製造物責任 製造業者の責任追及

くらしの法律 第 86 回
製造物責任
製造業者の責任追及
製造物責任法(PL 法)は、製造業者の故意過失
を問わず、製品に欠陥があれば製造業者は賠償責
任を負うことを定めています。
PL 法により保護される被害者は個人消費者に限
られず、他のメーカーから素材となる製造物を購
入しこれを加工し別の製造物を生産する事業者が、その素材の欠陥により損害を被った
ような場合、事業者も PL 法により保護されます。
PL 法にいう製造物とは、製造又は加工された動産をいい(2 条 1 項)、テレビ・冷蔵
庫などの家電製品、自動車、食品、衣類・家具などの生活用品、機械・設備、医薬品、
化粧品など多種多様なものが対象となりますが、電気やサービスといった無体物は対象
となりません。製造又は加工が要件ですので、未加工の農水畜産物や採掘されたままの
鉱物は対象となりません。
PL 法にいう欠陥とは、製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい、①設
計自体に安全性が欠けている設計上の欠陥、②設計には問題ないが設計どおりに作られ
ず安全性を欠いた製造上の欠陥、③取扱説明書などに適切な指示や警告などの情報提供
をしていない指示・警告上の欠陥の 3 つに類型化されます。安全性にかかわらないよう
な単なる品質上の不具合は PL 法の欠陥には当たりません。
通常有すべき安全性を欠いているか否かの判断には、当該製造物の特性、その通常予
見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物
に係る事情が考慮されます(2 条 2 項)。
PL 法による損害賠償の範囲は、製造物の欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵
害した場合の損害であり、欠陥による被害が製造物自体にとどまる場合は PL 法の対象
になりません(3 条)。たとえば、使用中のパソコンから出火し、その火がカーテンや
壁の一部に燃え移り焼損したというような場合、通常の使用状況下で出火したとすれば、
パソコンに欠陥があったものと考えられ、カーテンや壁の焼損による損害は PL 法の損
害賠償の対象となりますが、パソコン自体の損害は PL 法の損害賠償の対象から外れま
す。
製造物自体の損害については民法に基づき売主の瑕疵担保責任や債務不履行責任等
による被害回復が考えられます。
PL 法による損害賠償請求ができるのは、損害および賠償義務者を知ったときから 3
年または、製造業者等が製造物を引き渡したときから 10 年とされています(5 条)。