第3 環境保全の基本的な考え方

3. 環境保全の基本的な考え方
3-1.基本方針・基本目標・施策
これまでの調査でまとめられた、南島原市の自然環境・生活環境・生産環境におけ
る課題を踏まえ、環境保全の基本方針・基本目標・施策を以下のとおり設定した。
3-1-1.自然環境
本計画の自然環境に係る課題から導かれる基本方針・基本目標・施策を表 3- 1 のと
おり設定した。
表3- 1
自然環境に係る基本方針・基本目標・施策
[課題]
南島原市は、雲仙天草国立公園に代表される山間部や自然海岸等の自然環境に恵まれ
るとともに、棚田に代表される里地里山環境が形成されており、これらの環境に生き
る多様な生物がみられる地域である。しかし、近年では水辺の改修工事や農薬使用等
による人為的影響や、農業従事者の減少等に伴う里地里山環境の衰退、さらに外来生
物の侵入による在来生物への影響が生じていることから、これらの問題を解決し南島
原市の豊かな生物多様性の保全と生態系から受ける恩恵を持続させる。
基本方針
多様な環境に生きる生物の多様性の保全と、生態系から受ける恩恵の持続
基本目標
施策
山間部や自然海岸等の多様な環
・自然公園における生物の保全
境に生きる希少な生物の保全
・希少種の生息・生育環境の保全
里地里山生態系の保全と生態系
・里地里山の適切な管理
から受ける恩恵の持続
・環境保全型農業の推進
・多自然型川づくりの推進
・農村の振興
外来生物の侵入に対する在来生
・分布状況の把握
物の保全
・防除の実施
・市民への周知
自然とのふれあいの促進
・自然公園における整備
・親水空間の整備
・エコツーリズムの推進
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3-1-2.生活環境
本計画の生活環境に係る課題から導かれる基本方針・基本目標・施策を表 3- 2 のと
おり設定した。
表3- 2
生活環境に係る基本方針・基本目標・施策
[課題]
南島原市は雲仙天草国立公園に代表される優れた自然景観や、棚田・石橋等の里地里
山景観に恵まれている。また、キリスト教伝来の地であり、セミナリヨ・コレジヨ跡
等の歴史文化資源も豊富である。一方で、平地が少なく生活利便性は高いとは言えず、
下水道や生活道路等の施設整備も十分とは言えない。そこで、豊かな景観・歴史文化
資源からの恩恵を今後とも受けられるとともに、豊かな農村生活を送るための適切な
基盤整備を行う。
基本方針
毎日の生活に豊かさを感じ、ずっと住んでいたいと感じる農村環境の実現
基本目標
施策
農村を基盤とした生活を快適に
・下水道や合併浄化槽の整備
おくれるための環境整備
・生活道路の整備
歴史や地域文化の保全と次世代
・景観資源や歴史文化資源の保全と継承
への継承
・湧水の保全と継承
農村地域における循環型社会の
・バイオマス不要物の有効利用
構築
・規格外品の有効利用
・各家庭での取組の推進
・農業用廃プラスチック適正処理
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3-1-3.生産環境
本計画の生産環境に係る課題から導かれる基本方針・基本目標・施策を表 3- 3 のと
おり設定した。
表3- 3
生産環境に係る基本方針・基本目標・施策
[課題]
南島原市は平地が少なく棚田が多いため農作業にかかる労力が大きい一方で、農業収
入は低い。また、少子高齢化が進み農業従事者が減少したため、耕作放棄地が増加し、
イノシシ等が侵入しやすい環境となっている。さらに、農業に伴う環境影響軽減につ
いても改善の必要がある。そこで、農業をしやすくする環境の整備や、地域農業の活
性化のための仕組みづくりを行い、住民にとって好ましい農村環境を持続させていく。
基本方針
農業を続けていける環境づくり
基本目標
農業の活性化
施策
・都市との交流拡大
・特産品の開発やブランド化
・直売場の整備
・農業従事者を受け入れる仕組みづくり
農業にかかる労力軽減のための
・農道の整備
環境整備
・圃場整備
農業による環境影響の低減
・環境保全型農業の推進
・農業に伴う悪臭対策
耕作放棄地対策
・耕作放棄地の発生抑制
・耕作放棄地の復旧および転用
イノシシ等による食害対策
・侵入防護施設の設置
・耕作放棄地の管理
3-2.南島原市の農村環境の将来像
自然環境、生活環境、生産環境の基本方針を集約し、南島原市の農村環境の将来像
を、以下のとおり設定した。
豊かな自然と深い歴史に恵まれ、快適な生活と実り多い農業を続けていける
まち・南島原市
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3-3.まとめ
南島原市の農村環境の将来像および環境保全の基本方針・基本目標・施策をまとめ
た結果を図 3- 1 に示す。
図3- 1
農村環境の将来像および環境保全の基本方針・基本目標・施策の体系図
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