UNGC:第6回日中韓ラウンドテーブル開催報告書 (Japanese)

禁無断転載
United Nations Global Compact
The 6th China-Japan-Korea
Roundtable Conference
2014
国連グローバル・コンパクト
第6回⽇中韓ラウンドテーブル
開催報告書
“Engagement –Calling From East Asia for Post-2015”
2014年9⽉
⼀般社団法⼈グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク
⽬次
I.
概要
1.第6回⽇中韓ラウンドテーブル企画概要
・・・P.3
2.テーマ選定
・・・P.4
3.全体スケジュール
・・・P.5
4.動員結果
・・・P.6
5.広報
・・・P.7
II. プログラム別内容報告
1.Main Event
①Day1:⽇中韓RT会合Agenda/登壇者
・・・P.8
i.
Opening Remarks
・・・P.11
ii.
Congratulatory Remarks
・・・P.11
iii.
Keynote Speech
・・・P.12
iv. Calling from Academia
・・・P.12
v.
Business Session Part1
・・・P.14
vi. Business Session Part2
・・・P.18
vii. Youth Program
・・・P.23
viii. Closing Remarks
・・・P.30
ix. Dinner Party
・・・P.30
2.Side Event
・・・P.31
①Day2: Optional Event
III.サポーター
・・・P.33
1.ご協賛・ご協⼒
2
Ⅰ. 概要
1. 第6回⽇中韓ラウンドテーブル企画概要
 ⽇中韓ラウンドテーブルとは
韓国の呼びかけで2009年に始まった、⽇本・中国・韓国3カ国の連携強化を⽬的としたラウンドテー
ブル会合。各国持ち回りで毎年開催し、2014年度は第6回、⽇本主催としては2回⽬の開催となる。
 開催⽬的
 国連GC 東アジアローカルネットワークの連携強化と発信
国連グローバル・コンパクト(UNGC)4分野「⼈権」「労働」「環境」「腐敗防⽌」における10原則の遂⾏による
持続可能な社会の実現にあたり、世界におけるモノづくりの中⼼となり経済を⽀える東アジア・⽇中韓の共通課題に
関する好事例を学び、情報共有およびディスカッションを通じて、ローカルネットワークの連携を強化するとともに、
ポスト2015のアジェンダ策定に向けて発信する。
 CSR推進における⽇中韓の企業・アカデミアネットワーク構築
各ローカルネットワークから企業・アカデミアが参加し、ビジネス・研究の各側⾯から現在のグローバルなCSR推進
における課題へアプローチすることで、今後の課題解決のヒントを持ち帰り、各ローカルネットワーク内の署名
企業・団体に展開する。併せて、⽇中韓の企業ネットワークを広げる。
 次世代での責任を持つ学⽣の成⻑機会提供
学⽣がCSRについて考えるプログラムを設け、⽇中韓の企業・アカデミアからの参加者と交流を図ることで、将来の
CSR活動を⽀えるプレ社会⼈として、グローバルな視点を⾝に付ける機会を提供する。
 ⽂化交流
毎年各国持ち回りで開催することにより、企業⾒学、観光等での⽂化交流を図る。
 開催⽇:2014年8⽉28⽇(⽊)-29⽇(⾦) *学⽣プログラムは2014年8⽉27⽇を含む
 会場:品川プリンスホテル メインタワー他
 主催:⼀般社団法⼈グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク(GC-JN)
 共催:Global Compact Network China, Global Compact Korea Network
 協賛・協⼒
*⼝数・あいうえお順, 法⼈格略
 協賛:住友化学、味の素、SCSK、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、オリンパス
キッコーマン、南海通運、⽇本サッカー協会、博報堂、ハタエ⽯油、富⼠ゼロックス、富⼠メガネ、
三菱重⼯業、横浜ゴム、LIXIL [計15社170万円]
 協⼒:味の素、伊藤忠商事、EY総合研究所、SCSK、NEC、オムロン、キッコーマン、信越化学⼯業、住友商事、
セガサミーホールディングス、千代⽥化⼯建設、トップツアー、⽇本ユニシス、博報堂、ライオン [計15社]
 参加者:⽇中韓3カ国のアカデミア、ビジネス、学⽣、⼀般聴講者
 ⾔語:英語(⽇⇔英同時通訳有)
 プログラム:テーマ「エンゲージメント 〜Post-2015に向けた東アジアからの発信〜」
①基調講演:株式会社リコー 特別顧問 桜井正光⽒
②アカデミアからの提⾔:「Post-2015を取り巻く世界の潮流」
③ビジネスセッション:Part1「気候変動におけるビジネスエンゲージメント」
Part2「持続可能な社会実現に向けたステークホルダーエンゲージメント」
④ユースプログラム:「持続可能な開発におけるビジネスエンゲージメント(CSR)に関する提案」
A)企業への提案「10年後の東アジアのCSRビジョン(理想企業像)」
B)ユースへの提案「10年後の東アジアのCSRビジョン(理想社会像)」
⑤交流会
⑥CSR先進企業⾒学:味の素株式会社
3
Ⅰ. 概要
2. テーマ選定
2014年度の国連2⼤⽬標の⼀つである「Post-2015のアジェンダ策定」に向けて多くの議論が交わされている中
で、ベースとなる考え⽅の⼀つとして「ビジネスエンゲージメント」があると⾔われている。
持続可能な社会実現に向けた国連⽬標の達成にあたり、国や政府だけでなく⺠間企業・団体がキーとなるという、
ビジネスエンゲージメントの考え⽅は決して新しいものではなく、UNGCが発⾜した2000年から早14年⽬を迎え、
現在ではこれに賛同する署名企業・団体の数は12,000を超える。
UNGC 第6回⽇中韓ラウンドテーブルでは、この状況下でビジネスエンゲージメントの重要性を改めて確認・発信
するとともに、UNGCにとっての東アジアにおける様々なステークホルダーとエンゲージすることを⽬的とし、
「エンゲージメント〜 Post-2015に向けた東アジアからの発信〜」を全体テーマとした。
同時に、昨年の中国主催CJK-RTのテーマであり、今年のもう⼀つの国連2⼤⽬標でもある「気候変動」をビジネ
スセッションで取り上げ、各国代表企業による事例発表と議論を実施した。
[テーマ変遷:アカデミア・ビジネス] *A:アカデミア、B:ビジネス
2009年:第1回@ソウル「企業の社会的責任」
A:①10年を迎えるにあたっての国連GCバリュー再考
②東アジアのCSRコミュニティにおけるエンゲージメントとコラボレーション
B:東アジアにおける国連GCとCSR
2010年:第2回@上海「国連GC」
A:21世紀における国連GCの持続的可能な発展の
ブループリントを達成するために
B:①国連GCおよびCSRの実践とグリーン・ディベロップメン
②CSRサプライチェーンマネジメント
2011年:第3回@東京「国連GCブループリントに向けたビジネスと社会」
B:①CSRのサプライチェーン・バリューチェーンマネジメントへの展開
②GC LEADプログラム ③社会企業とCSR
A:CSRにインパクトを与える世界の潮流
2012年:第4回@ソウル「企業の持続可能性」
A:サプライチェーンとSMEと雇⽤
機会
B:①Rio⁺20の評価とアクション ②CSRにおけるパートナーシップ ③CSR環境の構築
④企業のサステナビリティ取組みにおけるサプライチェーンマネジメント
2013年:第5回@北京「気候変動」
A:①気候・環境に関するCSR ②CSRとサステナビリティ B:①気候変動における企業役割 ②企業視点からの持続可能な開発
2014年:第6回@東京「エンゲージメント 〜ポスト2015に向けた東アジアからの発信〜」
A:ポスト2015を取り巻く
世界の潮流
B:①気候変動におけるビジネスエンゲージメント
②持続可能な開発における包括的成⻑に向けたステークホルダーエンゲージメント
<UNGC Stakeholdersʼ Engagement>
China
ビジネス
アカデミア
UNGC
学⽣
Japan
4
UNGC
Korea
[テーマ変遷:ユースプログラム]
2012年に韓国LNにより始められたプログラムで、過去2回は⽇中韓RTの本会合とは別枠で実施されていたが、
2014年度の第3回は第6回⽇中韓RTの⼀プログラムとして「ビジネスエンゲージメント」をテーマに実施。
2012年:第1回@ソウル
①3国の企業におけるCSR⽣態系の変遷と展望 ②Rio⁺20とグリーンエコノミーの今後
③より良い社会に向けた市場経済構築の⽅法 ④腐敗防⽌からの企業の価値促進 ⑤社会的企業の⾰新的事例と先進企業への道
2013年:第2回@北京
①持続可能な開発における最重要課題 ②企業にとってのCSRの意味
③CSR活動促進のためのステークホルダーの役割 ④気候変動のプロポーザル
2014年:第6回⽇中韓RTの⼀プログラムとして開催@東京
①持続可能な開発におけるビジネスエンゲージメント(CSR)に関する提案
A) 企業への提案「10年後の東アジアのCSRビジョン(理想企業像)」
B) ユースへの提案「10年後の東アジアのCSRビジョン(理想社会像)」
Ⅰ. 概要
3. 全体スケジュール
Day0: 8/27(⽔)
AM
Day1: 8/28(⽊)
CJK‐RT Conference
Day2: 8/29(⾦)
8:45‐8:50
Opening Remarks
P.11
8:50‐9:00
Congratulatory Remarks
P.11
9:00‐9:20
Keynote Speech
P.12
9:20‐11:05
Calling from Academia
P.12‐13
11:20‐13:10
Business Session Part1
P.14‐17
8:30‐15:00
Optional Event
Factory Tour
11:30‐13:30
Lunch Meeting
with Mr Kell
13:10‐14:10
Lunch
Lunch
14:10‐16:15
Business Session Part2
P.31‐32
P.18‐22
PM
16:30‐18:00
Youth Program
16:30‐20:30
Youth
Program
Day0
Dinner
17:00‐18:00
Steering
Committee
18:00‐18:15
Closing Remarks
18:30‐22:00
Welcome Dinner
18:35‐20:35
Dinner Party
P.23‐29
P.23‐25
5
P.30
P.30
内容紹介ページ
Main Event
Side Event
Ⅰ. 概要
4. 動員結果

8/27(⽔)Day0
[16:30-20:30] ユースプログラム@AP品川10階「EFG」参加者計49名
①学⽣:⽇本14名、中国15名、韓国10名
②ファシリテータ:⽑利⽒(国際基督教⼤学)、Mr Guowei (GC Network China)、
Mr Moon (Korea University Business School)
③Teaching Advisor:EY総研 ⽜島⽒/Ms Owens
④コメンテータ:三浦⽒(名古屋⼤学)、川端⽒(南海通運)
⑤GC-JN:⾓家、三浦、中尾

8/28(⽊)Day1
[8:45-18:15] 第6回⽇中韓ラウンドテーブル@品川プリンスホテル12階「シルバー」
参加者計204名(⽇本161名、中国23名、韓国19名、GCO1名)*当⽇キャンセル12名(6%)
①登壇者:⽇本12名、中国5名、韓国5名、GCO1名
②学⽣: ⽇本14名、中国15名、韓国10名
③LN:
⽇本11名、中国3名、韓国3名
④聴講者(随⾏/⼀般/サポメン):⽇本111名(サポメン25名)、中国2名、韓国2名
⑤その他:通訳関係8名、トップツアー2名、メディア1名
*プログラム別参加者状況
AM:187名 / Lunch:151名 / PM:191名 / Dinner Party:104名

8/29(⾦)Day2
[8:30-15:00] オプショナルイベント「味の素
川崎⼯場⾒学ツアー」参加者計47名
①参加者:⽇本9名、中国17名、韓国16名 *当⽇キャンセル5名(11%)
②GC-JN:名取事務局⻑、⾓家、三浦、中尾/井上(通訳)
6
Ⅰ. 概要
5. 広報
 広報活動の充実・拡⼤
⽇中韓RTの2ラウンド⽬最終回にあたる第6回開催にあたり、改めて、会合の存在および開催意義・内容
を⽇本の会員企業・団体、署名検討企業、渉外連携団体等の皆様に認知してもらいたいという⽬的で、
博報堂さんご協⼒のもと広報活動に⼒を⼊れた。
[⽇中韓RTロゴの作成・発信]
ラウンドテーブル(円卓)をイメージした丸型の枠の中で、⽇中韓の3カ国が、⾃国のことだけではなく地球全
体のことについて議論を交わす会合であることから、世界地図を使⽤。「地球の未来のために」。
[ポスター/チラシ作成・配布]
キャッチコピーは「Letʼs Talk」。誰もが理解できる⾔葉を使⽤し、あらゆる層の⽇中韓関係者のエンゲージメ
ントを実現したいという気持ちが込められた。
[⽇中韓RT専⽤Webサイトオープン] *URL: http://www.ungcjn.org/cjkrt
会合関連情報をいつでも⼊⼿できるよう、GC-JN⼀般サイト内に⽇中韓RT専⽤Webサイトを設置。配布資料
(紙)の削減および会合当⽇の理解促進を⽬的として、登壇者の発表資料をダウンロードできる環境も構築。
*主な掲載内容(⽇英併記)
•概要
•アジェンダ
•資料ダウンロード(PW保護)
•登壇者情報
•ユースプログラム参加者⽤情報
•協賛・協⼒企業紹介
•フライト情報
•宿泊情報
•広報ツール紹介(ちらし/ポスター/ロゴ)
•聴講参加申込み
•お役⽴ちリンク集
•会場アクセスとお問合せ先
•当⽇の写真(PW保護)
→来年度以降も随時更新予定
7
II. プログラム別内容報告
1.Main Event
①Day1:⽇中韓RT会合Agenda/登壇者
内容紹介ページ
Time
Program / Speakers
8:15‐8:45
30’
8:45‐8:50
5’
P.11
8:50‐9:00
10’
P.11
9:00‐9:20
20’
P.12
Registration
Opening Remarks ; Mr Toshio Arima, Chairman of the Board, GC Japan Network
GC‐JN 代表理事 有⾺ 利男 ⽒
Congratulatory Remarks ; Mr Georg Kell, Executive Director, UN Global Compact Office
1. Keynote Speech ; Mr Masamitsu Sakurai, Executive Advisor, Ricoh Company, Ltd.
株式会社リコー 特別顧問
桜井 正光 ⽒
2.Calling from Academia; “World Trends on Setting the Post‐2015 Development Agenda” 「Post-2015 を取り巻く世界の潮流」
9:20‐11:05
105’
P.12‐13
11:05‐11:20
[Speakers] (China) Mr Zhao Guowei ‐China Enterprises Confederation, GC Network China (Japan) Mr Satoshi Miura / 三浦 聡 ⽒
‐Professor, Graduate School of Law, Nagoya University
‐名古屋⼤学⼤学院法学研究科 教授
(Korea) Mr Jae Sung Kwak
‐Professor, Kyunghee University
[Moderator]
(Korea) Mr Hong Jae Im ‐GC Korea Network, Secretary General
15’
Coffee Break
3‐1. Business Session Part1; “Business Engagement on Climate Change”
「気候変動におけるビジネスエンゲージメント」
11:20‐13:10 110’
P.14‐17
[Speakers]
(China) Mr Chen Peitao ‐Deputy General Manager of Corporate Strategy and Investor Relations Department, Industrial and Commercial Bank of China Limited (Japan) Mr Masao Seki / 関 正雄 ⽒
‐Senior Advisor, Corporate Social Responsibility Department, SOMPO JAPAN INSURANCE Inc. -株式会社損害保険ジャパン CSR 部 上席顧問
(Japan) Mr Yusuke Saraya / 更家 悠介 ⽒
‐President, SARAYA Co., Ltd. / サラヤ株式会社 代表取締役社⻑
(Korea) Mr Keun Chul Chun ‐Director General, General Affairs Department, National Pension Service
[Moderator] (China) Ms Wang Fengzuo ‐Deputy Executive Secretary‐general of GC Network China ‐Division Chief of International Department of China Enterprise Confederation
8
Time
13:10‐14:10
Program / Speakers
Lunch ⋆venue:10th Floor “Moonstone”
60‘
3‐2. Business Session Part2 ; “Stakeholder Engagement for Building the Sustainable Society”
「持続可能な社会実現に向けたステークホルダーエンゲージメント」
[Speakers]
(China) Mr Li Xiao ‐Board director & CEO, TICO Digital Group
(Japan) Mr Tomoyuki Matsuura / 松浦 智之 ⽒
-Corporate Vice President, Executive General Manager Procurement Group,
Fuji Xerox CO., Ltd. -富⼠ゼロックス株式会社 執⾏役員 全社調達担当兼調達本部⻑
(Japan) Mr Keisuke Ota / ⼤⽥ 圭介 ⽒
-Manager, CSR Promotion and Social Contributions Office, Corporate Communications Division, NEC Corporation 14:10‐16:15 125‘
-NEC コーポレート・コミュニケーション部 CSR・社会貢献室 マネージャー
(Korea) Mr Young Kee Kim ‐Executive Vice President, LG Corp.
[Moderator]
(Japan) Ms Mariko Kawaguchi / 河⼝ 真理⼦ ⽒
-Chief Researcher, Research Division, Daiwa Institute of Research Ltd.
P.18‐22
-株式会社⼤和総研 調査本部 主席研究員
‐‐‐‐‐‐‐
Introduction; “A Vision of Desirable CSR Activity in the Supply Chain”
「サプライチェーンにおける望ましい CSR 活動のあり⽅」発表
(Japan) Ms Yoshie Usui / 薄井 芳恵 ⽒
-GC‐JN Supply Chain Working Group / GC-JN サプライチェーン分科会
-CSR Implementation & Administration Board, Tamron Co.,Ltd. -株式会社タムロン CSR 推進室
16:15‐16:30
15‘
Coffee Break
4. Youth Program ; “Proposal on the Ideal Form of Business Engagement (CSR) in Achieving the Sustainable Development – with regard to UNGC”
「持続可能な開発におけるビジネスエンゲージメント(CSR)に関する提案 - GC を意識しつつ」
16:30‐18:00
P.23‐29
90‘
[Youth Participants] (China) 15 (Japan) 15 (Korea) 10 members [Moderator/ Japan Team Facilitator] Mr Katsuhiko Mori / ⽑利 勝彦 ⽒
‐Professor, College of Liberal Arts, International Christian University ‐国際基督教⼤学 教養学部 教授
[Facilitators] (China) Ms Li Li ‐Assistant Professor of institute of international economy, University of International Business and Economics
(Korea) Mr Hyoung Koo Moon ‐Professor, Korea University Business School
9
Time
Program / Speakers
4. Youth Program ; Cont.
[Teaching Advisor] Mr Keiichi Ushijima / ⽜島 慶⼀ ⽒
‐Principal Fellow, Ernst & Young Institute, Co., Ltd. -EY 総合研究所株式会社 主席研究員
16:30‐18:00
90‘
P.23‐29
[Commentators] Mr Satoshi Miura / 三浦 聡 ⽒
‐Professor, Graduate School of Law, Nagoya University
‐名古屋⼤学⼤学院法学研究科 教授 Mr Toshihiko Kawabata / 川端 敏彦 ⽒
-President, Nankai Tsu‐un Corporation
‐南海通運株式会社 代表取締役
Mr Georg Kell ‐Executive Director, UN Global Compact Office
Mr Toshio Arima / 有⾺ 利男 ⽒
‐Chairman of the Board, GC Japan Network / GC-JN 代表理事
Closing Remarks ; 18:00‐18:15
15’
P.30
Mr Kazuo Ogura / ⼩倉 和夫 ⽒
‐Advisor, The Japan Foundation / 国際交流基⾦ 顧問
‐Former Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary to Republic of Korea / 元駐韓国⼤使
5. Dinner Party 18:35‐20:35 120‘
P.30
[Overview] Mr Georg Kell, Executive Director, UN Global Compact Office
[Speech] (China) Mr Han Bin, Executive Secretary General, GC Network China
(Korea) Mr Hong Jae Im, Secretary General, GC Korea Network
[Youth Certificate Award]
[Closing Speech] Mr Akio Nomura / 野村 彰男 ⽒
‐Director, GC Japan Network / GC‐JN 理事
(全体司会)
GC-JN事務局⻑
名取 俊英
10
II. プログラム別内容報告
1-①-ⅰ Day1: Opening Remarks
[UNGCボードメンバー/ GC-JN代表理事
有⾺ 利男⽒]
本⽇は会場の皆様を第6回⽇中韓RT会合にお迎えすることができ、⼤変嬉しく思います。遠⽅か
ら来ていただいた中国、韓国の皆様、さらに⽇本の参加者の皆様を⼼より歓迎します。また、GCO
からはGeorg Kell⽒をお迎えすることができ、私達の会合に⾮常に⼤きな価値を付加していただく
ことに改めて感謝いたします。
今年のテーマは「Engagement〜Post-2015に向けた東アジアからの発信」です。持続可能な社
会の実現を⽬指してUNGC4分野10原則に関する⽇中韓の共通課題や好事例を共有し、議論を通じ
てローカルネットワークの連携を強化するとともに、ポスト2015の持続可能な開発⽬標に向けて
共同
共同発信することを⽬的としております。また、⽇中韓のビジネス、アカデミア、ユースがそれぞれの⽴場から
CSRに関する活発な議論を展開し、交流を深めるとともに⼈々のネットワークを構築する貴重な機会でもあります。
これらの⽬的を実現するために、UNGCは⾮常に有効なプラットフォームであることを改めて認識する次第です。
GC-JNは規模・質ともに順調に進歩を遂げています。会員は200を⽬前としていますが、より迅速に規模を拡⼤し
たいと考えています。質については、まず毎年13-15の分科会が開催され、10原則を基本としたテーマで約300⼈
が専⾨家や会員同⼠での学び合いを実現しています。成果物を刊⾏物として発表する分科会も出てきており、本⽇
はその紹介も予定されています。また、AKKと呼ばれる若⼿経営層を対象とする1年間のプログラムでは、会員企業
の経営者が選抜した若⼿経営層がCSRについてより学び、深く考える機会を設けております。毎年13-15名が参加
し、過去参加者を含めて100名に近づいたことから、本年AKK卒業⽣ネットワークが形成され、新たな活動を開始
したりしています。
今年の⽇中韓RTでは、26の会員企業・団体の皆様から資⾦・商品・サービス⾯で協⼒をしていただき、⼼より
感謝しております。全体としてGC-JNは順調な進展を⾒せておりますが、多くの課題も抱えており、これからも
皆様の継続的な⽀援を必要としております。
今年の⽇中韓RT会合は第6回、2ラウンド⽬の最終回という重要な機会となります。ここにいらっしゃる3カ国の
皆様がお互いを知り、学び合い、友情を育む素晴らしい機会になることを期待し、何より楽しんでいただければと
思います。良い1⽇をお過ごしください。
II. プログラム別内容報告
1-①-ⅱ Day1: Congratulatory Remarks
[Mr Georg Kell, Executive Director, UN Global Compact Office]
⽇中韓RTは3つのローカルネットワークが実際に会って協⼒し合うという、UNGCの中で唯⼀の、
⾮常に特別な取り組みで、参加できることをとても嬉しく思います。
企業の⻑期的かつ財務的な成功は社会的責任と⾼い倫理観を伴い、企業間のEngagementは世界
各地で経験則を伴いつつ、より強くなってきており、ここに3つの重要事項があります。
1つ⽬は「透明性」です。技術の変化と同じように、積極的に前もって透明性の問題を解決しよう
とする企業が強く、成功します。2つ⽬は「官⺠協⼒」です。企業がグローバル化している⼀⽅で、
政府はローカルなままです。プロアクティブなスチュワードシップがより効果的で、官⺠が協⼒して価値を創造す
ることで、特に空気・⽔に関する解決法を⾒出すことに貢献出来ます。これがUNGCの基本的な信念です。3つ⽬は
「信頼」です。私たちは現在、脆弱な世界に住んでいて、古い秩序が適⽤できない新しい時代に⼊っています。
第⼆次世界⼤戦後に作られた⼤国で経済成⻑がみられ、⼈々はエンパワーされてより独⽴しています。この世界で
企業は持続可能性を追求し、再び信頼を築き上げなければならないことを認識してください。
Post-2015開発アジェンダは既に17の⽬標を設定しています。企業のCSR戦略に直接関わっている項⽬です。
国連の歴史の中でも初めての機会であり、皆様が協⼒し合って努⼒をスケールアップすることで、⺠間の⼒を
グローバルな⽬標に投⼊できます。まずは皆様の時間を本⽇のアジェンダに割いてもらうことが最⼤の投資で、
皆様の認識が⾼まることを期待します。世界の国・企業・⼈々が相互依存を強めている中で、当会合は皆様が信頼
を作り上げるにあたり、⾮常に重要なものだと思います。
11
II. プログラム別内容報告
1-①-ⅲ Day1: Keynote Speech
[株式会社リコー 特別顧問
桜井正光⽒]
テーマ:「低炭素社会の実現に向けて」
IPCC第5次評価報告書の主な評価結果について、気温上昇を2℃以内に抑制するには、現在の
排出削減努⼒では30年で限界に達する。
新興途上国におけるエネルギー需要の増加に触れ、持続可能な成⻑の実現のために、新興途上
国も環境・資源制約に対し強靭 な「低炭素社会づくり」を⽬指す他ない。
低炭素社会の実現のためには、温暖化防⽌と経済成⻑が両⽴した社会との定義のもと、エネル
ギー依存型経済から脱エネルギー依存型経済(グリーン経済)へ転換することが重要である。
その上で、政府・産業界・国⺠の役割と責任に触れ、企業が業種・企業の枠を超え、連携したチーム活動で政府
にグリーン経済への転換のための政策提⾔を⾏い、「グリーン経済」「グリーン成⻑」を強⼒に推進していくこと
が⼤事である。
II. プログラム別内容報告
1-①-ⅳ Day1: Calling from Academia
 セッションテーマ:「Post-2015を取り巻く世界の潮流」
Post-2015アジェンダ策定時期である現時点での、持続可能な社会実現に向けた企業の取組みや考え⽅等におけ
る世界の潮流、注⽬すべき事項について、国連GCの観点および各々の研究観点より発表。MDGs/SDGsのレビュー
を含め、Post-2015アジェンダ策定に関する旬な進捗情報も盛り込まれた。ディスカッションでは2015年秋に向け
て我々は何をすべきか、また、新たな⽬標のもとでどのように活動をすることが求められるのかが話された。
[(China) Mr Zhao Guowei, China Enterprises Confederation, GC Network China]
“Business Vision of Global Issues & Chinese Case of the Post-2015 Development Agenda”
Post-2015開発アジェンダに対するアカデミアによる国際的な共通⾒解の主要な柱として、
社会的包摂、良きガバナンス・パートナーシップについての説明に続いて、Post-2015開発アジ
ェンダに照らし合わせた複数の中国企業の好事例が多数の写真とともに発表された。例えば、雇
⽤と社会的包摂に関しては、23,000⼈の全社員中、9,000⼈の社員が農村地域からの移住者であ
る企業の取組みや社員の27.8%が少数⺠族である企業の取組みなど複数の好事例を紹介。また、
環境、コンプライアンス、サプライチェーンマネジメントといったアジェンダに関わる中国企業
の事例なども多数紹介された。
[(Japan) 名古屋⼤学 三浦 聡⽒]
“ “Post-2015” and Beyond: A Proposal for Local Networks and Academia in CJK”
Post-2015開発アジェンダのオーバービュー、MDGsとSDGsの違いをGCピラミッドとの関連
で解説し、分析から⾏動へ、また、原則を実⾏に取り⼊れるためのアカデミアと企業の連携の形
を具体的に提案。さらに産学パートナーシッププラットホームにおいて、誰がどのような形で
参画すべきか、関係国、関係機関の協⼒を強化することで課題の解決やSDGsの促進につながる
といった提案などが⾏われた。
[(Korea) Mr Jae Sung Kwak, Kyunghee University]
“New Types of Business Engagement for Development Cooperation”
開発に対しての企業のエンゲージメントの形のトレンドを具体的な好事例を挙げて発表。新し
いエンゲージメントの形を従来型と⽐較しつつ、事例を挙げて発表。また、最後に、新しいエン
ゲージメントの形の共通点として、ローカライズされた⻑期的なエンゲージメントであること、
ビジネスと開発がより密接な関係になってきていること、マルチステークホルダーの関係性が、
効率性および実効性の両⽅を向上させるために求められていること、また、⼀部の領域において
は、従来以上に他に与える影響が⼤きくなってきたことが発表された。
12
 パネルディスカッション概要
<モデレーター>
[Mr Hong Jae Im, Secretary General, GC Korea Network]
Mr Imが3名の登壇者より相互に各発表内容に対してのコメントや質問を募ったところ、三浦
⽒からMr Guoweiに対し、「中国企業の好事例から得られた教訓は何か」という質問があり、
Mr Guoweiより砂漠に本社が所在する企業による⽔資源の開拓により、企業⾃⾝にもプラスで
かつ地域にも貢献できる事例が披露された。Mr Kwakからも、Mr Guoweiに対して「中国企業
の情報が不⾜しており、これを契機に好事例をもっと教えてほしい」という要望が出される等、
活発な質疑が交換された。
「世界の⼈⼝の25%、GDPの20%を占める⽇中韓としてどのようなメッセージを出せるか」というMr Imの問いに
対しては、三浦⽒より「⽇中韓のコラボレーションにぜひ参加してほしい、⼀緒にやりましょう」というメッセー
ジ発信希望の回答があった。登壇者同⼠がお互いのプレゼンテーションに対する理解を深め、今後の協働の可能性
を感じさせるディスカッションになった。
 QA概要
【Ms Wang Fengzuo】
Q: ⽇中韓のリサーチプログラムを開発中だが、研究者としてアカデミックの協⼒について提案はあるか?
A: (Mr Kwak)プラットフォームはあるが実際の開発に直結しておらず、それを調整する公的部⾨の役割が重要
(三浦⽒)具体的な研究プロジェクトからスタートし、さらにそれを深めていくべきである。
(Mr Guowei)近年研究協⼒を実施するも充分でなく、情報共有トレーニングも同様。情報交換の努⼒が必要
【Mr Georg Kell】
Q: 各登壇者の発表内容への賞賛および質問。知識の共有を加速させるためにはどうしたらよいか?3国による情報
、知識の共有はグローバルにおいても有益であり、GC本部としてももっと注⽬したい。その効果を増幅するため
にどうしたらよいか?
A: (Mr Guowei)⻑期的なワーキンググループを組成し、そこでコミュニケーションを積み重ねることが⼤事。
(三浦⽒)パートナーシップを組むということ、協⼒者を⾒出すことが⼤事。
(Mr Kwak)ワーキンググループを作るというGuowei⽒の回答に賛成。それで進捗を⽰すことが出来る。また、
ボトムアップのアプローチとトップダウンのアプローチのいずれも必要だと思う。
最後に、Mr Imより「2015年以降の開発アジェンダに対して何が出来るか、様々なアイデアを得ることができた。
⽇中韓のローカルネットワークも新しいアイデアを考えていかなければならない。ワーキンググループというのは
とても良いアイデアだと思う」とのコメントで総括された。
今後、3国のアカデミア関係者の協働に期待を抱かせるセッションとなった。
13
II. プログラム別内容報告
1-①-ⅴ Day1: Business Session Part1
 セッションテーマ:「気候変動におけるビジネスエンゲージメント」
2014年度の国連2⼤⽬標の⼀つである「気候変動における国際的合意の獲得」は昨年の⽇中韓RT@北京でのメイ
ンテーマでもあったことから、今年もビジネスセッションテーマの⼀つとして取り上げ、情報共有と議論を継続した。
⽇中韓の企業・団体が気候変動におけるどのような課題に取り組み、どのような成果を出してきたか、活動の進捗
について発表し、残された課題に⽇中韓の3カ国がいかに取り組んでいくべきかを中⼼にディスカッションを⾏った。
[(China) Mr Chen Peitao, Industrial and Commercial Bank of China Limited(ICBC)]
•
ICBCは法⼈顧客400万件、個⼈顧客4億⼈を抱える中国最⼤規模の銀⾏。中国で古くから継承
されている『⼈間を⾃然の⼀部として捉える』思想をベースとして地球環境の保護と持続可能
な社会の形成のため、様々なポリシーを打ち出している。ICBCは2012年に中国の銀⾏として
初めてGCに署名した。
•
ICBCは⻑期成⻑戦略としてグリーンファイナンス(環境⾦融)を実⾏するべく、Green
Credit Management System(環境与信⽅針)を遂⾏している。2014年、ICBCは61の業種
に対して与信⽅針を策定した。特徴は以下の通り。
 融資をする際には、取引先や顧客、各融資の内容に関してGC(Green Credit)分類システムで格付けする
 環境にやさしい取り組みをしている顧客については信⽤格付けが⾼くなるなど、環境格付けを信⽤格付けに含
めて評価するシステムを構築している
•
上記取組みの結果として、具体的に以下の成果が⽣まれている。
 2013年末、クリーンエネルギー、環境保護、効率的な資源の利⽤に対するICBCの融資残⾼は6000億⼈⺠元
。これはICBCの法⼈貸付残⾼の10%であり、中国経済にとっては少ない数字ではない。
 39の⾵⼒発電プロジェクト、49の太陽光発電プロジェクトに対し1000億⼈⺠元を貸し付けており、結果とし
て400万トンのCO2排出削減に成功した。
 中国国内の過剰設備(鉄鋼⽣産3億トン分)、板硝⼦⽣産30%等についての融資を削減。2013年度末でこれ
らのへの融資残⾼は12%削減、実残⾼でも削減した。また、2000年と⽐較して中国の鉄鋼⽣産は800%増だ
が、融資は33%程しか増加せず。
•
ビジネスモデルの変⾰として、オンラインバンキングの導⼊(全体の取引の80%に相当)により紙資源、設備、
エネルギーの削減を達成。CO2は9千トン削減。
•
⾃社の成果として、2012年〜2013年の1年間で総資産22%増加、総利益26%増加、本社の紙消費量13%減少、
電⼒消費量5.5%削減、⽔使⽤量4.6%減少した。
•
本会合を通じて、中国、韓国、⽇本の企業がこれまで以上に気候変動への取組みを進めること呼びかけた。また
、より多くの企業や団体がUNGCに署名することを期待したいと締めくくった。
[(Japan) 株式会社損害保険ジャパン
関 正雄⽒]
• 前半は保険会社がなぜ気候変動に⼒を⼊れて取組んでいるか、事例を踏まえながら説明し、
後半は責任あるエンゲージメント、複数の企業が共同で取り組むことの重要性を伝えた。
• 損保ジャパン社のCSR活動の歴史上、特徴的なものとして1992年のリオサミットへの参加が
挙げられる。当会合には当時の社⻑が出席し、地球環境問題への取組みや市⺠社会組織の重要
性を認識するきっかけとなった。2012年のリオ+20に関⽒が出席し、ビジネスセクターの
当分野への参画の重要性を確認した。
•
グローバルなイニシアチブに積極的に参加している。例)Caring for Climate (UNGC)、
WBCSCD ( 持 続 可 能 な 開 発 の た め の 経 済 ⼈ 会 議 ) 、 PSI(Principle for Sustainable
Insurance)など。特にCaring for Climateは設⽴当時から参加しており、関⽒はステアリング
コミッティのメンバー。
14
•
気候変動への取組みの特徴は『適応』と『緩和』であり、これらのアプローチを軸とした具体例を紹介。
 タイにおける農業保険(2010-):国際協⼒銀⾏とリサーチし、⾬⽔をインデクスとした天候デリバティブを
販売。降⾬量は観測所で観測している。⼲ばつ地域における農業を助ける保険として、現在タイの17地域で
適⽤している。当保険はタイ総理⼤⾂賞を受賞した。
 フィリピンの台⾵保険(2014-):バナナ農家のための台⾵保険。ミンダナオ島で販売。
 世界銀⾏とのジョイントプログラム:太平洋諸島での災害補償。他社保険企業とも協⼒してパイロットプログ
ラムを開始。
 ⾵⼒発電:『緩和』の事例。⽕災や落雷などのリスクをカバーする保険。実際に事故が起きた場合に調査をし
たり、再発防⽌の⼿段を講じるための費⽤を保険⾦でカバーできるような仕組みを作った。
•
損保ジャパン環境財団から書籍『気候変動リスクとどう向き合うか』を出版。専⾨家と3年間研究し執筆。保険
会社としてこうした政策提⾔をすることも⼤きな役割と捉えている。
•
COP19(ポーランド)に出席しハイレベルでの政策提⾔を議論したり、WBCSDでは『Action2020』という
政策提⾔に関与している。GCとWBCSDの連携は年々強化する良い傾向にある。
•
益々ビジネスへの期待が⾼まっている中で、保険会社ならではの本業を通じた持続可能な社会の実現に向け、
産業界でコレクティブアクションを実践していくことの重要性を語り、発表を締めくくった。
[(Japan) サラヤ株式会社
更家 悠介⽒]
•
冒頭で、⽇中韓の平和保全の重要性を訴えかけた。気候変動においても3か国が協⼒して
世界を引っ張っていかなければならないことを強調した。
•
サラヤは⾷品衛⽣、健康衛⽣、公衆衛⽣、消費財の4つの柱を軸にビジネスを展開してい
る。世界的にも事業を展開しており、世界中に⼯場を有している。アフリカのウガンダで
も今年から⽣産を開始した。
•
サラヤ社の製品であるヤシの実洗剤は環境にやさしい商品と考えていたが、2004年に環境
負荷を指摘されたことをきっかけにサプライチェーンを⾒直す動きを開始した。
•
課題解決のため現地と協⼒し、2006年にConservation Trustという信託基⾦を設⽴した。プランテーションに
⽣息する象を守るため、ヤシの実洗剤の売り上げの1%を寄付することとした。この活動を通じて、森林⾯積を
買い戻し、熱帯⾬林を取り戻すための⽀援をしている。
•
⼿洗いの習慣が無いウガンダで、ユニセフと協⼒して⼿洗い活動の普及に取り組んでいる。病院ではアルコール
消毒の普及に取り組んだ結果として、発症数が激減した。
•
⼿洗い、消毒に関するセミナーを世界各地で開催するなど、その普及のために教育にも⼒を⼊れている。
•
気候変動に関しては、CO2排出量のデータを参照しながらご説明頂いた。例えば、中国のCO2排出量は世界で
最も多いが、⼀⼈あたりの排出量では⽇本や韓国がそれを上回っているという事実や、CO2排出量は年々増加し
続けていることについて触れられた。
•
気候変動への取組みにはビジネスプロセスを通じた解決策が必要であり、更には政府、NGO、ビジネスが共同
して解決策を⾒出していくことが重要な視点である。これらの課題を解決するためにはクリエイティブに考える
ことが⼤切であることを投げかけた。
*サラヤ商品が会場の品川プリンスホテルのトイレ
でも使われていることをご紹介する更家社⻑
15
[(Korea) Mr Keun Chul Chun, National Pension Service (NPS)]
【NPSの概要】
•
NPSは⾼齢、障害、死亡の際に給付⾦を提供。国⺠の福祉を促進し、⽣活の安定を貢献するた
めに1987年に設⽴された。主な責任は、年⾦商品管理、拠出の義務付け、年⾦の給付である
。当初は農村部個⼈を対象としていたが、1999年に都市部も皆保険になった。NPSは資産規
模世界4位の年⾦基⾦であり、総資産は4420億ドル。国⺠年⾦研究センターを含む12の部署
があり、5000名以上の従業員が従事している。
•
セーフティネットである国⺠年⾦の加⼊者および給付者数は増加している。⾼齢・障害・遺族年⾦の3種の年⾦
を適⽤している。韓国居住者の18歳から59歳の国⺠は所得に拘らず適⽤される。拠出率は平均⽉間所得の9%
であり、加⼊者数は2070万⼈、受給者は340万⼈である。
【気候変動に関する取り組み】
•
会場ではプレゼンテーションの途中で気候変動対応の短編ビデオが放映された。
•
資⾦運⽤という観点から、気候変動に関する取り組みとして、社会的責任ある投資(SRI)を実⾏。
 太陽光発電、再⽣可能エネルギーを含めたグリーン産業への投資を拡⼤している。総額83億ドルを68社17プ
ロジェクトに投資
 2006年に外部管理によるSRIを開始した。規模は62.8億ドルであり、韓国のSRI市場の73%を占める
•
韓国の企業ではまだ気候変動リスクの認識が低いためにその投資も少ないという状況に鑑み、NPSはSRI評価
システムを開発する予定であり、これにより新たな投資のパラダイムとなることを⽬指している。
•
海外不動産に投資する際にグリーン建築物認証を考慮(例:エネルギー効率の良い建物への投資)。
【環境問題への取組み事例】
•
グリーン成⻑を奨励、温室効果ガス排出削減努⼒、環境に配慮した本社ビルの建設、省エネ委員会の設⽴
 温室効果ガス排出モニタを設置。直近3年間とも⽬標値を上回る削減を実⾏
 新オフィスにLED照明を導⼊、週に1度⾃家⽤⾞の通勤を控える取組みなど社員への教育浸透
•
サプライチェーンにおけるグリーン商品購⼊のスキームを開発。グリーン購⼊の割合は90%を超える。サプラ
イチェーンでは廃棄物の最⼩化にも取り組んでいる。
 パネルディスカッション概要
<モデレーター>
[Ms Wang Fengzuo, GC Network China ]
•
•
タイムリーなトピックスについて、多様な業種から先進事例を聴くことができ、⼤変充実した
発表だった。
4名の発表から①責任、②インパクト、③事業機会(ビジネス機会)の3点がキーワードとして
挙げられる。
【Mr Chen→更家⽒】
Q.途上国でビジネスを展開する際、 ⾼価な商品(環境に配慮した商品)を購⼊できない顧客が多
いが、どのような⽅法でビジネスを成⽴させているか?
A.現地の事情に精通し、各所にパイプを持つパートナーとの協働が⼤事。ウガンダでは、現地での⽣産ラインを
確⽴する際、カキラシュガーという地元企業(製糖企業)と協働した。カキラシュガーはサトウキビを絞った残渣
を発酵させ、バイオエタノールで電⼒エネルギーを⽣産しており、⼀⽅、サラヤではこれを消毒として販売し、
マルチプルなビジネスとすることでフィージブルなビジネスとすることができた。
16
【更家⽒→関⽒】
Q.政府の策定するルールは重要だが、ビジネスセクターの提⾔は政府の今後のアクションにどうつながるか?
A.COP19では、産業界⾃体が政策形成にかかわることを確認した。⻑期的な視点で企業の⼒をより発揮させるよう
な仕組みや政策を提⾔していくことがエンゲージメントだが、現状ではまだ不⼗分である。
【関⽒→Mr Chun】
Q.2006年にESG投資を開始したきっかけは何か(政策的な誘導など) 。
A.近年、運⽤資産が韓国で広まり、社会的議論が⼤きくなってきた。短期的には会社の利益を減収させるかもしれ
ないという声もあるが、⻑期的には会社や国の利益を増加させると考えて、ESG投資を開始した。
【更家⽒→Mr Chen】
Q.中国政府はCOPに調印するか。条件なし、もしくはどんな条件ならば調印するだろうか。
A.私の⽴場では回答の難しい質問だ。北京ではPM2.5が問題となっているが、北京の郊外で鉄鋼⽣産の20%を賄っ
ている実態がある。ICBCは、新クリーンエネルギープロジェクトをリリースし、こうした⼤気汚染の原因となっ
ている企業を特定し低格付けにするとともに、中国国内の過剰設備を途上国に移設することを奨励している。
 QA概要
【河⼝⽒】
気候変動に関するセッションに⾦融界から3名、製造業から1名という珍しい組み合わせが⼤変良かった。
Q.中国、韓国の⾦融部⾨がご発表いただいたような先進的取組を⾏っていることを初めてお聞きしたが、お⼆⼈は
それぞれの国の⾦融業界で、例外的なリーダーか、それとも業界でこうした流れがあるのか?
A. (Mr Chen)ICBCは中国の⾦融界をリードしているが、中国の⾦融界全体でもこうしたトレンドがある。
A. (Mr Chun)韓国ではESGの認識はまだ低い。NPSが業界に影響を与えられるようにリードしていきたい。
【Mr Im】コメント
2年前、GC Network KoreaとSRIは共同でNPS法を改正した。投資の際にはESGを考慮しなければならず、そう
でない場合はその理由を開⽰しなければいけない旨を決定した。
【桜井⽒】
Q.グリーン投資に対して成果(リターン)が⾒える経済の仕組み(CO2を発⽣させればコストがかかる等)にする
ことが⼤切だと思う。グリーン投資に対するリターンに関して考えをお聞かせいただきたい。⾦融業界がリードし
て温室効果ガスを発⽣させないという価値観を政府と共に築くのはどうか。
A. (Mr Chen)ほぼ同感。中国政府も規制当局の権限を強化しており、ビジネスも前向きに考えている。
A. (Mr Chun)NPSでは意思決定プロセスにESGを追加した。韓国ではESG投資の認識は⽐較的まだ低く、NPSが
業界他社にインパクトを与えていきたい。
17
II. プログラム別内容報告
1-①-ⅵ Day1: Business Session Part2
 セッションテーマ:「持続可能な社会実現に向けたステークホルダーエンゲージメント」
CSR活動の実践に当たり、ステークホルダーをどのように関与させているか、コミュニケーションによる相互理解
は実現できているか、実現にあたっての苦労・課題をどのように解決してきたのか。取り組み⽅法は各国それぞれ
だが、ステークホルダーエンゲージメントの実践に求められることは同じである。
ビジネスセッションPart2では、まずステークホルダーエンゲージメント代表項⽬の⼀つであるサプライチェーン
マネジメントに関して、GC-JNのサプライチェーン分科会を代表して薄井⽒より当分科会の活動の成果物について
のご発表に続き、3か国から4名のスピーカーに登壇いただいた。その後、河⼝⽒をモデレータにお迎えし、4名の
スピーカーと共にディスカッションを⾏った。
[(GC-JN)株式会社タムロン 薄井 芳恵⽒(サプライチェーン分科会)]
• 冒頭で、タムロン社の紹介とGC-JNサプライチェーン分科会の概要を説明。当分科会はメンバー
によるディスカッションのみならず、そのアウトプットを世の中に発信することも活動の⽬的と
して取り組んできた。
• 当成果物は2011年度の当分科会参加企業25社による共同執筆によるものであり、2013年8⽉に
『サプライチェーンにおける望ましいCSR活動のあり⽅』と題した成果物をGC-JNのお役⽴ち
シリーズ第1号として発⾏した。英語版は2014年2⽉に発⾏している。
• 本書の特筆すべき視点はCSR調達はバイヤー、サプライヤーのみならず、社会全体の持続
可能性を推進するための、⾔わば『トリプルウィン』という考え⽅である。
• CSR調達におけるプロセスで特に重要なステップである①取引先説明会、②SAQ(Self
Assessment Questionnaire)、③監査 の3つのポイントに重点を置いて議論し、まと
めた。
• ①取引先説明会はʻʼビジョンの共有ʻʼであり、サプライヤーとバイヤーの⽬指す将来像を
近づけることを⽬的とし、②質問事項を作成するときの⾻組みとなる視点を標準的なSAQ
の要素として纏め、③公明・公正で対等な意識を持った相互成⻑型監査をCSR調達のある
べき姿(理想像)として集約した。
• 2014年度は42社がサプライチェーン分科会に参加しており、活発な議論を継続。
• ⽇中韓3か国はサプライチェーンで繋がっている関係であり、3か国で互いに良い社会を
構築するための協⼒を継続することを呼び掛けて、発表を締めくくった。
[(China) Mr Li Xiao, TICO Digital Group]
• TICO Digital Groupは教育、司法、公共輸送、ホテル、政府、⽂化の6分野で事業を展開する
オーディオ・デジタル機器会社である。
• CSR活動の3本柱は『環境保護』『⽀援が必要な団体への配慮(マイクロ・パブリック)』『教育
サポ―ト』であり、中国各地で活動を展開している。
• ʻʼLess is Moreʼʼ=『最⼩限の資源で顧客の要求を最⼤限満たす』というコンセプトを根底に、
持続可能な社会実現のために活動を推進している。取組みとして以下の事例を紹介した。
 E-Cloudを利⽤したデータマネジメントによりオーディオ・ビデオ業界の膨⼤なデータを管理しており、ビデ
オファイルの60%削減に成功した。この技術は公安、司法、教育の分野で活かされている。特に地⽅によって
差がある教育分野ではE-Cloudを利⽤することで均等に⾏きわたるような仕組み作りに貢献している。最⾼⼈
⺠検察ではこの技術を利⽤することで⼈員削減とフォローアップサービスの無料化に成功。
 ⼈⺠⼤会堂の⾳響システム改装にTICO社の技術を利⽤した。反響する⾳量を削減し、壁を薄くしても⾳の漏れ
ない環境の構築に役⽴った。
• 不必要なものは削減し、シンプルで環境に配慮したオーディオ・ビデオシステムの構築はʼʼLess is Moreʼʼを実⾏す
るための⼿段であり、ICTにおけるイノベーションはエネルギー使⽤削減にも貢献できる。加えて、顧客満⾜のため
の予算使⽤にも配慮しながら経営をしている。持続可能な社会実現のための⽅向性や戦略をステークホルダーに説
明し、なぜ・どうしてCSR経営を⾏うかについても明確に⽰すことがこれからも重要であるというメッセージとと
もに発表を締めくくった。
18
[(Japan) 富⼠ゼロックス株式会社 松浦 智之⽒]
•
冒頭で会社概要をご説明後、同社のCSRの原点とCSR経営のフレームワークについて
紹介いただいた。社⻑⾃らが『CSRは経営そのもの』と述べており、CSRを全業務に
浸透させるべくPDCAを回している。顧客の期待に応える価値の提供とステークホルダー
の持続可能な発展に貢献するため、CSRに取り組んでいる。
•
CSR活動の中でも、『CSR調達を通じたサプライヤーとのエンゲージメント』に焦点を
当て、製造現場から経営トップ層にわたる広範囲での取組みの成果について事例を交え
ながら紹介いただいた。
•
事業を継続的に発展させるために、取引先企業にもCSR活動に協⼒いただくという考えのもと、経営リスクの
低減や顧客の要求に対応することでサプライチェーン全体を強くすることを狙いとし、その評価は取引先の総合
評価に含めている。
•
社のCSR調達の特⻑として①価値観の共有(取引先のマインドセット) ②システムの開発(マネジメント・ガイド
ライン、セルフ・チェックリストの作成) ③継続的な育成(従業員と取引先の教育)の3点が挙げられた。
•
①では特にサプライヤートップの共感と理解を⾼めることが重要であるとし、セミナーや勉強会を開催している
。また、⼯場現場では『簡易10項⽬』に沿った業務が遂⾏されているかを確認し、改善に取り組むという地道で
丁寧な活動を積み重ねてきた結果、90%以上の取引先が⾼リスク項⽬の適合率90%以上を維持している。③の
例として、中国の⼯場において、スタッフやバイヤーを育成することでサプライヤーへの展開を強化している。
•
これらの総合的な取組みが、安定した継続的な経営を実現し、結果として調達QCD向上に役⽴っている。
•
サプライチェーンの競争⼒向上に向けた取組として、優良サプライヤーの認定制度を取り⼊れるなど、CSR調達
をさらに強化する活動を継続している。
•
取引先トップの理解と現場の理解が、互いに正しく、サステナブルな経営を可能にするというメッセージを投げ
かけ、CSR調達におけるステークホルダーエンゲージメントの実践事例の紹介を締めくくった。
[(Japan) NEC ⼤⽥ 圭介⽒]
• 1899年創業、⽇本初の外資系企業としてスタートした。ʼʼBetter Products, Better
Serviceʼʼはステークホルダーへの責任を有していることを強調した⾔葉として同社に
根付いている概念である。
• 同社のCSR経営⽅針として、①リスクマネジメントとコンプライアンスの強化、
②ビジネスを通じて社会課題解決に貢献する、③ステークホルダーとの円滑なコミュ
ニケーションを促進することを掲げている。③の中でもサプライヤーとのエンゲージ
メントにおけるʼʼSite Reviewʼʼに焦点を当ててご発表頂いた。
• これまでドキュメントによるセルフチェックを⾏ってきたが、サプライヤーからの回答の傾向やその限界
を感じたため、環境と品質における監査のスキームを応⽤し、CSRに関するʼʼSite Reviewʼʼに踏み切った。
特に、プロセスとマネジメントをチェックするという意味でʼʼCSR PMR(Process Management Review)ʼʼ
を開始し、⼈権・労働・安全衛⽣の項⽬について取組んでいる。現在は、発展途上国におけるハードウェ
アの製造委託先に焦点を当てて運⽤している。CSR-PMRは監査という趣よりは、エンゲージメントにより
共通の課題を解決することを⽬的とし、Win-Winの関係を構築することを⽬指している。
• 3種のドキュメント(マニュアル、チェックリスト、スコアカード)を準備した。中でもチェックリストの
制作においてNECとサプライヤーとが納得できるものとするため、評価者のばらつきを少なくし、採点基
準の標準化を⼼掛けた。また、採点項⽬を絞ることやサプライヤーの⾃⼰評価が可能な仕組みを作った。
• 発表の中で、実際にPMRを実践するタイムフローとチェックリストの⼀例をご紹介いただくとともに、
ドキュメントチェックやワーカーインタビューのノウハウの概要をご説明いただいた。
• 実績として、2012年にドキュメントを作成し⽇本と中国でトライアルを⾏った。2013年にはNGOによる
評価者のトレーニングを⾏い、⾃社の⼯場でʼʼSite Reviewʼʼを実施した。これらの活動は⽇本の本社におけ
るCSR部⾨、調達部⾨および中国におけるそれらの部⾨のみならず、NGOの協⼒を得ながら進めている。
19
•
これらの経験を通してダイアログアプローチの有効性、評価者に必要な役割やスキルが定義できた。また、現地
に赴かないと良し悪しの判断が難しい項⽬が多くあることに気付いた。
•
こうした活動は既に外部から⼀定の評価を得ており(サプライチェーンデータベースの評価等)、これからも
量的・質的なCSR経営の向上を⽬指していきたいと締めくくった。
[(Korea) Young Kee Kim, LG Corp.]
•
1947年、化学会社を起源としてLG社はスタートした。コアビジネスは電⼦機器、通信機器、
化 学 の 3 分 野 で あ り 、 2013 年 時 点 で 60 社 を 有 し 、 20 万 以 上 の 従 業 員 を 抱 え 、 総 収 ⼊
USD128.2Billionの規模である。
•
ʻʼLG Wayʼʼという共有価値(No.1を⽬指すこと、正道経営、顧客のために価値を創出する)
を守り、CSR経営哲学を貫いている。創始者のIn Hwoi Kooも「地域社会に資するような道
を歩みながらビジネスを営む」と謳っている。
•
CSRはステークホルダー(SH)エンゲージメントであると理解し、ネガティブ⾯を極⼩化し、ポジティブ⾯を
極⼤化することが究極的なCSRであると捉えている。同社の戦略として、①国際的な基準を順守しリスクを低減
する、②⾦融的な⽬的を達成すること、③社会貢献 の3つの柱を掲げている。
•
3つの柱を基に、CSRチェックリストを作成した。EICC等の様々なガイドラインを基にインディケータを絞り込
み、複数のインタビューを通じて作成したリストはパイロットテストを経て最終的に83のインディケータに
集約した(2013年)。今年から⾃社のみならず主要サプライヤーにもこのチェックリストを適応する。
•
社会貢献活動として有給休暇取得推進、マッチングギフト⽅式、ボランティア推進の⾵⼟醸成など継続的に⽀援
が出来るように⽅針を策定した。
•
社会貢献事例として、国連とパートナーシップを組み、4か国(エチオピア、ケニア、バングラディシュ、カン
ボジア)でʻʼHope Seriesʼʼを実施している。コミュニティや学校の⽀援をしている。
•
SHエンゲージメントはリスクマネジメントとステークホルダーマネジメントを基礎として成り⽴つものと捉え
ている。当初はSHとのコミュニケーションに関して躊躇したことも有ったが、SHの声に⽿を傾け、誠⼼誠意で
取り組む姿勢を⽰すことが何よりも⼤事だと実感した。
•
SHエンゲージメントの実現に向けて7つのステップを①SH収集、②主要SH選定、③SHの要求を明確化、④主要
項⽬の分析、⑤⽬標設定、⑥フィードバックの集約、⑦評価として定義した。
•
上記のステップ③に関して、SHコンサルテーションを2010年から実施しており、将来的にはSHアドバイザリ
ーグループにしたいと考えている。
•
最 後 に 、 CSR = Stakeholder Engagement 、 Integrity × Transparency = Trust 、 Value Creation with
Stakeholderと伝え、『SHの考え⽅を理解し、共に歩む』ことの重要性をメッセージとして残した。
 パネルディスカッション概要
<モデレーター>
[株式会社⼤和総研
河⼝ 真理⼦⽒]
•
ステークホルダー(SH)のイメージはどのようなものか。CSRにとってSHは何か。
SHエンゲージメントをすることで経営、経済的価値にどのようなプラスの効果があるか。
•
(松浦⽒) 例えば、⼯場が⽌まれば損失が発⽣する。SHエンゲージメントの実践により、安定
したオペレーションが可能になり⻑期的にはコストの安定が全体的なコスト低減につながる。
バイヤーとサプライヤーの信頼関係を構築することで損失を軽減し、不要なプロセスを削減で
きる。CSRの経済的な価値は⽬に⾒えるものだと考えている。
20
• (⼤⽥⽒)SHの価値を広く捉え、⾮財務価値(統合報告)にも着⽬し、それらがコスト低減に寄与する以外にも
、製品やサービスなど事業の売上にどのように貢献するかにも関⼼がある。例えば環境に配慮した製品が売上に
占める割合やそれによって全体にどういった影響を与えているかを調査している。⾮財務価値が⾃社の財務価値に
どのようなインパクトを与えるか定量化していきたい。
⇒(河⼝⽒)
SHは企業にとって⽇々の利益を⽣む源泉であり、単に顧客とのみ繋がっているのではなく、多様なSHと関与
する中で、最終的なフィードバックとして経済的な価値があると理解した。
【⼤⽥⽒→Mr Kim】
Q. 将来的には(直接的に影響⼒⾏使が難しい)2次サプライヤーへアプローチするとのことだが、どのような⼿法
を考えているか。
A. まだ2次サプライヤーまではできていないが、チェックリストを拡⼤していきたい。また、NEC社をベンチマー
クにしており、同じような悩みを抱えていることが分かったので、⼀緒に⼿法を開発しよう。
【Mr Li→松浦⽒】
Q. パートナーにどのように影響を⾏使してCSRを推進するか。とりわけ中国においてはどういった⽅法でアプロー
チするか。
A. 中国も他の国も同様に、お互いに信頼することが重要。当社の基準に不⾜すれば改善するよう警告するが改善が
必要な場合はそのポイントを明確に当該サプライヤーの経営者に⽰して改善を求め、⾃ら改善できるように⽀援
するというアプローチであり、国や地域による差は無い。
【Mr Kim→⼤⽥⽒】
Q. CSR活動推進において最も難しい障壁は何か、それをどのように乗り越えたか。社員をどう動機付けているか。
A. CSR部⾨がカウンターパートになっているスタッフ部⾨にSHとの対話の重要性を理解してもらうことが難しかっ
た。NGOに毎年レビューをしていただく際、各担当部⾨に直接対話をしてもらう取組みを始めた。最初は困難だ
ったが、徐々に社内でも理解が浸透してきた。モチベーションという観点については、社会からの評価(Dow
Jones等)が社員の動機づけや、CSRの重要性の気づきに繋がっている。
【松浦⽒→Mr Li】
Q. ʻʼLess is Moreʼʼという分りやすいメッセージに感銘を受けた。このメッセージの意味をもう少し具体的に説明し
ていただきたい。
A. 少ない資源を⽤いて最⼤の利益を⽣み出し、残った資源はCSR活動に回すという循環を作る。これによって信頼
が⽣まれ、希望に繋がる。
21
 QA概要
【Ms Li】
Q. CSRをどうやって地域社会に浸透させるかが⼤切だと感じた。
⇒(河⼝⽒)
A. 寄付をするだけでなく、ビジネスの中にCSRを浸透させることが⼤切であり、本⽇のスピーカーはその実践例
だった。
【Mr Russ】
Q. 中国の中⼩企業は⽣き残ることも困難な場合もあり、CSR活動を推進する経済的な余裕が無いという声もあるが
、こうした意⾒に対してどのように考えるか。
⇒ (松浦⽒)
A. 妥当なコメントであり否定はできない。しかし、より緊密な関係を築き時間をかけて本当の意味でのCSRを
理解してもらう必要がある。そして、⼀緒に何が改善できるかを提案して協⼒する姿勢も重要である。
【寺崎⽒】
•
資源が限られている中⼩企業にとっては、CSR活動の重要性を理解していても実践することが困難な場合がある
。従って、どのステークホルダーの、どの問題にフォーカスするかを選択しなければならない。こうした状況を
踏まえると、企業、政府、NGOなどがコラボレーションすることが⼤切である。⾃社の調査から、多くの企業が
NGOやNPO等のパートナーを選定することが難しいという声があったので、これらを助けるためのプラットフォ
ームが必要だと思う。
⇒(河⼝⽒)
NGOもステークホルダーの⼀つとして今後もその役割は⼤きくなるであろう。NGOセクターを経済界に有効な形
で取り込んでいくかという視点はGCにおいても重要な課題である。
22
II. プログラム別内容報告
1-①-ⅶ Day1: Youth Program
 ユースプログラム概要
今年のユースプログラムは、⽇中韓3カ国間およびビジネス・アカデミアの⽅々とのEngagementを⽬的とし、
「持続可能な開発におけるビジネスエンゲージメント(CSR)に関する提案」をテーマとして実施された。
プレゼンテーションは、⽇中韓各国提案と⽇中韓総括提案の⼆本⽴てで⾏われた。各国と2チームに分かれ、Aチ
ームは「企業への提案:10年後の東アジアにおける理想企業像」、Bチームは「ユースへの提案:10年後の東アジ
アにおける理想社会像」というテーマに沿って⾏われた。参加者の学⽣は、各国ファシリテーターの指導のもと、
CSRに関する学びを深め、⾃国のプレゼンテーションを準備した。
*ファシリテータ
(China)
Ms Li Li
(Korea)
Mr Hyoung Koo Moon
(Japan)
⽑利勝彦⽒
(Japan)
Teaching Advisor
⽜島慶⼀⽒
(テーマ)「持続可能な開発におけるビジネスエンゲージメント(CSR)-GCを意識しつつ-」
A) 「10年後の東アジアのCSRビジョン(理想企業像)」
「東アジアの企業がCSRを実施するうえでの企業の現状と課題」(グローバル/東アジア/CJK視点から)
「課題分析」「企業に向けてのメッセージ」(対企業)
B) 「10年後の東アジアのCSRビジョン(理想社会像)」
「CJKの企業がCSRを実施するうえでの政府・社会の現状と課題」(グローバル/東アジア/CJK視点から)
「課題分析」「ステークホルダーである私達(Youth)の⾏動計画」(対ユース)
(Schedule)
 6⽉-8/26:各国に1名ずつファシリテータを置き、各国10-15名の学⽣を2チームに分けて議論
 8/27:各国の同じテーマチームで提案を持ち寄り、⽇中韓ユース総括提案を作成
 8/28:1.[アカデミア/ビジネスセッション]聴講
2.[ユースプログラム]各国提案(7分×3カ国)+総括提案(10分×2チーム) プレゼン
→各国ファシリテータよりフィードバック(各5分)
→アカデミア/ビジネス/GCO/GC-JN各代表よりコメント(各5分)
3.[Party]Certificate授与
China
7mins
Japan
Korea
7mins
7mins
Team‐A
Team‐A
Team‐A
Team‐B
Team‐B
Team‐B
facilitator
facilitator
facilitator
CJK
10mins
Team‐A
10mins
Feedback/Comment to Every Team
Facilitators/Academia/Business/GCO/GC‐JN
23
Team‐B
 ユースプログラム ディスカッションツール
ユースプログラムのディスカッションでは、プレゼンテーションスキルを磨く「PechaKucha 20×20」や、
活発で簡潔な議論を導く「World Café」「Mind Map」などのツールを導⼊し、限られた時間の中でより効率的
な議論による総括提案準備を⾏った。
24
 8/27(⽔) Day0
⽇中韓RT会合前⽇の8/27、3カ国の学⽣全員が揃い、意⾒交換し、各国提案を「⽇中韓総括提案」にまとめる
最後の追い込みが始まった。各チームのプレゼンテーションのリハーサル後、World Café形式で、3カ国の学⽣が
各4⼈程のグループに分かれ、20分ごとにメンバーが⼊れ替わりながら、テーマに沿って議論を重ねた。
各グループのテーブルでは マインドマップを作成し、アイディアを具体化。積極的に意⾒を述べ、各国の事例を
共有し、1⼈1⼈の頭の中にある様々なアイディアが引き出され、共有されていくのが 私達にも⽬に⾒えてわかるほ
どであった。 何より、学⽣達がすぐに打ち解け、国籍が違うことなど全く感じさせない雰囲気がすぐに作り上げ
られたことは、既に3カ国 のEngagementを感じさせる、⾮常に感慨深い光景だった。
当⽇は各国ファシリテーター3名とTA⽜島⽒のほか、翌⽇のコメンテーターである名古屋⼤学三浦教授・南海通
運川端社⻑そしてEY総研からAshleigh Owens⽒にも積極的に参加いただいた。現場やその分 野の最先端で働く⽅
々からの意⾒やアドバイスは学⽣達にとってとても貴重なものであった。
求められたのは、「現実的に、でも学⽣らしく」。各々が様々なフィードバックを受けて、この後も翌⽇のプレゼ
ンテーションに向けて⻑い夜を過ごした。
←Mind Map
25
 8/28(⽊) Day1
Day0 ⼣⽅からの最終準備を終え、⼀部の学⽣はほぼ徹夜の状況で迎えた8/28本会合。
まずは、⽇本チームのファシリテータ兼モデレータのICU⽑利教授から、ユースプログラムの
意義・⽬的と、準備から今⽇の発表に⾄るまでの経緯を説明した。続いて各国ファシリテーター
が⾃国の参加者学⽣(⽇本14名、中国15 名、韓国10名)を紹介し、ユースプログラムの幕が開
けた。
最初に各国のABチームが提案発表をした後、テーマ別の「⽇中韓総括提案」を各国代表者が
発表。全発表を受けて、アカデミア代表の名古屋⼤学 三浦教授、ビジネス代表でありGC-JN理事
でもある南海通運 川端社⻑、UNGCとしてGCOのMr KellおよびGC-JNの有⾺代表理事がコメンテ
ータとして登壇し、学⽣からの正直で熱いメッセージに対し、新たな気付きの発表やアドバイス
を⾏った。
最後は⽑利教授により、「今後は、学⽣がCSRアクティビティレポートを書く相⼿になるかもし
れませんよ」との締めくくりの⾔葉があり、ユースプログラムは幕を閉じた。
 各国提案
(China-A)
*発表者
*Ms Yu Hongzhe
企業にとってCSRはPRや慈悲活動ではなく、企業のDNAとも⾔える存在である。CSRは
企業の決定や活動の中⼼にあるべきであり、コアビジネスに組み込まれるべきものである。
例としてSinopecのサービス部⾨の売り上げが数年で延びたことを挙げ、CSRは企業にも
社会にもWin-winとなることを⽰唆した。
(China-B)
*Ms Zheng Liqin
CSRは社会のDNAにも組み込まれていくべきである。環境・労働問題のような社会問題解
決の障害は、社会的な認知度と市⺠の参加率の低さである。解決のため、学⽣は責任ある
⾏動を取り、努⼒して社会の理解を促進し、社会に影響を与えていく必要がある。
(Japan-A)
*中村友⻫⽒、Ms Li Huanhuan、伊藤光⽒
3.11後の⽇本社会を舞台に、 「絆」というコンセプトをどのように企業が捉えていくかが
今後のCSRを握る鍵となる。⽇本では、企業内の絆が重要視されがちだが、それが実は透明
性を遠ざけてしまっている。企業という単位に捕われずに個々⼈がリーダーシップを発揮し
、ゴールを⽬指すことで創りだされる影響⼒ネットワークが重要となる。そのために必要な
のは、個々⼈が正直であること、各々の意⾒を持つこと、他に影響を与えることである。
(Japan-B)
*井上徹⽒、市⽊⾥奈⽒
⽇本では62%の⼥性が出産後に仕事を辞めている。理想社会とは「男性だけでなく⼥性に
とっても働きやすい社会である。そのためには、託児所を設ける、フレックスタイムシステ
ムを取り⼊れるなど、企業側も貢献していくべきである。⼥性の管理職が増えることは社会
にポジティブな影響⼒があるため、⽬指すべき理想の社会図であり、2010年時には1割であ
った⼥性管理職率を2030年に5割まで持っていくことを⽬標としたい。
(Korea-A)
*Mr Jong Woon Park
企業がCSRを進める際に必要なのは、積極的なコミュニケーションと環境作りである。
理想のCSRを考えるうえで、我々は「労働権」に着⽬したい。強制労働、児童労働、⻑時間
労働等、様々な労働問題が世界で起きている。多くの企業のCSRにおいて、労働権の重要性
が訴えられているにもかかわらず、ISO26000がその理由を問うたアンケートに対して、19
%が広報のためと答え、⼈権保護のためと答えたのは1%のみであった。この結果を受けて
、現在⾏われているPartner managementや⽂化⾯に訴えかけるような⽅針はやめて、CEO
を教育し、内部から認知度を挙げていくべきである。また、UNGC corporationのようなも
のを形成し、グローバルな視野でこのような活動を監視及び促進していくべきである。
26
(Korea-B)
*Yeong Seob Yoon
CSR が 促 進 さ れ る 理 想 の 社 会 像 は 「 社 会 包 摂 的 な コ ミ ュ ニ テ ィ ー (Socially inclusive
community)」である。それはどのような者も差別されない社会であると同時に、ビジネスと学
⽣が良好な関係を結ぶことのできる社会である。GC-KNでは学⽣向けのCSRクラス、イベント
、セミナー等が⾏われており、学⽣がCEOの話を直接聞く機会があるというのはとても重要と
感じる。今後、このような活動を更に進めていくと同時に、UNGC Youth Networkを構築し、
国家を超えた枠でCSR活動を促進し、ビジネスと学⽣のつながりを強化することで、更に強固
なネットワークを構築していく必要がある。
 ⽇中韓総括提案
[テーマA]
(China) CSRが会社の経営に取り組まれていくのが理想だが、最も重要なのはそのCSR活動が社会的問題を実際
に解決するか否かである。事例として、イギリス企業が中国地⽅の中⼩企業に仕事を外部委託契約する話がある
が、⼀⾒児童労働が⾏われているように思われた事態が、逆に⼦供達が楽しむ範囲の仕事をさせてあげているだ
けということもある。これは、⾒た⽬と実態は異なることが多いため、地元のニーズを理解する必要があるとい
うケース。理想的なCSR活動とは、地元の状況を把握しながらも、社会問題を解決するためにある。CSRはゼロ
サムゲームではなく、社会問題を解決する事でWin-winな関係を構築されていく。
(Japan) 企業利益の最⼤化を追求する中でCSR活動に取り組む場合、ジレンマとなることが多く困難が伴うが、
挑戦することが重要である。イッセイミヤケの「再利⽤」「再⽣」といったコンセプトや、PUMAの「靴箱を使わ
ない」事例のように、ポジティブな変化を求めるのであれば、挑戦しなければ何も変わらない。
(Korea) CSRを「達成する」という考え⽅⾃体を捨てるべきである。CSRは達成するものではなく、企業の責任
として内在化されているべきものである。(特に途上国において)⼈権や労働権が守られる必要があり、透明性
や公平性が保たれ、従業員の声が聞き届けられる環境が必要である。
*発表者:左から(China) Ms Zhou jinzhu, Mr Russ Neu Wee Teck, (Japan) Mr Ulysses Self, (Korea) Mr In Won Lee, Ms Jin Young Park
[テーマB]
CSRが⾏われる理想社会像を考えるうえで、3ヶ国共通のコンセプトは「Balance」と「Communication」で
あった。何のBalanceを保つのかは各国が抱える社会問題によって異なるが、共通して⾒られたのはそのツールと
してCommunicationが必要とされていることである。
(China) Balanceが保たれる社会とは”harmonious society”を指し、持つ者と持たぬ者の溝を埋めること。
Community と Communication は 、 共 に ”Commune” と い う 「 ⼼ を 通 わ す 」 と い う 語 源 か ら 来 て お り 、
Communicationは他者と統合するためのツールとして使われるべきものであると考える。また、ビジネスと国⺠
、そして政府と国⺠の間にcommunicationのプラットフォームがつくられるべきである。
(Japan) Balanceとは⽼⼈と若者、新卒と経験者、欧⽶と東洋の溝が調整されていることである。また、⼥性の
声が現状を打開するために重要であり、⼥性社員と企業との間のcommunicationが重要である。
(Korea) ⼆極化問題が深刻で、⼤企業と中⼩企業の間の溝を埋める事がBalanceを保つことである。その背景に
は経済格差がある。これをCommunicationによって埋めていく必要がある。
*発表者:左から(China) Ms Liu Junwen, (Japan) Ms Lizhuo Men, ⻑⾕川 昇太郎⽒, (Korea) Ms Min Kyung Choi, Ms Ji Hye Hyeon
27
 コメンテータより
[アカデミア代表:名古屋⼤学教授
三浦 聡⽒]
⾮常に感銘を受けた。企業のCEOに対して物怖じせず発⾔する姿にパキスタンのマララさんの姿を重ねた。
[ビジネス代表:南海通運株式会社 代表取締役 川端 敏彦⽒(GC-JN理事)]
「労働権」と「Communication」という2点について、ご⾃⾝の南海通運での経験をお話いただいた。南海通運
はミャンマーとバングラデシュに事務所を持っている。川端社⻑が⼯場を訪れた際に、明らかに児童労働だと思わ
れる者が多く働いていたという。だが⼯場⻑になぜ児童労働を容認しているのかを問うたところ、彼らは20歳を
超えているが栄養失調のため年相応に⾒えないということであった。これが現実である。
また、川端⽒がアメリカ、ロサンゼルスに住んでいた頃、ロサンゼルスにはChinese town、Japanese town、
Korean townが存在し、各々が独⾃のコミュニティー⾊を持っていた。だが、今回のユースプログラムDay0での
ディスカッションを⾒て、そのようなコミュニティーの差を全く感じさせない、素晴らしいCommunicationが⾏
われているのを⾒て、考え⽅が変わった。
[GCO:Mr. Georg Kell]
企業DNAや他者との統合など、様々な重要なコンセプトが組み込まれていた素晴らしいプレゼンだった。特に
Youth Networkの構築はとても重要なため、是⾮ローカルネットワークに実⾏して欲しい。
[GC-JN: 代表理事 有⾺ 利男⽒]
学⽣の理解と知識に驚かされた。韓国の「CSRを達成するのをやめよう」という発⾔には驚かされたが、とても
共感出来る考え⽅であった。”Balance”を保つというのはとても難しく、例えば経済成⻑や環境問題といったアジ
ェンダではどちらかが強くなってしまってはいけない。また、「正直さ」はとても重要。
[ファシリテータ(Ms. LiLi、⽑利 勝彦⽒、Mr.Moon)]
学⽣の健闘を褒めると同時に、聴衆に対して彼らのVisionをゴールに据えて欲しいと呼びかけた。
28
《ユースプログラム参加学⽣》
[China / Team A]
Chen Fangshu
University of International
Business and Economics
Liu Wanlin
University of International
Business and Economics
Zhou Jie
University of International
Business and Economics
Zhou Jinzhu
University of International
Business and Economics
Wu Junqiang
Tsinghua University
[Japan / Team A]
Chotaro Sekiguchi
関⼝ ⻑太郎
慶応義塾⼤学/商学部
Hikari Ito 伊藤 光
Chen Lubai
Dalian University of
Technology
Gao Shanqing
University of International
Relations
Liu Junwen
Dalian University of
Technology
Russ Neu Wee Teck
(Singapore)
Tsinghua University
Sang Tian
China University of
Petroleum
Xu Xiaohang
Dalian University of
Technology
Yu Hongzhe
University of International
Business and Economics
Jin Young Park
名古屋⼤学/法学部/法律政治学科
M.A. Science and Technology
Studies, Seoul National University
(Graduate School)
Koki Ono ⼩野 好樹
Jong Woon Park
筑波⼤学⼤学院/
システム情報⼯学研究科
Li Huanhuan
李 歓歓 (China)
Nguyen Thi Thanh Man
(Vietnam) *preliminary participation
同志社⼤学⼤学院/ビジネス研究科
Tomonari Nakamura
中村 知⻫
関⻄学院⼤学⼤学院/法学研究科
Ulysses Self (Japan/USA)
国際基督教⼤学/教養学部/
アーツ・サイエンス学科
[Japan / Team B]
Dou Jiahui 竇 佳卉 (China)
国際基督教⼤学⼤学院/
アーツ・サイエンス研究科
Lizhuo Men
⾨ 麗卓 (China)
早稲⽥⼤学⼤学院/経済学研究科
So Jung Kim
Vietnamese / International
Studies, Hankuk University of
Foreign Studies
[Korea / Team B]
Ji Hyun Mok
Molecular Biotechnology,
Konkuk University
Ji Hye Hyeon
Int'l Comparative Education,
Beijing Normal University
(Graduate School)
Ki Hyang Park
Business Administration,
Chung-Ang University
Min Kyung Choi
History,
Yonsei University
Yeong Seob Yoon
Finance / Economics,
University of Toronto
関⻄学院⼤学/国際学部/国際学科
Shotaro Hasegawa
⻑⾕川 昇太朗
名古屋⼤学/法学部
Takanori Yasuda
安⽥ 峻紀
Dalian University of
Technology
Economics, Yonsei University
Rina Ichiki
市⽊ ⾥奈
Wang Wantian
Wu Yuelin
In Won Lee
Jumpei Katayama
⽚⼭ 淳平
Tadashi Kaneko ⾦⼦ 理
University of International
Relations
Culture and Arts Management,
Hongik University
(Graduate School)
Biological Engineering,
Cornell University
Zheng Liqin
University of International
Business and Economics
Eun Jin Hwang
慶応義塾⼤学/商学部/商学科
早稲⽥⼤学⼤学院/商学研究科
[China / Team B]
[Korea / Team A]
国際基督教⼤学/教養学部/
アーツ・サイエンス学科
関⻄学院⼤学/経済学部
Toru Inoue 井上 徹
筑波⼤学⼤学院/
システム情報⼯学研究科
29
以上、計40名
(China15名、Japan15名、Korea10名)
II. プログラム別内容報告
1-①-ⅷ Day1: Closing Remarks
[国際交流基⾦ 顧問/元駐韓国⼤使 ⼩倉 和夫⽒]
テーマ:「コンプライアンスと社会貢献の枠を超えて」
時代とともにコンプライアンスの枠を、さらに社会貢献の枠を超えて、様々なCSRが⺠間企業
に実践されてきているが、⽇本においては、⼒のあるNPOが育っておらず、NPOの実⼒をもっと
強化することが重要である。
また、各社が各々⾃社でできるCSRに取り組んでいることは良いが、統合されずにばらばらに
取り組まれているCSR活動をうまく統合し、さらには国境を超えて、例えば⽇中韓3国連携して
、CSR活動に取り組んでいってほしい。
II. プログラム別内容報告
1-①-ⅸ Day1: Dinner Party
⽇中韓RT会合(Day1)の全プログラムを終え、登壇者および参加者全員の懇親を⽬的としたDinner Partyが
104名の参加者のもとで開催され、盛況のうちに幕を閉じた。
Overview:GCO Mr Kell
中韓LN代表Speech
左:GC Network China; Mr Han Bin
右:GC Korea Network; Mr Hong Jae Im
GC-JN野村理事より中韓LN代表へ⾦沢塗Gift贈呈
⽇中韓LN各代表から学⽣各国代表者へユースプログラム修了証の授与
NEC様ご協⼒差し⼊れ品説明
⽇本酒「愛酊で笑呼」
NEC藤井⽒
Closing Speech
GC-JN理事 野村彰男⽒
乾杯の挨拶
GC-JN理事 後藤敏彦⽒
30
今後に向けて固い握⼿を交わす
Kell⽒と有⾺⽒
II. プログラム別内容報告
2.Side Event
① Day2:Optional Event
 ⽇時: [Day2] 8⽉29⽇(⾦) 8:30-12:30
 場所:味の素株式会社 川崎⼯場
 ⽬的:主に中国・韓国からの参加者(企業⼈・学⽣)が⽇本独⾃の⽂化・技術を体感すると同時に、CSR
の⾯で先進的な取り組みをしている企業の事例を学ぶ機会を提供する。
 参加者:42名(スタッフ除く)
*国別内訳:⽇本9名、中国17名、韓国16名
*カテゴリ別内訳:学⽣31名、登壇者・LNスタッフ11名
*味の素:CSR部加藤部⻑、CSR部⼤和⽥様、川崎⼯場の皆様
*事務局:名取事務局⻑、⾓家、三浦、中尾/井上(通訳)
 内容
1) 品川プリンスホテル集合、バスで出発
川崎⼯場への移動中はオプショナルイベントのオリエンテーションを実施。
2) 味の素・川崎⼯場紹介(味の素 川崎⼯場様)
味の素グループおよび川崎⼯場の概要説明の後、「うまみ」発⾒の歴史を、うまみ
成分(グルタミン酸ナトリウム)原料についてのクイズを取り⼊れつつご紹介いただ
いた。DVDで味の素の製造過程を学んだあとは、みそだけを溶いた湯に「味の素」を
⼊れ、⼊れる前と⼊れた後の味の変化を体験し、これが「うまみ」ですよとの説明。
⽇本⼈には慣れ親しんだ味だが、中韓の⽅々同様、味の変化を感じると皆笑顔がこぼ
れていた。
3) CSR活動説明(味の素 CSR部 ⼤和⽥梨奈⽒)
味の素社の企業理念紹介および持続可能な循環に基づく事業活動、さらに21世紀の
課題解決に向けた取り組み(グローバルな持続可能性、⾷物資源、健康問題)につい
てお話をいただいた。QAパートでは質問が相次ぎ、時間が⾜りずに⽌むを得ず打ち切
りとなるほどだった。
[QA概要]
Q.なぜ世界中に⼯場を持っているのか。
A.より多くの世界各地で、製品を早く・安く提供するため。
Q.なぜパンダがキャラクターになっているのか。
A.製品との特別な関連や深い意味はないが、お客様に親しみを
持ってもらい、笑顔になってもらうことを重視して作られた。
また、製品容器の形状からパンダが適当と考えられたため。
Q.⼯場の製造過程で臭いが出るのではないか。
A.近隣の住⺠に配慮し、臭いが出ないよう極⼒対応している。
Q.学⽣にCSRを学ばせる仕組みはあるか。
A.学⽣に限らず、⼯場⾒学に参加いただいた⽅々にご紹介している。
2011年3⽉11⽇の震災復興活動の際にも紹介活動を⾏った。
Q.なぜ、アフリカ・ガーナを⽀援しているのか。
A.アフリカの⽀援を考えた際、より治安がよい場所を選んだ。また、
パートナー団体と協働しやすい場所であることから、⽀援場所と
して適切と判断した。
31
4)ほんだし⼯場⾒学
2グループに分かれて⼯場⾒学ツアーに参加。ツアーメニューは①「ほんだし」の製造⼯程DVD鑑賞、
②かつお節削り体験、③iPadを使⽤しながらの⼯場の製造過程⾒学(かつお節の粉砕室、造粒室、品質検
査室)、④海におけるかつおの⽣態学習、⑤商品の充てん包装機⾒学、⑥「ほんだし」を使って作られた
おにぎりの試⾷。体験型で盛りだくさんの⾒学ツアーとなった。
5)資料室⾒学
味の素社や川崎⼯場の歴史資料が展⽰された資料室を⾒学
6)写真撮影、昼⾷、解散
味の素様、ありがとうございました。
32
III.サポーター
1. ご協賛・ご協⼒
第6回⽇中韓RT開催にあたり、下記15の会員企業・団体様よりご協賛(資⾦援助)を頂戴し、GC-JNの
厳しい財政状況に対して⾮常に有難い⽀援をいただきました。深く御礼申し上げます。
ご協賛企業・団体名
1
ご協賛⾦(円)
*お申し込み順
株式会社富⼠メガネ
100,000
2
味の素株式会社
100,000
3
公益財団法⼈⽇本サッカー協会
100,000
4
SCSK株式会社
100,000
5
株式会社博報堂
100,000
6
株式会社LIXIL
100,000
7
南海通運株式会社
100,000
8
ハタエ⽯油株式会社
100,000
9
住友化学株式会社
300,000
10
三菱重⼯業株式会社
100,000
11
富⼠ゼロックス株式会社
100,000
12
MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社
100,000
13
オリンパス株式会社
100,000
14
キッコーマン株式会社
100,000
15
横浜ゴム株式会社
100,000
下記15の会員企業様からは、⾃社商品・サービス等で⽇中韓RT会合の運営に様々な側⾯で華を添えてい
ただきました。語学スタッフについては、中韓の参加者より多くのお礼を頂戴しました。
全てのご協⼒企業の皆様に深く御礼申し上げます。
ご協⼒企業名
内容
*お申し込み順
1
トップツアー株式会社
会合運営全体協⼒+契約⼿数料5%控除(12万円相当)
2
ライオン株式会社
「Banシャワーシート ⽯けんの⾹り」ご提供(480個)
3
株式会社博報堂
クリエイティブ(広報ツール制作)無償⽀援
4
キッコーマン株式会社
デルモンテ⽸ジュースご提供(100ml×120本)
5
⽇本電気株式会社(NEC)
⽇本酒「愛酊で笑呼」ご提供(300ml瓶×30本、⾖樽300ml×100個)
6
EY総合研究所株式会社
ユースプログラムTeaching Advisor
7
味の素株式会社
⼯場⾒学受け⼊れ
8
セガサミーホールディングス株式会社
韓国語案内スタッフ派遣
9
SCSK株式会社
中国語案内スタッフ派遣
10 信越化学⼯業株式会社
韓国語・英語案内スタッフ派遣
11 伊藤忠商事株式会社
中国語・英語案内スタッフ派遣
12 住友商事株式会社
「⽢熟王バナナ」ご提供(200本)
13 オムロン株式会社
中国語案内スタッフ派遣
14 千代⽥化⼯建設株式会社
中国語案内スタッフ派遣
15 ⽇本ユニシス株式会社
中国語案内スタッフ派遣
2 ライオン Banシャワーシート
左から 3 キッコーマン デルモンテ⽸ジュース
4 NEC⽇本酒(菰⾖樽・瓶)
12 住友商事 ⽢熟王バナナ
ご提供品は全てPartyのご参加者⼿⼟産としてお持ち帰りいただきました→
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当報告書の内容について、全て無断転載を禁じます
(⽂責) ⼀般社団法⼈グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク
お問い合わせ:〒106-0032 東京都港区六本⽊6-15-21 ハークス六本⽊ビル
(TEL) 03-5412-7235 (e-mail) [email protected]
(URL) http://www.ungcjn.org/index.html
34