改善続く国民(内)総所得

2016 年 9 月 第 4 週号
(原則、毎月第 2 週、4 週発行) 2016 年度 vol.12
< フォーカス>改善続く国民(内)総所得
次
15/3
15/11
14/7
13/11
12/7
13/3
11/3
11/11
10/7
09/3
09/11
08/7
07/3
07/11
06/7
05/3
05/11
04/7
03/3
目
<フォーカス>改善続く国民(内)総所得・‥・・・・・・・・・‥・・・・・・‥・・1
・ 経済情勢概況・・・・・・・・・・・・・・・・・・‥・・・・・・‥・・・・・・・・・・・・2
・「総括的検証」を前に金融政策の波及経路と効果を検証・・ 3
・ 9 月調査の日銀短観予測・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
03/11
このところ、実質 GNI(国民総所得)の改善傾向が顕
実質GDP,GNI,GDIの推移
兆円
著である。4-6 月期の GDP2 次速報では、実質 GDP 550
実質GDP
実質GNI
実質GDI
540
の伸びが前期比+0.2%(年率+0.7%)だったのに対
530
し、実質 GNI は前期比+0.5%(年率+1.8%)と高め
520
の伸びとなった。15 年度通年で見ても、実質 GDP の
510
前年比+0.8%に対し、実質 GNI は同+2.6%(実質
500
GDI は同+2.3%)と 3 倍以上の伸びを記録している。 490
480
両者の定義について、まず、名目 GDP と名目 GNI
470
の違いは、国民が海外で稼いだ所得(要素所得=賃
金、利子・配当等)を含めるかどうかである。すなわち、 出所:内閣府
名目 GDP に、海外からの要素所得の受取を加え、支
払を減じたものが名目 GNI となる(名目 GNI=名目 GDP+海外からの純要素所得)。一方、海外からの純要素
所得を除いた概念である GDP と GDI は、名目ベースでは一致するが、実質ベースでは、海外との物価上
昇率の差から生じる購買力の変化分(交易利得)の分だけ差が生じる。たとえば、輸出物価が輸入物価より
も大きく上昇した場合、一単位の輸出「量」で購入できる輸入「量」が増えるため、実質的な購買力は強まる
ことになる。これは 93SNA で導入した所得の実質化という考え方である。
つまり、実質 GNI は、国民による国外の経済活動の成果(要素所得)や物価上昇率の差による購買力の
変化(交易利得)を含む国民の総所得を示すのに対し、両者を除いた実質 GDP は、純粋な国内における経
済活動の規模(生産量)を示すということになる。このところの実質 GNI の改善は、海外景気の回復に伴い要
素所得のプラス幅が拡大してきたのに加え、原油安の進行により、国内で生産した付加価値が分配の段階
で産油国に流出していた状況が改善してきたことを示している。
国内景気の動向を見るうえでは、一般に国内の生産活動の規模が重要となるため、GNI よりも GDP が注
目されるが、国民の経済厚生という意味では、着実な回復軌道に乗っているといえる。
もっとも、これは日本経済の実力というよりも、他力本願的な要素が強く、持続性、また国内景気への効果
も保証されない点には注意が必要である。要素所得は海外景気頼みの部分が大きく、また、多くが再投資
されるため、国内生産に直接寄与する部分は小さい。交易利得も原油価格次第の面が大きく、原油価格の
下げ止まりを考えれば、来年度にかけて改善基調は一服する可能性が高い。総所得の回復傾向が続いて
いる間に、オリンピック需要にバトンタッチするのが 20 年まで見た場合の景気のベストシナリオだが、より中
長期的には、潜在成長率の上昇がない限り、安定的な成長持続は期待できない。(Kodama wrote)
・ 中国の過剰生産能力解消の動きは鈍い・・・・・・・・・・・10
・ 主要経済指標レビュー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
・ 日米欧マーケットの動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
経済ウォッチ
2016 年 9 月第 4 週号
経済情勢概況 (※取り消し線は、前回から削除した箇所、下線は追加した箇所)
日
本
日本経済は、回復の足取りが鈍い。今後も、引き続き交易条件の改善が下支えするとみられるほか、
2017 年度にかけての政府の経済対策の効果が本格化するとみられることから、景気は緩やかな回復
傾向が続くと予想する。
個人消費は、弱めの動きが続いている。原油安に伴う家計の実質購買力の改善が下支えするとみる
ものの、名目賃金の伸び悩みが続くとみられるなか、今後の持ち直しペースは緩やかと予想する。
住宅投資は回復が一服している。今後は、相続税対策としての貸家の節税需要が減衰するとみられ
るほか、需要先食いの影響も残ることで、鈍化に向かうと予想する。
設備投資は、製造業の能力増強投資の低迷が続くとみるものの、更新・維持投資の需要が下支えと
なって、均せば緩やかな回復が続くとみる。公共投資は、2016 年度本予算の執行や、第一次補正予
算の効果が現れることで、緩やかな増加傾向を見込む。
輸出の回復ペースは鈍い。今後も、世界的な投資の冷え込みなどが下押し要因となって、伸び悩み
が続くと予想する。生産は、輸出や消費の戻りが鈍いなか、回復ペースは緩慢とみている。
消費者物価(コア CPI)は、0%を下回って推移している。需要面からの押し上げ圧力が弱いこと
で、物価の戻りのペースも鈍いとみており、2016 年度のコア CPI は、前年比▲0.1%程度にとどまる
と予想する。日銀が目標とする「2017 年度中に 2%程度」の達成も困難とみている。
米
国
米経済は、緩慢な回復が続いている。実質金利がマイナス圏で推移しており、きわめて緩和的な金
融環境が続いているほか、家計のバランスシートの正常化が進んでいることなどから、今後は景気回
復基調が続くと予想する。
個人消費は、雇用環境が改善していることなどから、回復傾向が続くと予想する。
住宅投資は、雇用者数の増加や低金利環境などに支えられ、堅調に推移するとみる。
設備投資は、企業収益の改善などを背景に、徐々に持ち直しに向かうと予想する。ただ、外需は伸
び悩むとみられることなどから、持ち直しペースは緩慢なものにとどまるとみている。
輸出は、新興国景気の減速などを背景に、伸び悩む展開が続くとみる。
FRB は 2015 年 12 月の FOMC で、FF レートの誘導目標レンジを 0.00-0.25%から、0.25-0.50%へ
と引き上げた。今後も景気回復が続くとみており、年内に利上げが実施されると予想する。その後も
2017 年末までは年 2 回程度のペースで利上げが行なわれるとみる。
欧
州
ユーロ圏経済の回復の足取りは鈍い。ECB の緩和的な金融政策や各国の財政スタンスの緩和などが
引き続き景気を下支えするとみているが、英国の EU 離脱を巡る先行き不透明感などが下押し圧力と
なって、ユーロ圏景気は緩慢な回復にとどまると予想する。
個人消費は、消費者マインドの回復の遅れが見込まれるものの、雇用環境の改善などを背景に、持
ち直し傾向が続くとみる。
固定投資は、緩和的な金融環境が下支えとなるものの、企業の生産活動の停滞や、設備投資姿勢の
慎重化などが重しとなることで、回復ペースは鈍いと予想する。
ECB は 3 月の理事会で、主要政策金利を 0.05%から 0.00%へ、中銀預金金利を▲0.3%から▲0.4%
へと引き下げたほか、毎月の資産買入れ額を 600 億ユーロから 800 億ユーロに増額することや、長期
資金供給オペを実施することなどを決定した。英国の EU 離脱決定を受け、景気や物価の下振れリス
クが増していることなどから、ECB は年末までに資産買入れ策の実施期間の延長や、資産買入れルー
ルの変更を決定し、2017 年 3 月以降も資産買入れを継続すると予想する。
2
経済ウォッチ
2016 年 9 月第 4 週号
「総括的検証」を前に金融政策の波及経路と効果を検証
日銀は 9 月に「総括的検証」を実施
日銀は、9 月 20,21 日の金融政策決定会合において、「2%の物価安定の目標をできるだけ早期に
達成する観点」から、量的・質的金融緩和(QQE)・マイナス金利付き QQE のもとでの経済・物価
動向や政策効果について総括的な検証を行なうとしている。本稿では、日銀による検証に先立ち、
QQE、マイナス金利付き QQE 下での経済動向と政策効果の検証を実施し、金融政策の先行きに関す
る考察を行なった。
QQE・マイナス金利付き QQE の景気浮揚効果が限られてきた背景
内閣府による整理では、QQE とインフレ目標政策は、予想物価上昇率の高まり、イールドカーブ
の押し下げ、ポートフォリオ・リバランス効果を経由し、最終的には直接・間接にデフレ脱却に働
きかけるとされている(図表 1)。なお、通貨安についても、日銀は表立って波及経路として挙げ
ていないものの、内閣府では、金融政策が実体経済に働きかける有力な経路としている。ただ、現
実には、物価動向を見ると、物価上昇ペースは、原油価格の下落の影響を除いたコアコア CPI(除
く食料[除く酒類]・エネルギー)でも、依然として目標を下回っているほか、実体経済の改善ペ
ースも鈍い。背景には、波及経路のうち、金融市場への働きかけは想定通り、またはそれ以上に機
能してきたとみられる一方で、主に【QQE・インフレ目標→予想物価上昇率の高まり】という経路
と、【円安→実体経済の改善】という経路の 2 箇所が当初想定されていたように機能してこなかっ
たことが挙げられる。
(図表1)内閣府によるQQEの波及経路の整理と機能が弱かったと考えられる部分
適応的期待形成が期待インフレの上昇を阻害
輸出の為替弾力性
が低下
実質金利の低下↓
イールドカーブ全体への
低下圧力↓
為替の減価↓
デフレ脱却
実体経済の改善
(
需給ギャップの縮小)
量的・
質的金融緩和
2%の物価安定の目標
予想物価上昇率の
高まり↑
ポートフォリオ・リバランス
効果(資産価格の上昇↑)
※斜体部分と点線部分は筆者が追加
(出所)内閣府「平成25年度 年次経済財政報告(2013年7月発行)」より明治安田生命作成
まず、予想物価上昇率について、内閣府の「消
(図表2)名目長期金利と家計の予想物価上昇率、実質金利推計値の推移
2.0 %
QQE
費動向調査」から家計の 1 年後の予想物価上昇
1.5
率を見ると、QQE 導入後は上昇傾向となってい
1.0
たことが分かる。2014 年 4 月に消費増税が実施
0.5
さ れ た後 も前 年比 +1.0% 付近 での 推移 が続 い
0.0
ていたが、昨年半ばごろから伸びが鈍化傾向と
-0.5
名目金利(10年債利回り、a)
家計の予想物価上昇率*(b)
実質長期金利(a-b)
-1.0
なっており、マイナス金利政策導入後も伸びの
マイナス金利政策
16/07
15/07
14/07
13/07
12/07
10/07
名目金利については、イールドカーブを見ると、
11/07
-1.5
鈍化に歯止めがかかっていない(図表 2)。
*消費動向調査の物価見通しをもとに、修正カールソン・パーキン法により推計
(出所)総務省「消費者物価指数」、内閣府「消費動向調査」、日本銀行より明治安田生命作成
3
経済ウォッチ
2016 年 9 月第 4 週号
QQE やマイナス金利付き QQE の導入で、フラット
化が進んだことが見て取れる(図表 3)。一方、
2.5
(図表3)日本国債のイールドカーブの比較
%
2013年3月1日(QQE導入前)
名 目 金 利 か ら 予 想物 価 上 昇 率 を引 い た 実 質 金利
2013年4月4日(QQE導入)
2.0
は、予想物価上昇率の鈍化を受け、名目金利が大
2016年1月29日(マイナス金利政策発表)
直近(9月14日)
1.5
きく低下するなかでも、2015 年以降は、おおむね
横ばい圏内での動きとなっている。このため、マ
1.0
イナス金利付き QQE についても、名目金利の低下
0.5
ほど実質金利への働きかけが大きいとは言えず、
0.0
景気への刺激効果も薄いことが懸念される。
-0.5
1
予想物価上昇率が鈍化している要因としては、
2
3
4
5
7
10
15
20
30
40
年
(出所)ファクトセット
原油価格の下落の影響などを受け、インフレ率の
(図表4)一般化積率法によるニューケインジアン・フィリップスカーブの推計
実績値が鈍化するなかで、過去の物価実績が期待
推計式:πt=λSt+μEt (πt+1 )+νπt-1 +εt
π:インフレ率[コアコアCPI前年比、総務省、
日銀試算に基づき消費増税の影響を除く]、S:需給ギャップ[日銀]
に反映される、いわゆる適応的な期待形成メカニ
ズムが強く働いていることが挙げられる。この点
操作変数:コアコアCPI[4期ラグ]、GDPギャップ[3期ラグ]
推計期間:1990年10-12月期から2016年1-3月期
については、黒田総裁も 8 月 27 日の米ジャクソ
ンホールでの講演において、「長期的なインフレ
予想に弱めの動きが観察されています」、「日本
係数名
λ(需給ギャップ)
μ(合理的期待形成)
係数値
0.02
0.31
t値
2.31
4.10
ν(適応的期待形成)
0.65
11.19
自由度修正済決定係数
J統計量
ではなお(インフレ予想が)十分にアンカーされ
4.50
(出所)明治安田生命作成
ていないという見方ができます」、「日本のイン
フレ動学は米国対比、原油価格の大きな変動を含
(図表5)為替相場の推移
円/ドル、円/ユーロ
150
む 外 的 な シ ョ ッ クに 対 す る 頑 健性 が 低 い と 捉え
140
るのが妥当です」と述べており、こうした見解の
130
妥当性を認めている。
120
110
日本の予想物価の形成メカニズムについて、イ
100
ン フ レ 率 を 需 給 ギャ ッ プ 要 因 と合 理 的 期 待 形成
90
による期待インフレ要因、適応的期待形成による
ユーロ・円
80
期待インフレ要因、の 3 者に分解するニュー・ケ
ドル・円
16/09
16/03
15/09
15/03
14/09
14/03
13/09
13/03
12/09
70
インジアン・フィリップスカーブを推計し、後者
(出所)日本銀行
2 項の係数を比較すると、適応的な期待形成がや
や優勢との結果を得た(図表 4)。こうした適応
(図表6)実質設備投資と実質財輸出の推移(季調値)
千
的な期待形成メカニズムの存在により、日本では
0.95
期待インフレの慣性効果が強い状況が続き、金融
緩 和 下 で も 期 待 イン フ レ が 上 がり に く い 構 造と
90
兆円
↓リーマン・ショック前のピーク(輸出)
80
↑リーマン・ショック前のピーク(設備投資)
70
60
次に、通貨安による景気の浮揚効果について考
50
える。為替相場では、1 月末のマイナス金利政策
40
導入時には、年明け以降の円高トレンドを転換す
30
(出所)内閣府「四半期別GDP速報」
年 10 月の追加緩和決定は円安トレンドを加速さ
4
15/06
13/06
11/06
09/06
07/06
05/06
03/06
01/06
99/06
実質財輸出
97/06
ることができなかったものの、QQE の導入や、2014
実質設備投資
95/06
なっているとみられる。
経済ウォッチ
2016 年 9 月第 4 週号
せる状況をもたらした(図表 5)。一方で、輸出の改善ペースは鈍く、GDP ベースの財輸出は、設
備投資と同様に、リーマン・ショック前のピークを依然として戻していない(図表 6)。
円安が輸出の改善につながってこなかった要因としては、新興国景気の低迷という外部要因のほ
か、日本の輸出製品は高付加価値製品へのシフトが進み、現地通貨での製品価格変動を抑える PTM
(Pricing-to-Market)的な企業行動が拡大したことで、化学関連や電気・電子機器を除くと、円
安下でも契約通貨ベースで製品の値下げが進まなかったことが挙げられる。
こうした構造要因によって、(図表 1)で見たようなトランスミッション・メカニズムの一部が
当初の想定通りに機能しなかったことが、QQE・マイナス金利付き QQE による実体経済への働きか
けといった効果が顕著にみられていない背景といえる。適応的な期待インフレの形成や、輸出の構
造変化は、金融政策により行動様式を変更することが難しい分野であり、今後金融緩和が強化され
たとしても、状況は変化しない可能性が高い。「総括的検証」においても、金融政策で対処すべき
問題と、それ以外の要因についての論点の整理が提示される可能性があると考えている。
現行の量的目標は限界が近い
巨額の国債買入れを続けてきたことで、日銀の
その他国内
金融機関
75
保険・年金
保有部門となっている(図表 7)。現行の量的拡
入れでは、預金取扱機関(銀行等)が日銀の買い
オペに応じ、保有する国債を日銀に売却する形で
19/03
17/03
15/03
13/03
11/03
国債保有構造の推移を見ると、これまでの国債買
日本銀行
0
09/03
比率は 2018 年度内にも 50%に達するとみられる。
預金取扱機関
25
01/03
大ペースが維持された場合でも、日銀の国債保有
予想
50
07/03
日銀の国債保有比率は 3 割であり、単独で最大の
海外
国内非金融部門
05/03
「資金循環統計」を見ると、ストックベースでは、
(図表7)日本国債の保有構造(ストックベース)
%
03/03
バランスシートは GDP の 7 割に達している。日銀
100
※日本国債、財融債、国庫短期証券の合計。予想部分は現行の量的拡大ペースが
維持された場合
(出所)日本銀行「資金循環統計」より明治安田生命作成
買入れが実現されてきたが、預金取扱機関には担保需要があるため、保有分をどこまでも減らせる
という訳ではない。他の部門についても、足元では預金取扱機関と並ぶ国債保有主体である保険・
年金では、資産と負債の統合管理という ALM 運用を進めており、国債保有を削減することが難しい
側面もある。
また、QQE 下、すでに日銀は長期国債を保有しているため、金融政策の出口において金利が大き
く上昇すれば、日銀は評価損を抱えることとなる。IMF による試算では、2014 年末のバランスシー
ト規模(2013 年 4 月時点で QQE を加味した推計値)を前提とすると、イールドカーブ全体が 1%ポ
イント上昇するもっとも穏やかなケースでも、日銀の潜在的な損失は GDP の 2.5%程度に及ぶとの
結果である。
マイナス金利には深堀りの余地があるが限界も
一方で、導入からまだ日も浅いマイナス金利には、一定の深堀り余地が残されていると考えられ
る。ジャクソンホールでの講演では、「マイナス金利政策という新しい実践的な政策手段を取り入
れたことによって、中央銀行はさまざまな負のショックへの対応において、より大きな自由度を獲
得した」と述べており、先行きのマイナス金利の深堀りを示唆した。
ただ、マイナス金利政策はその性質上、現金の保有コストという下限が存在する。定期預金金利
と現金通貨残高の関係を見ると、定期預金金利がゼロ付近まで低下するなか、現金通貨残高はすで
5
経済ウォッチ
2016 年 9 月第 4 週号
に増加傾向となっている(図表 8)。日本では、
(図表8)預金金利と現金通貨残高の関係
マイナス金利導入後もまだ預金金利が明示的に
100
マイナスとなった例はないが、銀行が金利コスト
95
を転嫁するために預金にマイナスの金利を課せ
90
ば、現金需要は急激に増大する可能性がある。こ
85
のように、現金というゼロ金利の資産が存在する
80
以上、市中銀行がマイナス金利を預金金利に転嫁
しはじめ、預金者による預金の現金へのシフトが
生じる点がマイナス金利の限界であり、無限に金
利を深堀りできるという訳ではない。より厳密に
現金通貨残高、兆円
2008年6月-2016年6月
2016年
6月→
75
70
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
(出所)日銀「マネーストック」、
定期預金金利(新規預入分、1千万円以上)、%
「定期預金の預入期間別金利(新規受入分)」より明治安田生命作成
は、銀行が課す預金へのマイナス金利負担が、現金の保管コストを上回りはじめる点がマイナス金
利の下限になるが、治安も良好で現金信仰も強く、「タンス預金」への抵抗が少ない日本では、現
金保有のコストが小さく、マイナス金利の下限が近い可能性がある。
「2 年で 2%」物価目標達成の目途は立たず
一方で、現行の物価目標枠組下では、目標の達
3
2
1
0
和に追い込まれる可能性が高い。ただ、図表 1 で
見たように、金融緩和による実体経済の改善効果
物価の「基調的な動き」*
CPI刈込平均値
16/07
15/07
限り、目標との整合性を保つために追加の金融緩
14/07
-3
13/07
も、「2 年で 2%」のインフレ目標を変更しない
*白塚(2015)に基づき、CPI総合に
HPフィルター(λ=14,400)を用いて算出
いずれの系列とも消費増税の影響を除く
2016年5月までの除く生鮮・エネルギー、刈込平均は2010年基準
12/07
-2
11/07
「物価の基調」は弱まっている(図表 9)。今後
10/07
-1
09/07
標につ いても、年明 け以降の円高 の影響もあり 、
08/07
当初からすでに 4 回後ずれしているほか、物価目
(図表9)物価の「基調的な動き」とコアCPI、新型コア指数の推移
07/07
を物価目標としているが、達成時期は、QQE 導入
06/07
成は困難とみられる。現在、日銀は「2 年で 2%」
%
除く生鮮食品
除く生鮮・エネルギー
(出所)総務省「消費者物価指数」、日本銀行より明治安田生命作成
が限定的であり、またマイナス金利導入後は為替相場への影響も限られているため、追加緩和後も
物価上昇は加速せず、さらに追加緩和圧力が高まるという展開が懸念される。
黒田日銀は「柔軟な物価目標」への移行か
このように、買入れの量的な限界が近づいていることに加え、マイナス金利もどこまでも深堀り
できる訳ではないにもかかわらず、追加緩和期待が頻繁に生じているが、9 月会合では、「総括的
検証」を踏まえ、「物価の基調」の下振れを受けた追加緩和策や、金融政策の枠組みの変更も検討
される可能性が高いとみている。枠組みの変更において参考となるとみられるのが多くの国が採用
する「中長期的な物価安定目標」を掲げるフレキシブル・インフレ目標政策への移行である。例え
ば、英イングランド銀行は、足元のインフレ率が物価目標(2%)から乖離している場合、中銀総
裁が財務相宛の公開書簡を発行する。書簡の内容は、物価が目標から乖離している背景に関する考
察と物価見通し、目標達成での適切な期間についての見解、物価目標が未達であることへの政策対
応、などが含まれる。こうした体制ならば、目先の物価の下振れ下でも追加緩和期待の高まりを回
避することが可能となるため、このような形のフレキシブル・インフレ目標政策への移行が模索さ
れると考えられる。(担当:山口)
6
経済ウォッチ
2016 年 9 月第 4 週号
9 月調査の日銀短観予測
9 月調査日銀短観の公表日が迫る
政府は9月の月例経済報告における基調判断を、「景気は、このところ弱さもみられるが、緩や
かな回復基調が続いている」とし、8月の判断をすえ置いた。先行きについても、「雇用・所得環
境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される。ただ
し、海外経済で弱さがみられており、中国を始めとするアジア新興国や資源国等の景気が下振れし、
我が国の景気が下押しされるリスクがある。また、英国のEU離脱問題など、海外経済の不確実性
の高まりや金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。さらに、平成28年(2016年)熊本地
震の経済に与える影響に十分留意する必要がある」とし、景気は回復基調が続くとしつつも、海外
景気の悪化がリスク要因であるとの見方を示している。
こうした環境下、企業が足元や先行きの景気動向をどのように見ているのかを捉えるため、10月
3日に公表される日銀短観(9月調査)の結果に注目が集まっている。本稿では、日銀短観と連動性
の高いロイター短観、QUICK短観、商工中金の景況判断指数、内閣府の景気ウォッチャー調査など
から、その結果を予想した。
大企業・製造業の業況判断 DI は横ばいの見通し
(図表1)日銀短観(6月調査)業況判断DIの予想
まず、大企業・製造業の業況判断 DI は、6 月調
6月調査実績
査の+6 から横ばいと予想する(図表 1)。為替
6月
の 円 高 推 移 が 輸 出 関 連 企 業 の 下 押 し 圧 力 と なっ
たものの、公共投資関連分野での受注の回復など
最近
大企業
製造業
が下支えしたとみている。
非製造業
日銀短観の大企業の業況判断 DI に連動する傾
中小企業
製造業
向があるロイター短観を見ると、9 月の製造業の
業況判断 DI は+5 と、6 月の+3 から 2 ポイント
非製造業
ポイント
(前月から横ばい)、8 月は+1(同 2 ポイント悪
40
化)、9 月は+5(同 4 ポイント改善)となってい
20
る。8 月に大きく落ち込んでおり、7 月末にかけ
0
たとみられるが、その後は落ち着きを取り戻した
9月
先行き
12月
予測
変化
予測
変化
12
12
12
0
14
6
6
6
0
8
2
2
19
17
18
▲1
20
2
▲1
▲5
▲3
▲2
▲2
1
▲5
▲7
▲6
▲1
▲5
1
0
▲4
▲1
▲1
0
1
(出所)日銀短観等より明治安田生命作成
改善した(図表 2)。単月の推移では、7 月は+3
て の 急 速 な 円 高 進 行 が 景 況 感 の 悪 化 に つ な がっ
9月調査の当社予測値
9月
(図表2)景況感指数の推移(大企業・製造業)
ポイント
予想 ⇒
60
40
20
0
-20
-20
-40
-40
ことで、9 月の DI も持ち直したとみられる。
中、3 業種(石油・窯業、電機、精密・その他)
-80
が改善、5 業種(繊維・紙パ、鉄鋼・非鉄、食品、
-100
金属・機械、輸送用機器)が悪化、1 業種(化学)
が横ばいと、まちまちな結果となった。改善した
-60
日銀短観〈左軸〉
ロイター短観〈右軸:2四半期移動平均〉
-80
-100
05/12
06/06
06/12
07/06
07/12
08/06
08/12
09/06
09/12
10/06
10/12
11/06
11/12
12/06
12/12
13/06
13/12
14/06
14/12
15/06
15/12
16/06
業種別に 6 月から 9 月の動きを見ると、9 業種
-60
(出所)日銀、ロイター短観より明治安田生命作成
業種では、「震災復興、防災・減災工事などに関連した受注が引き続き好調」(機械)など、熊本
地震からの復興需要や、政府の経済対策による公共工事の増加が寄与しているとの声があったもの
の、「国内の新車販売の不振により、生産・販売が上向かない」(輸送用機器)や、「円高による
7
経済ウォッチ
2016 年 9 月第 4 週号
取引先マインドの低下」(機械)など、国内需要の低迷や円高による悪影響を 指摘 する 声も 多 い。
QUICK 短観を見ると、製造業の業況判断 DI は、6 月の+9 から、9 月の+10 へと、1 ポイント改
善した。単月の推移を見ると、7 月は+7(前月から 2 ポイント悪化)、8 月は+8(同 1 ポイント
改善)、9 月は+10(同 2 ポイント改善)と、7 月に落ち込んだ後、緩やかに回復する形となって
おり、金融市場の落ち着きを受けて、改善に向かったとみている。
先行きの見通しは改善か
ロイター短観によると、製造業の先行き 12 月の業況判断 DI は+9 と、9 月の+5 から 4 ポイント
改善する見通しである。業種別では、化学、金属・機械、輸送用機器の 3 業種が改善、繊維・紙パ、
石油・窯業、鉄鋼・非鉄、食品、電機の 5 業種が横ばい、悪化は精密・その他のみとなった。QUICK
短観でも、製造業の先行き 12 月は+12 と、9 月の+10 から 2 ポイントの改善となっている。世界
景気の先行き不透明感が和らぐことで、日銀短観における大企業・製造業の先行き 12 月は+8 と、
9 月調査の当社予想から 2 ポイント改善すると予想する。
大企業・非製造業の業況判断 DI は小幅悪化
ロイター短観における非製造業の業況判断 DI は、6 月の+17 から 9 月は+14 へと、3 ポイント
悪化した。単月の推移を見ると、7 月は+15(前月から 2 ポイント悪化)、8 月は+18(同 3 ポイ
ント改善)、9 月は+14(同 4 ポイント悪化)と、9 月の落ち込みが目立つ。業種別に 6 月から 9
月の動きを見ると、6 業種中 2 業種(不動産・建設、運輸・電力等)が改善、4 業種(卸売、小売、
通信・情報サービス、その他サービス)が悪化となった。悪化した業種からは、「衣料品を中心に
販売が不振」(小売)、「低価格帯サービスの競争激化」(その他サービス業)など、消費者の節
約志向の高まりを示唆するコメントが出ている。
QUICK 短観では、非製造業の業況判断 DI は、6 月の+29 から、9 月も横ばいとなっている。単月
の推移を見ると、7 月は+29(前月から横ばい)、8 月は+31(同 2 ポイント改善)、9 月は+29
(同 2 ポイント悪化)となった。国内消費の回復の弱さを受け、日銀短観における大企業・非製造
業の業況判断 DI は、6 月調査の+19 から+18 へと、1 ポイント悪化すると予想する。
先行き見通しについては、政府の経済政策の効果が本格化することへの期待もあって、非製造業
の業況判断 DI は、9 月の+18(当社予想)から+20 へと、2 ポイント改善するとみている。
中小企業製造業の業況判断 DI は小幅悪化を予想
日銀短観の中小企業の業況判断 DI と連動する
ポイント
傾向が強い統計は、商工中金が公表している景況
20
判断指数である(図表 3)。直近 8 月調査の同指
10
数は、製造業が 43.7 と、7 月調査の 46.6 から 2.9
0
(図表3)景況感指数の推移(中小企業・製造業)
ポイント
60
予想 ⇒
50
-10
ポイント悪化、非製造業も 48.4 と 7 月調査の 48.8
-20
から 0.4 ポイント悪化した。9 月予測については、
-30
製造業が 47.7 と前月比 1.6 ポイントの改善、非
-40
40
30
-50
製造業も 48.6 と、同 0.2 ポイントの小幅の改善
-60
-70
と、飲食店・宿泊(8 月:53→9 月:47)の悪化
-80
20
日銀短観〈左軸〉
商工中金景況判断指数
〈右軸:9ヵ月移動平均〉
10
05/12
06/06
06/12
07/06
07/12
08/06
08/12
09/06
09/12
10/06
10/12
11/06
11/12
12/06
12/12
13/06
13/12
14/06
14/12
15/06
15/12
16/06
を見込んでいる。非製造業の予測を業種別に見る
が目立っており、消費者の節約志向の高まりのほ
(出所)日銀、商工中金資料より明治安田生命作成
か、インバウンド消費の鈍化が影響しているとみ
8
経済ウォッチ
2016 年 9 月第 4 週号
られる。
8 月の景気ウォッチャー調査を見ると、企業動向関連 DI が 47.2(製造業 45.9、非製造業 48.5)
と、2 ヵ月連続で改善している。ウォッチャーの判断理由を見ると、「上半期に公示された大型公
共工事の受注者が確定してきている(東北=建設業)」など、公共投資の増加を指摘する声が聞か
れる一方、「今春から販売数量が 3 ヵ月前と、前年同月比と比較しても減少傾向にある。景気の先
行き不透明感から消費が伸びていない様子である(北陸=食料品製造業)」など、国内消費の弱さ
を指摘する声も出ている。日銀短観における中小企業・製造業の業況判断 DI は、6 月調査の▲5 か
ら▲6 へと 1 ポイント悪化、中小企業・非製造業も同+0 から▲1 へと 1 ポイント悪化すると予想す
る。
大企業の設備投資計画は小幅上方修正
日銀短観において、業況判断 DI と並んで注目度が高い
(図表4)日銀短観設備投資計画予想(全産業・前年比)
2016 年度の設備投資計画(ソフトウェアを除く、土地を
含む)は、4-6 月期調査の前年度比+0.5%から、この 7
-9 月調査では、同▲0.2%へと下方修正された。規模別
に見ると、中小企業が同▲13.1%から同▲12.3%へ小幅上
方修正された一方、大企業が同+8.3%から同+6.8%へ下
方修正されており、全体を押し下げた。大企業の計画を業
種別に見ると、非製造業(上期計画:同+6.3%→+6.5%、
下期計画:同+1.5%→+3.3%)は上期と下期のいずれも
16年度
15年度
のが 設備投資 計画である 。法人企 業景気予測 調査では 、
全規模
実績
3月
調査
6月
調査
9月
当社予測
%
%
%
%
5.0
▲ 4.8
0.4
3.1
製造業
9.1
▲ 0.9
6.0
6.9
非製造業
2.9
▲ 6.8
▲ 2.5
0.9
3.4
▲ 0.9
6.2
7.0
製造業
8.4
3.1
12.8
12.5
非製造業
1.0
▲ 2.9
2.7
3.3
大企業
中小企業
製造業
非製造業
7.2
▲ 19.3
▲ 14.9
▲ 7.9
11.5
▲ 22.0
▲ 17.8
▲ 10.7
5.2
▲ 18.0
▲ 13.5
▲ 6.6
(出所)日銀短観等より明治安田生命作成
上方修正となったものの、製造業(上期計画:同+26.4%→+16.2%、下期計画:同+7.1%→+
5.1%)は上期を中心に下方修正されている。英国の EU 離脱国民投票を巡る不透明感や円高の進行
を受け、設備投資が慎重に進められたとみられる。一方、中小企業は、実際の設備投資計画が固ま
るにつれて上方修正されたとみている。
こうした動きは日銀短観にも反映されるとみられ、日銀短観における 2016 年度の設備投資計画
では、大企業は、製造業がほぼ横ばい、非製造業が小幅の上方修正を見込み、全体でも同+6.2%
から同+7.0%へと小幅の上方修正にとどまるとみる。一方、中小企業は、実際の計画が固まるに
つれて上方修正されるとみており、同▲14.9%から同▲7.9%へ改善すると予想する(図表 4)。設
備投資計画全体では同+3.1%と、6 月調査の同+0.4%から上方修正されるとみるものの、引き続
き 2015 年度(6 月調査:4.0%→9 月調査:6.4%)を下回る伸びにとどまると予想する。
(担当:山口)
9
経済ウォッチ
2016 年 9 月第 4 週号
中国の過剰生産能力解消の動きは鈍い
中国は過剰生産能力の解消に取り組む
世界
ントなどの業種に多く、供給過剰がデフレ圧力と
中国
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
過剰生産設備は、鉄鋼、石炭、板ガラス、セメ
2005
調整を進めると強調した。
2004
業の再編・淘汰など、「供給側改革」による構造
2003
過 剰生産 能力の 解消や 赤字体 質となっ ている 企
2002
れた全国人民代表大会(全人代)でも、李首相は、
36
32
28
24
20
16
12
8
4
0
-4
2001
造の転換をめざしている。2016 年 3 月に開催さ
%
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
-2
2000
中国政府は、投資主導から消費主導への経済構
(図表1)世界の粗鋼生産量と前年比の推移
億トン
前年比(中国、右軸)
(出所)世界鉄鋼協会
なっている。中国の粗鋼生産量は世界の約 5 割を
占めるが、過剰生産された鉄鋼は、安値で海外へ輸出され、世界的な鉄鋼企業の業績悪化につなが
り、国際問題となっている。9 月の 20 ヵ国・地域首脳会議(G20)でも、特定業種の過剰生産能力
が世界的な課題と認識され、首脳宣言では、グローバルフォーラムの設立を通じた情報共有と協力
を促進するとの内容が盛り込まれた。
2015 年の中国の粗鋼生産量は約 8 億トン、前
(図表2)鉄鉱石価格と上海総合株価指数の推移
年比▲2.3%と、34 年ぶりに前年を下回った(図
170
表 1)。生産能力は 11 億トン程度とみられるこ
140
とから、設備稼働率も 60%台と低水準にとどま
110
っている。政府は、2016 年を、構造改革を加速
80
させる年と位置付けていることもあり、2016 年
50
からの 5 年間で余剰となっている生産設備のう
20
ドル/メトリックトン
ポイント
5500
4500
3500
2500
16/8
16/5
16/2
15/11
15/8
15/5
15/2
14/8
14/11
14/5
14/2
13/8
鉄鉱石価格
し た。これ により 、鉄鉱 石価格は 上昇に 転じた
13/11
13/5
13/2
12/11
12/8
12/5
ち 1~1.5 億トンを削減するとの目標を 2 月に示
12/2
11/11
1500
上海総合株価指数(右軸)
(出所)ファクトセット
ほ か、政府 の景気 支援策 や住宅価 格の持 ち直し
といった材料も相まって、株価も持ち直しに向かった(図表 2)。しかし、鉄鉱石市況の回復によ
り、操業停止していた企業が生産を再開する動きもみられるなど、過剰生産能力の削減は容易でな
い様子が示されている。
過剰生産能力の削減は、雇用問題とも密接に絡んでいる。政府は、過剰生産能力の解消を進める
過程で、鉄鋼と石炭業界だけで約 180 万人の雇用が失われるとしており、再就職支援などの失業対
策として、1,000 億元の特別奨励・補助資金を拠出する方針を打ち出している。ただ、鉄鋼や石炭
以外にも過剰設備を抱える業種は多く、構造改革を加速させた場合、失業者もさらに膨らむ懸念が
強い。加えて、こうした企業を積極的に誘致してきた地方では、景気悪化が加速する可能性も高い
ことから、過剰生産能力の大幅な削減はできない状況が続こう。
国有企業改革は遅々として進まない
過剰生産設備を抱える企業は、国有企業が多いとみられることから、過剰生産能力の削減ペース
は、国有企業改革の進捗にも強く影響を受ける。ただ、民間企業の工業企業利益総額はプラス圏で
推移している一方、国有企業は 21 ヵ月連続のマイナスとなるなど、業績の低迷が長期化しており、
10
経済ウォッチ
2016 年 9 月第 4 週号
依然として非効率経営が続いている様子が窺える(同統計は年初からの累計値で発表)(図表 3)。
こうした状況に至った背景として、リーマン・ショック後の 4 兆元規模の大型景気対策の影響が挙
げられる。景気対策を受け、国有企業を中心に過
(図表3)工業企業利益総額(前年比、累計)
%
-20
ったとみられる。BIS(国際決済銀行)の統計で、
-30
非金融企業の債務残高(名目 GDP 比)を見ると、
-40
国有企業
民間企業
全体
13/10
2009 年後半以降、いったんは落ち着いたものの、
16/7
不 振 企業 の延 命の ため の資 金繰 り支 援 につ なが
16/4
-10
15/12
準備率も 5 回引き下げたが、こうした金融緩和も
15/9
0
15/6
支えするため、貸出・預金基準金利を 5 回、預金
15/3
10
14/11
大をもたらした。2015 年以降、政府は景気を下
14/8
20
14/5
に 対 して 過剰 な融 資を 行な った こと が 債務 の拡
14/2
30
13/7
剰な投資が行なわれたほか、国有銀行も国有企業
(出所)国家統計局
2012 年半ばごろから再び増加傾向となり、2015
しいかじ取りをせまられることとなろう。
一般政府
(担当:平野)
(出所)BIS
11
家計(含民間非営利団体)
15/12
15/06
14/12
14/06
13/12
13/06
12/12
12/06
題先送りにもつながるため、バランスのとれた難
11/12
0
11/06
権増大圧力が強まることが懸念され、将来への課
10/12
40
10/06
れる。ただ、こうした措置によって銀行の不良債
09/12
80
09/06
政・金融政策で景気を下支えしていくものとみら
08/12
120
08/06
以 上 の経 済成 長の 目標 を掲 げる なか 、 今後 も財
07/12
160
07/06
中国政府は 2016 年からの 5 年間で年平均 6.5%
(図表4)中国の非金融セクター債務残高の
推移(名目GDP比)
%
06/12
200
06/06
年末時点で 170.8%まで拡大している(図表 4)。
非金融企業
経済ウォッチ
2016 年 9 月第 4 週号
主要経済指標レビュー(9/5~9/16)
本≫
12
120
115
110
105
100
95
90
7ヵ月後方移動平均
85
3ヵ月後方移動平均
80
一致CI
16/7
15/7
14/7
13/7
12/7
11/7
10/7
09/7
08/7
07/7
06/7
75
(出所)内閣府「景気動向指数」
ポイント
70
65
60
55
50
45
40
35
30
25
20
16/8
16/5
16/2
15/8
15/11
15/5
15/2
14/8
13/11
14/11
現状判断DI 雇用
14/5
現状判断DI 家計
現状判断DI 企業
14/2
現状判断DI
13/8
13/5
13/2
景気ウォッチャー調査 現状判断DI
(出所)内閣府「景気ウォッチャー調査」
第3次産業活動指数の推移(季調値)
2010年=100
108
106
104
102
100
98
第3次産業活動指数
広義対個人サービス
広義対事業所サービス
96
(出所)経済産業省「第3次産業活動指数」
16/7
16/4
16/1
15/10
15/7
15/4
15/1
14/7
14/10
14/4
14/1
13/10
13/7
13/4
13/1
94
12/10
○ 7月第3次産業活動指数(9月9日)
7 月の第 3 次産業活動指数は前月比+0.3%と、2 ヵ
月連続のプラスとなった。内訳では、広義対個人サー
ビスが同+0.1%、広義対事業所サービスが同+0.8%
と、いずれも 2 ヵ月連続のプラス。業種別では、11 業
種中、5 業種で上昇、5 業種で低下、1 業種で横ばいと
いう結果。上昇した業種では、金融・保険、小売など
のプラス寄与が大きい。金融・保険では証券取引関連
業務などが、小売ではホームセンター、飲食料品、燃
料などが押し上げた。一方、低下した業種では、不動
産業、生活娯楽関連サービスなど。今後も、名目賃金
の伸び悩みなどを受け、広義対個人サービスの活動は
弱めの動きが続くとみており、第 3 次産業活動指数全
体でも、回復ペースは鈍いものにとどまるとみている。
125
12/8
○ 8月景気ウォッチャー調査(9月8日)
8 月の景気ウォッチャー調査では、現状判断 DI が前
月差+0.5 ポイントの 45.6 と、2 ヵ月連続の上昇とな
った。先行き判断 DI も同+0.3 ポイントの 47.4 と改
善。現状判断 DI、先行き判断 DI のいずれも、家計動
向関連が悪化したものの、企業動向関連や雇用動向関
連が改善し、DI 全体の改善につながった。ウォッチャ
ーによる基調判断は、7 月の「持ち直しの兆しがみら
れる」から「持ち直しの動きがみられる」へと上方修
正された。今後の景気は、世界景気の回復力の弱さを
背景に、輸出が一進一退の推移をたどるとみるものの、
原油安に伴う家計の実質購買力の改善を受け、個人消
費の回復が続くことで、緩やかな回復傾向で推移する
と予想する。
一致CIの推移
2010年=100
12/11
○ 7月景気動向指数(9月7日)
7 月の景気動向指数では、一致 CI が 112.8(前月差
+0.7 ポイント)と、2 ヵ月連続で上昇した。内閣府の
基調判断は、「足踏みを示している」が 14 ヵ月連続で
すえ置かれた。製造工業生産予測調査によると、8 月
は前月比+4.1%、9 月は同▲0.7%となっており、7-
9 月期予測は前期比+3.1%と、2 四半期連続の上昇と
なる見込みである。生産実績は予測調査から下振れる
傾向が強いとはいえ、持ち直しの動き自体は続く可能
性が高く、一致 CI も緩やかな回復が続くとみる。今後
の景気は、世界景気の回復力の弱さを背景に、輸出が
一進一退の推移をたどるとみるものの、原油安に伴う
家計の実質購買力の改善を受け、個人消費の回復が続
くことで、緩やかな回復傾向で推移すると予想する。
12/7
≪日
経済ウォッチ
2016 年 9 月第 4 週号
兆円
1.0
機械受注(船舶・電力を除く民需)の推移(季調値)
0.9
0.8
0.7
0.6
単月
3ヵ月移動平均
16/7
16/4
16/1
15/7
15/10
15/4
15/1
14/7
14/10
14/4
14/1
13/7
13/10
13/4
13/1
12/7
0.5
12/10
○ 7月機械受注(9月12日)
7 月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比
+4.9%と、2 ヵ月連続のプラスとなった。業種別では、
製造業が同+0.3%、非製造業(除船・電)が同+8.6%
と、いずれも 2 ヵ月連続のプラスとなり、今後の設備
投資が、年前半の停滞から持ち直す可能性を示してい
る。内閣府による基調判断は、「持ち直しの動きがみ
られる」と、前月の「足踏みがみられる」から上方修
正された。上方修正は 2015 年 10 月以来、9 ヵ月ぶり。
今後の設備投資は、
世界景気の先行き不透明感を受け、
企業の投資に対する慎重姿勢が残るとみるものの、更
新維持・省力化投資などが下支えとなって、均せば緩
やかな回復を予想する。
(出所)内閣府「機械受注統計」
13
%
6
%
30
企業物価指数(前年比)の推移
4
20
2
10
0
0
中間財
国内企業物価指数
(出所)日銀「企業物価指数」
最終財
素原材料(右軸)
16/8
16/5
16/2
15/11
15/8
15/5
15/2
14/11
14/8
14/5
14/2
-50
13/11
-40
-10
13/8
-30
-8
13/5
-20
-6
13/2
-10
-4
12/8
-2
12/11
○ 8月企業物価指数(速報値、9月12日)
8 月の国内企業物価指数は前年比▲3.6%と、前月の
同▲3.9%からマイナス幅が縮小した。23 種目中、9
業種が、前月から押し上げに寄与、11 業種が押し下げ
に寄与、3 業種は前月と同じ伸びとなった。押し上げ
方向に寄与した業種では、電力・都市ガス・水道や、
石油・石炭製品、非鉄金属などの押し上げが目立った。
一方、押し下げ方向に寄与した業種は、情報通信機器
や農林水産物など。需要段階別に見ると、国内需要財
は同▲7.9%と、前月の同▲8.2%からマイナス幅が縮
小した。内訳では、中間財のマイナス幅縮小が寄与し
た。今後は、原油価格が 2 月中旬から持ち直している
ものの、足元の円高が輸入物価を押し下げるとみてお
り、企業物価の戻りのペースは鈍いと予想する。
経済ウォッチ
国≫
除く自動車・ガソリンスタンド・建材
ガソリンスタンド
小売売上高
16/8
16/7
16/6
16/5
16/4
16/3
16/2
16/1
15/12
15/11
15/9
15/8
15/10
小売売上高の伸びと寄与度(前月比)
%
15/7
○ 8月小売売上高(9月15日)
8 月の小売売上高は前月比▲0.3%と、5 ヵ月ぶりに
1.5
減少し、市場予想(同▲0.1%)をも下回った。自動
1.0
車・部品が同▲0.9%と、3 ヵ月ぶりに減少したほか、
ガソリンスタンドも同▲0.8%と、2 ヵ月連続で減少し、 0.5
全体を押し下げた。一方、GDP の算出に使用される「除
0.0
く自動車・部品、ガソリン、建材ベース」では、前月
比+0.1%と、2 ヵ月ぶりに増加した。ガソリン価格下 -0.5
落によって、家計の実質購買力が向上しているのに加 -1.0
え、雇用環境の改善が続いていることや、家計のバラ
ンスシートの正常化が進んでいることなどから、今後
の個人消費は回復基調を維持するとみる。
15/6
≪米
2016 年 9 月第 4 週号
自動車・部品
建材
(出所)米商務省
鉱工業生産と設備稼働率の推移
90
80
75
70
65
鉱工業生産
16/8
15/8
14/8
13/8
12/8
11/8
10/8
09/8
60
設備稼働率(右軸)
CPIの伸び(前年比)
5
4
3
2
1
0
-1
-2
CPI
コアCPI
16/8
15/8
14/8
13/8
12/8
11/8
10/8
09/8
08/8
-3
(出所)米労働省
14
%
85
6 %
07/8
○ 8月CPI(消費者物価指数)(9月16日)
8 月の CPI は前月比+0.2%と、2 ヵ月ぶりに上昇し
た。前年比でも+1.1%と、7 月の同+0.8%から伸び
幅が拡大した。一方、エネルギーと食料品を除いたコ
ア CPI は前月比+0.3%と、7 月の同+0.1%から伸び
幅が拡大。前年比でも+2.3%と、7 月の同+2.2%か
ら伸び幅が拡大した。医療費や宿泊費などが上昇した
影響が大きい。賃金の改善傾向が続くとみられること
や、輸入物価による低下圧力が和らいていることなど
から、コアインフレの上昇率は今後も緩やかな拡大傾
向が続くとみている。
08/8
07/8
○ 8月鉱工業生産(9月15日)
2007年=100
8 月の鉱工業生産は前月比▲0.4%と、3 ヵ月ぶりの 110
マイナスとなり、市場予想(同▲0.2%)をも下回っ 105
た。産業別に見ると、鉱業が同+1.0%と、4 ヵ月連続
100
で改善したものの、製造業は同▲0.4%と、3 ヵ月ぶり
95
に悪化。電気・ガスなどの公益事業は同▲1.4%と、
例年を上回る気温で 7 月の冷房需要が拡大したことに
90
伴う押し上げ効果がはく落し、3 ヵ月ぶりに悪化した。
85
エ ネルギ ー関連 企業の 業績 悪化傾 向に歯 止めが かか
りつつあることや、自動車販売の回復などに支えられ、 80
生産は今後も持ち直し傾向が続くとみる。ただ、海外
景気減速への懸念が残ることから、持ち直しペースは
(出所)FRB
緩慢なものにとどまると予想する。
経済ウォッチ
州≫
15
16/7
16/4
16/1
15/10
15/7
15/4
15/1
14/10
14/7
(出所)ユーロスタット
CPI
(出所)ユーロスタット
コアCPI
16/8
16/2
15/8
15/2
14/8
14/2
13/8
13/2
12/8
ユーロ圏CPI・コアCPIの推移(前年比)
%
12/2
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
-0.5
-1.0
11/8
○ 8月ユーロ圏CPI(消費者物価指数) (9月15日)
8 月のユーロ圏 CPI は前年比+0.2%と、前月と同じ
伸び幅となった。サービス価格が同+1.2%→+1.1%
と、4 ヵ月ぶりにプラス幅が縮小したものの、エネル
ギー価格のマイナス幅が縮小したことなどから、財価
格は同▲0.6%→▲0.5%と、4 ヵ月連続でマイナス幅
が縮小。国別では、ドイツが同+0.4%→+0.3%と、
プラス幅が縮小した一方、イタリアは同▲0.2%→▲
0.1%、スペインは同▲0.7%→▲0.3%と、いずれもマ
イナス幅が縮小した。これまでの原油安の影響が和ら
ぐことで、ユーロ圏の CPI は持ち直し傾向が続くとみ
ている。ただ、英国の EU 離脱決定の影響などから、
域内景気は力強さに欠く展開が続くとみられ、CPI の
上昇ペースは緩慢なものにとどまると予想する。
ユーロ圏鉱工業生産の推移(前月比)
%
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
-0.5
-1.0
-1.5
-2.0
11/2
○ 7月ユーロ圏鉱工業生産(9月14日)
7 月のユーロ圏鉱工業生産は前月比▲1.1%と、2 ヵ
月ぶりのマイナスとなった。財別で見ると、中間財が
同▲0.3%→▲0.5%、資本財が同+1.6%→▲1.7%、
消費財が同+1.2%→▲0.1%と、いずれもマイナス。
主要国別では、イタリアが同▲0.3%→+0.4%と、3
ヵ月ぶりのプラスとなったが、ドイツは同+1.3%→
▲1.9%、フランスは同▲0.7%→▲0.6%、スペイン
は同▲0.1%→▲0.1%と、いずれもマイナスとなった。
英国の EU 離脱を巡る先行き不透明感を背景に、欧州
で は企 業が 生産 や投 資を手 控え る動 きが 広が るとみ
られることなどから、ユーロ圏鉱工業生産は今後も停
滞気味の推移が続くとみる。
10/8
≪欧
2016 年 9 月第 4 週号
経済ウォッチ
2016 年 9 月第 4 週号
日米欧マーケットの動向
(2016年9月20日現在)
▽各国の株価動向
(ドル)
16/9
16/6
16/3
16/1
15/7
15/10
15/4
15/2
14/8
14/11
14/5
13/9
16/9
16/6
ダウ工業株30種平均
19000
18000
17000
16000
15000
14000
13000
12000
(出所)ファ クトセット
(ポイント)
英国の株価指数(FT100)
7200
15/02
16/3
14/08
14/11
16/1
15/10
14/03
14/05
15/4
15/7
13/12
15/2
13/09
13/06
14/8
14/11
13/04
14/3
14/5
13/01
11000
12/10
12000
12/07
12/04
12/02
13/9
13/12
23000
21000
19000
17000
15000
(円)
日経平均株価
13000
19000
11000
18000
9000
17000
16000
7000
15000
14000
13000
(出所)ファ クトセット
12000
11000
10000
(出所)ファ クトセット
9000
(ポイント)
ドイツの株価指数(DAX)
8000
13000
7000
14/3
日経平均株価
13/12
(円)
6900
6600
10000
6300
9000
16/9
16/6
16/3
16/1
15/10
15/7
15/4
15/2
14/11
14/8
14/5
14/3
13/9
16/9
16/6
16/3
16/1
15/7
15/4
15/10
(出所)ファ クトセット
15/2
14/11
14/8
14/5
5400
14/3
6000
13/12
5700
13/9
7000
13/12
6000
8000
(出所)ファ クトセット
▽外為市場の動向
(ドル)
16
15/10
16/1
16/3
16/6
16/9
15/10
16/1
16/3
16/6
16/9
15/7
15/4
15/2
14/11
14/8
15/7
15/4
15/2
14/8
14/11
(出所)ファ クトセット
14/5
14/3
13/9
(出所)ファ クトセット
円/ポンド相場
13/12
200
190
180
170
160
150
140
130
120
110
16/9
16/6
16/3
16/1
15/7
15/10
15/4
15/2
14/11
14/8
14/5
14/3
14/5
13/9
16/9
16/6
16/3
15/7
15/4
15/2
16/1
(円)
円/ユーロ相場
13/12
13/9
ドル/ユーロ相場
(出所)ファ クトセット
(円)
160
150
140
130
120
110
100
90
15/10
(出所)ファ クトセット
14/11
14/8
14/5
14/3
13/9
13/12
1.45
1.40
1.35
1.30
1.25
1.20
1.15
1.10
1.05
1.00
14/3
円/ドル相場
13/12
(円)
135
130
125
120
115
110
105
100
95
90
85
80
75
70
20
1400
80
65
1300
50
35
1000
(出所)ファ クトセット
(出所)ファ クトセット
17
16/9
95
16/6
110
16/3
(ドル)
16/1
原油先物(WTI、中心月)
15/10
(出所)ファ クトセット
15/7
-0.3
16/9
16/6
16/3
16/1
15/10
15/7
15/4
0.00
15/4
0.25
15/2
0.50
15/2
(%)
14/11
政策金利(ユーロ圏、定例オペ最低入札金利)
14/11
(出所)ファ クトセット
14/8
1.0
14/8
0.0
14/5
1.5
16/9
16/6
16/3
16/1
15/10
15/7
15/4
15/2
14/11
14/8
14/5
14/3
13/12
13/9
16/9
16/6
16/3
16/1
15/10
15/7
15/4
(%)
3.5
14/5
0.1
15/2
政策金利(米国、FFレート)
14/3
2.0
14/11
(出所)ファ クトセット
14/3
0.2
14/8
16/9
16/6
16/3
16/1
15/10
15/7
15/4
15/2
14/11
14/8
14/5
14/3
13/12
13/9
16/9
16/6
16/3
16/1
15/10
15/7
15/4
15/2
14/11
14/8
14/5
0.0
(%)
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
-0.1
-0.2
-0.3
-0.4
13/12
2.5
14/5
14/3
0.1
13/9
16/9
16/6
16/3
16/1
15/10
15/7
15/4
15/2
14/11
14/8
0.3
14/3
13/9
13/12
日本の無担保コール(O/N)
13/12
13/9
16/9
16/6
16/3
16/1
15/10
15/7
15/4
15/2
14/11
(ドル)
14/8
3.0
13/12
(%)
0.5
14/5
0.4
13/9
(%)
0.2
14/5
14/3
13/12
(%)
0.75
14/3
-0.25
13/9
-0.1
13/12
13/9
経済ウォッチ
2016 年 9 月第 4 週号
▽各国の金利動向
長期金利(日本、10年国債)
(出所)ファ クトセット
長期金利(米国、10年国債)
(出所)ファ クトセット
長期金利(ドイツ、10年国債)
2.2
1.7
1.2
0.7
0.2
(出所)ファ クトセット
▽商品市況の動向
1500
金先物(COMEX)
1200
1100
経済ウォッチ
2016 年 9 月第 4 週号
本レポートは、明治安田生命保険 運用企画部 運用調査 G が情報提供資料として作成したものです。本
レポートは、情報提供のみを目的として作成したものであり、保険の販売その他の取引の勧誘を目的と
したものではありません。また、記載されている意見や予測は、当社の資産運用方針と直接の関係はあ
りません。当社では、本レポート中の掲載内容について細心の注意を払っていますが、これによりその
情報に関する信頼性、正確性、完全性などについて保証するものではありません。掲載された情報を用
いた結果生じた直接的、間接的トラブルや損失、損害については、当社は一切の責任を負いません。ま
たこれらの情報は、予告なく掲載を変更、中断、中止することがあります。
●照会先●
明治安田生命保険相互会社
運用企画部
運用調査グループ
東京都千代田区丸の内2-1-1 TEL03-3283-1216
執筆者 :小玉祐一、謝名憲一郎、信本将巳、平野真依子、山口範大、
尾家小春、開發彰徳、村上梨子、磯部雅人、陳家斉
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