ダム通砂運用の検討状況について 1 ダム通砂運用の概要 第5回 耳川水系総合土砂管理に関する評価・改善委員会(H28.7.27) 九州電力株式会社 資料 2 予想される効果 o ダム通砂運用は、台風による出水時にダム貯水池内の水位を下げることで、貯水池を本来 の河川のような状態にし、流れる水の力を利用してダム貯水池内に流入する土砂を流下 させる新たな運用です。 o 耳川では総合土砂管理計画に基づくダム通砂に向けて、ダム改造工事などを進めており、 平成29年から下流の2ダム(大内原、西郷)でダム通砂運用を始めます。 ・通砂の効果が期待される大規模な台風出水の際にダム通砂運用を行います。※ (別紙参照) ※ 山須原ダム地点での流量が700m3/s以上と予測される台風出水で行います o 現在までのモニタリングやシミュレーションの結果によると、ダム通砂運用により、河川の土砂の 流れが本来の姿に近づき、河川の安全や環境などの面で次の効果が現れると予想されます。 予想される効果 ◆ ダムの上流側では、洪水に対する安全度が向上します。 河 川 の 安 全 (過去20年間で年1∼2回程度発生) 〔ダム通砂運用〕 河 川 の 環 境 〔ダム通砂運用以外〕 大規模な台風出水(700m3/s以上)の際に実施 小規模な出水では今までと同じ運用 水位を下げることで、流速が増し、 流入する土砂が下流に流れやすくなる ・ダムの上流側では、土砂が溜まりにくくなるため、洪水 時の水位上昇が抑えられると考えられます。 水位上昇を抑制 ・なお、ダムの下流側でも、河川の勾配が比較的急なこと から、ダムを通過する土砂が薄く広く供給され、洪水時 の水位は今とほとんど変わらないと考えられます。 河床上昇を抑制 ◆ ダムの下流側では、多様な生物が生息する昔の河川環境に近づきます。 ・これより小規模な出水では土砂の流入が少なく、通砂の効果も小さいため、ダム通砂運用 を行いません。(今までと同様の運用を行います) 【H29年以降の出水時のダム運用イメージ】 〔ダムの上流側(ダム通砂運用時)〕 小規模な出水では、土砂の 流入が少なく、土砂を流す 効果も小さい ・ダムを通過する土砂により、河床が石、 礫、砂など様々な大きさに変わるとと もに、瀬や淵がはっきりとした昔のよ うな河川になると考えられます。 ・また、石に付着する藻類の剥離が促進 され、生き物の餌となるような新鮮な 藻類が増えると考えられます。 〔現状の河川〕 〔ダム通砂運用後の河川〕 瀬 瀬 砂州(小) 淵 淵 砂州(大) 瀬 大きな石が 多い 砂州(小) 瀬 淵 ・これらの結果、多様な生物が生息する 昔の河川環境に近づくと期待されます。 砂州(大) 砂州が拡大 河床が 多様化 (石・礫・砂) はっきりとした 瀬・淵が形成 淵 藻類の剥離が 促進(新鮮な 藻類の増加) 従来のダム水位 河川の状態 水 の 利 用 貯水池の状態 (高い水位) ◆ 水道など、水の利用への影響はほとんどないと考えられます。 ・ダムを通過する土砂は下流域に薄く広く供給されるため、水道や工業用水の取水口が 埋まるなど、取水の支障となる事象は発生しないと考えられます。 ・また、洪水時の濁りは今とほとんど変わらず、水質への影響もないと考えられます。 ・ダムを通過する大きな土砂(礫※)は徐々に下流側へ移動 o なお、山須原ダムを含む3ダムでのダム通砂運用は、 平成33年から実施する予定です。 〔山須原ダム改造工事の状況〕 ・現在、ダム堤体を切り下げた状態です ・H28.11からダム堤体の新しいコンクリートを打設 します 山須原ダム H28.5.28撮影 :一回のダム通砂での礫の動き するため、環境への効果はゆっくりと現れるものと考え ダムを通過する礫は、徐々に 下流側へ移動(薄く広く供給) られます。なお、大内原ダムの下流では長い年月を要す ると考えられます。 河川の環境は ゆっくりと変化 ※礫:2∼75mm程度の大きさの土砂 ・また、初めてのダム通砂運用なので、河川が急に変化し ダム ないよう、試しながら行い、これらの効果を流域の皆さまと確認して、運用の方法などを 改善していきたいと考えています。(順応的管理) 3 今後の対応 o ダム通砂運用では、水・土砂の流れや水位など河川の状態がこれまでと異なるため、これまで以上に安全に留意した運用を行えるよう、河川の監視や計測の充実を図ります。 o また、ダム通砂運用中に、ダムに関する情報(雨量、水位、流量など)を流域の皆さまにわかりやすく確実にお伝えする方法※について、現在、宮崎県や流域の自治体と協議を進めています。 ※インターネットホームページによる公開、ラジオ放送など o これらを含む具体的なダム通砂運用の方法などにつきましては、ダム通砂運用開始までに改めてご説明させて頂きたいと考えています。ご協力をお願いします。 別紙 ダム通砂運用の方法 ① 台風出水の予測に基づき準備体制を整え、事前にダムの水位を少し下げます ① ダム通砂運用のイメージ 大内原ダム ・台風進路や降雨の予測をもとに、ダム通砂運用の準備に入ります。 ・事前に発電やダム放流によりダムの水位を少し下げ、その水位を保ちます。 ・台風接近の2∼3日前にこの判断を行い、ダムの水位を下げ始めるため、場合によっては雨が降る前の晴れ た状態の時に、ダムの下流で河川の流量が少し増えることがあります。 ・このため、水位を下げ始める前に、流域の皆さまにダム通砂運用の準備に入ることをお知らせすると ともに、パトロールなどにより、河川の安全を確認します。 ② その後の台風出水の予測に基づき、ダム通砂運用の実施を判断します ② ダム通砂運用のイメージ 大内原ダム ・その後の(最新の)雨の予測を踏まえ、通砂の効果が得られる規模の出水が見込まれる場合には、 ダム通砂運用の実施を決定します。 ・ゲートを徐々に開けて更にダムの水位を下げ、貯水池を本来の河川の状態にし、台風を待ちます。※ ・その際、ダム通砂運用を開始することを流域の皆さまにお知らせします。 (その後も継続的にダムに関する情報をお知らせします) ※ 西郷ダムは、少し水位は下げますが、台風前に貯水池を河川の状態にする運用は行いません。(西郷ダムは、貯水池 の規模が小さく勾配が急なため、台風中及び台風後に河川の状態にすることでダム通砂が可能です) ③ ダム通砂運用のイメージ ④ ダム通砂運用のイメージ ⑤ ダム通砂運用のイメージ 大内原ダム ③ 上流からダムに流れ込む土砂がダムの下流に通過します ・雨が降り、河川の流量が増えてきますので、ダムからの放流を増やし、下げたダムの水位を保ちます。 ・更なる河川の流量の増加に伴い、全てのゲートを開放していくことで、できる限りダム水位を低く保ち、 上流からダムに流れ込む土砂を、水と一緒に下流に通過させます。 ・なお、全てのゲートを開放した後は、流量の増加に伴い自然にダムの水位が上昇します。 ④ 雨が止んだ後もダム水位が低い状態をしばらく続けます 大内原ダム ・台風の雨が止んだ後、河川の流量は減りダムの水位も下がってきますが、土砂がほとんど動かなくなる流 量まで、河川の状態を続けます。 ・出水の規模によって異なりますが、この状態が数日間続くこともあります。 ⑤ 土砂がほとんど動かなくなる流量になったら、ダムの水位を回復させてダム通砂運用を終了します ・土砂がほとんど動かなくなる流量になったら、ゲートを徐々に閉めてダムの水位を上げ、河川の状態から貯 水池の状態に戻し、ダム通砂運用を終了します。 (ダム通砂運用を終了してもダム放流はしばらく続きます) ・なお、ダムの水位を上げる前には、流域の皆さまにダム通砂運用を終了することをお知らせするとともに、 パトロールなどにより河川の安全を確認します。 ■ 補 足 ・ダム通砂運用の実施判断は、台風が接近する1∼2日前に、予測に基づき行うため、その後、降雨が少なくダム通砂の効果が 期待できない場合は、ダム通砂運用を途中で中止することがあります。 ・ダム通砂運用中の実施に関する情報については、宮崎県や自治体と連携しながら、流域の皆さまに随時お知らせします。 大内原ダム
© Copyright 2025 ExpyDoc