授業アイディア例 - 国立教育政策研究所

授業アイディア例
の見方
算数
「グラフを批判的に考察しよう」
TYPE
Ⅰ
・Ⅱ
教科名,本授業
B 4⑶
アイディア例のタ
イプ, 該 当 設 問
を示しています。
課題の
~折れ線グラフを的確に読み取り, 目的に応じてグラフを表現し直す~
B4
B4⑶の結果を分析すると,グラフから貸出冊数を読み取り,それを根拠に,事柄を正しく判断することに課題が見ら
れました。本授業アイディア例では,日常生活の場面で,目的をもって表現された2つのグラフについて,目盛りの幅の
違いに気付き,そのことからグラフを比較しやすいように表現し直し,事柄を的確に判断できるようにすることを狙いと
した授業を紹介します。
B4
授業アイディア例
A班は晴れの日,B班はくもりの日について,午前9時から午後3時までの気温の変化を,下の折れ線グラフのように表
しました。
A班
B班
晴れの日の気温の変化
(℃)
タイトルではどのような
25
活動を行うのかを,サ
くもりの日の気温の変化
(℃)
22
30
21
20
ブタイトルではどのよう
20
15
な力を身に付けたいの
10
19
かを示しています。
0
に
ポイント
5
18
9
10
11
12
13
14
0
15 (時)
9
10
11
12
13
14
15 (時)
本授業アイ
① 2 つのグラフの変化の様子を比較し,1目盛りの幅の違いに気付く。
調査結果から見られた
10 時から 11 時までの間で,晴れの日とくもりの日のどちらの方が気温の変わり方が大きい
でしょうか。
課題についての解説や
教師
本授業アイディア例の
作成意図,指導の狙い
10 時から 11 時の間の気温の変化を比べると,くもりの日の方が,グラフの傾きが急に見える
から,気温の変化も大きいと思います。
でも,10 時と 11 時の気温を読み取ると,晴れの日
は 21℃から 23℃で2℃上がっていて,くもりの日
は 19℃から 20℃で1℃上がっています。
等を記述しています。
ポイント
ポイント
1目盛りの幅が違うから,グラフの
傾きだけでは比べられないね。
整理し
に伝わる
資料
「各学
学校
月
A小学校
B 小学校
グラフを比較するときは,それぞれの目盛りの幅や数値などに留意する必要があることに気付かせる
ことが大切です。
② 気温の変化を比較できるようにグラフを表現し直し,グラフの特徴を話し合う。
本授業アイディア例
2 つの気温の変化は,グラフをどのように変えると比べやすくなりますか。
さ
において,
特に注目・
それぞれのグラフの目盛りの幅を
そろえるとよいと思います。
留意をしていただき
たい指導上のポイン
トを記述しています。
だったら,1 つのグラフ用紙に晴れの日とくもり
の日を重ねてかくと,比べやすいと思います。
参照▶「平成 2
11
課題の解決に向けた観点として,次の3つのタイプを設けています。
ケースに応じて
TYPE
Ⅰ
小学校
国語
小学校
算数
調査問題の解答類型(※)等から
つまずきの状況を把握し,
その解決を図る事例
P. 3「表現の仕方を見直そう」
P. 4「登場人物を中心に物語を紹介しよう」
P. 9「『答え』が出ても問い続けよう」
P.11「グラフを批判的に考察しよう」
P.13「式の意味を考え説明しよう」
※解答類型とは?
解答類型は,児童生徒一
人一人の具体的な解答状況
を把握することができるよ
う,設定する条件などに即
して解答を分類,整理する
ためのものです。
正誤だけではなく,一人
一人の誤答の状況(どこで
つまずいているのか)等に
着目した学習指導の改善・
充実を図る際に活用するこ
とができます。
1
現し直す~
とに課題が見ら
て,目盛りの幅の
することを狙いと
該 当する設 問の
概 要,正答 率を
課題の見られた問題の概要と結果
B 4⑶ 正答率
フのように表
25.0 %
示しています。
学習指導要領における領域・内容
B 4 資料の読み取りと判断の根拠の説明
(本の貸出冊数調べ)
A小学校とB小学校の図書委員が表し
たグラフを見比べて読み取った事柄とし
て正しくない事柄について,正しくない
わけを書く
10 時から 11 時までの間の気温を比べると,晴れの日
の方が,グラフの傾きが急だから,気温の変わり方が
大きいと言えます。
〔第 4 学年〕 D 数量関係 ⑷ イ
調査問題に関係する学
晴れの日とくもりの日の気温の変化
(℃)
30
習指導要領における領
25
グラフ全体を見ると,晴れの日は気温の変わり方は
大きいけど,くもりの日の気温の変わり方はあまり
大きくありません。
20
域・内容を示しています。
晴れの日
15
1つのグラフに表すと,晴れの日とくもりの日の
気温の変わり方が比べやすくなるね。
くもりの日
10
5
グラフの特徴について考察したことを基に,目的
に応じたグラフに表現し直すことが大切です。
ポイント
0
9
10
11
12
13
14
本授業アイディア例
15 (時)
活用のポイント !
(時)
本授業アイディア例を活用するに当たっ
活用のポイント !
整理した資料から生まれた新たな疑問を解決するために,資料を収集し直したり,伝えたいことがより的確
に伝わるように,グラフを表現し直したりすることが大切です。
資料を収集し直す活動の例
さつ
「各学校の月ごとの貸出冊数(冊)
」
月
4月
5月
7月
合計
A小学校
986
2918 3414 2420
9738
B 小学校
849
2523 2938 2095
8405
学校
6月
(冊)
「物語」の貸出冊数
1000
500
付かせる
それなら,各学校の児童の
人数を調べる必要があるね。
⬇
さらに必要な資料を集める
の日とくもり
思います。
0
(冊)
学年・各教科等での指導に生かすこと
など,参考となる情報や指導上の留意
「物語」の貸出冊数
1100
点等を記述しています。
1000
900
800
700
600
4
月
5
月
6
月
7
月
⬇
どちらの学校の子どもの方
がよく本を借りているかな。
1人あたりの貸出冊数で比
べてみよう。
て,授業づくりの参考となるよう,他の
グラフを表現し直す活動の例
グラフを表現し直す
の
本授業アイディア例
このグラフだとあま
り変化があったよう
に見えないね。
目盛りの幅を変えた
り,600 冊 未 満 の
目盛りを省略したり
しよう。
0
4
月
5
月
6
月
7
月
参照▶
これなら変化の様子
が見やすいね。
表したいことに応じ
て,グラフの表現の
仕方を工夫すること
が大切なのですね。
国立教育政策研究所
で作成している他の
資料の関連部分を示
参照▶「平成 28 年度 報告書 小学校 算数」P.85 ~ P.91, 「平成 28 年度 解説資料 小学校 算数」P.72 ~ P.77
しています。
12
ピンポイントで
TYPE
Ⅱ
小学校
国語
小学校
算数
短時間で
知識・技能を確認して
定着を図る事例
P. 5
「委員会活動をパワーアップす
るための提案をしよう」
P.11「グラフを批判的に考察しよう」
プロセスの中で
TYPE
Ⅲ
小学校
国語
小学校
算数
数時間にわたる学習過程の
中で,知識・技能の習得と
活用を図る事例
P. 6「自分で課題をもち,活動を報
告する文章を書こう」
P. 7「興 味のある職業について調
べ,リーフレットで紹介しよ
う」
P. 9「
『答え』が出ても問い続けよ
う」
P.13
「式の意味を考え説明しよう」
2