再生可能エネルギーの固定価格買取制度（ＦＩＴ制度）における
木質バイオマス発電の動向
2016 年 9 月
株式会社ＦＴカーボン
目
次
1.
概要 ....................................................................................................................................... 2
2.
再生可能エネルギー全般の動向............................................................................................ 3
3.
2.1.
認定容量（発電出力） ................................................................................................... 3
2.2.
件数と運転開始率 .......................................................................................................... 4
2.3.
再生可能エネルギーの買取量実績................................................................................. 5
2.4.
再生可能エネルギーの買取実績額................................................................................. 6
2.5.
再生可能エネルギーの買取単価実績 ............................................................................. 7
木質バイオマス発電所の動向 ............................................................................................... 8
3.1.
認定容量（発電出力） ................................................................................................... 8
3.2.
件数と運転開始率 ........................................................................................................ 11
3.3.
1 件あたりの発電出力.................................................................................................. 15
本レポートにおける記載は、弊社独自の分析であり、弊社の見解で記載しております。本レポ
ートの記載内容を引用するなどして損害を被った場合でも、一切の責任は負いませんので、ご
了承ください。
Copyright © FT Carbon 2016 All Rights Reserved.
1. 概要
2016 年 5 月時点の FIT 制度における木質バイオマス発電の認定済み件数は
99 件（前月比±0 件、事業者名未把握発電所除く）（注）。
認定容量は約 131 万 kW（前月比±0 件、事業者名未把握発電所除く）（注）。
認定容量ベースの運転開始率は約 26％（前月比＋1 ポイント）。
【2016 年 5 月に認定された木質バイオマス発電所】
・詳細不明（埼玉県美里町）1,990kW、未利用材
2件
・詳細不明（岡山県真庭市）4,990kW、一般木材・農産物残さ
【2016 年 5 月に運転開始した木質バイオマス発電所】 2 件
・一戸フォレストパワー（フジコー）（岩手県一戸町）6,250kW、未利用材
・ユナイテッド計画（秋田県秋田市）20,500kW、一般木材・農産物残さ
2016 年 7 月号から、事業者名が判明していない「間伐材等由来未利用材（40
円／kWh、32 円／kWh）」の発電所についても、「3．木質バイオマス発電所の
動向」において対象外としました。
【
「3．木質バイオマス発電所の動向」の対象とする発電所】
・「間伐材等由来未利用材（40 円／kWh、32 円／kWh）」のうち、事業
者名が判明している発電所
・「一般木材・農産物残さ」（24 円／kWh）のうち、事業者名及び燃料が
固形木質燃料であることが判明している発電所
【
「3．木質バイオマス発電所の動向」で対象としない発電所】
・
「間伐材等由来未利用材（40 円／kWh、32 円／kWh）」のうち、事業者
名が不明な発電所（11 件）
・「一般木材・農産物残さ」（24 円／kWh）のうち、パーム油など液体系
農産物残渣が燃料であることが判明している発電所（4 件）
・「一般木材・農産物残さ」（24 円／kWh）のうち、事業者名あるいは燃
料が不明な発電所（60 件）
・「建設廃棄物」（13 円／kWh）
※「間伐材等由来未利用材」「一般木材・農産物残さ」の合計 75 件、約
207 万 kW は対象外
2
Copyright © FT Carbon 2016 All Rights Reserved.
2. 再生可能エネルギー全般の動向
2.1. 認定容量（発電出力）
再生可能エネルギーの固定価格買取制度（以下、FIT 制度という。
）による
認定容量は約 8,700MW。
認定容量の再生可能エネルギーの内訳は、太陽光発電が大半（約 90%）を
占めているが、徐々にその割合は小さくなっている。木質バイオマス発電は約
4%と極めて小さいが、太陽光発電に次ぐ認定容量がある。
バイオマス 未利用材
2,000kW以上, 0.5%
再生可能エネルギーの内訳
（認定容量ベース）
バイオマス 一般木材
農産物残渣, 3.4%
バイオマス 未利用材
2,000kW未満, 0.0%
太陽光 10kW未満, 5%
風力, 3.3%
太陽光 10kW以上, 86%
（出典）経済産業省公表資料（2016 年 5 月時点）
図 1
再生可能エネルギーの内訳（認定容量）
3
Copyright © FT Carbon 2016 All Rights Reserved.
2.2. 件数と運転開始率
認定件数は約 190 万件。大半は太陽光で、木質バイオマス系の「間伐材等
由来未利用材」「一般木質・農産物残さ」の区分は 176 件（前月比＋2 件）。
再生可能エネルギー全体の運転開始率は 68%（前月比±0 ポイント）。ただ
し、家庭用太陽光（10kW 未満）を除く再生可能エネルギー発電の運転開始率
は 50%以下。
木質バイオマス系の「間伐材等由来未利用材」「一般木質・農産物残さ」の
区分の運転開始率は、産業用太陽光（10kW 以上）を下回る約 23%と低水準。
特に、
「一般木質・農産物残さ」は 11％と極めて低い水準。
木質バイオマス発電所は工事開始から稼働まで 2 年以上かかること、安定的
かつ確実な燃料調達が難しいために、最終的な投資判断に時間がかかることが
要因。
運転開始率（件数ベース）
100%
90%
80%
再エネ全体平均
６８％
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
太陽光
図 2
風力
水力
地熱
他バイオマス
建設廃材
一般木材
農産物残渣
未利用材
2,000kW以上
未利用材
2,000kW未満
10kW以上
10kW未満
0%
バイオマス
（出典）経済産業省公表資料（2016 年 5 月時点）
再生可能エネルギーの種類別の運転開始率（件数ベース）
4
Copyright © FT Carbon 2016 All Rights Reserved.
2.3. 再生可能エネルギーの買取量実績
FIT 制度の買取価格（調達価格）を適用して買い取った電力は約 1,060 億
kWh（前月比＋56 億 kWh）。この数値には、FIT 制度開始前に設備を稼働し、
RPS 法の対象設備から FIT 制度の対象設備に移行した発電所等からの電力買
取量も含む。
太陽光が 66％と徐々に割合を増やしているが、風力が 18％、バイオマスが
13％などその他の再生可能エネルギーも一定の割合がある。FIT 制度以前に
は、現在のような太陽光偏重の傾向がなかったこと、太陽光は設備稼働率が低
く発電量が少ないこと等から、太陽光以外の再生可能エネルギーによる発電量
も多い。
買取電力量（実績）
地熱, 0%
水力, 4%
バイオマス, 13%
太陽光 10kW未満,
20%
風力, 18%
太陽光 10kW以上,
46%
（出典）経済産業省公表資料（2016 年 5 月時点）
（注）FIT 制度開始前の稼働設備（移行設備）を含む。
図 3 再生可能エネルギーの内訳（買取電力量（実績ベース））
5
Copyright © FT Carbon 2016 All Rights Reserved.
2.4. 再生可能エネルギーの買取実績額
再生可能エネルギーの買取実績額は、やや鈍化してきているが、前月比約
106％で増加。
2015 年度の買取実績額は 2014 年度の約 1.3 倍。2016 年度の買取実績額も
2015 年度と同程度の増加率になる見込み。
再生可能エネルギー買取実績額（累積）
（買取額：億円）
60,000
（賦課金：円/kWh）
3
2016年度買取額
2015年度買取額
50,000
2.5
2014年度買取額
2013年度買取額
2012年度買取額
40,000
2
再エネ賦課金
30,000
1.5
20,000
1
10,000
0.5
0
0
（出典）経済産業省公表資料（2016 年 5 月時点）
図 4 再生可能エネルギー買取実績額（累積）の推移
6
Copyright © FT Carbon 2016 All Rights Reserved.
2.5. 再生可能エネルギーの買取単価実績
FIT 制度の買取価格を適用して買い取った電力の平均単価は約 34.9 円／
kWh（前月比±0.1 円/kWh）。太陽光発電の買取額の増加によって、徐々に上
昇。この数値には、FIT 制度開始前に設備を稼働し、RPS 法の対象設備から
FIT 制度の対象設備に移行した発電所等からの電力買取量も含む。
太陽光の買取量が半数以上あるため、買取単価は比較的高い水準である。バ
イオマスは、現時点では、FIT 制度以前の廃棄物や建設廃材を燃料とする発電
所からの買取量が多いため、約 20 円／kWh と低い水準である。
買取単価（実績）
（円/kWh）
50
45
40
再エネ平均単価
35円／kWh
35
30
25
20
15
10
5
0
10kW未満
10kW以上
太陽光
風力
水力
地熱
バイオマス
（出典）経済産業省公表資料（2016 年 5 月時点）
（注）FIT 制度開始前の稼働設備（移行設備）を含む。
図 5 再生可能エネルギーの種類別の買取単価（実績ベース）
7
Copyright © FT Carbon 2016 All Rights Reserved.
3. 木質バイオマス発電所の動向
3.1. 認定容量（発電出力）
①認定容量
約 132 万 kW（うち未利用材が約 39 万 kW（前月比±0 万 kW）、一般木材
が約 93 万 kW（前月比±0 万 kW）。
②導入済み容量
約 35 万 kW（うち未利用材が約 21 万 kW（前月比±0 万 kW）、一般木材が
約 14 万 kW（前月比＋2 万 kW））。
③運転開始率（認定容量ベース）
約 26％（前月比＋1 ポイント）。
④最近の傾向
2015 年度末の認定容量は 2014 年度末に比べて 1.5 倍に増加。
大型発電所が順次稼働し、運転開始率は上昇傾向。
（万kW）
認定容量の推移
200
180
160
一般木材
未利用材2,000kW以上
未利用材2,000kW未満
140
120
100
80
60
40
20
0
（出典）経済産業省公表資料（2016 年 5 月時点）
（注）バイオマスの容量は、バイオマス比率相当分の出力
図 6 木質バイオマス発電所の推移（認定容量）
8
Copyright © FT Carbon 2016 All Rights Reserved.
導入済み容量、運転開始率の推移
（容量：万kW）
50
45
（運転開始率：％）
50%
一般木材
未利用材2,000kW以上
45%
未利用材2,000kW未満
40
40%
運転開始率（容量ベース）
35
35%
30
30%
25
25%
20
20%
15
15%
10
10%
5
5%
0
0%
（出典）経済産業省公表資料（2016 年 5 月時点）
（注）バイオマスの容量は、バイオマス比率相当分の出力
図 7 木質バイオマス発電所の推移（導入済み容量）
9
Copyright © FT Carbon 2016 All Rights Reserved.
⑤地域別認定容量
九州の認定容量が大きい。
（万kW）
地域別認定容量
40
35
30
25
20
15
10
5
0
北海道
東北
関東甲信越
中部
北陸
近畿
中国
四国
九州
（出典）経済産業省公表資料（2016 年 5 月時点）
図 8 木質バイオマス発電所の地域別認定容量
10
Copyright © FT Carbon 2016 All Rights Reserved.
3.2. 件数と運転開始率
①認定件数
99 件（うち未利用材が 58 件（前月比±0 件）、一般木材が 41 件（前月比±
0 件））。
②導入済み件数
40 件（うち未利用材が 29 件（前月比＋1 件）、一般木材が 11 件（前月比＋
1 件））。
③運転開始率（認定件数ベース）
約 40％（前月比＋2 ポイント）
。
④最近の傾向
2015 年度末の認定件数は 2014 年度末に比べて 1.3 倍に増加。
認定件数の推移
（件）
120
一般木材
未利用材2,000kW以上
100
未利用材2,000kW未満
80
60
40
20
0
（出典）経済産業省公表資料（2016 年 5 月時点）
図 9 木質バイオマス発電所の推移（認定件数）
11
Copyright © FT Carbon 2016 All Rights Reserved.
（導入済み件数：件）
導入済み件数、運転開始率
（運転開始率：％）
70
70%
65%
一般木材
60
50
未利用材2,000kW以上
60%
未利用材2,000kW未満
55%
運転開始率（件数ベース）
50%
45%
40
40%
35%
30
30%
25%
20
20%
15%
10
10%
5%
0
0%
（出典）経済産業省公表資料（2016 年 5 月時点）
図 10
木質バイオマス発電所の推移（導入済み件数、運転開始率）
12
Copyright © FT Carbon 2016 All Rights Reserved.
⑤発電出力の規模別件数
5,000kW 以上（石炭等混焼含む）が 79 件と全体の 80%を超える。
発電規模別件数
（件）
70
60
60
50
40
30
19
20
10
7
7
6
0～999
1,000～1,999
2,000～4,999
0
5,000以上
（木質等専焼）
石炭等混焼
発電規模（KW）
（出典）経済産業省公表資料（2016 年 5 月時点）
図 11 木質バイオマス発電所の発電出力の規模別件数
13
Copyright © FT Carbon 2016 All Rights Reserved.
⑥地域別件数
東北、関東甲信越、九州が多い。
地域別認定件数
（件）
25
20
15
10
5
0
北海道
東北
関東甲信越
中部
北陸
近畿
中国
四国
九州
（出典）経済産業省公表資料（2016 年 5 月時点）
図 12 木質バイオマス発電所の地域別件数
14
Copyright © FT Carbon 2016 All Rights Reserved.
3.3. 1 件あたりの発電出力
木質バイオマス発電所の 1 件あたりの認定容量は、認定済み発電所で約
14,000kW、導入済み発電所で約 8,000kW。
導入済み発電所の 1 件あたりの認定容量は増加傾向。
今後稼働する木質バイオマス発電所は 10,000kW 以上の大型案件が多い。
（kW/件）
認定済み案件
16,000
導入済み案件
1件あたりの認定容量
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
（出典）経済産業省公表資料（2016 年 5 月時点）
図 13 1 件あたりの認定容量の推移
以上
15
Copyright © FT Carbon 2016 All Rights Reserved.

PDF:217KB