●釜山支店℡010-82-51-462-3281 ●青島支店℡010-86-532-85766222 ●大連支店℡010-86-411-83705288 ●香港駐在員事務所℡010-852-2521-7194 【香港駐在員事務所】 「香港での販路拡大について」 1.はじめに 最近、日本の食品の販路拡大に向けた香港での商談に立ち 会った際に考えさせられることがあり、今回のレポートで取 り上げたいと思いました。 香港は、土地が狭いこともあり食料自給率は 1%以下と言 われており、世界中から食品が集まっています。ご存知の方 も多いと思いますが、2015 年の日本の農林水産物の輸出先 1 位は香港であり(11 年連続)、全国各地の食品が香港のス ーパーマーケット等の店頭に並んでいます。当然競合も多く、 世界中、日本中の食品が並ぶ状況の中から、商品を手にして もらうことは簡単ではありません。そもそも香港の店頭に商 品を並べることすら、一筋縄ではいかないと言えます。 2.販路拡大とパートナー企業 以前、こんな商談がありました。日本企業側は、自社商品の特徴等を詳しく説明し、 香港バイヤーからは見積書提出の要請となりました。日本へ帰国後、すぐに見積書を提 出されましたが、その後香港バイヤーからは連絡がありませんでした。 最近立ち会った 2 つの商談では、日本企業側は、もちろん自社商品の特徴等も詳しく 説明されましたが、いずれの日本企業も、会社を設立した経緯や、会社としてのコンセ プト、その商品を開発するに至ったストーリー、今後の展開やビジョン等をこちらが少 し長すぎるのではと心配になるぐらい時間をかけて説明されました。しかし、香港バイ ヤーからは、形式的な見積書や商品データの提出要請だけでなく、その商談の時点で価 格についての話し合いがなされ、1 つは日本企業側のライセンス等の諸条件が整えば受注 が始まるという商談になり、もう 1 つは面談した香港バイヤー側の担当部長からその場 で採用に向けた段取りの話となり、社内で上申するために日本メディアで取り上げられ ている記事等の資料がすぐに欲しいとの要請になりました。 上記 3 つの商談は、日本企業及び食品の種類はそれぞれ違いますが、実は前者と後者 1 の内の 1 社については同じ香港バイヤーでした。前者の商談も後者の商談もその時の商 品は品質・価格共に優れたものでした。但し、どちらも似たような商品は既に香港に出 回っていたため、正直なところ見積りを提出しても価格の叩き合いに晒された上、受注 に繋がるかどうかもわからないと内心危惧する面もありました。 なぜ後者の商談が首尾よく進んだのかを考えました。商談中のことを思い出していく と、企業としてのコンセプトや今後の展開・ビジョン等は、日本企業だけでなく香港バ イヤー側も積極的に考えを述べられ意見交換をされていました。そのやりとりの中で「こ の企業(人物)と付き合っていれば、将来にも何か面白い展開があるのではないか」と 感じられたことが大きかったのだと思います。 また、後者 2 つの商談の日本企業には共通した特徴がありました。それは、生産者と しての役割を持つ協力者(農家、企業等)があり、自らも生産しますが、協力者の生産 する素材や商品、技術をミックスして他にも新たな商品とビジネスモデル(サイクル) を創造していたことです。また自らの(その商品の属する)業界への参入は、協力者と 共にビジネスモデルを創造する過程の中で自然にそうなった後発組であることも同じで した。後発組であるが故に既存の商流や慣習に囚われない自由な考え方がありました。 販路拡大を目的に、世界中の食品関連企業が香港バイヤーとの商談を求めています。 香港バイヤーからすれば世界中の似たような品質・価格の商品が毎日のように目の前を 通っているはずです。商品だけ見れば違いがよくわからなくても、背景にあるコンセプ トやストーリー、企業自体の将来性等が違いを生み出しているのだと思います。前出の 香港バイヤーと直接面談した時に言われた「できれば香港への商談には、経営者と生産 部門の責任者に来てもらいたい」という言葉が思い出されます。前までは結論が早く欲 しいのであろうと考えていましたが、今は、商品の背景にあるもの、将来のビジョン等 を聞き、新たな何かを感じさせてくれるパートナー足り得る企業かどうか、その可能性 を探ろうとしているのだろうと思えます。 「海外 進出や販路拡大はパートナー企業が大事」と昔 からよく言われていますが、日本企業からして も「販路拡大はパートナー企業足り得ること」 を再認識すべきではないかと思いました。安易 な安売りだけの販路拡大策は、全体の価格下落 を呼び、結果的に商品寿命を短くする場合があ ります。 3.終わりに 私事ですが、今年のお盆は一時帰国し数日ですが実家で親戚と過ごしました。その時 ひょんなことから姉の旦那さんの従兄弟の話になりました。彼はまだ 30 歳になったばか りと若いのですが、現在滋賀県でデザイン事務所を経営しています。これまでは小物や 衣類、空間デザイン等でどちらかといえば若者向けのデザインを手掛けていましたが、 そこへ仏壇屋さんからのデザインの受注が入り、今大変忙しいというのです。親戚達は 2 この異業種のコラボレーションを意外に思い驚いていましたが、私はなるほどと思いま した。仏壇屋さんがデザイン事務所という協力者を得て、新たな商品とビジネスモデル を創造したに他ならず、それが市場に新たな風を呼び認められつつあるという内容が、 上記の香港で商談した 2 つの企業によく似ていたからです。 日本や香港など、成熟した市場になればなるほど新しい発想に飢えていると言えるか もしれません。考えてみれば今回のレポートで紹介した 2 つの企業と、滋賀県の仏壇屋 さんは、いずれも「異業種のコラボレーション」から思考錯誤のうえ新たな商品やビジ ネスモデルを創造しています。異業種のコラボレーションという手法は、新しい発想を 取り入れたい場合などによく用いられます。とかく新たな商品やビジネスモデルを創造 するまでには時間が掛かるので、中途半端になっていることもあるようですが、パート ナー企業足り得ることの 1 つの要素が、新しい発想を提供できることとすれば、異業種 のコラボレーションは今後ますます本格的に取り組むべきものなのではないかという気 がしてなりません。 山口フィナンシャルグループでは、「コンサルティングファースト」を行動指針として 掲げています。こんな業種とコラボレーションを検討してみたいといったご要望がござ いましたら、是非最寄りの取引店にお声掛けください。 以 3 上
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