FOREX WEEKLY

2016 年 9 月 16 日
市場営業統括部
FOREX WEEKLY
チーフ・エコノミスト
山下えつ子
Tel: +1-212-224-4561 (ニューヨーク)
[email protected]
【本号のポイント:日米の金融政策の答えも来週出揃う】
・21 日に日銀の金融政策決定会合と米国の FOMC の結果が発表される。
・米国では利上げ見送りがマーケットのほぼコンセンサス予想。
・日銀については、「総括的な検証」が発表されるほか、それを踏まえた政策についても説明がある
だろう。その内容と 21 日に追加緩和も実施されるのかが注目点であり、かつ、マーケットの攪乱要
因にもなり得る。
【為替相場の予想レンジ】
今週のレンジ
来週の予想レンジ
12 月末の予想レンジ
3 月末の予想レンジ
ドル/円
101.41-103.36 円
101.00-103.50 円
101.00-105.00 円
105.00-110.00 円
ユーロ/ドル
1.1199-1.1285ドル
1.1200-1.1350ドル
1.1000-1.1300ドル
1.0000-1.1500ドル
ユーロ/円
113.94-116.09円
114.00-116.00 円
110.00-120.00 円
105.00-120.00 円
(今週のレンジは先週金曜日東京午前 5 時~本日東京午前 5 時(データ:Bloomberg)、
予想レンジは本日東京午前 5 時~来週金曜日東京午前 5 時)
・本号はニューヨーク時間木曜日午後3時までの情報をもとに作成しています。
・FOREX WEEKLYに関するお問い合わせは、現在お取り引き中の営業部/支店にお願い申し上げます。
・FOREX WEEKLYは弊行ホームページでもご覧頂けます。(http://www.smbc.co.jp/ 外国為替情報→フォレックス・ウィークリー)
本資料は純粋に情報提供を目的とし、いかなる取引の勧誘や推奨を行うものではありません。本資料は、弊行において、信頼
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中に記載されている指標(金利・為替・経済指標等)は過去のものであり、将来を約束するものではありません。尚、予測や見通
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FOREX WEEKLY 2016/9/16
【日米の金融政策の答えも出揃う】
いよいよ来週、日米の金融政策についても 9 月の決定結果が出る。12 日に行われたブレイナード
FRB 理事の講演は、本人の従来のハトのスタンスが維持された。FOMC 前のブラックアウトが 13 日か
ら始まるため、この理事の講演が FOMC 前の最後の Fed 高官発言となる。理事の講演を受けて、マー
ケットの 9 月米国利上げの確率は 20.0%へ低下した(9 日は 30.0%)。12 日の米株式市場は利上げ
観測の後退を好感し、ダウは 9 日終値対比 240 ドルの大幅高だった。
一方、日銀については決定会合で追加緩和の実施があると思わせるようなメディア記事をもとに、
マイナス金利の深堀りが実施されるとの予想が浮上。ドル円は米国の利上げ観測後退で 101 円台半ば
まで下落した後、14 日には 103 円台前半まで円安。21 日に日銀が「総括的な検証」の後、具体的に
どのような政策を示すかが依然として不透明で、思惑が相場を上下させている。
日銀の決定会合の結果は不透明であり、直前まで日銀の決定に対する憶測が相場を動かし続けそう
だ。そして、会合後については、まず日銀の決定を受けて相場が調整し、その後は日米の金融政策の
次の展開に対する予想で相場が動くことになろう。なお、日米ともに結果発表は 21 日であるが、日
本時間では、21 日の日銀の後、22 日早朝に米国の FOMC の結果が判明する、という順番である。各会
合の結果が消化されるまで、相場の動きは荒くなりそうだ。
日銀の結果は依然として不透明
黒田総裁・中曽副総裁のスピーチから、日銀の「総括的な検証」におけるマイナス金利の評価は、
「マイナス金利の副作用を認めつつも、コスト・ベネフィットではベネフィットが大きいとの評価を
下し、
今後もマイナス金利政策を含め、
追加緩和を継続する」という大枠となることが判明している。
政策的には、量・質・金利のいずれの政策も継続する、ということになると思われる。
だが、その一方で、21 日に追加緩和が実施されるか否かは日銀からは特に情報は出されておらず、
専らメディア報道だけがマーケットの材料・根拠となっている。報道を受けた予想や憶測といったも
のでマーケットは不安定である。
マーケットが不確実に感じているのは、①マイナス金利政策が継続されるとして、実行は今回なの
か、②国債買入れの中身に変更があるのか(長期・超長期債の買入れ額は減額されるのか)、③依然
として 2%に遥か達しないインフレについて、ターゲットを見直す、あるいは撤回することはないか、
④新たな追加緩和策は導入されるのか、という点だろう。会合の前にこれらの答えをすべて明らかに
する義務までは日銀にはないので、マーケットも 21 日まで待つしかない。
筆者の考えは前回の 9/9 号に記した通りで基本的に変わっていない。今回、追加緩和を急ぐ理由が
ないとすれば、マイナス金利の深堀りや新たな緩和ツールの導入実施といった追加緩和は見送られる
だろう。②についてはマイナス金利の導入後のイールドカーブがフラット化し、10 年債までイール
ドがマイナスに沈んだことで、弊害が発生したことも事実である。日銀がこの副作用を認め、イール
ドカーブの修正を促そうとする場合、どのような方法となるかは、はっきりと分からない。だが、現
在の債券市場にとっては、買入額の減額は tapering の発想につながり、長期金利が一段と上昇する
結果を招くだろう。適度な上昇で終わればよいが、急激に行き過ぎた場合はマーケットの混乱に繋が
2
FOREX WEEKLY 2016/9/16
る恐れがある。
③のインフレターゲットについては、「総括的な検証」でインフレが 2%に達していない理由が分
析されるだろう、今回 2%のターゲットを撤回することはないだろう。すると、追加緩和を継続する
可能性につながるが、その際のツールとして既存資産の買入れ規模の拡大のほかに新たな買入れ対象
資産の種類の拡大なども今回発表されるのか。実施までされれば、追加緩和の実施、ということにな
るが、筆者は今回の会合時には、「2%のインフレ目標の達成のために、これまでの緩和策の継続と
必要に応じてその拡大や新規ツールの導入を検討する」と表明するに留まると予想する。ただ、新規
ツールについては、例示すれば、緩和継続の意思が強く出ることになる。
マーケットは上記のような事柄について結果を複合的に判断することになる。マイナス金利深掘り
の有無、国債買入れの内容の変更、日銀の今後の追加緩和継続へのコミットメントの強弱などによっ
て、どの部分に強く反応するかは異なるだろう。マーケットは一時的に自らの予想を修正する動きを
するだろうが、最終的には全容を消化し、新たなプライスへ収斂すると思われる。それが出来ずに混
乱するリスクケースは、前述のように、国債の tapering に関わる部分だろう。
為替市場はマイナス金利の深掘りの有無に特に焦点を当てている。見送られれば円高へ動くだろう
が、将来の深掘りの可能性が残された場合には、相場の調整は軽微となろう。ただし、債券相場の混
乱が株式相場へ波及し、リスクオフとなった場合には、そこを経由して為替相場が大きく円高へ動く
可能性がある。このように考えると、最も注意しなければならないのは、債券市場の反応であるよう
に思われる。
米国の FOMC の注目点
日銀の決定会合の後、FOMC の結果発表が続く。今回は利上げが見送られるとの予想が大半である
ため、利上げ見送りでもサプライズはないだろう。
ただ、今回の FOMC では、結果発表時の声明文のほかに、経済・金利の見通し改定、イエレン議長
の記者会見も予定されている。日銀の決定会合に比べるとマーケットの攪乱要因となるリスクは小さ
いと思われるが、注目点を挙げると次の通りである。
9 月に入ってから、経済指標が弱めである。月初の雇用統計の予想比下振れの後、製造業および非
製造業 ISM の悪化、そして今週は 15 日に発表された小売売上高と鉱工業生産も弱めだった。アトラ
ンタ連銀が作成する GDPNow では 15 日の指標を踏まえて 7-9 月期の実質 GDP を前期比年率で 3.0%と
推計している。このため、今のところ GDP の数値は悪くないが、個々の月次の経済指標は今夏の景気
が今一つ勢いを欠いた可能性を示唆している。難しいのは、景況指数や先般の Fed のベージュブック
など、アネクドートからは景気鈍化の明瞭な理由が読み取れないことだ。つまり、理由がはっきりし
ないのに、景気指標が鈍化している。Fed がこうした経済指標の弱まりをどう判断しているのか。そ
して、それが今後の利上げ実施の見通しに影響を及ぼしたのか。マーケットは 9 月の利上げの可能性
を低く見ているが、12 月の利上げの可能性は 50%以上で予想している。この年内の利上げの可能性
を強めるか、弱めるかは、声明文や議長の説明の仕方による。
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FOREX WEEKLY 2016/9/16
メンバーによる経済・金利の見通しでは、今年の金利予想は 1 回に収斂するだろうが、2017 年以
降の金利予想ドットが年何回の利上げに近づくか。これはジャクソンホール・コンファレンスの前後
にマーケットでもクローズアップされた米国の潜在成長率の低下と均衡金利の低下というテーマに
類似するが、長期の見通しは再びやや低下することになり、2017 年以降の金利予想ドットもこれに
連れて、幾分下方修正(特に上の方のドットが下方へシフト)すると予想される。
9 月の利上げ実施の可能性がマーケットではほとんど織り込まれていないため、FOMC の結果では相
場はあまり大きくは動かないと思われる。ただ、昨今の景気指標が弱めであることから、それでも利
上げ実施の方針に修正がないとイエレン議長の発言から感じ取れば、為替相場はドル高へ動き、逆に、
議長の発言がジャクソンホールでの講演よりも利上げに慎重になれば、ドル安へ拍車がかかる。しか
し、21 日には日銀の決定会合の結果もマーケットを動かす材料となるため、両者を合わせて考える
と、あまり単純ではなさそうなのが来週のマーケットの難しさだろう。
経済以外では、米国の大統領選はレーバーデーの休みが終わり、本選に向けてキャンペーンが本格
化し始めた。ただし、クリントン氏の健康問題に焦点が当たり、本来の政策論争はあまりクローズア
ップされてない。一方で、世論調査ではクリントン氏のリードは続いているものの、トランプ氏が再
び票を伸ばし、差は縮まっている。重要激戦区であるオハイオ州の世論調査でトランプ氏が優勢とな
ったことで、トランプ氏の勝利の可能性も排除できないとの見方が強まっている。26 日に第 1 回の
両者の公開討論会が予定されている。
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ディーラーに聞きました(来週のドル円相場の方向性~ブルベア)
週
8 月 8 日~
15 日~
22 日~
29 日~
9 月 5 日~
12 日~
19 日~
予想
-3
±0
-3
+4
±0
±0
-6
実績
中立
ベア
中立
ブル
中立
中立
≪見方≫
当行の為替ディーラー(マーケット、カスタマー)8 名を対象に、来週の相場予想を聴取。ドルブル(終値から1円以
上のドル高)、中立(終値から上下1円内)、ドルベア(終値から1円のドル安)の三択で、結果を(ドルブル人数-ドルベア人数)
で表記。+(プラス)は円安ドル高、-(マイナス)は円高ドル安を示す。
主要 3 通貨の動き(2015 年 1 月~)
ドル/円
ユーロ/ドル
140
1.20
135
115
130
1.15
125
110
1.10
115
110
9/1/2016
7/1/2016
5/1/2016
3/1/2016
1/1/2016
9/1/2015
9/1/2016
7/1/2016
5/1/2016
3/1/2016
1/1/2016
9/1/2015
11/1/2015
7/1/2015
5/1/2015
105
1/1/2015
9/1/2016
7/1/2016
5/1/2016
3/1/2016
1/1/2016
9/1/2015
11/1/2015
7/1/2015
1.00
5/1/2015
95
3/1/2015
1.05
1/1/2015
100
120
3/1/2015
105
11/1/2015
120
145
7/1/2015
1.25
5/1/2015
125
ユーロ/円
150
3/1/2015
1.30
1/1/2015
130
(データ出所:Bloomberg)
その他通貨の中期的な動向(2011 年 1 月~)
ドル/人民元
英ポンド/ドル
6.8
ドル/ロシア・ルーブル
90
1.80
6.7
80
1.70
6.6
6.5
70
1.60
6.4
60
6.3
1.50
50
6.2
1.40
40
1.30
30
7/1/2016
1/1/2016
7/1/2015
1/1/2015
7/1/2014
1/1/2014
7/1/2013
1/1/2013
20
7/1/2012
7/1/2016
1/1/2016
7/1/2015
1/1/2015
7/1/2014
1/1/2014
7/1/2013
1/1/2013
7/1/2012
1/1/2012
7/1/2011
1/1/2011
7/1/2016
1/1/2016
7/1/2015
1/1/2015
7/1/2014
1/1/2014
7/1/2013
1/1/2013
7/1/2012
1/1/2012
7/1/2011
1.20
1/1/2011
5.8
1/1/2012
5.9
7/1/2011
6.0
1/1/2011
6.1
(データ出所:Bloomberg)
5
70
60
50
40
30
20
3500
2500
1500
原油(WTI 先物(期近物):ドル/バレル)
6
2016/7/1
4500
2016/7/1
5500
2016/4/1
株(上海総合指数)
2016/4/1
14000
15000
2016/1/1
2015/10/1
2015/7/1
2016/7/1
16000
2016/7/1
17000
2016/4/1
株(米ダウ)
2016/4/1
2016/1/1
16000
2016/1/1
18000
2016/1/1
18000
2015/10/1
19000
2015/10/1
20000
2015/10/1
20000
2015/7/1
株(日経平均株価)
2015/7/1
22000
2015/7/1
2.6
2.4
2.2
2.0
1.8
1.6
1.4
1.2
1.0
2015/4/1
2015/1/1
2016/7/1
2016/4/1
2016/1/1
2015/10/1
2015/7/1
2015/4/1
2015/1/1
%
2015/4/1
2015/1/1
2016/7/1
2016/4/1
2016/1/1
2015/10/1
2015/7/1
2015/4/1
2015/1/1
0.6
0.4
0.2
0.0
-0.2
-0.4
2015/4/1
2015/1/1
2016/7/1
2016/4/1
2016/1/1
2015/10/1
2015/7/1
2015/4/1
2015/1/1
債券(日本国債・10 年債利回り)
2015/4/1
2015/1/1
2016/7/1
2016/4/1
2016/1/1
2015/10/1
2015/7/1
2015/4/1
2015/1/1
FOREX WEEKLY 2016/9/16
通貨以外のマーケット動向(2015 年 1 月~)
債券(米国債・10 年債利回り)
%
株(ドイツ DAX 指数)
13000
12000
11000
10000
9000
8000
金(NY 先物(期近物):ドル/トロイオンス)
1500
1400
1300
1200
1100
1000
900
(データ出所:Bloomberg)
FOREX WEEKLY 2016/9/16
今週のプライスアクション(ドル円)
(出所:Reuters)
① 米金利の上昇を背景にドル
円は上昇。
② 米景気指標の悪化等を背景
にドル円は下落。
①
②
来週のチャ-ト分析
(出所:Reuters)
Daily JPY=EBS
2016/07/12 - 2016/09/28 (TOK)
Price
Daily EUR=EBS
2016/07/13 - 2016/09/28 (TOK)
Price
107
1.13
106
105
1.12
104
103
102
1.11
101
100
1.10
0
18日
25日
2016年 7月
01日
08日
15日
22日
2016年 8月
29日
05日
12日
19日
2016年 9月
.12
26日
18日
25日
2016年 7月
<ドル円、日足、一目均衡表>
・ 現在雲の下を推移。
・ 9/23 の雲上限は 103.25 円、下限は 102.28 円。
01日
08日
15日
22日
2016年 8月
29日
05日
12日
19日
2016年 9月
26日
<ユーロドル、日足、一目均衡表>
・ 現在雲の上を推移。
・ 9/23 の雲上限は 1.1189 ドル、下限は 1.1170 ドル。
来週の主な材料
9/19(月)
(日)市場休場(敬老の日)
9/20(火)
(日)金融政策決定会合(~21 日)(米)8 月住宅着工件数、8 月建設許可件数、FOMC(~21 日)
9/21(水)
(日)8 月貿易収支、黒田日銀総裁定例記者会見(米)イエレン FRB 議長記者会見
9/22(木)
(日)市場休場(秋分の日)(米)8 月中古住宅販売件数、8 月景気先行指数
(欧)9 月ユーロ圏企業景況感・消費者信頼感、ECB 月報
9/23(金)
(日)7 月全産業活動指数(欧)9 月ユーロ圏製造業・サービス業 PMI(速報)
(時間は全て現地時間)
(本ページの担当:花木)
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