航空機燃料税の特例措置の延長

平成 29 年度税制改正(租税特別措置)要望事項(新設・拡充・延長)
(国土交通省)
制
税
度
名
航空機燃料税の特例措置の延長
目
航空機燃料税
【要望の内容】
1 航空機燃料に係る航空機燃料税の特例(延長)
租税特別措置法第 90 条の 8 に定める航空機に積み込まれる航空機燃料に係
る航空機燃料税の税額を、平成 29 年度から平成 31 年度まで 18,000 円/㌔㍑
(特例適用前 26,000 円/㌔㍑)とする。
2
要
沖縄路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特
例(延長)
租税特別措置法第 90 条の 8 の 2 に定める「沖縄路線航空機」に積み込まれ
る航空機燃料に係る航空機燃料税の税額を、平成 29 年度から平成 31 年度ま
で、9,000 円/㌔㍑(特例適用前 13,000 円/㌔㍑)とする。
望
<沖縄路線に係る特例措置の延長については、内閣府との共同要望>
の
3
内
特定離島路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率
の特例(延長)
租税特別措置法第 90 条の 9 に定める「特定離島路線航空機」に積み込まれ
る航空機燃料に係る航空機燃料税の税額を、平成 29 年度から平成 31 年度ま
で、13,500 円/㌔㍑(特例適用前 19,500 円/㌔㍑)とする。
容
【関連法令】
航空機燃料税法 第 11 条
租税特別措置法 第 90 条の 8・第 90 の 8 の 2・第 90 条の 9
沖縄振興特別措置法第 27 条
租税特別措置法施行令第 50 条の 4
平年度の減収見込額
―
百万円
(制度自体の減収額)
(▲40,000 百万円)
(改 正 増 減 収 額)
(
―
百万円)
⑴
新設・拡充又は延長を必要とする理由
政策目的
「地方創生回廊(低廉かつ持続可能な航空網)」の構築により、訪日外国人
の地方誘導を促進する。
⑵
施策の必要性
平成 28 年 3 月に策定された「明日の日本を支える観光ビジョン」において訪
日外国人旅行者数の新たな目標が定められたが、達成に向けてインバウンドの
地方誘客が最重要課題の一つとされた。「日本再興戦略(成長戦略)2016」
(平成 28 年 6 月閣議決定)においても、「地方創生回廊」の完備へゲートウェ
イから地方、地方と地方を結ぶ低廉かつ持続可能な航空網を構築するとしてお
り、運航コストの低減を通じたインバウンドの地方への誘導を政策的に後押し
する必要がある。
○「地方創生回廊」の完備
・経済財政運営と改革の基本方針 2016(骨太方針 2016)
今
(第2章 成長と分配の好循環の実現(2)新たな有望成長市場の創
出・拡大 ⑤ 観光の基幹産業化)
高速交通網を活用した「地方創生回廊」の完備、立体道路制度の拡充
による交通モード間の接続強化、PPP/PFI手法の活用等による
無電柱化、自転車利用環境の創出や容積率緩和制度を活用した宿泊施
設等の整備を推進する。
回
の
・日本再興戦略 2016(成長戦略 2016)
要
望
合
に
政策体系
における
政策目的の
位置付け
(4.観光立国の実現 ②新幹線、高速道路など高速交通網の活用に
よる「地方創生回廊」の完備)
これまで出発前に海外の限られた旅行代理店でしか購入できなかった
「ジャパン・レールパス」の日本到着後の購入を可能にするため、本
年度に実証実験を開始する。また、ゲートウェイから地方、地方と地
方を結ぶ低廉かつ持続可能な航空網を構築する。
理
・ニッポン一億総活躍プラン
性
関
(6.10 年先の未来を見据えたロードマップ/・名目 GDP600 兆円の
実現/⑰ 観光先進国の実現(世界が訪れたくなる日本へ))
すべての旅行者が、ストレスなく快適に観光を満喫できる環境に:
「地方創生回廊」の完備(新幹線開業、コンセッション空港の運営開
始、交通結節点の機能高度化等と連動し、地方への人の流れを創出)
連
す
政策目標
Ⅵ 国際競争力、観光交流、広域・地域間連携等の確保・強化
る
事
施策目標
24 航空交通ネットワークを強化する
項
政 策 の
達成目標
租税特別措
置の適用又
は延長期間
航空会社のコスト低減を通じ、地方航空ネットワークの維
持・強化を図り、訪日外国人の地方誘客を促進する。
3 年間(平成 29 年度~平成 31 年度)
同上の期間
中の達成
目
標
訪日外国人の国内線利用者数を増やす。
政策目標の
達成状況
国内線利用者に占めるインバウンドの割合は大手で数%、LCC
でも 10%を下回る程度。
要 望 の
措 置 の
適用見込み
定期便を運航する本邦航空会社(23 社:平成 28 年 8 月現在)
による国内線運航の燃料にあまねく適用される。
有
○本則路線
「明日の日本を支える観光ビジョン」に掲げた訪日外国人旅
行者数や地方部宿泊数の目標を達成するために、インバウンド
の地方誘客が重要な課題となっている。全ての国内航空路線で
運航コストを低減する本措置は、低廉で持続可能な航空網の構
築につながり、既存利用者だけでなくインバウンドによる地方
路線の利用拡大が見込まれる。
効
性
要望の措置
の効果見込
み(手段とし
ての有効性)
○沖縄路線
本土から遠く、また四方を海に囲まれている沖縄において、
人的・物的交流の観点から航空路線が自立型経済の構築に向け
た重要な役割を果たしている。航空機燃料税を軽減することに
より、日本人・外国人を問わず本土からの観光客の安定的な確
保、国際物流拠点としての沖縄経済活性化、雇用機会の創出が
見込まれる。
○特定離島路線
四方を海に囲まれた離島の住民にとって航空路線は生活を支
える重要な交通手段となっている。人口が少ない離島路線には
運航コストが割高な小型機材が使われるため、航空機燃料税を
軽減することで路線が維持され、日常生活における交通手段を
確保し、国内外からの誘客による交流人口の拡大など経済活動
の発展に資する。
当該要望項
目以外の税
制上の支援
措
置
・国内路線に就航する航空機に係る課税標準の特例措置
・主として離島路線に就航する航空機に係る課税標準の特例措
置
相
当
性
予算上の
措置等の
要求内容
及び金額
・国管理空港における国内線着陸料の軽減措置(延長・拡
充):31 億円
上記の予算
上の措置等
と要望項目
との関係
国内線に係る着陸料の軽減措置と航空機燃料税の軽減措置は
いずれも運航コストの低減を通じて航空ネットワークの維持・
強化を図るものである。着陸料の軽減措置は国管理空港を結ぶ
路線であることが条件だが、航空機燃料税は空港管理者の別を
問わず適用されるため、国内航空網に広くプラスの影響を及ぼ
すことができる。
要望の措置
の妥当性
航空機燃料税に係る本軽減措置は、全ての国内航空路線にと
って一定のコスト負担軽減効果があるため、低廉で持続可能な
航空網の構築につながり、訪日外国人による利用拡大が見込ま
れる。
航空機燃料税について、平成 23 年度~平成 28 年度に軽減措置を実
施。見込減収額は以下の通り。
・本則路線(26,000 円/kl→18,000 円/kl)
軽減額※国税庁統計から算出。課税額ベース (見込減収額)
H25 年度 25,753 百万円
(26,600 百万円)
H26 年度 25,984 百万円
(26,000 百万円)
H27 年度 25,000 百万円※推計値
(25,000 百万円)
租税特別
措 置 の
適用実績
これまでの租税特別措置の適用実績と効果に関連する事項
・沖縄路線(13,000 円/kl→9,000 円/kl)
軽減額
(見込減収額)
H25 年度 13,513 百万円
(14,200 百万円)
H26 年度 14,648 百万円
(13,000 百万円)
H27 年度 13,000 百万円※推計値
(13,000 百万円)
・特定離島路線(19,500 円/kl→13,500 円/kl)
軽減額
(見込減収額)
H25 年度 1,510 百万円
(1,600 百万円)
H26 年度
826 百万円
(2,000 百万円)
H27 年度 1,000 百万円※推計値
(1,000 百万円)
※H26 年度は税制改正に伴い、特定離島路線の一部が沖縄路線に変更された。これに
より見込減収額と実際の軽減額に乖離が生じたと見られる。
租特透明化
法に基づく
適用実態
調査結果
―
○本則路線
国内航空路線に係る運航コストの低減を通じ、国内航空ネッ
トワークの維持・回復につながっている。
租税特別措
置の適用に
よる効果
(手段として
の有効性)
○沖縄路線
沖縄と本土、沖縄県内を結ぶ路線にかかる航空機燃料税の軽
減措置は、航空運賃の低廉化を通じ、本土から安定的な観光・
ビジネス需要を確保するために有効な手法である。
前回要望時
の達成目標
○行動目標(平成 25 年 12 月公表)
平成 28 年度の国内ローカル線の運航回数:約 64.8 万回
(平成 24 年度比 +7.7 万回)
前回要望時
からの達成
度及び目標
に達してい
ない場合の
○国内ローカル路線の運航回数
平成 24 年度
約 57.1 万回
平成 25 年度
約 61.2 万回
平成 26 年度
約 62.5 万回
平成 27 年度(速報)約 61.8 万回
○特定離島路線
離島住民にとって生活や産業を支える重要な交通手段であ
り、軽減措置の実施は地域経済の維持に有効な手法である。
(参照)航空輸送統計
理
由
中堅航空会社の破綻に伴う減便・撤退の影響を除けば、航空
機燃料税の軽減により運航コストが低減したため、大手航空会
社による路線の再開など、概ね順調に運航回数の回復が図られ
ている。
・本則特例
平成 23 年度
平成 26 年度
これまでの
要 望 経 緯
制度創設
延長(3年間)
・沖縄路線
平成 9 年度 制度創設
平 成 11 年 度 拡 充 ( 軽 減 率 引 き 上 げ : 15,600 円 / ㌔ ㍑
→13,000 円/㌔㍑)
平成 14 年度 延長(5 年間)
平成 19 年度 延長(5 年間)
平成 23 年度 拡充(1 年間)(本則の軽減に伴い軽減率変
更:13,000 円/kl→9,000 円/kl)
平成 24 年度 延長(2 年間)
平成 26 年度 延長(3 年間)、拡充(特定離島路線の一部を
沖縄路線に変更)
・特定離島路線
平成 11 年度 制度創設
平成 13 年度 延長(2 年間)
平成 15 年度 延長(2 年間)
平成 17 年度 延長(2 年間)
平成 19 年度 延長(2 年間)
平成 21 年度 拡充(2 年間)(指定追加)
平成 23 年度 拡充(3 年間)(本則の軽減に伴い軽減率変
更:19,500 円/kl→13,500 円/kl)
平成 26 年度 延長(3 年間)
平成 28 年度 拡充(指定追加)