上につながった。
さらにはОA機器にいたるまで、
してほしい」と願う者も多く、モチ
「職種転換コース」を設定した。
・高齢者に対する社内呼称の使用
多くの機械・器具まで受注してく
が 新 た な 課 題 と な っ た。 そ こ で、
と
定年後の高齢従業員は、役職か
る。その背景には顧客との密度の
76
歳の高齢従業員は、いずれも
歳
配送業務に従事していたが、
「職種
ら外れるため、「○○さん」と「さ
歳、そして
転換コース」を適用することで検
ん づ け 」で 呼 ば れ る の が 通 常 で
現在最高齢の
品・検査業務に転換が実現し、現
身体にあまり負荷のかからない職
周知徹底された。
・高齢従業員向け賞与に
人事考課を反映
70
75
歳の高齢従業員は健康面への配慮
在も第一線で働き続けている。
あった。しかし、現役従業員にし
濃いコミュニケーション力があった。
73
73
2016.10 22
員は、原則として時間外労働を禁
あった。このため、 歳以上の従業
た め、 労 働 時 間 の 管 理 が 課 題 で
蓄積が健康状態に大きく影響する
高齢従業員にとっては、疲労の
・高齢従業員対象の時間外労働規制
(3)健康管理・安全衛生
育していく体制が確立しつつある。
ながら、現場で営業技術を実地教
従業員とペアを組んで顧客訪問し
営業経験豊富な高齢従業員が若手
集合研修を行うことにした。また、
講師として、営業職や事務職対象の
を豊富に持つ高齢の営業担当者を
で、同社では、顧客情報や営業戦術
むための営業技術が浅かった。そこ
商品知識を超えた商品まで売り込
その反面、若手営業職は自身の
とまるとかなりの重量になる場合
同社で扱う軸受製品は数量がま
・高齢 者による商 品運 搬 作 業 時の
重量制限
無事故無違反の金賞を受賞した。
14年と2015年に2年連続で
理解した者が集まった結果、20
を確認するため、安全運転を十分
採用時は、直近5年間の運転記録
参加している。物流高齢従業員の
員7~8人で1チーム」を構成し
るが、配送業務担当の「高齢従業
の記録を集計するというものであ
これは毎年
ンジコンテスト」に参加している。
して「大阪府無事故無違反チャレ
同社では交通安全啓発の一環と
・
「大 阪府無事故無違反チャレンジ
コンテスト」への参加
安全運転意識の向上につながった。
車 に ド ラ イ ブ レ コ ー ダ ー を 設 置、
め、照明を明るくし、拡大鏡を設
査する商品が細かいこともあるた
新たな職場で経験を十分に活かし
送 か ら 製 品 検 査 に 仕 事 を 変 更 し、
齢従業員が出始めた。そこで、発
ほかの職務への異動を希望する高
若 手 従 業 員 に 適 し た 現 場 で あ り、
うことが求められている。
伝票記入や貼付けなども迅速に行
ま た、 大 量 の 注 文 を さ ば く た め、
数 を 正 確 に と ら え る 必 要 が あ り、
従事しているが、現場では配達個
らは主に立体倉庫横で発送作業に
入社してくる者も少なくない。彼
同社では、他社を定年退職後に
2人で運ぶことを周知徹底した。
量の商品は若手従業員に任せるか、
員が自社営業車を運転して配達し
阪府内であれば、受注当日に従業
達」の体制を確立している。また、大
め、高齢従業員に対しては運搬作
大きく、腰痛になる恐れもあるた
た。重量物の運搬は身体的負担が
衛生対策を強化する必要があっ
挑戦することを提唱する経営理念
ながっている。年齢にとらわれず
業員のモチベーションアップにつ
は、高齢従業員はもとより、全従
む「生涯現役で働ける職場づくり」
このように全社をあげて取り組
置するなどの配慮を行った。
てもらうこととした。その際、検
その点では、高齢従業員よりも
(4)新職場・職務の創出
止、所定時間内での就労とした。
もあり、高齢従業員に対する安全
ており、高齢従業員もその業務に
業時の重量制限を設けることにし
月から翌年3月まで
同社では、「受注当日発送、翌日配
・営業車へのドライブレコーダー
設置
従事している。しかし、加齢にとも
のもと、同社は新たな課題に向け
てまい進していく。
た。具体的には、1人で運べる上限
キロに制限し、それ以上の重
なう注意力低下が大きな事故を招
10
を
23 エルダー
60
く危険性もあることから、全営業
20
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
高齢従業員による商品運搬には、重量制限を設け対応している
社会福祉法人 紹 会 高松保育園、高松第二保育園(香川県高松市)
◎創業 1947(昭和22)年
70歳以上
定年は65歳。定年後は上限年齢なく再雇用(契約単位期間は1年間)。
◎定年・継続雇用制度
企 業 プロ フィ ー ル
幅広い年齢層が切磋琢磨し
きめ細やかな保育を実現
か
定年後も上限年齢のない雇用と
ない仕事」という視点から、高
いる仕事」、「高齢者にしかでき
い
高松保育園、高松第二保育園
︵香川県高松市︶
どの多様な働き方を実現した。
(3)業務を見直し、「高齢者にも
歳を超えた人も新規採
できる仕事」、「高齢者に向いて
した。
齢者の仕事を創出した。
し ょ う り ゅ う
社会福祉法人 紹 会
本事例のポイント
じ
社会福祉法人紹隆会の前身の宗
しょうほ う
教法人勝法寺は、戦後間もない1
用している。
勤務形態や仕事内容の希望を聞
( 2) 年 1 回 の 面 談 で、 職 員 か ら
適性を活かした配置管理を実施
職業経験や年齢に応じた強みや
( 4) 人 材 活 用 の 方 針 に 基 づ き、
)年 に、 高 松 市 で
創立された。創立以来、
「穏やかで
き、希望に基づいた労働時間管
9 4 7( 昭 和
温和な表情や言葉づかい」を意味
わ げんあい ご
する「和顔愛語」の精神によって、
している。
り 続 け て き た。 同 法 人 は、「 職 員
は 家 族 」と い う 経 営 方 針 の も と、
人材育成を推進、世代を超えた職
員が年齢に関係なく、それぞれの
園を運営している。園児の人数は、
の夜間保育園である高松第二保育
在は、高松保育園と、四国で唯一
えて、創立
人 で、
年の歴史を誇る。現
紹隆会は、前身の勝法寺から数
法人」へ移行した。女性の社会進
き、「 宗 教 法 人 」 か ら「 社 会 福 祉
定こども園への移行を念頭に置
月1日には、経営基盤の強化と認
ちを保育している。2016年7
生後2カ月から就学前の子どもた
Ⅱ
前 者 が 2 3 0 人、 後 者 は
70
能力を発揮できる職場環境の改善
に取り組んできた。
本事例のポイントは次のとおり。
歳から
)年に就業
規則を改定し、定年を
(1)2013(平成
60
企業の沿革・事業内容
理を行いながら、短時間勤務な
65
子どもたちの健やかな成長を見守
22
歳 に 引 き 上 げ、 希 望 す れ ば、
30
25
7人(12.1%)
( 内 訳 ) 60∼69歳
Ⅰ
65
特別賞
10人(17.2%)
◎職員数 58人
厚生労働大臣表彰
◎業種 社会福祉事業
年度
高年齢者雇用開発コンテスト
28
平成
現在の最高齢者は89歳
2016.10 24
う時代背景もあり、保育士や職員
園への入所希望者が急増するとい
出の機会が増えるとともに、保育
供することに注力してきた。
を構築し、きめ細やかな保育を提
所を生かすことができる職場環境
幅広い年齢層の職員がお互いの長
の高齢職員である。そのほか、支
されているが、いずれも
呼ばれるフリーの職員が3人配置
のクラスがあり、リリーフ要員と
歳以上
の 確 保 が 大 き な 課 題 と な る な か、
高齢化の状況、職場改善などの背景と進め方
援センター、夜間保育、休日保育、
給食業務、事務、保育士助手をに
なう職員がおり、すべての職場に
歳以上の高齢職員が平均的に配
いており、それぞれの保育園に園
同法人は機能別の組織体制を敷
年 齢 層 の 職 員 の 活 用 が 功 を 奏 し、
置されている。このような幅広い
・3%を占め、男女
人と全体の
保護者が安心して預けられる環境
不足の傾向があることから、新規
学卒者の採用にも力を入れるとと
もに、同法人の経営理念や教育方
針を熟知したベテランを職員の人
歳の
的ネットワークを活用して採用し
てきた。その結果として、
(1)制度に関する改善
増えたため、高齢職員の希望に沿っ
寧に話し合われている。今後、職
た働き方も、この面談のなかで丁
2013年に就業規則を改定
員の要望にできるだけ対応してい
・定年制度の改定
歳に引
に増やすことも視野に置いてい
くためにも、面談の機会を年2回
歳から
き上げた。
し、定年年齢を
年4月に雇用契約が更新され、再
る。
歳以降の職員は、毎
雇 用 後 は 上 限 年 齢 の 定 め は な い。
高齢職員のなかには、短時間勤務
上 の 悩 み を 聞 く よ う に し て い る。
長と副園長が配属先の希望や仕事
る。昇給は毎年実施し、基本給は、
とに同業他社を参考に決めてい
る。新規採用時の賃金は、職種ご
非常勤職員は日給制となってい
同法人では常勤職員が月給制で
をはじめ多様な働き方を望む者が
した面談の機会を設けており、園
・賃金制度の概要
65
また、年に1回、全職員を対象に
60
定年年齢を超えても働き続ける職
歳以上の高齢
員もいれば、交通誘導や給食業務
の担当者として、
た。同法人の場合、高齢職員が保
育現場を支える原動力となってい
る。そのため、高齢の保育士をい
かに戦力化するかが大きな課題と
なり、業務内容の見直しや新たな
職務の創出などに積極的に取り組
65
65
Ⅳ
29
者を新たに採用することもあっ
65
改善の内容
を構築している。
歳以上は
60
長と総主任が1人ずつ配置されて
60
いる。2つの保育園に6つの保育
17
別では、女性が全体の9割以上を
60
占めている。近年、保育士は人材
人の職員のうち
Ⅲ
58
むことになった。
25 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
高松保育園、外観
すべての職場に高齢職員が配置され、活躍している
の課題であった。
も含む)に 研修受講をすすめてい
事」、「高齢者にしかできない仕事」
仕 事 」、「 高 齢 者 に 向 い て い る 仕
検 討 を 重 ね、「 高 齢 者 に も で き る
研修を積極的に活用して、職員区
る。具体的には、総主任が、職員
という3つの視点から高齢者に適
勤続年数などを考慮して決め、賃
の受講実績をもとに、研修受講者
し た 職 務 を 抽 出 し た。 そ の 結 果、
そのため前述の職員会議などで
は公的年金の受給も考慮している
を決めている。研修に必要な費用
以下のような分業体制で高齢職員
分や年齢を問わず職員(高齢職員
が、役職定年の制度はなく、総主
定している。
歳
は同法人が負担している。
金水準は世間相場よりも高めに設
任や主任などの役職者には、
(3)職場の環境改善に関する改善
歳以降の賃金水準
以降も役職手当を支給している。
職員に対する精神的な面への支援
員間で共有している。そのなかで、
いる問題を把握し、対応方法を職
例研究」を行い、現場で発生して
開 催される。 会 議ではおもに「 事
会」などのほか、
「職員会」が月1回
開 か れ る「 ミ ー テ ィ ン グ 」、
「主任
かれ、保育に関しては、週に1度
育」と「給食」に関連する会議に分
職 員 を 対 象 と し た 会 議 は、「 保
している。
境の整備を図っていくことを予定
設置など、より働きやすい職場環
な床面や照度の高いLED照明の
置、あるいは段差のないフラット
齢職員が使いやすいトイレの設
り入れて、エレベータの設置や高
具体的には、高齢職員の要望を取
環 境 改 善 の 好 機 と と ら え て い る。
予定しており、この建替えを職場
高松保育園は数年後に建替えを
て対応することで、よりきめ細や
保育士と若手保育士が一緒になっ
岐にわたるため、経験豊富な高齢
育てに悩む保護者からの相談は多
て再び勤務している者も多い。子
会に退職し、その後子育てを終え
いていたが、結婚や出産などを機
は、かつて同園で保育士として働
現在勤務する高齢職員のなかに
①保育士としての活用
た。
活用の取組みを進めることになっ
・職員会議の充実
が可能になった。また、業務の見
(4)新職場・職務の創出
様子を把握するために実施してい
月の献立を検討することや園児の
一 方、
「 給 食 」に 関 す る 会 議 は、
り、若手保育士の確保や定着のた
な年代の働き手を必要としてお
ように保育の現場では、さまざま
スムーズにいく場合もある。この
が、経験を生かして意思の疎通が
などについては、高齢職員のほう
務がある一方で、保護者との対応
保育士の仕事は体力が必要な業
②早朝勤務での活用
である。
の場を今後一層確保していく予定
るため、
とで、年齢構成のバランスが取れ
また、幅広い世代がともに働くこ
か な 対 応 が で き る よ う に な っ た。
(2)能力開発に関する改善
分 に は 出 勤 す る 必 要 が あ る が、
早朝勤務の担当者は、午前6時
65
こん だて
質の高い保育の実現には、保育
歳以上の保育士の活躍
を担当する職員の心身の成長が必
めにも、高齢職員の活用は同法人
30
る。
須であることから、同法人は社外
る。
直しなども会議によって決定され
65
65
2016.10 26
の の、 遠 方 か ら の 通 勤 者 も 増 え、
以前は交代勤務で対応していたも
を担当している。
い高齢職員が、日曜や祝日の保育
年間
⑤給食業務での活用
同法人の給食業務では、
同法人にとって、早朝勤務の担当
者の確保は悩みの種であった。そ
同法人最高齢のAさんは、 歳
(5)職員の反応・声
となるいまも、フルタイムで給食
の調理を担当している。
年になります。
員がいるが、地元の素材を生かし
ちんと伝えていくためにも健康に
若い後輩に保育園の伝統の味をき
Aさんは「勤続
た伝統の味を継承するために、経
気をつけて、これからもできるだ
歳のベテラン職
の 園 児 の 受 入 れ 」と「 午 後 4 時
験豊かな高齢者を新たに採用して
け働き続けたいと思います」と話
も勤務している
分から午後6時までの園内の掃
いる。また、給食の運搬は、園の
す。
こで近隣に住む高齢者を採用し、
除 」を 担 当 してもら うことになっ
2階まで運ぶ必要があるので、重
また、 歳のBさんは、パートタ
た。高齢職員が早朝から元気に勤
分から午前9時まで
89
たい物については若い職員が協力
57
人の階段は園児用に緩やかな勾配
するようにしている。なお、同法
理 事 務 を 担 当 し て お り、
「雨の日
イマーとして朝夕の交通誘導や経
孫の世代である園児たちの世話
とに生きがいを感じます」と語る。
も風の日も、園児の安全を守るこ
も負担が少ない。
で設置されているため、高齢者に
時 ま で 延 長 保 育 を 行 っ て い る が、
⑥交通誘導での活用
やかな配慮が必要になるため、夜
昼間よりも夜間のほうが、決め細
く、体力面の負担は少ない。また
勤務のように走り回ることはな
たちが就寝しているので、昼間の
時の午後5時から午後6時であ
8時
分、降園
用した。勤務時間は登園時の午前
の車の誘導の担当に、高齢者を採
う声が上がっていたので、送迎時
からは、安全面で不安があるとい
辺で渋滞が発生していた。保護者
園児の送迎の車によって、園の周
していく。
として、さらなる社会貢献を目ざ
みながら、地域に密着した保育所
りのための改善に積極的に取り組
今後もより働きやすい職場づく
いる。
の長く働き続ける意欲を鼓舞して
代を超えた共感を呼び、若手職員
真剣にこなす高齢職員の姿は、世
に働きがいを感じ、自分の仕事を
間勤務が高齢職員の新たな活用の
る。こうした対応の結果、園児の
④休日勤務での活用
分から午前9時
同法人は日曜日と祝日の保育も
安全に目が届くようになり、保護
場となった。
行っている。同園では、日曜や祝
同 保 育 園 は 市 街 地 に あ る た め、
夜間勤務に対応できる職員がかぎ
高松第二保育園は、最長午前2
③夜間勤務での活用
らえる」と好評である。
「午前6時
57
務する姿は保護者にも「元気がも
89
者からの信頼も一層高まった。
られていた。夜間の勤務は、園児
77
30
日は休みたいという若い世代に比
30
30
給食業務では、高齢職員が伝統の味を引き継いでいる
交通誘導で園児の安全を見守る高齢職員
30
べて、時間に自由が利くことが多
27 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
株式会社 大観荘(福岡県筑紫野市)
◎創業 1964(昭和39)年
65∼69歳
定年65歳。定年後は基準に該当する者を70歳まで継続雇用。
◎定年・継続雇用制度
ん
そ
う
高齢従業員の豊かな経験を生かして
明るく働ける職場づくりを推進
か
︵ 4︶ フ ロ ン ト 業 務 を 一 括 管 理 す
い
︵ 2︶ 高 齢 従 業 員 の 健 康 面 や 家 庭
るシステムを導入し、高齢従業
だ
株式会社 大観荘
︵福岡県筑紫野市︶
り、減額されない仕組みを構築
した。定期昇給、賞与の支給も
株 式 会 社 大 観 荘 は 1 9 6 4︵ 昭
の事情などを考慮し、継続雇用
本事例のポイント
︶年2月に、福岡・博多の奥
員でも操作しやすい工夫を凝ら
定年前同様実施される。
和
後は、フルタイム勤務、短時間
うぶごえ
した。
ふ つかいち
座敷といわれる二日市温泉で産声
勤務を選択できる制度を導入し
︵ 3︶ 継 続 雇 用 後 の 処 遇 に つ い て
よ
て多くの観光客でにぎわいをみせ
は、仕事の内容・役割、勤務形
めいとう
を上げた。万葉集にも詠まれた歴
た。
る。創業半世紀を超えた同旅館で
態が定年前と変わらないかぎ
企業の沿革・事業内容
は、上質なサービスの提供を支え
てきた高齢従業員が、いきいき働
き続けられるように積極的な制度
改善を推進している。
本事例のポイントは次のとおり。
︵ 1︶ 1 9 9 5︵ 平 成 7︶年 以 降、
歳ま
歳に引き上げた
3度にわたる就業規則の改定を
行い、定年を
減のため作業内容を見直し、外
部の業者への委託を実施した。
1300年以上の歴史を誇る二
の宿泊客が訪れる。
南部に位置する二日市温泉で創業
日市温泉で、半世紀にわたりサー
は、加温・加水なしのかけ流し天
だ ざい
ビスを提供し続けてきた同旅館
観光名所が多いことから毎年多く
ふ てんまんぐう
府天満宮や九州国立博物館などの
した。二日市温泉の近隣には太宰
大 観 荘は、1964年に福 岡 県
︵ 5︶ 高 齢 従 業 員 の 身 体 的 負 担 軽
史ある名湯で、いまも1年を通じ
Ⅰ
後、2015年3月には
Ⅱ
10人(20.8%)
( 内 訳 ) 60∼64歳
39
での再雇用を規定化した。
70
特別賞
9人(18.8%)
◎従業員数 48人
企 業 プロ フィ ー ル
65
厚生労働大臣表彰
◎業種 宿泊業
年度
高年齢者雇用開発コンテスト
28
平成
現在の最高齢者は68歳
2016.10 28
然温泉で、客室数は
いただけますように」を合言葉に
が満ち足りたひとときをお過ごし
くり」について検討を開始した。
えあれば、働き続けられる職場づ
部 会 を 設 け、「 健 康 で 働 く 意 思 さ
室、250
人の収容が可能な大宴会場も備え
名湯の一角を守り続けている。
いてもらうためには、
歳以降の
な高齢従業員に今後も継続的に働
議論を重ねるなかで、経験豊か
て い る。「 訪 れ て い た だ い た 誰 も
高齢化の状況、職場改善などの背景と進め方
ら、フルタイム勤務以外の勤務形
そこで、1995年1月から人事
を 担 保 す る こ と が 課 題 と さ れ た。
雇用を制度化し、安心感・公平性
態について検討する段階を迎え
制度などの見直しに本格的に着手
人で正規
た。そのため1994年9月に社
した。
人、非正規従業員は
歳定年後に再
長と従業員代表などからなる検討
同旅館の従業員数は
従業員が
人となっている。
雇用された従業員は
正規従業員は2人、非正規従業員
は 8 人 で あ る。 旅 館 業 の 特 性 上、
社会経験が豊かな人材の採用を重
(1)制度に関する改善
に該当する者を
歳まで再雇用す
ていない。新しく入社してくる者
歳以上
る3度目の改定を行った。この基
齢化が進んでいた。
同旅館では、 歳を超えても、本
歳以前と同じ仕事を継続するの
が一般的であった。役職定年も設
けておらず、定年後も役職に就い
ている従業員も少なくなかった。
一 方、 高 齢 従 業 員 の な か に は、
歳に引き上げ
ために、1995年1月より、定
従業員に安心して働いてもらう
うものであり、実態として希望者
健康状態に問題がないこと」とい
準とは、「本人に働く意思があり、
歳から
年年齢を
全員を再雇用している。
歳定年後も働き続
度目の就業規則の改定に取り組
かったため、2002年4月に2
定期昇給と賞与の支給についても
らなければ、賃金の減額は行わず、
勤務形態、仕事内容・役割が変わ
の賃金については、時間給で計算
方、短時間勤務などを選択した者
み、社内の基準に該当する者は5
さらに2015年3月には基準
た。
定年前と同じ処遇としている。一
継 続 雇 用 後 の 処 遇 に つ い て は、
・継続雇用の制度化
ることを決め、就業規則を改定し
70
年を限度に再雇用することを決め
けたいという従業員の希望が多
た。さらに、
65
が約7割を占めており、自然に高
50
人の体力、意欲、能力が続くかぎり、
60
体力の低下や家族の介護を理由に
65
60
る。その結果、全体では
・就業規則の改定
視しており、現在、新卒採用は行っ
改善の内容
人で、うち
48
はすべて中途採用者となってい
Ⅳ
34
60
69
65
10
14
Ⅲ
59
退職する従業員も出てきたことか
29 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
大観荘、外観
フロント会計システムを導入し、事務処理が迅速化した
けるためには日ごろの健康管理が
また、産業医からは長く働き続
泊客との会話が弾むようになった
より退職を余儀なくされる者も出
大 切 で あ る こ と を 学 ぶ と と も に、
が原則であった。しかし、本人の
てきたことから、短時間勤務を選
保険会社の従業員が講師を担当す
するものの、昇給や賞与の支給は
ついては、これまでの勤務経験を
択できる仕組みを導入した。短時
るセミナーでは、住宅ローンの仕
と従業員から声が上がっている。
評価し、同業他社の水準よりも高
間 勤 務 を 選 択 し た 高 齢 従 業 員 は、
組みや将来の年金などについての
健康上の理由や家族の介護などに
めに設定している。
主に、早朝における朝食の準備作
行っている。なお、時間給の額に
同旅館の賃金制度は、定年前か
業や宿泊客が増加する週末の事務
同旅館では、雇用契約更新時を
の場となっている。
ら年功を重視した処遇を原則とし
方針とし、継続雇用後の処遇につ
除き、継続雇用者との定期的な面
(3)職場環境に関する改善
て お り、 人 事 考 課 結 果 に 基 づ き、
いても同様である。処遇に差をつ
談の場を設けていないが、雇用形
・IT機器の導入
知識を習得するなど、研修会は高
けない背景には、業務内容の大半
態の変更を希望する者は個別に社
作業などを担当している。
が成果を明確に示しにくいことが
長が相談に応じている。
賃金・賞与に大きく差をつけない
あった。こうした一連の改善によ
(2)能力開発に関する改善
齢従業員からは特に不満の声は上
ものの、支給額が増えるため、高
退職金の支給日は先延ばしになる
末 日 」に 支 給 す る こ と も 決 め た。
職金を「
歳に達した日の年度の
た年度の末日」に支給していた退
見直した。これまで「
識を深めることが求められてい
人ひとりが地域の歴史に対する知
天満宮が近いことから、従業員一
り、菅原道真公をまつった太宰府
泉は万葉集にも詠まれた名湯であ
いる。同旅館が位置する二日市温
などについての研修会を実施して
健康管理のあり方や太宰府の歴史
天 満 宮 の 職 員 を 講 師 と し て 招 き、
対象に、月2回、産業医や太宰府
高齢従業員をはじめ全従業員を
ことで、ITが苦手な高齢従業員
ルで行えるようカスタマイズする
まえつつ、入力作業をタッチパネ
際しては、高齢従業員の意見をふ
務処理が可能になった。IT化に
テムであり、導入により迅速な事
フロント業務を一括管理するシス
会計、顧客管理、客室管理などの
ト会計システムを導入。フロント
そこで宿泊代金を清算するフロン
ミ ス な ど が た び た び 生 じ て い た。
類を手書きすることも多く、記入
IT化が遅れていた。そのため書
業員が多いことから、事務処理の
同旅館では、事務職にも高齢従
齢期のライフプランを考える格好
り、定年到達時に退職する者はほ
がっていない。
た。これまでは従業員の意欲に任
とんどいなくなった。
・柔軟な雇用形態の導入
せてきたが、同旅館が積極的に取
でも操作しやすいようにした。
2002年に
歳に達し
歳以降の継続雇
60
さらに、退職金制度についても
用制度を導入した当初は、継続雇
り組んで研修会の開催が実現、宿
すがわらのみちざね
用者もフルタイム勤務で働くこと
65
65
2016.10 30
す。接客のよい手本となれるよう
の朝食の配膳などを担当していま
その結果、連続休暇の取得率は
がんばります」とBさんは語る。
「現在はお客さまが集中する週末
の 布 団 の 片 づ け や 室 内 の 清 掃 は、
年 々 上 昇 し て お り、「 子 ど も た ち
AさんやBさんに代表される経
を取得するよう社長からうながし
従来、高齢従業員が担当していた
と家族旅行が実現した」との声も
験豊かな高齢従業員の経験知を活
た。
が、重労働であり身体的負荷が大
聞かれる。
宿泊客がチェックアウトした後
・身体的負荷の軽減
きいことから改善の要望が上がっ
後もさまざまな制度を段階的に見
用していくためにも、同旅館は今
だれもがいきいき働き続けられ
直していく方針であり、高齢従業
(5)従業員の反応・声
ら、これらの作業をすべて外注化
る職場の実現に取り組む、同旅館
員のもつ質の高いサービスを提供
ていた。そこで、1996年頃か
することを決めた。外部に依頼す
の高齢従業員の声を紹介する。
を担当しています。定年後、家族
質上、連続して休暇をとる雰囲気
しかし、旅館業という業務の性
年 後 も 働 く 必 要 が あ り、 短 時 間、
裕のある生活を送るためには、定
立ちしているものの、ある程度余
館内を知り尽くすBさんは現役の
していく方針である。
ることにより、高齢従業員の身体
歳のAさんは、今年で勤続
年のベテランである。
的な負担が軽減し、他の業務に集
中できるようになった。
「 私 は 主 に、 経 理 事 務、 宿 泊 予
給休暇を付与しているが、従来か
を介護しなければならなくなった
約の受付業務、フロント業務など
ら管理職や調理場担当者などの一
ため、社長に相談して、週3日の
日の年次有
部の従業員を除き、その取得率は
年間最大
はなかなか各職場になかった。有
短日数勤務制度が設けられたこと
いた。
給休暇を連続取得することでリフ
は本当に助かりました」とAさん
がしら
6月から9月にかけて、各職場で
歳。定年前は仲居頭として勤務、
なか い
また、仲居として働くBさんは
レッシュし、モチベーションの向上
齢従業員を含むすべての従業員に
は話す。
らいました。子どもはすでに独り
パートタイム勤務に切り替えても
同旅館では、年間
(4)健康管理・安全衛生
30
仲居から大いに頼りにされている。
対し、比較的、宿泊客数が少ない
67
きびきびした動作で年齢を感じさせない高齢従業員
大観荘でいきいきと働く高齢従業員
68
%と高い水準を示して
20
にも大いに影響することから、高
99
調整のうえ、5日程度の連続休暇
31 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
株式会社 陣内運送(佐賀県佐賀市)
◎創業 1963(昭和38)年
企 業 プロ フィ ー ル
定年なし。現在の最高齢者は69歳。
◎定年・継続雇用制度
経験と能力を活かせる職域を開発し
高齢従業員の雇用の場を創出
う
ち
望に耳を傾け、
トップが「年齢に
( 4) 長 く 働 き 続 け る た め に「 健
の
関係なく元気で働き続けられ
康 づ く り 」の 大 切 さ を 啓 発 し、
ん
株式会社陣内運送は1963
(昭
る」会社づくりを明言した。同
保健師の指導など健康管理を充
じ
株式会社 陣内運送
︵佐賀県佐賀市︶
況 の「 見 え る 化 」を 推 進。 ま た
倉庫業務については、リフトを
和 )
年2月に個人事業として創業
時に定年制度廃止の目的や今後
実するための環境を整備した。
本事例のポイント
の 後、1 9 7 0 年 8 月 に 法 人 を 設
の方針に対して、理解を求める
設置するなど作業負荷の軽減を
立、
2006(平成 )年には株式会
取組みを展開した。
きた。若い世代のドライバーの採
運送を通じて地域貢献を目ざして
定し、教育訓練を実施した。
と勤続年数別に、教育計画を策
( 2) 生 涯 現 役 で 働 く た め に 職 種
げて、高齢従業員のための新た
換し、さらに新規事業を立ち上
「運送」から「物流」へ職種を転
( 5) ド ラ イ バ ー と し て の 勤 務 が
用 が む ず か しい 状 況 が 続 く な か、
( 3) 高 齢 従 業 員 の 身 体 的 負 荷 軽
陣内運送が立地する地区は、古
たという背景のもと、先代の社長が
家具を輸送する運送業が栄えてき
な職域を創出した。
困 難 と な っ た 高 齢 従 業 員 に は、
ベテランドライバーの豊かな経験
減のため、ドライバーの運転状
りに全社を挙げて取り組んできた。
歳としていた定年制
歳以降の雇用に不
くからの家具の産地であった。その
Ⅱ
本事例のポイントは次のとおり。
( 1) 一 律
とともに、
安をもっていた高齢従業員の要
60
企業の沿革・事業内容
や能力を十分に生かせる体制づく
18
図った。
る。創 業 以 来、同 社 は 一 般 貨 物 の
社に組織変更して、
現在に至ってい
Ⅰ
38
度を2008年8月に廃止する
60
特別賞
65∼69歳
3人(10.3%)
( 内 訳 ) 60∼64歳
4人(13.7%)
◎従業員数 29人
厚生労働大臣表彰
◎業種 一般貨物運送業
年度
高年齢者雇用開発コンテスト
28
平成
2016.10 32
陣内運送、外観①
陣内運送、外観②
創業以来家具類と一般貨物の配送
0 0 6 年 5 月 に 株 式 会 社 化 し た。
一般貨物運送事業認可を取得。2
事業を起こした。1970年には、
影響も大きく、従業員のモチベー
な勤務態度は、ほかの従業員への
業務に従事する高齢従業員の真摯
を立ち上げた。遺品整理サービス
として「 遺 品 整 理 サ ー ビ ス 部 門 」
んだが、
た。そこで、制度の整備に取り組
不安を覚える高齢従業員も多かっ
たため、
は就業規則に明文化していなかっ
状況であった。しかし、そのこと
歳以降の雇用について
を主体に業容を拡大してきている。
ションが向上、業績アップにも大
定年引上げを実施するのではなく、
歳定年からの段階的な
「定年制の廃止」をあえて選択した。
定年制の廃止と合わせて、同社
が定める「社員に対する基本姿勢」
占めている。そのため、加齢にと
業員
%を
ドライバーの高齢化が進展、全従
従 業 員 の 確 保 が む ず か し く な り、
送・配送を手がけているが、若手
同社は、家具類と一般貨物の運
ライバーから内勤業務への職務転
から物流への業態転換を図り、ド
することとした。そのうえで運送
部で実施していた倉庫事業を強化
2009年ごろから、それまで一
経営がむずかしくなってきたため、
高騰により、従前の営業形態では
には、後述する新規事業への進出
また、定年制廃止に至った背景
る取組みを進めた。
周知を行い、従業員の理解を深め
社の方針に関して丁寧に説明して
年制の廃止とその目的、今後の会
加された。従業員に対しては、定
けられる会社づくり」の項目が追
に「年齢に関係なく元気に働き続
もなう視力や判断力の低下などに
換を可能とした。あわせて中高年
があった。新たな事業を進めるに
歳以上が
よ り、 ド ラ イ バ ー 勤 務 が 困 難 と
者の能力開発や健康づくりなどの
人のうち
なった高齢従業員のための職場や
あたり高齢従業員の経験や能力は
業員も複数在籍しており、実態と
いたが、実際には
現在、短時間勤務は4人で、すべ
勤務への変更などを実施している。
望があれば、相談のうえ、短時間
( 8 時 間 勤 務 )で あ り、 本 人 の 希
勤務形態は基本的にフルタイム
・柔軟な雇用形態
改革に着手した。
必須であったことから思い切った
(1)制度に関する改善
しては定年を延長しているような
歳を超えた従
取組みを行い、長期的に働ける職
しん し
また、2012(平成 )年から
きく寄与している。
60
60
場環境の整備に着手した。
60
改善の内容
29
・定年制の廃止
60
24
歳として
60
業務内容の創出が課題となってい
高齢化の状況、職場改善などの背景と進め方
は倉 庫 事 業を強 化し、新 たな 事 業
24
た。また、ガソリンなどの燃料の
Ⅲ
Ⅳ
同社は、定年は一律
33 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
運転技術向上を目的に、教育訓練に積極的に取り組む
家具類と一般貨物の運送・配送を手がける
て女性である。
トを活用することで、安全運転に
の健康と体調管理のための休憩に
る。また、半年を目安として問題
を 検 証 す る P D C A ※を 実 践、 さ
関する認識を高めることができ
向けた意識向上とドライバー自身
行管理・配車などの内勤者は月給
らなるレベルアップを目ざしてい
た。なお、そのレポート内容から、
の改善状況を把握し、指導の手法
制、ドライバーは長距離運行や夜
く。
賃金については、総務部門・運
勤があるため、運行距離や労働時
することで従業員のモチベーショ
イバーに対して若干の報酬を支給
特に優良な運行を行っているドラ
ドライバーの運転能力の維持とブ
ンも向上している。さらに、倉庫
︱J T と し て は、
ラッシュアップを目的として、ド
一 方、 O f f
また、退職については、本人か
ライバースクールでの運転技術技
業務においても台車の活用を促進
間などに応じ日給月給制としてい
ら申出がないかぎり、基本的に会
能研修の実施に取り組んだ。また、
る。
社側からの働きかけは行っていな
するほか、リフトを設置して作業
長く働き続けるためにも、高齢
すべての職種において、前向きに
従業員の健康づくりと各職場にお
い。現在のところ、年齢を理由と
せて意識啓発を進めたことで業務
ける業務上の事故防止対策が急務
軽減をはかった。
定年制を廃止したことから、従
遂行に必要な能力向上だけではな
と な っ て い た。 そ こ で 前 述 の 物
働き続けるための意識啓発研修の
歳以降も意欲をもって働
く、健康に対する意識も向上する
流経営士である営業統括マネー
する退職は皆無とのことである。
業員が
という相乗効果が生まれた。
(4)健康管理・安全衛生
き続けてもらうために、同社では
(3)職場の環境改善
受講を奨励した。教育訓練とあわ
意識改革や能力開発、教育訓練が
(2)能力開発に関する改善
新たな課題となっていた。そこで、
のテーマは貨物の積載方法や管理
行に必要な指導を実施した。指導
り、運行管理者と連携して業務遂
統括マネージャーがリーダーとな
流経営士」の資格を取得した営業
Tに関しては、佐賀県で初めて「物
定し、教育訓練を実施した。OJ
JTを組み合わせた教育計画を策
︱
業務の負荷を軽減するための指導
る化」が進み、休憩時間の確保や
てドライバーの運転状況の「見え
に搭載した。このシステムによっ
運行レポートのシステムを全車両
危険運転事項の有無が確認できる
た。そこで、運転時間や休憩時間、
することが喫緊の課題となってい
バーには、適切な休憩時間を確保
同社では、高齢化が進むドライ
環境を整備した。
導を受けさせるなど健康づくりの
ともに、必要に応じて保健師の指
診などのフォローアップを行うと
2回実施しているが、二次健診受
を実施した。また、健康診断を年
康管理の大切さに対する意識啓発
括部長が中心になり、日常的な健
ジャー、さらに総務担当の管理統
2011年からOJTとOff
方法はもとより、過重労働防止や
が可能となった。また、運行レポー
なによりも大切なことであり、事
一方、運送業務において安全は
安全運転など多岐にわたってい
60
※ PDCA … 事業活動における生産管理や品質管理などの管理手法。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)をくり返し継続的な改善をはかる。
2016.10 34
若手従業員を指導する高齢従業員の様子
新職域として倉庫事業を強化
困難となった高齢従業員のための
進み、ドライバーとしての職務が
同社ではドライバーの高齢化が
(5)新たな職域の開発
に交通安全教育を実施した。
故防止対策としてドライバー向け
新規事業の開拓であった。
験がさまざまな場面で生かされる
られ、高齢従業員の豊かな人生経
族の思いを大切にすることが求め
ることが強みであった。また、遺
細な作業ノウハウが十分に生かせ
が主体となることから、同社の繊
験はなかったが会社の理解と支援
業 で あ り、「 ド ラ イ バ ー 業 務 の 経
は
語っている。また、
な れ る よ う に が ん ば り た い 」と
事しています。後輩社員の手本と
庫業務と遺品整理のサービスに従
歳のBさん
新たな職場の創出が大きな課題と
年ほど前に入社、前職は製造
64
た。
れスムーズな職務転換が実現し
ていたため、長年の経験が生かさ
ライバー時代に家具類を取り扱っ
なうことになったが、もともとド
齢従業員も、その業務の一部をに
換させた。ドライバー経験者の高
の一連の業務をになう業態へと転
し、入荷・検品・配送・返品など
一部実施していた倉庫事業を強化
へ の 業 態 転 換 を 決 断 し た。 ま ず、
テップとして「運送」から「物流」
され、問題解決のために最初のス
運営がむずかしくなることも予想
の燃料の高騰から運送業だけでは
なっていた。また、ガソリンなど
も取得している。
いる。また、同社は古物商の免許
が参入しており、課題も山積して
ているが、さまざまな業種の会社
ら、働く意欲の醸成にもつながっ
活躍できるサービスであることか
拡大が見込まれる。高齢従業員が
らの依頼もあり、今後一層業容の
る。ときには、弁護士・裁判所か
掃 士 」の 資 格 取 得 を 奨 励 し て い
ケ ー ス も あ る こ と か ら、
「特殊清
は、「 孤 独 死 」の 事 案 を 受 注 す る
アップをはかった。さらに最近で
たずさわる高齢従業員のスキル
業務マニュアルを整備して業務に
業 員 を 対 象 と し た 研 修 を 実 施 し、
の資格を取得して、自らが高齢従
まず同社の代表が「遺品整理士」
組んでいく。
の根源ととらえ、職域開発に取り
が、高齢従業員の活用こそ競争力
など常に挑戦し続ける同社である
者活用のための新たな職域の開発
進めるなかで、業態の転換や高齢
なく勤務可能とする環境づくりを
定年制度を廃止し、年齢に関係
すます意気軒高である。
間のフルタイム勤務をこなし、ま
さんとBさんは、現在も1日8時
望んでいます」と話している。A
にかぎらず長く働き続けることを
ています。今後もドライバー業務
送を中心にドライバー業務を行っ
たので、会社に相談して、市内運
体力的に長距離運送が困難になっ
第2のステップとして、新規に
「 遺 品 整 理 サ ー ビ ス 業 」を 開 始 し
歳から勤
歳のAさんは、同社の最
(6)高齢従業員の声
に よ り 続 け て こ ら れ た。 現 在 は、
20
た。これは 文 字 通 り、亡くなった
現在
高齢の従業員である。
人の部屋の片づけや清掃、不要品
の処分などを代行する業務であ
18
年 の A さ ん は、「 倉
務 し、 勤 続
35 エルダー
69
る。この業務は、家具類の取扱い
50
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
優 秀 賞
▼
茨城県
入賞企業一覧
社会福祉法人 紹隆会
高松保育園・高松第二保育園
佐 賀 県 株式会社 陣内運送
福 岡 県 株式会社 大観荘
香川県
厚生労働大臣表彰
特 別 賞
▼
株式会社 ハラキン
大 阪 府 エバオン 株式会社
栃 木 県 株式会社 テクノスチールダイシン
茨 城 県 有限会社 おとうふ家族
最優秀賞
•
▼
高年齢者雇用開発コンテスト
28
年度
平成
•
2016.10 36
•
三 重 県 社会福祉法人 あやまユートピア
大 阪 府 アイエム翻訳サービス 株式会社
奈 良 県 松元加工 株式会社
佐 賀 県 社会福祉法人 凌友会
特 別 賞
▼
社会福祉法人 三縁の会
介護老人保健施設 サットヴァの園
株式会社 早和果樹園
社会福祉法人 滴々会
愛 媛 県 泉製紙 株式会社
徳 島 県 医療法人 照陽会
和歌山県
滋 賀 県 株式会社 エルム測建
岐阜県
長 野 県 株式会社 シール片山
長 野 県 株式会社 三立
石 川 県 株式会社 エー・オー・シー
千 葉 県 東葉ビル管理 株式会社
千 葉 県 株式会社 かいごデザイン
埼 玉 県 株式会社 晃新製作所
埼 玉 県 オカゼン 株式会社
栃 木 県 社会福祉法人 足利むつみ会
福 島 県 株式会社 ローズ・ビルサービス
独 立 行 政 法 人 高 齢・障 害・求 職 者 雇 用 支 援 機 構 理 事 長 表 彰
優 秀 賞
▼
長 崎 県 城山交通 株式会社
大 分 県 社会福祉法人 みのり村
宮 崎 県 赤江機械工業 株式会社
鹿児島県
•
37 エルダー
平成28年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
49 回]
[第
い る が、 と も に 不 幸 な 縁 だ っ た。
もともとは京都の生まれだ。父は
幕末から明治維新にかけて女性
歌 人 と し て 名 を 馳 せ た 蓮 月 尼 は、
も若死にした。養父は、
の間に四人の子を産んだがいずれ
ったが若死にしてしまった。夫と
不幸な前半生
最初の夫は放蕩者で始末におえな
一 応、 伊 賀︵ 三 重 県 ︶上 野 の 城 主
かった。二度目の夫は誠実ではあ
藤 堂 金 七 郎 だ と い わ れ て い る が、
﹁ お ま え は 不 運 な 女 だ。 も う 結
婚は諦めなさい﹂
古の一人息子が急死したので、京
城に奉公した。しかし、養父の光
歳 の と き に 丹 波︵ 兵 庫 県 ︶の 亀 山
た太田垣光古の養女になった。八
まれるとすぐ、知恩院の寺侍だっ
街 ︶で、
﹁ 誠 ﹂と 名 づ け ら れ た。 生
が生まれたのは京都の三本木︵花
い た。 あ ま り に も う る さ い の で、
しかし、蓮月尼は非常に美貌で
あったのでいい寄る男がたくさん
た。
全くの孤独な立場になってしまっ
十年後に養父も死んだ。蓮月尼は
き蓮月尼は三十三歳だった。ほぼ
といって、ともに仏道に入るこ
とを勧め、髪をおろした。このと
母はついにわからない。遊女だっ
都に戻った。
蓮月尼は次々と引越しをした。そ
たという説もある。しかし、蓮月
蓮月は二度結婚したといわれて
2016.10 38
ついた。
越 し ︶の 誠 さ ん 〟とい う あ だ 名 が
の た め 彼 女 に は、〝 家 越 し︵ 引 っ
﹁ ぜ ひ、 弟 子 に し て 歌 を 教 え て
ください﹂
来る人間も多くなった。なかには、
なく、蓮月尼の歌を愛して訪ねて
は訳のわからない品物が飾られて
り、伏見人形であったり、あるい
が祀られていた。京人形であった
机の上に始終ホトケ代わりの物体
部屋を見ると、机があって、その
とき葬儀の一切の世話をしたのが
蓮 月 尼 は 一 八 七 五︵ 明 治 八 ︶年
に死んだ。八十五歳だった。この
のかとも思った。
るために、こんなことをしている
蓮月尼は初めて心の平安を得
た。 そ こ で 彼 女 は 生 活 の た め に、
う。
まめしく世話をした。ところがこ
に蓮月尼の庵に住み込んで、まめ
年下だ。鉄斎はまるで下僕のよう
岡鉄斎もその一人
若き日の富
だ。鉄斎は蓮月尼より四十六歳も
過激な富岡鉄斎
﹁ 阿 弥 陀 様 だ と、 私 の 方 か ら お
願いすることが多くなって困りま
といった。蓮月尼は微笑んでこ
う応えた。
ですか? 阿弥陀様でもお祀りす
れば、変えなくてすむでしょう﹂
鉄斎は蓮月尼に訊いた。
﹁ な ぜ、 始 終 祀 る 物 を 変 え る の
の 姿 を よ く 思 い 出 し た。 そ し て、
のうえに飾っていた、粗末な人形
ぬが、生涯を通じて蓮月尼を忘れ
明治になってから鉄斎は中国画
を志し、その方面で大家になった。
という者もいた。
鉄斎である。蓮月尼は、自分が死
しかし、それでも男達が追いか
て来るので、ついに蓮月尼は釘抜
いるのだ。
きで自分の歯を全部抜いて血だら
焼 き 物 を は じ め た。 き び し ょ︵ 急
のころの鉄斎は、幕末の勤王運動
す。お人形さんならすぐ換えるこ
ふ っ と、
︵自分が国事から離れて
んだときにといって、ある人に三
須︶が得意だった。ただ焼き物を
にかぶれていてかなり過激なこと
とができます。私が執念を持たな
絵 に 専 念 す る よ う に な っ た の も、
けになった。その恐ろしい行為に
焼くのではなく、土を練った後に
を口走った。それまでに、平田国
くてすみます。ですから、こうし
蓮 月 尼 師 匠 の 影 響 か も 知 れ ない ︶
ミ で こ の 焼 き 物 が 評 判 に な り、
焼き〟といって売り出した。口コ
しかし運動に疲れると鉄斎は必
ず蓮月尼の庵に戻って来た。庵は
鉄斎は考え込んだ。鉄斎もバカ
ではないから、あるいは蓮月尼が
と思うのだった。
ケ さ ま だ っ た の だ ︶と 、し み じ み
らはいい寄る者がなくなったとい
次々と飛ぶように売れた。注文が
四畳と二畳しかない。鉄斎は二畳
自分の激しい行動を遠回しに諌め
ては、子どものお人形でさえホト
多すぎて、製作が間に合わない状
の方で寝起きしていた。蓮月尼の
なかった。特に蓮月尼が小さな机
彼 は 一 九 二 四︵ 大 正 十 三 ︶年 に 死
十両の大金を預けていた。
彼女はその表面に自分が作った歌
学を学んでいたので、どうしても
て始終変えるのです﹂
と、︵お師匠さま︿蓮月尼﹀にとっ
はさすがの男たちも怯み、それか
を釘で刻み込んだ。これを〝蓮月
行動が激しくなる。
﹁⋮⋮﹂
態だった。焼き物が売れただけで
39 エルダー
高 齢 者 に 聞く
第
30
回
防災や警備業務に従事、人命と財産を守ることに誇りをもって第二の人生を歩み
ことを自らに課す篠田さんが生涯現役の心意気を語る。
生涯現役で世の中に恩返しを
私 は 1 9 6 0︵ 昭 和 ︶年 に 大 学 の 建 築 学
科を卒業、中 堅の建設会社に入 社しました。
えるまで設計畑で働かせてもらいました。高
度成長時代の恩恵を受け、周囲の人に恵まれ
て長年にわたり好きな仕事に従事できたこと
に感謝し、何か恩返しをしなければという思
職場に変われば、そこで必要な資格を取得し
篠田さんは﹁仕事に役立つ資格を身につけ
ることが長く働ける秘訣だ﹂と語る。新しい
いが、私の生涯現役の原点となっています。
た。設計の仕事を希望しましたが、まずは工
大学在学中に東京タワーが竣工され、世の中
事部へ配属され、1週間ほどの研修の後、す
積極的に仕事に役立てていくスタンスは、若
は建設ブームを迎えており、花形の職業でし
ぐに現場に出ました。仕事は主に職人の補佐
いころから一貫している。
を取りました。5年ほど経ったとき﹁一級建
とができる ため、まず﹁一級建築 士﹂の資格
があれば﹁一級建築士﹂の受験資格を得るこ
択肢の一つと思い、防火対象物の管理に必要
のではないかと考え、防災や警備の仕事も選
りましたが、個人住宅の設計は先細りになる
定年を迎える2年前に﹁自衛消防要員資格﹂
を取得しました。設計の仕事を続ける道もあ
資格を仕事に生かす喜び
でしたが、職人気質の寡黙な人が多く、背中
を追いかけながら夢中で仕事を覚えたもので
す。当時、著名な建築家が設計にたずさわっ
ていたため、現場で高度な施工技術を学ぶこ
築施工管理技士﹂の資格も得ました。自分な
な自衛消防要員資格を取りました。幸い定年
とができました。大学卒業後2年の実務経験
りに将来を考えて必死で勉強しましたが、残
後すぐ、その資格を生かせる職場に出会いま
階建ての高層ビルの
要ということもあり、防災盤の監視や操作を
災センター要員﹂の有資格者が5人に1人必
す。ビル管理会社から
念なことに会社が解散することになり、結局、
年でした。
会社の解散は予期していなかったので、こ
れからどうしようかと一抹の不安を覚えまし
行うために、 私も﹁防災センター 要員﹂の資
建設の現場で過ごしたのは
たが、ちょうどそのころ、プレハブ住宅建設
格を取りました。東京防災設備保安協会が認
ビルの防災や警備に必要な知識を学びまし
警備員に派遣されました。高層ビルには﹁防
が台頭し始めたこともあり、住宅施工を手掛
定する資格です。現場で先輩に教わりながら、
ました。
年の現場 経験と資格が評価さ れ、
21
ける林業関係の会社から声をかけていただき
10
篠田慎一さん
続けている。夜間勤務のため日ごろから健康管理に心がけ、常に機敏に行動できる
35
念願だった設計部へ配属、それから定年を迎
10
東京クリアランス
工業株式会社
篠田慎一さん(78 歳)は 、建設会社を定年まで勤めあげ、その後ビルの
2016.10 40
高 齢 者 に 聞く
歳で、ベテラ
喜びです。
ン従業員がいきいき働いている社風に触発さ
展開しています。平均年齢が
知識を得ることはとても新鮮でした。幸いな
れ、気がつけば7年が経ちました。雇っても
代の後半を迎えていましたが、新しい
ことに、建設の現場に長くいましたから、建
らえたことに感謝しています。
た。
物の構造や配置、平面図や設備などの把握に
私のような高齢者にとって、夜勤は決して
楽ではありませんが、いまではすっかり体が
驚かされるのは、1カ月も経たないうちに新
若いころ、会社の解散に直面した篠田さん
は、その後も2度同じような体験をしている。
本的に一人で警備や防災面を担当しています
が夜間勤務を担当するようになりました。基
態を見直すなかで、私のようなパート従業員
なしています。会社が正規の従業員の勤務形
警備と防災は咄嗟の判断力が求められます
が、そのために心身が健康であることが大切
酌も楽しみの一つです。
とるようにしています。夜勤のない日には晩
人生を楽しもう
おおいに役立ちました。無駄な経験は一つも
1年に一度社長の面接を受け、じっくりと
懇談するなかで次年度の契約を行い、勤務形
慣れました。しっかり睡眠をとれば問題はあ
たな職場に立っていること。働き続けて社会
ないのだといま改めて思っています。
時から翌朝7時まで
りません。夜勤前と夜勤後にたっぷり睡眠を
に役 立ちたいという 原 点は 揺 ら ぐことがな
だと考えています。体力をつけることと趣味
い。
ました。その会社がまたまた解散することに
防災センター要員と警備員として4年間働き
高層ビルには7年勤めましたが、会社の解
散にともない、新たなビル管理会 社へ入社、
ますから、たえず勉強する必要があります。仕
更新できません。防災は時代とともに変化し
員﹂の資格は5年ごとに講習を受けなければ
若いときに取得した﹁自衛消防要員﹂の資
格は永久に維持できますが、
﹁防災センター要
をともなった日々を過ごしています。
なっているという意味で自負もあり、緊張感
との語らいから明日の活力が生まれます。
月2回の山行は心身をリラックスさせ、仲間
山歩きをシニアの仲間たちと楽しんでいます。
いまは高い山に登ることよりも、季節を味わう
いころ は 地 元 の 山 岳 会 に 入っていま し た が、
緊急事態に対して一つずつ細やかにマニュア
また、若い人たちには、頭が柔軟なうちに
できるかぎり何らかの資格の取得に挑戦して
となく社会に生かすべきだと私は思います。
時担当していたビルの管理を引き継いだの
ル対応できるようにしています。とりわけ火
ほしいと願います。私は若いときに取得した
同世代の仲間のなかには悠々自適の人もい
ますが、高齢者は自身の経験や技術を惜しむこ
が、東京クリアランス工業でした。ビルのこ
災には細心の注意を払っています。 な に よ り
資格を生かして、
事の工夫としては、火災や地震などあらゆる
とを熟知している人に防災や警備の仕事をし
も自分の五感を働かせて機敏に行動できるよ
歳のいまでも現役で働か
てほしいと、パート従業員として採用して頂
せてもらっています。生涯現役とはなんと響
歳の再出発でした。
う心身の鍛錬に心がけています。
きました。
さあ明日に備えることにしましょう。
した。ところが人生とは不思議なもので、当
65
11
なり、そろそろ年貢の納めどきかなと思いま
人命と財産を守る責任感
歳から山登りを始めました。若
ので、ビルの安全を守っているという気概があ
日および
態を決めています。夜
日の日数をこ
60
を兼ねて、
の夜間勤務で、月
11
り ま す。ま た、 会 社 の 夜 間 勤 務 の 一 面 を に
10
警備は人命を守り、防災は財産を守ります。
少しでもそのお役に立つことが、私の最大の
71
会社は総合ビル管理業者として空調・衛生・
給排水、消防設備や警備業など幅広く事業を
78
きのよい言葉 でしょう。今夜も 早く眠って、
41 エルダー
60
高 齢 者 の現 場
このコーナーでは、都道府県ごとに、
当機構の高年齢者雇用アドバイザーの協力を得て、
高齢者雇用に理解のある経営者や人事・労務担当者、
最上 峡 芭蕉ライン観光株式会社
産県となりました。山形といえばサクランボで
すし、西洋ナシ︵ラ・フランス︶も全国一の生産
量を誇ります。ブドウ、リンゴ、桃なども高い
生産量となっています。
一方、ものづくりも盛んです。歴史は約90
0年前の山形鋳物にさかのぼり、明治時代には
鋳物の技術を応用した農機具の製造、戦時中は
航空機やその部品が製造されるようになり、戦
後は航空機から発展したミシン産業が全国に名
を馳せ、そこでつちかわれた多様な技術が現在
の山形のものづくりを支えています﹂
また、山形県は山形市を中心とする村山地区、
県北の最上地区、日本海に面する庄内地区、県
南の置賜地区の大きく4地区に分けて語られる
こ と が 多 く、﹁ 当 業 務 課 は 村 山 地 区 に 位 置 し、
近 隣 に は 山 寺︵ 宝 珠 山 立 石 寺 ︶が あ り ま す。 松
だことでも有名です﹂と浅井課長。
尾 芭 蕉 が〝 閑 さ や 岩 に し み 入 る 蝉 の 声 〟を 詠 ん
今回は、この山寺とともに芭蕉の﹁奥の細道﹂
ゆかりの地としても知られ、風光明媚な景色が
訪れる人を魅了してやまない人気観光地の職場
今回は、山形県の高齢者雇用の現場を訪ねま
栽培に適した気候風土と生産者のみなさんの情
変える豊かな自然環境が魅力です。また、果樹
%を山地が占めています。四季折々に表情を
連峰、県中央部には出羽三山がそびえ、県域の
有し、宮城県との境に奥羽山脈、県西部に朝日
﹁山形県は
務課の高年齢者雇用アドバイザーの森谷順二さ
をしている事例です。山形支部高齢・障害者業
がら長く働き続けられるように、細やかな対応
業員が、それぞれのスキル、持ち味を発揮しな
の取組みをご紹介します。お客さまを迎える従
す。はじめに山形県の特徴や産業について、当
都道府県で9番目に広い面積を
機構山形支部高齢・障害者業務課の浅井鉄也課
熱により、生産量・種類とも全国有数の果樹生
んにご案内いただきました。
長にたずねると、次のように返ってきました。
47
つちかったスキルを長く発揮できるように
希望に応じた働き方の実現に努める
そしていきいきと働く高齢者本人の声をご紹介します。
山形県
豊かな自然と果樹、ものづくりが自慢
第 53 回
85
2016.10 42
ニークなガイドも人気で、全国各地からお客さ
人気の舟下りを運航
ると、なだらかな山々と雄大な流れの最上川が
まが訪れています。最近は全体の1割ほどが外
JR山形新幹線の新庄駅から車で
目の前に広がります。今回の訪問先は、﹁最上
20
分ほど走
する高年齢者雇用アドバイザーです。その人柄や活躍について
国からのお客さまといいます。
◆森谷順二アドバイザーは、山形支部高齢・障害者業務課に所属
39
峡芭蕉ライン観光株式会社﹂です。1964︵昭
高齢者雇用の相談・助言活動を行っています
舟下りのほかに、売店や食堂の運営、お弁当
に取り組んでいます」
︶年 に 創 業 し、
﹁ 遊 客 の 笑 顔 を 求 め、 ま ご
だと認識し、私が洒落で使う言葉です
が、
“好機、高齢者”との思いを胸に秘めて、アドバイザー活動
和
また、働くことは、人の役に立つこと
販 売、体 験 サ ー ビ ス︵ 蕎 麦 打 ち な ど ︶の 提 供 を
康で丈夫でいられるように思います。
ころと思いやりで乗せる芭蕉ライン。安全なく
というよりも、働いているからこそ健
行っており、従業員数は現在
「体が丈夫だから高齢期も働ける、
して笑顔なし﹂を掲げて、最上地区で﹁最上川
森谷アドバイザーから
業員
年齢:60 歳 アドバイザー歴:16 年
芭蕉ライン舟下り﹂を運航しています。
森谷順二アドバイザー
同支部の浅井鉄也課長は、「いつもやさしいニコニコ笑顔のアド
所訪問を通じて高齢者雇用にかかわる相談・助言を行っていま
す(2015 年度の相談・助言件数は 430 件)。
「事業所訪問は、毎年雪が降る前までを目処に精力的に取り組ん
でいます。また、相談・援助の一環として、中高年齢従業員、
あるいは高齢従業員が配置されている職場の管理・監督者を対
象とした『就業意識向上研修』などにも積極的に取り組んでいま
す」
(浅井課長)。
◆相談・助言は無料で行っています。
お気軽にお問い合わせください。
山形支部高齢・障害者業務課
住所:山形市漆山 1954 山形職業能力開発促進センター内
電話:023(674)9567
が最も多く
25
人、次いで営業・販売が
19
人、事
人。年齢別 にみると、
歳以上2人。
70
15
務総務8人、清掃など4人となっています。
歳7人、
69
歳以上の従業員は
65
∼
75
60
歳6人、
72
12
∼
64
歳︶
、蕎 麦 打 ち 講 師︵ 最 高 齢の
20
70 60
代は船 頭︵
41
歳︶として活躍しています。最年少者は 歳で営
業部門を担当しています。平均年齢は ・3歳。
歳で定年を迎えた後、希望者全
60
ベテランと若手の関係が理想的な状況
歳まで働ける再雇用制度を2011年度に
43 エルダー
同社では、
秋の「最上川芭蕉ライン舟下り」
員
整備しました。 歳以降の制度はありませんが、
本人と会社の希望により、引き続き働いている
65
65
人︵うち正規従
56
㎞の最
人︶。舟下りの乗船員部門︵船頭・操船︶
28
こ の 舟 下 り は、 古 口 港︵ 戸 沢 藩 船 番 所 ︶と 草
を行ってくれています」と紹介します。
◆山形支部では6人の高年齢者雇用アドバイザーが、県内の事業
薙 港︵ 川 の 駅・ 最 上 峡 く さ な ぎ ︶の 約
ニモマケズ 風ニモマケズ”ひたむきに親身になって相談業務
上峡を約1時間かけて楽しむもの。毎日運航さ
バイスにより信頼を重ねています。宮沢賢治の詩のように“雨
れ、四季折々の眺めと船頭の味のある舟唄やユ
バイザーで、相談先の事業所からの好感度も高く、適切なアド
従業員もいます。
代、 代の男女の若い世代もい
船頭など乗船の仕事に就きたいと望んで遠方
から就職した
30
のスキル、持ち味があり、一人ひとりが大事な
りますが、みんな知識や工夫を重ねてガイドを
長くその人た
存在です。また、民謡は基本的に口伝で、民謡
ものですから、
ちに力を発揮
を得意とするベテランが若手に伝えています。
しますので、だれも代わることができない個々
してもらいた
尺八や三味線などもベテランが教えています﹂
できるかぎり
い、そのよう
同社のベテランは、若手から目標とされる存
歳以上
歳以上の方も複数いました。今年
し か し、
﹁ 昨 年 2 度 目 の 訪 問 を す る と、 従 業
個々の希望に対応しています。農業との両立や、
ぎ て か ら は 1 年 ご と の 雇 用 契 約 で、 働 き 方 は
位の変形労働時間制で働いています。定年を過
季節により観光客数に変動があるため、1年単
また尾形執行役員によると、同社の従業員は、
といわれるような存在だといいます。
で、今度は家族を誘ってまた会いに来ました﹂
旅行で乗船したときの船頭さんが楽しかったの
舟 唄 を ま た 聞 き た い ﹂と 指 名 さ れ た り、﹁ 社 員
在であり、お客 さまからは、﹁あの船 頭さんの
な考えから取
4月には、従業員数がさらに増加し、
短時間・短日数の勤務も可能とし、運航の現場
代の方もいましたが、高齢者雇用
の乗船員も数名いることを知り、高齢期の労働
では、乗船員の配置を決めたりする管理者が、
り組んでいます﹂と語ります。
力も同社を支えていることを実感するととも
運航スケジュールとそれぞれの希望などを照ら
員が増え、
いました。
歳 ︶は、 こ の 道
年のベ
お客さまに喜んでいただけるように
加 藤 甚 五 郎 さ ん︵
42
返ります。
に、 ベ テ ラ ン の 姿 を 見 て 若 手 従 業 員 が 育 つ と
し合わせてシフトを組んでいるといいます。観
き続けられるように努めていると聞きました。
60
取材では、お二人の乗船員からお話をうかが
いった、両者が理想的な状況にあることも感じ
光シーズンの繁忙期には、手間も気遣いもさら
同社の舟下りは、以前は冬季は休航していま
また、乗船員の体調管理や日々の様子も管理者
に必要となりますが、高齢従業員が無理なく働
したが、いまは暖房のついた舟で雪景色を眺め
や尾形さんら近くにいる職員が常に気遣ってい
﹁現在のベテラン従業員には、この土地で生
船頭として活躍している加藤甚五郎さん
の高齢者雇用を語ります。
るという冬の運航も行っています。このような
るといいます。 森 谷アドバイザーは﹁ と て も き
す。
め細やかな対応をされている﹂と感心しきりで
工夫が人気を博し、ここ数年は従業員数も増加
しているようです。
今回の取材に応じてくださった同社総務の尾
まれ育った人が多く、地元の歴史や文化に詳し
尾形さんはその理由を次のように話します。
とについて、
﹁
形一学執行役員は、高齢者雇用を進めているこ
とくに乗船の仕事は知識と経験を必要とするも
いのです。船頭のガイドには、マニュアルはあ
歳以上の従業員が増えるなか、
ので、それは長年の努力によってつちかわれる
72
70
にはまだ目を向けていない印象でした﹂と振り
尾形一学執行役員
られました﹂と森谷アドバーザーは現在の同社
り少なく、
めて訪問し、当時のことを﹁従業員数は現在よ
森谷アドバイザーは、同社を2011年に初
います。
て、ガイドや舟唄などの訓練を重ねて奮闘して
20
60
65
2016.10 44
﹁小型船舶操縦士免許﹂と﹁特定操縦免許﹂を持
テラン船頭です。舟下りの船を操作するための
とがうれしいです﹂と満面の笑みで話します。
ら、最近は外国からもお客さまが来てくれるこ
歳のときにこの職場に入り、操
大宮船長の舟に乗せていただくと、﹁モーター
についている舵を動かして操作します。船のメ
ンテナンスも私たちの大事な仕事です﹂などと
教えてくださいました。黙々と舵を動かす姿が
大宮さんは
船の仕事に就いて、いまも船長を務めています。
凛々しい大宮さんです。
ち、 以 前 は 船 頭 と 船 長︵ 操 船 ︶も に な っ て い ま
したが、
取材時は穏やかな最上川でしたが、風雨の強い
歳を過ぎてからは船頭に徹していま
す。こうした役割分担は、現場の管理者と相談
歳以降の雇用制度を検討中
日や吹雪の日もあるため、﹁操船には知識と経
験が大事ですし、いつも安全第一を心がけて運
航しています﹂と仕事を語ります。
歳以上の従業員が増えるととも
若いときは、お客さまを乗せていない帰りの舟
﹁民謡は、わざと声をつぶして訓練しました。
しています。忙しいときもありますが、定年以
両立していましたが、いまは農業とこの仕事を
んは出稼ぎに出ていたそうで、﹁昔は建設業と
員のモチベーション維持・高揚、また
について制度化を提案したといいます。﹁従業
いるので、森谷アドバイザーは
に、
ここ数年、
で唄って訓練したものです。唄が好きですし、
降は自分の予定も入れられるので、無理なくで
も安心して働ける環境整備を考えてお話ししま
以前、冬季の運航がなかったころは、大宮さ
仕事は楽しく、生きがいにも感じますので、体
きますし、ここに来て船に乗り、待機所で仲間
歳以降
歳以降の雇用
歳以降も働くことを望む従業員が増えて
力が続くかぎり働いていたい﹂と加藤さん。
した﹂と森谷アドバイザー。
船頭を担当し、2回、3回目と毎回指名して
常に明るい笑顔で話してくださって、この仕
できるかぎり、続けていたい﹂と大宮さん。
とわいわい話せることがなにより楽しいです。
いいます。
の民謡や温かな雰囲気の話し方に人気があると
加藤さんは、
﹁花笠音頭﹂
、
﹁真室川音頭﹂など
して決めています。
45
事がとても好きな様子が伝わってきます。
した。
歳以降も会社が認めた者は引き続き働
代まで働いてい
︵取材・増山美智子︶
的に繁栄することに努めたい﹂と今後を語りま
ンが活躍し、そのなかで若い世代が育ち、継続
﹁より安心して働ける環境づくりに励み、ベテラ
健 康 に さ ら に 気 を 配 っ て い き た い ﹂と説明し、
土があります。また、会社としては、従業員の
決めなくても、自分で退職の時期を判断する風
た乗船員はこれまでにもいました。上限年齢を
り、尾形さんはその意図を﹁
上限年齢はとくに定めない方向で検討してお
明記することなどを考えているそうです。
くことができる﹄といった文言を、就業規則に
ば、﹃
現在、尾形さんとその内容を検討中で、例え
65
65
65
もらえることもあるのが﹁うれしい﹂と語る一
方、
﹁お客さまに喜んでいただけるようにと常
に思って仕事に向かい、体調管理に気をつけて
います﹂と引き締まった表情で語ります。
船長姿が似合う大宮信一さん
65
70
加藤さんの舟に乗せてもらうと、舟が動き出
した途端、表情に輝きが増し、
﹁ようこそいらっ
しゃいました﹂と、 い い 声 が 川 下 り の 風 景 に な
じんでいます。いつか客として舟に乗り、舟唄
を聞いてみたいと思いました。
歳︶は、この土地の生まれで
みなさんが来てくれることが喜び
大宮信一さん︵
67
現在も職場近くに住んでいます。
﹁日本各地か
45 エルダー
60
65
65
健 康 ・安 全
相談室
]
30 回
第
[
図表 更年期から周閉経以後の多彩な症状の推移
閉経
月経異常
精神神経症状
生殖器・皮膚の萎縮
泌尿器症状
動脈硬化
中と同様に病気
群ですが、妊娠
に関連した症状
ホルモンの低下
このどちらも性
期 を 迎 え ま す。
特徴とする更年
峻な〝峠越え〟を
閉経の前後で急
れ と も 異 な る、
女性の場合はそ
が あ り ま す が、
り 坂 〟の 更 年 期
やか で 長 い〝 下
候 群 ︶とい う 緩
にもLOH症候群︵加齢男性性腺機能低下症
とも関連し加速しやすくなっています。男性
公益社団法人日本産業衛生学会 エイジマネジメント研究会 編
中高年女性が元気に働き続けられるための
﹁健康管理のポイント﹂を教えてほしい。
小売業の人事総務担当者です。弊社はこれまでパートタイマーやアルバイトに頼り営業展開
してきましたが、女性活躍推進法︵2016︵平成 ︶年 月施行︶を受け、販売戦力である女
性従業員に高齢期まで働いてもらったり、管理職に登用したりすることを積極的に考え、育成
する計画を立てています。その一方で弊社でも﹁健康経営﹂に関心をもち、課題整理をするな
かで、 ∼ 代のパートタイマーの女性が体調不良に悩み、辞めてしまうケースも少なくなか
ったという意見も出てきました。中高年女性における健康課題とはいったいどのようなものな
のでしょうか。
更年期という〝峠越え〟を見すえた先の健康支援のあり方を検討してみましょう
態に不調を感じ始めたり、生活習慣病の通院
不良や老眼、肩こり・腰痛・膝痛など健康状
態を理解しましょう
治療が必要になったりすることは、加齢現象
70 代
60 代
4
代に差しかかるころから、睡眠
(潜在期)
骨粗鬆症
50
1.まず更年期から閉経後の健康状
男女とも
ホットフラッシュ
(のぼせ・ほてり)
、発汗など
血管運動神経症状
40
50
50 代
40 代
28
1
働く
高齢者の
ための
2016.10 46
健康・安全 相談室
断する根拠も乏しく、個人差も著し いため、
れます。ただ生理的現象から病的レベルと判
前後の5年、つまり約
年間が更年期といわ
∼ 歳に生じ、この閉経
す︵ 図 表 ︶
。 一 般 に、 閉 経 を 迎 え る 年 齢 は 平
みならず、多様な変調をきたすことになりま
機能が急速に衰えるため、生殖機能の停止の
の作用によって支えられていた全身の臓器・
経 期 を 境 に、 女 性 ホ ル モ ン︵ エ ス ト ロ ゲ ン ︶
えます。女性の場合、男性と異なり、この閉
ではなく、ある種の〝特別な健康状 態〟とい
安 井 敏 之 氏 の R E V I E W﹃ 周 閉 経 期︵ 更
年期︶における内分泌・代謝﹄
︵日本生殖内分
す。
うちから意識してもらうことが大切となりま
は特にこの峠越えを意識した健康管理を若い
きり長寿になる可能性も高いのです。女性に
この閉経後の健康状態いかんによって、寝た
康で長生きとは必ずしもいえない状況です。
年︵ 2 0 1 3 年 厚 生 労 働 省 調 査 ︶と 長 く、 健
康寿命の差は男性9・
り健康的と思われがちですが、平均寿命と健
ほど問題なく、平均寿命も長いため、男性よ
て い た 人 生 が、〝 卵 子 の 老 化 〟と い う 厳 し い
アを積み上げた後に妊娠・出産をと思い描い
らず、個別の事情に対し労働現場で扱うには
健康面からのアプローチが不可欠にもかかわ
を い か に 予 測 し 受 容 し 取 捨 選 択 し て い く か、
現のためには、女性特有のエイジングの事実
性一人ひとりが思い描くキャリアプランの実
はある程度進んできました。しかしながら女
に必要な育児・介護休業法といった法の整備
男女雇用機会均等法、あるいは子育てや介護
てると、母性保護を中心とした労働基準法・
推進が期待される昨今、就業環境に焦点を当
管理に臨むことが大切です。つまり﹁嵐の後
が、
﹁峠を越える﹂ことの意味を理解し、健康
一般に更年期は﹁嵐が通り過ぎるのを我慢
する﹂という心構えになることが多いのです
2.
〝峠越え〟の意味を理解しましょう
います。
発症に関与する可能性があると述べていま
おける変化の違いがその後にみられる疾患の
段階で生じているそうです。つまり更年期に
も不規則なエストロゲン状態である更年期の
ストロゲン作用が完全に低下した閉経後より
折率が高く、③代謝系や免疫系の変化は、エ
歳の時点で、死亡率・骨粗鬆症のリスク・骨
不妊があり、②
年女性の心身の悩みに、職場としてどう向き
とりさま人生、さまざまな立場で迎える中高
なければなりません。晩婚化・晩産化・おひ
様な健康管理を語ることのむずかしさも考え
社会背景やライフスタイルの変化を受け、一
更年期に差しかかるということは、女性特
有 の 生 理 的 現 象 を ど う 迎 え る か だ け で な く、
す。
年に対し女性 ・
適切な医療環境にたどりつくのもむずかし
泌学会雑誌2014掲載︶によれば、①閉経
現実に直面して涙する女性も少なくないので
は原状復帰ではなく、峠を越えたら違う世界
合えるか、そのコミュニティづくりも鍵とな
均 歳、おおむね
く、多くの女性が玉石混交の健康産業のター
年齢を早める要因に喫煙・子宮内膜症関連の
に入っていく﹂ことを理解しておかなければ
す。更年期を迎える健康管理はどうあるべき
りそうです。
きわめてむずかしい現状にあります。キャリ
ゲットとなりやすく、より実状は複雑化して
なりません。一過性の更年期障害は、ホルモ
か、まだまだ具体的な知見は不足しています
歳までに閉経した場合、
ン補充療法や漢方薬などの治療で乗り切れて
が、健康寿命の延伸のためにはどうやらこの
さて、さまざまな分野における女性の活躍
医師 長井聡里︶
︵株式会社JUMOKU代表取締役・
も、閉経後は血管や骨へのエストロゲン保護
あたりにポイントがありそうです。
現役世代は、女性の方が健康診断結果もさ
解しましょう
作用がなくなることにより、男性以上に動脈
12
3.中高年女性の置かれている社会背景を理
02
硬化による脳心疾患や骨粗鬆症が顕在化して
10 55
04
77
45
くることに注意しておかねばなりません。
47 エルダー
47
50
年間でみると、女性では大きな変化はありま
8300 歩以上
6431 歩
男性 28.6%
39%以上
32.2%
女性 24.6%
35%以上
27.0%
男性 5436 歩
6700 歩以上
4707 歩
女性 4604 歩
5900 歩以上
3797 歩
従業員に向けて運動習慣の定着を勧めたい
従業員数 人の事業所で衛生管理者を務めています。 年前に比べて、従業員
の平均年齢が上昇しており、定期健康診断の結果、再検査が必要とされる者が目に見えて増
え て い ま す。 高 齢 に な っ て も 元 気 に 働 い て も ら う た め に は 健 康 で あ る こ と が 前 提 に な り ま す
から、従業員に対して、日ごろからの運動習慣を勧めたいと考えています。しかし、漠然と
した話をしても効果が薄いと感じています。運動習慣と健康との関係で、参考となる情報が
せんでしたが、男性はあきらかに減少してい
女性 7282 歩
悪化
7243 歩
不変
9200 歩以上
悪化
男性 8202 歩
こうした結果を受けて、2013年から始
まった﹁健康日本 ︵第二次︶﹂では、成人の
らかになりました︵図表1︶。
も悪化ということになり、残念な結果があき
1300歩増加が目標でしたが、結果はこれ
﹁ 高 齢 者 の 歩 数 ﹂は、 1 9 9 7 年 時 点 よ り
(健康日本 21評価作業チーム 「健康日本 2 1 」 最終評価)
運動習慣者割合を2010年時点より約
%
1997年時点より
増加、歩数は2010年時点より約1500
%増加が目標でした
性
歩増加という目標が再設定されました。
10
増加が目標でしたが、結果は悪化しています。
が、 結 果 は 変 わ り ま せ ん で し た。 ま た、﹁ 成
が 評 価 さ れ ま し た。﹁ 成 人 の 運 動 習 慣 者 ﹂は
最終評価
(2009年)
目標値
(2010年)
日常生活における
歩数の増加(70 歳以上)
あれば、ご教示ください。
﹃健康づくりのための身体活動指針︵アクティブガイド︶
﹄を参考にする
1.日本人の運動の実態について
暑かった夏も終わり、徐々に秋の
深まりを感じる 月は、さまざまな運動を楽
ます。年齢階級別にみると、
さ ら に、 1 日 の 歩 数 の 平 均 値 は、
﹁男性7
043歩、女性 6015 歩﹂でした。この
しむベストシーズンともいえます。気候のよ
の 平 均 値 は、
﹁ 男 性 7 8 6 0 歩、 女 性 6 7 9
歳の歩数
さを味方につけて運動を始めて、それを習慣
﹂の状況
2 0 0 0︵ 平 成 ︶年 に 世 紀 の 新 た な 健
康 づ く り 施 策 と し て 始 ま っ た﹁ 健 康 日 本 ﹂
︵2︶﹁健康日本
厚生労働省の﹁平成 年国民健康・栄養調
査﹂によると、運動習慣︵1回 分以上の 運
・ 2 %、 女
図表1 「健康日本21」の最終評価:身体活動・運動
人の歩数﹂は1997年時点より1000歩
る ︶の あ る 人 の 割 合 は、
﹁男性
年間の目標達成状況
は、2012年に過去
21
4歩﹂、一方、 歳以上では﹁男性5779歩、
∼
化してみてはいかがでしょうか。
10
女性4736歩﹂となっています。
年国民健康・栄養調査﹂
64
代
代が、女性は
年間でみると、男女
10
12
運動習慣者の増加
10
動を週に2回以上かつ1年以上継続してい
︵1︶
﹁平成
20
21
65
21
とも大きな変化はみられませんでした。年齢
階級別にみると、男性は
が最も低い割合となりました。
20
・1%﹂で、この
30
31
日常生活における
歩数の増加
2
まず、2つの調査結果から日本人の運動の
実態について確認してみましょう。
10
基準値
(1997年)
21
26
目標項目
60
26
10
30
25
以上のように、運動とは﹁やればよいとわ
10
2016.10 48
健康・安全 相談室
2.運動の効能
をたどっているという現実があります。
でさえ、時代の流れとともに歩数減少の一途
いもの﹂であり、最も身近な運動である歩行
かってはいるけれど、なかなか定着させづら
週間にわたって観察したところ、有酸
プ、プラセボ︵偽薬︶を投与したグループに分
を行わせたグループ、薬物を投与したグルー
ある研究結果によると、うつ病患者を薬物
の投与なしで比較的高強度の有酸素運動のみ
︵4︶うつ病
上がり、血糖値が安定します。
づくりのための身体活動指針︵アクティブガ
ホームページからダウンロードできる﹃健康
と思います。そうしたかたへ、厚生労働省の
﹁運動は健康によい。でも、いったい何から
始めればよいかわからない﹂という人が多い
響を検討した複数の研究結果によりますと、
れています。有酸素運動が血圧におよぼす影
有酸素運動は血管内皮機能を改善し、降圧
効果をもたらし、高血圧症を改善するといわ
︵1︶高血圧症
運動はしたほうがよいのでしょうか? 続い
て、代表的な運動の効能を紹介します。
た方がよいということがいえます。
進に有効であることからも、やはり運動はし
ルス不調にも改善効果があり、心身の健康増
このように、運動は高血圧症をはじめとし
た生活習慣病はもちろんのこと、メンタルヘ
たグループと同等の回復が認められました。
素運動のみ行ったグループは薬物療法を行っ
け、
してみましょう。身体活動や運動を増やすた
まずは、﹁健康のための身体活動チェック﹂
︵ 図 表 2︶で、 自 分 自 身 の 現 状 に つ い て 確 認
て、健康寿命をのばそうというものです。
これは、﹁+ ︵プラス・テン︶
﹂を キ ー ワ ー ド
イド︶
﹄を紹介します。
クティブガイド︶﹄
3.﹃ 健 康 づ く り の た め の 身 体 活 動 指 針︵ ア
習慣化がむずかしい運動ですが、それでも
長期的な身体活動により高血圧患者では収縮
期 血 圧 を 7・4
、 拡 張 期 血 圧 を 5・8
mmHg
低下させる効果がありました。
mmHg
︵2︶脂質異常症
有酸素運動は、余分なコレステロールを回
収して動脈硬化を抑えるHDLコレステロー
ル︵ 善 玉 コ レ ス テ ロ ー ル ︶を 増 加 さ せ る と と
運動習慣※がある
運動習慣※がある
もに、過剰になると体脂肪として蓄えられ肥
満をまねく中性脂肪を低下させることがわか
っています。
︵3︶糖尿病
有酸素運動の急性効果としてブドウ糖、脂
肪酸の利用が促進され血糖が低下し、慢性効
果としてインスリン抵抗性が改善、糖尿病を
分多く体を動かすことによっ
10
※ 1回30分以上の軽く汗をかく運動を週 2 日以上、1 年以上続けて行っている。
に、いまより
❸ 達成する ! へ ❹ つながる ! へ
❷ 始める ! へ
❶ 気づく ! へ
Yes
No
素晴らしい
です!一緒
にからだを
動かす仲間
を増やして
ください。
目標を達成
しています。
+10で、より
アクティブな
暮らしを!
目標達成ま
で、あと少
し!
無理なく
できそうな
+10を始め
るなら今!
このままで
はあなたの
健康が心配
です。いつ、
どこで +10
できるか考
えてみませ
んか?
Yes
No
Yes
No
毎日合計 60 分以上、
歩いたり動いている
健康のための身体活動
チェック
︵ダイキン工業株式会社滋賀
ょうか。
呼びかけてみてはいかがでし
か ら 始 め て み て く だ さ い ﹂と
吉日。手軽にできそうな運動
業員に向けて﹁思い立ったが
ご説明したことを参考に、従
が大切になります。これまで
高齢になっても元気で働く
には、日ごろからの運動習慣
い。
ガイドも参考にしてくださ
やすく書いてあるアクティブ
めの気づきやヒントがわかり
10
製作所 産業医 赤築秀一郎︶
49 エルダー
改善します。さらに肥満の改善にもつながる
ことで、筋肉や肝臓における糖の処理能力が
あなたは大丈夫?
Yes
同世代の同性と比較
して歩くスピードが速い
同世代の同性と比較
して歩くスピードが速い
No
Yes
No
スタート
16
図表2 健康づくりのための身体活動指針(アクティ
ブガイド)
雇用ミックス時代の
フレキシブル賃金・
評価制度
菊谷寛之
希望者全員65歳雇用 !
株式会社プライムコンサルタント
代表取締役 管理職のモデル所定内賃金の比較
︵前号からの続き︶
基本的なグラフの形状と水準は、世間水準
の所定内給与とまったく同じというわけには
いかないが、ほぼ近似のものといえるだろう。
図表 は、これまで設 定してきた課長級、
部長級の各3つのモデル基本給に、通勤手当・
給与と比較し、ほぼ近似の結果が得られるこ
歴別の標準労働者︶の通勤手当を除く所定内
給モデル昇給カーブを、同調査の非役職者︵学
︵1︶課長級・部長級のモデル所定内賃金
第 回︵8月号参照︶の 図表6では、非管理
職の﹁ランク型賃金表﹂に基づく4つの基本
家族手当・管理職手当相当分を加えたモデル
とを示した。
﹁ 管 理 職 手 当 ﹂の 概 念 を 導 入 す る こ と に よ
り、課長級・部長級の賃金についても、第8
家族手当は、各モデルとも、男性世帯主が
歳で結婚し、 歳で第1子、 歳で第2子
が生まれると想定し、配偶者6700円、子
歳になった後は、それ
ども各5600円とした。ただし
歳で第2子が
たと思う。
子、
ぞれ家族手当の対象外とした。
︵注︶大手主要企業を対象とした中央労働委員会の﹁賃金事情等
総合調査﹂
︵平成 ︵2011︶年︶によると、役付手当︵定
額 支 給 ︶の 平 均 支 給 額 は 課 長 4 万 3 1 0 0 円、部 長 6 万
8300円となっている。同じく大手主要企業を対象とし
た 労 務 行 政 研 究 所 の﹁ 諸 手 当 の 支 給 に 関 す る 実 態 調 査 ﹂
︵2015年度︶では、役付手当の平均支給額は課長5万
18
︵注︶厚生労働省の平成 年︵2014年︶
﹁人口動態調査﹂によ
ると、平均初婚年齢は夫が ・1歳、妻が ・4歳である。
子ども出生時の夫の年齢は第1子 ・6歳と第2子 ・3
歳であり、第1子、第2子が満 歳になるとき、夫は ・
6歳と ・3歳になる。家族手当の金額については、第
回︵7月号︶の︵注︶を参照。
52
31
50
10
32
18
管理職手当は、 歳までは正規の金額︵課
長 級 5 万 円、 部 長 級 万 円 ︶を 適 用 す る が、
26
図表 は、図表 の課長級・部長級のモデ
ル所定内賃金の金額を、2015年度賃金構
15
ある。
与、現金給与の役職別グラフに重ねたもので
造基本統計調査の通勤手当を含む所定内給
16
万円、部長級8万円︶に減額した。
みなし、管理職手当の金額は8割︵課長級4
歳以降は専門職・スタッフ職に移るものと
10
55
34
53
51
29
表が有効に活用できることがご理解いただけ
回︵ 5 月 号 参 照 ︶で 紹 介 し た ラ ン ク 型 の 賃 金
35
15
歳で第1
33
所定内賃金をまとめたものである。
11
6
31
55
ランク型賃金表の柔軟性と応用範囲
第 13 回
この連載では、
「希望者全員が65歳まで働ける社会」を実現するために、
正社員・限定正社員・契約社員・
パート・継続雇用者などの複合的な雇用形態・仕事のスタイルに対応するために不可欠となる、フレ
キシブルな仕事・賃金・評価などの処遇のあり方について、解説します。
当然、一人の社員が入社し退職する賃金の歩
計 で、 雇 用 期 間 の 定 め の な い 常 用 労 働 者 ︶。
ある︵全産業・100人以上企業の男女学歴
年齢を軸に学歴別・役職別に集計したもので
所 定 内 給 与 あ る い は 現 金 給 与 額 の 平 均 値 を、
ある時点︵2015年︶における日本企業の
念のためつけ加えると、これまでの解説で
活 用 し た 賃 金 構 造 基 本 統 計 調 査 の デ ー タ は、
︵2︶ランク型賃金表による柔軟な制度設計
5200円、部長9万1300円となっている。
23
2016.10 50
希望者全員65歳雇用 !
雇用ミックス時代の
フレキシブル賃金・評価制度
図表15 学歴別・評価別モデルの年齢別所定内賃金(通勤手当を含む)
409,400 358,500 338,000 427,700 358,500 338,000 485,600
38 8,300 6,700 5,600 5,600 50,000
421,600 374,400 342,600 440,800 374,400 342,600 497,800
39 8,300 6,700 5,600 5,600 50,000
433,800 391,100 353,200 454,800 391,100 353,200 510,000
40 8,300 6,700 5,600 5,600 50,000 100,000 447,800 403,300 363,800 468,800 403,300 363,800 524,000 479,500
595,000
41 8,300 6,700 5,600 5,600 50,000 100,000 461,800 415,500 374,400 489,800 415,500 374,400 538,000 491,700
616,000
42 8,300 6,700 5,600 5,600 50,000 100,000 475,800 427,700 385,000 506,000 427,700 385,000 552,000 503,900
632,200
43 8,300 6,700 5,600 5,600 50,000 100,000 489,800 433,800 391,100 522,200 440,800 391,100 566,000 510,000
648,400
44 8,300 6,700 5,600 5,600 50,000 100,000 497,900 440,800 397,200 538,400 454,800 397,200 574,100 517,000
664,600
⑥ 高専・短大卒部長
Cモデル
397,200 347,900 328,800 409,400 347,900 328,800 473,400
37 8,300 6,700 5,600 5,600 50,000
⑤ 大卒部長
Bモデル
385,000 338,000 319,600 391,100 338,000 319,600 461,200
36 8,300 6,700 5,600 5,600 50,000
④ 大卒部長
Aモデル
369,100 324,200 310,400 369,100 324,200 310,400 439,700
モデル所定内賃金
③ 高専・短大卒課長
Cモデル
50,000
35 8,300 6,700 5,600 5,600 50,000
② 大卒課長
Bモデル
① 大卒課長
A モデル
⑥ 高専・短大卒部長
Cモデル
⑤ 大卒部長
Bモデル
④ 大卒部長
Aモデル
モデル基本給
③ 高専・短大卒課長
Cモデル
部長級
課長級
34 8,300 6,700 5,600
② 大卒課長
Bモデル
管理職手当
相当分
第2子
第1子
配偶者
通勤手当相当分
年齢
家族手当
相当分
① 大卒課長 A モデル
モデル諸手当
45 8,300 6,700 5,600 5,600 50,000 100,000 506,000 447,800 403,300 554,600 468,800 403,300 582,200 524,000 479,500 680,800
46 8,300 6,700 5,600 5,600 50,000 100,000 514,100 454,800 409,400 563,900 482,800 415,500 590,300 531,000 485,600 690,100
47 8,300 6,700 5,600 5,600 50,000 100,000 522,200 461,800 415,500 573,200 489,800 427,700 598,400 538,000 491,700 699,400 616,000
48 8,300 6,700 5,600 5,600 50,000 100,000 530,300 468,800 421,600 582,500 497,900 433,800 606,500 545,000 497,800 708,700 624,100
49 8,300 6,700 5,600 5,600 50,000 100,000 538,400 475,800 427,700 591,800 506,000 440,800 614,600 552,000 503,900 718,000 632,200
50 8,300 6,700 5,600 5,600 50,000 100,000 546,500 482,800 427,700 601,100 514,100 447,800 622,700 559,000 503,900 727,300 640,300 574,000
51 8,300 6,700
5,600 50,000 100,000 546,500 482,800 427,700 610,400 522,200 454,800 617,100 553,400 498,300 731,000 642,800 575,400
52 8,300 6,700
5,600 50,000 100,000 546,500 482,800 427,700 619,700 530,300 461,800 617,100 553,400 498,300 740,300 650,900 582,400
53 8,300 6,700
50,000 100,000 546,500 482,800 427,700 619,700 538,400 468,800 611,500 547,800 492,700 734,700 653,400 583,800
54 8,300 6,700
50,000 100,000 546,500 482,800 427,700 619,700 546,500 475,800 611,500 547,800 492,700 734,700 661,500 590,800
55 8,300 6,700
40,000
80,000 546,500 482,800 427,700 619,700 546,500 482,800 601,500 537,800 482,700 714,700 641,500 577,800
56 8,300 6,700
40,000
80,000 538,400 475,800 427,700 610,400 538,400 482,800 593,400 530,800 482,700 705,400 633,400 577,800
57 8,300 6,700
40,000
80,000 530,300 468,800 427,700 601,100 530,300 482,800 585,300 523,800 482,700 696,100 625,300 577,800
58 8,300 6,700
40,000
80,000 522,200 461,800 427,700 591,800 522,200 482,800 577,200 516,800 482,700 686,800 617,200 577,800
59 8,300 6,700
40,000
80,000 514,100 454,800 427,700 582,500 514,100 482,800 569,100 509,800 482,700 677,500 609,100 577,800
みを記録したものではない。
他方、本連 載で用いたランク型 賃金表は、
個々の社員が新卒または中途で入社し、キャ
リアを重ねて退職するまでの基本給の決定基
準として機能する具体的な事例である。
紹介したモデル賃金は、日本企業の賃金分
布にあわせて、擬似的に代表的なモデル社員
の昇給カーブをトレースしたものであり、こ
のような会社が実在するとか、このような賃
金水準にすべきであると主張しようというも
のではない。
むしろ、ランク型賃金表の仕組みを活用し、
役割責任に応じた昇格・降格人事と、業績・
行動に裏づけられた貢献度の評価に連動した
号 俸 改 定 を 実 施 す れ ば、 日 本 企 業 の 実 情 に
あった合理的な賃金管理が行えることを、実
態調査との比較を通してお伝えしたつもりで
ある。
ランク型賃金表の柔軟性と
広い応用範囲
︵1︶職能給から役割給に軟着陸させる
これまで、6回にわたって役割等級と役割
給の考え方を、筆者の推奨する﹁ランク型賃
金表﹂というシンプルな手法を通して紹介し
てきた。
ここではあくまで架空のX社のランク型賃
金表をモデル例として紹介したに過ぎない
が、賃金カーブの傾斜や水準を調整すること
51 エルダー
7
(注)いずれも通勤手当を含む金額である。
④大卒部長 A モデル
⑤大卒部長 B モデル
⑥高専・短大卒部長Cモデル
700,000
②大卒課長Bモデル
③高専・短大卒課長Cモデル
650,000
①大卒課長 A-モデル
部長級の現金給与
課長級の所定内給与
非役職の現金給与
非役職の所定内給与
500,000
課長級の現金給与
係長級の所定内給与
度設計が可能になる。
第 9 回︵ 6 月 号 参 照 ︶で も 触 れ た よ う に、
ランク型賃金表は、等級別に対応する賃金ラ
ンクの範囲給を設定するが、対応ランクの枠
外でも各人の賃金を運用することが可能にな
る。
係長級・基本給相当分
300,000
250,000
200,000
150,000
100,000
の右側のように大きくバラついた分布
になり、そのままでは役割給に移行しにくい
図表
も、これを役 割等級の考え方で 整理すると、
職能資格制度などの能力等級としては比較
的整然と賃金表の枠内に収まっていたとして
と思われる。
のような職能給の分布イメージになっている
一つの例を示すと、これまで年功型の職能
給体系で運用されてきた会社は、図表 の左
移行するときに意外な威力を発揮する。
400,000
ケースが非常に多い。
その原因は、職能給を使い続けると、低い
役割の人が年功昇給を続けて高い賃金になっ
たり、反対に高い役割にもかかわらず経験が
浅いために賃金が低く抑えられたり、実際の
役割や貢献度と賃金のズレが広がり、アンバ
ランスな状態になるからである。
結果、等級別のゾーン型賃金表のような上
限・下限が明確な範囲給の方式では、図表
ランク型賃金表は、従来の問題を含んだ賃
金分布と本来あるべき賃金分布とのギャップ
ソフトな移行措置が可能になる。
て、段階的に適用ランクのなかに収めていく
させることができ、その後多少の年数をかけ
ランク型賃金表を使えば、対応ランクの枠
外であっても賃金表にそのままスライド移行
発していた。
めるかなど、実務的に頭を悩ませることが多
特別昇給させるための賃金原資をどこまで認
うカットするのか、逆に下限に届かない人を
かといって、あるべき賃金表の上限・下限
を設定すれば、上限をはみ出す人の賃金をど
善効果が半減してしまう。
すると、現状追認型の賃金制度になって、改
賃金表を上にはみ出す人、下にはみ出す人
をなるべく多く出さないように賃金表を設定
な障害になる。
外の人の存在が役割給を導入するうえで重大
の右側の白丸のイメージのように、その範囲
17
60 歳
55 歳
50 歳
45 歳
40 歳
35 歳
30 歳
25 歳
20 歳
0
15 歳
課長級
係長級の現金給与
550,000
部長級
部長級の所定内給与
600,000
により、各社の賃金実態にあわせた柔軟な制
750,000
これは等級別に上限・下限の賃金を設定す
る従来型の範囲給にはない大きな特長であ
50,000
17
出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」、平成27年(2015年)、全産
業100人以上計、男女学歴計、常用労働者のうち雇用期間定め無し計
り、賃金制度を年功給や職能給から役割給に
非役職・基本給相当分
350,000
17
図表16 役職別にみた年齢別所定内給与、現金給与と
課長級・部長級のモデル所定内賃金の比較
450,000
2016.10 52
希望者全員65歳雇用 !
雇用ミックス時代の
フレキシブル賃金・評価制度
を受けとめ、望ましい役割給に軟着陸させる
うえで効果を発揮する。
︵2︶さまざまな賃金の調整・改善に応用する
13
12
11
10
9
8
7
6
5
4
2
1
このようなランク型賃金表の特徴は、次の
ようにさまざまな賃金の調整・改善に大いに
3
役割に比べ基本給が
低い社員
基本給のバランスを適正に調整することが
く、役割・貢献度に合った段階的な賃金調
の人事・賃金制度を運用してきた複数の組
・M&Aや事業部の統合など、これまで別々
できる。
整を行うことにより、人件費の効果的な配
織や職種の賃金制度を、スムーズに統合す
アップなどで全員を引き上げるのではな
・ 賃 金 水 準 を 引 き 上 げ る 際、 一 律 の ベ ー ス
分につなげることができる。
・全国社員と地域限定社員の適正な賃金格差
ることができる。
ベースダウンや賃金カットを行うのではな
を、複数の賃金表を用意しなくても容易に
・ 逆 に 賃 金 水 準 を 抑 制 す る 場 合 は、 一 律 の
く、役割・貢献度に比べて賃金が低い社員
実現することができる。
・定年延長にともない賃金カーブを計画的に
の賃金を保障しつつ、役割・貢献度に比べ
て賃金が高い 社員の賃金を抑制するよう、
抑制する手法を用いることで、人件費のむ
さらに、ランク型賃金表は、パートタイマー
の時給や契約社員の賃金、定年再雇用者の賃
やみな膨張を防止することができる。
抑制などの運用の歪みで生じた、世代間や
金、執行役員や取締役の役員報酬などを決め
賃金バランスの修正と軟着陸を図ることが
役職間の賃金のアンバランスを、従業員に
るときにも幅広い応用が可能になる。
できる。
説明可能な分かりやすい方法で是正でき
・過去の年功賃金や年功昇格、その後の昇給
る。
・新卒採用と中途採用の賃金のアンバランス
︵注︶ランク型賃金表のランクを ランク、 ランク、 ランク
⋮と上に伸ばしていけば、執行役員や取締役、さらには社長ク
ラスまでの役員報酬︵基本報酬部分︶も適宜設定できるようにな
る。
を段階的に解消できる。
・新卒初任給の引き上げにともない、若年層
結果の人材マネジメント方程式﹄
︵労働調査会︶などがある。
り方﹄︵日本法令︶
、
﹃強固な成長企業をつくる原因×集中×
バイザー。主な著書に﹃決定版!シンプル賃金制度のつく
社プライムコンサルタント︵HP
︶
http://www.primec.co.jp/
を設立、代表取締役。成果人事研究会主宰。本誌編集アド
労務行政研究所、賃金管理研究所を経て1999年株式会
菊谷寛之︵きくや・ひろゆき︶
次回は、上記の一例として、全国社員と地
域限定社員の賃金決定にランク型賃金制度を
に、必要な手当額を基本給から切り出し︶、
・無意味な手当を廃止し基本給に吸収し︵逆
できる。
プルな賃金体系に統合・再構成することが
を、全員同じ基本給ロジックに基づくシン
・営業社員の歩合給や管理職の年俸制など
できる。
活用する手法を紹介しよう。
20
の賃金水準の引き上げを図りつつ、中堅層
17
以上の社員の賃金上昇に波及しないように
15
14
基本給
15
基本給
53 エルダー
役割等級
能力等級
Ⅵ
Ⅴ
Ⅳ
Ⅲ
Ⅱ
Ⅰ
8
7
6
5
4
3
2
1
職務・役割による各人賃金のプロット (ランク型賃金表)
能力等級による各人賃金のプロット
役割に比べ基本給が
高すぎる社員
役立つ。
図表17 職能給と役割給のギャップを吸収する「ランク型賃金表」
高齢者雇用施策を考える
独立行政法人労働政策研究・研修機構 主席統括研究員 主席統括研究員 濱口桂一郎
[第 6 回]
「生涯現役社会の実現」に向けた起点ともいえる、
「65歳までの
養老保険と
退職年金のはざま
まな制度や政策が存在する。この連載では、そうした制度や政策
過去十数年にわたって公的年金問題は国政
の最重要課題であり続けてきました。そのな
破綻します。病気や失業というリスクを少し
ずつ分担し合うのが社会保険なのです。
社会保障の教科書を紐解くまでもなく、公
的年金は厚生年金保険または国民年金保険と
いようです。
ないのかという根っこに遡った議論は余りな
うために年金制度が危機に陥らなければなら
なぜ高齢者の割合が増えれば彼らに年金を払
事の類が積み上げられていますが、そもそも
れこそ汗牛充棟、山のような書物や論文、記
保険たる公的年金に対してそういう考え方が
されている面があります。何故日本では社会
も私的な預金のように考える発想からもたら
です。実のところ、過去十数年の年金論議の
銀行預金を下ろすかのように考えてしまうの
い込んだのだから﹂と、あたかも預けていた
ぴんぴん している人々が、﹁俺は これだけ払
と、一定年齢に達したというだけで心も体も
故か同じ年金保険のなかの老齢年金になる
かには社会保険庁の﹁消えた年金問題﹂のよ
いう社会保険の一種です。社会保険というの
これは実は年金保険のなかでも障害年金に
ついては同じことです。たまたま障害を負っ
は健康保険や雇用保険を思い浮かべればわか
染みついてしまったのかを、歴史的経緯をた
うな事務手続の不備にかかわる問題もありま
るように、病気や失業という保険事故に遭遇
どることで解明したいと思います。
てしまった人にその障害等級に応じて年金を
した人に給付がされるものであって、保険料
したが、最大の焦点はもちろん人口の少子高
を払ったからといって必ず見返りが戻ってく
現 行 厚 生 年 金 保 険 法 は 1 9 4 1︵ 昭 和 ︶
年に制定されましたが、そのときは労働者年金
支給するのは、まさにリスク分散のためであ
るわけではありません。いやむしろ、多くの
保険法という名前でした。当時の給付は養老
齢化にともなって公的年金が将来にわたって
人はあまり病気にはならないし、ましてや失
年金、癈疾年金手当金、遺族年金です。
﹁養老﹂
などという人はいないはずです。ところが何
業もしないので、トータルでは払った額より
という字面に注目してください。当時の解説
って、
﹁障害者にならなかったから損した﹂
戻ってくる額の方が少ないから、一部の人が
書︵後藤清・近藤文二﹃労働者年金保険法論﹄
持続可能なのかという点にあったことは周知
払った額よりも高い見返りを貰えるのです。
死亡と並 ぶ保険事故とされた のは、﹁老衰は
東 洋書 館︶によると、老齢が癈 疾︵=障 害︶や
の通りです。そしてこの問題をめぐってはそ
そ れ が 保 険 原 理 と い う も の で す。 み ん な が
かなりの部分は、この公的年金保険をあたか
﹁俺はこれだけ払ったんだからその分返せ﹂
と口々にいい出したら、社会保険などすぐに
労働能力を減ずること著しく従って生活資源
16
雇用確保措置」の周辺には、高齢者雇用に深くかかわる、さまざ
を取り上げ、その成り立ちや役割、高齢化社会における意義など
を解説していただく。
2016.10 54
高 齢 者 雇 用 施 策 を 考 え る
法がその支給開始年齢、つまり﹁老 衰﹂とみ
前後であった頃に制定された労働者年金保険
かに早老早死の傾向が強く、平均寿命が
の社会保険であるならば、今日に比べれば遥
このように、癈疾︵障害︶と同レベルの保険
事故として﹁老衰﹂のリスクを救済するため
えれば稼得能力減退とみなしたからです。
歳
するものである﹂と、老衰を労働能力いい換
がその年齢を超えたることを以て保険事故と
一定の高年齢を定め、当該保険団体の構成員
いて老衰者を救済せんとする場合には、通常
は証明することは困難なるにより、保険にお
たりし者が何時から老衰となったかを決定又
故とするのであるが、被保険者又は被保険者
獲得の道を塞ぐものなるため、これを保険事
く 違 う は ず で す が、こ れ に よ り﹁ 老 衰 ﹂救 済
救 済 制 度であって、そもそもの 原 理 はまった
づけ制度であり、もう一方は国レベルの﹁老衰﹂
いっても、一方は企業レベルの退職金積立義務
て同法は廃止されてしまいました。
﹁類似﹂と
おける事務簡素化の見地から類似の制度とし
年の厚生年金保険法への改正により、戦時に
任意積立制度になりました、さらに1944
働者の申し出があれば積立義務は免除され、
1年の労働者年金保険法制定にともない、労
の支給を義務づけました。ところが、194
は、ごく短い期間ですが日本の企業に退職金
もともと失業保険や解雇手当の関係で立法
された1936年の退職積立金及退職手当法
政策との絡み合いにあります。
でしょうか。その原因は前回みた退職金の法
される基盤がこうして形作られたわけです。
といえば﹁退職年金﹂という条件反射が形成
れます。公的部門でも、民間部門でも、年金
されるようになる大きな契機になったと思わ
の保険であるものが﹁退職年金﹂として意識
営側の要求 によって、本来﹁老衰 ﹂リスクへ
る厚生年金保険の代行までやらせるという経
を年金化した企業年金を、公的社会保険であ
民間企業の人事労務管理の一環である退職金
さらに、これも前回取り上げた厚生年金基
金制度が両者の混同を後押ししました。本来
でも長期給付のなかの﹁退職年金﹂です。
では﹁養老﹂とか﹁老齢﹂という言葉は使われ
いう点では同じです。実際、制定時の共済法
き上げつつある途中だというのは、いささか
以来官吏には恩給制度があり、国の負担で退
この発想を強化した一つの要素として、公
的部門の年金制度があります。もともと戦前
だという認識が一般化してしまったようです。
のための年金も﹁退職金﹂と同じようなもの
収することに疑いを抱かないために、少子高
生活費を年々減少する一方の現役世代から徴
前期高齢者が退職後の生活を満喫するための
きにも、これら﹁退職年金﹂の発想に引っ張ら
ず、﹁ 退 職 給 付 ﹂と な っ て い ま し た し、 今 日
歳にしていたことはそれほど不
不思議の感を抱かせます。本当に老衰が進ん
職後の生活保障がされていました。一方現業
齢化で公的年金が持続可能でなくなるという
なす年齢を
こうして今日に至るまで、本来社会保険と
しての﹁老衰﹂リスク保険の議論をすべきと
歳以上の後期高齢者の医療費が大問題に
労働者には勅令で共済組合が設けられ、労使
ても、なお支給開始年齢を
だ
年が経ち、
歳
問題が生み出されているように思われます。
80
思議ではありませんが、
それから
なっている健康保険と比べても、未だに
拠出による退職給付がされていました。戦後
歳から
歳に引
65
歳を超えるに至った今日におい
未満で﹁老衰したから年金をくれ﹂という理屈
公務員制度が大きく変わり、1948年に国
60
平均寿命が
が通っている年金保険は別世界のようです。
の改正法で恩給公務員にも共済組合が適用さ
65
者と労働﹄
、
﹃働く女子の運命﹄ほか著書多数。
政策研究大学院大学教授などを歴任。
﹃新しい労働社会﹄
、﹃若
東 京 大学 法 学部 卒 業 後、労 働 省入省。東 京 大学 客員教 授、
はまぐち・けいいちろう
れて、全然老衰もしていない若々しく元気な
ではなぜ、戦後日本では﹁老衰﹂の リスク
を救済するための社会保険が、全然老衰もし
れ、今日に至っています。これらは性格は異
家公務員共済組合法が制定され、1958年
ていない若々しく元気な前期高齢者に対する
75
50
な り ま す が、 公 的 部 門 の 企 業︵ 職 域 ︶年 金 と
55
潤沢な給付制度と認識されるようになったの
55 エルダー
75
日本史にみる長寿食
F O O D
277
南京そばからラーメンへ
食文化史研究家 ●
永山久夫
日本は大洋に浮かぶ島国であり、海を渡って、い
ルギー源となってきました。
ろいろな文化や作物の種子が運ばれてきました。
また、添えられた具材によっては、炭水化物だ
海を渡ってやってきた食文化も、必要とあれば、
けでなく、そのほかの栄養素も摂取できます。豚
短期間で日本化し、国民食にしてしまった例も少
肉であるチャーシューには、ビタミンB1 などの
なくありません。
成分が豊富に含まれていますし、ビタミンや食物
味噌も醤油も、その原型は中国の大豆発酵食で
繊維の供給源として欠かせない野菜などがトッピ
すが、現在では和食の調味料として、しっかりと
ングされたラーメンもあります。
根づき、欠かせない存在となっています。
幕末の黒船来航をきっかけに、長崎や神戸、横
明治の文明開化時代にやってきて、日本人の舌
浜などの港の門戸を海外に開くにつれて、外国人
をとらえて短期間のうちに普及した料理に「ラー
の居留地が増え、そのなかに中国人地区も形成さ
メン」があります。
れ、中国風のめん料理店が出現しました。
ラーメンは、だしのきいた汁をかけて食べるそ
日本人のなかからも「南京そば」と呼ばれる中
ばやうどんの流れですが、スープの味が違います。
国風のめん料理を出す店を開業する人が出てきま
そばやうどんの汁は、かつお節系と昆布のうま味
す。豚骨中心の南京そばのスープは塩味から始ま
が中心であるのに対して、同じめん類でも、ラー
りましたが、その後、醤油味となって人気も出て
メンの場合、鶏や豚などからとったうま味をきか
きました。
せたスープです。チャーシューやメンマ、そのほ
日露戦争の終わった 1905(明治 38)年ころか
かの具材が添えられ、めんにもかん水(アルカリ
らは、東京の町にも屋台の南京そば屋が出現し、
性の溶液)が用いられていて、独特の風味があり
物哀しいチャルメラの音が流れます。やがて
「ラー
ます。
メン」と呼ばれるようになり、全国に普及し、現
ラーメンの中心であるめんの材料は、小麦粉で
在では全国各地にご当地ラーメンが生まれるほど
あり、栄養素としては炭水化物で、日本人のエネ
の人気料理となったのです。
2016.10 56
10 月 は「 高 年 齢 者 雇 用 支 援 月 間 」で す
∼生涯現役社会の実現に向けた∼
地域ワークショップのご案内
みなさまの企業では高齢者の戦力化にお悩みではありませんか?
当機構では、各都道府県支部が中心となり、「地域ワークショップ」を開催します。
事業主や企業の人事担当者などの方々に、高齢者が年齢にかかわりなくいきいきと働き、活躍できるよう
になるための情報を提供します。
各地域の実情をふまえた具体的で実践的な内容ですので、ぜひご参加ください。
概 要
日 時 / 場 所
カリキュラム
高年齢者雇用支援月間の10月を中心に各地域で開催
(以下の項目などを組み合わせ、2 ∼ 3 時間となります。)
専門家による講演【高齢者雇用に係る現状や各種施策など】
● 事例発表【先進的に取り組む企業の事例紹介】
● ディスカッション
● 質疑応答
無料
下記の表を参照(平成 28 年 9 月 20 日現在確定分)
●
参 加 費
開催スケジュール
■ 開催スケジュール
都道府県
開 催 日
場 所
都道府県
開 催 日
場 所
北海道
10 月 27 日(木) 北海道職業能力開発促進センター
三 重
10 月 21 日(金) 津公共職業安定所 2階
青 森
10 月 24 日(月) 青森職業能力開発促進センター
滋 賀
10 月 21 日(金) 滋賀職業能力開発促進センター
岩 手
10 月 25 日(火) いわて県情報交流センター
京 都
10 月 14 日(金) 京都七条公共職業安定所
宮 城
10 月 27 日(木) 仙台商工会議所 7 階大会議室
大 阪
10 月 21 日(金) 淀川公共職業安定所 3階
秋 田
10 月 27 日(木) サンサン横手
兵 庫
10 月 19 日(水) 神戸市産業振興センター
山 形
11 月 8 日(火) 山形グランドホテル
奈 良
11 月 11 日(金) ホテルリガーレ春日野
福 島
10 月 14 日(金) 福島職業能力開発促進センター
和歌山
10 月 7 日(金) 和歌山県勤労福祉会館プラザホープ
茨 城
10 月 14 日(金) ホテルレイクビュー水戸
鳥 取
11 月 8 日(火) 米子コンベンションセンター
栃 木
10 月 27 日(木) 栃木職業能力開発促進センター
島 根
10 月 6 日(木) 島根職業能力開発促進センター
群 馬
11 月 9 日(水) 群馬職業能力開発促進センター
岡 山
10 月 26 日(水) 岡山職業能力開発促進センター
埼 玉
10 月 14 日(金) 埼玉教育会館
広 島
10 月 24 日(月) 広島職業能力開発促進センター
千 葉
10 月 19 日(水) ホテルポートプラザちば
山 口
10 月 28 日(金) 山口職業能力開発促進センター
東 京
10 月 11 日(火) すみだ産業会館 8階
徳 島
10 月 12 日(水) 徳島県JA会館
神奈川
10 月 26 日(水) 横浜市市民文化会館関内ホール
香 川
10 月 21 日(金) 香川職業能力開発促進センター
新 潟
10 月 7 日(金) 新潟ユニゾンプラザ
愛 媛
10 月 13 日(木) 愛媛職業能力開発促進センター
富 山
10 月 19 日(水) 株式会社 富山県総合情報センター
高 知
10 月 13 日(木) 高知職業能力開発促進センター
石 川
10 月 31 日(月) 石川職業能力開発促進センター
福 岡
11 月 14 日(月) 天神ビル 10 号会議室
福 井
10 月 26 日(水) 福井県中小企業産業大学校
佐 賀
10 月 18 日(火) アバンセ第 1 研修室
山 梨
10 月 21 日(金) 山梨職業能力開発促進センター
長 崎
10 月 28 日(金) 長崎商工会館 2 階ホール
長 野
10 月 17 日(月) ホクト文化ホール
熊 本
10 月 18 日(火) ホテル熊本テルサ
岐 阜
10 月 19 日(水) 長良川国際会議場
大 分
10 月 24 日(月) トキハ会館
静 岡
10 月 19 日(水) 静岡職業能力開発促進センター
宮 崎
10 月 3 日(月) 宮崎市民文化ホール
愛 知
10 月 19 日(水) ウインクあいち
鹿児島
10 月 27 日(木) 鹿児島職業能力開発促進センター
沖 縄
10 月 20 日(木) 那覇第2地方合同庁舎1号館
お問合せは、65 ページの各都道府県支部高齢・障害者業務課等まで(事前のお申込が必要となります)
(調整中)の都道府県は決定次第ホームページでお知らせします。 jeed 生涯現役ワークショップ
57 エルダー
検 索
厚生労働副大臣が2つの職場を視察
2016.10
行政
厚生労働省
うに思います﹂と笑顔で答えた。
﹁生涯現役促進地域連携事業﹂
第1次実施団体に7団体を決定
厚生労働省は、今年度から実施する﹁平成 年
度生涯現役促進地域連携事業﹂の第1次実施団体
厚生労働省
でアロハは快適です。服装や道具などはスタッフ
︶
として、7団体 ︵※の
採択を決定した。
また、とかしき副大臣はスタッフが着用するア
ロハシャツについて質問。スタッフは﹁風が入るの
真︶
。スタッフが創意工夫を凝らして、7分間の奇
跡を演じる姿に、とかしき副大臣は﹁参画意識を
るもの。高齢者に対する雇用創出や情報提供など
の発案が取り入れられています﹂と応じていた︵写
し運転時の車内清掃で国内外に知られる、
﹁株式会
もって仕事に臨む姿は、日本人の働き方の象徴そ
といった高齢者の雇用に寄与する事業構想のなか
とかしきなおみ厚生労働副大臣︵当時。以下﹁ と
か し き副大臣﹂
︶は 月 日、東京駅の新幹線折返
社JR東日本テクノハートTESSEI﹂
︵加藤正
から、地域の特性などをふまえた創意工夫のある
委託して行う。事業期間は最大3年。
愛知〟を支える製造業を主とした地場産業におけ
こし と 学 習 機 会 の 提 供 を 通 じ た 就 業 支 援 事 業 ﹂
②公益財団法人愛知県労働協会﹁
〝ものづくり王国
※7団体と各事業名 ①柏市生涯現役促進協議会
﹁高年齢求職者のニーズに合った就業機会の掘り起
年度には高年齢者雇用開発コンテスト厚生労
る高年齢求職者と事業所とのマッチングに向けた
まだまだ現役や!おおさかシニアの働きたい促進
働大臣表彰最優秀賞に輝いている︵本誌2013年
プロジェクト∼﹂④豊中市生涯現役促進地域連携
議会﹁高年齢者の新たな職域拡大の実践∼わしら
業訓練として、東
事業推進協議会﹁住宅都市の強みを活かした生活
取組﹂③大阪府高年齢者就業機会確保地域連携協
京都の認定を得て
関連分野を活用した高年齢者の雇用及び就労・社
界で初めて認定職
準で知られる。と
会﹁いつまでも働けるそうじゃ!人 生の匠が産 業
会参加の場創出事業﹂⑤総社市生涯現役促進協議
﹁ 雇 用 に あ たって
の就労機会拡充連携支援事業﹂⑦大分県シニア雇
市シルバー人材センター﹁地方創生に係る高齢者
を意識することも
向けたシニア雇用推進キックオフ事業﹂
用推進協議会﹁大分県での生涯現役社会の実現に
と観光のマンパワーを担う﹂⑥公益社団法人松山
ない ﹂とい う 同 社
シニアだからとい
の姿勢を称賛した。
う区別はなく、年齢
か し き 副 大 臣 は、
いるほどの高い水
月号参照︶
。また、同社の研修はマンション管理業
成
修によって、高 齢 者 雇 用の場 を創 出しており、平
未経験者を優れたマンション管理人に育成する研
ものを選定し、当該事業を提案した協議会などに
のもの﹂と称賛した。
同事業は、地方自治体が中心となって労使関係
者や金融 機 関などと連 携 する﹁ 協 議 会 ﹂が提 案 す
28
道代表取締役社長︶と、主にマンション管理事業
歳で定年後
歳まで雇用し、一定の条件をクリアすれば
とする不動産総合管理会社。定年は
は原則
歳以 降も雇 用 している、高 齢 者 雇 用 先 進 企 業。
70
良則代表取締役社長︶の高齢者雇用の取組みを視
歳まで継 続 雇用している︵本 誌2
とかしき副大臣は、東京駅のJR東日本の新幹
線ホームで車両に乗り込み、スタッフの働く様子
を視察。
﹁東北新幹線などに乗ると、おもてなしを
追求する会社の意気込みを感じます。この行き届
いた社内清掃への意欲はどこからくるのでしょう
まから﹃きれいにしてくれてありがとう﹄という言
か﹂とスタッフにたずねた。スタッフは、
﹁お 客 さ
葉をたくさんいただくことが、やりがいにつながっ
が、お客さまの言葉に励まされてここまで来たよ
ています。夏の作業は暑くて大変な面もあります
70
察した。
JR東日本テクノハートTESSEIはJR東
日本の新幹線車両の清掃整備を中心に手がける専
門会社。その清掃作業は﹁東京駅の 分間の奇跡﹂
として報道され、
外国でも知られている。
﹁ 分間﹂
とは、東京駅に着いた新幹線が折り返し発車する
までの清掃時間をさし、その間に完璧に清掃作業
希 望者 全員を
を終える。スタッフの多くは高齢者で、
定年は 歳、
63
25
10
7
7
65
を展開する﹁大和ライフネクスト株式会社﹂
︵渡 邉
28
とかしき副大臣が続いて訪れたのが大和ライフ
ネクスト株式会社。同社はマンション管理を中心
7
016年9月号、2015年2月号参照︶
。
65
L E
I
E W S
ニュース ファイル
2016.10 58
2016.10 October
ニュース ファイル
厚生労働省
﹁平成
年度雇用均等
年度雇用均等基本調査﹂結果
﹁平成
厚 生 労 働 省はこのほど、
基本調査﹂結果を公表した。
﹁雇用均等基本調査﹂は、男女の均等な取扱いや
仕事と家庭の両立などに関する雇用管理の実態把
年 度 調 査では、
全国の企業と事業所を対象に、管理職に占める女
握 を目 的に実 施しており、平 成
性の割合や育児休業制度の利用状況などについて
﹁高齢者のための起業塾﹂開催
イベント
高齢者活躍
支援協議会
日、埼玉県さい
﹁高齢者に対する働く場と生きがいの提供﹂を目
ざして活動している一般社団法人高齢者活躍支援
協議会︵上田研二理事長︶は7月
介護と仕事の両立を考える
シンポジウムを 月に開催
お知らせ
社会研究財団
ダイヤ高齢
民間シンクタンクの公益財団法人ダイヤ高齢社
会研 究 財団は、シンポジウム﹁ストップ介 護 離 職
を 月 日の﹃介護の日﹄に開催する。
2 ︱ 仕 事を続けながら認 知 症の家 族と暮らす ︱﹂
今回は﹁100歳まで働ける環境つくり・コミュ
ニティつくり﹂をテーマに、活動が行われている現
しており、そのための起業塾を開催している。
かした﹁ナノ・コーポ﹂起業に取り組むことを推奨
定年後の高齢者が、経験や知識、専門性などを活
﹁ナノ・コー ポ﹂とは、
﹁ 高 齢 者による、高 齢 者
のための小規模ビジネス﹂のこと。同協議会では、
主な プログラム 講 演﹁認 知 症の理解とケアのあ
会場 丸の内 MY PLAZAホール
日時 2016年 月 日︵金︶ 時∼ 時
業員にスポットをあて、医療情報や介護経験談を
第2弾となる今回は、認知症の家族を介護する従
護離職について主に企業側の視点から議論したが、
題したシンポジウムを開催した。このときは、介
介護と仕事の両立が日本の重要課題となるなか、
同財団は2014年に﹁ストップ 介護離職!﹂と
9%︶
、課長相当職では8・4%︵同6・9%︶
、
場に出かけて起業者から話を聞く体験型講座とし
り方﹂佐々木淳氏︵医療法人社団悠翔会 理事長・
︻企業調査︼
○管理職全体に占める女性の割合は、課長相当職
役職別にみると、部長相当職では5・8%︵同4・
以上︵役員含む︶で ・9%︵平成 年度9・1%︶
。
もに育児休業を取得する場合に、その対象とな
性は3・0%︵パパ・ママ育休プラスは、両親がと
育児休業後の復職者のうち、女性は1・9%、男
○﹁パパ・ママ育休プラス﹂を利用した人の割合は、
房が地域にもたらしている効果や今後の計画につ
後半ではコミュニティビジネス紹介があり、同工
業の相談・支援を行っていた経験があり、講座の
桑原さんはコミュニティビジネス講座の講師や事
どが語られ、
工房で商品に触れる機会も得た。また、
Eメール/
FAX/03
︱5919 ︱1641
住所/東京都新宿区新宿1
財団まで。
[email protected]
︱
3階
︱5
34
名、所属 企業・団 体 名、住 所﹂を明記のうえ、同
る子の年齢について、
﹁原則1歳まで﹂となると
申込 同財団HP︵ http //dia.or.jp
︶の専用申込
フォーム、またはハガキ、FAX、Eメールより﹁氏
介護離職経験者、仕事と介護の両立経験者︶
20
次のとおり︵カッコ内の数値は前回調査の結果︶
。
係長相当職では ・7%︵同 ・8%︶
。
ものづくりの職場﹂を目ざして活動している﹁おば
て開 催され、さいたま市で﹁100歳まで働ける
診 療 部 長︶
、パネルディスカッション﹁仕事を続け
・5%
人の登録者があることな
18
いて参加者全員が聞き入っていた。
製造スタッフとして約
11
交えながら問題を掘り下げていく予定。
職に就いた昇進者に占める女性の割合は、課長
○昇進者に占める女性の割合として、新たに管理
あちゃんによるおばあちゃんのための孫育てグッ
相当職以上︵役員含む︶で ・4%。
○育児休業を取得した人の割合は、女性
︻事業所調査︼
︵平成 年度 ・6%︶
、
男性2・ %︵同2・3%︶
。
81
男性の育児休業取得者の割合は、平成8年度の
65
11
25
13
12
初回調査以来、過去最高。
た思いや当初は人を集めることに苦労したが今は
木淳氏、ケアマネジャー、企業の人事・労務担当者、
たま市内で﹁第 回高活 ビズ起業塾 ナノ・コー
ポのすすめ﹂と題したセミナーを開催した。
11
ながら認知症の家族と暮らす﹂
︵パネリスト 佐々
月1日現在の状況をまとめた。主な内容は
11
16
ズ﹂を制作する工房﹃BABAラボ﹄を訪問。
昨年
11
27
工房を運営するシゴトラボ合同会社の代表社員
桑原静さんから、2011年に同事業を立ち上げ
12
27
27
11
14
86
ころを﹁原則1歳2か月まで﹂に延長する制度︶
。
59 エルダー
50
10
26
次 号
11月号
高齢者が活躍する職場〜
平成28年度 高年齢者雇用開発コンテスト
特集
予 告
高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰優秀賞受賞企業事例
リーダーズトーク: 坂本光司氏(法政大学大学院政策創造研究科教授)
〈高齢・障害・求職者雇用支援機構〉
JEED メールマガジン
メールマガジン無料配信中! ぜひご登録を!
お
知 ら せ
編集アドバイザー
『エルダー』は下記の書店と団体で購入できます。
今野浩一郎……学習院大学経済学部教授
みなさまのご利用をお待ちしております。
藤村 博之……法政大学経営大学院
イノベーション・マネジメント研究科教授
定価(本体 458 円 + 税)/発売元:労働調査会
坂下 多身……一般社団法人日本経済団体連合会
労働政策本部主幹
●八重洲ブックセンター本店 奥井 禮喜……有限会社ライフビジョン代表取締役
●ジュンク堂書店(池袋本店、仙台店、新潟店、名古屋店、福岡店)
菊谷 寛之……株式会社プライムコンサルタント代表
●丸善(丸の内本店、日本橋店)
阪本 節郎……株式会社博報堂エルダーナレッジ開発
新しい大人文化研究所統括プロデューサー
●MARUZEN&ジュンク堂書店(札幌店、梅田店)
深尾 凱子……ジャーナリスト、元読売新聞編集委員
●政府刊行物サービスセンター(霞が関)
真下 陽子……有限会社人事マネジメント代表
●雑誌のオンライン書店「富士山マガジンサービス」
(http://www.fujisan.co.jp/m-elder)
平野 茂夫……株式会社マイスター 60 取締役会長
●一般社団法人高齢者活躍支援協議会(電話03-6661-0018)
大嶋江都子……株式会社前川製作所人事採用研修グループ
●毎年
で は、
年度高年齢者雇用開発コ
28
編 集 後 記
月 号 の 特 集 で、 当 機 構 と 厚 生 労
11
月は「高年齢者雇用支援月間」です。本誌
10 10
月号と
編集人—企画部次長 児玉順子
働 省 が 共 催 す る「 平 成
ン テ ス ト 」で 表 彰 さ れ た 企 業 の 取 組 み を ご 紹 介 し
発行人—企画部長 宮原真太郎
ま す。 今 月 号 は、 厚 生 労 働 大 臣 表 彰 を 受 賞 し た 7
企 業 の 取 組 み を 取 り 上 げ ま し た。 引 き 続 き 来 月 号
●発 行—独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構
で は、 当 機 構 理 事 長 表 彰 優 秀 賞 受 賞 企 業 7 社 の 取
●発行日—平成28年10月1日(第38巻 第10号 通巻444号)
組みを取り上げる予定です。
月刊エルダー10月号 No.444
高 年 齢 者 雇 用 開 発 コ ン テ ス ト は、 高 齢 者 の 能 力
を 十 分 に 活 か し な が ら、 生 産 性 を 向 上 さ せ る な ど
の 創 意 工 夫 を 行 っ た 職 場 改 善 事 例 や、 実 際 の 働 き
方 な ど を 工 夫 し た 事 例 を 表 彰 す る こ と で、 高 齢 者
が生涯現役を目ざしていきいきと働くことのでき
る 職 場 づ く り の ア イ デ ア の 普 及 を 行 っ て い ま す。
今 号 の 特 集 を ご 覧 い た だ き、 厚 生 労 働 大 臣 表 彰 企
業 の 先 進 的 な 取 組 み や、 そ の 取 組 み に よ っ て 得 ら
れ た 成 果 を 参 考 に し な が ら、 自 社 の 高 齢 者 雇 用 の
レ ベ ル ア ッ プ に つ な げ て く だ さ い。 そ し て、 来 年
月 を 中 心 に、 当 機 構
10
度のチャレンジをぜひ検討してみてください。
●高年齢者雇用支援月間の
57
都 道 府 県 支 部 が 主 催 す る「 生 涯 現 役 社 会 の 実 現 に
向けた地域ワークショップ」を開催いたします(
頁参照)
。高齢者雇用の推進につながる情報を提供
いたしますので、ぜひご参加ください。
●「リーダーズトーク」には、福島県郡山市に本社
を 置 く、
( 株 )ク ラ ロ ン の 田 中 須 美 子 会 長 に 登 場 し
て い た だ き ま し た。 同 社 は 長 年 に わ た る 障 害 者 雇
用と高齢者雇用の実績が評価されて、
「日本でいち
歳を超えたいまも陣頭
ば ん 大 切 に し た い 会 社 」大 賞 で 初 の 厚 生 労 働 大 臣
賞 を 受 賞 し た 企 業 で す。
指揮を執る田中会長ご自身が「生涯現役」を実践し
て い る と い え る の で は な い で し ょ う か。 さ ら に 詳
しく同社の取組みを知りたい人は、
『日本でいちば
ん 大 切 に し た い 会 社 5』
( 坂 本 光 司 著、 あ さ 出 版 )
をご覧ください。
90
検 索
読者の声
募集!
高齢で働く人の体験、企業で
高齢者の人事を担当している
〒261‐8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2 TEL 043(213)6216(企画部情報公開広報課)
方 の 体 験 などを 募 集します。
ホームページURL http://www.jeed.or.jp メールアドレス [email protected]
文字量は 400 字〜 1000 字
●発売元 労働調査会
〒170‐0004 東京都豊島区北大塚2-4-5 TEL 03(3915)6401 FAX 03(3918)8618
*本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。
(禁無断転載)
程度。また、本誌についての
ご 意 見 もお 待 ちして い ます。
左記宛てに FAX、メールなど
でお寄せください。
2016.10 60
Leaders Talk
No. 18
さん
障害者雇用率が %
今年、創業 周年ですね。
田中 1956︵昭和 ︶年に、夫
の 故・ 田 中 善 六 が 創 業 し ま し た。
︱
35
社の 生 産 体 制 で、
創業時は7人だった社員がい
しています。
を官公庁、病院、企業などに納入
がけるほか、介護服や作業衣など
0校の体育着や柔道・剣道着を手
主に東北・北関東の学校約120
場 と協 力工場
広げてきました。いまでは自社工
し、学校の体育着を中心に事業を
スポーツ衣料の製造販売業に転換
964 年 の 東 京 五 輪 開 催 を 機 に、
ごと引き継ぎ出発しましたが、1
親戚がやっていた肌着工場を社員
31
田 中 採 用 し た の は 1 9 6 8 年
で、養 護 学 校の先 生から﹁ 卒 業し
か?
たが、障 害 者雇用はいつからです
の創設後初となる受賞をされまし
たい会 社 ﹂大賞で厚生労働大臣 賞
価され、
﹁日本でいちばん大切にし
女性を積極的に雇用する経営が評
ま は 1 3 4 人。 障 害 者、 高 齢 者、
︱
田中須美子
60
16
頼まれたのです。知的障害のある
た生 徒 を 雇ってもらえないか﹂と
61 エルダー
株式会社クラロン取締役会長
1925(大正14)年生まれ。1956(昭和31)
年、夫とともに(株)
クラロンを創業。2002
(平成14)年同社代表取締役社長に就任。
2014 年より現職。同社は、障害者、高齢者、
女性を積極的に雇用する経営が評価され、
2015年に「日本でいちばん大切にしたい会
社」大賞で初の厚生労働大臣賞を受賞して
いる。
たなか・すみこ
田中会長はいつも社員の近く
に。閉じこもりがちの社員に
も自ら声をかける(左)
高齢者も多く活躍している(右)
少女で、一度別の会社に就職しま
に、うちで採用するケースはよく
らっては困る大 事 な人たち﹂と思
接で一言も話さず、入社してから
子さんもその一人でした。採用面
あるのですが、知的障害のあるS
っています。障 害 者で一番 古い人
もだれとも言 葉を交わすことな
田中 障害の有無や年齢・性別を
問 わ ず、どんな 社 員 も﹁ 辞めても
されていました。
は勤続 年で、今年 歳。
したが、仕事が覚えられず、解雇
創業時に引き継いだ7人の社員
のうち、2人が知的障害者、1人
丁寧な仕事ぶりで力を発揮し、そ
単純なくり返し作業でも飽きずに
が、一度 手 順 を 覚 え て し ま え ば、
事を覚えてもらうまでが大変です
どで不在のときでも、現場がしっ
の面倒を見ています。私が出張な
に仕事を教え、また後輩の障害者
す。障害者の班長が健常者の後輩
る う ちの5人の班 長 が障 害 者で
つか ら ﹂といいま し た。辞 めさ せ
むまで休んでいいよ。何年でも待
社は辞めなくていいから、気の済
ではないかと思い、ある日私は﹁会
そんな時期が長く続いたもので
すから、会社に来るのがつらいの
く、いつもうつむいていて、挨 拶
一つできませんでした。
が身体障害者でしたから、障害者
班単位で仕事をしますが、
責任の重い仕事に就いている社
員も少なくありません。現場では
の粘り強さは健常者以上です。そ
る の で は な く﹁ と に か く 待 と う ﹂
の少女も、時間はかかりましたが
た。
いて結婚、幸せな家庭を築きまし
す。自分の手先を動かして、モノ
田中 一つの理由は、うちがモノ
づく りの会 社 だからだと思いま
く活躍できるのでしょうか?
えることは、
﹁どんな人でも信じて
が起きたのか、わかりません。い
ったのです。なぜそのような変化
とに彼女は翌日も出勤し、しかも、
と思いました。ところが驚いたこ
その後も先代の社長は、法定雇
用 率 が 努 力 義 務 だった 時 代 か ら、
が形を変えていくことを目や身体
待てば必 ず 変わる、成 長 する﹂と
なぜクラロンでは障害者が長
学校などの求めに応じて、障害の
で確かめられる仕事だから、成長
計算すると %になります。
障害者を採用しても定着しな
成長を信じて待つ
︱
また、養護学校を卒業したが就職
どの会社からも採用を断られたり、
先が見つからなかったりするとき
先代社長が亡くなられたと
き、田中さんは障害者の社員から
︱
﹁社長さん、頑張って!﹂
私や周りと言葉を交わすようにな
ある人を採用してきました。現在、
いうことだと思うのです。彼女は
人が障害者、うち
を実感できる。そういった業種や
全社員のうち
いまでは貴重な戦力として、毎日
人が重度です。障害者雇用率を
36
35
いと、よくいわれますが⋮⋮。
と で は な い で し ょ う か。 例 え ば、
職種という利点があると思います。
縫製の技術を習得し、しばらく働
12
ミシンを動かしています。
︱
かりと仕事を回してくれています。
班あ
雇用が未経験というわけではあり
63
ませんでした。知的障害者は、仕
46
もう一つは、人を育てることに
関して、簡単に結論を出さないこ
11
2016.10 62
年も続き、職場で奇声をあげるこ
て仕事を続ける。そんなことが2
はさっぱりして、また職場に戻っ
い切り大声を張り上げると、K君
声を出し合うことをしました。思
そこで夫は、K君を倉庫に連れ
て行って、2人で気の済むまで大
もしばしばありました。
で、みんなの仕事が中断すること
を発し、踊るような動作をするの
職場では案の定、何度となく奇声
のですが、夫は彼を採用しました。
ために前の職場を解雇されていた
と応募書類に書かれていて、その
自 閉 傾 向のあるK君は﹁情 緒 不
安 定 で、と き ど き 奇 声 を あ げ る ﹂
い出して、涙が出て来ます。
田中 K君のことですね。この話
をすると、いまでもそのときを思
大きな励ましを得たそうですね。
ることができたのです。K君はい
私の方だったと気がつき、立ち直
ら癒され守られて生きているのは
と思っていたのは間違いで、彼らか
りました。私が彼らを助けている
心は彼らに伝わっていることを知
そのとき、私は亡くなった主人の
なって、涙が止まりませんでした。
てくれたのだと思うと胸があつく
う慰めたらよいかを彼なりに考え
が亡くなったこと、そして私をど
彼は自分を可愛がってくれた社長
さ ん 頑 張 っ て ﹂と い っ た の で す。
って 来て、突 然 大 き な 声で﹁ 社 長
した。そして﹁肩、肩﹂といって寄
とき、K君が遠くから駆けて来ま
かし、意を決して工場に出勤した
いくこともできませんでした。し
クで気力を失い、会社を経営して
わずか3カ月でした。私はショッ
ですが、私たちが現場でつちかっ
その場所や起こり方も人それぞれ
社員も年齢を重ねれば、身体の
ど こ か に 不 具 合 を 持 つ も の で す。
作る技術には自信があります。
多様なニーズに応えてデザインし、
ド に 近 い 製 品 を 作 って き ま し た。
ごとの要望に応じてオーダーメイ
大量に生産するのではなく、学校
かしこれまでも、画一的な製品を
田中 少子化で生徒数が減り、体
育着の市場は縮小しています。し
社の将来展望をお聞かせください。
信じられないほどお元気ですが、
会
員は
以上の社員は
上限年齢は設けていません。
本 人 が 希 望 す れ ば 契 約 を 更 新 し、
ます。定年は 歳としていますが、
人で、最高齢の社
60
60
歳の 女 性 営 業 課 長 と して、
20
田中会長は
歳という年齢が
第一線で働いております。
80
91
撮影/福田栄夫
聞き手・文/労働ジャーナリスト鍋田周一
れると信じています。
の将来をしっかりと、になってく
みを 活かし、社 員 たちがこの 会 社
てきた製造技術や働き方のノウハ
︱
歳
とはなくなりましたが、その後夫
までも元気に働いてくれています。
ウによって 解 決できま す。その強
が始めたことは、K君の肩をトン
社員に未来を託す
ト ン と 叩 い て あ げ る こ と で し た。
夫が、K君の気持ちを落ち着かせ
女性や高齢者も多く活躍され
ていますね。
︱
トントンすることが習慣になった
るために、K君を抱き寄せて肩を
のです。
の後再就職した女性社員も多くい
田 中 女 性 社 員 は 1 0 0 人 で す。
子育てなどでいったん退職し、そ
2002年に夫は膵臓がんで亡
くなりました。がんと診断されて
63 エルダー
株式会社クラロン取締役会長
田中須美子 さん
Leaders Talk
元気で長く働き続けるためには、中高年から食事に気をつけることが大切です。
みなさんもつくってみませんか?
きのこの豆腐グラタン
第 18 回
1人あたりのカロリー 174 kcal
はな づな
﹁花綵列島﹂という美しい名を
持つ日本では、春夏秋冬がほぼ
等分にまわります。恵み多い四
季の動きを素速くとらえる料理
の世界では、季節の風情を大切
に、春のたけのこや秋に頭をも
おもし
① 豆腐は布巾に包み、重石をのせて2 時間程水切りをして
おく。
② ①に牛乳を加えてよく混ぜ合せ、塩、コショウで味を整
える。
③ きのこは石突きを取り、布巾などで拭いて汚れをとり、
適当な大きさに切る。
④ フライパンにオリーブオイル(又はサラダ油)をひき、③
を炒め、薄口しょうゆ、酒を加えて味を整える(写真)
。
②の豆腐ソースを加え、弱火を通しながら和える。
⑤ 器(またはアルミホイル)に④を盛る。下茹でした枝豆
(ま
たは銀杏)を散らし、チーズをのせて、オーブン(または
電子レンジ)で約10分ほど焼く。
レシピ・料理制作/「長峰」店主 長島 博、料理撮影/福田栄夫
たげるきのこなど、その味わい
を生かします。
料理を紹介します。
今回は、独特の持ち味を持つ
きのこを主役とした、秋の味覚
きのこは低カロリーでヘルシー
な秋の味覚の代表です。食物繊
維やカリウムなどが豊富で、高
血圧などの予防に効果的です。
少々
少々
大さじ 1/2 杯
大さじ 1/2 杯
また、ホワイトソースを豆腐
で代用したことでカロリーを抑
<作り方>
1 丁(300 g)
1/2カップ(100 cc)
2個(10 g)
1本(20 g)
20 g
30 g
40 粒(40 g)
〔調味料〕
塩……………………
コショウ……………
薄口しょうゆ………
酒……………………
えており、豆腐の良質なたんぱ
絹ごし豆腐…………
牛乳…………………
しいたけ……………
エリンギ……………
しめじ………………
ピザ用チーズ………
枝豆…………………
く 質には、血中コレステロール
〔材料(2人分)〕
を低下させる働きもあります。
秋の味覚をヘルシーに楽しみ
ましょう!
豆腐と牛乳を混ぜた際に
ソースを濾すと、より口
当たりのなめらかなソー
スになります。
ヘルシーレシピで秋の味覚、
きのこを楽しもう!
②
長島 博 ( ながしま・ひろし )
1 9 4 6 年生まれ。八彩懐石
「長 峰 」店主。江戸の名工、
現代の名工ほか受賞。2015
年 2 月より「日本食普及の
親善大使」としても活躍。
2016.10 64
(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 各都道府県支部高齢・障害者業務課
所在地等一覧
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、各都道府県支部高齢・障害者業務課等において高齢者・障害
者の雇用支援のための業務(相談・援助、給付金・助成金の支給、障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請の受
平成28年10月1日現在
付、啓発等)
を実施しています。
名称
所在地
電話番号(代表)
北海道支部高齢・障害者業務課
〒063-0804 札幌市西区二十四軒4条1-4-1 北海道職業能力開発促進センター内 011-622-3351
青森支部高齢・障害者業務課
〒030-0822 青森市中央3-20-2 青森職業能力開発促進センター内
017-721-2125
岩手支部高齢・障害者業務課
〒020-0024 盛岡市菜園1-12-10 日鉄鉱盛岡ビル5階
019-654-2081
宮城支部高齢・障害者業務課
〒985-8550 多賀城市明月2-2-1 宮城職業能力開発促進センター内
022-361-6288
秋田支部高齢・障害者業務課
〒010-0951 秋田市山王3-1-7 東カンビル3階
018-883-3610
山形支部高齢・障害者業務課
〒990-2161 山形市大字漆山1954 山形職業能力開発促進センター内
023-674-9567
福島支部高齢・障害者業務課
〒960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内
024-526-1510
茨城支部高齢・障害者業務課
〒310-0803 水戸市城南1-1-6 サザン水戸ビル7階
029-300-1215
栃木支部高齢・障害者業務課
〒320-0072 宇都宮市若草1-4-23 栃木職業能力開発促進センター内
028-650-6226
群馬支部高齢・障害者業務課
〒379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階
027-287-1511
埼玉支部高齢・障害者業務課
〒336-0931 さいたま市緑区原山2-18-8 埼玉職業能力開発促進センター内
048-813-1112
千葉支部高齢・障害者業務課
〒261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 ハローワーク千葉5階
043-204-2901
東京支部高齢・障害者業務課
〒130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階
東京支部高齢・障害者窓口サービス課 〃 〃 03-5638-2794
03-5638-2284
神奈川支部高齢・障害者業務課
〒241-0824 横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力開発促進センター内
045-360-6010
新潟支部高齢・障害者業務課
〒951-8061 新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21ビル12階
025-226-6011
富山支部高齢・障害者業務課
〒933-0982 高岡市八ケ55 富山職業能力開発促進センター内
0766-26-1881
石川支部高齢・障害者業務課
〒920-0352 金沢市観音堂町へ1 石川職業能力開発促進センター内
076-267-6001
福井支部高齢・障害者業務課
〒910-0005 福井市大手2-7-15 明治安田生命福井ビル10階
0776-22-5560
山梨支部高齢・障害者業務課
〒400-0854 甲府市中小河原町403-1 山梨職業能力開発促進センター内
055-242-3723
長野支部高齢・障害者業務課
〒381-0043 長野市吉田4-25-12 長野職業能力開発促進センター内
026-258-6001
岐阜支部高齢・障害者業務課
〒500-8842 岐阜市金町5-25 住友生命岐阜ビル7階
058-265-5823
静岡支部高齢・障害者業務課
〒422-8033 静岡市駿河区登呂3-1-35 静岡職業能力開発促進センター内
054-280-3622
愛知支部高齢・障害者業務課
〒450-0002 名古屋市中村区名駅4-2-28 名古屋第二埼玉ビル4階
052-533-5625
三重支部高齢・障害者業務課
〒514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津2階
059-213-9255
滋賀支部高齢・障害者業務課
〒520-0856 大津市光が丘町3-13 滋賀職業能力開発促進センター内
077-537-1214
京都支部高齢・障害者業務課
〒617-0843 長岡京市友岡1-2-1 京都職業能力開発促進センター内
075-951-7481
大阪支部高齢・障害者業務課
〒566-0022 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内
大阪支部高齢・障害者窓口サービス課 〃 〃 06-7664-0782
06-7664-0722
兵庫支部高齢・障害者業務課
〒650-0023 神戸市中央区栄町通1-2-7 大同生命神戸ビル2階
078-325-1792
奈良支部高齢・障害者業務課
〒630-8122 奈良市三条本町9-21 JR奈良伝宝ビル6階
0742-30-2245
和歌山支部高齢・障害者業務課
〒640-8483 和歌山市園部1276 和歌山職業能力開発促進センター内
073-462-6900
鳥取支部高齢・障害者業務課
〒689-1112 鳥取市若葉台南7-1-11 鳥取職業能力開発促進センター内
0857-52-8803
島根支部高齢・障害者業務課
〒690-0001 松江市東朝日町267 島根職業能力開発促進センター内
0852-60-1677
岡山支部高齢・障害者業務課
〒700-0951 岡山市北区田中580 岡山職業能力開発促進センター内
086-241-0166
広島支部高齢・障害者業務課
〒730-0825 広島市中区光南5-2-65 広島職業能力開発促進センター内
082-545-7150
山口支部高齢・障害者業務課
〒753-0861 山口市矢原1284-1 山口職業能力開発促進センター内
083-995-2050
徳島支部高齢・障害者業務課
〒770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島5階
088-611-2388
香川支部高齢・障害者業務課
〒761-8063 高松市花ノ宮町2-4-3 香川職業能力開発促進センター内
087-814-3791
愛媛支部高齢・障害者業務課
〒791-8044 松山市西垣生町2184 愛媛職業能力開発促進センター内
089-905-6780
高知支部高齢・障害者業務課
〒780-8010 高知市桟橋通4-15-68 高知職業能力開発促進センター内
088-837-1160
福岡支部高齢・障害者業務課
〒810-0042 福岡市中央区赤坂1-10-17 しんくみ赤坂ビル6階
092-718-1310
佐賀支部高齢・障害者業務課
〒849-0911 佐賀市兵庫町大字若宮1042-2 佐賀職業能力開発促進センター内
0952-37-9117
長崎支部高齢・障害者業務課
〒854-0062 諫早市小船越町1113 長崎職業能力開発促進センター内
0957-35-4721
熊本支部高齢・障害者業務課
〒861-1102 合志市須屋2505-3 熊本職業能力開発促進センター内
096-249-1888
大分支部高齢・障害者業務課
〒870-0131 大分市皆春1483-1 大分職業能力開発促進センター内
097-522-7255
宮崎支部高齢・障害者業務課
〒880-0916 宮崎市大字恒久4241 宮崎職業能力開発促進センター内
0985-51-1556
鹿児島支部高齢・障害者業務課
〒890-0068 鹿児島市東郡元町14-3 鹿児島職業能力開発促進センター内
099-813-0132
沖縄支部高齢・障害者業務課
〒900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎4階
098-941-3301
65 エルダー
10 月 は「 高 年 齢 者 雇 用 支 援 月 間 」で す
高年齢者雇用開発フォーラムのご案内
(平成 28 年度高年齢者雇用開発コンテスト表彰式)
2016
10
平成
厚生労働省と当機構との共催により、高年齢者が働きやすい職場環境にするために企業などが行っ
た創意工夫の事例を募集した「平成 28 年度高年齢者雇用開発コンテスト」の表彰式および記念講
演を行います。また、コンテスト受賞企業などによる事例発表や学識者を交えたトークセッション
を実施し、企業における高年齢者雇用の実態に迫ります。
「年齢にかかわらずいきいきと働ける社会」を築いていくために、企業や個人がどのように取り組ん
年
28
月1日発行︵毎月1回1日発行︶
10
でいけばよいかを一緒に考える機会としたいと思います。
日 時
平成 28 年 10 月 5 日(水)10:00 ∼ 16:30
場 所
イイノホール(東京都千代田区内幸町 2-1-1 飯野ビル)
東京メトロ日比谷線・千代田線「霞ヶ関」駅 C4 出口直結
第
500 名(先着順・入場無料)
主 催
厚生労働省、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
巻第
38
定 員
プログラム
号通巻
10
【午前の部】 高年齢者雇用開発コンテスト表彰式・記念講演
号 ︿発行﹀独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 ︿発売元﹀労働調査会
444
10:00 ∼ 11:00
表 彰 式
厚生労働大臣表彰
独立行政法人高齢・障害・求職者
雇用支援機構理事長表彰
11:00 ∼ 12:00
記念講演
生涯現役社会を目指した日本的健康経営戦略
∼労働寿命の延伸から健康寿命の延伸へ∼
神代 雅晴 氏(一般財団法人日本予防医学協会
理事長)
福田栄夫
【午後の部】事例発表・トークセッション
13:20 ∼ 14:50 事例発表(コンテスト受賞企業など)
15:00 ∼ 16:30 トークセッション「いきいきと働ける社会のために」
パネリスト:事例発表企業 コーディネーター:内田 賢 氏(東京学芸大学 教育学部 教授)
◆雇用相談コーナー……12:00
●
∼ 17:00 ◆資料配付、ポスター・パネル展示……10:00 ∼ 17:00
参加申込方法
【申込必要事項】
定価︵本体458円+税︶
①
②
③
④
⑤
参加者のお名前(ふりがな)
会社名
参加者の役職
業種
企業全体の従業員数(おおよそで結構です)
※ ②∼⑤は企業関係者の方のみご記入ください
●
左記の【申込必要事項】をメール本文にご記入いただき、メールのタイトルを
「フォーラム申込み」として、[email protected] あてにメールをお送
りください。折り返し、お申込み受付確認のメールをお送りいたします。
(土
日祝日など休日の場合や混雑状況により、ご連絡が遅くなる場合があります)
※フォーラムの参加申込みによりいただいた個人情報については、本フォーラ
ム実施のためにのみ利用させていただきます。利用目的の範囲内で適切に
扱うものとし、法令で定められた場合を除き、第三者には提供いたしません。
参加申込締切
平成 28 年 10 月 3 日(月)
●
お問合せ先
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用推進・研究部 研究開発課
TEL:043-297-9527 FAX:043-297-9550 mail:[email protected]