﹁汚染土﹂ 再利用にストップを

第 1149 号(1963 年 2 月 15 日第三種郵便物認可)
2016 年
9 月 25 日
レル/㎏以下の汚染土を、覆土な
出た汚染土に関し、8000ベク
電力福島第一原発事故後の除染で
会﹂は、今年になってから、東京
減容・再生利用技術開発戦略検討
環境省﹁中間貯蔵除去土壌等の
らに押し進め、公共事業において
を発する。今回の方針はこれをさ
同様に処分できるとしたことに端
クレル/㎏以下なら通常のごみと
汚染対処特措法﹂で、8000ベ
年1月に施行された﹁放射性物質
そもそもこの問題は、2012
遮水構造になっている管理型の
どをしたうえで、全国の公共事業
処分場ですら、汚染を封じ込められ
﹁再利用できる﹂としたのだ。
にあたっての用途別や工事期間別
ず問題になることも多い。公共事業
で利用できる方針を固め、再利用
の濃度などの基本的考え方を発表
で除染土を使うことは、放射性物
した。
この検討会は、最大2200万
質の日常的な拡散に加え、河川の
Fax:03-3816-1824 /Tel:03-3816-1862
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㎥と推計されている除染土や除染
女性会議中央本部
氾濫、地震や津波などの災害時は、
お名前と送付先・
電話番号、購入
冊数を明記の上、
下記までファッ
クスかメールで
ご注文ください。
廃棄物の減容・再利用を目的とし
レル/㎏まで減衰するのにかか
(送料実費)
税別 1500 円
崩落や流出等のリスクもある。
る年数は170年。これでは安
20世紀を駆け抜けたフェミニスト
て設置されたものだ。
Jap an
Fo E
国際環境NGO
満田 夏花
土地造成・水面埋め立てなどが
あげられている。右図のように
環境省の﹁中間貯蔵除去土壌等
全性は守れない。再利用の基準
田中寿美子の足跡
8000ベクレル以下なら公共事業に
どこで使われるのか?
ル/㎏以上のものは﹁放射性廃棄
の 減 容・ 再 生 利 用 技 術 開 発 戦 略 ﹂
女性会議 発行
井上 輝子 監修・
﹁汚染土﹂再利用にストップを
除染廃棄物は、福島第一原発周
囲に建設する中間貯蔵施設で最長
構造材として使い、盛土などを
﹁ 公 共 事 業 ﹂ と い っ て も、 実 際
しかし、毎日新聞の報道によ
年間保管し、その後、県外に運
んで最終処分する計画だが、処分
はどこで、どのように使われるの
行なうという。
場 確 保 が 難 し く、 環 境 省 は 減 容・
年、
8000ベクレル/㎏の除染土
物﹂として敷地内で厳重に管理さ
には﹁経済的インセンティブ﹂と
が付け焼刃で作られたことは明
れ ば、 盛 土 の 耐 用 年 数 は
再利用が不可欠としている。
か? 実のところ、まだ決まって
いない。受け入れ自治体があるか
が法定の基準である100ベク
れ て き た。 今 回 の 環 境 省 方 針 は、
書かれており、交付金などの﹁ア
らかだ。
倍のレベルの汚染土を公共
メ﹂をつけて利用を促すことをう
この
事業に使うことに道をひらくもの
︵※2面へ続く︶
か が わ せ る。 公 共 事 業 の 例 と し
であり、ダブルスタンダードとい
70
て、道路・防潮堤・海岸防災林・
に基づく規則では、100ベクレ
しかし、従来、原子炉等規制法
どうかもわからない。
30
う批判が高まっている。
80
女性会議の新刊
?!
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女性会議
発行所:
●環境省「中間貯蔵除染土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」資料より
非公開WGで
﹁アリバイ作り﹂
環境省﹁中間貯蔵除去土壌等の減
容・ 再 生 利 用 技 術 開 発 戦 略 検 討 会 ﹂
のもとに置かれた非公開のワーキン
ググループでは、①工事中に、一般
公衆及び工事従事者に対する追加被
ばく線量が年間1㍉シーベルトを超
えないこと、②道路などが完成した
㍃シーベルトを超
後、一般公衆に対する追加的な被ば
く線量が、年間
えないこと︱︱を前提とし、①②を
クリアできる土壌汚染濃度と覆土の
厚 さ を 算 出 し た︵ 下 表 ︶。 し か し、
前述のように道路などの寿命がきた
後どうなるかについては検討されて
いない。
実は、このワーキンググループは
非公開である上に、そもそも出発点
が限りなくアリバイ作り的なもの
ド だ と い う 批 判 に 対 す る ︶﹁ 理 論 武
レル/㎏の基準はダブルスタンダー
クレル/㎏と、今回の8000ベク
︵今までの再生利用の基準100ベ
線量などのデータをとることにな
に除染土を使って盛土を作り、空間
相談中﹂で、小高区の仮置き場の中
﹁ 使 用 す る 土 壌 の 汚 染 濃 度 も 含 め、
環境省によれば、現在、南相馬市と
9月末まで継続予定である︵左︶。
を超える署名が寄せられた。署名は
ろ、現在までに1万8000筆以上
難 指 示 が 解 除 さ れ た ば か り で あ る。
帰還する先でこのような実験を行な
うことは、ほとんどの住民に知らさ
れていない。
や研究者のように積算被ばくが管理
放射線管理区域での原発作業従事者
汚染濃度が決められている。しかし
中管理しなければならない﹂という
に ば ら ま く こ と は、﹁ 汚 染 物 質 は 集
は最大で2200万㎥。それを全国
だ。環境省の試算では、除染土の量
確かに大量の除染土の問題は深刻
政策の見直しと議論を
される訳ではない。あちらでもこち
原則にも反する。帰還ありきの政策
Fo E Japan が、 こ の 方 針 の
【緊急署名】全国に被ばくを強い、環境を汚染する
「8000 ベクレル/ kg 以下の汚染土を全国の公共事業で利用」方針に反対
http://www.foejapan.org/energy/fukushima/160416.html
※9月末日まで
井 上 市 議 は﹁
︵移管決定で︶
横浜市は大きく踏み出したと言
え る が、
﹃言われたから移す﹄
という姿勢で、取りこぼしがあ
る。 こ の 際 全 て 調 査 す べ き だ ﹂
と指摘。9月9日の横浜市議会
でも本件について追及した。既
に校庭や園庭などに埋められ
て し ま っ た 除 染 残 土︵ 汚 染 土
壌︶について質問された横浜市
は﹁既に埋設した分については
移動する予定はない﹂の一点張
り。放射線被ばくから子どもを
守ろうという姿勢が全く感じら
れない。
さらに市議会後、横浜市は会
保管していた6校について、教
見を開き、自主的に汚染土壌を
放射線に対する感受性の強い
育委員会が実態を把握していな
そのうちの1校、鶴見区内の
かったことを明らかにした。
染物を保管︱常識ではとうてい
市立市場小学校は、基準値超の
子どもたちの学びと遊びの場で
考えられない。横浜市内の小中
汚染土壌をごみ袋
袋に入れて
学校で、8000ベクレル/㎏
ある学校の敷地内で、放射能汚
▲鉛の膜をまきつけたドラム缶に入った「指定廃棄物」が小学校に…
(井上さくら横浜市議のブログより)
以上の﹁指定廃棄物﹂や、除染
保 管。 9 月 5 日 に 測 定 す る と、
㍃シーベル
市の基準値︵0・
倍、 0・7 ㍃
末までに﹁北部汚泥資源化セン
放射線対策本部会議で、今年度
は年月が経てば下がる。当時の
り、教育委員会は﹁通常、数値
値は2年前の4倍に上がってお
シーベルト/時を検出した。数
ト / 時 ︶ の 1・
ター︵鶴見区︶﹂に移管すること
日の横浜市
が決まった。保管のため、新た
保管状況も、数値が上がった理
かれたドラム缶に詰められ、校
汚泥となった。これが、鉛をま
で2万5千ベクレルもの放射性
施設に放射性物質が蓄積、最高
あったという。学校の雨水利用
1・5 7 1 ㍃ シ ー ベ ル ト / 時 も
視 察。 空 間 線 量 を 測 定 す る と、
今年3月、小学校の保管現場を
で き た 井 上 さ く ら 横 浜 市 議 は、
早くからこの問題に取り組ん
な管理がされているかもしれな
なったが、他の地域でもずさん
聞報道で横浜の問題が全国区に
どにもあるという。テレビや新
千葉県白井市、埼玉県八潮市な
奈 川 県 で は 横 須 賀 市 や 鎌 倉 市、
染物を保管している問題は、神
とどまらない。学校で放射能汚
だが、この問題は横浜市だけに
ずさんさに愕然とするばかり
か、ぜひ確認してほしい。
︵光︶
い。地元ではどうなっているの
︵写真は鶴見区内の小学校︶。
内で保管されているのである
由もわからない﹂⋮。
に100㎡の建屋を建設する。
きた問題で、8月
残土等が5年以上も保管されて
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だ。 座 長 の 佐 藤 努 北 海 道 大 教 授 が、
装の場﹂と発言したことも報じられ
る。小高区といえば、7月
日に避
ている︵毎日新聞︶。
あちこちで少しずつ被ばく
環 境 省 方 針 で は、 道 路 作 業 を 行
なっている土木作業員や住民への影
響については﹁追加被ばく量年1㍉
ら で も 被 ば く の 危 険 に さ ら さ れ る。
を見直し、除染のあり方について幅
事業を今夏にも福島県南相馬市小高
撤回を求める署名を呼びかけたとこ
広い議論を行うことが必要だ。
区 で 始 め る こ と が 報 道 さ れ て い る。
この方針をめぐり、環境省が試験
うのか。
追加被ばく線量をどう管理するとい
シ ー ベ ル ト 以 下 に な る よ う に ﹂ と、
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2016 年 9 月 25 日
第 1149 号(第三種郵便物認可)
「汚染土」再利用にストップを
●環境省「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」
2016 年 6 月 7 日資料3(6頁)より
横浜市
「指定廃棄物」移管決定 ー 学校内に埋めた汚染土壌は放置?!