議案 57 号 「平成 28 年度流山市一般会計補正予算(第 2 号)」について

■議案 57 号
「平成 28 年度流山市一般会計補正予算(第 2 号)」について
反対の立場で討論をします。
この補正予算案には、新規私立保育園を6カ所から7カ所に増やす、新たな病児保育施設を
整備する、医療的ケアを行った重度障害児等通所事業所における看護師に係る補助金の交
付など、妥当な補正、必要な補正と見なすべき部分も多いと思います。
しかし、高所得者を優遇する制度だとの批判がある「ふるさと納税」に無批判に乗っかりそ
れを促進するクレジット納付。IT業界への大盤振る舞いや政治家・官僚の利権のためと批判
が起き、行政の効率化には役立たないばかりか金食い虫となるだけと非難され、案の定、初
発から躓いてしまったマイナンバー事業。にも関わらずその事業に流山市政をますます深く
のめり込ませていく動き。これらに関連した補正予算は認めるわけにはいきません。
とりわけ問題なのは、衛生費における「溶融飛灰の運搬処分」や「焼却灰の中間処理運搬業
務」に係る新たな支出であり、これは 8000 ベクレル/㎏以下の放射性焼却灰を一般のゴミ
と同様に処理せんとするための支出であり、とうてい認められません。
いま国は、8000 ベクレル以下なら安全だ、一般のゴミと同じ扱いが可能だととんでもない
ことを言い、実際にそのように扱うようにと自治体に対してプレッシャーをかけてきていま
す。しかし、そもそも、福島の原発事故が発生するまでは、日本における放射性物資の管理
は 100 ベクレル/㎏が基準であり、それを越える物質は厳重に保管・管理すべきとされてき
ました。それは、「原子炉等規制法」を根拠法とし、「原子力規制委員会規則」として定められ
ています。
また国は、100 ベクレル/㎏という基準は、これを越えると人の健康に影響を及ぼすという
意味ではない、と言いはじめました。しかし、そもそも「原子炉等規制法」も、「原子力規制委
員会規則」も、それらの基になったIAEA(国際原子力機関)の技術ドキュメントも、ICRPの見
解も、放射性物質が人の健康に有害かどうか、どこまでの被ばくレベルなら許容すべきかを
論じたものであり、原子炉等規制法では疑問の余地無く明確に「放射線による障害の防止
のため」と述べられています。
いま国が言いはやし、流山市がそれに追随している、8000 ベクレル以下なら安全だという
主張には科学的な根拠は全くありません。この 8000 ベクレルという値は、福島原発事故の
後、政治的に案出され、恣意的に設定された、健康への影響を無視した基準以外の何もので
もありません。
総務委員会の答弁で、当局は、管理型処分場への埋設処分だと言いましたが、管理型処分
場での汚染物質の漏洩・流出事故も発生しています。埋設される廃棄物が数千ベクレルの放
射性物質ということになれば、その環境への悪影響は計り知れません。
補正予算のこの部分を認めることは、環境中に出される放射性物質は 100 ベクレル/㎏を
越えてはならないとする、人類にとっての最低限のレベルの英知まで完全に否定すること
となり、環境行政の自殺行為に手を貸すこととなってしまいます。
以上の理由から、議案 58 号に反対します。
■陳情第11号 「指定難病以外の難病・疾病対策の充実に関して国等への意見書
の提出を求める陳情書」について
採択すべきとの立場で討論します。
この陳情書は、国が示す人口割合で0.1%という基準を超える患者がいる難病、あるいは
診断基準が未だ明確でない疾病に対して、直ちに指定難病とすることを求めたものではあ
りません。陳情が求めているのは、いわゆる難病法、障害者総合支援法、介護保険法、雇用
保険法などどの制度によっても救済されない、いわば「制度の谷間」に置かれた難病患者
への支援の施策です。
具体的には、陳情は以下のことを求めています。
指定難病となっていない病気の患者への救済措置、自己負担額の軽減措置や障害者手帳
の交付などの支援を積極的に行うこと。
線維筋痛症など、診断や治療を行える医師などが少ない病気の患者が、スムーズに適切な
医療が受けられるようにするために、医療現場や社会での認知度の向上を図ること。
財政支援を含め、難病患者への就労支援の充実、強化を行うこと。
制度設計にあたっては、自治体への速やかな情報提供、自治体との意見交換の機会を確保
し、自治体の意見を十分に反映させること。
以上の内容の意見書を国などに提出すること。
「線維筋痛症」などは、その症状がもたらす身体的・精神的な大きな苦痛、仕事や生活に及
ぼす影響の大きさを見れば、本来なら指定難病とされてしかるべき病気です。しかし、仮に
指定難病として直ぐには承認されなくても、陳情が求めている幾つかの方策、医療費の自
己負担額の軽減措置、医療現場や社会における認知度の向上、就労支援の強化などが行わ
れれば、市当局も教育福祉委員会の答弁の中で認めた「制度の谷間」、その谷間に置かれ
て苦しむ難病患者の困難は大きく軽減されるはずです。
人口割合が0.1%を越える難病、診断基準が確定されていない難病などもきちんと難病指
定するかどうかは今後の課題です。しかし、陳情があげている方策は、「制度の谷間」の谷を
浅くする方策として、すぐにでも着手可能なものです。そしてそれによって多くの患者が病
気による苦しみ、それに輪をかける仕事や生活の上での困難を緩和することが出来ます。
そうである以上、流山市が国に対して意見書をあげることを躊躇する理由はないばかりか、
むしろ積極的に意見をあげていくべきだと考えます。
以上の理由で、陳情に賛成します。
■陳情第12号
「就学援助制度の拡充を求める陳情書」について
採択すべきとの立場で討論をします。
学校教育法はその第 19 条において、「経済的理由によって、就学困難と認められる学齢
児童生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない」として
います。
対象となる要保護者については、生活保護法が規定する要保護者(平成 25 年度 約
15 万人)、そしてそれに準ずる者として、市町村教育委員会が要保護者に準ずる程度に
困窮していると認める者(平成 25 年度 約 137 万人)としています。
財源措置は、要保護者に対しては国が2分の1を補助(平成27年度約8億円)、準用保護
者に対しては、平成 17 年度より国の補助が廃止され、税源移譲・地方財政措置を行い、
各市町村が単独で実施しています。
陳情項目の第1は、入学準備金の支給を入学前の3月に支給して欲しいというものです。
これについては、教育福祉委員会において、執行部も検討が必要だとの答弁でした。当
局の前向きな姿勢を更に確かなものとして頂くために、この陳情項目に賛成をします。
陳情項目の第 2 は、就学援助に、クラブ活動費、生徒会費、PTA会費の支給を加えて欲
しいというものです。これに対する当局の答弁は、消極的なものでした。しかし、文部科
学省が示した就学援助の補助対象品目の中にも、学用品費、体育実技用具費、新入学
児童生徒学用品費等、通学用品費、通学費、修学旅行費、校外活動費、医療費、学校給食
費などと並んで、クラブ活動費、生徒会費、PTA会費があげられています。既に近隣自
治体の中でも、陳情にある 3 つの費用について援助をしている自治体もあります。
近年、格差と貧困が拡大し、子どもの貧困率が6人に1人、母子世帯にあっては2世帯に1世帯
が貧困状態にあることが明らかにされ、国も子どもの貧困対策法を制定し、自治体に対応を
求める事態となりました。そうした中、他方では生活保護の判定において生活実態を省み
ない厳格化が進められ、補足率(利用率)の低さが改善されない現状が続いています。本来
なら生活保護を受け、就学援助を受けるべき世帯がそれを受けられていないという問題も
浮かび上がってきています。
学校教育法が謳う“経済的理由により就学困難な学齢児童生徒に必要な援助を与えなけれ
ばならない”との施策が、十分に機能しないという事態が生じることを危惧します。就学援
助が機能を発揮しなければならない社会状況が強まってきているまさにその時に、その機
能が低下していくとすれば問題です。
子どもの貧困問題は相当に深刻化してきています。学校教育法が謳う就学援助の事業を実
効性あるもの、効果的なものとしていくためにも、クラブ活動費、生徒会費、PTA会費を援
助する施策は積極的な意義を持つものと思います。
以上の理由から、陳情項目 2 にも賛成をします。
■議案第47号 「平成 27 年度流山市一般会計歳入歳出決算」について
反対の立場で討論をします。
最初に、2015 年度の市政を取り巻く状況はどうだったかを、簡単に振り返っておきます。
2014年春に消費税率が5%から8%へ引き上げられ、その影響で経済失速が明らかにな
りましたが、それをカバーするための緊急経済対策という名の国債増発に頼ったバラマ
キ政策が行われました。同時に、金融緩和策のいっそうのルーズ化と拡大が進められま
した。
市長は、決算委員会の中で、何度か、国の緊急経済対策に基づくプレミアム付き商品券
発行が消費喚起に効果を現したと言いましたが、これは過大評価に過ぎると言わなけ
ればなりません。現在の消費停滞、その背景にある 7 兆円とも言われる需給ギャップは
そんなことでは解消するわけがなく、事実回復していません。その点で流山だけが例外
であり得るはずもありません。
TX沿線開発、大規模な区画整理事業が功を奏して若年世代の人口流入が続き、市民税
や固定資産税が増えていると言いますが、大きな観点から見れば、また幾らかでも長い
目で見れば、それは鉄道沿線開発バブル、そして国の財政膨張策に引っ張られた底の浅
い、一時的なミニバブル以上ではありません。
仮に、首長の自治体運営としてミニバブルに乗っかるという戦術があり得たとしても、
それは、その限界や危うさをしっかりと自覚した上でないと大きな失敗を招くことにな
ります。
そしてその失敗の兆しは既に現れているように見えます。
その第1は、おおたかの森小中併設校と市民体育館の建て替え事業という 2 大プロジェ
クトへの、市民合意の努力を欠いた熱中として現れています。流山市においては、市政
運営にとって最も重要な市民が主体、市民合意という手続きが見失われています。誠実
で粘り強い市民合意の努力に代えて、逆に安直に、市民の意識や世論を操作、誘導する
かの動きが見え始めています。
第2は、熟慮された見通しや計画性に欠けた人口誘致政策、それが生み出した子育て施
設の不足。これは相当に深刻なレベルに達してしまっています。待機児童問題などは他
の自治体でも大きな課題になっていますが、流山市では無計画な人口誘致策への熱中
がそれに拍車をかけてしまっています。その深刻な現れが、おおたかの森併設校におけ
る、開校 2 年目にしての教室不足問題の顕在化です。流山では、保育所も、学童クラブも、
そればかりか小学校や中学校の教室すらが不足を来してしまっています。
第3は、高齢化問題や貧困問題への取り組みが軽視される傾向を生じさせていることで
す。一昨年に介護保険法が改正され、昨年から流山市でもそれが実行に移されてしまい
ました。内容は、特養入所を要介護度3以上に制限、要支援1・2の者に対する訪問・通所サ
ービスを保険給付対象から除外、一部利用料負担を 1 割から 2 割への引き上げ、低所得
者への補足給付の切り捨て、介護報酬の削減等です。市の施策には、こうした介護保険
制度の改悪をどうカバーするかの視点はなく、国の制度改悪に追随するばかりです。深
刻化する貧困問題に対しても、子どもの貧困対策法に基づく取り組みは弱く、生活困窮
者への対策も生活困窮者自立支援法の生ぬるい実施にとどまっています。
第4は、目の前で起きている深刻な環境問題でもあり、人の健康に甚大な影響を及ぼし
かねない問題でもある、放射能汚染問題から目を反らそうとする態度が露骨です。当局
は、子どもの甲状腺エコー検査を実施などすれば、子育て世代の誘致策に支障が生じる
とでも言わんばかりに、これを拒絶してきました。その結果、東葛地区では松戸市、柏市、
我孫子市が既に実施をし、それに鎌ケ谷市、野田市、白井市、そして江戸川を挟んだ隣
町である三郷市が続こうとする中、流山市の頑なな姿勢が浮き彫りになっています。ま
た、8000 ベクレル以下の廃棄物への無頓着でぞんざいな取り扱いが加速しています。
第 5 は、最初に述べたことを別の例を捉えて再論することになるのかもしれませんが、
井崎市政に特徴的なことは市民目線の欠如、市民感覚からの乖離です。その現れの好
例が、昨年の一般質問でも採り上げましたが、おおたかの森駅などのデジタルサイネー
ジにおいて、異様とも見える自衛隊の宣伝広告映像が流され続けている事への問題意
識の欠如です。おおたかの森駅では、朝早くから保護者に連れられた多くの保育園児が
あのサイネージの前を行き来します。日中は、中高生や若者たちが行き来をし、人を待
つなどために立ち止まり、集っています。そこに、軍服を着、軍用ドーランを顔に塗り、ほ
ふく前進をしたり、軍隊行進をする自衛隊員の生々しい姿が、まさに洗脳的な執拗さで
一日中映し出されているのです。ファシリティマネジメントと言いますが、一体何がどう
マネジメントされているのか。シティセールスと言いますが、何を流山市の美点・優位点
としてセールスしようと言うのか。実際には、市民感覚からすれば極めて歪んだ光景が
広がっているのですが、その事にも気づかない有様です。
決算への討論らしく、市の財政状況や各種の財政指標についてもひと言すべきかもしれ
ませんが、2015 年度の市の予算執行が、市民の立場から見て、市民の利益とどのように
乖離しているかは、以上の指摘からだけでも明らかだと思います。
最後に、もう一度、2015 年度の決算は認定されるべきでないと強調して、討論を終えた
いと思います。