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特別ニーズ教育論
シラバス
開講時期
2016 年度 後期 水曜 2 限
授業内容
インクルーシブ教育システムの基本的な理解を深めることをねらいとして、通常学級に在籍する「特
別な教育的ニーズ」をもつ子どもの学習上、生活上の困難さを体験的に学びつつ理解を深め、支援のあ
り方について論じる。とりわけ、このような子どもの理解のためには、そもそも「発達とは何か」
「障害
とは何か」
「生活とは何か」ということを深めていかなければならない。我々の社会が持つこれまでの発
達観や障害観を批判的に検討しながら、
「特別な教育的ニーズをもつ子どもの状態を理解する」ための視
点の獲得を目標とする。また、特別支援教育のシステム、特別支援教育コーディネーターの役割、個別
の教育支援計画、地域連携等についても論じる。
また、授業の開設時期が後期であるため、教育フィールド研究とも関連付け、教育フィールド研究で
出会った子どもの行動理解とその対応について、学生との対話の中で、エビデンスのある関わりができ
るよう指導する。講義ごとに小レポートの提出を求める。
授業は、テキスト、資料に基づき、講義形式で行うが、テーマによっては、討論などを行う。
授業の目標
インクルーシブ教育システムが進められている現状を踏まえ、特別なニーズのある子どもたちへの支
援の方向性を学びつつ、特別支援教育の基本的な理解を深めることを目標とする。特に、通常学級に在
籍する「特別な教育的ニーズ」をもつ子どもたちの基本的な理解を前提として、このような子どもたち
がどのような困難を示すのかを知り、その対応や支援のシステム、地域連携、特別支援教育コーディネ
ーターの役割、個別の教育支援計画等の理解について実践事例をもとに深めていく。
到達目標
①特別支援教育及びインクルーシブ教育システムの枠組みを理解する。
②「特別な教育的ニーズ」をもつ子どもの状態像を理解する。
③支援のシステム、連携について理解する。
授業計画
1. インクルーシブ教育システム及び 特別な教育的ニーズの概要
2. 新しい障害観
3. 合理的配慮の概要と実際の取り組み
4. 子ども理解(障害・発達・生活の交錯に視点をあてて)
5. 障害
事例 発達障害、チック症、てんかん、性的違和(性同一性障害)
6. 心因の疾患等
事例 摂食障害、自傷行為、選択性緘黙、子どものうつ病、心因性の気管支喘息
7. 不登校
事例 不登校、発達障害のある子どもの不登校、ネグレクト状態にある子どもの不登校
8. 貧困
事例 子どもの貧困、障害のある子どもの貧困、ひとり親家庭の子どもの貧困
9. 児童虐待
事例 身体的虐待、ネグレクト、障害のある子どもの虐待、面前 DV、反抗挑戦性障害
10.社会的養護
事例 児童養護施設に在園する子ども、児童養護施設退所後の子ども、一時保護所
11.家族問題
事例 ヤングケアラー、障害児のきょうだい、自閉症スペクトラム症の保護者、父母の離婚
12.保育所・幼稚園との連携・協働
13.学齢期の「横」の連携・協働(学童保育等)
14.校内支援体制の構築と SC・SSW との連携・協働
15.保護者との連携・協働
16.試験
テキスト
戸田竜也 『学級担任・特別支援教育コーディネーターのための「特別な教育的ニーズ」をもつ子ども
の支援ガイド』明治図書出版、2015 年
参考文献
玉村公彦ほか『キーワードブック 特別支援教育』クリエイツかもがわ 2015 年