グローバル・マクロ・ トピックス

グローバル・マクロ・
トピックス
2016/
9/29
投資情報部
シニアエコノミスト
折原 豊水
ブラジル中銀が物価見通しを引き下げ
 ブラジル中銀はインフレレポートで物価見通しを引き下げ、市場の予想する利下げペースのもと
で17年に物価がインフレターゲットの目標値に近づくとした。
 中銀は「金融緩和を行うかどうかは物価見通しの達成により強い自信をもてるかどうかだ」と留
保しつつも、利下げが近いことを示唆した形。ただ財政改革法案の成立が重要としており、法案
の審議日程からすると、市場の一部が予想する10月会合よりも11月会合に利下げと予想。
 レアルは米追加利上げ観測を巡る投資家の慎重姿勢等により上値が重い展開、中銀は為替介
入額を減額し市場に配慮、今後は財政改革法案の成立や景気回復期待が下支え。
中銀は物価見通しを
引き下げ、利下げを
行っても17年は物価
安定が近いことを示
唆
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は9/27にインフレレポートを発表した。2017年末
時点の中銀の物価見通しはリファレンスシナリオ(政策金利や為替を現状の水準で
据え置く場合)では前年比+4.4%と前回6月時点の同+4.7%から引き下げ、マーケット
シナリオ(政策金利や為替に市場予想を用いた場合)では同+4.9%と前回の同+5.5%
から引き下げた。2018年末時点ではリファレンスシナリオでは同+3.8%、マーケットシ
ナリオでは同+4.6%とした。
注目される2017年のマーケットシナリオにおいて、インフレ率はインフレターゲット
の目標値である4.5%(レンジは±1.5%)に近づいており、市場が予想する利下げ
ペース(2016年末で政策金利が現行の14.25%から13.75%、17年末時点で11.00%。
9/23時点)のもとでも、物価安定が近いことを示唆している。
物価見通しの改善の背景には、金融引き締めや景気低迷が物価の伸び鈍化に
つながっているほか、補助金削減によって公共料金の値上げ等の影響が和らいだ
ことを中銀は挙げた。ただ、足元は物価の伸びが鈍化傾向にあるが、インフレ率低
下のペースには依然として不透明感が残るとし、その要因としては政府が進める財
政改革が依然として初期段階にある等を挙げている。
そうしたうえで「金融緩和(利下げ)を行うかどうかは、中銀が物価見通しの達成に
より強い自信をもつこができるかにかかっている」とした。これは前回8月中銀会合時
点の「金融緩和を行うかどうかは、インフレターゲットの達成に強い自信を持てるか
による、特に2017年に4.5%の目標を達成できるかである」との文言をほぼ踏襲した。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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2016/9/29
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市場の一部で10月利
下げ観測も、11月に
かけての財政改革法
案の見極め必要
中銀が物価見通しを引き下げたことで市場の一部では次回10/18~19の中銀会
合において利下げ観測が浮上しているが、中銀が注目している政府の財政改革法
案の議会審議は10月初めの地方選後に本格化し、早くても10月中に下院で可決、
上院では11月頃とみられている。特に歳出の伸びを物価の伸び以下に抑制すると
いう憲法修正法案の審議は難航が予想されるため、中銀が法案成立前に利下げに
踏み切るほどの材料があるとはみられない。そのため、中銀は議会の動向を見極め
ながら、11/29~11/30の中銀会合以降、利下げを行うとみている。
(%)
ブラジル中央銀行のインフレ予想
ブラジル政策金利とインフレ率、国債利回り
(月次:2004/1~2016/9)
20
政策金利
18
消費者物価(IPCA)
2年国債利回り
16
14
14.25
12
11.81
10
8.97
8
6
レンジ
4
2
0
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(年)
1 6年3 Q
4Q
1 7年1 Q
2Q
3Q
4Q
1 8年1 Q
2Q
3Q
4Q
リファレンス
マーケット
シナリオ
シナリオ
9 月時点 6月時点 9月時点 6 月時点
8.6
8.2
8.6
8.2
7.3
6.9
7.3
7.0
6.2
5.9
6.2
6.1
5.2
5.2
5.4
5.6
4.5
5.0
4.9
5.6
4.4
4.7
4.9
5.5
4.2
4.4
4.9
5.5
4.0
4.2
4.7
5.5
4.0
-4.7
-3.8
-4.6
--
(注)数字は消費者物価(IPCA)の前年同月比(%)、
(注)レンジはインフレターゲット(06年以降は+2.5%~+6.5%)、なお17年は+3.0%~+6.0%、
消費者物価は8月まで、国債利回りは2007/3~2016/9/23、政策金利は9/27まで
出所:ブラジル中銀、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
リファレンスシナリオは政策金利や為替を直近値で据え置いた場合、
マーケットシナリオは政策金利や為替を市場予想を用いた場合、
インフレターゲットは16年は4.5%±2.0%、17年は4.5%±1.5%
出所:ブラジル中央銀行資料よりみずほ証券作成
レアルは米利上げ観
ブラジルレアルは8/31にルセフ大統領が罷免されいったん材料出尽くしとなった
測を巡る投資家の慎
重姿勢で上値重い展
開、中銀は介入減額
ことや、米追加利上げ観測の高まりを巡る投資家のレアルに対する慎重姿勢によ
り、9/15には3.36レアルまで下落する場面があった。ただ、その後、投資家のレアル
に対する慎重姿勢が和らいだことでレアルは反発し、中銀がインフレレポートを発表
した9/27は3.23レアルと前日の3.24レアルから小幅レアル高となった。なお、中銀に
よるレアル売りドル買いに相当するリバーススワップ入札は9月中旬以降、日額5億ド
ルから2.5億ドルに減額されている。レアルの上値が重くなるなか、市場に配慮して
いることがうかがえる(スワップ残高は9/27時点で336億ドル)。
レアルは財政改革法
案の 成立や 景気回
復期待が下支え
今後については、①財政改革法案が成立することで財政悪化懸念が後退する、
②インフレ圧力の緩和や利下げにより景気の悪化に歯止めがかかる、③海外投資
家のレアル売りポジションの解消がレアル高要因となる可能性がある、等がレアルの
下支えになるとみている。
リスクとしては、第1に、財政改革の審議がさらに遅れ、財政悪化に歯止めがかか
らないこと、第2に、政治スキャンダルの火種がくすぶっていること、第3に米利上げ
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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観測の再燃による新興国からの資金流出圧力の高まり、等が挙げられる。特に政治
スキャンダルについては、マンテガ元財務相(2006~2015年)やパロッシ元財務相
(2003~2006年)が汚職容疑で9月に相次いで逮捕された(マンテガ氏は妻が入院
しているとしていったん釈放)ほか、テメル大統領が2012年の地方選挙で違法な選
挙献金を要求したとして最高裁が検察による予備的な捜査開始を承認したようだ。
まだ初期段階にあり、市場は大きく取り上げていないが、留意が必要とみられる。
ブラジルレアルと中銀の為替介入額
(日次:2016/1/1~2016/9/27)
リバーススワップ入札額(右目盛)
ドル・レアル(左逆目盛)
(10億ドル)
(1ドル=レアル)
3.00
3.20
政権交代期待
原油価格上昇
3.40
9.0
8.0
7.0
6.0
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
テメル暫定
政権発足
↑レアル高
3.60
米利上
げ観測
3.80
ルセフ罷免
テメル大統
領昇格
米利上げ先
送り観測
4.00
4.20
16/1
16/2
16/3
16/4
16/5
16/6
16/7
16/8
16/9
(年/月)
(注)リバーススワップはレアル売りドル買いに相当
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
ブラジル・レアルと外国人投資ポジション
(週次:2008/1/4~2016/9/23)
外国人投資ポジション(右逆目盛)
ブラジル・レアル(左逆目盛)
(1ドル=レアル)
(10億ドル)
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
4.5
↑レアル高
↑レアル買い(ネット)
08
09
10
11
12
13
14
15
16
▲ 30
▲ 20
▲ 10
0
10
20
30
40
50
(年)
(注)外国人投資ポジションは為替先物と米ドルの金利先物の合計で
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
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