16情報の集め方(活用術追加資料)

公文書館活用術 追加資料
熊本 博之(明星大学)
[email protected]
情報収集の手法
1.図書館・公文書館
・国立国会図書館
国内で発行された出版物のすべて(実際には漏れもあるが)が納本・収蔵されている、
日本最大の図書館。しかし一部をのぞいて閉架式。貸出しもなく、閲覧は館内に限られて
いる。NDL-OPAC(後述)による検索システムは便利。
・公共図書館
地域につくられている図書館。図書館どうしでネットワークがつながっている場合も多
い。その地域に住んでいる人のほか、通勤や通学で通っている人たちも利用できる場合が
多い。
・公文書館
公文書(行政機関で作成された文書)で、保存年限が過ぎたもののうち、歴史的に重要
なものについて選別して保管し、公開している施設。文書館(もんじょかん)と呼ばれる
場合もあるように、地域の歴史的な史料を保管しているところも多い。また、自治体が作
成した報告書などの行政刊行物もそろっている場合が多い。地域の行政について知る上で
重要な施設である。
諸外国ではアーカイブズとして多くの地域におかれているが、日本はかなり遅れており、
国立公文書館1館、都道府県立で 37 館、政令指定都市9館、市区町村立では 27 館にとど
まっている(平成 28 年4月現在)。しかし、2011 年4月に公文書等の管理に関する法律(公文書
管理法)が施行されており、少しずつではあるが、公文書館の開設が各地で進んでいる。
・専門図書館
特定の分野に限定した本や雑誌、資料を集めている図書館。ありとあらゆる雑誌を収集
している大宅壮一文庫(世田谷区八幡山)、古い映画を集めている東京国立近代美術館フィ
ルムセンター(中央区京橋)
、ミステリー小説に関する資料がそろっているミステリー文学
資料館(豊島区池袋)、古いマンガを集めている現代マンガ図書館(新宿区早稲田鶴巻町)
などがある。
・大学図書館
大学に設置されている図書館。分野ごとに分類されて配架されているので、特定のテー
マについての研究動向を把握するのに最適。また、検索システムも便利。
☆図書館で調べることのメリット
①関連する本がまとめて並んでいるので、自分のほしい情報が手に入りやすい。
パソコンで検索して読みたい本がある棚にいくと、ほかにも関連する本が並んでいる。
時には、思いもよらなかった本に自分のほしい情報が書かれている場合もある。
②「情報のかたまり」にナマで出会える
ネットで検索して出てくる情報は、情報の一部。しかし本は、ある内容についての情報
のかたまり。関連するキーワードに出会う確率も、ネットより高い。
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2.ネットをつかった情報収集
情報収集の基本は図書館。でも、ネットを活用しないのももったいないし、実際にみな
さんが社会に出て何か調べるとしたら、その多くはネットでの情報収集になる。
→そうであるならば、上手なネットの使い方を知っておくことは、とても有益なこと。
ネットをつかった情報収集には、主に
①web 上にある図書や論文のデータベースを活用して目的の図書や論文にたどり着く
②web 上にある百科事典を使って正しい言葉の意味や由来、歴史について知る
③Yahoo!や Google などの検索エンジンを使って情報を収集する
の3種類があります。
①web 上にある図書や論文のデータベースを活用して目的の図書や論文にたどり着く
・Webcatplus(国立情報学研究所) http://webcatplus.nii.ac.jp/#
全国の大学図書館等が所蔵している図書、雑誌の総合目録データベース。フリーワード
検索、連想検索ができる。
・NDL-OPAC(国立国会図書館) http://opac.ndl.go.jp/
国会図書館のデータベース。図書、雑誌新聞、電子資料、和古書・漢籍、博士論文、地図、
音楽録音・映像資料、雑誌に掲載されている論文の検索ができる。
図書の検索ではキーワード検索で〔章のタイトル〕、
〔執筆者〕まで検索できる点が便利。
→どこが便利か?
・専門書には、1人の著者によって書かれているもの(「単著」)だけでなく、複数の著者によっ
て書かれているもの(「編著」
)も多くある。
・NDL-OPAC では、章レベルでの検索ができるので、自分の調べたいキーワードが使われてい
る編著本の章や、特定の著者が編著本のなかで書いている章を見つけることができる!
※ただしデータベースに章のタイトルや筆者まで登録されていない場合は検索できない
・また、古い雑誌については、電子化されているものもある。ほとんどはネットでは見られない
が、国会図書館内にあるパソコンからであれば見ることができるし、もちろん複写することもで
きる。
・本や論文において、複写したいところが決まっていれば、複写依頼を出すことができる。郵送
代はかかる。
サイニィ
・CiNii
http://ci.nii.ac.jp/
国立情報学研究所が構築しているデータベース。PDF ファイルで論文を web 上で入手で
きるものもあり、ひじょうに便利。
・J-STAGE
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja/
科学技術振興機構が構築しているデータベース。ここで検索してヒットした論文は、す
べて PDF で入手することができる。CiNii より掲載されている論文数は少ないが、自宅で簡
単に参考文献となる論文を入手することができるのは魅力的。
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②web 上にある百科事典を使って正しい言葉の意味や由来、歴史について知る
・JapanKnowledge
日本大百科全書(ニッポニカ)、日本国語大辞典、国史大辞典、imidas、現代用語の基礎
知識など、多くの辞典類の個別検索及び横断検索ができるデータベース。ただし有料(月
額 1,620 円から)
。図書館としてアカウントを購入している図書館にいけば無料で使える。
板橋区内だと板橋区立志村図書館が利用可能。
③Yahoo!や Google などの検索エンジンを使って情報を収集する
みなさんが一般につかっているのはこの方法。でも、こうしてみつかる情報は玉石混淆、
つまり質のいい情報も悪い情報もごちゃまぜになっている。ここから「質のいい情報」を
取り出すためにはどうすればいいか?
→そこで有用なのが「ドメイン検索」。
ドメインとは、web の URL に含まれている「.co.jp」
「.com」のこと。そのサイトを開設
している機関の性格によって異なる。
例).co.jp:一般的な会社 .com:一般的な商業組織
→ドメイン検索とは、検索語のあとにスペースをあけてドメインを入力する検索方法。
レポートや論文を書くときには大学や研究機関を表す「.ac.jp」がもっとも重要。つまり、
学術的な情報だけが検索できる。他にも、政府による政策などについて調べるためには
「.go.jp」が便利。
☆知っておくと便利な情報検索のコツ
①検索語を限定する
検索語の前後に“
”をつけると、その検索語と完全に一致するサイトだけがヒット
する。
例)板橋区立公文書館と“板橋区立公文書館”
②検索結果から余分なものを削除する
例えば、ポケモン go 以外のポケモンについて検索したい場合、検索窓に[ポケモン –go
–ゴー]と、半角のマイナスに続けて削除したいワードをいれると、「ポケモン」という単
語を含むサイトのうち、
「go」
、
「ゴー」という言葉も書かれているサイトを除いたものだけ
が表示されることになり、結果的にポケモン go 関連の情報がかなり少なくなる。
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3.行政による統計データへのアクセス
これも web をつかった情報収集が便利。
・統計局ホームページ http://www.stat.go.jp/data/index.htm
国が実施する統計調査のデータが集まっている。5年に1回、全国民を対象に実施され
る国勢調査のほか、工業統計調査、商業統計調査、農林業センサス、家計調査などの調査
結果をみることができる。
・自治体のホームページ
自治体のホームページにも、自治体が行った調査の成果が掲載されていることが多い。
また、統計資料から人口構成、人口の動態などについても知ることができる。特定の自治
体について調査する場合、一度は訪れておいた方がいい。
・決算カード http://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/card.html
総務省のサイトにある。財政指標の読み方について理解する必要はあるが、都道府県、
市町村別の財政状況が一目でわかるので便利。
[おまけ]Google アラート
これは Google の無料で使えるサービスの1つ。キーワードを登録しておけば、そのキー
ワードを含むニュースやブログなどがメールで配信される。配信の頻度などについても調
整できる。使える情報も使えない情報も一緒くたになって配信されてくるが、思いもよら
ない情報が手に入ることもある。無料なので試してみる価値はある。
詳しくは
http://www.google.co.jp/alerts
を参照のこと。
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