平成27年度事業概要

平成27年度糸満市サンゴ移植造成事業概要
①
平成27年8月15日
体験型イベントの開催
②
平成27年8月22日
体験型イベントの開催
③
平成27年10月10日
一般参加のサンゴ植え付け体験会の開催
④
平成27年11月10日
サンゴの経過観察・調査(平成26年度に那覇空港沖よ
り植えつけたサンゴの1年後モニタリング)
⑤
平成28年1月24日
植えつけたサンゴの報告・学習会の実施
研究結果報告書
本事業の目的は、サンゴを移植もしくは植え付けて増やすことにより魚類の増加が可能
かどうかを検証する事です。今回は、那覇空港の埋め立て地にあるサンゴを沖縄総合事務
局、那覇空港事務所から貰い受けてオカハ島周辺へ移植してサンゴを増やしました。サン
ゴの成長とともに魚類がどのように増加していくか。サンゴを増やすことにより魚類も増
加するのかを検証しました。
目標値との比較は以下のとおり
基準値
H27 成果目標(指標)
魚種類数
魚の数
サンゴの面積
サンゴ生存率
1
27 年度
(26 年度)
目 標
(
実 績
1割増
) (
10 割増(200%)
47 割増(570%)
(
実 績
26.7 割増(367%) 170 割増(1,800%)
目 標
(
実 績
8.6 割増(186%)
目 標
(
1割増
95%
) (
10 割増
) (
10 割増
)
)
29 割増(390%)
) (
97.50%
サンゴの生残率に関して
前回の観察では移植後4ヶ月(平成27年2月)でのサンゴの生残率は97.5%で
した。今回、移植後1年目の平成27年11月の調査時点での生残率は95%です。
事業開始時に目標値として設定した生残率は1年後で80%が目標でした。今回の調
査で生残率は95%であり目標値を大きく超えて達成しています。
2
)
目 標
実 績
1割増
3 割増
サンゴの面積の増大に関して
那覇空港から移動して移植を行った1600個のサンゴのうち任意に決めた80個を
追跡計測してサンゴの成長を把握しています。計測した移植サンゴの面積を楕円の面積
計算式で求めた結果、前回計測の4ヶ月後の平均値が1.86倍でした。今回計測の1
80%
95%
)
年後の平成27年11月時点での面積の平均値は3.9倍でした。
事業開始時に1年後の目標値として設定したサンゴの面積増大は 2 倍です。今回計測
は3.9倍と2倍の目標値を大幅に超えています。
3
魚類の増大に関して
魚類の増産を検証するためにサンゴの移植前と似た環境の対象区を設け、サンゴの移
植地との比較により魚類の増産を把握することとしました。
その結果、今回は対象区に出現した魚種は3種類、個体数は4個体でした。観察区で
は、出現した魚種は17種、個体数は74個体でした。
1年後の魚類増産の目標値は、種類数の増加を 1.3倍、個体数を2倍と設定してあり
ます。1年後の種類数が17種と5倍を超え、個体数も約18倍です。目標値を種類
数及び個体数とも大幅に超えて達成しておりサンゴの移植によって魚類が着実に増え
ているのが分かります。
4
サンゴの成長と魚類の増産の関係
時間の経過によるサンゴの成長に伴って魚類の種類数及び個体数が増えているのがは
っきりと数字により分かります。前回に養殖サンゴを用いて行った平成24年度のサン
ゴ礁造成事業による養殖サンゴの成長と魚類の増産は、サンゴの面積増大と魚類の種数
及び個体数を数字では把握していません。しかし1年後、2年後、3年後と撮影した写
真からサンゴの成長に伴い目に見えて魚類が増えているのが分かります。
平成24年度のサンゴ礁造成事業では、小さな養殖サンゴの成長が1年後、2年後ま
ではゆっくりとしか大きくならなかったため、2年後までは魚類の増加があまりはっき
りと把握できませんでした。しかし、2年後から3年後にかけてサンゴが急激に成長す
ると魚類が目に見えて増えています。平成26年度サンゴ礁造成事業では、大きなサン
ゴを那覇空港埋め立て地から採取してきて移植しました。そのため最初から大きなサン
ゴでのサンゴと魚類の調査をスタートする事ができました。その結果、移植後1年でサ
ンゴの面積が約4倍となりその成長に伴って魚類が大幅に増加したと考えられます。サ
ンゴと魚類との関係にサンゴの大きさが強く関係するのが今回の調査より伺えます。
まだ調査1年目ですがサンゴを移植して増やすことによって魚類の増産が可能だと示
す結果となっていると考えられます。
5
今後の展望
今後も継続してサンゴの成長と魚類の種類及び個体数を把握していけば漁業的に有用
な魚類の増産効果が分かるかと考えています。著しく減少してしまった沿岸域のタマン
やブダイ、ハタ類等の漁業有用種がサンゴの移植により増えていけば理想的でしよう。
その結果、沿岸域を漁場とする漁師の収入増大に繋がるはずです。また沖縄県民のみな
らず沖縄を訪れる観光客の胃袋をも満足させられる県産の海産物を提供できるようにな
るでしよう。