間違い - グループホーム アウル

2016/9/14
『認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
の原点〜未来』
一般社団法人 北海道認知症グループホーム協会
十勝ブロック研修会
『間違い』
• 何よりも大切で何よりも優先して守らなければならないことが間違っ
ていた
• それは
• 彼らは弱者で、守られるべき人で、介護される対象者であり、その介
護や看護の名の管理下におかれているという前提があったֲつまり、
主体が私たちに在る
• しかし
• 毎日の彼らの暮らしの中に、主体者としての存在という前提であった
ֲつまり、主体は彼らに在る
1
2016/9/14
今日のメニュー
1.繋がるということ
2.「認知症」の理解から
「認知症」を持つ人の理解とは
3.グループホームとは
4.未来〜これから(地域包括ケア)
5.まとめ
今日のメニュー
1.繋がるということ
2.「認知症」の理解から
「認知症」を持つ人の理解とは
3.グループホームとは
4.未来〜これから(地域包括ケア)
5.まとめ
2
2016/9/14
自己紹介
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
どこからきたの?どこに住んでるの?
以前の仕事は?学校は?
結婚は?子供は?
趣味は?
何人兄弟の何番目か?
性格は?
血液型
年齢は?
人間以外に例えると?
人は人やものとの関係の中で
自己の在り方を認識している
• 強制的に知らない場所や更にまったく知らない人達の中で、これか
ら過ごさなければならないとした時、お互いに少しでも知ることがで
きたら、ちょっと安心します。
• お互いに少し気持ちが楽になれるはずです。
• 関係の構築は、そこからスタートだと思うな。
6
3
2016/9/14
自分自身との繋がりの中で
最近感じていること
50歳を過ぎた頃から・・・
その他、最近感じていること
自分の唾液で誤嚥する「へんなとこはいった」
口から出て来る言葉と言いたい言葉が違う
「車のウォッシャー液をウォシュレットと言う」
『ん〜ん〜』と知らないうちに言っている
予定を忘れている
人の名前が覚えられない
朝起きたら足腰の節々が痛い
筋肉痛が遅れる
涙もろくなった
などなど
4
2016/9/14
気になっていること
皆さんは何と繋がっていますか?
何と繋がっていると安心ですか?
なぜ、さわり・ふれるのか 〜仮説〜
• 失われていく世界とのつながり
• 失われていく自己
• 自分を探す旅
• 誰かと何かと繋がりたい 繋がっていたい
• 繋がっている事での安心するのではないか
5
2016/9/14
時間や空間や出来事を飛び交う
主観的経験(繋がる安心)
• 〜誰にでも起こりうること・起っていること〜
• 『認知症の状態にある人は、時間や空間や出来事のズレや穴を懸命に埋
めようとしている』
• 僕たちの仕事は、そこで起きる気持、感情、想いを慮ることから始まる
• そうして人や物との関係はできていく
人は常に何かと繋がっている
そのことで様々な関係と
自分とのバランスを保っている
(人 物 地域 感じる全てetc)
6
2016/9/14
どう繋がっていたか?
どう繋がっているか?
どう繋がりたいか?
人やものとの繋がりで、もっとも大切なこと
今日のメニュー
1.繋がるということ
2.「認知症」の理解から
「認知症」を持つ人の理解とは
3.グループホームとは
4.未来〜これから(地域包括ケア)
5.まとめ
7
2016/9/14
その昔?
生活と環境の影響について
私たちは身体(肉体)・精神(心)・魂(本能・感性)で
感じ生きている存在だとすると
あほ
また始まった
恐ろしい
身体
理性
どう仕様もない
心理
精神
感情
ばか
悲しかったんだ
身体
理性
そうかそうか
心理
精神
感情
暴言
気が狂った
辛かったんだ
うんうん
暴力行為
痴呆だから
苦しかったんだ
そうだよなぁ
問題行動
またおかしくなった
頑張ってきたんだ
8
2016/9/14
『私たちの不思議?』
・軽度の定義〜自分たちの思うようになる年寄り若しくは、おとな
しい何も問題のない年寄り
・重度の定義〜自分たちの思うようにならない年寄り若しくは問題
のある年寄り
・問題の有無の定義〜自分たちが安心(想い通りになる人、自分た
ちの言うことを聞いてくれる人、静かに一日黙って座ってくれて
いる人、自分たちがやってもらいたい役割を気持よくやってくれ
る人、そもそも帰るなどと言わない人等々)してみれるかみれな
いかの違い
人の姿と認知症
• 姿の捉え方からスタート
どんな姿かと思っているかがその後の関わりや支援(介護・ケア)
に影響する
視点(姿の捉え方)は認識を創造し
認識は経験を創造する
9
2016/9/14
『因は我にあり』
物事の起こり始まりはすべて自分に在るという考え
『Doing』から『Being』へ
私達の在り方(Being)ひとつで
行い(Doing)が変わるのです!
10
2016/9/14
認知症とは?
そもそも
認知症ってなに?
厚生労働省のHP
• 認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性
的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」を
いいます。
11
2016/9/14
WHO(世界保健機関)の定義
• いったん発達した知能が、様々な原因で持続的に低下した状態(年
をとってもの忘れがひどくなり、生活に支障が出ること)。
• 認知症とは、通常、慢性あるいは進行性の脳の疾患によって生じ、
記憶、思考、見当識、概念、理解、計算、学習、言語、判断など多数
の高次脳機能の障害からなる症候群である。
• ごく普通に社会生活を送ってきた人が、主に老年期に慢性の脳機能
障害に陥り、判断能力等が異常に低下して社会生活に支障をきた
す「認知(知能)障害」です。
ウィキペディア
• 認知症(にんちしょう、英: Dementia、独: Demenz)は、後天的な脳の
器質的障害により、いったん正常に発達した知能が低下した状態を
いう。これに比し、先天的に脳の器質的障害があり、運動の障害や
知能発達面での障害などが現れる状態は知的障害、先天的に認知
の障害がある場合は認知障害という。犬や猫などヒト以外でも発症
する。
12
2016/9/14
認知症とは(介護保険法上の定義)
(認知症に関する調査研究の推進等)
第五条の二 国及び地方公共団体は、被保険者に対して認知症(脳血管疾患
アルツハイマー病その他の要因に基づく脳の器質的な変化により日常生活に
支障が生じる程度にまで記憶機能及びその他の認知機能が低下した状態をい
う。以下同じ。)に係る適切な保健医療サービス及び福祉サービスを提供する
ため、認知症の予防、診断及び治療並びに認知症である者の心身の特性に応
じた介護方法に関する調査研究の推進並びにその成果の活用に努めるととも
に、認知症である者の支援に係る人材の確保及び資質の向上を図るために必
要な措置を講ずるよう努めなければならない。
その1
脳血管疾患、アルツハイマー
病その他の要因に基づく
原因となる疾患
約70〜100
13
2016/9/14
その2
脳の器質的な変化により
脳という器が壊れてゆく
その3
記憶機能及びその他の
認知機能が低下した状態
知的な能力が変化してゆく
14
2016/9/14
認知機能とは
記憶の機能
・思い出す、覚える機能
見当識の機能
・時間や場所の見当をつける機能
・物の名前の見当をつける機能
実行機能(行為/認識/言語など)
・生活するための行為
(着替え・買い物・掃除・料理・トイレの始末等)
・言葉で伝えること
・字が書くこと
・判断をすること
・計算をすること
・同時に複数の事を行うこと 等々
その4
日常生活に支障が生じる
程度にまで
これまでできていたことが
できたりできなかったりと
困難と思える状態へと向かう
15
2016/9/14
『点』から『線』へ
そして『面』への話し
認知症ってなに?
そもそも認知症ケアってなに?
そもそも
お茶を飲むまで
16
2016/9/14
~「お茶を飲むまで」の思考と認識と行為と感情の関係~
お茶が飲みたいと思う
正座の状態からテーブルに両手をつく
左足は立てひざを保つ
右の足の裏を床につける
テーブルに置いた両手に体重をかける(この時点
で、よっこいしょ!と出る)
左の足の裏を床につける
前傾姿勢を両手で支える
腰を伸ばしながら立ち上がる
台所へ向きを変える
台所へ歩く
お湯を沸かそうと思う
やかんを手に取る
やかんのふたをとる
やかんの水を入れる口を水道の蛇口に合わせる
左手にやかんを持ち
右手で蛇口をひねる
水の量を確認しながら適量を入れる
やかんのふたを閉める
~「お茶を飲むまで」の思考と認識と行為と感情の関係~
やかんをコンロに置く
コンロのダイヤルを回す
火力を調節する
やかんの様子を気にかける
お茶っ葉のある場所の見当をつける
左手で食器棚の扉を開ける
お茶っ葉の入った筒を探す
右手で食器棚からお茶っ葉が入った筒を取り
出し置く
食器棚から急須を取り出し置く
食器棚から湯飲み茶碗を取り出し置く
食器棚の扉を閉める
お茶っ葉の入った筒のふたを開ける
筒のふたを左手に持つ
右手で筒を持ち
筒のふたに適量のお茶っ葉を入れる
急須のふたをとり
急須にお茶っ葉を入れる
お湯が沸いたか気にかける
お湯の沸き具合を音でも確認する
お湯が沸いたかどうか湯気の出具合で確認する
お湯が沸いたことを認識する
コンロのダイヤルを回し火と止める
17
2016/9/14
~「お茶を飲むまで」の思考と認識と行為と感情の関係~
やかんを持ち上げ
沸いたお湯を適量急須に注ぎこむ
急須のふたを閉める
湯飲み茶碗にお湯を適量入れる(湯のみ茶碗
を温めるため)
やかんをコンロの上に戻す
湯飲み茶碗のお湯を捨てる
湯飲み茶碗に急須に入っているお茶を注ぎこむ
湯飲み茶碗を持つ
居間へ歩く(慎重に歩く)
居間のテーブルにお茶の入った湯のみ茶碗を置く
両手をテーブルにつき座る(よっこらしょ!と口か
ら出る)
楽な体勢になる
右手に湯飲み茶碗を持つ
左手で底を支える持つ
両手で丁寧に持ちゆっくりと火傷しないよう口元に
近づける
熱さを確認しながら口に注ぎ込み飲む
『私たちの中で起こっている認知機能の理解』
~思考や認識や行為や感情の関係の繋がりによって達成される~
• 私達は、普段の生活において、このように細かい思考や認識や行為
や感情の関係の連続であることまで考えたり、意識してお茶を淹れ
ない。
• だから、いざ分析してみると多くの人は大雑把に分類することになる。
• しかし、ここで思い出したことは、「お茶を飲むまで」と言う行為は、こ
のように様々な思考や認識や行為や感情の関係の集まりということ。
• その一つひとつが繋がりあって一連の生活動作として、若しくは生
命活動として自然にやってのけている。
18
2016/9/14
『私たちの中で起こっている認知機能の理解』
~思考や認識や行為や感情の関係の繋がりによって達成される~
• 一つの思考や認識や行為や感情を「点」と考えるのであれば、その
「点」の一つひとつが出来るのと同時に、繋がってはじめて線となり、
一つの目的を達成すことで、面となり、生活に広がりと潤いをもたせ
ている。
• しかし、この「点」のどこかが、自然の変化である老化或いは、ある
種の疾病や障害又は不自由であったり、更に「点」を阻害するような
他の力が加わったとしたら果たしてどうなるであろうか。
• 間違いなく目的は達成されず、お茶を飲むことはできないであろう。
目的が達成されるどころか、途中で戸惑い、混乱し、不安になるであ
ろう。自分を責める人もあれば、他のせいにする人もいるであろう。
『私たちの中で起こっている認知機能の理解』
知る⇒経験する⇒感じる⇒気づく の繰り返し
• 認知機能の変化によって、生活に不自由を感じる。
• 記憶、見当、実行機能の不自由がその中枢にあるとすれば、「お茶
を飲むまで」の一連の思考や認識や行為や感情の関係に不適応な
状態をきたす事は言うまでもない。
• ましてや、今までできていたことが出来なくなってゆく様を経験する
のは、耐え難い経験と感じる人もいる。
19
2016/9/14
『私たちの中で起こっている認知機能の理解』
知る⇒経験する⇒感じる⇒気づく の繰り返し
• 様々な不自由に照らし合わせれば、それぞれに違う支援がいる。彼
らの不適応を知るということは、生活をベースとした、この一連の思
考や認識や行為や感情の関係を分析できる力とそこから彼らの不
適応に対する支援を届ける力を持つこと。
• 私たちの専門性とは、「ひとの生活の営みの中で起こる変化」を知り、
経験し、感じ、気づくことであり、健全な生命活動の支援につなげて
ゆくこと。
• 確かに「認知症の理解」も大切だが、その前に「ひとの営みの理解」
が先だろうと思う。
ホウキとチリトリ
20
2016/9/14
生活の支援のポイント 『生活の点の見極めから線へ繋げる(生活の再構築)』
認知症の状態にある人の生活行為の困りごとと支援の理解シート
洗顔と歯磨き
道
具
を
用
意
す
る
洗
面
所
へ
行
く
顔
を
濡
ら
す
石
鹸
を
つ
け
る
支
援
自
立
自
立
自
立
洗
い
流
す
タ
オ
ル
で
拭
く
キャ
ップ
を
開
け
る
歯
磨
き
粉
を
つ
け
る
キャ
ップ
を
閉
め
る
自
立
自
立
支
援
自
立
支
援
歯
を
磨
く
口
を
ゆ
す
ぐ
口
周
り
を
拭
く
道
具
を
片
付
け
る
自
立
自
立
自
立
支
援
思い出せなくなる/覚えられなくなる(記憶の障害)
時間が変わる/場所が変わる/人が変わる(見当識の障害)
行為を失う/認識を失う/言葉を失う(実行機能の障害)
生活の支援のポイント 『生活の点の見極めから線へ繋げる(生活の再構築)』
認知症の状態にある人の生活行為の困りごとと支援の理解シート
入浴
浴
室
の
準
備
着
替
え
の
準
備
お
風
呂
場
へ
行
く
代
行
支
援
自
立
服
を
脱
ぐ
湯
加
減
を
み
る
お
湯
を
か
け
る
髪
を
洗
う
自
立
代
行
支
援
支
援
体
を
洗
う
湯
船
に
入
る
湯
船
か
ら
出
る
体
を
拭
く
服
を
着
る
道
具
を
片
付
け
る
自
立
支
援
支
援
自
立
自
立
代
行
思い出せなくなる/覚えられなくなる(記憶の障害)
時間が変わる/場所が変わる/人が変わる(見当識の障害)
行為を失う/認識を失う/言葉を失う(実行機能の障害)
21
2016/9/14
認知症の本質
認知症は
複合した認知機能障害の総称。
認知症とは(介護保険法上からの抜粋)
• 脳血管疾患、アルツハイマー病その他の要因に基づく
• 脳の器質的な変化により
• 日常生活に支障が生じる程度にまで
• 記憶機能及びその他の認知機能が低下した状態をいう。
22
2016/9/14
生活の営みの中にある
認知機能への支援を充実させる
〜認知機能(生活するための機能)への支援〜
支援の具体的展開図
①心地好く良好な関係づくり(日常的に・な)
②支援の前の準備・備え・仕掛けを用意する
③仕掛けへの誘い(いざない)・そそり・導き
④心地好い展開(ライフヒストリーや嗜好などを活用)
⑤心地好い締めと結びと再会の約束(良好な印象づけ)
23
2016/9/14
『人』と『認知症』を理解し
その上で
生活する事に対する
備えとお膳立て(準備)を怠らないこと
認知症ケアの本質
認知症ケアとは
認知機能が変化しても
不適応な状態を発症させない支援
24
2016/9/14
そこで生まれたのが
グループホーム
正式名称
認知症対応型共同生活介護
認知症ケアの切り札!
認知症ケアの救世主!
グループホームは果たして?
25
2016/9/14
今日のメニュー
1.繋がるということ
2.「認知症」の理解から
「認知症」を持つ人の理解とは
3.グループホームとは
4.未来〜これから(地域包括ケア)
5.まとめ
介護保険法
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾
病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓
練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等につい
て、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常
生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サー
ビスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保
険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もっ
て国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
26
2016/9/14
介護保険法の理念
(基本方針)
「介護保険法」より
※『尊厳を保持し』
※『利用者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むように』
介護保険上の
事業種別目的
27
2016/9/14
地域密着型サービス
認知症対応型共同生活介護
基準省令から見る目的
要介護者であって認知症であるものについて、共同生活住
居(法第八条第十九項 に規定する共同生活を営むべき住居
をいう。以下同じ。)において、家庭的な環境と地域住民との
交流の下で入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活
上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者がその有す
る能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにす
るものでなければならない。
28
2016/9/14
「認知症対応型」「共同」「生活」「介護」
の意味とは
『認知症対応型』とは?
認知症をもつ人がいる
認知症を理解している専門職がいる
29
2016/9/14
『共同』とは?
①二人以上の者が力を合わせること。
②二人以上の者が同一の資格でかかわること。
(広辞苑 第六版 岩波書店)より
『生活』とは?
生存して活動すること。
生きながらえること。
世の中で暮らしてゆくこと。
また、そのてだて。(手段、方法、すべ、策略)
生計。
(広辞苑 第六版 岩波書店)より
30
2016/9/14
『介護』とは?
高齢者・病人などを介抱し、日常生活を助けること。
(広辞苑 第六版 岩波書店)より
『介護』から『支援』へ
『介護』とは?
『支援』とは?
高齢者・病人などを介抱し、日
常生活を助けること。
ささえ助けること。援助すること。
(広辞苑 第六版 岩波書店)
(広辞苑 第六版 岩波書店)
一方的な印象
主体的な印象
受動的
能動的
31
2016/9/14
地域の中で「共同生活」を支援するという概念
「個別援助・支援」「集団援助・支援」でもない
「個別支援」の集合体でもない
『共同生活支援』とは
人と人とが多様にかかわって生活し、生きることを支援すること
(参考文献:宮崎和歌子著 「認知症に人の歴史を学びませんか?」中央法規出版)
しかし
認知症対応型共同生活介護
20年後の姿
32
2016/9/14
生活の実際 タイプ①
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
従来の特別養護老人ホームの延長線上の生活
サイズを小さくしたもの
安全を守ることを最優先
玄関に施錠
食事を提供(時々、調理等を「手伝っていただく」こともある)
「して差し上げるケア」が中心
「三大ケア(食事・排泄・入浴)」が主
日中は、行事やアクティビティ、さまざまな「療法」などを行う
大まかな生活のスケジュール(日課表)がある
家のような雰囲気のなかで一日を過ごす
(引用文献:宮崎和歌子著 「認知症に人の歴史を学びませんか?」中央法規出版)
生活の実際 タイプ②
入居している人が主体である
生活することを支援する
基本は、私たちが自宅で暮らすのに近い形で暮らす
食事は、献立はその日そのとき、気分に合わせて入居している人たちが中
心になって決める
自ら食材を調達し調理し食べる
アルコールも嗜好品も自由
散歩や買い物に自由にでかける
みんなで旅行もする
入居者同士たまにけんかもする
共同生活のよさを活かして暮らす
職員は、家事や日常生活でできないことを支援する
入居者同士がうまくかかわれるようにサポートする
(引用文献:宮崎和歌子著 「認知症に人の歴史を学びませんか?」中央法規出版)
33
2016/9/14
支援の3つのステージ
支援の3つのステージ
1)その認知機能の変化に伴い、うまく生活と折り合いが持てなってゆくこと
により、起こりうるありとあらゆるズレ(不適応な状態)を、生活をベースに予
測し適切に支援するなど、応じてゆくこと。
2)その認知機能の変化に伴い、その進行により起こる不適応な状態に対
して、ノンバーバル(準言語・非言語的)なかかわり方を必要とする支援の
実践を充実させてゆくこと。
3)身体的な機能の変化、疾患的な症状の進行に伴う終末期における緩和
的な支援の実践を充実させてゆくこと。
認知機能の変化に伴う、総合的な支援が継続的に展開できること
34
2016/9/14
1)その認知機能の低下により、うまく生活
と折り合いが持てなくなることにより起こっ
てしまうあらゆるズレ(不適応な状態)を
生活をベースに予測し応じられること
生活の支援のポイント 『生活の点の見極めから線へ繋げる(生活の再構築)』
認知症の状態にある人の生活行為の困りごとと支援の仕組み
食事をすること
献
立
を
決
め
る
自
立
買
い
物
お
金
を
払
う
袋
に
入
れ
る
持
ち
帰
る
食
材
を
切
る
食
材
を
炒
め
る
味
を
整
え
る
食
器
を
選
ぶ
盛
り
つ
け
る
配
膳
す
る
食
す
る
下
膳
す
る
自
立
支
援
自
立
代
行
自
立
自
立
支
援
支
援
自
立
支
援
自
立
代
行
思い出せなくなる/覚えられなくなる(記憶の障害)
時間が変わる/場所が変わる/人が変わる(見当識の障害)
行為を失う/認識を失う/言葉を失う(実行機能の障害)
35
2016/9/14
役割について
アンケート結果
入居者(利用者)の皆さんは
①どのような役割をしていますか?
②若しくは、してもらっていますか?
質問項目
36
2016/9/14
所属
• 老健 5
• 特養 6
• デイ 4
• グループホーム 8
• 訪介 1
• 小規模 2
• ショート 1
(認知症介護実践研修 修了者)
入居者(利用者)は、どのような役割をしていますか?若しくはしても
らっていますか?
順位
具体的な役割の内容
件数
1
洗濯物たたみ
2
おしぼりたたみ 掃除
9
3
テーブル拭き 食器洗い
8
12
4
食器拭き
7
5
調理(手伝い/切る・炒める・米とぎなど)
6
6
洗濯物を取り込む/配膳/洗濯干し
5
7
畑・花壇作業/盛りつけ
4
8
エプロンたたみ/牛乳パックをちぎってもらう
3
9
下膳/味見/お菓子づくり/縫い物
2
お茶入れ/カーテンの開閉/編み物/洗車/パソコン/縄ほどき
古新聞をたたむ/レクの声出し係/職員の手伝い/知恵袋
昔話/話し相手/人生相談
1
10
37
2016/9/14
所属
• 特養 6
• デイ 4
• グループホーム 8
• 訪介 1
(認知症介護実践リーダー研修)
入居者(利用者)は、どのような役割をしていますか?若しくはしても
らっていますか?
順位
具体的な役割の内容
件数
1
洗濯物たたみ
9
2
掃除
5
3
食器洗い
5
4
調理の手伝い(味見・切る・炒める・米とぎなど)
5
5
盛りつけ
5
6
配膳/片付け
4
7
洗濯物干し
3
8
テーブル拭き
3
9
汚れを襲えてもらう/他の入居者を呼びに行ってもらう/洗濯物を
取り込む/新聞を棚(いつもの場所)に置いてもらう/自分の洗濯
物をタンスにしまう/駄菓子屋の店員(ケアハウスの入居者)/知
恵袋/昔話/話し相手/人生相談/外出時のカメラ係/肩もみ
サークル活動の時の指導役/ムードメーカーなど/庭仕事/雪か
きなど/牛乳パックをひろげる
1
38
2016/9/14
所属
事業所所属
人数
認知症対応型共同生活介護
(グループホーム)
19
通所介護
7
計
27
入居者(利用者)は、どのような役割をしていますか?若しくはしても
らっていますか?
具体的な役割の内容
件数
1
洗濯物たたみ
32
2
調理(下ごしらえ/むく/切る等)
24
3
食器拭き
23
4
洗濯物を干す
20
5
掃除(拭き/掃きなど)
19
6
テーブル拭き
15
7
食器洗い
14
8
配膳
11
9
片付け(下膳など)
10
10
洗面台の掃除/庭・畑の手入れ/買物(同行)/ゴミ集め・捨て/
縫い物/おやつ作り/カーテンの開閉/生き物の世話/作品作り
身の回りの整理整頓
9〜2
39
2016/9/14
ひとつのこと
• トイレ掃除 洗面台の掃除 炒める 洗濯物をしまう 買物の荷物持
ち カートを押す 他の入居者のお世話 生け花を生ける 仏壇関係
お茶詰め 食前の挨拶 カレンダーの日めくり 盛り上げ役 メ
ニューの紹介 帰宅時の挨拶 ゲーム 体操 新聞を取りに行く
ゲームの補助
所属
事業所所属
人数
居宅支援事業所
29
訪問介護事業所
12
地域包括支援センター
10
小規模多機能
6
グループホーム
4
通所介護
4
訪問看護
4
介護予防センター
3
老健
2
サ高住
2
その他(家族)
計
14
90
40
2016/9/14
入居者(利用者)は、どのような役割をしていますか?若しくはしても
らっていますか?
具体的な役割の内容
件数
1
調理(下ごしらえ/炒める/味付け/米とぎ等)
47
2
食器洗い/拭き
47
3
掃除
37
4
テーブルの用意、準備
28
5
食後の片付け
15
6
孫の世話
15
7
庭・畑仕事
14
8
買物
13
9
洗濯物を干す11
11
10
洗濯物をたたむ(6)/お茶入れ/仏壇の掃除/縫い物/新聞の
整理/昔話/話し相手/人生相談/カーテンの開閉/シーツの
交換
9〜2
ひとつのこと(役目)
季節の行事の飾りづくり キッチンペーパーの点線切り カレンダーをつくる
カレンダーをめくる 水くみ 調理の指導 ギターを弾く 車椅子を押す
お風呂の準備(お湯を入れる/着替え) ストーブに灯油を入れる 縄結び
好きな仕事をその日にしてもらう 作品を誉める メモ帳づくり お手紙配り
安心感を与える タオルの管理 もちつき 簡単な記録の手伝い
薬を取り出して飲む ゴミステーションの清掃 レジ袋をたたむ お化粧の手伝い
語り部 ミシン掛け 手を握る 好きな歌をうたってもらう お裁縫を教えてもらう
訪問に行く職員に気をつけてをこえがけしてくれる カラオケのセット
レクリエーションの協力 デイサービスへ行く 家計簿をつける 日記をつける
他者への介助 お風呂の栓をする 家の中での大黒柱 ポストの受け取り点検
電話番 戸締まり確認 笑顔を見せる 昔の歌をうたい懐かしむ
人間教育を教えてもらう 来客の対応 他の利用者の面倒を見てもらう
得意な事をみてもらう お布施を渡す 子供達の指導
41
2016/9/14
結果
• 彼らはいつも片付けばかりさせられているようだ。
• 施設、介護職側が考える『役割』を行っている傾向が垣間見られる。
• 主体的に生活を営むように支援するというよりは介護職の『手伝い』
という感覚が否めない。
• 介護職用専門用語が生まれる
「洗濯物をたたむ」⇒「洗濯物畳み」
• 認知機能への働きかけ(支援)を意識していない⇒すべてが単発で
その場限りが目立つ。
考察
• 何らかの役に立っているという、若しくは役に立ちたいという『主体的
な役割』という認識を見出すことができれば、お互いの有する能力に
応じた共同生活を営むことができる。
• 自宅で生活している方々の『役割』の在り方へ近づけてゆく支援(生
活の再編)が必要である。
42
2016/9/14
生活の営みの中にある
認知機能への支援を充実させる
〜認知機能(生活するための機能)への支援〜
その有する能力に応じIADL(手段的日常生活動作)への支援
手段的日常生活活動(IADL)尺度
A 電話を使用する能力
1. 自分から電話をかける(電話帳を調べたり、ダイアル番号を回すな
ど)
2. 2~3 のよく知っている番号をかける
3. 電話に出るが自分からかけることはない
4. 全く電話を使用しない
43
2016/9/14
B 買い物
1. 全ての買い物は自分で行う
2. 小額の買い物は自分で行える
3. 買い物に行くときはいつも付き添いが必要
4. 全く買い物はできない
C 食事の準備
1. 適切な食事を自分で計画し準備し給仕する
2. 材料が供与されれば適切な食事を準備する
3. 準備された食事を温めて給仕する、あるいは食事
を準備するが適切な食事内容を維持しない
4. 食事の準備と給仕をしてもらう必要がある
44
2016/9/14
D 家事
1. 家事を一人でこなす、あるいは時に手助け
を要する(例: 重労働など)
2. 皿洗いやベッドの支度などの日常的仕事は
できる
3. 簡単な日常的仕事はできるが、妥当な清潔
さの基準を保てない
4. 全ての家事に手助けを必要とする
5. 全ての家事にかかわらない
E 洗濯
1. 自分の洗濯は完全に行う
2. ソックス、靴下のゆすぎなど簡単な洗濯を
する
3. 全て他人にしてもらわなければならない
45
2016/9/14
F 移送の形式
1. 自分で公的機関を利用して旅行したり自家用
車を運転する
2. タクシーを利用して旅行するが、その他の公的
輸送機関は利用しない
3. 付き添いがいたり皆と一緒なら公的輸送機関
で旅行する
4. 付き添いか皆と一緒で、タクシーか自家用車に
限り旅行する
5. まったく旅行しない
G 自分の服薬管理
1. 正しいときに正しい量の薬を飲むことに責
任が持てる
2. あらかじめ薬が分けて準備されていれば飲
むことができる
3. 自分の薬を管理できない
46
2016/9/14
H 財産取り扱い能力
1. 経済的問題を自分で管理して(予算、小切
手書き、掛金支払い、銀行へ行く)一連の収
入を得て、維持する
2. 日々の小銭は管理するが、預金や大金な
どでは手助けを必要とする
3. 金銭の取り扱いができない
2)認知機能の低下に伴う進行により起こる
状態に対してノンバーバルなかかわり方を必
要とする方への実践を充実させていくこと
47
2016/9/14
「人」を知る(観察)と「人となり」を知る(洞察)
シグナルを読み解く力
観察力⇒洞察力⇒読解力
読解力への挑戦(応用編)
48
2016/9/14
まずは「観」と「洞」の違いから
1.観察力
(1)ここでの「観」は「注意してみること」「念入りにじっと見ること」を意味します。
(2)別の言葉で言えば、「客観的によくながめること」です。
(3)そこから「観察」は「事物の現象を自然の状態のまま客観的に見ること」を意味します。
(4)観察力はその能力のことです。
(5)ちなみに観察するものは「外見的なものを広く」です。
2.洞察力
(1)ここでの「洞」は「つらぬく」→「通りぬく」→「悟り知る」と転意していったものです。
(2)そこから「洞察」は「物事を見抜き、見通すこと」を意味します。
(3)洞察力はその能力のことです。
(4)ちなみに洞察するのは、「内面的なものを深く」です。
観察力と洞察力の違い
例えば、ある人物に対する
(1)「観察力がある」
(2)「洞察力がある」 と使い分けた場合
(1)の方は、その人物の趣味、しぐさ、好み、性格、行動範囲、など、その人の自然な動
作・様子をありのままに、客観的に見つめることです。観察者の目をカメラに例えると、
「監視カメラ」のような「事実を見逃さない」能力を持っていることになります。
(2)の方は、その人物の客観的な観察から、その人の心理を探ったり、過去を推察したり、
未来の行動を予測するといった、深く踏み込んだ眼力をいいます。洞察者の目をカメラに
例えると、でいえば「赤外線カメラ」のような、「実眼では見えないものを見抜く」能力を
持っていることになります。
49
2016/9/14
例えば
• 車椅子から椅子へ移乗する時
• ベッドに横になる時
• 立ち上がる時など
同時に複数の事を伝えた場合
体の動かし方の組み立てが難しくなる人
無意識の領域に働きかけ
自ら動きたくなるような
声掛け・関わり
50
2016/9/14
移乗する時は
• 椅子同士を側に置くと、どう動いたらいいのか解らなくなり、動きが
止まることがある。
動
画
• 椅子同士を少し離す。
• 目的の場所を視覚で確認する。
• テーブルつたいに歩く。
• 椅子へ移乗する。
主体性
選択性
関係性
読解力への挑戦
シグナルを読み解く力
(コミュのケーション能力)
51
2016/9/14
読み解く為の3つの基本中の基本
•言語
•準言語
•非言語
ロールプレイ
52
2016/9/14
この人をもっと知ろうとすると何が知りたいで
すか?
• すべてに感じることの、人間の持つ情報をあげてみよう。
• 五感で感じることをあげてみよう。
• 自分のやったこと、感じたことを意識化してみよう。
• 無意識にあることを意識的に表現してみよう。
• その状態にあることを想像する
• その場で、その状態でいることを想像して感じることを意識化する
大切なことは
• 体を動かすと脳が働く
• 気持ちにこだわりを少なくして物事を感じてみること
• 関係にこだわりをすくなくして物事を感じてみること
• 自分の頭で考えること
53
2016/9/14
人との関係の基本(ケアの本質)
①笑う(スマイル)
・自分を知ってもらうことに徹する(挨拶)
・ユーモアを見せる(柔和な心持ち)
・感情に働きかける探る(喜怒哀楽などの感情感性)
②距離間を探る(つかず離れず)
・その姿(あるがまま)と共に居てみる(認める)
・彼らの世界(時間空間)を探り存在し支持する(時間の中を動く)
・伝わるチャンネルを探す(伝達)
③触れる
・幾通りかの予測をたてる(予感)
・力を信じる(信頼と見極めと待つ)
・互いの感性に働きかける(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚など感覚感性)
3)身体的な機能低下、疾患的な症状の
進行に伴う終末期におけるケアの実践を
充実させていくこと。
54
2016/9/14
死の尊厳
ここで最後を迎えるにあたって・・・
ご自宅で最後を迎えるにあたって
• ご自宅で最後まで介護される場合何がおきるのか
不安をお持ちのことでしょう。
• ここに書いてあることは、亡くなる前に見られる主
な身体の変化です。必ずしもこれらの変化の全て
がみられるわけではなく、また、書いてある順序ど
おりに起るわけでもありません。どんな場面でも、
ご家族は側にいてご本人に手を触れ、話しかける
事が大切です。
• このパンフレットが、介護される方の心の準備のお
役に立てることを願っています。
55
2016/9/14
死が近づいてきたときのからだはどのように変化するのか
1.食べたり飲んだりする意欲がなくなり、食事
や水分を摂る量が減ってきます。無理に勧
めることは控えご本人の気持ちを大切にし
ましょう。
2.水分を飲む量が減るので、尿の量は減って
きます。便や尿がわからず失禁することがあ
ります。
死が近づいてきたときのからだはどのように変化するのか
3.唇は乾燥し、痰のようなものが喉の奥や口
の中に溜まりゴロゴロという音がします。意
識が低下しているため苦しくはありません。
4.呼吸が不規則となり、速くなるときもあれば
間隔が長くなることもあります。肩や顎を動
かして呼吸をしますが、苦しさはありません
ので、落ち着いて見守ってください。
56
2016/9/14
死が近づいてきたときのからだはどのように変化するのか
5.意識がうすれて、からだを動かさなくなり呼
んでも返答がなくなることもあります。
6.最後の時まで耳は聞こえています。
おかしなことを話したり、幻覚が現れること
がありますが否定せず話を聴きましょう。
7.血液のめぐりが悪くなり、手足がとても冷たく
皮膚の色が青白く斑点がみられることもあり
ます。
死が訪れたことを、どのようにわかるのか
• 呼吸が止まります
• 脈が触れなくなります
• 揺り動かしても、大声で叫んでも全く反応がなくなります
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2016/9/14
死が訪れたとき何をするのか
• 最後の時には必ず医療者が立ち会う必要はありません。
• 呼吸の止まった時間(◯時◯分)を確認し、覚えていてください。
• 医師または訪問看護師に連絡して下さい。
• 救急車や警察を呼ぶ必要はありません。
死亡確認は医師法により医師がするのが原則であり、死亡診断書を書く必要上、
医師が往診して死亡確認しなければなりません。臨終に医療者がいない場合に
は後で医師が死亡確認をしに伺います。その後、葬儀の手配をおとりください。
家族がそばにいない時に突然死が訪れたり、家族が死の瞬間に立ち会えなくそ
のことを悔やむ場合があります。重要なことは死の瞬間に立ち会うことよりも、そ
のき至るまでのケアにあると思います。
58
2016/9/14
『人』と『認知症』の相関図(仕組み図)
認知機能の低下
BPSD(適応行動・状態)
記憶への支援
・思い出せなくなる・覚えられなくなる
見当識への支援
・時間や場所がわからなくなる
・物の名前がわからなくなる
実行機能への支援
(失行/失認/失語など)
・生活行為ができなくなる
(着替え・料理・トイレの始末等)
・字が書けなくなる
・判断ができなくなる
・計算ができなくなる
・同時に複数の事ができなくなる
悪化?
不適切な要因
原
因
と
な
る
疾
患
脳
の
器
質
的
な
変
化
幻覚・妄想
無気力になる・うつになる
便をいじる
食べられないものを口に入れる
作話 夜中に混乱する
怒りっぽくなる・暴力をふるう
道に迷う
ごまかす・とりつくろう
内外的誘因
適応している姿
(有する能力)
身体的要因 : 慢性的な病気、脱水、便秘、発熱、薬の副作用等、身体的な変化
心理的要因 : 不安感、不快感、過度のストレス、焦燥感、混乱状態、被害感等、心理的な変化
社会的要因 : 社会的な喪失感等、社会的な変化、人間としての存在価値の変化
環境的要因(物的): 不適切な環境刺激(音、光、陰、風、空間や圧迫感等)の物的な変化
環境的要因(人的): 人及び人が原因で起こる様々な人間関係の変化
人(宮崎さん)の過去・現在・未来
認知機能の変化に伴う総合的な
支援が継続的に展開できる場所
59
2016/9/14
今日のメニュー
1.繋がるということ
2.「認知症」の理解から
「認知症」を持つ人の理解とは
3.グループホームとは
4.未来〜これから(地域包括ケア)
5.まとめ
認知症対応型共同生活介護の地域における多機能支援
生活をベースとした積極的な認知機能への支援 → 本来の認知症ケアの実践
日常生活の支援:家事全般・暮らし(地域共同)・趣味、娯楽などを含めた地域支援
小規模多機能的地域支援
ホームを拠点として、家族の支援と共同した24時間サービスの地域支援
例1)グループホームにおけるデイサービス/ショート
例2)デイサービスセンターの休日利用
重度/最重度支援
看取り/ターミナルケア・退去支援など終末期としての地域支援
相談支援(地域支援)
地域における認知症に関する相談窓口としての地域支援
防災支援
常に起こり得る災害に対して、日頃から地域と連携した備えと、防災意識の啓蒙と発
信拠点としての地域支援
60
2016/9/14
グループホームの5つの質(役割と責任)
新オレンジプラン・地域包括ケア~認知症に特化したGHの存在価値をさらに高め機能の多様化!
生活をベースに認知症の支援の実践から得た認知症ケアの専門性の蓄積を地域に発信活かす!
社会の情勢や変化による様々
な課題に直面しながらも、認
知症に特化した、地域に役に
立つGH運営を目指します!
(例)共用デイ、ショートステイ
など、居宅を拠点としたGHに
おけるケアマネジメント力を高
め、認知症支援の地域拠点と
しての地域と密着した運営
を!
制度
パーソンセンタードケアの実践
入居者の思い、願い
人生の物語を大切にし
あたり前の暮らしを最期まで!
の質
運営
支援
だから
地域密着型
サービスなのだ!
の質
地域と共同して、認知症の支援のた
めの地域づくりを担えるGHとして!
全てのGHに相談窓口を設置し、運
営推進会議の更なる活用の促進!
(例)模擬訓練、認知症カフェなどを
通して、地域の相談窓口の場として
地域認知症支援の質の向上につな
げる)
の質
地域
防災
の質
の質
認知症の状態にある方の生活を
支援する専門職として、地域とつ
ながって共同生活を組み立てる
事ができる人財(スペシャリスト)
を育む場として!
常に起こり得る災害だからこそ、日
頃からの備えとして、地域と連携し
防災拠点としての意識を高め、地
域に密着した地域防災支援の実
施!
歴史~これまで
実践~いま
未来~これから
全てはいま起こっていること
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2016/9/14
地域密着型グループホーム
自己点検シート
今日のメニュー
1.繋がるということ
2.「認知症」の理解から
「認知症」を持つ人の理解とは
3.グループホームとは
4.未来〜これから(地域包括ケア)
5.まとめ
62
2016/9/14
どのようなホームにしたいですか?
グループワーク
「認知症の人」への提言
• 認知症のケアなのか?
• 人のケアなのか?
• 認知症の状態をケアする
• 人が生きることを支援する
• 認知症の理解
• 人の理解
それぞれ別々に考えてみる
それぞれ
63
2016/9/14
別々に捉えた(考えた)上で
足して考えてみる
すると
認知症を持つ『人の姿』が見えてくる
『認知症』と『人』の図解
認知症の人
認知症
人
認知症
人
64
2016/9/14
これまで から これから
認知症⇒人
人⇒認知症
⇒認知症の人・認知症高齢者
⇒認知症の宮崎さん
⇒便を壁に塗り付ける
⇒弄便行為
⇒つなぎ服
⇒認知症と人
⇒宮崎さんに認知症
⇒便を壁に塗り付ける
⇒便の処理が困難
⇒事前のアセスメントを充実
⇒生活のピンポイントの支援
『の』から『と』へ
『認知症の
人』
認知症を通して人を一括りに捉える文化
『認知症』 と 『人』
人と認知症をそれぞれ捉える文化
65
2016/9/14
『間違い』
• 何よりも大切で何よりも優先して守らなければならないことが間違っ
ていた
• それは
• 彼らは弱者で、守られるべき人で、介護される対象者であり、その介
護や看護の名の管理下におかれているという前提があったֲつまり、
主体が私たちに在る
• しかし
• 毎日の彼らの暮らしの中に、主体者としての存在という前提であった
ֲつまり、主体は彼らに在る
『人』がよりよく生きるために守られるべき3つの原則
主体性
自分で(が)
関係を持てる
関係性
自分で(が)
決める
選択性
自分で(が)
選べる
66
2016/9/14
ひとは
どのような状態であっても
感情・感性は最期まで
そこに「在る」ものです
悲しみ・怒り・羨望・不安・愛
皆さんお疲れ様でした。
ありがとうございました。
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