資料4 不動産鑑定評価の現状

資料4
不動産鑑定評価の現状
国土交通省 土地・建設産業局
地価調査課
平成28年8月
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
不動産鑑定士・鑑定業者の現状
○ 不動産鑑定士等の登録者数
○
9,482名 (不動産鑑定士 8,207名、不動産鑑定士補 1,275名)
不動産鑑定業者の登録業者数 3,398業者(大臣登録業者 80業者、知事登録業者 3,318業者)
(平成28年1月1日時点)
不動産鑑定業者数
(平成28年1月1日時点)
3,318
0
500
1,000
1,500
都道府県知事
登録業者
国土交通大臣
登録業者
80
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
(社)
1業者あたりの不動産鑑定士の人数
0%
10%
(平成28年1月1日時点、「平成27年不動産鑑定業者の事業実績報告」より)
20%
30%
40%
全不動産鑑定業者
50%
60%
70%
80%
84.9%
90%
100%
1.7%
11.8%
0.2%
1.0%
国土交通大臣
登録業者
48.8%
13.8%
18.8%
10.0%
8.8%
1.4%
都道府県知事
登録業者
87.1%
1人
2~3人
4~5人
10.9%
6~10人
11~20人
21人~
0.1%
0.5%
1
不動産鑑定士の所属業種別割合
○
不動産関係(不動産鑑定業(約64%)、不動産業(約14%))の業種に所属している者が8割程度を占めるが、
金融関係(金融業、保険業、信託銀行、金融商品取引業、金融先物取引業)の業種にも1割程度所属している。
不動産鑑定士の所属業種別割合(平成27年)
教育、学習支援業, 0.5%
専門サービス業, 5.0%
公務, 1.6%
その他の業種, 2.4%
無回答, 1.9%
金融業、保険業, 3.0%
金融商品取引業、
商品先物取引業, 2.4%
信託銀行, 2.9%
不動産業, 13.7%
不動産鑑定業, 63.9%
建設業、土木建築サービス業, 2.6%
備考 : 「不動産鑑定士に関するアンケート調査」の結果より作成
回答者数(5,839名)のうち「無職」の回答者を除いた5,202名で集計
回答件数は、複数業種を回答した834名の回答(957件)を含む6,159件
2
事業実績の現状① (全業者:依頼目的別報酬額)
○
事業規模は、3年に一度の固定資産の評価替えの年を除くと、概ね400億円程度で推移している。
依頼目的別:報酬額の推移
(億円)
800
734
その他
40
39
700
証券化
(平成20年~)
補 償
595
600
500
400
300
200
100
29
47
34
288
434
435
424
34
41
23
40
46
38
18
107
63
164
77
127
63
171
19
77
101
54
66
163
153
198
356
350
101
22
44
31
18
18
45
29
20
88
94
44
40
106
平成21年
48
135
545
542
21
45
28
18
47
31
課
405
22
51
336
346
236
18
43
29
22
234
72
73
22
44
34
24
64
45
46
46
46
45
101
86
95
98
97
93
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
平成27年
60
51
21
税
資産評価
財務諸表
(平成23年~)
担 保
107
交 換
(~平成22年)
売 買
0
平成16年
平成17年
平成18年
平成19年
平成20年
備考 : 賃料評価、鑑定人等としての業務、公的土地評価(地価公示・都道府県地価調査)は含んでいない。
「課税」には固定資産税評価を含み、平成17年、20年、23年、26年には固定資産の評価替えが行われている。
3
事業実績の現状② (全業者:報酬額の依頼目的別割合)
○
「売買」の割合が低下し、「証券化」は1割程度を占める。
依頼目的別:報酬額の割合の推移
(%)
100
7.8
90
80
5.5
5.3
9.3
9.5
17.8
5.3
70
10.8
8.8
4.9
7.9
5.6
4.3
39.2
4.4
24.6
23.8
60
6.2
5.3
12.3
12.8
8.8
5.1
3.9
8.3
5.4
6.3
12.7
8.2
8.8
9.9
12.6
5.8
6.4
6.9
5.3
43.3
17.8
43.1
21.8
26.9
5.7
18.4
26.4
14.5
17.2
0.6
30
20
12.6
12.7
5.1
50
40
5.4
12.4
0.7
15.6
17.0
8.6
8.1
0.9
0.4
37.7
37.6
36.0
23.3
10
3.0
0.7
12.3
0.6
11.5
13.3
13.7
4.0
13.4
1.9
29.0
3.8
11.1
8.4
8.3
22.7
11.0
0.5
2.1
29.8
その他
8.7
33.3
24.8
3.3
28.3
28.4
17.9
15.8
22.9
証券化
(平成20年~)
補 償
課
税
資産評価
財務諸表
(平成23年~)
担 保
交 換
(~平成22年)
売 買
0
平成16年
平成17年
平成18年
平成19年
平成20年
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
備考 : 賃料評価、鑑定人等としての業務、公的土地評価(地価公示・都道府県地価調査)は含んでいない。
「課税」には固定資産税評価を含み、平成17年、20年、23年、26年には固定資産の評価替えが行われている。
平成27年
4
事業実績の現状③ (登録業者別:1業者あたりの平均報酬額の推移)
○
3年に一度の固定資産の評価替えの年を除くと、大臣登録業者は概ね増加傾向、知事登録業者は平成24年以降増加
傾向にある。
登録業者別:1業者あたりの平均報酬額の推移
(千円)
国土交通大臣登録業者
250,000
都道府県知事登録業者
200,716
200,000
186,734
167,787
181,014
177,461
167,947
161,298
157,703
147,490
141,786
150,000
183,965
100,000
50,000
18,375
9,758
9,417
14,086
7,387
7,211
13,073
6,930
7,002
12,690
8,611
0
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
備考 : 鑑定人等としての業務、公的土地評価(地価公示・都道府県地価調査)は含んでいない。
固定資産税評価を含み、平成17年、20年、23年、26年には固定資産の評価替えが行われている。
H25
H26
H27
5
事業実績の現状④ (登録業者別:報酬額の依頼目的別割合)
○
大臣登録業者は「証券化」が3割を占め、知事登録業者は「資産評価」「売買」「補償」の割合が高い。
登録業者別:報酬額の依頼目的別割合(平成27年)
都道府県知事登録業者
国土交通大臣登録業者
証券化 2.7%
証券化
32.1%
4.2%
売買
19.2%
7.9%
補償
17.7%
平成27年
平成27年
269億円
135億円
15.8%
(80業者)
資産評価
15.2%
売買
24.7%
7.1%
5.5%
(3,168業者)
資産評価
32.0%
8.7%
2.9%
補償 2.6%
1.6%
売
買
担
保
財務諸表
資産評価
課
税
補
償
証券化
その他
備考 : 賃料評価、鑑定人等としての業務、公的土地評価(地価公示・都道府県地価調査)は含んでいない。
6
事業実績の現状⑤ (不動産鑑定評価業務と隣接・周辺業務)
○
隣接・周辺業務に係る報酬額は、鑑定業者に係る報酬額合計の3割程度を占める。
報酬額の規模と構成比(平成27年)
800
構成比
報酬額
(億円)
732.4
742.7
166.5
181.6
100%
22.7%
600
400
519.6
521.4
164.0
155.9
565.9
200
596.3
80%
178.7
60%
40%
561.1
355.6
77.3%
31.6%
29.9%
24.4%
30.0%
68.4%
70.1%
75.6%
70.0%
平成24年
平成25年
平成26年
平成27年
417.6
365.5
20%
0
0%
平成23年
平成24年
平成25年
不動産鑑定評価業務
(法第3条1項業務)
平成26年
平成27年
平成23年
隣接・周辺業務
(法第3条2項業務)
不動産鑑定評価業務
(法第3条1項業務)
隣接・周辺業務
(法第3条2項業務)
(法 : 不動産の鑑定評価に関する法律)
不動産鑑定評価業務
不動産(土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利)の経済価値を判定し、その結果を価額に表示すること。
隣接・周辺業務
不動産の客観的価値に作用する諸要因に関して調査若しくは分析を行い、又は不動産の利用、取引若しくは投資に関す
る相談に応じること。市場分析、不動産取引等に関するコンサルティングが該当。 「不動産の鑑定評価に関する法律」上の
不動産鑑定士の独占業務ではない。
備考 : 鑑定人等としての業務、公的土地評価(地価公示・都道府県地価調査)は含んでいない。
固定資産税評価を含み、平成23年、26年には固定資産の評価替えが行われている。
7
不動産鑑定士試験の現状① (申込者数と合格者数)
○
平成18年以降、申込者数は急減している。
申込者数と合格者数の推移
8
不動産鑑定士試験の現状② (申込者数と年齢別割合)
○
平成18年からの推移をみると、20代・30代の若年層の申込者数が大幅に減少し、割合も低下している。
申込者数と年齢別割合の推移
割合(%)
申込者数(人)
2,500
50.0
2,000
40.0
1,500
30.0
1,000
20.0
500
10.0
0
0.0
~29歳
平成18年
平成19年
平成20年
30~39歳
平成21年
平成22年
40~49歳
平成23年
※棒グラフは申込者数(左目盛り)、折れ線グラフはその割合(右目盛り)
平成24年
平成25年
50歳~
平成26年
平成27年
平成28年
9
不動産鑑定士に対する懲戒処分の実績一覧(平成元年以降)
処分日
処分の内容
事案の概要
登録の消除
1 H12.01.05 登録の消除
抵当証券の発行に関連し、その担保となった不動産(山林等)を過大に評価したもの
2 H15.10.30 登録の消除
抵当証券の発行に関連し、その担保となった不動産(山林等)を過大に評価したもの
3 H17.10.18 登録の消除
抵当証券の発行に関連し、その担保となった不動産(ゴルフ場)を過大に評価したもの
4 H27.09.02 登録の消除
対象不動産(マンション開発予定地等)を過大に評価したもの 【P.11 事案1参照】
業務禁止
1
H9.03.31 業務禁止2名:5ヶ月
地方公共団体の用地買収に関連し、評価対象以外の土地を加えるなどの不適切な操作を行ったもの
2
H9.09.29 業務禁止1名:3ヶ月
斜面地を含む評価で、開発可能性を十分に考慮せず、全体を平坦地として評価したもの
3 H11.07.01 業務禁止1名:4ヶ月
異なる不動産を対象不動産と誤認して評価を行ったもの
4 H11.07.01 業務禁止1名:2ヶ月
地方公共団体の用地買収に関連し、実地調査日等について虚偽の記載を行ったもの
5 H19.11.01 業務禁止1名:4ヶ月
地方公共団体の公共用地買収に関連し、現地の確認や鑑定評価の手法の適用を怠ったもの
業務禁止1名:3ヶ月
※ほか戒告3名
業務禁止1名:1年
7 H24.10.31 業務禁止2名:2ヶ月
※ほか戒告3名
業務禁止1名:10ヶ月
8 H25.10.23
業務禁止1名:7ヶ月
旧「かんぽの宿」の売却に関連し、日本郵政公社(当時)からの要請に応じて合理的な理由なく評価額を低く訂正
するなどしたもの 【P.11 事案2参照】
6 H23.08.26
ジャスダックに上場中であったネステージ社の現物出資に関連し、その対象となった不動産(宿泊施設)を過大に
評価したもの 【P.12 事案3参照】
ジャスダックに上場中であったセイクレスト社の現物出資に関連し、その対象となった不動産(山林)を過大に評
価したもの 【P.12 事案4参照】
戒告
1 H26.06.19 戒告
2 H27.01.27 戒告2名
19年以上前を価格時点としていたにもかかわらず、当時の状況を確認せず、また、土地の賃借等の権利関係を
調査しなかったもの
・担保評価等の参考としての鑑定評価において、その対象となった不動産(山林)を過大に評価したもの
・時価査定の参考としての鑑定評価において、その対象となった不動産(山林)を過大に評価したもの
10
【参考】 近年の不動産鑑定士に対する処分実績①
事案1 (平成27年9月)
過去に登録の消除の懲戒処分を受けた不動産鑑定士が、行政処分を終えたことから再登録し、業務を再開したが、
交付した3件の鑑定評価書に関連し、不動産鑑定士による不適切な鑑定評価がなされたもの。
【不動産鑑定士に対する行政処分】
関与した1名の不動産鑑定士に対し懲戒処分を実施
(処分の内容)
・登録の消除 1名
(処分の理由)
・公法上の規制内容等についての調査・検証を行わず、基準容積率を大幅に超過した超高層マンションの建設・分譲
を想定するなど、不当な評価を行った。
事案2 (平成23年8月)
日本郵政公社(当時)からの要請に応じて、合理的な理由なく評価額を低く訂正するなどした旧「かんぽの宿」の売却に
関連し、不動産鑑定士による不適切な鑑定評価がなされたもの。
【不動産鑑定士に対する行政処分】
関与した4名の不動産鑑定士に対し懲戒処分を実施
(処分の内容)
・業務禁止 1名:3ヶ月
・戒 告 3名
(処分の理由)
・重要な評価条件を鑑定評価書に記載しないことに加え、ドラフトとして鑑定評価額を依頼者に示した後、依頼者からの
11
要請に応じて、合理的な理由なく鑑定評価の内容を大幅に変更するなど、不当な評価を行った。
【参考】 近年の不動産鑑定士に対する処分実績②
事案3 (平成24年10月)
ジャスダックに当時上場していた(株)ネステージ社が実施した不公正な第三者割当増資に係る現物出資(未稼働の宿泊
施設3物件)に関連し、不動産鑑定士による不適切な鑑定評価がなされたもの。
【不動産鑑定士に対する行政処分】
関与した6名の不動産鑑定士に対し懲戒処分を実施
(処分の内容)
・業務禁止 3名 (1名:1年、2名:2ヶ月)
・戒 告 3名
(処分の理由)
・未稼働の宿泊施設について、その修繕及び再稼働に要する費用を著しく過小に査定するとともに、検証を行うことな
く、客室数の増加を前提として収益価格を高く試算するなど、不当な評価を行った。
事案4 (平成25年10月)
ジャスダックに当時上場していた(株)セイクレスト社が実施した不公正な第三者割当増資に係る現物出資(山林)に
関連し、不動産鑑定士による不適切な鑑定評価がなされたもの。
【不動産鑑定士に対する行政処分】
関与した2名の不動産鑑定士に対し懲戒処分を実施
(処分の内容)
・業務禁止 2名(1名:10ヶ月、1名:7ヶ月)
(処分の理由)
・対象不動産には急傾斜の山林部分が多く存在するが、具体的な宅地分譲事業についての想定が曖昧なまま、その
実現性に関する十分な分析を怠るなど、不当な評価を行った。
12