MAZDA ANNUAL REPORT 2016 副 社 長インタビュー ビジネスの質的成長とブランド価値の向上に 取り組み、安定的・持続的成長を目指します Q1 マツダは高効率内燃機関を軸とした「SKYACTIV 先様や研究機関と共同で進めながら、核となる統合制御 技術」で高い評価を得ていますが、自動車の電動 システムを自社開発とすることで、コスト低減と品質確保 化についてはどうお考えでしょうか。 を図っていきます。航続距離の伸長などお客さまの利便 代表取締役 副社長執行役員 丸本 明 性を高めるために、発電専用エンジンである「レンジエク さらに高効率の内燃機関など「SKYACTIV 技術」の性能 向上と、段階的に「電気デバイス」を導入する「ビルディング ブロック戦略」の推進により、各国の環境規制に対応して ステンダー」の搭載も検討しています。 * ZEV(Zero Emission Vehicle) とは、排出ガスを一切出さない電気自動車や燃料電池車 を指す。カリフォルニア州の ZEV規制は、州内で一定台数以上自動車を販売するメー カーは、その販売台数の一定比率をZEV にしなければならないと定めている。 いくことを基本方針とします。 人に代わって自動運転で危険を回避するマツダらしい自 我々は、厳格化する各国の環境規制への対応が迫られ 動運転技術に基づいて研究開発を進めています。具体的 る中、直面する課題を集約し、我々の進むべき方向を、 「ク ルマの基本性能となるエンジン、 トランスミッションなどの Q2 マツダの自動運転技術への取り組み方針をお聞 姿勢、瞳孔、心拍、感情などの動き・状況を検知しながら かせください。 仮想運転状態で待機し、必要に応じて、情報提供や警報な 『ベース技術』を飛躍的に向上させる」ことと定めました。 6 には、通常運転時には、クルマは運転環境とドライバーの その上で、中堅自動車メーカーとしての自らの強みと限ら マツダは「走る歓びを提供し続けるための自動運転 ど適切なサポートを行います。例えば、健康上の理由等で れた資源を最大限活用できるよう選択と集中を進め、革 技術戦略」に基づいて、人が主役の自動運転技術の開発 正しくクルマが運転できない状態を検知した場合には、ク 新的なベース技術「SKYACTIV 技術」を開発しました。今 を進めています。 ルマがドライバーに代わって運転を制御し、自動で外部に 後も、さらに高効率の内燃機関など「SKYACTIV 技術」の 自動運転については、先進安全技術である 「i-ACTIVSENSE」 連絡、他の人や周辺を危険な状態にさせない最適な場所 性能向上と、段階的に「電気デバイス」を導入する「ビル の継続的な進化でお客さまのニーズに対応していきます。 にクルマが自動で移動、事故の発生を防止します。 ディングブロック戦略」の推進により、各国の環境規制に マツダはクルマの運転においてはあくまでも人が主役で マツダ車を購入されたすべてのお客さまが、運転を通 対応していくことを基本方針とします。 あり、運転することでクルマとの「人馬一体」感や「走る歓 して「走る歓び」を感じ、より充実した生活を営む、その 一方で、アメリカの ZEV 規制 * などの構造的な要件を び」を感じていただきたいと考えています。ただし、緊急時 ような社会の実現に貢献していくことを目指しています。 満たすためには電動車両の導入が必要であり、電気自動 に同乗者や周辺を危険な状態にさせないための自動運転 車の技術開発を進めています。開発にあたっては、お取引 システムは必要です。平時には人が運転をし、緊急時には コンテンツ マネジメントメッセージ 事業活動のレビュー 価値創造のドライバー 持続的成長を支える基盤 財務セクション MAZDA ANNUAL REPORT 2016 副 社 長インタビュー メキシコ工場間での相互補完を可能とするスイング生産 コスト効率化に取り組むことで、安定的なフリー・キャッ 体制を強化し、各拠点の稼働率を最大化することで生産 シュ・フローの創出を計画しています。 効率を上げていきます。また、販売構成において増加を予 財務戦略の基本的な考え方は、2019 年 3 月期の自己 「構造改革ステージ 2」期間中は、主要生産拠点の生産 測しているクロスオーバー(CX)系車種の生産能力を 資本比率 45% 以上を目標とし、安定的・持続的成長に 効率を最大化し、グローバル販売台数165万台に向けた台 50%まで拡大するために、乗用車とCX系車種の生産フレ 向けて財務基盤の強化を図ります。その上で、配当性向を 数成長を新たな工場建設なく実現します。また、今後さら キシビリティの向上、タイでは「CX-3」 、マレーシアでは 段階的に引き上げ、2019年3月期には20% 以上を目指 に厳しくなる各国の規制対応も含め、環境と安全に重点 「CX-5」の生産能力拡大に取り組みます。2020 年 3 月期 します。財務基盤強化や株主還元、将来に向けた成長 Q3 設備投資、研究開発投資の基本方針、今後の方向 性をお聞かせください。 を置いた研究開発を進めていきます。 以降のさらなる台数成長に向けては、適切なタイミングで 投資のバランスについては慎重に判断していきますが、 設備投資は、 「構造改革ステージ 2」期間中の累計投資 追加の能力増強投資を判断します。 厳格化する環境・安全技術への対応を含め、将来に向け 額を売上高の 3.5% の水準をベースとし計画しています。 研究開発投資は、売上高比率 4.0% の水準をベースと た研究開発や設備投資の強化を図ります。 その上で、生産効率最大化に向けて各生産拠点でさまざま し、厳格化する各国の規制対応を含め、将来に向けた研究 な取り組みを行っていきます。具体的には、日本/タイ/ 開発を強化していきます。 「構造改革ステージ 2」期間中に 投入する「SKYACTIV GEN2」モデルでは、グローバルで 高い評価をいただいている現行の新世代商品群をさらに 設備投資額/対売上高比率 ■ 設備投資額(億円) 対売上高比率(%) 1,332 780 2012 4.9 3.5 3.8 1,310 1,050 892 772 2013 2014 4.3 2015 3.2 2.6 2016 上回る環境・安全性能と「人馬一体」をお客さまにお届け 「構造改革ステージ 2」期間中には、ビジネスの質的 します。また、SKYACTIV商品に最新のデザイン/技術/装 成長とブランド価値の向上に取り組み、安定的な利益と 備を「商品改良モデル」としてスピーディーに展開し、台数 キャッシュ・フローの創出を図ります。また、強固な財務基 成長と収益性の向上の両立を図ります。 盤の構築、人材の多様化と育成、経営のスピードアップを 図る仕組みづくりなど、安定的・持続的成長を支える 2017 (見通し) 経営基盤のさらなる充実を図ることで、株主価値の最大 (3月期) 期間中のキャッシュ・フロー Q4 「構造改革ステージ2」 研究開発費/対売上高比率 ■ 研究開発費(億円) 917 994 4.5 4.1 2016年8月 1,166 1,084 3.7 化を目指します。 の使途に関して、優先順位を教えてください。 対売上高比率(%) 899 Q5 最後に一言お願いいたします。 1,250 安定的・持続的成長に向けて財務基盤の強化を図った 上で配当性向を段階的に引き上げます。 3.6 3.8 3.4 代表取締役 副社長執行役員 「構造改革プラン」は安定的な収益構造の実現に向け て一定の成果を上げました。 「構造改革ステージ 2」でも 2012 7 2013 コンテンツ 2014 2015 2016 2017 (見通し) (3月期) マネジメントメッセージ 継続した台数成長とともに、正価販売とグローバルでの 事業活動のレビュー 価値創造のドライバー 持続的成長を支える基盤 財務セクション
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