卒業論文要旨 青果物の色合い判定に関する非線形識別の検討 AI・知能システム研究室 西浦 耕平 した.側面 4 方向画像の 1. はじめに 現在,青果物を対象とした選別機は重量を基準としたものが 反応値の加算平均をと ほとんどであり,外観品質の選別作業は長時間の目視によって り,その大小関係を用い 行われている.そのため,選別基準の均一化が困難となり商品 て識別結果を求めた.実 価値の低下が問題となっている.先行研究では選別対象をピー 験は背景差分に使う画 マンとした選別作業の自動化及び選別基準の均一化を目的とし たカラー画像による全面検査選別システムの開発を行った.[1] 本研究では,色合いによって判定レベルの異なるピーマンな どの青果物を精度良く識別するため色合い判定に関する非線形 像を有り,なし,黒+白 枠の 3 回行った.差分画 像を図4に,実験の結果 図 3 実験フローチャート を表1に示す. 識別を検討する. 2. システム概要 本システムは,搬送部、撮像部、識別部により構成されてい る。図1に本システムの内部を示す. 以下にシス テムの動作 手順を示す. 図4 差分画像 はじめに 表 1 識別実験結果 複数個の選 別対象を投 入位置に 投入する. 図 1 長楕円体状青果物全面検査システムの内部 次に複数 台のベルトコンベアを用いて撮像部までに選別対象を 1 個に分 離する.そして全面の撮像に対し影響の尐ないテグスを用いて 黄色 赤色 緑色 橙色 黄色 赤色 緑色 橙色 撮像位置まで搬送を行い,web カメラを用いて撮像を行う.そ の後,選別対象の色相に対する識別を行う. 今回,識別にはニューラルネットワークを用いている.これ により非線形識別が可能となり識別性能が向上すると思われる. 3.ニューラルネットワークを用いた青果物の学習登録 撮像画像をニューラルネットワークを用いた学習を行い,評 価を行う.本研究では,非線形識別が可能な最尐構造である 3 層構造の階層型ニューラルネットワークを導入する.学習に使 う階層型ニューラルネットワークを図 2 に示す. 背景差分あり 成功 失敗 15 0 7 8 15 0 15 0 背景差分なし 成功 失敗 15 0 15 0 11 4 12 3 背景差分あり(黒+白枠) 成功 失敗 15 0 15 0 15 0 15 0 識別率(%) 100.0 46.7 100.0 100.0 識別率(%) 100.0 100.0 73.3 80.0 識別率(%) 100.0 100.0 100.0 100.0 背景差分あり(黒+白枠)では,すべての色において識別率が 黄色 赤色 緑色 橙色 100%となった. 5.考察 表1より,背景差分ありの結果において,赤色の識別率が低 い.これは背景差分を取った際ピーマンの色も消えてしまった ためだと考えられる.背景差分なしの結果では緑色、橙色での 識別率が低い.これはニューラルネットワークの入力に背景の 画素を使用し,うまくピーマンの色を取れなかったためだと考 えられる.最後に行った背景差分あり(黒+白枠)では NN の反 応値も安定しており識別率を 100%にすることができた. 6.まとめ 色相の違いで判断基準の異なる青果物に対し,本研究では色 相識別にニューラルネットワークを導入し,色相識別の基本特 図 2 階層型ニューラルネットワーク 4.色相識別実験 本実験では,黄,赤,緑,橙の各色 20 個のピーマンを側面 4 方向から同時撮像し,そこから 5 個を学習用,15 個を識別用と 性を検証した.今回の実験から,ニューラルネットワークを用 いた色相の識別は有効であることが分かった. 参考文献 [1] 西浦耕平,竹田史章,“青果物の色合い判定に関する非線形識別 の検討”, 平成 27 年度 SICE 四国支部学術講演会論文集, 1-01
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