お客様導入事例 - カブドットコム証券株式会社様

Case Study
カブドットコム証券が
超高速ビッグデータ分析基盤を構築し
全社でデータ指向の意思決定を推進
HPE Vertica Analytics Platformを採用し
30分を要していた集計処理を2秒で実現
“HPE Verticaは、データベー
スの存在を意識させません。
分析結果が即座に参照でき
るようになり、思考を妨げな
い、業務を停滞させない、と
いう変化をリアルに体感し
ています”
̶カブドットコム証券株式会社
営業本部 営業推進部 課長 兼
事務・システム本部 システム部 課長
伊藤 充淳 氏
目的
アプローチ
営業、経営企画、事務部門を中心に全社が活用する
大規模データ分析に特化したテクノロジーを採用し、
データ分析基盤の刷新および強化。多様な分析ニー
シンプルで拡張が容易、
かつ投資対効果に優れた分
ズにリアルタイムで応え、データ指向の意思決定を
析基盤を目指す。変化し続ける分析ニーズに対して、
支える
「超高速ビッグデータ分析基盤」を構築する。
チューニング不要で運用可能なことを重視。
ITの効果
ビジネスの効果
• 高速データベース「HPE Vertica Analytics
Platform」を採用し、4億件のデータ集計におい
て30分を要していた処理を2秒で実現
• エンドユーザーにデータベースの存在を意識させ
• シンプルなデータベース構造により短期間(2 カ
月)での構築・移行を実現、システム運用におけ
るデータベース管理者の工数を50%削減
• インデックスの概念がなくチューニング不要で高
い分析パフォーマンスを発揮
• スモールスタートとノード追加による無停止での
スケールアウトが可能に
ない分析環境を実現
• 意思決定プロセスのスピード化と「先手を打つ施
策」が可能に
• 30 分単位での新規データロードにより最新情報
に基づくデータ分析が可能に
• 汎用のx86サーバーで分析基盤を構築し導入コス
トを大幅に抑制
• SNSやオープンデータを取り込んだより高度な顧
客行動分析も視野に
Case study
業界
カブドットコム証券
株式会社
金融
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カブドットコム証券が、高速データベース「 HPE
Vertica Analytics
Platform 」を採用してデータ分析基盤を導入した。株式発注基盤シス
テム「 RAIDEN™ 」から抽出したデータを対象に、定型・非定型を問わ
ずあらゆる分析要求に対してリアルタイムで結果を導き出す「超高速
ビッグデータ分析基盤」の誕生である。カブドットコム証券は、新商品・
カブドットコム証券株式会社
常務執行役
事務・システム本部副本部長 兼
システム部長
阿部 吉伸 氏
新サービスの開発、顧客行動分析に基づく営業活動やプロモーション、
リスクマネジメントなど、全社を挙げたデータ指向の意思決定を強力に
推進している。
チャレンジ
金融とテクノロジーの融合、その最先端で
カブドットコム証券株式会社
営業本部 営業推進部 課長 兼
事務・システム本部 システム部 課長
伊藤 充淳 氏
カブドットコム証券株式会社
事務・システム本部
システム部 基盤技術課
阿部 浩二 氏
日本ヒューレット・パッカード株式会社
テクノロジーコンサルティング事業統括
コンサルタント
諸橋 渉 氏
ソリューション
分析処理に特化したデータベース
「HPE Vertica 」は、分析処理に特化した列指向
のデータベースとして世界 3,500 社の導入実績
を持つ。最大の特長は、圧倒的な分析パフォー
マンスだ 。一 般 的 な 行 指 向 のリレーショナ ル
データベースが、検索時に対象となる全データ
を読み込む必要があるのに対し、HPE Vertica
ではピンポイントで必要なデータだけを読み込
む。ムダな処理を排してディスクI/Oを最小限に
抑え、高効率かつ高速な分析パフォーマンスを
実現する。
カブドットコム証券がフィンテック
(金融の IT 化)
への取り組みを加速させている。大手ネット証
券初の試みとして2012 年に「 kabu.com API 」
を開放。以後、パートナー企業が独自に開発し
たトレーディングツールから、株式発注基盤シ
ステム「 RAIDEN™ 」に接続する取引は急速な
伸びを示している。2016 年 1 月には「 kabu.com
Fintech-Lab」を設立し、金融とテクノロジーが
高度に融合する領域における先端研究・事業開
発体制を強化した。常務執行役 事務・システム
本部副本部長 兼 システム部長の阿部吉伸氏
「ビッグデータプロジェクトの最大の狙いは、欲
は次のように話す。
しい情報を即座に可視化して『データ指向の意
「カブドットコム証券は、いかにお客様の投資成 思決定 』を加速させることです。私たちが求め
績を高めるか、いかにお客様に貢献する情報イ ているのは原因分析ではなく、次にどんな手を
ンフラやツールを提供するかを常に考えながら どのタイミングで打つか決断するための情報で
サービスを拡充させてきました。私たちの歴史 す。活用されずに捨てられていたデータも、組
は、
フィンテック=金融の IT 化へのチャレンジの み合わせによっては新しい知見を生むかもしれ
歴史そのものです。現在、三菱 UFJフィナンシャ ません。様々な切り口から試行錯誤を重ねるた
ル・グループにおけるカブドットコム証券は、ネッ めには、ユーザーを待たせないリアルタイム処
ト証券の事業会社としてだけでなく、フィンテッ 理が不可欠でした」と営業本部 営業推進部 課
クと情報テクノロジーのナレッジベースという 長 兼 事務・システム本部 システム部 課長の伊
藤充淳氏は話す。
役割も担っています」
金融商品ビジネスのさらなる成長、フィンテッ
クによる革新的な金融サービスの創造に向け
て― いま、カブドットコム証券が全社を挙げ
て推進しているのが「データ指向の意思決定」
である。
カブドットコム証券にとって、株式発注基盤シス
テムから得られる情報は収益の源泉とも言え
る。しかし、
「従来の分析システムでは思うよう
に欲しい情報が手に入らなかった」
( 伊藤氏)と
いう。
『 どの銘柄の株をどの顧客が買った
「株式発注基盤システム『 RAIDEN™ 』から抽出 「たとえば、
したデータを対象に、定型・非定型を問わずあら か』という定型分析は従来のシステムでも数分
『 顧客が発注に使った端末』を
ゆる分析要求に対してリアルタイムで結果を導 で行えましたが、
き出す『 超高速ビッグデータ分析基盤 』を構築 知るには1日に1 度の集計を待たなければなりま
しました。新商品・新サービスの開発、顧客行動 せんでした。HPE Verticaによる超高速ビッグ
分析に基づく営業活動やプロモーション、
リスク データ分析基盤では、PCか、スマートフォンか、
マネジメントなど、従来のシステムで数時間を kabu ステーション経由なのか即座に把握でき
( 伊藤氏)
要していた分析を目の前で数秒のうちに完了で ます」
きます」
( 阿部常務)
カブドットコム証券にHPE Verticaを提案した
カブドットコム証券が超高速ビッグデータ分析 日本ヒューレット・パッカード( HPE )の諸橋渉氏
基盤の中核データベースとして採用したのは、 は、分析パフォーマンスにおける優位性を次の
「 HPE Vertica Analytics Platform(以下、 ように説明する。
HPE Vertica)」である。
Case study
業界
カブドットコム証券
株式会社
金融
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4億件のデータ集計「30分を2秒」に
顧客DB
(SQL Server)
注文DB
(Oracle)
勘定DB
(Oracle)
時価DB
(SQL Server)
非定型分析を
リアルタイムで実現
超高速
ビッグデータ分析基盤
株式発注基盤システム
「RAIDEN™」
データベース管理者の工数を50%削減
チューニング不要で高いパフォーマンス
30 分単位で
データロード
HPE Vertica
Analytics Platform
ノード追加による無停止での拡張
列指向アーキテクチャ
プロジェクション
無停止スケールアウト
ユーザー部門
(BIツール)
「列指向アーキテクチャ、列方向での高効率な さらに、分析対象となるデータが日々増大し、
圧縮、最適なデータ配置の自動実行など― ユーザーの分析要求が高度化していく中で性
HPE Verticaは、いかに分析処理を高速化する 能を維持するには、ホットデータがメモリ上で処
か、そのためにいかにムダな処理をさせないか 理されているかを常に監視したり、インデックス
徹底的に考え抜かれた製品です。その結果、一 をメンテナンスし続けなければならないことも
般的なリレーショナルデータベース製品の最大 明らかになったという。
1,000 倍という桁違いの高速クエリを可能にし
「これに対して HPE Vertica は、テーブルに手
ています」
を加えることなくユーザーの多様な分析要求に
カブドットコ ム 証 券 が 注 目した の は 分 析 パ 応えるパフォーマンスを発揮します。さらに言う
フォーマンスだけではなかった。HPE Vertica なら、
メンテナンス不要で『変化し続ける分析要
は、ビッグデータ分析基盤の導入に不可欠なア 求』にも応えられることがわかりました。列指向
セスメント、テーブルとビュー の 設 計 、高 速 化 というアーキテクチャの優位性とともに、私た
のためのチューニング、といった作業負荷を大 ちが注目したのは『プロジェクション』と呼ばれ
幅に低減することができる。
るHPE Vertica 独自のテクノロジーです」
(阿
部浩二氏)
「 HPE Verticaにはインデックスという概念が
ありません。
『インデックスを設定する必要がな HPE Vertica のプロジェクションについて、
い』のではなく、そもそも『インデックスがない』 HPE の諸橋氏は次のように解説する。
のです」
( 諸橋氏)
「テータの配置をあらかじめ最適化・圧縮してプ
この「インデックスがない」というHPE Vertica ロジェクションと呼ばれる仕組みで保持します。
の特長が、ビッグデータ分析基盤の設計・構築・ 1 つのプロジェクションで高い分析パフォーマン
運用すべてのフェーズで大きなメリットをもた スが得られますが、特定の要求をさらに高速化
らすことになる。それは、インメモリ機能を使え するためにプロジェクションを追加作成するこ
る商用リレーショナルデータベースとの比較検 ともできます」
証で明らかになったという。
阿部浩二氏は、
「想定外の集計要求があったと
HPE Vertica の
しても、プロジェクション追加という手段を講じ
ることができるのは、データベース管理者とし
「プロジェクション」による自動最適化
一般的なリレーショナルデータベース製品で て非常に大きな安心です」と話す。
は、高速化のためにインデックス(索引)を活用
するのが常識だ。しかし、インデックスによる高
速化は定型的な分析要求には効果を発揮する
ものの、アドホックな(非定型の)分析要求には
応えられない。事務・システム本部 システム部
基盤技術課の阿部浩二氏は、
「 ユーザー部門と
折衝を繰り返すほど、要件定義とチューニング
の難しさを痛感した」と言う。
ベネフィット
データベースの存在を
意識させない分析環境を実現
2015 年 12 月に検討を開始し、パフォーマンス
検証とシステム構築を経て、HPE Verticaによ
る超高速ビッグデータ分析基盤の活用が始まっ
たのは2016 年 5月である。株式発注基盤システ
ム「RAIDEN™」から30 分単位で差分データが
ロードされ、ユーザーは常に最新情報をもとに
データ分析を行える環境が整備された。
「当初、インメモリ機能を使える商用リレーショ
ナルデータベースを検討し、インデックスによる
チューニングを施すことで高速化できる見通し
を得ていました。しかし、そこに至るには、ユー
ザー要件のヒアリングからテーブルの選択、
イン 「 HPE Vertica は、データベースの存在を意識
デックスの設計まで多大な工数を要したのです」 させません。分析結果が即座に参照できるよ
Case study
業界
カブドットコム証券
株式会社
金融
ソリューション概略
導入ソフトウェア
• HPE Vertica Analytics Platform
“常に変化する市況の中で、何がビジネスチャンスになるのか、どの施策
をどのタイミングで行うのが最適か、どうリスクを回避すべきかまで、
即座に判断できるようになるでしょう。これこそが、
『データ指向の意
思決定』の最大の意義と言えます”
カブドットコム証券株式会社 常務執行役 事務・システム本部副本部長 兼 システム部長 阿部 吉伸 氏
うになり、思考を妨げない、業務を停滞させな 「高速な SSDや高価なストレージ製品を導入す
い、という変化をリアルに体感しています。これ ることなく、x86 サーバーだけで超高速ビッグ
までは、昼食前にクエリを実行して『 1 時間後に データ分析基盤を構築できたことは、投資対効
は分析できているだろう』
というのが当たり前で 果の視点でも大きな成果と言えるでしょう。
しか
したから、まさに劇的な変化が起こったわけで も、HPE Vertica の設計と構築に要した期間は
す」と伊藤氏は笑顔を見せる。
わずか 4 週間。インメモリデータベースの導入
検討とデータ設計に長い期間と人的リソースを
阿部浩二氏も、
「 HPE Vertica は、ユーザーも 要したことを思えば、
これも劇的な改善です。や
私自身も驚くほどほど高い性能を発揮していま や厳しい表現かもしれませんが、経営視点で言
す。長年データベースに携わってきた者として うなら、ユーザー部門とシステム部門がかみ合
も、これほどの手応えを感じることはなかなか わない議論を繰り返したり、複雑で実運用に耐
ありません。しかも、HPE Vertica の環境は常 えないシステムの設計に時間を費やすことは、
に高い性能が自動的に維持され、ほとんど手放 ビジネスチャンスを失っているに等しいですか
しで運用できています」と評価する。
ら」
( 阿部常務)
また、HPE Verticaはソフトウェア製品として提 HPE Vertica による超高速ビッグデータ分析
供されるため、
アプライアンス製品のようにハー 基盤を活用し、カブドットコム証券は『データ指
ドウェアの制約がない。汎用的な x86 サーバー 向の意思決定』をさらに加速させていくだろう。
上で稼働させ、データ量と性能要求に応じて無 「トップダウンによるIT の推進とボトムアップに
停止でスケールアウトできる。スモールスター よる業務改善を、一体感をもって進めていくこ
トと柔軟な拡張が可能なことも注目すべき点 とが重要」と語る阿部常務は、次のように締めく
であろう。
くった。
「 HPE Vertica は、シンプルなデータ構造を維 「新商品・サービスの投入がどの程度有効だっ
持したまま、テラバイトから数 10 ペタバイト規模 たか、シェアにどのような影響を与えたのか可
にまでスケールできる優れた特長を備えてい 視化できるようになり、お客様の毀損を低く抑
ます。HPE Vertica の源流であるC-Store の誕 えるためのリスク管理能力も着実に高まってい
生から10 年経ちますが、これを超えるテクノロ ます。今後は、常に変化する市況の中で、何がビ
ジーは現れていません」とHPE の諸橋氏は自 ジネスチャンスになるのか、どの施策をどのタ
信を示す。
イミングで行うのが最適か、
どうリスクを回避す
べきかまで、即座に判断できるようになるでしょ
事実、C-Store は、2015 年の「 VLDB 10-Year う。これこそが、
『 データ指向の意思決定 』の最
Best Paper Award* 」を受賞するなど技術的 大の意義と言えます。日本ヒューレット・パッカー
に高く評価されている。商用製品としての HPE ドには継続的なご支援を期待します」
Verticaが世界中で大きな成功を収めているこ
とも周知の通りだ。
日本ヒューレット・パッカード
公式ソーシャルメディア
* Very
Large Data Bases(VLDB)Conferences による評価。
http://www.vldb.org/2015/awards.html
詳しい情報
HPE Verticaについてはこちら
www.hpe.com/jp/software
facebook.com/HPEJapan
twitter.com/HPEJapan
youtube.com/HPEJapan
記載されている会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。Intel、インテル、Intelロゴ、Xeon、Xeon Insideは、アメ
リカ合衆国およびその他の国におけるIntel Corporationの商標です。記載事項は2016 年9月現在のものです。本カタログに記載
されている情報は取材時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承下さい。
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CPA09005-01 2016年9月