処方箋医薬品* 注射用テリパラチド酢酸塩

総合製品情報概要
注射用テリパラチド酢酸塩
処方箋医薬品*
*注意−医師等の処方箋により使用すること
【禁忌(次の患者には投与しないこと)
】
1. 高カルシウム血症の患者
[高カルシウム血症を悪化させるおそれがある。
]
2. 本剤に対して過敏症の既往歴のある患者
3. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
[「5. 妊娠、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
開発の経緯
■ 開発の経緯
テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」は、弊社研究所において合成されたヒト副甲状腺ホル
モンのN末端(1-34)ペプチド製剤である。
副甲状腺ホルモン(PTH)は、生体のカルシウムの調節に重要な役割を果たすホルモンで、標的
細胞の細胞膜レセプターと結合し、アデニルサイクラーゼを活性化することにより、cyclic AMP
の産生を介し、その作用を発現すると考えられている。一方、このPTHの作用機序を応用し、
PTHを外因性に負荷し、副甲状腺機能低下症のPTHに対する腎の反応性を調べるEllsworthHoward試験は、本症の病型鑑別に重要な検査として古くから広く用いられている。本試験に
は、従来ウシPTH製剤が用いられてきたが、これに代わるものとして本剤が開発された。本剤
は、生物学的活性を有するヒトPTH断片で、特発性副甲状腺機能低下症と偽性副甲状腺機能低
下症とを鑑別診断するうえで、有用な診断用医薬品であることが認められている。
C O N T E N T
■ 開発の経緯
■ 薬効薬理 ■
■
■
■
■
1
1
特徴(特性) 2
ドラッグ・インフォメーション
3
● Ellsworth-Howard試験
5
● Ellsworth-Howard試験の実施方法
6
臨床成績
8
● 臨床成績
8
● 副作用
9
薬物動態 10
■
■
■
■
■
■
11
一般薬理試験及び毒性試験 11
製剤学的事項 13
取扱い上の注意 13
包装 13
関連情報 14
主要文献 14
製造販売業者の氏名又は名称及び住所 14
特徴(特性)
■ テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」の特性
1 ヒトPTHの生物学的活性部分であるN末端(1-34)を化学的に合成したペプ
チド製剤です。
2 国内初の診断用ヒトPTH製剤です。
3 Ellsworth-Howard試験に用いられる唯一の診断用医薬品です。
4 副作用発現例は総症例 1,414 例中 149 例で、発現頻度は10.54%でした。
その主な症状は、潮紅、熱感、動悸、頻脈、血圧降下等の循環器症状 120 例
(8.49%)、悪心等の消化器症状22例(1.56%)等でした(再審査終了時)。
また重大な副作用としてショックが起こる可能性があります(頻度不明)。
2
ドラッグ・インフォメーション
「禁忌を含む使用上の注意」の改訂に十分ご留意ください。
■ 禁忌
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
1. 高カルシウム血症の患者[高カルシウム血症を悪化させるおそれがある。
]
2. 本剤に対して過敏症の既往歴のある患者
3. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[
「5. 妊娠、産婦、授乳婦等への投与」
の項参照]
■ 組成・性状
本剤は、白色の固体又は粉末で用時溶解して用いる凍結乾燥製剤である。
販 売 名
**
*
成分・含量(1バイアル中)
剤 形
添 加 物
pH
浸透圧比
(生理食塩液に対する比)
テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」
テリパラチド酢酸塩
100テリパラチド酢酸塩単位
注射剤
D-マンニトール5mg
6.0〜7.5※
約1※
※本剤1バイアルに日局生理食塩液3mLを加えて溶解した場合
■ 有効成分に関する理化学的知見
* 一般名:テリパラチド酢酸塩(Teriparatide Acetate, JAN)
(Teriparatide r-INN)
化学名:L -seryl-L-valyl-L-seryl-L-α-glutamyl-L-isoleucyl-L-glutaminyl-L-leucyl-L-methionyl-Lhistidyl-L-asparaginyl-L-leucyl-glycyl-L-lysyl-L-histidyl-L-leucyl-L-asparaginyl-L-seryl-Lmethionyl-L-α-glutamyl-L-arginyl-L-valyl-L-α-glutamyl-L-tryptophyl-L-leucyl-L-arginylL-lysyl-L-lysyl-L-leucyl-L-glutaminyl-L-α-aspartyl-L-valyl-L-histidyl-L-asparaginyl-Lphenylalanine pentaacetate
分子式:C181H 291N55O51S2・5CH 3 COOH
分子量:4418.00
構造式:
融 点:210℃(分解)
性 状:本品は白色の粉末で、においはないか又は、わずかに酢酸臭があり、味はない。本品は水又
は酢酸(100)に極めて溶けやすい。本品の水溶液(1→1000)のpHは4.0〜6.0である。本品は
吸湿性である。
■ 効能・効果
Ellsworth-Howard試験
3
:2008年6月改訂
:2008年5月改訂
**
*
*
■ 用法・用量(Ellsworth-Howard試験実施方法を参照)
1回100テリパラチド酢酸塩単位を用時、日局生理食塩液3mLに溶解し、静脈内に注射する。
なお、体表面積が1m2未満の小児の場合には、100テリパラチド酢酸塩単位/m2投与する。
■ 使用上の注意
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1)腎疾患・心疾患のある患者[腎疾患・心疾患を悪化させるおそれがある。]
(2)気管支喘息、発疹(紅斑、膨疹等)等の過敏症状を起こしやすい体質の患者
(3)高齢者[「4.高齢者への投与」の項参照]
2.重要な基本的注意
本剤はポリペプチド製剤でありショック症状を起こす可能性があるので、アレルギー既往歴、
薬物過敏症等について十分な問診を行い、投与後は患者の状態を十分観察すること。
.
副作用
3
総症例1,
414例中、149例(10.
54%)
に副作用が認められた。その主なものは、潮紅、熱感、動
悸、頻脈、血圧降下等の循環器症状120例(8.
49%)、悪心等の消化器症状22例(1.
56%)等
であった
(再審査終了時)。
(1)重大な副作用
ショック(頻度不明) ショックを起こす可能性があるので、観察を十分に行い、症状があ
らわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(2)その他の副作用
頻度
0.1〜5%未満
分類
過 敏 症 注 ) 発疹
顔面潮紅、熱感、動悸、頻脈、不
循 環 器
整脈、
胸痛、
血圧降下、
血圧上昇
消 化 器 悪心、
嘔吐、
下痢
神 経 系 しびれ感、
腰痛、
頭痛、
めまい
肝
臓
そ の 他 脱力感、
不快感
0.1%未満
頻度不明
蕁麻疹
顔色不良
口渇
筋痙攣、
意識喪失
テタニー、
硬直
AST(GOT)
・ALT(GPT)
の
上昇
瘙痒、
全身倦怠感、
あくび 悪寒、
咽頭痛
注)発現した場合には、投与を中止すること。
4.高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら、慎重に投与す
ること。
5.妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。
[ウサギを用いた静脈内投与
による器官形成期投与試験において、胎児毒性(胎児死亡)が認められている。]
6.適用上の注意
(1)溶解後:溶解後は速やかに使用すること。
(2)投与時:3分以上かけてゆっくり注射すること。
7.その他の注意
ラットに2年間皮下投与したがん原性試験において、骨肉腫がみられたとの報告がある。
このドラッグ・インフォメーションは2008年6月改訂(第8版)の
製品添付文書に基づいて作成したものです。
4
ドラッグ・インフォメーション
■ Ellsworth-Howard試験
本試験は、PTHに対する腎の反応性(尿中リン酸増加反応とcyclic AMP増加反応)を指標に
し、特発性副甲状腺機能低下症と偽性副甲状腺機能低下症とを鑑別診断する検査である。
Ellsworth-Howard試験による病型鑑別の原理
副甲状腺機能低下症におけるEllsworth-Howard試験の反応性と生化学的検査1)
山本 通子 他:日本内分泌学会雑誌, 58
(9),1081(1982)
5
■ Ellsworth-Howard試験の実施方法
1. 方法
厚生省特定疾患ホルモン受容機構異常調査研究班の方法に準じる2)。
成人は〔A〕の標準法に従うのを原則とする。小児も可能ならば午後1時にPTHを投与する方
法が望ましい。その際のPTH投与量や飲水は〔B〕の方法に準拠する。
〔A〕
(標準法−午後1時PTH投与)
〔B〕
(乳幼児変法−午前10時PTH投与)
6
ドラッグ・インフォメーション
2. 判定基準
3. 判定基準(リン酸反応)の適用条件
1)検査時、低カルシウム高リン血症の状態にある。
{
血清カルシウム(補正)値:8.4mg/dL未満(注)
血清無機リン値:3.5mg/dL以上(成人) 4.5mg/dL以上(小児)
2)著しい腎機能低下がない。
血清尿素窒素:30mg/dL以下またはクレアチニン:2mg/dL以下
3)リン酸欠乏状態にない。
PTH投与前の尿中リン酸排泄量:10mg/2時間以上
4)尿中リン酸排泄の日内変動が大きくない。
PTH投与前2回の尿のリン酸排泄の差:17.5mg/時間未満
5)採尿ミスなどがない。
PTH投与前後各2時間の尿中クレアチニン排泄量の比:0.8~1.2
(注)血清カルシウム値の正常下限を8.4mg/dLとする。低蛋白血症など血清蛋白量に異常のある場合は、下記の補正をした値
で判定することが望ましい。
補正カルシウム量=
実測カルシウム量
0.55+
7
総蛋白
16
又は = 実測カルシウム値+(4-アルブミン)
臨床成績
●「禁忌を含む使用上の注意」につきましては3∼4頁をご参照ください。
■ 臨床成績
2〜5)
2)承認時評価資料,
3)承認時評価資料,
4)承認時評価資料,
5)承認時評価資料,
尾形 悦郎 他:日本内分泌学会雑誌, 60
(8),971(1984)
山本 通子 他:ホルモンと臨床, 31
(8),765(1983)
深見 隆則 他:日本内分泌学会雑誌, 60
(3),159(1984)
安田 敏行 他:ホルモンと臨床, 32
(7),639(1984)
厚生省特定疾患ホルモン受容機構異常調査研究班及び日本内分泌学会診断用ヒトPTH(134)検討委員会で実施されたEllsworth-Howard試験のうち、副甲状腺機能低下症178例(成
人131例、13才未満の小児47例)を対象とした試験成績をもとに判定基準が設定された。その
結果、特発性副甲状腺機能低下症と偽性副甲状腺機能低下症との鑑別診断に有用であるこ
とが認められた。
Ellsworth-Howard試験による尿中のリン酸およびcyclic AMPの反応性
成 人(50例)4)
小 人(47例)5)
8
臨床成績
■ 副作用
総症例1,414例中、
149例
(10.54%)
に副作用が認められた。
その主なものは、
潮紅、
熱感、
動悸、
頻脈、
血圧
降下等の循環器症状120例
(8.49%)
、
悪心等の消化器症状22例
(1.56%)
等であった
(再審査終了時)
。
副作用発現頻度一覧
承認時までの調査
承認時以降の調査※
141
629
770
調 査 症 例 数[2]
374
1,040
1,414
副作用発現症例数[3]
50
99
149
副 作 用 発 現 件 数[4]
77
153
230
13.37%
9.52%
10.54%
副作用発現症例率
([3]/[2]
×100)
(%)
副作用の種類
皮膚・皮膚付属器障害
副作用発現件数
(%)
2
(0.53)
3
(0.29)
蕁麻疹
(0.07)
1
(0.27)
1
(0.07)
1
発汗
(0.10)
1
発疹
中枢・末梢神経系障害
5
(0.35)
(0.10)
1
そう痒
(0.27)
1
3
(0.80)
(0.07)
1
(0.10)
1
15
(1.44)
(0.14)
2
18
(1.27)
筋痙攣
(0.10)
1
(0.07)
1
強直性痙攣
(0.10)
1
(0.07)
1
全身性強直性間代性痙攣
(0.10)
1
(0.07)
1
意識喪失
(0.10)
1
(0.07)
1
頭痛
(0.27)
1
(0.48)
5
(0.42)
6
しびれ
(感)
(0.53)
2
(0.38)
4
(0.42)
6
めまい
自律神経系障害
(0.19)
2
23
(6.15)
41
(3.94)
(0.14)
2
64
(4.53)
血圧上昇
(0.19)
2
顔色不良
(0.10)
1
(0.07)
1
32
(3.08)
54
(3.82)
潮紅(フラッシング)
22
(5.88)
血圧降下
(0.27)
1
精神障害
消化管障害
(0.14)
2
10
(0.96)
1
(0.10)
あくび
11
(0.78)
1
(0.07)
(0.10)
1
5
(1.34)
悪心
17
(1.63)
(1.07)
4
(0.07)
1
22
(1.56)
15
(1.44)
19
(1.34)
嘔吐
(0.19)
2
(0.14)
2
下痢
(0.19)
2
(0.14)
2
口渇
心拍数・心リズム障害
(0.27)
1
13
(3.48)
動悸
(0.07)
1
27
(2.60)
(2.41)
9
頻脈
(1.34)
5
不整脈
(0.27)
1
呼吸器系障害
30
(2.12)
(0.10)
1
(0.07)
1
(0.58)
6
11
(0.78)
(0.10)
1
1
(0.10)
呼吸停止
(0.14)
2
1
(0.07)
(0.10)
1
泌尿器系障害
1
(0.10)
尿量減少
一般的全身障害
40
(2.83)
21
(2.02)
心停止
(0.07)
1
1
(0.07)
(0.10)
1
28
(7.49)
37
(3.56)
(0.07)
1
65
(4.60)
胸痛
(0.27)
1
(0.29)
3
(0.28)
4
腰痛
(0.27)
1
(0.48)
5
(0.42)
6
発熱
(0.10)
1
(0.07)
1
全身倦怠(感)
(0.10)
1
(0.07)
1
不快感
熱感
脱力
(感)
適用部位障害
注射部発赤
※(平成5年3月30日迄)
9
合計
調 査 施 設 数[1]
(0.27)
1
(0.10)
1
(0.14)
2
25
(6.68)
25
(2.40)
50
(3.54)
(0.27)
1
(0.19)
2
1
(0.10)
(0.21)
3
1
(0.07)
(0.10)
1
(0.07)
1
器官別の小計は、
副作用発現件数の合計ではなく、
器官別副作用発現症例数(%)
とした。
薬物動態
■ 薬物動態
血中濃度(患者)6)
本剤20μg(67単位)
を特発性及び術後性副甲状腺機能低下症の患者17例に静脈内投与した場合、
投与後5分で2.63ng/mLの平均血中濃度を示し、血中半減期は3分と28分の二相性を示した。
血中濃度推移
Konagaya Y. et al.:Jap. J. Med., 23
(3)
, 199
(1984)
(参考)
1.組織内分布(ラット)7)
125
Ⅰ-テリパラチド酢酸塩をラットに静脈内投与した直後の放射能は、腎臓、肺、肝臓の順に高
濃度に分布した。
2.代謝(in vitro)8)
ヒト血清、ラット腎臓及びラット肝臓抽出液中で経時的に生物活性を失い、ヒト血清中で、
37℃、9時間反応させた際には80%の活性を消失した。また、ラット腎臓抽出液中では主にカ
ルボキシペプチダーゼA、トリプシン及びアミノペプチダーゼで加水分解された。
3.排泄(ラット)9)
125
Ⅰ-テリパラチド酢酸塩をラットに静脈内投与した場合、投与後48時間までに尿中に81%、糞
中に4.5%の放射能が排泄された。
【用法・用量】
1回100テリパラチド酢酸塩単位を用時、日局生理食塩液3mLに溶解し、静脈内に注射する。
なお、体表面積が1m2未満の小児の場合には、100テリパラチド酢酸塩単位/m2投与する。
10
薬効薬理
■ 非臨床試験
1.血清カルシウム及び血清リンに対する作用(ラット)10)
テリパラチド酢酸塩は甲状腺・副甲状腺摘除ラットの血清カルシウム値を上昇させ、血清リン
値を低下させた。
2.腎に対する作用(ラット)11)
術後性副甲状腺機能低下症病態モデルラットに、テリパラチド酢酸塩を投与すると尿中リン酸
及び尿中cyclic AMP排泄量は著しく増加した。
一般薬理試験及び毒性試験
■ 一般薬理試験
呼吸・循環器系に対しては、拡張期圧の下降(ウサギ、0.3単位/kg、イヌ、0.4単位/kg)、収縮期
圧の下降(ウサギ、1.5単位/kg)、心拍数の増加(ウサギ、1.5単位/kg、イヌ、0.75単位/kg)、呼
吸回数の増加(イヌ、0.75単位/kg)、血流量の増加(イヌ、3.0単位/kg)、摘出気管筋の弛緩(モ
ルモット、0.3単位/mL、in vitro)、摘出心房の収縮力増大及び律動数増加(モルモット、0.03単
位/mL、in vitro)が認められた。自律神経系に対しては、ノルアドレナリン、アセチルコリン等に
より惹起した摘出平滑筋収縮の抑制が認められた(ウサギ大動脈、0.3単位/mL、ラット輸精管、
0.1単位/mL、モルモット回腸、0.3単位/mL、ラット胃、0.03単位/mL、in vitro)。
生殖・泌尿器系に対しては、発情期子宮の自動運動(ウサギ、0.3単位/kg)、妊娠子宮の自動運動
(ウサギ、1.5単位/kg)及び摘出発情期子宮の自動運動(ラット、0.3単位/mL、in vitro)の抑制
が認められた12)。
■ 毒性試験
単回投与毒性試験
急性毒性:LD5012)
(単位/kg)
動物
マウス
ラット
11
投与経路
静脈内
筋肉内
皮下
経口
雄
>3,300
>3,300
>3,300
>3,300
雌
>3,300
>3,300
>3,300
>3,300
雄
>3,300
>3,300
>3,300
>3,300
雌
>3,300
>3,300
>3,300
>3,300
反復投与毒性試験
1)亜急性毒性試験13)
ラットに33及び330単位/kgを29日間連続静脈内投与した結果、両群とも一過性の皮膚の
潮紅、血清アルカリホスファターゼの上昇を認めた。また、330単位/kg投与群では脾臓重
量の増加を認めた。
2)慢性毒性試験
該当資料なし。
(本剤は1回投与による診断薬であるため実施していない。)
生殖発生毒性試験
1)妊娠前及び妊娠初期投与試験14)
ラットに8、40、200単位/kgを静脈内投与した試験において、40単位/kg以上の投与群で
親動物に一過性の皮膚の潮紅が認められた。胎仔に対しては200単位/kg投与において何
ら影響を及ぼさなかった。
2)器官形成期投与試験15〜17)
ラットに8、40、200単位/kgを静脈内投与した試験において、40単位/kg以上の投与群で
母動物に一過性の皮膚の潮紅が認められた。また、200単位/kg投与群の4週齢F1の雄で
肝臓重量の増加、末期胎仔(F2)の雌の体重減少、生後4週齢のF2の精巣上体重量の増
加が認められた15)。
ウサギに0.4、2、8、40、200単位/kgを静脈内投与した試験において、2単位/kg以上の群
で胚胎児死亡の増加が観察された16)。また、追加試験の40単位/kg群で胎児の外形異常
が増加した17)。
3)周産期及び授乳期投与試験18)
ラットに8、40、200単位/kgを静脈内投与した試験において、親動物、胎児及び出生児を
観察した結果、異常は認められなかった。
その他の特殊毒性
1)抗原性19)
モルモットに4単位/匹を単独又はアジュバントと共に皮下投与したが、全例全身性アナフィ
ラキシー反応及びホモロガスPCA反応を認めなかった。
2)変異原性20~22)
マウスに132及び1,320単位/kgを3日間又は42日間連続腹腔内投与したが、精子数及び精
子形態に何ら異常を認めなかった。細菌を用いた復帰変異試験を実施したが、変異原性は
認められなかった。
DON-D-6細胞の染色体及び姉妹染色分体交換頻度に33単位/mL以下の濃度では何ら影
響を与えなかった(in vitro)。
12
製剤学的事項 / 取扱い上の注意 /包装
■ 製剤学的事項
製剤の各種条件下における安定性
保存条件
-26〜-20℃
0〜8℃
温度
25±1℃
45±1℃
室内散光下
光
直射光下
保存期間
24ヵ月
12ヵ月
4ヵ月
12ヵ月
28日
試験結果※
保存状態
いずれの観察項目にも変化は認めなかった
無色透明
バイアル
9ヵ月目より含量の低下
4ヵ月目より含量の低下
12ヵ月目より含量の低下
21日目より含量の低下
※外観、含量、水分
溶解後の安定性
本剤1バイアルに日局生理食塩液3mLを加えて溶解した後室温保存し、48時間にわたって力価を
測定した。
溶解条件
溶解直後
106.5
1バイアル/日局生理食塩液3mL
保存時間(時間後)
6
12
24
100.5
100.5
91.5
(テリパラチド酢酸塩単位/バイアル)
*本剤は、溶解後速やかに使用すること。
■ 取扱い上の注意
規制区分:処方箋医薬品*
*注意-医師等の処方箋により使用すること
貯 法:8℃以下、遮光保存
使用期限:1年6ヵ月(外箱等に表示)
■ 包装
テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」:1バイアル
本資料は『医療用医薬品製品情報概要等に関する作成要領』に則り作成しています。
13
48
102.5
関連情報 /主要文献 /製造販売業者の氏名又は名称及び住所
■ 関連情報
承認番号及び承認年月日
承認番号:22000AMX00470000
承認年月日:2008年3月7日
(販売名変更前の「ヒトPTH注(東洋)」は1987年3月31日、
「ヒトPTH注(旭化成)」は1992年1月1日に、
テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」は
2008年3月7日に製造承認された。承認番号は「ヒトPTH注(東洋)」、
「ヒトPTH注(旭化成)」はともに
(62AM)412であった。)
薬価基準収載年月日
2008年6月20日
(販売名変更前の「ヒトPTH注(東洋)」は1987年5月28日、
「ヒトPTH注(旭化成)」は1992年1月1日に、
テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」は
2008年6月20日に収載された。)
販売開始年月日
2008年6月20日
(販売名変更前の「ヒトPTH注(東洋)」は1987年6月5日、
「ヒトPTH注(旭化成)」は1992年1月1日に、
テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」は
2008年6月20日に販売開始された。)
再審査結果公表年月日
1994年12月7日(結果通知)
(再審査期間1987年3月31日~1993年3月30日中に「ヒトPTH注(東洋)」から
「ヒトPTH注(旭化成)」へ名称変更が行われた。)
■ 主要文献
1)山本 通子 他:日本内分泌学会雑誌, 58
(9)
, 1081
(1982)
(8)
, 971
(1984)
2)承認時評価資料, 尾形 悦郎 他:日本内分泌学会雑誌, 60
(8)
, 765
(1983)
3)承認時評価資料, 山本 通子 他:ホルモンと臨床, 31
(3)
, 159
(1984)
4)承認時評価資料, 深見 隆則 他:日本内分泌学会雑誌, 60
(7)
, 639
(1984)
5)承認時評価資料, 安田 敏行 他:ホルモンと臨床, 32
(3)
, 199
(1984)
6)Konagaya Y. et al.:Jap. J. Med., 23
(6),1003
(1984)
7)山口 正義 他:医薬品研究, 15
(2)
, 142
(1984)
8)Fujita T. et al.:日本骨代謝学会雑誌, 2
9)高野 恒憲 他:社内資料(薬物動態:排泄)
10)桜田 豊三 他:社内資料(薬効薬理:血清カルシウム及び血清リンに対する作用)
11)山本 通子 他:厚生省特定疾患ホルモン受容機構異常調査研究班, 昭和57年度総括研究事業報告書, 160-165
12)柴田 健介 他:社内資料(一般薬理試験)
13)松本 一彦 他:社内資料(急性および亜急性毒性試験)
14)佐々木 真敬 他:社内資料(妊娠前および妊娠初期投与試験)
15)小林 洋四郎 他:社内資料(ラット,器官形成期投与試験)
16)古橋 忠和 他:社内資料(ウサギ,器官形成期投与試験)
17)古橋 忠和 他:社内資料(ウサギ,器官形成期追加試験)
18)古橋 忠和 他:社内資料(周産期および授乳期投与試験)
19)中野 雄司 他:社内資料(抗原性試験)
20)新見 勇 他:社内資料(精子形態異常試験)
21)園 明 他:社内資料(変異原性試験)
22)小柳出 貴巳子 他:社内資料(細菌を用いた復帰変異試験)
■ 製造販売業者の氏名又は名称及び住所
旭化成ファーマ株式会社
〒101-8101 東京都千代田区神田神保町一丁目105番地
【資料請求先】
旭化成ファーマ株式会社 医薬情報部くすり相談窓口
〒101-8101 東京都千代田区神田神保町一丁目105番地
0120-114-936(9:00~17:45/土日祝、休業日を除く)
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2016年8月作成 AH