平成26年度糸満市サンゴ移植造成事業概要 本事業の目的は、サンゴを用いた魚類の増産が可能かどうかという事です。那覇空港の 埋め立て予定地にあるサンゴを貰い受けて、オカハ島地先に移植を行い魚類の増産効果を 検証することにしたのが本事業です。 1. 2. 事業の経過 ① 平成26年9月17日 オカハ島地先調査(予定地決定及び魚類調査) ② 平成26年9月18日~9月24日 サンゴ棚の設置 ③ 平成26年9月25日~10月1日 那覇空港地先よりサンゴ採捕(個数 1,600 個) ④ 平成26年9月25日~10月1日 サンゴ棚へ移植(個数 1,600 個) ⑤ 平成26年10月2日 1回目モニタリング ⑥ 平成26年11月2日 ⑦ 平成26年12月27日 ⑧ 平成27年1月24日 4回目モニタリング ⑨ 平成27年2月16日 5回目モニタリング ⑩ 平成27年2月22日 移植サンゴの学習会 2回目モニタリング 3回目モニタリング 考察 目標値との比較は以下のとおり H26 成果目標(指標) 魚種類数 26 年度 目 標 実 績 目 標 魚の数 ( サンゴ生存率 目 標 ( 実 績 1 割増 ) 26.7 割増(367%) ( 実 績 目 標 ) 10 割増(200%) 実 績 サンゴの面積 1 割増 1 割増 ) 8.6 割増(186%) ( 95% ) 97.50% (ア) サンゴの生残率に関して 移植したサンゴの生残率は、移植先のオニヒトデやレイシガイダマシ等の食害生 物による食害に大きな影響を受けます。平成23年に始まった恩納村地先でのサン ゴ礁再生事業で移植したサンゴの生残率は、移植年度ごとに多少異なりますが4ヶ 月後に86%~93%ほどです。この生残率は、恩納村漁協による組織的な毎月の オニヒトデ等の食害生物駆除努力により達成された数字です。 本事業は、オニヒトデ等の食害生物防護対策として中心が棒状構造のサンゴ棚を 用いています。移植4ヶ月後のサンゴの生残率は、97.5%です。この数字は何ら オニヒトデ駆除を行わないで得られた数字なので、サンゴの移植手法として本方法 が適正なものである証明となります。 また、本事業のサンゴ生残率の目標値は移植3ヶ月後で95%、6ヶ月後でも9 5%です。いま現在の時点で目標値は達成されています。 (イ) サンゴの面積の増大に関して 移植を行った1600個のサンゴのなかで80個を追跡計測して成長を把握して います。移植サンゴの面積を楕円の計算式で求めた結果、約4ヶ月後の平均値が1. 86倍と なりました。 本事業の面積増大の目標値は、3ヶ月後で1.1倍、6ヶ月後で1.3倍なので約4 ヶ月後で目標値を大幅に超える結果となっています。 (ウ) 魚類の増産に関して 魚類の増産を検証するためにサンゴ移植前と似た環境の対象区を設け、サンゴ移 植地との比較により魚類の増産を把握することにしました。 その結果、対象区に出現する魚種および魚類数はほとんど変化が無かったのです が、サンゴ移植を行った場所は観察2回目以降で種類数が2倍にそして魚類数が2 倍~5倍までと変化はあるものの確実に増えていることが伺えます。 魚類増産の目標値は種類数で3ヶ月後は1.1倍、6ヶ月後で1.2倍です。魚類数 では3ヶ月後で1.1倍、6ヶ月後で1.3倍です。両目標値ともに4ヶ月後の現在 において達成できていると考えています。 魚類は、動きまわるために写真撮影が難しくうまく写真を撮る事ができませんで した。しかしハリセンボンは、サンゴの全体風景を取るための平成27年2月16 日のビデオ撮影で移植場所全体での数を確認することができました。参考のための 写真を添付しておきます。平成26年の10月2日のビデオ撮影時には全くいなか ったハリセンボンですが、平成27年2月16日には全部で13匹が確認できまし た。 ハリセンボンは、沖縄ではアバサーと呼ばれアバサー汁として食されている漁業 上も有用な魚類です。サンゴ移植約4ヶ月後に移植場所でこれだけの数のハリセン ボンが増えているのは、サンゴの増大により魚類の増産が期待できる事を示す証拠 と考えられます。 今後の移植サンゴと出現魚類の継続した観察により両者の関係が明らかになるも のと思います。
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