川南湿原植物群落保護条例 逐条解説(案) ○川南湿原植物群落保護条例 国指定天然記念物川南湿原植物群落(以下「湿原」という。)は、尾鈴山系か らの豊かな湧水をもとに、湿原湿地植物総数298分類群と、湿生または水生 植物120分類群で形成された湿原で生育している。 近年の生活様式の多様化に伴い、湿原環境は悪化傾向を示し、年を追うごと にその輝きを失ってきている。このまま放置すれば、将来に大きな悔恨を残す ことが危惧される。 私達は今、失いかけている尾鈴山系の水の恵みを大切にする心と自然を愛す る心を喚起するとともに、町民一人ひとりの貴重な財産である湿原を守り、次 世代に継承することが、私達に課せられた重大な責務であることを深く認識し なければならない。 そのために、川南町民の英知と総力を結集することを宣言し、ここに本条例 を制定する。 【解説】 前文は、本条例の制定に至った背景や考え方を明らかにしたものである。 (目的) 第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号)及び川南町 文化財保護条例(昭和48年川南町条例第23号)に基づき、湿原の保護等 を官民一体となって取り組むことを通じて、将来に亘り良好な自然環境と地 域資源の保全を図ることを目的とする。 【解説】 文化財保護法及び川南町文化財保護条例第1条を受け、本条例の制定の目的 を規定したものである。 (用語) 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれ次の各 号に定めるところによる。 (1) 希少植物 湿原に生育する植物(種子を含む。)で、その種の個体 の数が著しく少ない及び著しく減少しつつあるもの、種の個体の必要な 生育地が消滅しつつあるもの、並びに種の個体の生育環境が著しく悪化 しつつあるものをいう。 (2) 町民等 (3) 事業者 町民及び観光等の来訪者をいう。 開発工事その他事業を行うものをいう。 【解説】 本条は、本条例で用いる用語の意義について規定。 (希少植物の指定) 第3条 町長は、希少植物の種及び保護すべき区域を規則により指定するもの とする。 【解説】 本条は、希少植物の種及び保護すべき区域を規則により指定して定めること を規定。 (町の責務) 第4条 町は、希少植物について生育状況等の把握に努め、その状況に応じて 保護が必要な場合は、適切な施策を講ずるものとする。 2 町は、希少植物の保護に関する施策の推進に当たっては、その保護に熱意 を有する町民等と協働して取り組むものとする。 3 町は、希少植物の保護の必要性について、町民等の理解を得るため、普及 啓発等適切な処置を講ずるものとする。 【解説】 1 町が希少植物を適切に保護していくことを規定。 2 希少動物の保護施策の推進に当たっては、その熱意を有する町民等と協 働して取り組むことを規定。 3 希少植物保護の必要性を、町民等に理解してもらうために普及啓発等に 取り組むことを規定。 (議会の責務) 第5条 議会は、希少植物に関する調査等を行い、町への助言及び提言を行わ なければならない。 【解説】 議会は、希少植物が適切に保護等されるよう調査等を実施し、町への助言等 に努めることを規定。 (町民等の努め) 第6条 町民等は、希少植物の保護に努めるとともに、町が実施する希少植物 の保護に関する施策に協力するものとする。 2 町民等は、希少植物の生育環境の保護に努めるものとする。 【解説】 町民等が希少植物とその生育環境の保護に努めると同時に、町が実施する保 護の施策に協力することを規定。 (事業者の責務) 第7条 事業者は、その事業活動に当たっては、希少植物の生育の環境の悪化 の防止に努めるとともに、町が実施する希少植物の保護に関する活動に協力す るよう努めなければならない。 【解説】 事業者がその事業活動に当たって、希少植物の生育の環境保全等に努めると 同時に、町が実施する保護の施策に協力することを規定。 (採取等の禁止) 第8条 何人も湿原内の希少植物については、採取、損傷をしてはならない。 ただし、次の各号に掲げる場合にはこの限りでない。 (1) 許可を受けてその許可に係る採取等をする場合 (2) 人の生命又は身体の保護などやむを得ない事由がある場合 (3) 公共工事等を行う場合 【解説】 本条は、湿原内の希少植物について、採取、損傷の禁止を規定。 ただし、第1号から第3号までに掲げる場合にはこの限りでないことを規定。 (復元命令) 第9条 前条の規定に違反し、その事実が確認されたときは、町長は、違反者 に対し、原状復元等を命ずることができる。 【解説】 本条は、前条で定める制限行為などで違反があった場合に、自然環境保全の ため町長が行う命令等を規定。 (過料) 第10条 町長は、第8条の規定に違反した者又は第9条の規定による命令に 違反した者に、過料として5万円以下を科することができる。 【解説】 本条は、第8条の規定に違反した者若しくは前条の規定による命令に違反し た者に対して、地方自治法第14条第3項に基づく過料を定めたものである。 (委任) 第11条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。 【解説】 本条例の施行に関し必要な事項は、規則で定めることを規定。 附 則 この条例は、平成29年4月1日から施行する。 【解説】 この条例の施行の日を定めたものである。 なお、罰則規定を第8条に盛込んでいるため、一定の周知期間を設けたもの である。
© Copyright 2024 ExpyDoc