2016/ 原油価格週間動向 9/12 投資情報部 シニアコモディティアナリスト 津賀田 真紀子 暗中模索の非公式会合 原油相場は再び上値の重い展開となっており、足元では 45 ドル台まで値を落としている。今月末にロシア を含めた主要産油国が非公式会合の開催を予定しているものの、イランやサウジアラビアが減産に対してい まだ後ろ向きな姿勢を示しており、今回も物別れに終わる可能性が高いとみられていることが失望売りを誘っ ているためだ。ただし、OPEC 内のイランの生産シェアはほぼ制裁前の水準にまで回復しているうえ、生産余 力も乏しいことから、ここからさらに増産を続けることは難しい。イランがいつまでもごね得を通用させることが 難しくなりつつある。非公式会合でサウジアラビアとイランがどのような判断を下すのか注目したい。 国際指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物相場は先週、 増産凍結協議失敗 の 繰り 返しを回 避 することは可能か 一時 1 バレル=47 ドル台まで上昇したものの、その後は再び上値の重い展開となって おり、足元では 45 ドル台まで値を落としている。 今月 26~28 日にアルジェリアで開催される国際エネルギーフォーラム(IEF)に合わ せ、ロシアを含む主要産油国が非公式会合を行うことが予定されているが、依然とし てイランやサウジアラビアが増産凍結に対して後ろ向きな姿勢を示している。4 月の ドーハ会合や 6 月の石油輸出国機構(OPEC)総会に引き続き、今回も物別れに終わ る可能性が高いとみられており、市場参加者の失望売りを誘っているためだ。 ただし、今回の非公式会合では、増産凍結ではなく、参加国の産油量が一定の上限 を超えないようにすることで合意する道筋も検討されるようだ。これはあくまでも選択肢 の 1 つだが、イランなど増産凍結に反対している国々が増産計画を実行しながら合意 に参加するのを容認することで、これらの国々の抵抗をかわす方策の一つとなり、増 産凍結協議失敗の繰り返しを回避することが可能になると期待されている。 原油価格動向 W T I原油先物価格とドルインデックス 2016/8/29 ~ ~ 2016/9/5 期間 北海 ブレント (週次:2014/1/3~2016/9/9) 120 前週比 2016/9/9 WTI (1バレル=ドル) 76 110 2016/9/2 WTI原油先物(左目盛) 78 ドルインデックス(右逆目盛) 80 始値 43.55 47.22 ▲ 3.67 100 高値 47.75 47.49 0.26 90 84 86 82 安値 43.16 43.00 0.16 80 終値 45.88 44.44 1.44 70 始値 46.70 49.54 ▲ 2.84 60 92 94 高値 50.14 49.76 0.38 50 安値 46.29 45.32 0.97 40 終値 48.01 46.83 1.18 30 88 90 96 98 100 20 (注)価格は 1 バレル=ドル 14/1 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 14/7 15/1 15/7 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 1 16/1 102 16/7 (年/月) 2016/9/12 原油価格週間動向 イランが制裁解除 前のシ ェアを回復 させることはそもそ も難しい なお、イランのザンギャネ石油相は、依然として制裁前(2012 年 1 月以前)の OPEC 内の生産シェアを回復するまでは原油の増産を続ける方針を示している。しかし、 OPEC の月報によると、OPEC の 7 月時点の生産量は日量 3,310 万 6,000 バレル、イ ランの生産量は同 362 万 9,000 バレル、同国の OPEC 内の生産シェアは 10.96%となっ ており、すでに制裁前の水準にまでほぼ回復しているといえる。 イランの生産シェアは 2012 年 1 月時点で 11.20%であったが、仮に同レベルまで生産 シェアを引き上げるとなると、日量であと 7 万 9,000 バレル増産する必要がある。ただ、 ブルームバーグのデータをみる限りでは、イランの余剰生産能力は 2016 年 7 月時点 でもはや日量 45 万バレルしかなく、これを達成させることはギリギリの決断となるだろ う。制裁解除前に期待されていた海外企業による投資も、欧州大手銀行が慎重姿勢 を崩していないことからほとんど進んでおらず、ここから急激に生産余力が増加する 可能性も低い。この現状に気が付いている産油国がどれほどあるのかは不明だが、イ ランがいつまでもごね得を通用させることが難しくなりつつあることも事実だ。 非公式会合でサウジアラビアとイランがどのような判断を下すのか、要注目だろう。 イラン原油生産量とOPEC内シェア イラン原油生産量 (月次:2012/1~2016/7) (千バレル/日) (月次:2012/1~2016/7) (千バレル/日) 3,700 3,800 生産量(左目盛) 3,500 3,600 3,400 2012年 (%) 11.5 11.0 イランシェ ア(右目盛) 3,300 10.5 3,100 10.0 2,900 9.5 2,700 9.0 2013年 3,200 2014年 2015年 3,000 2016年 2,800 2,600 2,500 12/1 2,400 1 2 3 4 5 6 7 8 9 12/7 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 10 11 12 (月) 出所:OPEC 月報よりみずほ証券作成 米エ ネルギー省(DOE) 1 年先予想原油価格とWTI原油先物 (2014/11 → 2016/7) インドネシア エクアドル アルジェリア イラク クウェート アンゴラ カタール UAE (1バレル=ドル) 120 (月次:2011/1~2017/9) (1バレル=ドル) 40 110 30 100 20 2014年11月 90 10 2016年7月 80 0 70 ▲ 10 60 ▲ 20 ベネズエラ イラン リビア ナイジェリア サウジアラビア ▲ 30 50 40 30 0 500 1,000 8.5 16/7 (年/月) 出所:OPEC 月報よりみずほ証券作成 OPEC加盟国余剰生産能力 ▲ 500 13/1 1,500 2,000 2,500 20 11/1 3,000 3,500 (千バレル/日) 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 ②-① 差(右目盛) ▲ 40 ① DOE 1年先予想価格(左目盛) ▲ 50 ② WTI原油先物(左目盛) 12/1 13/1 14/1 15/1 16/1 17/1 ▲ 60 (年/月) 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 22 2016/9/12 原油価格週間動向 ■ エネルギー関連統計 日付 国・地域 9 月 14 日 9 月 14 日 9 月 14 日 9 月 14 日 9 月 14 日 9 月 14 日 9 月 14 日 9 月 14 日 9 月 16 日 9 月 16 日 9 月 16 日 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 イベント 米国原油在庫(前週比・千バレル) オクラホマ州クッシング原油在庫(前週比・千バレル) 米国ガソリン在庫(前週比・千バレル) 米国中間留分在庫(前週比・千バレル) 米国製油所稼働率(前週比) 米国原油推定需要(千バレル/日) 米国ガソリン推定需要(千バレル/日) 米国留出燃料推定需要(千バレル/日) ベーカー・ヒューズ掘削リグ稼働数 ベーカー・ヒューズ米国ガス・ロータリーリグ稼働数 ベーカー・ヒューズ米国石油ロータリーリグ稼働数 期間 前回 9月9日 9月9日 9月9日 9月9日 9月9日 9月9日 9月9日 9月9日 9 月 16 日 9 月 16 日 9 月 16 日 ▲14,513 ▲434 ▲4,211 3,382 0.9% 17,600 10,250 4,655.9 508 92 414 ■ 今週の経済指標 日付 国・地域 9 月 12 日 9 月 12 日 9 月 12 日 9 月 13 日 9 月 13 日 9 月 13 日 9 月 13 日 9 月 14 日 9 月 14 日 9 月 14 日 9 月 15 日 9 月 15 日 9 月 15 日 9 月 15 日 9 月 15 日 9 月 15 日 9 月 15 日 9 月 15 日 9 月 15 日 9 月 15 日 9 月 15 日 9 月 15 日 9 月 15 日 9 月 15 日 9 月 15 日 9 月 16 日 9 月 16 日 9 月 16 日 9 月 16 日 9 月 16 日 9 月 16 日 9 月 16 日 中国 中国 中国 欧州 欧州 米国 米国 欧州 米国 米国 欧州 欧州 欧州 欧州 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 欧州 米国 米国 米国 米国 米国 米国 イベント 鉱工業生産(前年比) 小売売上高(前年比) 固定資産投資(除農村部/年初来/前年比) 雇用(前年比) ZEW 調査(期待) NFIB 中小企業楽観指数 月次財政収支 鉱工業生産(季調済/前月比) MBA 住宅ローン申請指数 輸入物価指数(前月比) EU27 カ国新車登録台数 貿易収支(季調前) 消費者物価指数(前月比) CPI-コア(前年比) 経常収支 小売売上高速報(前月比) 新規失業保険申請件数 フィラデルフィア連銀景況 失業保険継続受給者数 PPI 最終需要(前月比) ニューヨーク連銀製造業景気指数 鉱工業生産(前月比) 設備稼働率 製造業(SIC)生産 企業在庫 労働コスト(前年比) 消費者物価指数(前月比) 実質平均週賃金(前年比) ミシガン大学消費者マインド 家計純資産変化 ネット TIC フロー合計 ネット長期 TIC フロー 期間 8月 8月 8月 4-6 月期 9月 8月 8月 7月 9月9日 8月 8月 7月 8月 8 月 確報 4-6 月期 8月 9 月 10 日 9月 9月3日 8月 9月 8月 8月 8月 7月 4-6 月期 8月 8月 9 月 速報 4-6 月期 7月 7月 前回 6.0% 10.2% 8.1% 1.4% 4.6 94.6 -0.6% -0.1% 6.9% 29,200,000,000 ▲0.6% 0.8% ▲124,700,000,000 0.0% -2.0 -▲0.4% ▲4.21 0.7% 75.9% 0.5% 0.2% 1.7% 0.0% 1.4% 89.8 837,000,000,000 ▲202,800,000,000 ▲3,600,000,000 (注)記載事項はすべて「予定」ないし「見込み」であり、予告なく変更されることがあります。海外イベントおよび経済指標は現地日程で掲載しています 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 33 2016/9/12 金融商品取引法に係る重要事項 原油価格週間動向 ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化等により、投 資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負担いただ きます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手 数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含む)、国や地域 の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込むことがあり、損失を被るこ とがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与えることがあ ります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が当該証券の 高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売却してお客さ まの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市場があっても当該証券の 流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生しても本邦投資家が取り扱いできないこ とがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商品取引法に基 づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および諸費用の額 は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。詳細は当社の担当者まで お問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金に対して最大 1.08%+2,700 円(税込 み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対 して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別途手数料お よび諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負 担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を 委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券取引口座管理 料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決定した為替 レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書またはお客さま向け 資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-160912-26 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 44
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