The 5th Annual meeting of Society for Aging Image 第 5 回加齢画像研究会 プログラム・抄録集 【当番世話人】米虫 敦 関西医科大学 放射線科 【 日時 】 2016 年 10 月 8 日(土)AM11:00~ 【 会場 】 関西医科大学 【テーマ】 顔面加齢の画像評価 枚方学舎 1 階 乳房の加齢性変化 骨盤底筋の加齢画像 五十肩の IVR 第 1 講義室 交通のご案内:京阪電車 枚方市(ひらかたし)駅 新大阪駅から 大阪市営地下鉄御堂筋線 ⇒ 淀屋橋(京阪本線乗り換え)⇒ 枚方市 JR 京都線⇒ 大阪(JR 環状線乗り換え) ⇒ 京橋(京阪本線乗り換え)⇒ 枚方市 京都駅から 近鉄京都線 ⇒ 丹波橋(京阪本線乗り換え)⇒ 枚方市 JR 奈良線 ⇒ 東福寺(京阪本線乗り換え)⇒ 枚方市 大阪(伊丹)空港から 大阪モノレール ⇒ 門真市(京阪本線乗り換え) ⇒ 枚方市 関西国際空港から JR 関西空港線・阪和線 ⇒ 天王寺(JR 環状線乗り換え) ⇒ 京橋(京阪本線乗り換え)⇒ 枚方市 南海空港線・本線 ⇒ 新今宮(JR 環状線乗り換え) ⇒ 京橋(京阪本線乗り換え) ⇒ 枚方市 リムジンバス ⇒ 守口市駅(京阪電車乗り換え) ⇒ 枚方市 リムジンバス ⇒ 枚方市駅(枚方キャンパス玄関前のバスターミナルに着きます) 京阪電鉄 枚方市(ひらかたし)駅からのアクセス方法 会場 : 関西医科大学 枚方学舎 1階 第 1 講義室 参加者へのご案内 加齢画像に興味のある方ならば、どなたでも参加可能です。 一般の方の参加も大歓迎です。 ・参加受付 参加費:5000 円 参加費と併せて、加齢画像研究会 年会費(2000 円)をお支払いください。 参加費と引き替えに、参加証(兼 領収証)をお渡しします。 参加受付は現金受付のみとなります。 ・駐車場 併設の駐車場は有料となります。 なるべく公共交通機関を御利用ください。 ・その他 会場内は全館禁煙です。 当番世話人の許可の無い発表内容の録音・撮影は固くお断りします。 許可の無い発表スライドの SNS 投稿は固くお断りします。 ランチタイムセッションのご案内 ランチタイムセッションでは、お弁当をご用意させていただきます。お弁当は 十分な数を準備させていただきますが、準備している数がなくなり次第配布を 終了させていただきます。万一品切れとなった際には、ご容赦ください。 情報交換会 / 会員懇親会のご案内 研究会終了後に、情報交換会 / 会員懇親会を準備しております。 詳細は、当日に案内させていただきます。 奮って御参加ください。 加齢画像研究会 web ページ http://sai.kenkyuukai.jp/ 世話人会のご案内 2016 年 10 月 7 日(金)19:00~21:00 会場:ANA クラウンプラザ大阪 24 階 清交社集会室 ※ 清交社」という社交クラブの集会室をお借りして、世話人会を開催いたし ます。24 階の受付で、記帳をお願いします。男性はネクタイ着用をお願いし ます。 座長へのご案内 ・ 担当セッションの開始 15 分前までに、会場前方の 次座長席」に着席ください。 発表者へのご案内 ・ 発表時間は、講演と質疑応答を含めて 20 分または 30 分です。プログラムで、持ち 時間を確認ください。 ・ セッション間には休憩時間を取り、時間にゆとりを持たせておりますので、活発な 質疑応答をお願いします。 ・ PC プレゼンテーションのみです。 ・ ノート PC をお持ち込みください。また、電源ケーブルも忘れずにお持ち下さい。 ・ 会場に用意しますプロジェクターのコネクターは、 『D-sub15 ピン(ミニ) 』および 『HDMI』です。PC に端子がない場合は必ずアダプターをご用意ください。 ・ 接続する PC の解像度は、1366×768, 1280×720 等の 16:9 の解像度に合せてく ださい。 ・ スクリーンセーバーならびに省電力設定、パスワードの設定は事前に解除しておい て下さい。 ・ 万一のトラブル回避のため、バックアップ用のデータ(CD-R,USB メモリ)を必 ずお持ち下さい。 【 第 5 回加齢画像研究会プログラム 】 開会式 11:00-11:15 (15 分) 代表世話人挨拶 奥田逸子(国際医療福祉大学三田病院 当番世話人挨拶 米虫 敦(関西医科大学 放射線科) 総合医療センター 放射線科) セッション1. 骨盤・乳房 座長:煎本 正博(イリモトメディカル) 11:15-11:35 (20 分) 01. 骨盤底筋の解剖と加齢 山口久美子 東京医科歯科大学 臨床解剖学分野 11:35-11:55 (20 分) 02. 乳房の解剖と手術と加齢。乳腺外科の立場から 山本大悟 関西医科大学総合医療センター 乳腺外科 11:55-12:15 (20 分) 03. 乳房の加齢画像:体位による変化について 印牧義英 聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療セ ンター附属クリニック <休憩> 放射線科 セッション2. 関節(ランチタイムセッション) 座長:米虫 敦(関西医科大学 総合医療センター) 12:30-13:00 (30 分) 04. 慢性肩関節周囲炎の診断と当科における治療方針 朴 正旭 ⇒ 黒川 勇人(関西医科大学 整形外科) 関西医科大学総合医療センター 整形外科 13:00-13:30 (30 分) 05. 関節炎における異常血管新生とその塞栓療法 奥野祐次 江戸川病院 運動器カテーテルセンター 13:30-13:50 (20 分) 06. 運動器慢性疼痛に対する経動脈的微細血管塞栓療法(TAME)の治療成績 保本 卓(1)、奥野祐次(2)、外村隆行(1)、八尾卓也(1)、呉 隆進(1) (1) 都島放射線科クリニック IVR センター (2) 江戸川病院 運動器カテーテルセンター <休憩> セッション 3. 美容外科手術と顔面加齢(教育講演) 座長:波多野雅子(埼⽟医科大学 内分泌・糖尿病内科) 14:00-14:20 (20 分) 07. 基本的な美容外科手術 米虫隆貴 心斎橋美容外科 14:20-14:50 (30 分) 08. 顔面加齢を画像解剖学的に考える 奥田逸子 国際医療福祉大学三田病院 放射線診断センター <休憩> セッション4. 頭部・顔面(1) 座長:萩家康弘(福岡歯科大学 医科歯科総合病院) 15:00-15:20 (20 分) 09. 超高分解能頭皮 MRI を用いた男性型脱毛症の頭皮の厚さの計測 小山太郎(1) 、曽我茂義(2) 、荒船龍彦(3)、立柳紀林(3) 、 新本 弘(2) 、加地辰美(2) 、小林一広(1) (1) 医療法人社団ウェルエイジング (2) 防衛医科大学校 メンズヘルスクリニック東京 放射線医学講座 (3) 東京電機大学 理工学部 電子・機械工学系 先進生体医工学研究室 15:20-15:40 (20 分) 10. 皮下組織の構造に基づく顔面シワの画像計測 森山 剛(1)、奥田逸子(2) (1) 東京工芸大学工学部メディア画像学科 (2) 国際医療福祉大学三田病院 <休憩> セッション 5. 頭部・顔面(2) 座長:井上 肇(聖マリアンナ医科大学 形成外科学内・幹細胞再生医学講座) 15:45-16:05 (20 分) 11. 眼輪筋の加齢性変化の分析 鈴木友梨(1)、奥田逸子(1,2)、山口久美子(1)、秋田恵一(1) (1) 東京医科歯科大学 臨床解剖学分野 (2) 国際医療福祉大学三田病院 放射線診断センター 16:05-16:25 (20 分) 12. これまでの皮膚色測定システムを用いたレーザーフェイシャル治療につい ての知見 萩家康弘 福岡歯科大学 医科歯科総合病院 口腔顔面美容医療センター・形成外科 16:25-16:45 (20 分) 13. デジタル画像解析システムを用いた顔面画像の客観的評価 覚道奈津子 関西医科大学 形成外科学講座 <休憩> セッション 6. 特別講演 座長: 池田茂樹(関西医科大学 附属病院 放射線科) 16:50-17:20 (30 分) 14. 死後 CT 画像を活用した白骨死体の年齢推定法の高度化 今泉和彦(1)、小川好則(1)、谷口 慶(1)、加賀和紀(2)、塩谷清司(3)、 早川秀幸(4) (1) 科学警察研究所 (2) 筑波メディカルセンター病院 (3) 聖隷富士病院 (4) 筑波剖検センター 閉会式 17:20-17:30 (10 分) 次期当番世話人挨拶 未定 当番世話人挨拶 米虫 敦(関西医科大学 総合医療センター 放射線科) ・研究会終了後に情報交換会 / 会員懇親会を準備しております。 ・奮ってご参加ください。 セッション1. 骨盤・乳房 01. 骨盤底筋の解剖と加齢 山口久美子 東京医科歯科大学 臨床解剖学分野 骨盤臓器を支える構造としておもな役割を果たす骨盤隔膜は、肛門挙筋(恥骨直腸筋、恥 骨尾骨筋、腸骨尾骨筋)と尾骨筋からなる。骨盤隔膜の多くの部分は、股関節の外旋を行う 内閉鎖筋の筋膜に存在する肛門挙筋腱弓から起始するといわれる。近年、整形外科医と泌尿 器科医と進めている共同研究から、内閉鎖筋の機能が尿を我慢することに重要であること が明らかになり、これらの骨盤内外の筋の重要性が見直されている。 一般に 靭帯」 腱」という名称からは、膠原線維が密に配列する強固な構造が思い浮か べられる。骨盤領域においても、多くの図譜で靭帯は白く強固な存在として描かれている。 しかし、実際の解剖体を観察すると、この領域の多くの靭帯や腱はごく細い結合組織の線維 束であるものや、柔らかい結合組織からなるものである。結合組織と解釈されているものに は様々な種類の細胞が含まれている。それらには、形が変化しにくいものもあれば、形状や 性状が加齢等により変化していく構造もあるのではないだろうか。 先に述べた肛門挙筋と内閉鎖筋の付着部は、一般的に 肛門挙筋腱弓」という明確な構造 があると記述されている。解剖体では約半数ではこの腱弓は結合組織の肥厚として確認さ れるが、明らかではないものも数多い。また、尾骨筋とその深層に存在する仙棘靭帯は、多 くの解剖体で明確な靭帯ではなく非常に弱い構造であるものが多い。この領域の筋や結合 組織の硬さ、厚みには著しい個人差がある。多くの解剖体は高齢であり、我々は正常なかた ちに個人差のある加齢変化が加わったものを観察していると考えられる。 このことを考えると、 骨盤臓器を支える」構造が明確にあってそれが壊れることで脱が 起こるということだけではなく、徐々に形態が変化していくことで結果として脱が起こる のではないかということも予想される。今回は、加齢変化がどのように進行していくかにつ いて考えてみる。 02. 乳房の解剖と手術と加齢。乳腺外科の立場から 山本大悟 関西医科大学総合医療センター 乳腺外科 乳房は皮下脂肪組織のなかに存在する臓器であり、乳腺組織は表皮と胸筋の間に存在す る。乳腺組織は加齢に伴い乳腺内部に脂肪化がすすみ、動脈硬化もみられるようになる。閉 経後はさらに脂肪化がすすみ、その結果脂肪組織と結合組織および少量の血管と乳管を残 すのみとなる。よって乳房内に癌発生したばあい、触診では腫瘤は触れやすくなり、乳腺自 体も下垂が進む。実際、手術としては皮膚および皮下組織と乳腺組織は剥離しやすくなり、 反対に大胸筋と乳腺組織も剥離しやすくなる。そして乳腺組織そのものは脂肪織の中に埋 もれるような感じになる。 今回、高齢者乳がん症例に対して乳腺全摘出をおこなったのでそのビデオを見ながら説 明する予定である。 03. 乳房の加齢画像:体位による変化について 印牧義英 聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニック 放射線科 乳腺領域における CT,MRI は乳癌と診断された後の広がり診断や薬物療法の効果判定な どを主たる目的として使用される。病変の広がりに関しては腫瘤を中心とした mass lesion と乳管内進展を反映した non mass lesion に分けられ、単発病変または多発病変、乳頭浸 潤の有無などにより術式が決定される。現在、当施設では乳癌術前検査でうつ伏せ撮影によ る乳房 MRI と仰向けで撮影される乳房 CT が施行されている。そこで今回は片側乳癌で病 変のない対側の乳房を対象に体位による乳房の変化を年齢別に検討した。CT,MRI とも横断 像を基準とし乳頭下から胸壁までの距離を計測し体位による違いについて検討した。乳腺 実質の評価としては乳腺実質の体積が多い場合と乳腺実質が脂肪に置換された場合の変化 の違いについて検討する。また、その際、クーパー靭帯のタイプを視覚評価で4タイプに分 類し検討項目に加えた。乳腺実質から皮下に向かって明瞭に連続するものから描出不良の ものを4タイプに分類し、それぞれのタイプと変化率に関して検討を加える。 セッション2. 関節(ランチタイムセッション) 04. 慢性肩関節周囲炎の診断と当科における治療方針 朴 正旭 ⇒ 黒川 勇人(関西医科大学 整形外科) 関西医科大学総合医療センター 整形外科 05. 関節炎における異常血管新生とその塞栓療法 奥野祐次 江戸川病院 運動器カテーテルセンター 関節が痛いのは年齢のせい? 五十肩や変形性関節症をはじめとした整形外科領域の慢性疼痛は、良性疾患であるもの の時として著しい QOL 障害を来たすことがある。階段の上り下りが痛くてできない、夜間 に痛みのために眠れないなど、日常生活を妨げるレベルの強固な症状が数年にわたって持 続するケースも珍しくない。これらの痛みの根本的原因は解明されていないため、標準的な 治療法も自ずと対症療法とならざるを得ない。さらには整形外科外来では 痛みは年齢のせ いだからあきらめなさい」というのが常套句となっている感も否めない。 確かに 四十肩」 五十肩」などと表現されるように、関節の慢性疼痛はある年齢をすぎ ると急激に増加することが知られており、高齢化社会において慢性疼痛の制御は重要な課 題となっている。 これまでに様々な研究者が 疼痛組織に微細な血管が増殖している」ことを報告している。 実際に痛みが長引いている人の疼痛部を栄養する動脈に選択的血管撮影を行ってみると、 あたかも腫瘍の濃染像にも似た異常な血管増殖像を高頻度に認める。さらに興味深いこと に年齢が高まるにつれてこれらの異常な血管はできやすくなることを経験している。 血管と神経は伴走する性質を有しており、微細な血管増殖はその周囲に無髄神経線維を 新たに伸長させることが知られている。また血管増殖は炎症の維持・遷延化にも寄与すると される。私たちは整形外科領域の難治性の疼痛疾患に対して経動脈的に一時的塞栓物質を 投与することで疼痛症状が改善する事を報告してきた。五十肩や変形性膝関節症、さらに術 後の遺残疼痛や創部痛などが今後塞栓治療の需要のある疾患領域と考えられる。 これらの整形外科領域の慢性疼痛に対する塞栓術について概説する。 06. 運動器慢性疼痛に対する経動脈的微細血管塞栓療法(TAME)の治療成績 保本 卓(1)、奥野祐次(2)、外村隆行(1)、八尾卓也(1)、呉 隆進(1) (1) 都島放射線科クリニック IVR センター (2) 江戸川病院 運動器カテーテルセンター 【背景】経動脈的微細血管塞栓療法(Transcatheter arterial micro-embolization:TAME) は運動器慢性疼痛に対する IVR として近年注目されている。 【目的】当院での TAME の治療成績を報告する。 【対象と方法】対象は 2015 年 9 月から 2016 年の 8 月までに当院で施行された、保存的 治療に抵抗性の運動器慢性疼痛 16 例、19 セッション、24 関節(病変)。内訳は肩関節が 7 例 7 関節、膝関節が 6 例 7 関節、股関節が 3 例 3 関節、仙腸関節が 2 例 3 関節、腰椎椎間 関節が 1 例 1 関節、肘関節が 1 例 1 関節、足関節が 1 例 1 関節、梨状筋症候群が 1 例 1 病 変。適格基準は一般的な治療法に抵抗性の運動器慢性疼痛症例で、手術適応のあるものは除 外した。術前に造影 MRI を施行。橈骨動脈、あるいは大腿動脈アプローチにて 3Fr、もし くは 4Fr シースを挿入し、可及的に責任血管を選択し、Imipenem/cilastatin にて TAME を施行した。評価項目は手技的成功率、合併症(CTACE ver4.0)、術前後の NRS 値とした。 【結果】手技的成功率は 100%(19/19 セッション)。Grade3 以上の重篤な合併症は認めな かった。観察期間中央値は 4.2(1-11 ヶ月)。NRS 値は 16 例中 14 例(87.5%)で改善を認 めた。術前平均 NRS 値は 91mm で、術後平均 NRS 値は 26mm と有意に低下を認めた(P <0.05)。NRS 値に改善が認められていない 2 例の内訳は、うつ病を伴う二次性肩関節周 囲炎が 1 例(観察期間 9 ヶ月)、上腕骨外側上踝炎が 1 例(観察期間 2 ヶ月)で、いずれも 2 回目の治療を検討中である。 【まとめ】TAME は運動器の慢性疼痛に対する安全で有効な治療法と考えられた。多少の文 献的考察を加えて報告する。 セッション 3. 美容外科手術と顔面加齢(教育講演) 07. 基本的な美容外科手術 米虫隆貴 心斎橋美容外科 美容外科で行っている処置は大きく分けて、手術によるものと手術以外の注射などに分 けられます。注射や手術は整容的に患者さんの希望に合わせて行うものであり、患者さんは 男性・女性、10 代の若年層から 80 代の老齢層まで様々です。 上眼瞼下眼瞼、鼻、唇、輪郭、しわ・たるみなどの顔に関する美容外科手術、その他、体 幹に関する手術として、胸の手術や脂肪の手術、脇の汗の手術など多岐にわたって存在しま す。近年、需要が増えて来ているものとしては、頭髪の植毛手術など薄毛の治療があげられ ます。 今回は、数多くある美容外科手術の一部をご紹介いたします。 08. 顔面加齢を画像解剖学的に考える 奥田逸子 国際医療福祉大学三田病院 放射線診断センター CT および MRI などの画像診断装置の技術進歩はめざましく、詳細な高画質画像を容易 に収集でき、体表や体内をリアルかつ鮮明に描出することが可能である。この技術を顔面に 応用し、画像データから作成した3次元立体構築画像によって顔面容貌そのものをとらえ ることができるだけでなく、顔面皮下構造物の解剖学的情報を詳細に分析することで、容貌 変化の要因を内部から把握することができる。 顔面加齢は大別して色調変化であるシミと形態変化である皺やたるみに分けられる。こ れまで我々は CT や MRI を用いて、形態変化であるたるみの要因について画像診断学的に 研究してきた。顔面加齢を分析するには加齢性変化の特徴を理解することが重要であり、そ のためには顔面構造物の解剖学的知識が求められる。顔面の皮下には表情筋をはじめとし、 表在性筋膜として知られている Superficial musculoaponeurotic system (SMAS)や支 持靱帯、脂肪織などがある。加齢とともに皮膚および皮下の構造物は変化し、重力の影響も 受ける。ことに脂肪織は重力による影響が顕著である。これらの結果、特徴的な加齢顔貌が 引き起こされる。目元では目袋の形成や目尻の下垂、頬においては頬下垂や鼻唇溝の深化な どを認める。加齢とともに顔面皮下で生じる変化について、具体的な CT や MRI を提示す る。加齢の要因を知ることで、若々しさの維持やアンチエイジングに役立つことを願ってい る。 本講演では、容貌の変化とその内部構造との関係を概説し、顔面加齢のメカニズムを画像 解剖学的に説明する。 セッション4. 頭部・顔面(1) 09. 超高分解能頭皮 MRI を用いた男性型脱毛症の頭皮の厚さの計測 小山太郎(1) 、曽我茂義(2) 、荒船龍彦(3)、立柳紀林(3) 、新本弘(2) 、 加地辰美(2) 、小林一広(1) (1) 医療法人社団ウェルエイジング メンズヘルスクリニック東京 (2) 防衛医科大学校 放射線医学講座 (3) 東京電機大学 理工学部 電子・機械工学系 先進生体医工学研究室 【目的】加齢に伴う男性の見た目の変化の一つに男性型脱毛症 (AGA)がある。加齢に伴う 頭皮解剖の変化と男性型脱毛症との関連については、生体で非侵襲的に頭皮の状況を観察 することが困難なために、これまでの知見は限られている。一方で近年の技術革新によって、 超高分解能のMRI撮影が可能となり、皮膚や皮下といったかつて評価困難であった部位にも 非侵襲的に迫れるようになってきており、様々な領域で新たな診断方法としての期待が高 まっている。我々は前回の本学会において男性型脱毛症の新たな客観的評価方法としての 超高分解MRIの初期経験を報告した。今回は超高分解能頭皮MRIを用いて頭皮の厚さと毛髪 の量の関係性について検証した。 【方法】毛量が充分豊富なボランティア男性6人と、AGAの進行した(ハミルトンノーウッ ド分類でⅣ型以上)ボランティア男性6人で超高分解能撮像による頭皮イメージを取得し、 頭皮の厚さ(表皮真皮層と皮下組織) 、毛包の深さを解析した。 【結果】脱毛症が進行した頭皮は薄く、毛包の底部が浅い傾向を確認した。今後症例を増や しその相関を検証するとともに、頭皮の厚さと発毛治療の効果の関係性を検証していきた い。 10. 皮下組織の構造に基づく顔面シワの画像計測 森山 剛(1)、奥田逸子(2) (1) 東京工芸大学工学部メディア画像学科 (2) 国際医療福祉大学三田病院 セッション5. 頭部・顔面(2) 11. 眼輪筋の加齢性変化の分析 鈴木友梨(1)、奥田逸子(1,2)、山口久美子(1)、秋田恵一(1) (1) 東京医科歯科大学 臨床解剖学分野 (2) 国際医療福祉大学三田病院 放射線診断センター 【背景】 顔面の加齢性変化とくに目の周囲の変化については、下眼瞼の形状に著しい変化が現れ ることが知られている。この変化においては、眼輪筋の形状の変化の関与が推察される。し かし、これまで眼輪筋の加齢性変化を具体的に解析した報告は少ない。我々は加齢に伴う眼 輪筋の形状の変化について、若年者から高齢者までの CT 画像を用いて評価したので報告す る。 【対象と方法】 本研究は国際医療福祉大学三田病院で撮像された 20~86 歳(女性は 58 例、男性は 54 例:平均 53.1 歳)の計 112 人を対象とした。撮像は 320 列 Multidetector row computed tomography (MDCT)の画像データを使用した。片側の眼窩を 20 分割にした矢状断を作成 し、鼻側から何枚目まで眼輪筋が顔面骨に付着しているかを両側眼瞼で評価した。その結果 を用いて眼輪筋の顔面骨への付着程度と年齢との相関を解析した。 【結果】 眼輪筋は顔面の骨に一様に付着しているのではなく、鼻側領域は顔面骨に付着していた が、耳側領域では付着していないことが明らかになった。さらに、年齢との関連性をみると、 加齢に伴い眼輪筋の顔面骨への付着範囲が狭くなっていた。つまり、若年者では眼輪筋は比 較的耳側まで顔面骨に付着していたが、高齢者では比較的早くに顔面骨から離れる傾向を 認めた。 【考察】 高齢者ほど、顔面骨への眼輪筋の付着領域が狭くなるということは、眼輪筋の安定性への 影響があることが考えられる。つまり、高齢者ほど、目じりが下がる傾向にあるということ を実証した結果であると言える。容貌変化は皮膚のみで規定されるのではなく、皮下の構造 変化も関与すると考えられ年齢に応じた解剖学的特徴を理解することが加齢容貌のメカニ ズム解明に貢献しうる。 12. これまでの皮膚色測定システムを用いたレーザーフェイシャル治療についての知見 萩家康弘 福岡歯科大学 医科歯科総合病院 口腔顔面美容医療センター・形成外科 【目的】 これまでしみの病変部や周囲皮膚の色調を客観的に評価してきた。審美歯科用に開発さ れた分光測色装置を皮膚色測定と皮膚スキャナーとを併用して治療経過中の変化を詳細に 解析し、その結果を治療効果の客観的評価としてレーザー治療に反映させた。今回これまで 得られた知見を報告する。 【方法】 81歳~35歳の女性患者20例の顔面色素斑を対象とした。病変部と周囲皮膚との部位別情 報や色調分布を分光測色計装置CE100-DC/JPを用いて測定した。次に同部位のメラニン分 布およびヘモグロビンの分布についてAntera3Dを用いて測定した。治療は保存的治療を行 い、皮膚色の解析をもとに適応を判断し医療用脱毛ロングパルスアレキサンドライトレー ザー(Gentle LASE,CANDELA)を併用して治療した。 【結果】 分光測色装置で示される赤みとAntera3Dで示されるヘモグロビン分布が減少し安定し たことを確認してロングパルスアレキサンドライトレーザーを併用治療すると赤みやヘモ グロビン分布はさらに減少し高い効果が得られた。また治療効果は見た目のシミの濃さは 黄色みの程度およびメラニン分布の濃さには一致せず、むしろ明るさと赤みの程度、とくに 明るさが良く反映していた。 【考察】 本来、ロングパルスアレキサンドライトレーザーは脱毛用に開発されたものであるが、こ のレーザーの特性であるメラニンを破壊するシステムを応用して今回、色素班の治療に用 いた。用いたレーザーのエネルギー(強さ)はかなり強いが特に施術後の再発、悪化は認め なかった。シミ治療の効果が主観的にも客観的にも上がると明るさは増加し赤みは減少し た。また毛孔の開大やにきびの陥凹性瘢痕に対しても患者満足度は高かった。このレーザー の場合、効果を得るのに回数が必要であったが今後、他の光・レーザーデバイスを用いた場 合も検討したい。 13. デジタル画像解析システムを用いた顔面画像の客観的評価 覚道奈津子 関西医科大学 形成外科学講座 美容皮膚科領域の 見た目の改善」は軽微な差であることが多いため,同一条件での撮影 が重要となってくる。揃えるべき条件は,色調,明るさ,影,大きさ,構図,背景,焦点深 度など多岐にわたり,診察室で撮影するという方法では極めて困難である。 近年、皮膚生理変化や形状の変化を解析する機器の開発がすすめられており、そのなかで も Robo Skin Analyzer は同一条件で簡便に全顔写真を撮影・解析できる機器である。本機 器の利点の1つは,一定の構図と距離での撮影が可能なことである。400 万画素の CCD カ メラが設置された装置の中に,顔を入れ,あるいは顔を載せた台が軸回転することで一定の 3方向の画像を自動撮影することができる。顔の固定は,視力測定装置などと同様に,額と 顎を装置に密着させることで行う。さらに,デジタルカメラの動画モードで顔の中心線を合 わせる。撮影された画像は直ちに付属のソフトウェアで保存される。 我々は、ケミカルピーリング後の皮膚の変化を Robo Skin Analyzer を用いて以下の項目 で評価してきた(Kakudo N, et al. Skin Res Technol. 2011; J Cosmet Dermatol. 2013) 。 1.顔面の毛穴の解析 デジタル画像の色情報を用い,顔全体の輝度との差から毛穴部位を自動的に抽出するこ とにより定量評価を行う。毛穴部位はサイズおよび輝度の情報によって毛穴,開きが目立つ 毛穴,黒ずみが目立つ毛穴の3種に分類して定義している。 2.顔面の色素沈着の解析 デジタル画像の色情報を用い,輝度の差および形状情報から色素沈着部位を自動的に抽 出し,色素沈着部位の定堂評価を行う.色素沈着部位はサイズによって大小2種類に分類し て定義している。解析データとして表示されるのは,色素沈着部位数と面積である。 現在、 美容皮膚科領域でも Evidence Based Medicine (EBM)の裏付けとして、 皮膚形状、 皮膚生理の詳細な検討が必須であり、外部から非侵襲的な測定機器を用いた客観的評価が 望まれる。同一の条件で撮影したデジタル画像を解析し、多くの情報を数値化することで施 術前後の変化等を客観的に評価することが可能であり、有用であると考えている。 セッション6. 特別講演 14. 死後 CT 画像を活用した白骨死体の年齢推定法の高度化 今泉和彦(1)、小川好則(1)、谷口慶(1)、加賀和紀(2)、塩谷清司(3)、早川秀幸(4) (1) 科学警察研究所 (2) 筑波メディカルセンター病院 (3) 聖隷富士病院 (4) 筑波剖検センター 犯罪捜査等で発見される白骨死体からは、形態検査により性別・年齢・身長等が推定され る。これら検査法は、古くから法人類学 (forensic anthropology) 分野で検討がなされて いるが、研究に供する骨標本を得ることが難しく、多くの検査が 50 年を超える以前のデー タに基づいている現状にある。近年、死因究明の手段として死亡時画像診断(Autopsy Imaging: Ai)が普及し、遺体の高精細 CT 画像が収集されるようになった。本研究は、こ れら CT 画像に記録された骨の形状を、年齢推定のための基礎的データの充実に活用するも のである。 資料として、2008 年から現在までに筑波メディカルセンター病院にて撮影された成人死 後 CT 画像 201 名(男性 143 名、女性 58 名)分を用いた。CT 撮影範囲は頸部からひざ下 までを含み、表示スライス厚は 1.00~1.25mm である。資料の平均年齢は 61.3 歳(男性 60.2 歳、女性 63.9 歳)と比較的高齢だが、20 歳代から 80 歳代までの各年代にそれぞれ 10 名以上が分布する。骨の形状観察は体幹骨格のボリュームレンダリングにより行った。 観察部位と主な着眼点は以下のとおりである。a) 腰椎椎体:上下関節面辺縁の棘形成と不 整化、椎体の扁平化、b) 寛骨:腸骨陵と恥骨下枝下縁に重きをおいた、寛骨辺縁の棘形成 と不整化(粗面化) 、c) 胸骨:胸骨柄と胸骨体の間の軟骨結合(胸骨柄結合)の骨化・癒合。 各変化の評価は、全資料を俯瞰して設定した 5 段階の進行度を示す参照用画像を用意し、 肉眼的にスコア付けすることで行った。 結果、腰椎椎体と寛骨では資料の高齢化と高スコア化が対応し、腰椎椎体でより明確であ った。また、男女を比べると、特に腰椎椎体において、女性の方が加齢変化の進行が遅い傾 向がみられた。胸骨では年齢と進行度との間に対応は認められなかった。 このように、死後 CT 画像に記録された骨は、観察部位を適切に選定することで年齢推定 法の検討のための研究資料とすることができる。現在、肩甲骨、大腿骨頭、恥骨結合面につ いてさらに検討を進めている。 加齢画像研究会 設立趣旨 我が国は世界有数の長寿社会になり、生命予後だけでなく、その Quality of life(QOL)の向上が望まれています。抗加齢を解剖学的あるいは形態学に研究 する方法として画像は必要不可欠です。 近年、多列 CT や高磁場 MRI の高性能化は著しく、3 次元画像法を用いて臓 器や病変を立体的に把握することが可能になりました。超音波ドプラー・エラス トグラフィ、サーモグラフィなどの形態だけでなく、機能も詳細に評価できるよ うになってきました。また、従来の写真を用いた画像評価もモアレトポグラフィ などにより客観的な評価ができるようになってきました。 これらの高度に進んだ画像診断法を美容医学を含む抗加齢医学と結びつける ことは重要であり、抗加齢医学と画像診断学の専門医が一同に会し、加齢につい て深く研究することは意義深いと考え、本研究会の設立を企図しました。 本研究会は抗加齢医学への画像診断学の貢献の科学的根拠を確立することを 目的に活動します。 本研究会の成果が抗加齢医学の発展に寄与し、健康長寿の 実現をもたらすことを信じています。 2012 年 5 月 世話人一同 加齢画像研究会 役員一覧 【第 5 回加齢画像研究会当番世話人】 米虫 敦 関西医科大学 放射線科学講座 助教(放射線科) 【代表世話人】 奥田逸子 国際医療福祉大学三田病院 放射線診断センター 准教授(放射線科) 【世話人】 秋田恵一 東京医科歯科大学 臨床解剖学分野 教授(解剖学) 井上 肇 聖マリアンナ医科大学 今泉和彦 科学警察研究所 柏谷 元 岩手医科大学 印牧義英 聖マリアンナ医科大学付属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター付属クリニック (放射線科) 米虫 敦 関西医科大学 米虫隆貴 心斎橋美容外科クリニック 曽我茂義 防衛医科大学校 高原太郎 東海大学 萩家康弘 福岡歯科大学 町田洋一 亀田京橋クリニック 形成外科学 法科学第一部 形成外科学 幹細胞再生医学講座教授(再生医療) 生物第二研究室(法科学) 助教(美容外科・形成外科) 放射線科学講座 助教(放射線科) 院長(美容外科・形成外科) 放射線医学講座(放射線科) 工学部医用生体工学科 教授(放射線科・医用工学科) 口腔顔面美容医療センター 准教授(美容外科・形成外科) 放射線科(放射線科) 【顧問・監事】 中島康雄 聖マリアンナ医科大学 放射線医学講座 教授(放射線科) 【顧問】 一瀬晃洋 神戸大学大学院医学研究科形成外科学 特命准教授(美容外科、形成外科) 煎本正博 イリモトメディカル 大慈弥裕之 福岡大学医学部 佐藤博信 福岡歯科大学 医科歯科総合病院補綴科 島田和幸 東京医科大学 人体構造学分野 白壁征夫 サフォクリニック 杉村和朗 神戸大学医学部附属病院 辻本文雄 聖マリアンナ医科大学病院 超音波センター センター長 臨床検査医学教授(放射線科) 平田和明 聖マリアンナ医科大学 水沼仁孝 日本赤十字社那須赤十字病院 代表(放射線科) 【事務局長兼任】 形成外科学 教授(美容外科・形成外科) 教授(歯科) 客員教授(解剖学) 院長(美容外科) 病院長 解剖学講座 放射線科教授(放射線科) 教授(解剖学) 副院長・放射線科部長(放射線科) 以上 敬称略 五十音順 協賛企業一覧 朝日インテック J セールス株式会社 株式会社メディコン 小西医療器株式会社 シーマン株式会社 住友ベークライト株式会社 第一三共株式会社 テルモ株式会社 日本化薬株式会社 宮野医療器株式会社 (50 音順) 第 5 回加齢画像研究会 プログラム・抄録集 発行 平成 28 年9月 編集 第 5 回加齢画像研究会 運営事務局 住所: 〒570-8507 大阪府守口市文園町10-15 TEL : 06-6992-1001(内線:42502) FAX : 020-4663-8997 加齢画像研究会 運営事務局 株式会社フイッツパッド(内) 住所: 〒156-0051 東京都世田谷区宮坂 3-20-19 E-mail: [email protected] 第5回加齢画像研究会 運営事務局 関西医科大学 附属滝井病院 放射線科(内) 住所: 〒570-8507 大阪府守口市文園町10-15 TEL : 06-6992-1001(内線:42502) FAX : 020-4663-8997 E-mail: [email protected] 加齢画像研究会 web ページ: http://sai.kenkyuukai.jp/
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