事 業 継 続 基 本 方 針 (公表文書)

事業継続計画書(事業継続基本方針-公表文書)
事 業 継 続 基 本 方 針
(公表文書)
2016 年9月 20 日版
株式会社 東京商品取引所
当社の事業継続計画(BCP)への取り組み
当社は、産業インフラとして重要な機能を提供する商品先物市場を開設して
おり、当社市場が長期にわたって中断することは、取引参加者、委託者のみな
らず社会にも多大な影響を与えることになります。
そのため、当社では、1991年のシステム売買開始時から潜在的リスクに備え
る対応策及び体制の策定を行ってきており、2009年9月にリスク事象発生時に
迅速かつ効率的に業務の復旧を行うことにより、取引参加者、委託者及び関係
機関等ステークホルダーへの影響を極小化することを目的に、基本方針、体制
及び対応手順等を定め事業継続計画(BCP)として取りまとめました。
今般、当社取引システムを2016年9月から日本取引所グループと共同利用す
るにあたって、必要な変更を行いました。
当社がここに自らのBCPの概要を公表する理由は、あくまでも万が一の場
合に備えた対策の枠組みについて商品先物市場の関係者を含む多くの人々と情
報を共有するためであります。
1.基本方針
BCPの構築や発動する際の基本方針は以下のとおりです。
(1)BCP構築においては、役員、社員及び地域住民などの生命の安全確保
を最優先します。また、二次災害の防止に努めます。
(2)業務に関しては、取引の継続を最優先します。
(3)システム障害等の場合は、「システム障害等に係るコンティンジェンシ
ー・プラン(緊急時対応計画)」及び本プランに基づく「システム障害等
の発生時における当月限の建玉の処理に関する取扱要領」に基づき、取
引の継続等の判断を行います。
(4)BCP構築においては、「地域貢献・地域との共生」を考慮します。
(5)平時から、設備面や重要情報資産のバックアップ等運用面における体制
の整備に努めます。なお、テロや大規模災害による長時間の停電、又は
施設自体の崩壊等が発生した場合、事業中断の影響を完全に排除又は軽
減できない可能性もあります。
(6)BCP構築にあたり、関連する法律、各種事業法、条令等の法令を遵守
します。
2.対象範囲
BCP構築において、どのような状況を想定し、どの業務を優先して復旧す
べきかを以下のとおり整理しました。
(1)対象とする想定リスク
原因事象として災害(火災・地震・風水害等)、システム障害、電力・通信
等の社会インフラの停止、テロ行為(物理的破壊行為・サイバーテロ等)、新
型インフルエンザの流行等を整理し、その結果生じる事象として、建物の利
用不能、システムの利用不能、人員の不足、外部機関の停止等を想定し、原
因事象と結果事象の組み合わせたものを対象リスクとします。
(2)最優先に復旧の対象とする業務
最優先で継続を図る業務は、取引に関連する業務及びそれに付随する業務と
します。
3.対応方針
BCPは、以下の対応手順から構成されます。
なお、各担当部室にて行われる事業継続のための作業については、個別に整
備する詳細なマニュアルを参照し行います。
(BCP行動開始)
(1)警戒態勢
警戒態勢とは、BCP発動基準に該当する可能性のあるリスク事象の発生
時に即座に対応できるよう準備することです。
平時組織は、リスク事象の発生時には、警戒態勢をとるとともに必要な初
動対応をとります。
(2)初動対応
初動対応とは、リスク発生時に即座に対応すべき事項です。
(3)BCP行動、BCP発動
BCP行動とは、警戒態勢及び初動対応を含め「本BCPに従って行動す
ること」です。また、BCP発動とは、発動権限者がBCP対応体制を召集、
編成し、BCP対応体制によって行動することを命じることです。なお、取
引の継続に関する判断はCPにて行います。
(4)初期対応
初期対応とは、BCPが発動されて、BCP対策本部の設置、BCP基本
方針の決定、暫定対応への移行を判断するものです。なお、平時組織はBC
Pが発動される前であっても必要に応じ被害状況の調査等の初期対応をと
る必要があります。
(5)業務再開
業務再開とは、代替リソース・手段を用いて暫定的な業務対応(暫定業務
運用)を実施し、BCP対象業務を再開することです。また、暫定業務の運
用状況を確認し軌道に乗せます。
(6)再開範囲拡大
再開範囲拡大とは、暫定業務運用を実施しつつ、並行して被害状況・復旧
状況の把握、復旧作業を実施し、平常の業務運用(本格復旧)への判断を行
うことです。
(7)本格復旧
本格復旧とは、代替リソース・手段による業務運用から、平常時の業務運
用に向けての最終的な復旧作業を開始し、通常業務への切り替えを完了する
ことです。
(8)BCP解除
BCP解除とは、BCP対策本部が、復旧処理が完了したと判断した場合
に、BCPの発動を解除し、BCP対策本部を解散することです。これ以降
に行う事務処理・BCPの見直しなどは、通常のBCP維持・運用管理体制
にて対応します。
(9)事後処理
事後処理とは、BCP発動の解除後に行う記録の整理や保険請求のための
事務的な処理を行うことです。
4.体制・インフラ等の整備
当社は、BCPを実現させるために、以下の体制・インフラの整備を進めて
います。
(1)当社ビル
当社ビルは、鉛プラグ入り積層ゴムを入れた免震構造となっており、相当
程度の地震にも耐えうる設計となっています。また、非常用発電気設備が設
置されており、電力供給が途絶えた場合においても、一定時間の電力は確保
されています。
(2)BCP対策本部
リスクが発生した際に所要の対応を迅速かつ的確に行うために、BCP対
策本部を設置し、被害状況の把握、外部機関との連絡等を行うとともに、必
要な意思決定を行います。
(3)体制の整備
あらかじめ、平時・初動時の体制及び有事の体制を定めており、この体制
によりBCPに対応します。
(4)通信手段の確保
リスクが発生した際に、当社内外への連絡手段を確保するために、一般電
話、FAX、災害時優先電話、携帯電話、電子メール、Web、Targe
t、売買システムによる通知、衛星電話等の様々な通信手段を用意するとと
もに、外部関係機関との間で相互に連絡先を交換します。
(5)代替オフィス
通常使用している建物が利用不能となった場合に、他の場所で事業を継続
することができるよう、最低限の代替オフィスを用意しています。
(6)データセンタ
当社は、FISC((財)金融情報システムセンタ)の「金融機関等コンピ
ュータシステムの安全対策基準」を全て満たし、かつ ISMS((情報セキュリ
ティマネジメントシステム)認証を取得している堅牢なデータセンタ(プラ
イマリセンタ)に基幹システム及を設置しています。また、セカンダリセン
タについては、プライマリセンタと同等の堅牢性を備え、かつ、プライマリ
センタとの同時被災リスクが極めて低いと考えられる地域に開設していま
す。
(7)教育・テスト
BCPの内容の検証を行うとともに、BCPに定める対応手順を円滑に行
うため、定期的に教育、テスト等を行い、BCPの実効性確保に努めます。
5.今後の課題
「BCP・年度整備計画」を策定し、その実施について検討します。また、
5年から10年程度の期間を見ながら、あるいは予算上の手当てが可能となった
際に行うなど、中長期的に対応・整備すべき事項を記載した「BCP・中長期
整備計画」を策定し、その実施について検討します。
そのほか、当社では、業務の遂行に当たり必要となる機能の一部の提供を受
ける外部機関のBCPの把握に努め、かつ当社取引参加者に対してはBCPの
策定を求めていくことで、当社市場における事業継続体制の一層の強化を図っ
ておりますが、今後は他取引所や清算機構等と連携し、商品先物市場全体の統
一的なBCP体制を構築するよう努めます。
[本件に関するお問い合わせ先]
株式会社東京商品取引所 法務部
TEL 03-3661-9198