町の声が届かない現実 強まる「道の駅」への不安と不満 対談 羽咋市の 町会役員 きし ひろいち × 岸 博一 町会 役 員 の 怒り の 声 岸 私が市の職員によく⾔っていることですが、 釜⾕ 伸(⽻咋地区)ここ何年も、町会から市への あるので出来ません」と答えるのは、⼀番楽な 要望事項がほとんど達成されないままだ。例え ⽅法です。しかし、⾏政の本当の仕事は、法律 ば道路の修繕をするにしろ、「県の管轄だから」、 や規則が地域の現実に合っていないものならば、 「国の管轄だから」と答えるだけで、⼀向に話 が進まない。 ⾏政が市⺠からの要望に対して「法律や規則が それを改善していくよう努めることです。 10年前や20年前に作った法律が、今の時 代に合うとは限りません。それが国や県の管轄 鎌⼝(川原)うちの町会では、河川の改修を市 であっても、現場の実態を国や県に伝えなけれ に要望していたが、「市の管轄ではない」「県に ばならないし、そのためのパイプも普段から作 要望している」という返事が来るだけで、話が る努⼒をしなければなりません。 全く進まなかった。市にいくら要望してもダメ だと思い、町会から直接県に要望したところ、 ようやく話が動き出した。 いったい、⽻咋市は今まで何をやっていたん だ。 岸 仮に市の管轄だけでは難しい問題だとして も、それは国や県に陳情するなり要望するなり して解決させるのが市の仕事です。 しかし、現場にいた私の⽬から⾒ても、今の このことは、⽻咋市にとって致命的な問題です。 ⽻咋市の企業誘致と道の駅、 本当に未来はあるのか? 松井(御坊⼭)そもそも、町会が市に要望でき ⼭辺(新保)⽻咋市が⾏っている企業誘致だが、 る数は、各地区ごとに2つまでと決められてし 費⽤対効果はどうなってるんだ。税⾦を免除し まっている。これは今の市⻑になってからだ。 たうえで、2億円近くの補助⾦を出し、さらに しかも、たいていの要望はいつまでたっても解 ⼟地開発公社の利息まで負担していると聞く。 決しない。 市⺠にこれほどの負担をかけているにもかか 要望の枠が2つしかない以上、我々としては、 わらず、実際に誘致した企業で雇⽤が⽣まれて 何度も同じ要望を繰り返すくらいなら、要望を いるのかというと、微々たるものだ。 市⻑は県とのパイプをほとんど作れていません。 取り下げ、市が解決できそうな⼩さな問題を代 わりに要望するしかない。こんな状態はあまり にもおかしい。 釜⾕外和 (本町)こちらとしては、法律や条例の問 題で無理だと⾔われれば引き下がるしかないが、 何か解決する⽅法はないのか? 岸 本来、企業誘致を⾏うときは、雇⽤や経済 の波及効果を計算して、仮に2億円の補助⾦を 出したとしても、何年で回収できる…という計 画を⽴てます。 し か し 、 今 の ⽻ 咋 市 の 企 業 誘 致 は 、「 こ れ だ けの数の企業を引っ張ってきた」という数字を これからの⽻咋市の展望 本多 (本町)現職は、「今までこれをやってきた、 あれをやってきた」と、過去の実績ばかりPR しているが、これから先の展望が⾒えない。 岸さんにとっての、⽻咋市の展望を聞きたい。 岸 いろいろな政策がありますが、まずは都市 計画をしっかり⽴てて、実⾏していくことが⼤ 切だと考えています。今の⽻咋市の都市計画は 上げているだけで、本来の⽬的である経済効果 につながっているとは⾔えません。 いろいろなところが⻭抜けになっている。 まずは道路網をしっかりと構築したうえで、 商店街や住宅地などを作っていく。財政健全化 向⼝(千⾥浜)道の駅の建設も納得できない。 千⾥浜住⺠からすれば、⾦沢に出る道がふさ がってしまう。千⾥浜ICの付近は今でさえ混 雑しているのに。 これのことは、かなり早い段階から市に指摘 していたが、何の解決策も⽰さず強⾏した。 釜⾕(本町)副市⻑は説明会で「全国の7割の 道の駅が⾚字だ」と⾔っていた。なぜ11億円 もの投資をして、そんなものを建てるのか。 先⽇、業者説明会があったが、今の時点でま ともな経営計画が出てきていない。こんなもの を認めろというのか。 も⼤切ですが、まずは市内にお⾦が回り、市⺠ が豊かになることが第⼀です。 また、これからの⽇本は少⼦⾼齢化の時代で す。⽻咋市を回ってみると、空き家が多く、独 居⽼⼈も増えています。近所付き合いが減って しまった今では、⼀⼈暮らしでひっそりと亡く なる⾼齢者もいらっしゃいます。これを解決し ていくために、コミュニティを再⽣させること が、これからの⽻咋市に必要不可⽋です。 岸 今の企業誘致のやり⽅には問題があります し、道の駅についても運営の在り⽅を抜本的に ⾒直す必要があるのは明らかです。多額の税⾦ を投⼊して市⺠に⼤きな負担をかけているのに、 計画はあまりにもずさんです。 ⽻咋 市 職 員 へ の 過 度 な 負 担 藤沢(太⽥)⽻咋市役所の職員は、本当によく 残業してがんばっている。かなり遅くまで市役 所に明かりがついていることもあるので、職員 が少なすぎて無理がかかっているんじゃないか と⼼配してしまう。 岸 今の⽻咋市の職員は、⼈員削減の影響で1 ⼈でいくつもの担当を受け持っている職員が何 ⼈もいます。 ⼈員削減を進めて財政が⿊字化したとしても、 結果的には市⺠サービスの低下につながってし まい、本末転倒です。 対談を終えて 岸 博⼀ 町会役員の⽅々は、町の⽅ 々の安全に直結するさまざま な問題の解決を、市に対して 求めています。しかし、残念 ながらそのほとんどが前に進 んでいません。 県とのパイプや、補助⾦を 獲得する⼿腕の問題もあるのかもしれませんが、 何より市⺠のために問題を解決するという強い 意志が必要です。 今回の対談を通じて、町会の⽅々の切実な現 状や不安を知ることが出来ました。そして、た くさんの⽅々が「⽻咋市を良くしていきたい」 という強い想いを持っていらっしゃることも分 かりました。 皆さんのご意⾒をしっかりと受け⽌め、強い ⽻咋を⽬指して全⼒を尽くします。
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